| 【発明の名称】 |
折板用断熱マット及びそれを用いた断熱折板屋根 |
| 【発明者】 |
【氏名】中川 幸弘
【氏名】中川 敬章
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| 【要約】 |
【課題】施工時及び施工後の微細なガラス片等の無機繊維片の飛散が抑えられる折板用断熱マット及びこの折板用断熱マットを用いた折板屋根を提供する。
【構成】本発明の折板用断熱マット104は、無機繊維マット11(ガラス繊維マット等)と、その一面に積層された第1熱可塑性樹脂フィルム121(ポリオレフィン系樹脂フィルム等)と、他面に無機繊維マットと絡合一体化されて積層された樹脂繊維製不織布13(ポリエステル繊維等からなる。)と、その表面に設けられたホットメルト接着剤層14(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂及びその水添樹脂等からなる。)と、を備える。また、本発明の折板屋根は、金属製折板と、この金属製折板に他面側が接合された本発明の折板用断熱マットと、を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無機繊維マットと、 該無機繊維マットの一面側に積層された第1熱可塑性樹脂フィルム及び該無機繊維マットの他面側に積層された第2熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一方と、を備えることを特徴とする折板用断熱マット。 【請求項2】 上記無機繊維マットがガラス繊維マットである請求項1に記載の折板用断熱マット。 【請求項3】 上記第1熱可塑性樹脂フィルム及び上記第2熱可塑性樹脂フィルムが、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及びポリオレフィン樹脂とポリアミド樹脂とのアロイ樹脂のうちの少なくとも1種を用いてなる単層フィルム又は多層フィルムである請求項1又は2に記載の折板用断熱マット。 【請求項4】 上記第1熱可塑性樹脂フィルム及び上記第2熱可塑性樹脂フィルムのうちの少なくとも一方が難燃剤を含有している請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 【請求項5】 上記難燃剤が、メラミンシアヌレート、ポリリン酸及びポリリン酸窒素含有化合物のうちの少なくとも1種である請求項4に記載の折板用断熱マット。 【請求項6】 上記ポリリン酸窒素含有化合物がポリリン酸メラミンである請求項5に記載の折板用断熱マット。 【請求項7】 上記無機繊維マットの一面に上記第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ該無機繊維マットの他面に樹脂繊維製不織布が該無機繊維マットと絡合一体化されて積層されている請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 【請求項8】 上記樹脂繊維製不織布の表面に更にホットメルト接着剤層が設けられている請求項7に記載の折板用断熱マット。 【請求項9】 上記無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が該無機繊維マットと絡合一体化されて積層され、該樹脂繊維製不織布の表面に上記第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ該無機繊維マットの他面にホットメルト接着剤層が設けられている請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 【請求項10】 上記無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が該無機繊維マットと絡合一体化されて積層され、該樹脂繊維製不織布の表面に上記第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ該無機繊維マットの他面に上記第2熱可塑性樹脂フィルムが積層されている請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 【請求項11】 金属製折板と、該金属製折板に上記他面側が接合された請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マットと、を備えることを特徴とする断熱折板屋根。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、折板用断熱マット及びそれを用いた断熱折板屋根に関する。更に詳しくは、本発明は、建築等の技術分野、特に、断熱折板の裏打ち材として用いられ、折板用金属板との貼り合わせ及びロールフォーミング(折板成形)等の加工時、並びに屋根施工時等において、突出した無機繊維、繊維片及び微細粉による作業者への皮膚刺激(以下、イッチングという。)、並びに無機繊維片及び微細粉の飛散が抑えられる折板用断熱マットに関する。また、この折板用断熱マットにより裏打ちされ、断熱性及び吸音性等を有する断熱折板屋根に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、金属製折板を用いた屋根等の断熱、吸音等を目的として、断熱マットが裏打ち材として用いられている。近年、この断熱マットには、より優れた不燃性又は難燃性が要求され、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等の合成樹脂に、多量の水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の水和金属酸化物、並びに有機ハロゲン化物等の難燃剤を配合し、発泡させてなる合成樹脂架橋発泡体からなる断熱マットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ガラス繊維等の無機繊維の片面又は両面にスパンボンド等の不織布を積層し、これらをニードルパンチにより一体化し、その後、不織布の側に合成樹脂エマルジョンを塗付し、乾燥させてなる断熱マットが知られている(例えば、特許文献2参照。)。 【0003】 【特許文献1】特開昭56−116727号公報 【特許文献2】特開昭57−7889号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、特許文献1に記載の合成樹脂架橋発泡体の場合、不燃、又は高難燃にするため、多量の難燃剤が配合された樹脂が用いられており、発泡体の強度低下及び脆化等が避けられない。従って、折板用金属板等との接合、及びその後のロールフォーミング等の成形時、成形製品の輸送及び取り扱い時、並びに屋根施工時などに、発泡体が傷付き易いという問題がある。 【0005】 また、特許文献2に記載の無機繊維を用いた断熱マットの場合、不織布の側に合成樹脂エマルジョンを塗布したとしても、ニードルパンチ時に不織布の表面側に突出した無機繊維を十分に被覆することができないことがある。そのため、上記の貼り合わせ及び施工等の際に作業者がイッチングを感じることがあり、問題である。更に、ロールフォーミング等によって断熱折板に成形加工する場合に、ロールによりしごかれる部分及び折り曲げられる部分には大きな剪断力が負荷され、無機繊維が破断及び切断されることがある。そして、この無機繊維の細片及び粉末が、輸送及び取り扱い時、屋根施工時、又は施工後の室内において飛散し、環境への影響が懸念されることもある。 【0006】 本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、建築等の技術分野、特に、断熱折板の裏打ち材として用いられ、折板用金属板との貼り合わせ及びロールフォーミング等の加工時、屋根施工時、並びに施工後のイッチング及び無機繊維の微細粉等の飛散が抑えられる折板用断熱マットを提供することを目的とする。また、この折板用断熱マットにより裏打ちされ、断熱性及び吸音性等を有する断熱折板屋根を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 折板用断熱マットは、工場、倉庫、駐車場及び体育館等の断熱折板屋根の裏打ち材として用いられるが、この折板用断熱マットの表面、特に折板用金属板に貼り合わされる面と反対側の面に突出した無機繊維、繊維片及び微細粉によるイッチング、及びこの反対面からの特に微細粉の飛散を可能な限り抑えることが必要である。このような観点から検討した結果、無機繊維マットの表面、特に折板用金属板に貼り合わされる面と反対側の面に、無機繊維マットの優れた難燃性を大きく低下させないように比較的薄い熱可塑性樹脂フィルムを積層することで無機繊維の突出、及び微細粉等の飛散を十分に抑え得ることが分かった。 本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。 【0008】 本発明は以下のとおりである。 1.無機繊維マットと、該無機繊維マットの一面側に積層された第1熱可塑性樹脂フィルム及び該無機繊維マットの他面側に積層された第2熱可塑性樹脂フィルムのうちの少なくとも一方と、を備えることを特徴とする折板用断熱マット。 2.上記無機繊維マットがガラス繊維マットである請求項1に記載の折板用断熱マット。 3.上記第1熱可塑性樹脂フィルム及び上記第2熱可塑性樹脂フィルムが、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリオレフィン系樹脂とポリアミド系樹脂とのアロイ樹脂のうちの少なくとも1種を用いてなる単層フィルム又は多層フィルムである上記1.又は2.に記載の折板用断熱マット。 4.上記第1熱可塑性樹脂フィルム及び上記第2熱可塑性樹脂フィルムのうちの少なくとも一方が難燃剤を含有している上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 5.上記難燃剤が、メラミンシアヌレート、ポリリン酸及びポリリン酸窒素含有化合物のうちの少なくとも1種である上記4.に記載の折板用断熱マット。 6.上記ポリリン酸窒素含有化合物がポリリン酸メラミンである上記5.に記載の折板用断熱マット。 7.上記無機繊維マットの一面に上記第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ該無機繊維マットの他面に樹脂繊維製不織布が該無機繊維マットと絡合一体化されて積層されている上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 8.上記樹脂繊維製不織布の表面にホットメルト接着剤層が設けられている上記7.に記載の折板用断熱マット。 9.上記無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が該無機繊維マットと絡合一体化されて積層され、該樹脂繊維製不織布の表面に上記第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ該無機繊維マットの他面にホットメルト接着剤層が設けられている上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 10.上記無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が該無機繊維マットと絡合一体化されて積層され、該樹脂繊維製不織布の表面に上記第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ該無機繊維マットの他面に上記第2熱可塑性樹脂フィルムが積層されている上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マット。 11.金属製折板と、該金属製折板に上記他面側が接合された上記1.乃至10.のうちのいずれか1項に記載の折板用断熱マットと、を備えることを特徴とする断熱折板屋根。 【発明の効果】 【0009】 本発明の折板用断熱マットでは、無機繊維マットの一面側及び/又は他面側に熱可塑性樹脂フィルムが積層されている。そのため、折板用金属板との貼り合わせ、及びその後のロールフォーミング等の折板成形時、断熱折板の輸送及び取り扱い時、並びに屋根施工時などに、傷付き難く、取り扱いが容易である。また、ガラス繊維等の無機繊維の突出及び微細粉等の飛散が抑えられ、作業者がイッチングを感じることがなく、環境への影響も抑えられる。 また、無機繊維マットがガラス繊維マットである場合は、十分な断熱性及び吸音性等が発現される。このガラス繊維マットは入手も容易であり、且つ安価である。 更に、第1熱可塑性樹脂フィルム及び第2熱可塑性樹脂フィルムが、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリオレフィン系樹脂とポリアミド系樹脂とのアロイ樹脂のうちの少なくとも1種を用いてなる単層フィルム又は多層フィルムである場合は、適度な柔軟性と強度とを併せて有する熱可塑性樹脂フィルムとすることができ、ロールフォーミング等の折板成形時に傷付き難く、破損し難い折板用断熱マットとすることができる。 また、第1熱可塑性樹脂フィルム及び第2熱可塑性樹脂フィルムのうちの少なくとも一方が難燃剤を含有している場合は、熱可塑性樹脂フィルムを積層することによる折板用断熱マットの難燃性の低下を抑えることができ、十分な難燃性を有する折板用断熱マットとすることができる。 更に、難燃剤が、メラミンシアヌレート、ポリリン酸及びポリリン酸窒素含有化合物のうちの少なくとも1種である場合は、燃焼したときの有害ガスの発生がなく、且つ水和金属酸化物のように多量に配合する必要がないため、樹脂フィルムの強度の低下が抑えられ、ロールフォーミング等の折板成形時に傷付き難く、破損し難い折板用断熱マットとすることができる。 また、ポリリン酸窒素含有化合物がポリリン酸メラミンである場合は、より優れた難燃性を有する折板用断熱マットとすることができる。 更に、無機繊維マットの一面に第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ無機繊維マットの他面に樹脂繊維製不織布が無機繊維マットと絡合一体化されて積層されている場合は、より優れた断熱性等を有する折板用断熱マットとすることができる。 また、上記の樹脂繊維製不織布の表面に更にホットメルト接着剤層が設けられている場合は、折板用金属板等との貼り合わせが容易であり、且つより強固に接合させることができ、ロールフォーミング等の折板成形に耐え、高品質の断熱折板等に加工することができる。 更に、無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が無機繊維マットと絡合一体化されて積層され、樹脂繊維製不織布の表面に第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ無機繊維マットの他面にホットメルト接着剤層が設けられている場合は、より優れた断熱性等を有し、熱接着により折板用金属板等と容易に貼り合わせることができ、且つより強固に接合させることができる折板用断熱マットとすることができる。 また、無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が無機繊維マットと絡合一体化されて積層され、樹脂繊維製不織布の表面に第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ無機繊維マットの他面に第2熱可塑性樹脂フィルムが積層されている場合は、より優れた断熱性等を有し、無機繊維マットの他面からのガラス繊維等の無機繊維の突出及び微細粉等の飛散が抑えられ、作業者がイッチングを感じることがなく、環境への影響も抑えられる。 【0010】 本発明の断熱折板屋根は、金属製折板と、この金属製折板に他面側が接合された本発明の折板用断熱マットとを備えている。そのため、優れた断熱性及び吸音性等を有し、降雨時の雨音を抑える等の性能を有する。また、ガラス繊維等の無機繊維の微細粉などの飛散が抑えられ、環境への影響も抑えられる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0011】 [1]無機繊維マットと熱可塑性樹脂フィルムとを備える折板用断熱マット 本発明の折板用断熱マットは、無機繊維マット11と、無機繊維マット11の一面側に積層された第1熱可塑性樹脂フィルム121及び無機繊維マット11の他面側に積層された第2熱可塑性樹脂フィルム122のうちの少なくとも一方と、を備える。 【0012】 上記「無機繊維マット11」は、折板用断熱マットの基体をなすものであり、優れた難燃性及び断熱性等を有する。無機繊維マット11は特に限定されず、各種の無機繊維からなるマットを用いることができる。この無機繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維及びバサルト繊維等が挙げられる。これらの無機繊維は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの無機繊維のうちでは入手し易く、且つ安価なガラス繊維が好ましい。ガラス繊維を用いる場合、無機繊維の全量を100質量%とした場合に、ガラス繊維は80質量%以上、特に90質量%以上であることが好ましく、無機繊維の全量がガラス繊維であってもよい。 【0013】 無機繊維マット11は、ガラス繊維等の無機繊維に、樹脂繊維を混合して形成することもできる。この樹脂繊維は特に限定されず、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維及びアクリル繊維等が挙げられる。但し、この樹脂繊維は、無機繊維と樹脂繊維との合計を100質量%とした場合に、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。 【0014】 上記「第1熱可塑性樹脂フィルム121」は、無機繊維マット11の一面側に積層され、この一面側における無機繊維の突出、及びこの一面側からの微細粉等の飛散が抑えられる。また、上記「第2熱可塑性樹脂フィルム122」は、無機繊維マット11の他面側に積層され、この他面側における無機繊維の突出、及びこの他面側からの微細粉等の飛散が抑えられる。更に、これらの樹脂フィルムにより折板用断熱マットの断熱性も向上する。第1熱可塑性樹脂フィルム121及び第2熱可塑性樹脂フィルム122(以下、各々の樹脂フィルム121、122という。)のそれぞれを構成する熱可塑性樹脂は特に限定されないが、適度な柔軟性と強度とを併せて有し、ロールフォーミング等の折板成形時に傷付き難く、破損し難い折板用断熱マットとすることができる熱可塑性樹脂が好ましい。 【0015】 熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、エチレンと酢酸ビニルとの共重合樹脂及びエチレンとメタクリルレートとの共重合樹脂等のエチレン系共重合樹脂、ナイロン6及びナイロン66等のポリアミド系樹脂、並びにポリオレフィン系樹脂とポリアミド系樹脂とのアロイ樹脂などが挙げられる。これらのうちでは、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリオレフィン系樹脂とポリアミド系樹脂とのアロイ樹脂が好ましい。このアロイ樹脂は、通常、ポリオレフィン系樹脂と、ポリアミド系樹脂と、これらの樹脂を無水マレイン酸等でグラフト変性した、又は無水マレイン酸等を共重合させた相溶化樹脂と、を溶融状態で混練して製造されている。 【0016】 第1熱可塑性樹脂フィルム121は、無機繊維マット11の一面側に積層されている。即ち、第1熱可塑性樹脂フィルム121は、無機繊維マット11の一面に直接積層されていてもよく、他部材を介して積層されていてもよい。また、第2熱可塑性樹脂フィルム122は、無機繊維マット11の他面側に積層されている。即ち、第2熱可塑性樹脂フィルム122は、無機繊維マット11の他面に直接積層されていてもよく、他部材を介して積層されていてもよい。この他部材としては、ポリエステル繊維製不織布等の樹脂繊維製不織布及び織布などが挙げられる。 【0017】 各々の樹脂フィルム121、122は、いずれか一方のみが設けられていてもよく、両方が設けられていてもよい。折板用断熱マットの他面側が折板用金属板21に貼り合わされて断熱折板2が形成される場合、折板用金属板21との貼り合わせ時に、ガラス繊維等の無機繊維の微細粉などの飛散を十分に抑えるためには、第1熱可塑性樹脂フィルム121及び第2熱可塑性樹脂フィルム122の両方を設けることが好ましい(図1の折板用断熱マット101参照)。一方、折板用金属板との貼り合わせ後のロールフォーミング等の折板成形時、成形製品の輸送及び取り扱い時、並びに屋根施工時には、折板用断熱マットの一面側に第1熱可塑性樹脂フィルム121が設けられておれば、ガラス繊維等の無機繊維の微細粉などの飛散が十分に抑えられる(図2の折板用断熱マット102参照)。従って、第2熱可塑性樹脂フィルム122は設けてもよいが、必ずしも設ける必要はない。 【0018】 各々の樹脂フィルム121、122は、それぞれ単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。各々の樹脂フィルム121、122を無機繊維マット11に熱接着させる場合は、融点差のある2種類の熱可塑性樹脂からなる2層フィルムを用いることが好ましい。即ち、融点の低い熱可塑性樹脂からなるフィルム面を無機繊維マット11に積層し、低融点樹脂の融点を越え、且つ高融点樹脂の融点未満の温度で加熱し、低融点樹脂からなるフィルムを融解させて無機繊維マット11と接着させることで、折板用断熱マットの表面における無機繊維の突出を十分に抑えることができる。このような2層フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂フィルムと前記のアロイ樹脂を用いてなるフィルムとの2層フィルム、及び前記のアロイ樹脂を用いてなるフィルムとポリアミド系樹脂フィルムとの2層フィルム等が挙げられる。 【0019】 各々の樹脂フィルム121、122のそれぞれの厚さ(多層フィルムである場合は全厚さ)は特に限定されない。しかし、これらのフィルムを積層することで、無機繊維マット11を有することによる折板用断熱マットの優れた難燃性が低下するため、折板用断熱マットの表面における無機繊維の突出を抑えることができる限り、より薄いフィルムであることが好ましい。各々のフィルム121、122の厚さは、それぞれ20〜100μmであることが好ましく、20〜90μmであることがより好ましく、30〜60μmであることが特に好ましい。フィルムの厚さが20μm未満では、折板用断熱マットの表面における無機繊維の突出を十分に抑えることができないことがあり、ロールフォーミング時にフィルムが破損することもある。一方、フィルムの厚さが100μmを越えると、折板用断熱マットの難燃性が低下し、柔軟性も低下する傾向にある。 【0020】 各々の樹脂フィルム121、122は、それぞれ折板用金属板21に接合される面と反対側の面、特に断熱折板屋根の室内側となる面に、エンボス加工を施したフィルムとすることが好ましい(図3、4参照)。これによりフィルム表面の光沢が抑えられて艶消しとなり、外観が大きく向上する。また、エンボス加工により樹脂フィルム表面の保水機能が向上し、一定の温度、湿度条件を越えて結露が発生した場合に、露滴落下を抑えることもできる。更に、各々のフィルム121、122は着色することができ、表面に印刷等により文字、図柄等を配設することもできる。このように樹脂フィルムを積層した本発明の折板用断熱マットでは、樹脂繊維製不織布等では実施することができなかった各種の加飾を施すことができる。また、フィルム原料となる熱可塑性樹脂に防菌剤、防黴剤等を配合することで容易に防菌性、防黴性等を有する折板用断熱マットとすることができる。更に、折板用断熱マットに樹脂が本来有する特性をそのまま付与することもでき、例えば、ポリアミド樹脂を使用したときは、静電防止等の作用が得られ、埃等が付着し難い、清浄な折板用断熱マットとすることができる。 【0021】 各々の樹脂フィルム121、122は、無機繊維マット11を有することによる折板用断熱マットの優れた難燃性が大きく低下しないように薄いフィルムであることが好ましいのは前記のとおりであるが、各々の樹脂フィルム121、122のうちの少なくとも一方は難燃剤を含有していることが好ましい。即ち、各々の樹脂フィルム121、122は難燃性を有していることが好ましい。特に、折板用断熱マットの他面側が折板用金属板21に接合されて裏打ち材として用いられるとした場合、断熱折板屋根の室内側となる面に積層される第1熱可塑性樹脂フィルム121は難燃性を有していることが好ましい。 【0022】 各々の樹脂フィルム121、122のうちの少なくとも一方に含有させる難燃剤は特に限定されない。この難燃剤としては、尿素及びメラミンシアヌレート等の窒素含有化合物、ポリリン酸等のリン酸化合物、塩素化パラフィン及びデカブロモビフェニルエーテル等の有機ハロゲン化合物、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の水和金属酸化物などが挙げられる。これらの難燃剤のうちでは、難燃時に有害ガスが発生せず、水和金属化合物ほどに樹脂に多量に配合する必要がない窒素含有化合物及びリン酸化合物が好ましい。この難燃剤としては、窒素含有化合物であるメラミンシアヌレート及びリン酸化合物であるポリリン酸がより好ましい。更に、ポリリン酸メラミン及びポリリン酸グアニジン等のポリリン酸窒素含有化合物が特に好ましい。これらの難燃剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用することもできる。 【0023】 難燃剤の含有量は特に限定されないが、各々の樹脂フィルム121、122をそれぞれ100質量部とした場合に、10〜40質量部であることが好ましく、15〜30質量部であることがより好ましい。この含有量が10質量部未満であると、十分な難燃性を有する折板用断熱マットとすることができない場合がある。一方、40質量部を越えると、難燃剤がフィルム表面にブリードアウトすることがあり、フィルムの強度等が低下することもある。 【0024】 [2]その他の部材を更に備える折板用断熱マット (1)図3及び図4に記載の態様 本発明の折板用断熱マットは、無機繊維マット11の一面に第1熱可塑性樹脂フィルム121が積層され、且つ無機繊維マット11の他面に樹脂繊維製不織布13が無機繊維マット11と絡合一体化されて積層された態様とすることもできる。 この態様における無機繊維マット11及び第1熱可塑性樹脂フィルム121の各々の構成及びその作用、効果については、前記[1]におけるそれぞれの記載をそのまま適用することができる。 【0025】 この態様では、無機繊維マット11の一面に樹脂繊維製不織布13がニードルパンチ等の方法により絡合一体化されている(図3の折板用断熱マット103参照)。そのため、樹脂繊維製不織布13の樹脂繊維と無機繊維マット11の無機繊維とが互いに絡まり合い、無機繊維マット11が補強され、折板用金属板21との貼り合わせ、及びその後のロールフォーミング等の成形性が向上する。また、折板用金属板21との貼り合わせ、ロールフォーミング、成形製品の輸送及び取り扱い、並びに屋根施工などの各作業工程での、ガラス繊維等の無機繊維の微細粉などの飛散が抑えられ、作業者がイッチングを感じることがなく、環境への影響も抑えられる。 【0026】 樹脂繊維製不織布13を構成する樹脂繊維の材質は特に限定されない。この樹脂繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維及びアクリル繊維等が挙げられる。これらのうちでは、ポリエステル繊維を用いてなる不織布が、ニードルパンチング時の無機繊維との絡まり合いによる無機繊維マット11の補強効果が大きいため好ましい。また、樹脂繊維製不織布13の目付量も特に限定されないが、20〜80g/m2であることが好ましく、25〜60g/m2であることがより好ましい。目付量が20g/m2未満であると、無機繊維マット11の補強効果が小さく、80g/m2を越えると、樹脂繊維製不織布13に難燃処方が施されていない場合は、折板用断熱マットの難燃性が低下するため好ましくない。 尚、樹脂繊維製不織布13には難燃処方を施すこともでき、そのときの目付量は難燃処方が施されていない樹脂繊維製不織布と同等とすることができる。難燃処方を施す場合、難燃剤の種類及び含有量は前記の樹脂フィルムのときと同様とすることができる。この含有量が10質量部未満であると、十分な難燃性を有する折板用断熱マットとすることができないことがあり、40質量部を越えると、難燃剤が不織布表面にブリードアウトすることがあり、不織布の強度等が低下することもある。 【0027】 無機繊維マット11の他面に樹脂繊維製不織布13が積層された態様では、樹脂繊維製不織布13の表面に更にホットメルト接着剤層14が設けられた折板用断熱マットとすることもできる(図4の折板用断熱マット104参照)。このようにホットメルト接着剤層14が予め樹脂繊維製不織布13の表面に設けられた場合、折板用金属板21への貼り合わせが極めて容易である。また、ホットメルト接着剤層14により樹脂繊維製不織布13の表面に突出した無機繊維が覆われるため、折板用金属板との貼り合わせ時のイッチング等も抑えられる。 【0028】 ホットメルト接着剤層14を形成するためのホットメルト接着剤は特に限定されないが、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合樹脂及びその水添樹脂、並びにスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合樹脂等のスチレン系ブロック共重合樹脂からなるホットメルト接着剤が好ましい。これらのホットメルト接着剤は、折板用金属板との接着性に優れ、且つ比較的低温で接着させることができる。 尚、ホットメルト接着剤には、アルコン樹脂等の粘着付与樹脂などを配合し、ホットメルト接着剤層14とすることができる。 【0029】 (2)図5に記載の態様 本発明の折板用断熱マットは、無機繊維マット11の一面に樹脂繊維製不織布13が無機繊維マット11と絡合一体化されて積層され、樹脂繊維製不織布13の表面に第1熱可塑性樹脂フィルム121が積層され、且つ無機繊維マット11の他面にホットメルト接着剤層14が設けられた態様とすることもできる。 この態様における無機繊維マット11及び第1熱可塑性樹脂フィルム121の各々の構成及びその作用、効果については、前記[1]におけるそれぞれの記載をそのまま適用することができる。また、樹脂繊維製不織布13及びホットメルト接着剤層14の各々の構成及びその作用、効果については、上記(1)におけるそれぞれの記載をそのまま適用することができる。 【0030】 この態様では、樹脂繊維製不織布13の表面に第1熱可塑性樹脂フィルム121が積層されている。即ち、無機繊維マット11の一面側に樹脂繊維製不織布13を介して第1熱可塑性樹脂フィルム121が積層されている(図5の折板用断熱マット105参照)。従って、樹脂繊維製不織布13により無機繊維マット11が補強されるとともに、第1熱可塑性樹脂フィルム121により、折板用金属板21との貼り合わせ後のロールフォーミング等の成形性がより向上し、成形製品の輸送及び取り扱い時、並びに屋根施工時などにおけるガラス繊維等の無機繊維の微細粉などの飛散が更に抑えられる。 【0031】 (3)図6に記載の態様 本発明の折板用断熱マットは、無機繊維マット11の一面に樹脂繊維製不織布13が無機繊維マット11と絡合一体化されて積層され、樹脂繊維製不織布13の表面に第1熱可塑性樹脂フィルム121が積層され、且つ無機繊維マット11の他面に第2熱可塑性樹脂フィルム122が積層された態様とすることもできる。 この態様における無機繊維マット11、第1熱可塑性樹脂フィルム121及び第2熱可塑性樹脂フィルム122の各々の構成及びその作用、効果については、前記[1]におけるそれぞれの記載をそのまま適用することができる。また、樹脂繊維製不織布13の構成及びその作用、効果については、上記(2)における記載をそのまま適用することができる。 【0032】 この態様では、樹脂繊維製不織布13の表面に第1熱可塑性樹脂フィルム121が積層されている。即ち、無機繊維マット11の一面側に樹脂繊維製不織布13を介して第1熱可塑性樹脂フィルム121が積層されている(図6の折板用断熱マット106参照)。従って、樹脂繊維製不織布13により無機繊維マット11が補強されるとともに、各々の樹脂フィルム121、122により、折板用金属板21との貼り合わせ時のガラス繊維等の無機繊維の突出及び微粉末などの飛散が十分に抑えられる。また、第1熱可塑性樹脂フィルム121により、折板用金属板との貼り合わせ後のロールフォーミング等の成形性がより向上し、成形製品の輸送及び取り扱い時、並びに屋根施工時などにおけるガラス繊維等の無機繊維の微粉末などの飛散が更に抑えられる。 【0033】 [3]折板用断熱マットの製造方法 本発明の折板用断熱マットの製造方法は特に限定されず、例えば、以下の工程によって製造することができる。 (1)第1工程 単繊維がストランド状に集束されてなる、例えば、直径9μm程度のガラス繊維を、長さ50〜100mm程度に切断し、周面に多数の針状突起が装着された回転ドラムにより解繊し、これを浮遊させ積層させて無機繊維マット中間品を作製する。 【0034】 単繊維の径は5〜12μm、特に7〜12μmが好ましい。径が5μm未満では解繊し難く、12μmを越えると第2工程のニードルパンチ時に無機繊維間が絡まり難く、無機繊維マット中間品の強度が低下することがある。また、繊維長が50mm未満であると、第2工程のニードルパンチ時に繊維1本当りの絡まり数が不足し、無機繊維マット中間品の強度が低下することがある。繊維長が100mmを越えると、解繊し難く、塊状で積層されることがあるため、無機繊維マット中間品の厚さ及び目付量のばらつきが発生し易く、好ましくない。 【0035】 (2)第2工程 第1工程で作製した無機繊維マット中間品をそのまま、又は樹脂繊維製不織布13を積層する場合は、この樹脂繊維製不織布13を中間品の表面に重ね合わせ、その後、ニードルパンチを施し、厚さ4〜10mmの目付量が大きくなった無機繊維マット11を作製する。このニードルパンチによる繊維間の絡まりにより無機繊維マット11の強度が大幅に向上する。 【0036】 (3)第3工程 第2工程で作製したガラス繊維マット11の一面又は両面に、予め成形した各々の樹脂フィルム121、122を熱接着するか、又は接着剤により接合して積層する。この積層は、Tダイが装着された押出機を用いて溶融フィルムを押出成形しながら、この溶融フィルムをラミネートする、所謂、押出ラミネーション法により積層することもできる。このようにして折板用断熱マットを製造することができる。これらの方法のうちでは、工程が簡易であり、接着剤によるコストアップ及び難燃性の低下等のない熱接着又は押出ラミネーション法が好ましい。 【0037】 (4)第4工程 必要に応じて、無機繊維マット11の熱可塑性樹脂フィルムが積層されていない面に、前記のようにして樹脂繊維製不織布13を積層することができる。また、ホットメルト接着剤を押出塗工及びギヤポンプによる吐出塗工等の方法で塗付することもできる。 【0038】 [4]断熱折板屋根 本発明の断熱折板屋根(図11の断熱折板2が屋根施工されてなるものであり、この断熱折板屋根の図としては図11を代用する。)は、金属製折板21aと、この金属製折板21aに他面側が接合された本発明の折板用断熱マットと、を備える。 この断熱折板屋根は、屋根施工時及び施工後のガラス繊維等の無機繊維の微粉末などの飛散が抑制された折板用断熱マットが裏打ち材として接合されているため、工場、倉庫、駐車場及び体育館等の屋根として用いた場合に、環境への影響が抑えられる。また、十分な断熱性及び吸音性等を有し、降雨時の雨音を抑える等の性能を有する断熱折板屋根とすることができる。 【実施例】 【0039】 以下、実施例により本発明を具体的に説明する。 [1]ガラス繊維マット(無機繊維マット) 実施例1〜6及び比較例1〜3のすべての折板用断熱マットが基体として有するガラス繊維マットを以下のように作製した。 ロービング状に捲回されていた直径9μmのガラス繊維を長さ約75mmに切断し、解繊ドラムにより解繊して綿状のガラス繊維とし、このガラス繊維を空気の流れに載せて目付量約500g/m2となるように浮遊させ、積層させてガラス繊維マット11を作製した。 【0040】 [2]実施例1〜6 表1に記載の構成を有する実施例1〜6の折板用断熱マットを以下のようにして製造した。 実施例1 難燃剤としてメラミンシアヌレート(表1では「MC」と略記する。以下、同様である。)を樹脂100質量部に対して25質量部配合した低密度ポリエチレン樹脂(表1では「LDPE」と略記する。以下、同様である。)を用いて成形した厚さ40μmの各々の樹脂フィルム121、122を、上記[1]で作製したガラス繊維マット11の一面及び他面に供給しながら、これらを赤外線ヒータを装備した熱ラミネーション機の炉内を通過させ、樹脂フィルムをガラス繊維マットに積層させて折板用断熱マット101を製造した。樹脂フィルムの加熱温度等は外観を観察しながら適宣調整した。また、樹脂フィルムとガラス繊維マットとの接合性を向上させるため、ガラス繊維マット11を赤外線ヒータにより予備加熱し、予め120℃程度に昇温させ、その後、炉内に搬送した。 【0041】 実施例2 難燃剤としてポリリン酸メラミン(表1では「PPM」と略記する。)を20質量部配合した低密度ポリエチレン樹脂を使用し、ガラス繊維マット11の一面に樹脂フィルム121のみを供給しながら積層させた他は、実施例1の場合と同様にして熱ラミネーション機を用いて折板用断熱マット102を製造した。 【0042】 実施例3 上記[1]で作製した、ガラス繊維マット11の他面に、目付量40g/m2のポリエステル繊維製不織布13を当接させ、ニードルパンチを施して絡合一体化させた。また、ガラス繊維マット11の一面に、難燃剤としてメラミンシアヌレートを15質量部、ポリエチレン樹脂(表1では「PE」と略記する。)を47質量部、ポリアミド樹脂(表1では「PA」と略記する。)を30質量部、及び相溶化剤としてマレイン酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー(表1では「SEBS」と略記する。)を8質量部含有する樹脂組成物を用いて成形し、且つエンボス加工を施した厚さ35μmの樹脂フィルム121を供給しながら積層させた他は、実施例1の場合と同様にして熱ラミネーション機を用いて折板用断熱マット103を製造した。 【0043】 実施例4 実施例3で製造した折板用断熱マットのポリエステル繊維製不織布13の表面に、ホットメルト接着剤(表1では「St系共重合樹脂」と表記する。以下、同様である。)をノードソン方式ホットメルト塗工機により吐出させて塗布し、塗布量30g/m2のホットメルト接着剤層14を形成して折板用断熱マット104を製造した。 【0044】 実施例5 上記[1]で作製した、ガラス繊維マット11の一面に、実施例3と同様にして、目付量30g/m2のポリエステル繊維製不織布13を絡合一体化させ、その後、このポリエステル繊維製不織布13の表面に、実施例1の場合と同一の組成及び厚さの樹脂フィルム121を供給しながら、実施例1のときと同様にして熱ラミネーション機を用いて積層させた。また、ガラス繊維マット11の他面に、実施例4の場合と同一の組成のホットメルト接着剤を、実施例4のときと同様にして塗布し、同一の塗布量のホットメルト接着剤層14を形成して折板用断熱マット105を製造した。 【0045】 実施例6 実施例5と同様にして、ガラス繊維マット11の一面にポリエステル繊維製不織布13を絡合一体化させ、このポリエステル繊維製不織布13の表面に実施例1の場合と同一の組成及び厚さの樹脂フィルム121を供給しながら、また、ガラス繊維マット11の他面に、線状低密度ポリエチレン樹脂(表1では「LLDPE」と略記する。)を用いて成形した厚さ35μmの樹脂フィルム122を供給しながら、実施例1の場合と同様にして熱ラミネーション機を用いて各々の樹脂フィルム121、122を積層させて折板用断熱マット106を製造した。 【0046】 【表1】
【0047】 [3]比較例1〜3 表2に記載の構成を有する比較例1〜3の折板用断熱マットを以下のようにして製造した。 比較例1 上記[1]で作製した、ガラス繊維マット11の一面に、目付量40g/m2のポリエステル繊維製不織布13を当接させ、ニードルパンチを施して絡合一体化させて折板用断熱マットを製造した。 【0048】 比較例2 比較例1で製造した折板用断熱マットのガラス繊維マット11の他面、及びポリエステル繊維製不織布13の表面に、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(表2では「EVAエマルジョン」と表記する。以下、同様である。)を、乾燥後の固形分の塗布量が約40g/m2となるようにスプレー塗工し、その後、150℃に調温された乾燥炉を通過させ、乾燥させて折板用断熱マットを製造した。 【0049】 比較例3 比較例2で製造した折板用断熱マットのガラス繊維マット11の他面に、実施例4の場合と同一の組成のホットメルト接着剤を、実施例4のときと同様にして塗布し、同一の塗布量のホットメルト接着剤層14を形成して折板用断熱マットを製造した。 【0050】 【表2】
【0051】 [4]使用した原材料 (1)低密度ポリエチレン;東ソー社製、商品名「ペトロセン203」(密度;0.919g/cm3、MI;8.0g/10分) (2)線状低密度ポリエチレン;日本ポリエチレン社製、商品名「UF240」(密度;0.920g/cm3、MI;1.0g/10分) (3)ポリエチレン/ポリアミドアロイ樹脂;三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名「ノバミッド1030CA4」[このアロイ樹脂には、前記のように難燃剤と相溶化剤とが配合されている。] (4)実施例3、4及び比較例1〜3で用いたポリエステル繊維製不織布;東洋紡績社製、商品名「6405G」 (5)実施例5、6で用いたポリエステル繊維製不織布;上記(4)で用いた不織布と目付量が異なる他は同じ不織布である。 (6)スチレン系共重合体ホットメルト接着剤;アロンエバーグリップ社製、商品名「エバーグリップAS997−1」 (7)エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン;サイデン化学社製、商品名「サイビノールRC506」 【0052】 [5]評価方法 実施例1〜6及び比較例1〜3で製造した折板用断熱マットの性能を評価した。難燃性は折板用断熱マットのみで評価し、その他の項目については折板用断熱マットを折板用金属板に接合し、ロールフォーミング成形し、その後、評価した。使用した折板用金属板は長さ5m、幅870mm、厚さ0.8mmである。折板用金属板と折板用断熱マットとの接合は、折板用断熱マットの他面側にホットメルト接着剤層が設けられている実施例4、5及び比較例3では、熱風炉を通過させて折板用金属板を120℃に加熱し、加熱された折板用金属板とホットメルト接着剤層とを当接させ、その後、圧着ロールにより折板用断熱マットを折板用金属板に圧接させ、次いで、風冷して接合させた。 【0053】 ホットメルト接着剤層が設けられていない実施例1〜3及び6並びに比較例1、2では、折板用金属板の表面にクロロプレンゴム系溶剤型接着剤(アロンエバーグリップ社製、商品名「エバーグリップ665」)を塗工ロールにより固形分が30g/m2となるように塗布し、その後、110℃に調温された乾燥炉に収容して溶剤を除去し、次いで、圧着ロールにより折板用断熱マットを折板用金属板に圧接させて接合させた。 【0054】 (1)難燃性の評価 折板用断熱マットを長さ150mm、幅30mmにカットし、長さ方向を上下方向として垂下させた状態で下端部にライターで着火した。着火直後、鉄板(厚さ0.8mm)からなる支持体上に静置し、燃焼動向を目視で観察した。着火させた下端部から100mm以内で消火した場合を自己消化したとし、各々の実施例、比較例でそれぞれ5回試験した。表1には自己消化した回数を記載した。 【0055】 (2)イッチング 長さ約25mの折板用断熱マットを、折板用金属板に接合させ、その後、長さ約5mにカットし、カットした各々の接合体をロールフォーミング成形した。この一連の作業を5名の作業者が素手で実施した。作業終了後、イッチング性について作業者全員の意見を聴取し、評価した。評価基準は下記のとおりである。 ◎;全員がイッチング性を感じなかった ○;2〜3名がイッチング性を指摘したが、軽度である △;2〜3人が通常のイッチング性を指摘した ×;全員が強いイッチング性を指摘した 【0056】 (3)ガラス繊維細片及び微粉末の飛散性(表3では「ガラス細片飛散性」と表記する。) 折板用断熱マットを折板用金属板に接合させ、その後、ロールフォーミング成形した断熱折板の両端部を、折板用断熱マット面を下にして架台に載せ、両端部を除く部分が水平に浮いた状態とした。次いで、その下に1m□(平面形状が1m×1mの正方形)のプラスチックプレートを断熱折板の折板用断熱マットが接合された山部より1cm下になる高さに水平に取り付け、断熱折板の折板用断熱マットが接合されていない側の金属面の幅方向の中央部の山部2箇所を木槌で2回づつ各5回、計10回軽くタッピングした。5分間放置し、その後、プラスチックプレートを静かに外して水平に置き、巾50mmのクラフトテープを断熱折板の中央部に対応するプラスチックプレートの中央部に全幅に渡って貼合した。次いで、クラフトテープを剥離し、その粘着面に付着したガラス繊維細片及び微粉末を観察した。評価基準は下記のとおりである。 尚、この評価はエアコンを停止し、空気流を抑えた室内で実施した。 ◎;ガラス繊維細片等がほとんど観察されない ○;単独の細片等が少し観察された △;所々にガラス繊維細片等の集合体が観察された ×;全面に重ね合わさったガラス繊維細片等が観察された 【0057】 (4)ロールフォーミング性 上記の長さ約25mの折板用金属板5本を用いて各々の折板用断熱マットを接合し、ロールフオーミング成形し、断熱折板とした。その後、折板用断熱マットの破損の有無を目視で観察した。評価基準は下記のとおりである。 ○;折板用断熱マットの破れ等の破損がまったく観察されなかった △;部分的に折板用断熱マットの破れ等が観察された ×;寸法の長い破れが観察された 【0058】 (5)意匠性 折板用金属板に折板用断熱マットを貼り合わせ、ロールフオーミング成形して断熱折板とした。その後、接合された折板用断熱マットの表面を目視で観察して評価した。評価基準は下記のとおりである。 ○;光沢が弱く、光沢むらもない △;光沢があり、光沢むらも少しある ×;光沢は弱いものの、光沢むらが多く意匠性に劣る 以上、(1)〜(5)の評価結果を表3に記載する。 【0059】 【表3】
【0060】 表3の結果によれば、実施例1〜6の折板用断熱マットでは、比較例1〜3の折板用断熱マットと比べて、難燃性、イッチング性、ガラス細片飛散性及びロールフォーミング性の各々の特性、特にイッチング性とガラス細片飛散性において大きく向上していることが分かる。また、実施例1〜6の折板用断熱マットは意匠性も優れており、樹脂フィルム121にエンボス加工が施されていない実施例1、2、5及び6の折板用断熱マットには光沢がみられるものの、光沢むらは少なく十分に優れた外観を有していた。 尚、断熱折板屋根に用いたときの総合的な性能と、コストの面から、実施例3の折板用断熱マット(図3参照)及び実施例4の折板用断熱マット(図4参照)が特に優れていると評価される。 【産業上の利用可能性】 【0061】 本発明は、断熱等を目的として断熱マットにより裏打ちされた断熱折板、特に断熱折板屋根などの技術分野において用いることができる。 【図面の簡単な説明】 【0062】 【図1】無機繊維マットの両面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる本発明の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図2】無機繊維マットの一面に熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる本発明の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図3】無機繊維マットの一面にエンボス加工が施された熱可塑性樹脂フィルムが積層され、他面に樹脂繊維製不織布が積層されてなる本発明の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図4】図3の折板用断熱マットの樹脂繊維製不織布の表面に更にホットメルト接着剤層が設けられてなる本発明の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図5】無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が積層され、この樹脂繊維製不織布の表面に第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ無機繊維マットの他面にホットメルト接着剤層が設けられてなる本発明の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図6】無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が積層され、この樹脂繊維製不織布の表面に第1熱可塑性樹脂フィルムが積層され、且つ無機繊維マットの他面に第2熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなる本発明の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図7】無機繊維マットの一面に樹脂繊維製不織布が積層されてなる従来の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図8】図8における無機繊維マットの一面側に樹脂エマルジョンが塗布されてなる従来の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図9】図8における無機繊維マットの他面にホットメルト接着剤層が設けられてなる従来の折板用断熱マットの一例の断面を示す模式図である。 【図10】図4の折板用断熱マットが折板用金属板の裏打ち材として貼り合わされてなる積層体の断面を示す模式図である。 【図11】図10の積層体が折板成形されてなる断熱折板の一部を模式的に示す斜視図である。 【符号の説明】 【0063】 101、102、103、104、105、106;折板用断熱マット、11;無機繊維マット、121;第1熱可塑性樹脂フィルム、121a;エンボス加工面、122;第2熱可塑性樹脂フィルム、13;樹脂繊維製不織布、14;ホットメルト接着剤層、15;樹脂エマルジョン、2;断熱折板、21;折板用金属板、21a;金属製折板。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000211857 【氏名又は名称】中川産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年7月24日(2006.7.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094190 【弁理士】 【氏名又は名称】小島 清路
【識別番号】100117134 【弁理士】 【氏名又は名称】萩野 義昇
【識別番号】100111752 【弁理士】 【氏名又は名称】谷口 直也
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| 【公開番号】 |
特開2008−6795(P2008−6795A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−201302(P2006−201302) |
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