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【発明の名称】 光学用易接着ポリエステルフィルムロールおよびハードコートフィルム
【発明者】 【氏名】池畠 良知

【氏名】多喜 博

【氏名】水野 直樹

【氏名】佐々木 靖

【氏名】黒岩 晴信

【要約】 【課題】透明性、耐候性、加工適性に優れ、かつフィルムロールの長手方向、幅方向にわたり安定した色調、および紫外線遮光性を有する光学用易接着性ポリエステルフィルムロールおよびハードコートフィルムを提供する。

【構成】紫外線吸収剤を含有する二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に易接着層を有する、厚さが25〜300μm、幅が400〜1500mm、巻長が400〜10000mである光学用易接着ポリエステルフィルムロールであって、二軸配向ポリエステルフィルムは、ヘーズ値が3%以下、380nm以下の波長での光線透過率が3%以下、b*が1.5以下であり、易接着ポリエステルフィルムロールは、カラーb*の幅方向および長手方向のバラツキが80%以下、波長380nmでの光線透過率の幅方向および長手方向のバラツキが90%以下であることを特徴とする光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線吸収剤を含有する二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に易接着層を有する、厚さが25〜300μm、幅が400〜1500mm、巻長が400〜10000mである光学用易接着ポリエステルフィルムロールであって、二軸配向ポリエステルフィルムは、ヘーズ値が3%以下、380nm以下の波長での光線透過率が3%以下、b*が1.5以下であり、易接着ポリエステルフィルムロールは、下記式(1)で定義されるカラーb*の幅方向および長手方向のバラツキが80%以下、下記式(2)で定義される波長380nmでの光線透過率の幅方向および長手方向のバラツキが90%以下であることを特徴とする光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
カラーb*のバラツキ(%)=(カラーb*の最大値と最小値の差)
/カラーb*平均値)×100 ・・・(1)
波長380nm以下の光線透過率のバラツキ(%)=
(波長380nm以下の光線透過率の最大値と最小値の差)
/波長380nm以下の光線透過率の平均値)×100 ・・・(2)
【請求項2】
少なくとも片面側の易接着層が、水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)とを主たる構成成分とし、(A)/(B)の混合比(質量比)が10/90〜95/5である樹脂組成物を含む水系塗布液を塗布、乾燥した後、少なくとも一方向に延伸して形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項3】
前記の光学用易接着ポリエステルフィルムは、全光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項4】
前記の水性ポリエステル樹脂(A)が、スルホン酸金属塩基を含有する芳香族ジカルボン酸成分をポリエステルの全ジカルボン酸成分に対し1〜10モル%含有する共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2または3記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項5】
前記の水性ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が40℃以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項6】
二軸配向ポリエステルフィルムが少なくとも3層以上の積層構造からなり、少なくとも中間層に紫外線吸収剤を含有し、380nm以下の波長での光線透過率が3%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項7】
二軸配向ポリエステルフィルムが少なくとも3層以上の積層構造からなり、一方の最外層の厚みが、全厚みの3〜15%の範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項8】
二軸配向ポリエステルフィルムの中間層にベンゾトリアゾール系又は環状イミノエステル系から選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有し、二軸配向ポリエステルフィルムが3層とも実質的に粒子を含まないことを特徴とする請求項6または7に記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項9】
FT−IRにより測定された二軸配向ポリエステルフィルムの表面層における吸光度比(X)が0.5以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
X: ブランク試料(UV吸収剤を含有しないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)の表面層のIRスペクトル(I)と本発明の試料の表層IRスペクトル(II)を測定する。次いで、(I)と(II)の差スペクトルをとり、1700〜1800cm−1での吸光度(UV吸収剤の特徴的な吸収)と(II)のIRスペクトルから得られた1505cm−1での吸収(PETの吸収)との吸光度比(1700〜1800cm/1505cm−1)をとりXを求めた。
【請求項10】
二軸配向ポリエステルフィルムの両最外層に、高分子系の紫外線吸収剤を少なくとも1種含有し、且つ、3層とも紫外線吸収剤以外には実質的に粒子を含まないことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項11】
長手方向と幅方向に対し45度をなす直角2方向の、100〜160℃における熱収縮応力値(a)が0.05MPa以上1.0MPa以下であり、その2方向の熱収縮応力値の差(b)が上記温度域で0.5MPa以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の光学用易接着ポリエステルフィルムロール。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の光学用易接着ポリエステルフィルムの易接着層の少なくとも片面に、電子線または紫外線硬化型アクリル樹脂またはシロキサン系熱硬化性樹脂からなるハードコート層を積層してなるハードコートフィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル、液晶表示板(LCD)、テレビやコンピューターのブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)等の表示画面の前面に装着して、外光の写り込み、ぎらつき、虹彩状色彩等を抑制することができる、反射防止性を付与した反射防止フィルムの基材として用いられる、耐候性に優れた光学用易接着性ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、写真用フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。近年では、液晶表示装置の部材のタッチパネル、プリズムレンズシート、バックライト等のベースフィルムやコンピューター、テレビなどの液晶表示装置、プラズマディスプレイ等のディスプレイ、装飾材等の前面にハードコートフィルム、反射防止用フィルムのベースフィルムやディスプレイの防爆用ベースフィルム等としても用いられている。
【0003】
このような光学用フィルムに用いられるベースフィルムは、ノート型PCや、PDAなど屋外で使用される用途も多く、従来のフィルムでは耐候性が劣るために、透明性が低下したり、フィルムの強度が低下するなど、長期間の使用に耐えるものではなかった。また、プラズマディスプレイにおいて、近赤外線カット層は、プラズマディスプレイから放射される近赤外線によるリモコンや伝送系光通信における誤動作を防止する目的でディスプレイの前面に設置され重要な機能を有するが、赤外線吸収層に含まれる、例えばジイモニウム化合物及び含フッ素フタロシアニン系化合物系を含む赤外線吸収色素を始めとする赤外線吸収色素は一般に太陽光線に含まれる紫外線によって分解され、その性能が長期間の使用によって低下すると言う問題があった。
【0004】
かかる課題を改善するために、フィルムに紫外線吸収剤を添加したり、紫外線吸収剤をコーティングする試みがなされている(例えば、特許文献1、2を参照)。しかしながら、ディスプレイや装飾材などの用途では、近年、さらなる大画面化(大面積化)及び高級性、低コスト化、高耐久性などが求められている。特に基材フィルムとなるポリエステルフィルムに対しては、耐候性、加工特性以外にも、基材ポリエステルフィルムの屈折率(例えば、PETでは1.62)とハードコート層の屈折率(例えば、アクリル樹脂では1.49)との差が大きいため発生すると考えられている干渉縞を低減させる手段、ロールとて使用された場合の長手方向、幅方向における色調(b*)、および紫外線遮光性のバラツキの低減が強く求められるようになってきた。
【特許文献1】特開2004−42528号公報
【特許文献2】特開2004−10875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、透明性、耐候性、加工適性に優れ、かつフィルムロールの長手方向、幅方向にわたり安定した色調、および紫外線遮光性を有する光学用易接着性ポリエステルフィルムロールおよびハードコートフィルムを提供することにある。さらに、蛍光灯下での虹彩状色彩を抑制することができる光学用易接着性ポリエステルフィルムロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することができた本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムロールおよびハードコートフィルムとは、以下の構成を有する。
【0007】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムロールとは、紫外線吸収剤を含有する二軸配向ポリエステルフィルム(以下、基材フィルムと表現する場合もある)の少なくとも片面に易接着層を有する、厚さが25〜300μm、幅が400〜1500mm、巻長が400〜10000mである光学用易接着ポリエステルフィルムロールであって、二軸配向ポリエステルフィルムは、ヘーズ値が3%以下、380nm以下の波長での光線透過率が3%以下、b*が1.5以下であり、易接着ポリエステルフィルムロールは、下記式(1)で定義されるカラーb*の幅方向および長手方向のバラツキが80%以下、下記式(2)で定義される波長380nmでの光線透過率の幅方向および長手方向のバラツキが90%以下であることを特徴とする光学用易接着ポリエステルフィルムロールである。
カラーb*のバラツキ(%)=(カラーb*の最大値と最小値の差)
/カラーb*平均値)×100 ・・・(1)
波長380nm以下の光線透過率のバラツキ(%)=
(波長380nm以下の光線透過率の最大値と最小値の差)
/波長380nm以下の光線透過率の平均値)×100 ・・・(2)
【0008】
また、本発明のハードコートフィルムとは、前記の光学用易接着ポリエステルフィルムの易接着層の少なくとも片面に、電子線または紫外線硬化型アクリル樹脂またはシロキサン系熱硬化性樹脂からなるハードコート層を積層してなるハードコートフィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムロールおよびハードコートフィルムは、紫外線吸収剤が長尺のフィルムの長手方向および幅方向にわたって均一に分散しているため、カラーb及び波長380nmにおける光線透過率の変動を低減することができるため、透明性、耐候性、加工適性に優れ、かつフィルムロールの長手方向、幅方向にわたり安定した色調、および紫外線遮光性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムは、少なくとも片面に易接着層を有し、紫外線吸収剤を含有する二軸配向ポリエステルフィルムよりなる。かかる二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、若しくはこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体が挙げられる。これらの中でも、2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムが、力学的性質、耐熱性、透明性、価格等の点から特に好適である。
【0011】
二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、優れた強度、寸法安定性、取り扱いやすさの観点から、厚みの下限が50μm以上であることが好ましい。また、厚みの上限は特に限定されないが、取り扱い性や光学用部材としての規格の面から、300μm以下であることが推奨される。
【0012】
二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとして共重合体を用いる場合、そのジカルボン酸成分としてはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリト酸及びピロメリト酸等の多官能カルボン酸等が用いられる。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール;p−キシレングリコール等の芳香族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が用いられる。
【0013】
好ましい共重合体の共重合成分の質量比率は20質量%未満である。20質量%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る傾向がある。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの原料に用いるポリエステルの固有粘度は、0.45〜0.70dl/gの範囲が好ましい。
【0014】
固有粘度が0.45dl/gよりも低いと、耐引き裂き性向上効果が悪化する傾向がある。一方、固有粘度が0.70dl/gより大きいと、濾圧上昇が大きくなり高精度濾過が困難となる傾向がある。
【0015】
本発明で用いる二軸配向ポリエステルフィルムは、後述するように、通常、フィルム状に溶融押出し、これを金属ロールでキャストして製膜する。このキャストの際に、溶融フィルムと金属ロールとの密着性を高めるべく、静電密着させることが推奨される。よって、フィルムを構成するポリエステル樹脂は、溶融比抵抗値が低いことが望ましい。具体的には、上記ポリエステル樹脂の275℃における溶融比抵抗値は、0.45×10Ω・cm以下であることが好ましく、0.30×10Ω・cm以下であることがさらに好ましい。他方、ポリエステル樹脂の溶融比抵抗値があまり低過ぎると、フィルムが静電気の影響を受け易くなり、ハンドリング性が低下する傾向にある。よって、上記ポリエステル樹脂の275℃における溶融比抵抗値は、0.10×10Ω・cm以上であることが好ましく、0.12×10Ω・cm以上であることがさらに好ましい。
【0016】
上記ポリエステル樹脂の溶融比抵抗値は、該ポリエステル樹脂中に、マグネシウム化合物およびリン化合物を含有させることで確保できる。マグネシウム化合物中のマグネシウムは、ポリエステル樹脂の溶融比抵抗値を低下させる作用を有する。このような作用を有効に発揮させると共に、マグネシウム化合物に起因する異物の生成やポリエステル樹脂の着色を抑える観点から、ポリエステル樹脂中のマグネシウム化合物量は、マグネシウム原子換算で40ppm(質量基準、以下同じ)以上、好ましくは45ppm以上であって、70ppm以下、好ましくは65ppm以下とすることが推奨される。
【0017】
リン化合物は、それ自体ポリエステル樹脂の溶融比抵抗値を低下させる作用は有しないが、マグネシウム化合物と組み合わせることにより、溶融比抵抗値の低下に寄与し得る。その理由は明らかではないが、リン化合物を含有させることにより、異物の生成を抑制し、電荷担体の量を増大させることができるのではないかと考えられる。よって、上記の作用を有効に発揮させると共に、リン化合物に起因する異物の生成を抑える観点から、ポリエステル樹脂中のリン化合物量は、リン原子換算で10ppm(質量基準、以下同じ)以上、好ましくは15ppm以上であって、55ppm以下、好ましくは50ppm以下とすることが推奨される。
【0018】
本発明では、二軸配向ポリエステルフィルム中に易滑性を付与するための粒子を含んでもよい。この場合、基材フィルムの中間層、及び最外層各層に前記粒子を含んでもよいが、透明性の観点から最外層にのみ、前記粒子を含むのが好ましい。この場合の粒子としては例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アンモニウム、リン酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、炭化珪素、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。中でもシリカがポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く高い透明性が得やすいため最も好適である。シリカの平均粒径は1〜3μmであることが好ましく、また、添加量は透明性と滑りの観点から、0.003〜0.01質量%が好ましい。
【0019】
また、更に高い透明性を確保するためには、二軸配向ポリエステルフィルム中に易滑性を付与するための粒子を100ppm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは50ppm以下であり、特に好ましくは粒子が実質的に存在させない。なお、「粒子が実質的に存在しない」とは、易接着層を積層しない二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、粒子の存在量が蛍光X線分析法の検出限界以下であることを意味する。
【0020】
二軸配向ポリエステルフィルムに易滑性付与を目的とした粒子は添加されていなくてもインラインで積層される易接着層に均一な粒径の微小粒子含有により滑り性をもたせておけば、良好な巻き取り性、キズ発生防止機能を付与できるため、ポリエステル系基材フィルム中への粒子の添加は不要である。
【0021】
かかる易接着層中に含有させる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。中でもシリカがポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く高い透明性が得やすいため最も好適である。
【0022】
本発明の光学用易接着フィルムは光学機能性フィルムの基材フィルムとして用いるため、高度な透明性を維持しながらハンドリング性に優れていることが要求される。具体的には、光学機能性フィルムの基材フィルムとして使用する場合、透明性は易接着性ポリエステルフィルムの全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上が特に好ましい。全光線透過率は高いほど透明性に優れるが(100%が理想)、ハンドリング性は低下し、工業レベルでの生産が困難となる。したがって、全光線透過率の上限値は96%とすることが好ましい。
【0023】
本発明において、二軸配向ポリエステルフィルムに含有させる紫外線吸収剤は、公知の紫外線吸収剤を使用することができる。本発明において、3層以上の積層構造からなる二軸配向積層ポリエステルフィルムの中間層に添加される紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。この場合の中間層とは、両最外層以外の少なくとも1層をさす。
【0024】
さらに、有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが本発明の規定する吸光度の範囲であれば特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。
【0025】
2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、いっそう紫外線吸収効果を改善することができる。
【0026】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチル−3′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0027】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−5,5′−ジスルホベンゾフェノン・2ナトリウム塩などが挙げられる。
【0028】
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、2,2′−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(1−又は2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(4−ビフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−m−ニトロフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−ベンゾイルフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−o−メトキシフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−シクロヘキシル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−p−(又はm−)フタルイミドフェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2′−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)2,2′−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−エチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−テトラメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−デカメチレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(4,4′−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(2,6−又は1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(2−メチル−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(2−ニトロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(2−クロロ−p−フェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2′−(1,4−シクロヘキシレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼン等が挙げられる。
【0029】
また、1,3,5−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン、および2,4,6−トリ(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ナフタレン、2,8−ジメチル−4H,6H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d′)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジメチル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d′)ビス−(1,3)−オキサジン−4,9−ジオン、2,8−ジフェニル−4H,8H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d′)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、2,7−ジフェニル−4H,9H−ベンゾ(1,2−d;5,4−d′)ビス−(1,3)−オキサジン−4,6−ジオン、6,6′−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−ビス(2−エチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−ビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−エチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−ブチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−ブチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−オキシビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−スルホニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,6′−カルボニルビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7′−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7′−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7′−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7′−エチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7′−オキシビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7′−スルホニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、7,7′−カルボニルビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7′−ビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7′−ビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7′−メチレンビス(2−メチル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、6,7′−メチレンビス(2−フェニル−4H,3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)なども、環状イミノエステル系紫外線吸収剤として使用可能である。
【0030】
前記の紫外線吸収剤は、熱分解開始温度が290℃以上であることが、二軸配向積層ポリエステルフィルムの製膜時の工程汚染を少なくする上で好ましい。熱分解開始温度が290℃未満の紫外線吸収剤を用いた場合には、紫外線吸収剤を含有するポリエステルを溶融し、シート状に回転冷却ロールに押出した際に、紫外線吸収剤の分解物が前記ロールに付着し、次いでフィルムに再付着して、フィルムにキズがつき、光学欠点の原因となりやすい。
【0031】
前記の紫外線吸収剤の含有量は、ポリエステルに対し、0.1〜4質量%が好ましく、さらには0.3〜2質量%が好ましい。この量が0.2質量%未満では紫外線劣化防止効果が小さく、4質量%を越えるとフィルムが黄変したり、ポリエステルフィルムの製膜性が低下し、好ましくない。
【0032】
次に、3層以上の積層構造からなる二軸配向積層ポリエステルフィルム基材の両最外層は、中間層に含有された紫外線吸収剤の昇華物の防止、およびブリードアウトの阻止を目的として積層される。この場合の積層比率について、最外層(片側)の全厚みに対する比率は、3〜15%が好ましく、更には5〜10%がより好ましい。最外層(片側)の比率が3%より低い場合、中間層に含まれる有機系紫外線吸収剤の昇華、およびブリードアウトを十分に防止することができず、工程の汚染、それに伴う製品への汚れ、キズ等の混入などが発生し好ましくない。また、15%より高い場合は、中間層の紫外線吸収効果が不足する場合があり好ましくない。
【0033】
この両最外層には、必ずしも紫外線吸収剤は含まれなくてもよい。しかしながら、この場合、紫外線吸収剤が含まれていない最外層が、紫外線により劣化し、時間の経過とともに赤外線吸収層及びハードコート層に対する十分な接着性が得られない場合がある。
【0034】
これらの問題を解決するため、表層へのブリードの問題がない高分子タイプの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。高分子タイプの紫外線吸収剤は公知の物質である。
【0035】
高分子タイプの紫外線吸収剤とは、紫外線吸収剤として有用な骨格を側鎖に有するポリマーである。波長350nm以下の光の透過率が5%以下となるものであれば特に限定はされないが、ポリエステル樹脂との相溶性から主にポリエステル系、アクリル系ポリマー紫外線吸収剤が好ましい。
【0036】
例えば、ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成分としてエチレングリコールおよび/または1、4−ブタンジオールを主成分とするポリエステルであって、共重合成分として一般式(I)で示されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミドと一般式(II)で示されるナフタレンジカルボン酸を含有した紫外線吸収化合物(三菱化学株式会社製 NovapexU−110),2−(2−ヒドロキシルフェニル)ベンゾトリアゾール骨格を側鎖に有するアクリル系ポリマー(BASF社製 UVA−1635)などが目的とするUVカット性能および透明性などの特性が優れ好ましい。
【0037】
【化1】


(上記一般式(I)において、Rはアルキレン基等、Xはヒドロキシ基等を示す)
【0038】
【化2】


【0039】
前記高分子タイプの紫外線吸収剤の添加量は、ポリエステルに対し、0.1〜20質量%が好ましく、さらには0.5〜15質量%が好ましい。この量が0.1質量%未満では紫外線劣化防止効果が小さく、20質量%を越えるとフィルムが黄変したり、ポリエステルフィルムの製膜性が低下し、好ましくない。基材フィルムに紫外線吸収剤を配合する方法としては、中間層に含有する紫外線吸収剤と同様に公知の方法を組み合わせて採用し得る。
【0040】
基材の二軸配向ポリエステルフィルムには、本発明の作用を阻害しない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を含有させてもよい。上記添加剤としては、例えば、帯電防止剤、熱安定剤などが挙げられる。
【0041】
本発明の易接着性ポリエステルフィルムにおいて、易接着層は水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)とを主たる構成成分とし、(A)/(B)の混合比(質量比)が10/90〜95/5である樹脂組成物を用いることが好ましい。
【0042】
この樹脂組成物は二軸配向ポリエステルフィルムの延伸工程中の熱で加熱することにより、チタンキレート化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、またはジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)が、ポリエステル樹脂(A)との架橋反応により均一な膜を生成する。すなわち、前記の金属キレート化合物または金属アシレート化合物は加熱処理することにより分解するため、易接着層中には塗布液に添加した状態では存在しない。
【0043】
そこで、熱処理後の塗布層中の金属元素(TiまたはZr)の含有量から、塗布液中の金属キレート化合物または金属アシレート化合物の含有量は、以下のように算出する。
(1)まず、塗布層中のキレートまたはアシレートの残渣から塗布液中に含有させたキレートまたはアシレートの種類を同定する。
(2)次いで、塗布層中の金属元素(TiまたはZr)の含有量から、塗布液中の前記の金属キレート化合物または金属アシレート化合物の含有量を算出する。
【0044】
塗布層の屈折率は、チタンキレート化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、またはジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)の組成比を大きくすることにより、ポリエステル樹脂(A)単独の場合よりも高くすることができる。塗布層の屈折率を高くすることは、金属微粒子を含有させることでも達成することができるが、金属微粒子を含有させることにより塗布層の延伸性およびハードコート層と基材フィルム間の密着性は低下する。
【0045】
ポリエステル樹脂(A)は、その分子鎖に水酸基やカルボキシル基等の活性部位を導入してもよいが、特に導入しなくとも高温でエステル結合部位が可逆反応を起こすため、任意の場所で架橋反応が起こり、結果として緻密な膜が得られる。
【0046】
また、アクリル樹脂で同様な架橋性を持たせるためには、架橋性官能基を導入する必要がある。しかしながら、アクリル樹脂自体の屈折率が低いために、チタンキレート化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、またはジルコニウムアシレート化合物を併用しても、本発明の塗布層と同様な屈折率に制御することは困難である。
【0047】
さらに、塗布層の構成成分であるポリエステル樹脂(A)は二軸配向ポリエステルフィルムとの密着性に関与するため、水性ポリエステル樹脂(A)と前記化合物(B)との組成比(A/B)が10/90未満の場合、基材フィルムとの密着性が低下し、かつ塗布層としての延伸性が低下し、延伸時に均一にならない。そのため、光学用として必要な透明性が低下し、易接着層の上に形成させるハードコート層との密着性が問題となる場合がある。一方、水性ポリエステル樹脂(A)と前記化合物(B)との組成比(A/B)が95/5を越える場合、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物(B)による架橋が乏しくなるとともに、屈折率も低下する。そのため、高温高湿下での密着性(耐湿熱性)が低下し、かつ蛍光灯下での虹彩状色彩の抑制効果が不十分となる。
【0048】
水性ポリエステル樹脂(A)とは、水、または水溶性の有機溶剤(例えば、アルコール、アルキルセロソルブ、ケトン系、エーテル系を50質量%未満含む水溶液)、に対して溶解または分散することが可能なポリエステル樹脂を意味する。ポリエステル樹脂に水性を付与するためには、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をポリエステル樹脂の分子鎖に導入することが重要である。前記の親水性基のなかでも、塗膜物性及び密着性の点からスルホン酸基が好ましい。
【0049】
スルホン酸基をポリエステルに導入する場合、スルホン酸化合物は、ポリエステルの全酸成分中のうち、1〜10モル%とすることがより好ましい。スルホン酸基量が1モル%未満の場合、ポリエステル樹脂が水性を示さなくなり、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)との相溶性も低下するため、均一かつ透明な塗布層が得られにくくなる。また、スルホン酸基量が10モル%を超える場合には、高温高湿下での密着性(耐湿熱性)に劣りやすくなる。
【0050】
さらに、前記の水性ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が40℃以上であることが好ましい。そのため、ポリエステル樹脂(A)の酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系を主成分とすることが好ましい。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロパングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の比較的炭素数の少ないグリコール、またはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の芳香族系が好ましい。また、ポリエステル樹脂(A)の原料として、ビフェニル等の剛直な成分、または臭素、イオウ等の屈折率の高い原子を有するジカルボン酸成分またはジオール成分をフィルムの物性が低下しない範囲で使用してもよい。ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が40℃未満であると、高温高湿下での密着性(耐湿熱性)が不十分となりやすくなる。さらに、ポリエステル樹脂(A)の屈折率も低下するために塗布層の屈折率も低下する。その結果、蛍光灯下での虹彩状色彩の抑制が不十分となりやすくなる。
【0051】
塗布層の他の主成分は、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)である。前記の水溶性とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液、に対して溶解することを意味する。
【0052】
水溶性のチタンキレート化合物としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンのアンモニウム塩、チタンベロキソクエン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
【0053】
また、水溶性のチタンアシレート化合物としては、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)等が、また水溶性のジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
【0054】
前記の塗布層(易接着層)には、前記の主成分以外の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコールなどのビニル樹脂、を本発明の効果に影響を与えない範囲で併用してもかまわない。また、架橋剤の併用も本発明の効果に影響を与えない範囲で特に限定されない。使用できる架橋剤としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、これらの付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂、多官能性エポキシ化合物、多官能性イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、多官能性アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、などが挙げられる。
【0055】
本発明において、塗布層形成のために使用する塗布液は、水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)と、水系溶剤から主としてなる水系塗布液である。上記水系塗布液をポリエステルフィルム表面に塗布する際には、フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を適量添加することが好ましい。
【0056】
また、水系塗布液中には、ハンドリング性、帯電防止性、抗菌性など、他の機能性をフィルムに付与するために、無機及び/または耐熱性高分子粒子、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの添加剤を含有させることができる。
【0057】
塗布液に用いる溶剤は、水以外にエタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類を、全塗布液に対し50質量%未満の範囲で混合しても良い。さらに、10質量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。但し、塗布液中のアルコール類とその他の有機溶剤との合計量は、50質量%未満とすることが好ましい。
【0058】
本発明のハードコートフィルムは、光学用易接着ポリエステルフィルムに設けた易接着層の少なくとも片面に、電子線または紫外線硬化型アクリル樹脂またはシロキサン系熱硬化性樹脂からなるハードコート層を設けることにより得ることができる。
【0059】
電子線または紫外線により硬化する樹脂として、アクリレート系の官能基を有するものであり、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を含有するものが使用できる。
【0060】
但し、紫外線硬化型樹脂の場合には、前記の樹脂中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチラウムモノサルファイド、チオキサントン類、また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。
【0061】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムには、前述のように易接着層が積層される。前記の易接着層の樹脂としては、例えば共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂、アクリルグラフトポリエステル樹脂などが挙げられ、少なくとも1つ以上を使用することが好ましい。なかでも、共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる樹脂、スチレン−マレイン酸グラフトポリエステル樹脂が優れた接着性を有し特に好ましい。易接着層の形成に用いる塗布液調整について以下に共重合ポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂からなる塗布液の一例について説明する。
【0062】
本発明の易接着層に用いる共重合ポリエステル系樹脂とは分岐したグリコール成分を構成成分とする。ここで言う分岐したグリコール成分とは例えば2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、及び2、2−ジ−
n−ヘキシル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
【0063】
上記の分岐したグリコール成分は全グリコール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有される。上記化合物以外のグリコール成分としてはエチレングリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4シクロヘキサンジメタノールなどを用いても良い。
【0064】
共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有される、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸およびイソフタル酸が最も好ましい。少量であれば他のジカルボン酸;ジフェニルカルボン酸及び2,6−ナルタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸を加えて共重合させてもよい。
【0065】
上記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、例えばスルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルフォフェノキシ)イソフタル酸及びその塩類等を挙げることができる。
【0066】
本発明の易接着層に用いるポリウレタン樹脂とは例えばブロック型イソシアネート基を含有する樹脂であって、末端イソシアネート基を親水性基で封鎖(以下ブロックと言う)した、熱反応型の水溶性ウレタンなどが挙げられる。上記イソシアネート基のブロック化剤としては、重亜硫酸塩類及びスルホン酸基を含有したフェノール類、アルコール類、ラクタム類オキシム類及び活性メチレン化合物類等が挙げられる。ブロック化されたイソシアネート基はウレタンプレポリマーを親水化あるいは水溶化する。フィルム製造時の乾燥あるいは熱セット過程で、上記樹脂に熱エネルギーが与えられると、ブロック化剤がイソシアネート基からはずれるため、上記樹脂は自己架橋した編み目に混合した水分散性共重合ポリエステル樹脂を固定化するとともに上記樹脂の末端基等とも反応する。塗布液調整中の樹脂は親水性であるため耐水性が悪いが、塗布、乾燥、熱セットして熱反応が完了すると、ウレタン樹脂の親水基すなわちブロック化剤がはずれるため、耐水性が良好な塗膜が得られる。
【0067】
上記ブロック化剤の内、熱処理温度、熱処理時間が適当で、工業的に広く用いられるものとしては重亜硫酸塩類が最も好ましい。
【0068】
上記樹脂において使用される、ウレタンプレポリマーの化学組成としては(1)分子内に2個以上の活性水素原子を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは分子内に少なくとも2個の活性水素原子を有する分子量が200〜20,000の化合物、(2)分子内に2個以上のイソシアネート基を有する、有機ポリイソシアネート、あるいは、(3)分子内に少なくとも2個活性水素原子を有する鎖伸長剤を反応せしめて得られる、末端イソシアネート基を有する化合物である。
【0069】
上記(1)の化合物として一般に知られているのは、末端又は分子中に2個以上のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基あるいはメルカプト基を含むものであり、特に好ましい化合物としては、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルエステルポリオール等が挙げられる。
【0070】
ポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレンオキシド及び、プロピレンオキシド等アルキレンオキシド類、あるいはスチレンオキシドおよびエピクロルヒドリン等を重合した化合物、あるいはそれらのランダム重合、ブロック重合あるいは多価アルコールへの付加重合を行って得られた化合物がある。ポリエステルポリオール及びポリエーテルエステルポリオールとしては、主として直鎖状あるいは分岐状の化合物が挙げられる。コハク酸、アジピン酸、フタル酸及び無水マレイン酸等の多価の飽和あるいは不飽和カルボン酸、あるいは該カルボン酸無水物等と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の多価の飽和及び不飽和のアルコール類、比較的低分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類、あるいはそれらアルコール類の混合物とを縮合することにより得ることができる。
【0071】
さらにポリエステルポリオールとしてはラクトン及びヒドロキシ酸から得られるポリエステル類、またポリエーテルエステルポリオールとしては、あらかじめ製造されたポリエステル類にエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド等を付加せしめたポリエーテルエステル類も使用することができる。上記(2)の有機ポリイソシアネートとしては、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるい
はこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
【0072】
上記(3)の少なくとも2個の活性水素を有する鎖伸長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。上記(3)のウレタンポリマーを合成するには通常、上記鎖伸長剤を用いた一段式あるいは多段式イソシアネート重付加方法により、150℃以下、好ましくは70〜120℃の温度において、5分ないし数時間反応させる。活性水素原子に対するイソシアネート基の比は、1以上であれば自由に選べるが、得られるウレタンプレポリマー中に遊離のイソシアネート基が残存することが必要である。
【0073】
さらに遊離のイソシアネート基の含有量は10質量%以下であればよいが、ブロック化された後のウレタンポリマー水溶液の安定性を考慮すると、7質量%以下であるのが好ましい。
【0074】
得られた上記ウレタンプレポリマーは、好ましくは重亜硫酸塩を用いてブロック化を行う。重亜硫酸塩水溶液と混合し、約5分〜1時間、よく攪拌しながら反応を進行させる。反応温度は60℃以下とするのが好ましい。その後、水で希釈して適当な濃度にして、熱反応型水溶性ウレタン組成物とする。該組成物は使用する際、適当な濃度および粘度に調製するが、通常80〜200℃前後に加熱すると、ブロック剤の重亜硫酸塩が解離し、活性なイソシアネート基が再生するために、プレポリマーの分子内あるいは分子間で起こる重付加反応によってポリウレタン重合体が生成したり、また他の官能基への付加を起こす性質を有するようになる。
【0075】
上記に説明したブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)の1例としては、第一工業製薬(株)製の商品名エラストロンが代表的に例示される。エラストロンは、重亜硫酸ソーダによってイソシアネート基をブロックしたものであり、分子末端に強力な親水性を有する、カルバモイルスルホネート基が存在するため、水溶性となっている。
本発明で使用される、分岐したグリコール成分を含有する共重合ポリエステル樹脂(A)およびブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)を混合して塗布液を調製する場合、樹脂(A)と樹脂(B)の質量比は、(A)/(B)=90/10〜10/90が好ましく、更に好ましくは(A)/(B)=80/20〜20/80の範囲である。固形分質量に対する上記樹脂(A)の割合が10%未満では、基材フィルムへの塗布性が不適で、表面層と該フィルムとの間の接着性が不十分となる。樹脂(A)と樹脂(B)の質量比(A/B)が10%未満の場合には、UV硬化タイプのハードコートにおいては実用性のある接着性が得られにくくなる。
【0076】
本発明で使用される水性塗布液には、熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例えば無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質が用いられる。また水溶液のpHを調節するために、アルカリ性物質あるいは酸性物質を添加してもよい。
【0077】
上記水性塗布液を基材フィルム表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を上げ、塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン性活性剤およびノニオン性の界面活性剤を必要量添加して用いることができる。塗布液に用いる溶剤は、水の他にエタノール、イソプロピルアルコールおよびベンジルアルコール等のアルコール類を、全塗布液に占める割合が50質量%未満となるまで混合してもよい。さらに、10質量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。ただし、塗布液中、アルコール類とその他の有機溶剤との合計は、50質量%未満とする。
【0078】
有機溶剤の添加量が50質量%未満であれば、塗布乾燥時に乾燥性が向上するとともに、水のみの場合と比較して塗布膜の外観向上の効果がある。50質量%を越えると、溶剤の蒸発速度が速く塗工中に塗布液の濃度変化が起こり、粘度が上昇して塗工性が低下するために、塗布膜の外観不良を起こす恐れがあり、さらには火災などの危険性も考えられる。
【0079】
塗布液の溶液粘度は1.0PaS(パスカルセック)以下が好ましい。1.0PaS(パスカルセック)以上ではスジ状の塗布厚み斑が発生しやすい。
【0080】
本発明では基材フィルム中に易滑性付与を目的とした滑剤を添加しないため、上記水性塗布液には、粒子を添加しフィルム表面に適度な突起を形成するのが好ましい。かかる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。中でもシリカがポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く高い透明性が得やすいため最も好適である。
【0081】
上記水性塗布液に添加する粒子の平均粒径は、通常1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下である。平均粒径が1.0μmを超えるとフィルム表面が粗面化し、フィルムの透明性が低下する傾向がある。また、上記塗液中に含まれる粒子含有量は、通常、塗布、乾燥後で塗布膜の粒子含有量が60質量%以下、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下になるよう添加する。塗布膜の粒子含有量が60質量%を超えるとフィルムの易接着性が損なわれることがある。
【0082】
フィルム中に、上記粒子を2種類以上配合してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよい。いずれにしても、粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記した範囲を満足することが好ましい。上記塗布液を塗布する際には塗布液中の粒子の粗大凝集物を除去するために塗布直前に塗布液が精密濾過されるように濾材を配置する必要がある。
【0083】
本発明で用いられる塗布液を精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下(初期濾過効率95%)であることが必要である。25μm以上では粗大凝集物が十分去できず、除去できなかった多くの粗大凝集物は塗布、乾燥後一軸延伸、あるいは二軸延伸した際に易接着層に粒子の粗大凝集物が広がって100μm以上の凝集物として認識され結果として多くの光学欠点が発生する。
【0084】
塗布液を精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。
塗布液を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
【0085】
上記水性塗布液の組成物には、その効果を消失しない限りにおいて帯電防止剤、顔料、有機フィラーおよび潤滑剤等の種々の添加剤を混合してもよい。さらに、塗布液が水性であるため、その寄与効果を消失しない限りにおいて、性能向上のために、他の水溶性樹脂、水分散性樹脂およびエマルジョン等を塗布液に添加してもよい。
【0086】
本発明に用いる赤外線吸収層はプラズマディスプレイなどから放出されるような、近赤外領域を充分吸収しうる性能を有していれば特に限定はされないが、例えば特開2002−226827号公報記載の赤外線吸収色素を用いる方法が挙げられる。
【0087】
すなわち、下記化学式(3)で示される、近赤外線吸収化合物の前駆体(中性分子化合物)を文献の方法(Shigeru Sasaki and Masahiko Iyoda,Chemistry Letters,1995年)により合成する。
【0088】
【化3】


(式中、−O−n−Buはn−ブトキシ基の略である。)
【0089】
次に、当該前駆体(1質量部)をアセトン(20質量部)に溶解し、さらに当該前駆体対して2倍モル量のヘキサフルオロアンチモン酸銀を加えた。室温で2時間攪拌したのち、析出した銀をろ別し、ろ液をエーテルで希釈し、析出した固体をろ取し、これをエーテルおよびヘキサンで洗浄することにより、下記化学式(4)で示される近赤外線吸収化合物(4)(0.5質量部)を得た。
【0090】
【化4】


(式中、−O−n−Buはn−ブトキシ基の略である。)
【0091】
当該近赤外線吸収化合物を、塩化メチレンに溶解して10mg/Lの溶液を調製した。調製液をセル巾が1cmの石英セルに入れ、分光光度計により透過率を測定した。当該近赤外線吸収化合物は、吸収ピーク波長が882nm±30nmの範囲に存在しており、表1に示されるように、波長882nmにおける近赤外領域の吸収が大きく、かつ可視光領域の550nmにおける透過率が高いという結果が得られる。
【0092】
近赤外線吸収フィルターの製造において、近赤外線吸収層の基材への積層方法としては特に限定されないが、コーティング法が厚み均一性やコストの点で好ましい。
【0093】
コーティング法の場合、近赤外線吸収化合物と高分子樹脂が溶解できる溶剤にこれらを溶解させてコーティングを行う。この時の溶剤としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、塩化メチレン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド、水などが挙げられ、1つまたは2つ以上併用してもよく、またこれらに限定されるものではない。
【0094】
コーティング法を具体的に説明すると、上記溶剤に、高分子樹脂および少なくとも1つの近赤外線吸収化合物を添加して溶解させ、これを、例えば基材上に高速でコーティングできるグラビアコート法、リバースコート法、キスロールコート法、ロールコート法などを用いて塗布することによって行うことができ、当該方法は加工性や生産性の点も優れている。近赤外線吸収層中の近赤外線吸収化合物は、高分子樹脂に溶解した状態であるのが好ましい。
【0095】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルム基材の片面のみに近赤外線吸収層を積層させた構成を有する近赤外線吸収フィルターは、例えば、基材上に上記の方法で1層目の近赤外線吸収層を設けた後、さらにコーティング法などにより2層目以降の近赤外線吸収層を設けることにより得ることができる。1層目と2層目以降の近赤外線吸収層を形成するのに用いる、溶剤、バインダーおよび方法は同じであっても異なっていてもよい。2層目以降の近赤外線吸収層をコーティング法により設ける場合、層の混合を避けるため、1層目の近赤外線吸収層を乾燥後に設けるのが好ましい。
【0096】
近赤外線吸収層には、さらに慣用な各種添加剤が含有されていても良い。当該添加剤として、例えば、帯電防止剤、安定剤等が挙げられるが、透明性の点から、易滑性付与を目的とした不活性粒子を実質上含有しないことが好ましい。
【0097】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムを基材として用いたプラズマディスプレイパネル用フィルターは、プラズマディスプレイから放射される不要な近赤外線を遮断する用途に用いることができ且つ、優れた耐久性を有する。
【0098】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムは、下記式(1)で定義されるカラーb*の幅方向および長手方向のバラツキが80%以下、さらには70%以下であることが好ましい。また、下記式(2)で定義される380nm以下の波長での光線透過率の幅方向および長手方向のバラツキが90%以下、さらには70%以下であることが好ましい。
【0099】
カラーb*のバラツキ(%)=(カラーb*の最大値と最小値の差)
/カラーb*平均値)×100・・・(1)
【0100】
波長380nm以下の光線透過率のバラツキ(%)=
(波長380nm以下の光線透過率の最大値と最小値の差)
/波長380nm以下の光線透過率の平均値)×100・・・(2)
【0101】
カラーb*および波長380nm以下の光線透過率のバラツキを上記の範囲とするためには、(a)使用する紫外線吸収剤の種類、(b)その含有量、(c)含有量のバラツキ、(d)基材フィルムの厚み斑が影響を及ぼすため、これらを適正なもの、範囲とすることが重要である。
【0102】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムは、FT−IRにより測定された基材ポリエステルフィルム表層の吸光度比(X)が0.5以下、さらには0.3以下であることが好ましい。この吸光度比(X)が0.5より大きい場合は、表層部に環状イミノエステル系紫外線吸収剤(サイテック社製、CYASORB UV−3638;(2,2′−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン))がブリードアウトしており、工程汚染、製品への汚れ、キズの混入などが発生し好ましくない。
【0103】
前記のポリエステルフィルム表層の吸光度比(X)は、下記の手順で測定する。
まず、ブランク試料(UV吸収剤を含有しないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)の表層のIRスペクトル(I)と本発明の試料の表層IRスペクトル(II)を測定する。次いで、(I)と(II)の差スペクトルをとり、1700〜1800cm−1での吸光度(UV吸収剤の特徴的な吸収)と(II)のIRスペクトルから得られた1505cm−1での吸収(PETの吸収)との吸光度比(1700〜1800cm−1/1505cm−1)をとりXを求めた。
【0104】
本発明のフィルムは、加工時の平面性、平坦性を改善するにあたり、従来の縦方向や横方向の特性以外に、縦および横方向の45°をなす方向の特性が極めて重要であることを見出し、加工時の熱特性、熱収縮応力値を特定の範囲内とすることで上記課題を解決し、本発明を完成するに至った。
詳しくは、100〜160℃における長手方向と幅方向とに45度をなす直角2方向の熱収縮応力値が0.05MPa以上1.0MPa以下、さらには0.2〜0.8MPaであることがより好ましい。上記値が0.05MPa未満である場合、収縮応力が働かず加工後の仕上がり感が悪くなる。1.0MPaより大きい場合には、収縮応力が高すぎるため、平面性が悪くなる。
【0105】
また、その2方向の熱収縮応力値の差が上記温度域で0.5Mpa以下、さらには0.4MPa以下であることがより好ましい。この二方向の熱収縮応力値の差が0.5MPaより大きい場合、加工時にフィルムを左右で均一化できず、部分的な歪を発生させる。
【0106】
次に、本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記す)のペレットを基材フィルムの原料とした例について詳しく説明するが、当然これに限定されるものではない。
【0107】
該ペレットを移送するには通常、所定の配管を用いて空送で行うがこの際の空気は埃混入防止のため、HEPAフィルターを用い、清浄化された空気を用いることが好ましい。
この際に用いるHEPAフィルターは公称濾過精度0.5μm以上の埃を95%以上カットの性能を有するフィルターを用いるのが好ましい。
【0108】
二軸配向ポリエステルフィルム(基材フィルム)中に紫外線吸収剤を配合する方法としては、例えば、予め混練押出機を用い、乾燥させた紫外線吸収剤とポリエステル原料とをブレンドしマスターバッチを作製しておき、基材フィルム製膜時に所定の該マスターバッチとポリエステル原料を混合する方法などによって配合することができる。
【0109】
本発明のように、カラーb*値、380nmでの光線透過率のバラツキを最小限とするためには、上記マスターバッチを作成する際に、十分乾燥させた微粉末状の紫外線吸収剤と、十分乾燥・結晶化させたペレット状のポリエステル原料を粉砕機で粉砕した微粉末状のものとをブレンドし、押出機で混練することが好ましい。
【0110】
ペレット状のポリエステル原料を粉砕機させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば高速回転式粉砕機、ロールミル、ジェットミル等を挙げることができる。また、ドライアイス等を用い、冷凍後粉砕する方法を用いても良い。
【0111】
得られたポリエステル微粉末は、微粉末であれば特に限定されるものではないが、ポリエステル組成物中の紫外線吸収剤の分散性、溶融成形時の熱安定性の点から、JIS Z8801規格の標準網ふるいにおいて、目開きが3.35mm以下の金属製ふるい、より好ましくは目開きが2.00mm以下の金属製ふるい、さらに好ましくは、目開きが1.00mm以下の金属製ふるい、特に好ましくは目開きが0.85mm以下の金属製ふるいを用いて、選別されることが好ましい。ポリエステル微粉末の粒度がJIS標準ふるいでふるい目開きが3.35mmを越えると、得られるポリエステル組成物中の紫外線吸収剤の分散性に劣る場合や、溶融成形時の熱安定性に劣り、例えば溶融製膜でフィルムを得る場合にはフィルム破れが発生するなど好ましくない場合がある。
【0112】
上記のようにして得られたポリエステル微粉末と、微粉末状の紫外線吸収剤とを混合機を用いて混ぜ合わせる。ポリエステル微粉末と、微粉末状の紫外線吸収剤とを混合する方法は、特に限定されるものではないが、V型およびダブルコーン型の容器回転型混合機、リボン型およびスクリュー型の混合羽根で攪拌する容器固定型混合機、気流で攪拌を行うエアーブロー式混合機等を挙げることができる。このうち、エアーブロー式混合機が混合精度の面から考え有用な方法である。
【0113】
この時、マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は紫外線吸収剤を均一に分散させ、且つ経済的に配合するために5〜30質量%の濃度が好ましく、更には10〜20質量%にするのが好ましい。マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は5質量%未満であるとマスターバッチを作成する際のコストが上昇するので好ましくない。また、30質量%より高い場合には、マスターバッチ自身の粘度が低下する場合や、紫外線吸収剤を含まない樹脂ペレットと混合した場合に、紫外線吸収剤が均一に分散しない場合があり、好ましくない。
【0114】
次に、得られたポリエステル微粉末と微粉末状の紫外線吸収剤の混合物を混練押出機を用いマスターバッチを作成する。固有粘度が低下しないように窒素気流下、あるいは真空下で単軸、もしくは二軸押出機に供給し、押出し温度はポリエステル原料の融点以上、290℃以下の温度で1〜15分間で押出すのが好ましい。290℃以上では紫外線吸収剤の減量が大きく、また、マスターバッチの粘度低下が大きくなる。押し出し温度1分以下では紫外線吸収剤の均一な混合が困難となる。この時、必要に応じて安定剤、色調調整剤、帯電防止剤を添加しても良い。スクリューのせん断速度は50秒−1以上が紫外線吸収剤の分散性の観点から見て好ましい。また、必要に応じて公知のフィルター、例えば焼結金属、多孔性セラミックス、金網などを用い異物の除去を行ってもよい。
【0115】
なお、得られたマスターバッチペレットはふるいにかけ、ペレットサイズを混合する他のペレットと近いサイズとすることが、カラーb*値、380nmでの光線透過率のバラツキをおさえるために大変重要である。
【0116】
次に、PETのペレットと紫外線吸収剤とポリエステル原料とをブレンドしたマスターバッチを所定の割合で混合する。上記PETのペレット、及び、紫外線吸収剤とポリエステル原料とをブレンドしたマスターバッチは、易滑性付与を目的とした粒子を実質的に含有していないペレットである。混合した原料ペレットを十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し、シート状に溶融押し出しし、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸PETシートを製膜する。この際、押出機熔融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280〜290℃、その後のポリマー管、フラットダイまでの樹脂温度は270〜280℃とすることがUV吸収剤のダイス出口での昇華、引取ロールの汚染を防止するために好ましい。また、溶融樹脂が約280℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。
【0117】
高精度濾過を行う上で、熔融樹脂の温度が280℃より低い場合、濾圧が上昇するため、押出し量を下げる等の対応が必要となり、生産性が低下する。さらに、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、20μm以下、特に15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μmを超えると、20μm以上の大きさの異物が十分除去できない。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μm以下の濾材を用いて溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、粗大粒子による突起の少ないフィルムを得る上で重要な工程である。
【0118】
原料ポリマー中に存在する異物、及びUV吸収剤が昇華しロールを汚染し、それらがフィルムに付着したものが存在すると製膜時の延伸工程でこの異物の周囲でポリエステル分子の配向が乱れ、光学的歪みが発生する。この光学的歪みのため、実際の異物の大きさよりもかなり大きな欠点として認識されるため、著しく品位を損なう。例えば、大きさ20μmの異物でも、光学的には50μm以上の大きさとして認識され、さらには100μm以上の大きさの光学欠点として認識される場合もある。高透明なフィルムを得るためには、基材フィルム中に易滑性を付与するための粒子を含有させないか、透明性を阻害しない程度に少量しか含有させないことが望ましいが、粒子含有量が少なくフィルムの透明性が高くなるほど、微小な異物による光学欠点はより鮮明となる傾向にある。また、フィルムが厚手になるほど、フィルム単位面積当たりの異物の含有量が薄手のフィルムより多くなる傾向にあり、一層この問題は大きくなる。
【0119】
一方、フィルムの透明性を高くするために、基材フィルム中に粒子を含有させないか、透明性を阻害しない程度に少量しか含有させないと、フィルムの易滑性が不十分となりハンドリング性が悪化する。そのため、易接着層に易滑性付与を目的とした粒子を添加する必要があり、これらの粒子は透明性を確保するために可視光線の波長以下の極めて平均粒径が小さい粒子を用いる必要がある。しかし、これらの微細粒子は粗大凝集物となりやすく、この粗大凝集物を含有する易接着層を基材フィルムに積層すると光学欠点の原因となる。
【0120】
前記基材フィルム表面に凸部の高さが1μm以上で最大径が20μm以上の形状を有し、凸部に隣接している所から100μm以内の凹部の深さが0.5μm以上の異物が、10個/m以下であることが好ましく、更には5個/mであることが好ましい。
【0121】
次に、最外層用としてPETのペレット単独、中間層用として紫外線吸収剤を含有したマスターバッチとPETのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、両外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層を積層し、口金から3層のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合の積層比率について、最外層(片側)の全厚みに対する比率は3〜15%が好ましく、更には5〜10%がより好ましい。最外層(片側)の比率が3%より低い場合、中間層に含まれる有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを十分に防止することができず、工程汚染、製品への汚れ、キズの混入などが発生し好ましくない。また、15%より高い場合は、中間層の紫外線吸収効果が不足する場合があり好ましくない。
【0122】
また、最外層の紫外線劣化防止を目的として、最外層にブリードの問題がない公知の高分子タイプの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。
【0123】
次に、未延伸シートの長手方向、幅方向への延伸であるが、同時二軸延伸で行うことが好ましい。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常80〜120℃、好ましくは90〜110℃で長手方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で3〜40倍、好ましくは5〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、180〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
【0124】
上述の延伸方式を使用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。「リニアモーター方式」とは、リニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整することができるため、この方式を採用することが好ましい。
【0125】
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上に分割して行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンター内で行ってもよいし、複数のテンターを併用してもよい。
【0126】
本発明において、同時二軸延伸により該発明のポリエステルフィルムを延伸することによれば、従来、逐次延伸では面積倍率が大きくなる場合において、延伸時に破断する等の不具合を生じる場合があったが、同時二軸延伸においては延伸追従性が良好であるため、フィルム長手方向および幅方向において、逐次二軸延伸よりもさらに面積倍率を大きくすることが可能なため、さらにフィルム厚みむらの小さいポリエステルフィルムを製造することが可能となる。また、キズなどの光学欠点を生じない点、熱収縮率を低減できる点、ボーイングを低減できる点などの利点もあるので好ましい。
【0127】
同時二軸延伸の場合、未延伸フィルム上に後に記述する方法で塗布層を設けてもよいし、長手方向もしくは幅方向に一軸延伸したフィルム上に塗布層を設けた後に長手方向、幅方向に同時二軸延伸を行っても良い。
【0128】
また、逐次二軸延伸で長手方向、幅方向の延伸を行ってもよい。
得られた未延伸フィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向(縦方向:積層フィルム製造時の走行方向)に2.5〜5.0倍延伸し、一軸配向フィルムを得る。長手方向の延伸は2段以上の多段延伸で行うことが好ましく、長手方向の1段目の延伸を、(ポリエステル のガラス転移温度Tg+15)〜(Tg+40)℃の範囲の温度で、1.3〜2.0倍延伸し、次いで(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲の温度で長手方向の2段目以降の延伸を、2.2〜3.2倍の範囲に延伸することが好ましい。なお、この一軸延伸を行う工程を「縦延伸工程」という場合がある。
【0129】
該フィルムの表面に存在する深さ1μm以上、長さ3mm以上のキズが100個/m以下である。好ましくは、上記キズの個数は30個/m以下、さらに好ましくは10個/m以下であることが好ましい。上記キズの個数をこのような範囲とすれば、光学欠点による問題が生じない。
【0130】
勿論、本発明のフィルムにおいては、上記キズの個数は0個/mであることが最も好ましい。
【0131】
また、具体的に言えば、上記縦方向キズまたは上記横方向キズの個数が50個/m以下、好ましくは30個/m以下、より好ましくは15個/m以下、さらに好ましくは10個/m以下、特に好ましくは5個/m以下、最も好ましくは0個/mであることが推奨される。縦方向キズおよび横方向キズのいずれもが上記個数範囲を満たすことがより望ましい。
【0132】
この際、フィルムのキズの発生を防止するためには、(a)フィルム表面そのものやロール表面、特にフィルムと接触するロール表面にキズの原因となる「欠点」を発生させないこと、(b)接触するロールの表面上でフィルムが縦方向および横方向にずれないようにすることが重要である。
【0133】
上記の「欠点」とは、ロール表面に形成されるキズ、堆積物、付着物、異物などの、フィルムと接触することによりフィルムに微細なキズを発生させるすべての要因を指す。よって、これらの欠点を無くすことで、フィルム表面へのキズの発生を低減できる。上記欠点の発生を防止するためには、例えば、下記に挙げる方法を採用することができる。
【0134】
本発明のフィルム製造時に用いるロールの表面粗度をRaで0.1μm以下とする方法や、堆積物、付着物、異物などのキズ発生要因のロール表面への堆積を防止するため、縦延伸工程(以下、「MD工程」という)の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置する方法が挙げられる。
【0135】
また、フィルム製造工程におけるクリーン度をクラス1000以下(1立方フィート当たりの体積中に0.5μm以上の粒子が1000個以下)とする方法があり、特にロール周りはクラス100以下、キャスト工程で反ロール面を冷却するための送風冷却装置についてもクラス100以下のクリーンエアを使用することが好ましい。
【0136】
さらに、フィルム製造前に、研磨材を用いてロール上の欠陥を削り取る作業などによりロールの掃除を行う方法も挙げられる。また、静電気の発生によってフィルムがゴミなどを吸着し、欠点となることを避けるため、フィルムの帯電量が全工程で±1500V以下になるよう除電装置を設ける方法も挙げられる。基材フィルムのキャストから後述するテンターまでの工程はキズが主に発生し易い工程であり、この区間をコンパクトにレイアウトし、通過時間を5分以下にすることも欠点の発生抑制に寄与し得る。
【0137】
ロールについては、ロール表面に水膜を形成したり、エアフローティングタイプのロールとすることで、フィルムにロール表面の欠点が直接接触しない構造にすることができる。また、フィルムから析出するオリゴマー量を1000ppm以下とすることで、ロール表面への欠点の付着を減少させ、ロール表面の欠点を低減することができる。
【0138】
さらに、後述する延伸後の巻き取り工程において、フィルムの幅方向(横方向:積層フィルム製造時の走行方向に垂直な方向)の端部側の表面を突起付きのローラで押圧して、その部分に凹凸部を形成すると共に、該凹凸部が形成されたフィルムを巻取り機構でロール状に巻き取るよう構成し、さらに該突起付きのローラにおける突起を先窄まり状に形成し、該突起の頂部に丸みをつけ、その頂面の曲率半径を0.4mm以下に設定することで、フィルムの巻取り装置において、フィルムと欠点が接触しないようにすることもできる。
【0139】
また、ロール表面上で、フィルムがずれないようにする方法としては、例えば下記に挙げる方法が採用可能である。
【0140】
ロールを小径化すること、サクションロールの使用、静電密着、パートニップの密着装置を使用するなどしてフィルムのロールへの密着力を増大させることにより、長いキズの発生を抑えることができる。特にロールを小径化することは、フィルムのずれ量の細分化にもなり、長いキズの発生防止に寄与し得る。また、キズの多くはロール幅方向の端部に向かうほど、長さおよび頻度が増加し、ロール幅方向の端部においてはキズのない部分を得ることが困難であるため、キズの少ないロール幅方向の中央付近をトリミングすることで、キズの少ないフィルムを得ることが可能となる。
【0141】
縦方向キズまたは横方向キズの発生要因としては、夫々フィルムの縦方向または横方向での、膨張、収縮などの変形も挙げられる。これらのフィルムの変形は、主としてフィルムの温度変化によって生じる。よって、例えば、ロール表面でのフィルムの温度変化を抑制することで、こうした温度によるフィルム変形量を小さくでき、縦方向キズや横方向キズの発生を防止できる。具体的には、ロール1本当たりでのフィルムの温度変化を40℃以下、好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下、さらに一層好ましくは10℃以下、特に好ましくは5℃以下とすることが推奨される。
【0142】
ロール表面でのフィルムの温度変化を抑制する方法としては、例えば、ロール間での空中冷却、水槽を通過させる水中冷却などが挙げられる。さらに、ロール本数を多くすることにより、1本当たりのロール表面でのフィルムの温度変化を低減できる。好ましくは、MD工程でのロール数を10本以上とするのがよい。
【0143】
また、複数のロールの相対的な速度の関係を、フィルムの温度や張力による変形量に対して最も近い速度プロファイルに設定することでフィルムの縦方向のズレを低減することができる。
【0144】
さらに、後述する接着性改質樹脂層形成用の塗布液の塗布工程において、乾燥条件を、ドライヤー区間の初期で乾燥を完了し、出口にかけて冷却することにより、ドライヤー出口でのフィルム温度を40℃以下として、温度変化によるフィルムのずれを低減することもできる。
【0145】
フィルム走行時の張力は、低すぎると把持力が下がってずれが発生し、高すぎても応力変形が大きくなってずれが発生するため、最適な張力範囲である4.9〜29.4MPaになるように駆動ロール速度と張力調整手段によって調節することが好ましい。また、製造時の使用温度におけるフィルムとロール間の摩擦係数を0.2以上とすることでロール表面でのフィルムのずれを抑制することができる。
【0146】
さらに、フリーロールについては特殊ベアリングを採用し、19.6N以下の回転抵抗とすることが好ましい。駆動ロールについては回転斑を0.01%以下に制御する。
【0147】
一軸延伸後のフィルムには、フィルムを搬送するために縦方向に応力がかかり、さらにこの直交方向にポアソン比と弾性率に見合った変形応力が発生するため、横方向のずれが生じる。この応力を下げるため、およびフィルムが持つ熱収縮応力を下げるため、フィルム物性に悪影響を与えない範囲で低配向化させることが好ましい。具体的には、X軸方向の屈折率差[(一軸延伸フィルムのX軸方向の屈折率)−(未延伸フィルムのX軸方向の屈折率)]が0.01〜0.12となる低配向の一軸延伸フィルムとすることが推奨される。
【0148】
その後易接着層を塗布・乾燥を行い、次いで、得られたフィルムをテンターに導き、一段目の延伸方向と直交する幅方向に延伸を行う。幅方向の延伸温度は90〜210℃、好ましくは130〜190℃である。幅方向の延伸温度が90℃未満では、フィルムが破断しやすく好ましくない。また、200℃を超えると得られたフィルムの平面性が悪くなり好ましくない。幅方向の延伸倍率は2.5〜5.0倍、好ましくは3.3〜4.6である。幅方向の延伸倍率が2.5倍未満では、得られたフィルムの厚み斑が悪くなるため好ましくない。また、5.0倍を超えると、延伸において破断の頻度が多くなり好ましくない。
【0149】
該発明のフィルムを得るには、幅方向の延伸温度を150〜180℃とすることが好ましい。該発明のフィルムを得るには、延伸時にフィルム幅方向に温度差をつけ、フィルムの中央部と端部での延伸倍率が実質的に異なるようにして延伸する方法が好ましい。具体的には、延伸工程において、幅方向端部(全幅の20%程度)となる位置のテンター内に各種ヒーターを設置し、フィルム中央と端部とで10〜50℃の温度差をつけ延伸する方法が挙げられる。
【0150】
引き続き、熱固定処理ゾーンに導き、150℃以上250℃以下で1〜120秒間の熱固定処理を行い、結晶配向を完了させる。好ましくは200℃以上240、10〜100秒である。熱固定処理温度が150℃未満ではハードコートや赤外線吸収層の密着性が悪くなったり、また赤外線吸収層塗工工程での乾燥工程で熱がかかった場合、応力の発生が幅方向で差異が大きくシワなどが発生し、平面性が悪化し好ましくない。熱固定処理温度が250℃を超えるとフィルムの透明性が悪化したり、破断の頻度が多くなるので好ましくない。
【0151】
該発明のフィルムを得るには、延伸後の熱固定処理時にフィルム幅方向に温度差をつけ、フィルムの中央部と端部での延伸倍率を実質的に異なるようにして延伸する方法が好ましい。具体的には、熱固定領域中に冷却領域と加熱領域とを隣接して設ける、または熱処理工程において、幅方向端部となる位置のテンター内に各種ヒーターを設置し、フィルム中央と端部とで30〜80℃の温度差をつけ熱固定し、実質的に0.3〜1.0倍の延伸倍率差をつけることが重要である。また、この熱固定処理工程中で、幅方向及び/又は長手方向に3〜10%の弛緩処理を施す。特に長手方向の弛緩処理を行うことが、該発明のフィルムを得るには有効な手段である。
【0152】
このフィルム製造工程の任意の段階で、PETフィルムの少なくとも片面に、前記の水系塗布液を塗布する。塗布層はPETフィルムの両面に形成させてもよい。水系塗布液中の樹脂組成物の固形分濃度は、2〜35質量%であることが好ましく、特に好ましくは4〜15質量%である。
【0153】
この水系塗布液をPETフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられ、これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
【0154】
本発明においては、塗布層は、未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムに前記水系塗布液を塗布、乾燥した後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を行って形成させることが重要である。前記塗布液が塗布されたフィルムは、横延伸及び熱処理のためにテンターに導かれ、加熱される。その際、キレート化合物またはアシレート化合物は、熱架橋反応により安定な架橋塗布層を形成することができる。それに対して、二軸延伸PETフィルムに前記塗布液を塗布、乾燥させて得た塗布層の場合には、熱処理による基材フィルムの透明性の悪化、物性の変動を小さくするため、熱量を抑制せざるを得ない。そのため、熱架橋反応を行うのに熱量が不足し、均一な架橋塗布層を形成することができない。
【0155】
本発明において、最終的に得られる塗布層の塗布量は、0.02〜0.5g/mであることが好ましい。塗布層の塗布量が0.02g/m未満であると、接着性に対する効果がほとんどなくなるばかりでなく、蛍光灯下での虹彩状色彩の抑制効果が不十分となりやすくなる。一方、塗布量が0.5g/mを越える場合も、蛍光灯下での虹彩状色彩の抑制効果が不十分となりやすくなる。
【0156】
本発明で得られた易接着性ポリエステルフィルムの塗布層は、電子線または紫外線硬化型アクリル樹脂またはシロキサン系熱硬化性樹脂からなるハードコート層に対して良好な接着性を有するだけでなく、光学用途以外でも良好な接着強度が得られる。具体的には、写真感光層、ジアゾ感光層、マット層、磁性層、インクジェットインキ受容層、ハードコート層、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、印刷インキやUVインキ、ドライラミネートや押し出しラミネート等の接着剤、金属あるいは無機物またはそれらの酸化物の真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、プラズマ重合等で得られる薄膜層、有機バリアー層等が挙げられる。
【0157】
(光学用積層ポリエステルフィルムの製造)
本発明の光学用積層ポリエステルフィルムの製造方法について、PETフィルムを例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。
【0158】
前記の易接着性ポリエステルフィルムの少なくとも片面の塗布層に、前記の電子線または紫外線硬化型アクリル樹脂またはシロキサン系熱硬化性樹脂を含むハードコート層形成用塗布液を塗布する。塗布液は特に希釈する必要はないが、塗布液の粘度、濡れ性、塗布層の厚み等に応じて、有機溶剤により希釈してもよい。ハードコート層は、前記の易接着ポリエステルフィルムの少なくとも片面の塗布層上に前記ハードコート層形成用塗布液を塗布後、必要に応じて乾燥させた後、硬化型樹脂の硬化条件に合わせて、電子線または紫外線を照射し、及び加熱することにより塗布層を硬化させることにより、ハードコート層を形成する。
【0159】
本発明において、ハードコート層の厚みは、1〜15μmであることが好ましい。ハードコート層の厚みが1μm未満であると、ハードコート層としての耐薬品性、耐擦傷性、防汚性等に対する効果がほとんどなくなる。一方、厚みが15μmを越えるとハードコート層のフレキシブル性が低下し、亀裂等が発生する可能性が増加する。
【0160】
本発明で得られた光学用積層ポリエステルフィルムは、広範囲の用途に使用できるが、特にさらにハードコート層の上に反射防止層を形成することにより、良好な反射防止フィルムとすることができる。このような反射防止層の形成には、高屈折率のZnO、TiO、CeO、SnO、ZrO等または低屈折率のMgF、SiO等の無機質材料や、金属材料を単層または多層設けることにより行われる。これらの層は、蒸着、スパッタリング、プラズマCVD等か、高屈折率または低屈折率の無機質材料や金属材料等を含有する樹脂組成物からなる塗布層を、単層または多層で形成される。
【実施例】
【0161】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムの製造方法について、基材としてポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)を使用した場合を例にとって説明するが、本発明は当然これらに限定されるものではない。また、実施例及び比較例中の「部」は、特に断らない限り、「質量部」のことである。本明細書に記載の分光特性は、自記分光光度計(日立U−3500型)を用いて測定したものであり、測定した波長は200〜1500nmの範囲である。
【0162】
(1)全光線透過率
JIS K7105に準拠し、濁度計(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を使用して、フィルムの全光線透過率を求めた。
【0163】
(2)密着性
ハードコートフィルムをJIS−K5400の8.5.1記載に準拠し、ハードコート層と基材フィルムとの密着性を求める。
具体的には、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、ハードコート層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷をハードコート層面につける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン製、405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テープをハードコートフィルムのハードコート層面から引き剥がして、ハードコートフィルムのハードコート層面から剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式からハードコート層と基材フィルムとの密着性を求める。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数える。
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
【0164】
(3)耐湿熱性
前記のハードコートフィルムを、高温高湿槽中で60℃、95RH%の環境下500時間放置し、次いで、ハードコートフィルムを取りだし、室温で12時間放置した。
その後、前記(3)と同様の方法でハードコート層と基材フィルムとの密着性を求め、下記の基準でランク分けをした。
◎:100%
○:96%以上100%未満
△:80%以上96%未満
×:80%未満
【0165】
(4)干渉縞改善性(虹彩状色彩)
前記のハードコートフィルムを10cm(フィルム幅方向)×15cm(フィルム長手方向)の面積に切り出し、試料フィルムを作成した。得られた試料フィルムのハードコート層面とは反対面に、黒色光沢テープ(日東電工株式会社製、ビニルテープ No21;黒)を貼り合わせた。この試料フィルムのハードコート面を上面にして、3波長形昼白色(ナショナル パルック、F.L 15EX−N 15W)を光源として、斜め上から目視でもっとも反射が強く見える位置関係(光源からの距離40〜60cm、15〜45°の角度)で観察した。
【0166】
目視で観察した結果を、下記の基準でランク分けをする。なお、観察は該評価に精通した5名で行ない、最も多いランクを評価ランクとする。仮に、2つのランクで同数となった場合には、3つに分かれたランクの中心を採用した。例えば、◎と○が各2名で△が1名の場合は○を、◎が1名で○と△が各2名の場合には○を、◎と△が各2名で○が1名の場合には○を、それぞれ採用する。
【0167】
◎:あらゆる角度からの観察でも虹彩状色彩が見られない
○:ある角度によっては僅かに虹彩状色彩が見られる
△:僅かに虹彩状色彩が観察される。
×:はっきりとした虹彩状色彩が観察される。
【0168】
(5)色調b*値
分光式色差計(日本電色株式会社製、ZE−2000)を用い、透過法によりフィルムサンプル1枚で色調(L*、a*、b*)を測定した。
【0169】
(6)フィルムロールの色調(カラー)b*のバラツキ(%)
下記式を用いて算出する。
カラーb*のバラツキ(%)=(カラーb*の最大値と最小値の差)
/カラーb*平均値)×100 ・・・(1)
【0170】
(測定位置)
a.幅方向測定位置
フィルムロール幅方向において、全幅の25,50,75%にあたる位置3箇所で5×5cmのサンプルを採取し、前記の(5)に示す方法で色調b*を測定する。
【0171】
b.長手方向測定位置
上記aに示した幅方向の各位置(3箇所において)において、フィルムロール長手方向の巻き始め及び巻き終りの各10m、合計20mを除き、残巻長の0、10、20,30,40,50,60,70,80,90,100%にあたる位置11箇所で5×5cmのサンプルを採取し、前記の(5)に示す方法で色調b*を 測定する。幅方向、長手方向合せて33箇所の測定を行い、上記(1)式よりカラーb*のバラツキを求める。
【0172】
(7)380nm以下の波長での光線透過率
U−2001日立ダブルビーム分光光度形を使用し、所定の波長の吸光度を測定した。測定した波長は200〜1500nmの範囲である。
【0173】
(8)フィルムロールの波長380nmでの光線透過率のバラツキ(%)
下記式を用いて算出する。
波長380nmでの光線透過率のバラツキ(%)=
(波長380nmの光線透過率の最大値と最小値の差)
/波長380nmでの光線透過率の平均値)×100 ・・・(2)
【0174】
(測定位置)
前記の(6)に記載の測定位置と同様の箇所で測定を行い、上記(2)式より波長380nmでの光線透過率のバラツキ(%)を求める。
【0175】
(9)基材ポリエステルフィルム表層の吸光度(X)
FT−IRにより基材ポリエステルフィルム表層の吸光度(X)を下記のように測定する。
まず、ブランク試料(UV吸収剤を含有しないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)の表層のIRスペクトル(I)と本発明の試料の表層IRスペクトル(II)を測定する。次いで、(I)と(II)の差スペクトルをとり、1700〜1800cm−1での吸光度(UV吸収剤の特徴的な吸収)と、(II)のIRスペクトルから得られた1505cm−1での吸収(PETの吸収)との吸光度比(1700〜1800cm−1/1505cm−1)をとりXを求めた。なお、IRスペクトルの測定条件は下記の通りである。
【0176】
FT−IR装置 : Digilab社製 FTS−7000e
1回反射ATR装置 : Thermo Spectra−Tech社製 Thunderdome
IRE : Ge
入射角 : 45°
分解能 : 8cm−1
積算回数 : 128回
【0177】
前記で測定されたXを下記の3段階に分類し、評価した。
〇: 0.3以下
△: 0.3を超え0.5以下
×: 0.5を超える
【0178】
(10)積層フィルムの最外層厚さ(μm)
予め、粒子含有量(シリカ等)が既知のポリエステルを数水準作成する。フィルムの最外層のみに粒子を含有させ、中間層には粒子を含有させない。次いで、SIMS(二次イオン質量分析装置)を用いて、粒子に起因する元素(X)とポリエステルの炭素元素(Y)との濃度比(X/Y)を求める。そして、最外層側のポリエステル表層からフィルムの深さ方向にX/Yを測定することにより、粒子の濃度を知ることができる。このようにして測定した値は、フィルム表層では高い値を示すが、主層に近づくに従って急激に低下し(変極点A)、その後一定の値で安定化する(変極点B)。AとBを直線で結び、その1/2の値から最層外層までの距離を積層厚さとする。
【0179】
(11)フィルムの熱収縮応力値
セイコー電子工業社製のTMA/SS100を用いサンプル幅4mm、サンプル長15mm初期荷重40mNで30℃から230℃までに間を5℃/分で昇温していき、熱収縮応力を測定した。所定の温度(100〜160℃)における熱収縮応力を測定し、その範囲内での最大値を用いた。測定位置については、フィルムを幅方向に5分割し、各々の中央位置で長手方向、幅方向、それらと45度をなす直角2方向の合計4方向のサンプリングを行った。なお、100〜160℃における長手方向と幅方向とに45度をなす直角2方向の熱収縮応力値を(a)、その2方向の熱収縮応力値の差を(b)とした。
【0180】
(a)の評価
◎: 0.20〜0.80MPa
〇: 0.05〜1.00 MPa
△: 1.00〜1.10 MPa
×: 0.05 MPa未満、または1.10 MPaより大きい
【0181】
(b)の評価
◎: 0.40MPa以下
〇: 0.50MPa以下
△: 0.50〜0.60 MPa
× : 0.60MPaより大きい
【0182】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0183】
(1)マスターバッチ(A)の製造
粒子を含有しないPET樹脂(東洋紡績社製ME−553)を乾燥、結晶化後、高速回転式粉砕機を用い微粉末上に粉砕した。その後、JIS Z8801規格の標準網ふるい(目開き:0.85mm)の金属ふるいを用いて振るい落とされたPET樹脂微粉末[90質量部]と、乾燥させた紫外線吸収剤(サイテック社製、CYASORB UV−3638;(2,2′−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジン−4−オン))「10質量部」とを、エアーブロー式混合機を用い十分混合させた。なお、上記UV吸収剤は、JIS Z8801規格の標準網ふるい(目開き:0.85mm)を使用して、振るい落とされた微粉末状のものを用いた。
【0184】
この混合物を、二軸混練押出機を用いて溶融混練りを行い、UV吸収剤を10質量%含有するポリエステルのマスターバッチ(A)を作製した。この時の押し出し温度は285℃であり、押し出し時間は7分であり、得られたPET樹脂のIVは0.55dl/gであった。また、得られたマスターバッチ(A)は、粒子を含有しないPET樹脂(東洋紡績社製、ME−553)を100粒測定した際に平均短径または平均長径に対し±10%以内となるよう、適切な金網ふるいを用いて選別したものを用いた。
【0185】
(2)マスターバッチ(B)の製造
マスターバッチ(A)の製造方法において、粉砕したPET微粉末をJIS Z8801規格の標準網ふるい(目開き:2.0mm)の金属ふるいを用いて振るい落とされたPET樹脂微粉末[80質量部]と、マスターバッチ(A)作成時に用いた同様のUV吸収剤[20質量部]とを、V型およびダブルコーン型の容器回転型混合機で十分乾燥させた以外は同様の方法で、UV吸収剤が20質量%含有させたポリエステルのマスターバッチ(B)を作成した。この時の押し出し時間は7分であり、得られたPET樹脂のIVは0.50dl/gであった。また、得られたマスターバッチ(B)は、粒子を含有しないPET樹脂(東洋紡績社製、ME−553)を100粒測定した際に平均短径または平均長径に対し±20%以内となるよう、適切な金網ふるいを用いて選別したものを用いた。
【0186】
(3)マスターバッチ(C)の製造
マスターバッチ(A)の製造方法において、粒子を含有せず、かつ粉砕していないPET樹脂(東洋紡績社製、ME−553)[60質量部]と、マスターバッチ(A)作成時に用いた同様のUV吸収剤40質量部とを、V型およびダブルコーン型の容器回転型混合機で十分乾燥させ、単軸の押し出し機を用いて溶融混合させた以外は同様の方法でUV吸収剤を40質量%含有するポリエステルのマスターバッチ(C)を作成した。押し出し時間は8分であり、得られたPET樹脂のIVは0.43dl/gであった。また、得られたマスターバッチ(C)は、粒子を含有しないPET樹脂(東洋紡績社製、ME−553)を100粒測定した際に平均短径または平均長径に対し±20%以内となるよう、適切な金網ふるいを用いて選別したものを用いた。
【0187】
(コート液用ポリエステル樹脂の重合)
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート[186質量部]、ジメチルイソフタレート[186質量部]、ジメチル 5−ナトリウムスルホイソフタレート[23.7質量部]、ネオペンチルグリコール[137質量部]、エチレングリコール[191質量部]、およびテトラ−n−ブチルチタネート[0.5質量部]を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、29Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂は、淡黄色透明であった。
【0188】
同様の方法で、別の組成の共重合ポリエステル樹脂(A−2、A−3)を得た。これらの共重合ポリエステル樹脂に対し、NMRで測定した組成および重量平均分子量の結果を表1に示す。
【0189】
(実施例1)
(1)ポリエステルの水分散液の調整
撹拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A−1)[20質量部]、エチレングリコールモノブチルエーテル[15質量部]を入れ、100℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水[65質量部]をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分濃度が20質量%の乳白色のポリエステルの水分散液(B−1)を作成した。同様にポリエステル樹脂(A−1)の代わりにポリエステル樹脂(A−2)〜(A−3)を使用して、水分散液を作成し、それぞれ水分散液(B−2)〜(B−3)とした。
【0190】
(2)塗布液の調製I
得られたポリエステル水分散液(B−1)[40質量部]、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンの44質量%溶液(松本製薬(株)製、TC310)[18質量部]、水[150質量部]およびイソプロピルアルコール[100質量部]をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、塗布液を調製した(以下、塗布液(C−1)と略記する)。
【0191】
(3)塗布液の調製II
ジメチルテレフタレート[95質量部]、ジメチルイソフタレート[95質量部]、エチレングリコール[35質量部]、ネオペンチルグリコール[145質量部]、酢酸亜鉛[0.1質量部]および三酸化アンチモン[0.1質量部]を反応容器に仕込み、180℃で3時間かけてエステル交換反応を行った。次に、5−ナトリウムスルホイソフタル酸[6.0質量部]を添加し、240℃で1時間かけてエステル化反応を行った後、重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
【0192】
得られたポリエステル樹脂の30質量%水分散液[6.7質量部]、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタン樹脂の20質量%水溶液(第一工業製薬社製、エラストロンH−3)[40質量部]、エラストロン用触媒(Cat64)[0.5質量部]、水[47.8質量部]およびイソプロパノール[5質量部]を混合し、さらにアニオン性界面活性剤を塗布液に対し1質量%、球状コロイダルシリカ粒子(日産化学工業社製、スノーテックスOL)を樹脂固形分に対し5質量%添加し、塗布液を調製した(以下、塗布液(D−1)と略記する)。
【0193】
(2)塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムの製膜
中間層用原料として、固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂の粒子を含有しないペレット(東洋紡績社製ME−553)[90質量部]とマスターバッチ(A)[10質量部]とをダブルコーン型の容器回転型混合機で十分混合し、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層B層用)に供給した。粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートのペレット(東洋紡績社製ME−553)を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機1(外層A層用及び外層C層用)にそれぞれ供給し、押出機熔融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度は280℃、その後のポリマー管では275℃とし、3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した。これらのポリマーは、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:大きさ10μm以上の粒子を95%カット)を用いて濾過した。また、フラットダイは樹脂温度が275℃になるようにした。押し出した樹脂を、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラム(ロール径400mn、Ra0.1μm以下)に巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時の吐出量は48kg/hrであった。また、最外層(A層及びC層)の合計の厚さの比率は全厚みに対して15%となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
【0194】
次に、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過を行った前記塗布液(C−1)および(D−1)を、ダイコート方式を用いて上記未延伸フィルムの片面づつに塗布した。その後引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して予熱温度105℃、延伸温度115℃に設定された同時二軸延伸テンターに導き、予熱工程を経て、同時に面倍率14.8倍(長手方向3.7倍、横方向4.0倍)に延伸し、230℃で10秒間熱処理し、この熱処理工程中に長手方向1.5%、幅方向に3%の弛緩処理し、塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムを得た。この時のフィルム厚さ125μmであり、製品部幅は800mm、巻取長さは600mであった。フィルム製造時に用いる全ロールに関し、ロールの表面粗度をRaで0.1μm以下に管理した。また、この時の易接着層のコート量は両最外層とも0.01g/mであった。上記のフィルムの熱収縮応力値は、製品中央部のみを測定した。
【0195】
<ハードコート層の形成>
前記の易接着性ポリエステルフィルムの中央部から採取したフィルムの塗布面(C−1側)に、ハードコート剤(大日精化製、セイカビームEXF01(B);固形分100質量%)[5質量部]にメチルエチルケトン[5質量部]を加えた溶液を、#8ワイヤバーを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥し溶剤を除去した。次いで、ハードコート層を塗布したフィルムを送り速度5m/分で走行させながら、高圧水銀灯を用いて照射エネルギー200mJ/cm、照射距離15cmの条件下で、ハードコート層面に紫外線を照射し、厚み3μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
【0196】
(実施例2)
ポリエステル水分散液(B−2)[48質量部]、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンの44質量%溶液(松本製薬(株)製、TC310)[15質量部]、水[150質量部]およびイソプロピルアルコール[100質量部]をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、塗布液を調製した(以下、塗布液(C−2)と略記する)。この塗布液をC−1の代りに用いて、実施例1と同様の方法で、塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルムを得、同様の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
【0197】
(実施例3)
ポリエステル水分散液(B−3)[12質量部]、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタンの80質量%溶液(松本製薬(株)製、TC400)[17質量部]、水[150質量部]およびイソプロピルアルコール[100質量部]をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、塗布液を調製した(以下、塗布液(C−3)と略記する)。この塗布液をC−1の代りに用いて、実施例1と同様の方法で、塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルムを得、同様の評価を実施した。評価結果を表2に示す。
【0198】
(実施例4)
中間層用原料として、固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂の粒子を含有しないペレット(東洋紡績社製ME−553)[95質量部]とマスターバッチ(B)[5質量部]とを用い、実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た。その後、加熱されたロール群および赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向(走行方向)に3.4倍延伸して一軸配向フィルムを得た。
【0199】
なお、フィルム製造時に用いる全ロールに関し、ロールの表面粗度をRaで0.1μm以下に管理した。縦延伸工程の予熱入口と冷却ロールにロールクリーナーを設置した。縦延伸工程のロール径は150mmであり、サクションロール、静電密着、パートニップの密着装置を採用してフィルムをロールへ密着させた。
【0200】
次に、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)25μmのフェルト型ポリプロピレン製濾材で精密濾過を行った前記塗布液(C−1)および(D−1)を、夫々リバースロール法で上記一軸配向フィルムの片面づつに塗布した。易接着層を塗布後、フィルムの端部をクリップで把持して160℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に3.6倍に延伸した。その後の熱固定では、延伸終了点から熱固領域中に図1のような三角形の冷却領域を設け、その冷却領域においては、熱風吹き出し口の間隔を幅方向に調整し、熱風吹き出し量を調整した。図1に示す延伸終了点から熱固定領域に設けた冷却ゾーンでのフィルム温度を120〜150℃、aと示した距離の通過時間を2.5秒とした。熱固定領域中の冷却領域以外の加熱領域においては、230℃の熱風をフィルムに吹付けた。次いで、230℃にて5秒間熱処理し、この熱処理工程中で必要に応じて幅方向(TD方向)に3%の弛緩処理し、光学用二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0201】
この時のフィルム厚さ125μmであり、製品部幅は800mm、巻取長さは600mであった。また、この時の易接着層のコート量は両最外層とも0.01g/mであった。上記のフィルムの熱収縮応力値は、製品中央部のみを測定した。評価結果を表2に示す。
【0202】
(比較例1)
ポリエステル水分散液(B−1)[80質量部]、水[150質量部]およびイソプロピルアルコール[100質量部]をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、塗布液を調製した(以下、塗布液(C−6)と略記する)。この塗布液をC−1の代りに用いて、実施例1と同様の方法で、塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルムを得、同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0203】
(比較例2)
ポリエステル水分散液(B−1)[64質量部]、ブロックイソシアネート基を有する自己架橋型ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、エラストロンH−3)[10質量部]、エラストロン用触媒(第一工業製薬製、Cat64)[1質量部]、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、塗布液を調製した(以下、塗布液(C−7)と略記する)。この塗布液をC−1の代りに用いて、実施例1と同様の方法で、塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルムを得、同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0204】
(比較例3)
実施例1において、中間層を構成する樹脂の外側に最外層を設けない構成とし、さらにマスターバッチ(A)を使用せず、固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂の粒子を含有しないペレット(東洋紡績社製ME−553)のみを使用したこと以外は、同様の方法で塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルムを得、同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0205】
(比較例4)
中間層用原料として、固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂の粒子を含有しないペレット(東洋紡績社製ME−553)[98.5質量部]とマスターバッチ(C)[2.5質量部]とを用い、実施例1と同様の方法で未延伸フィルムを得た。その後、加熱されたロール群および赤外線ヒーターを用いて110℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向(走行方向)に3.3倍延伸して一軸配向フィルムを得た。塗布層の塗設は実施例1と同様の方法で行い、その後引き続いて、フィルムの端部をクリップで把持して150℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後フィルム幅方向に3.7倍に延伸し、230℃で5秒間熱処理し、この熱処理工程中に幅方向に3%の弛緩処理し、塗布層を有する光学用易接着ポリエステルフィルムを得た。この時のフィルム厚さ125μmであり、製品部幅は800mm、巻取長さは600mであった。また、この時の易接着層のコート量は両最外層とも0.011g/mであった。上記のフィルムの熱収縮応力値は、製品中央部のみを測定した。評価結果を表2に示す。
【0206】
【表1】


【0207】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムは、該フィルムの易接着層にハードコート層を積層した際に、外光の写り込み、ぎらつき、虹彩状色彩等を抑制する反射防止性に優れ、かつハードコート層との密着性及び高温高湿下での密着性(耐湿熱性)に優れ、さらに紫外線を吸収する性能を持ち加工性に優れ、フィルムロールの長手方向、幅方向にわたり安定した色調、および紫外線遮光性を有し、タッチパネル、液晶ディスプレイ(LCD)、テレビやコンピューターのブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、装飾材等の表示画面の前面に装着して、外光の写り込み、ぎらつき、虹彩状色彩等を抑制する反射防止性を付与する反射防止フィルムの基材フィルムとして好適である。さらに、易接着層に被覆される層との密着性及び高温高湿下での密着性(耐湿熱性)に優れるため、易接着層に被覆される層として、光学用途で使用されるハードコート層のみならず、写真感光層、ジアゾ感光層、マット層、インキ層、接着剤層、熱硬化樹脂層、UV硬化樹脂層、金属あるいは無機酸化物の蒸着層、等の広範囲な素材を有する用途にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】本発明の光学用易接着ポリエステルフィルムの製造工程の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0210】
1:予熱ゾーン
2:延伸ゾーン
3:熱固定ゾーン
4:冷却ゾーン
5:延伸終了点から熱固定領域に設けた冷却ゾーンでの距離






【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6782(P2008−6782A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182171(P2006−182171)