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【発明の名称】 シート状積層体の製造方法
【発明者】 【氏名】今井 實郎

【要約】 【課題】簡単な構造と簡易な製造工程で、木片をシート状にし、木材の機能を生かした住宅用品や生活用品等を形成したシート状積層体とその製造方法を提供する。

【構成】通気性を有したシート状の第1層14と、第1層14に重ねられ短くカットした複数のスライス木片16で作られた第2層18と、第2層18に重ねられ不織布用の柔軟な短繊維で作られた第3層20を有する。ニードルパンチ加工により、第1層14と第3層20の繊維同士が互いに絡まり、シート状に一体に形成する。スライス木片16は、ニードルパンチのニードル25が貫通可能な厚みと、第1層14と第3層20の繊維12,13の間隙よりも大きい形状である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有したシート状の第1層と、前記第1層に重ねられ短くカットした複数のスライス木片で作られた第2層と、前記第2層に重ねられ不織布用の柔軟な短繊維で作られた第3層が積層され、ニードルパンチ加工で前記第1層と第3層の繊維同士が互いに絡まることにより連結されてシート状に一体に形成され、前記スライス木片は、前記ニードルパンチのニードルが貫通可能な厚みと前記第1層と前記第3層の繊維同士の間隙よりも大きい形状であることを特徴とするシート状積層体。
【請求項2】
前記第1層は柔軟な繊維による不織布で形成され、前記スライス木片は、前記木材を繊維方向に略一定厚みでスライスし、長手方向に対して直角方向に短くカットされた桧で作られている請求項1記載のシート状積層体。
【請求項3】
通気性を有したシート状の第1層を設け、前記第1層の上に短くカットした複数のスライス木片を所定厚みに積層して第2層を形成し、前記第2層の上に不織布を形成する柔軟な短繊維を所定厚みに積層して第3層を形成し、前記第1層、第2層、及び第3層を重ねた状態でニードルパンチ加工を行い、前記第1層と第3層の繊維同士を絡まらせ、前記第2層を挟持してシート状に一体に形成することを特徴とするシート状積層体の製造方法。
【請求項4】
前記第1層は予め柔軟な繊維で作られた不織布である請求項3記載のシート状積層体の製造方法。
【請求項5】
前記第3層は予め柔軟な繊維で作られた不織布である請求項4記載のシート状積層体の製造方法。
【請求項6】
前記スライス木片は、木材を繊維方向に略一定厚みでスライスして長手方向と直角にカットし、前記ニードルパンチのニードルが貫通可能な厚みと、前記第1層と前記第3層の繊維同士の間隙よりも大きい形状である請求項3記載のシート状積層体の製造方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、木材の持つ各機能を有し、住宅用品や生活用品等として使用するシート状積層体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維をそのままシートにした不織布は、布のように織る・編むといった製造工程が無いため早く大量に生産することができ、価格的にも安価で安定している。また形状的な加工性も高く、利用分野を広げている。例えば、特許文献1には不織布を加工した吸音材が開示されている。これは、不織布に機能性樹脂を付着させ機能不織布を生成する工程と、綿布を所定厚さになるよう積層して基材吸音綿布を生成する工程を備え、前記二つの工程で得られた機能不織布と基材吸音綿布を積層してニードルパンチを行い、機能不織布と基材吸音綿布を一体化する吸音材の製造方法である。
【0003】
また、特許文献2,3には、炭等の多孔性物質を有するシート状積層体が開示され、多孔性物質が有する湿度調整機能や脱臭機能を確保し、しかも全体として柔軟性を有するものである。特許文献2の積層体は、多孔性物質である炭とバインダーが混合された多孔性物質保有層が2枚の不織布で挟まれ、一方の不織布外側にはゴム層が設けられ、ニードルパンチによって一体的に固着されているものである。特許文献3の積層体は、炭が混合されたシート状積層体が、2枚の発泡ウレタンシートに挟まれ、その外側をさらに2枚の織物で挟まれている。このシート状積層体は、炭とバインダーが混合された多孔性物質保持層が2枚の不織布で挟まれてニードルパンチによって一体的に固着されたものである。
【特許文献1】特開2005−257709号公報
【特許文献2】特開2000−343636号公報
【特許文献3】特開2000−343639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術の、特許文献1に開示されている吸音材は吸音効果を有し、特許文献2,3に開示されているシート状積層体は湿度調整機能や脱臭機能を有するものである。しかし、例えば、檜が有する抗菌や防虫等その他の機能を備えた不織布は無く、木材と不織布とを組み合わせた製品は無かった。これは、木材が堅く柔軟性を有しない材料であり、柔らかい不織布に木材を組み込むことが不可能であると考えられていたからである。
【0005】
この発明は、上記従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造と簡易な製造工程で、木片をシート状にし、木材の機能を生かした住宅用品や生活用品等を形成したシート状積層体とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、通気性を有したシート状の第1層と、前記第1層に重ねられ短くカットした複数のスライス木片で作られた第2層と、前記第2層に重ねられ不織布用の柔軟な短繊維で作られた第3層が積層され、ニードルパンチ加工で前記第1層と第3層の繊維同士が互いに絡まることにより連結されてシート状に一体に形成され、前記スライス木片は、前記ニードルパンチのニードルが貫通可能な厚みと前記第1層と前記第3層の繊維同士の間隙よりも大きい形状であるシート状積層体である。
【0007】
さらに、前記第1層は柔軟な繊維による不織布で形成され、前記スライス木片は、前記木材を繊維方向に略一定厚みでスライスし、長手方向に対して直角方向に短くカットされた桧で作られているものである。
【0008】
またこの発明は、通気性を有したシート状の第1層を設け、前記第1層の上に短くカットした複数のスライス木片を所定厚みに積層して第2層を形成し、前記第2層の上に不織布を形成する柔軟な短繊維を所定厚みに積層して第3層を形成し、前記第1層、第2層、及び第3層を重ねた状態でニードルパンチ加工を行い、前記第1層と第3層の繊維同士を絡まらせ、前記第2層を挟持してシート状に一体に形成するシート状積層体の製造方法である。
【0009】
前記第1層は予め柔軟な繊維で作られた不織布を用いても良い。さらに、前記第3層も予め柔軟な繊維で作られた不織布を用いても良い。
【0010】
前記スライス木片は、木材を繊維方向に略一定厚みでスライスして長手方向と直角にカットし、前記ニードルパンチのニードルが貫通可能な厚みと、前記第1層と前記第3層の繊維同士の間隙よりも大きい形状に形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシート状積層体とその製造方法は、簡単な製造工程で確実に木片をシート内に挟持して、木材の機能である吸放湿効果、抗菌・防虫効果、保温効果等を生かして住宅用品や生活用品に使用することができる。また、シート状積層体はニードルパンチで形成されるため、製造が容易であり、溶剤等を含む接着剤や薬剤を使用しないため、人体に影響が無く、また安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図3はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のシート状積層体10は、柔軟な繊維12で作られた薄い不織布の第1層14が設けられている。繊維12の素材は、例えばポリプロピレンやポリエステル等の合成繊維である。第1層14の一方の面には、スライス木片16で作られた第2層18が設けられている。スライス木片16は、桧の薄い木片であり、木材を繊維方向に略一定厚みでスライスして長手方向に対して1乃至数cm程度に短くカットしたものである。スライス木片16の厚さは、例えば数十μm〜数百μm程度に形成され、第2層18の、第1層14と反対の面には、第1層14の繊維12と同様に、適宜の不織布用の繊維13で作られた第3層20が設けられている。第3層20は、第1層14よりも、厚く設けられている。
【0013】
シート状積層体10は、第1層14、第2層18、第3層20がニードルパンチ加工により、シート状に圧縮されている。ニードルパンチ加工は、高速で上下するニードル(針)で、平坦に均した繊維層全体を繰り返し突き刺し、ニードルに刻まれたバーブという突起により繊維を絡ませるものである。ニードルパンチ加工の特徴は、バルク性に富み、繊維間の剥離がないことである。シート状積層体10には、ニードルパンチのニードルが貫通し往復して形成された孔22が設けられ、孔22の内周面では第1層14と第3層20の繊維12,13が絡まり、第2層18を挟持して互いに連結されている。
【0014】
次に、シート状積層体10の作り方の一例を、図2に基づいて説明する。まず、第1層14となる繊維12を所定厚さに均し、第1層14を形成する。第1層14は前もって薄いネット上に形成された繊維シートや不織布を用いても良く、繊維12の層のまま次工程に移行し、後のニードルパンチ加工により不織布に形成しても良い。
【0015】
次に、第1層14の上に第2層18となるスライス木片16を所定厚みに積層する。そして、スライス木片16の上にさらに第3層20となる繊維12を所定厚みに積層し、図示しないガイドローラ等によりニードルパンチ部24に送る。ニードルパンチ部24では、ニードル25によるパンチ加工を行い、ニードル25が通過した孔22の内周面で第1層14と第3層20の繊維12,13が絡まって連結され第2層18のスライス木片16を挟持し、シート状積層体10が作られる。
【0016】
作られたシート状積層体10は、ロール状に巻取り保管される。シート状積層体10の製品サイズは、例えば内寸1000ミリ×30メートルの巻物状体である。
【0017】
ここで、スライス木片16の作り方の一例を、図3に基づいて説明する。まず、桧の木材26の一定幅板を、小口ではなく背方向から縦に、つまり繊維方向に、カンナ盤で薄くスライスしてテープ状体26aとし、これを長手方向に任意の長さに切断する。スライス木片16の厚みは、ニードルパンチ部24のニードル25が容易に貫通する程度に薄く設定する。スライス木片16を製造する木材26のサイズは、例えば厚み12mm、幅250mm、長さ280mmであり、スライス木片16のサイズは、例えば幅12mm、長さ13mm、厚み150μm程度である。木材26とスライス木片16のサイズはこれ以外でもよい。
【0018】
また、スライス木片16を第1層14の繊維12の上に自動的に供給する自動安定供給機械を設けてもよい。これは、ニードルパンチ部24の上流側に設置して、スライス木片16を一定量ずつ均一に繊維12の上に広げるものであり、エアーを使用してスライス木片16を広げてもよい。スライス木片16は、手動で自動安定供給機械に補給することにより連続して使用可能となる。
【0019】
この実施形態のシート状積層体10の使用方法は、家屋の断熱材、寝具、ペット用品、畳、各種の敷物、インテリア装飾、履物、ベッドパッド等の寝具等、いろいろなものに使用される。シート状積層体10の外側には耐久性を有するカバーを取り付けたり、シート状積層体10を製品の中間層に入れてもよい。
【0020】
この実施形態のシート状積層体とその製造方法によれば、簡単な工程で容易にスライス木片16をシート状に形成し、住宅用品や生活用品等、いろいろな用途に使用することができる。木材の機能を生かし、吸放湿性、抗菌・防虫性、保温性、断熱性、遮音性、蓄熱性等の機能を製品に付与することができる。その他に、桧等の木材の香りが放散されるため、森林浴の効果があり気分を安定させることができる。住空間内装、壁材に使用することにより、家屋内に桧等の香りを放散させて快適な住空間にすることができる。第1層14と第3層20は、繊維12の不織布で作られているため空隙が大きく、スライス木片16の揮発成分や外気が通過しやすく、効率がよい。
【0021】
また、シート状積層体10は、第1層14と第3層20の繊維同士が絡まっているため、第2層18のスライス木片16が落ちることが無く、またシート状積層体10を切断加工する際もスライス木片16がこぼれることが無いため、製品に加工する作業が容易である。スライス木片16は木材26を薄くスライスして作られているため、薄型で平坦であり、繊維12の間隙から外側に突出したり落ちたり、手に刺さったりすることが無く、取り扱いが容易であり、外観も良好である。
【0022】
そして、シート状積層体10の製造工程で溶剤や接着剤等の化学物質を使用しないため、有機溶剤等が発生せず、健康に影響を与えることがない。また、国産間伐材等の新たな用途を広げることができ、森林資源を有効に利用し、地球環境と国土保全にも役立つ。
【0023】
なお、この発明のシート状積層体とその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、この用途は任意に選択可能なものであり、建築材料を含む住宅用品や、衣類や日用品等の生活用品、その他適宜の用途に利用可能であり、形状も用途に合わせて任意に加工できるものである。繊維の材料は、天然繊維や、化学繊維、無機繊維等、いろいろなものを使用することができる。スライス木片の材料も、桧以外に、杉、桐、ヒバ、松等いろいろな樹種を使用することができ、用途に合わせて適した機能を有する樹種を適宜選択することができる。スライス木片の厚みや大きさ、また各層の厚みも、用途に合わせて適宜設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態のシート状積層体の縦断面図である。
【図2】この実施形態のシート状積層体の製造方法を示す概略図である。
【図3】この実施形態のシート状積層体のスライス木片の製造工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0025】
10 シート状積層体
12 繊維
14 第1層
16 スライス木片
18 第2層
20 第3層
22 孔
25 ニードル
【出願人】 【識別番号】397077287
【氏名又は名称】飛騨フォレスト株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲


【公開番号】 特開2008−6780(P2008−6780A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182016(P2006−182016)