| 【発明の名称】 |
合成樹脂ホース |
| 【発明者】 |
【氏名】三浦 良弘
【氏名】沼田 健一
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| 【要約】 |
【課題】部分架橋樹脂を使用することなくホース表面のベタ付きを改善する。
【構成】ホース表面に、分子量が異なる複数の合成樹脂を混ぜて加熱成形することにより、溶融した低分子量の合成樹脂の中に高分子量の合成樹脂の粒子が魚の目のように残ってフイッシュアイがホース表面に形成され、このフイッシュアイによる微細な凹凸でホース表面が低摩擦性面となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホース表面に低摩擦性面が形成される合成樹脂ホースにおいて、 前記ホース表面に、分子量が異なる複数の合成樹脂を混ぜ加熱成形してフイッシュアイを形成したことを特徴とする合成樹脂ホース。 【請求項2】 前記ホース表面にフイッシュアイを密に形成して、該ホース表面を艶消し面とした請求項1記載の合成樹脂ホース。 【請求項3】 前記分子量が大きく異なる複数の合成樹脂を混ぜ、その高分子量の合成樹脂の溶融温度よりも低い温度に加熱成形してフイッシュアイを形成した請求項1または2記載の合成樹脂ホース。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、ホース表面のベタ付きを改善した合成樹脂製ホースに関する。 詳しくは、ホース表面に透明性のある低摩擦性面が形成される合成樹脂ホースに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、この種の合成樹脂ホースとして、ホースの壁が、通水路を形成するインナー層と、インナー層の外側に設けられる耐圧ネットと、耐圧ネットを被覆するアウター層とを備え、アウター層には、部分架橋樹脂を含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物として、主ポリ塩化ビニル樹脂に対し、10〜90wt%(望ましくは40〜70wt%)の部分架橋樹脂を含有させるか、又は部分架橋樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物として、主ポリオレフィン系樹脂に対し、10〜50wt%(望ましくは20〜50wt%)の部分架橋樹脂を含有させると共に、少なくとも一種以上の表面改質剤を0.1〜1.0wt%添加し、押出し成型して低摩擦性面が形成されることにより、ホース表面の粘着性及び摩擦抵抗を低減させて、ホースリールの巻き取りおよび引き出しが快適に行え、また高級感のある外観に仕上がるようにしたホースリール用散水ホースがある(例えば、特許文献1参照)。 【0003】 【特許文献1】特許第3639174号公報(第2−4頁、図1) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし乍ら、このような従来の合成樹脂ホースでは、部分架橋樹脂の溶融温度が架橋されていない一般的な樹脂の溶融温度に比べて著しく高いため、同じホース製造ラインで、部分架橋樹脂が含有された低摩擦性のホースと、部分架橋樹脂が含有されない一般的なホースを順次製造する場合には、他の一般的なホースの製造時に、その前の製造時に使用していた部分架橋樹脂が混入し易く、僅かでも混入すると、成形時の加熱温度を上げても溶融し難いため、部分的に不規則な低摩擦性面が発生して不良品となるという問題があった。 更に、部分架橋樹脂が高価であるだけでなく更に表面改質剤を添加する必要があるため、コストアップになるという問題もあった。 また、部分架橋樹脂に炭酸カルシウムなどの表面改質剤を添加すると、透明性が得られず、磨りガラス状の半透明となったり、白色化するという問題もあった。 【0005】 本発明のうち請求項1記載の発明は、部分架橋樹脂を使用することなくホース表面のベタ付きを改善することを目的としたものである。 請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、透明でデザイン性の高いホースに仕上げることを目的としたものである。 請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の目的に加えて、フイッシュアイを容易でしかも確実に形成することを目的としたものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、ホース表面に、分子量が異なる複数の合成樹脂を混ぜ加熱成形してフイッシュアイを形成したことを特徴とするものである。 請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、前記ホース表面にフイッシュアイを密に形成して、該ホース表面を艶消し面とした構成を加えたことを特徴とする。 請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に、前記分子量が大きく異なる複数の合成樹脂を混ぜ、その高分子量の合成樹脂の溶融温度よりも低い温度に加熱成形してフイッシュアイを形成した構成を加えたことを特徴とする。 【発明の効果】 【0007】 本発明のうち請求項1記載の発明は、ホース表面に、分子量が異なる複数の合成樹脂を混ぜて加熱成形することにより、溶融した低分子量の合成樹脂の中に高分子量の合成樹脂の粒子が魚の目のように残ってフイッシュアイがホース表面に形成され、このフイッシュアイによる微細な凹凸でホース表面が低摩擦性面となる。 従って、部分架橋樹脂を使用することなくホース表面のベタ付きを改善することができる。 その結果、部分架橋樹脂を使用した従来のものと同様に、ホース表面のベタ付き感と粘着性(タック性)を防止できて、ホースの巻き取り及び引き出しを快適に行えると共に、ホース表面の摩擦係数が小さいため、耐摩耗性を向上できる。 特に、軟質塩化ビニルの場合、同一素性を有し、平均重合度のみが異なる樹脂のため、透過屈折率が近似しており、透明性のあるホースを形成することができる。 更に、同じホース製造ラインで、表面が低摩擦性のホースと、低摩擦性でない一般的なホースを順次製造する場合には、その前の低摩擦性ホースの製造時に使用していた高分子量の合成樹脂がもし誤って混入したとしても、この高分子樹脂が溶融する温度まで成形温度を上げれば、フイッシュアイの原因となる未溶融な高分子樹脂の粒子が溶融して残らず不良品とならないため、誤って部分架橋樹脂が混入した場合には不良品となる従来のものに比べ、原料の管理、特にコンタミ(コンタミネーション)の管理が容易となって、製造し易い。 また、高価な部分架橋樹脂や表面改質剤を添加する必要がある従来のものに比べ、大幅なコストダウンが図れ、低価格な低摩擦性ホースを製造できる。 【0008】 請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、ホース表面にフイッシュアイを密に形成することで、このフイッシュアイによる微細な凹凸が無数に発生して、それらに当たった光が屈折して艶消し面となる。 従って、透明でデザイン性の高いホースに仕上げることができる。 その結果、高級感のある外観に仕上がって、商品価値を向上できる。 【0009】 請求項3の発明は、請求項1または2の発明の効果に加えて、分子量又は重合度が大きく異なる複数の合成樹脂を混ぜることにより、これら高分子樹脂の溶融温度と低分子樹脂の溶融温度との温度差が大きくなるため、これら両者の溶融温度の間で加熱しながら成形することにより、高分子樹脂の未溶融粒子が数多く残り易い。 従って、フイッシュアイを容易でしかも確実に形成することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 本発明の合成樹脂ホースは、そのホース本体の表面に、分子量又は重合度が異なる複数の合成樹脂を混ぜて加熱成形することにより、溶融した低分子量の合成樹脂の中に高分子量の合成樹脂の粒子が魚の目のように残る、所謂「フイッシュアイ(又はフイッシュ・アイ)」をホース本体の表面に形成し、このフイッシュアイによる微細な凹凸でホース本体の表面の全体か又はその一部が低摩擦性面となるようにしている。 【0011】 分子量又は重合度のK値が異なる複数の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの中から、そのK値が大きくて溶融温度が高い高分子量の合成樹脂と、K値が小さくて溶融温度が低い低分子量の合成樹脂とを選び出し、これらのうち高分子樹脂の溶融温度よりも低い温度で加熱しながら例えば押し出し成形機などで成形すれば、低分子樹脂のみが溶融して、その中に未溶融な高分子樹脂の粒子が小さな球状になって分散し、これら分散した粒子が魚の目のように残ることを「フイッシュアイ」と呼んでいる。 【0012】 更に、上記フイッシュアイは、ホース本体の表面に対して密に形成し、これらフイッシュアイによる微細な凹凸を無数に形成することで、それらに当たった光が屈折して艶消し面となるようにすることが好ましい。 【0013】 また、上記フイッシュアイは、分子量又は重合度が大きく異なる複数の合成樹脂を混ぜれば、これら高分子樹脂の溶融温度と低分子樹脂の溶融温度との温度差が大きくなるため、これら両者の溶融温度の間で加熱しながら成形するだけで、溶融した低分子樹脂の中に未溶融な高分子樹脂の粒子が容易にしかも数多く残り易くすることが好ましい。 以下、本発明の一実施例を説明する。 【実施例1】 【0014】 この実施例1は、例えば特許第3639174号公報に開示される如く、前記ホース本体が、通水路を形成するインナー層(内層)と、このインナー層の外側に補強材を巻回するなどして形成される耐圧層(補強層)と、この耐圧層の外側全体を被覆するアウター層(外層)とを一体的に積層した構造であり、上記アウター層の全体に亘って前記フイッシュアイを形成するか、或いは該アウター層の外周面のみに前記フイッシュアイを薄膜状に形成している。 【0015】 この実施例では、分子量又は重合度のK値が例えば40〜95の塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂の中から、K値が約90程度の高分子量の熱可塑性樹脂と、K値が約55程度の低分子量の熱可塑性樹脂とを混ぜ、この低分子量の熱可塑性樹脂のみが確実に溶融する温度、例えば150〜180℃で全周に亘り略均一に加熱しながら押し出し成形することにより、ホース本体の表面全周に亘ってフイッシュアイを密に形成して、艶消し面としている。 この際、加熱溶融温度を調整することで、フイッシュアイの量が容易に調整できる。 【0016】 また、上記インナー層の材料としては、その中を通る流体に対応して、最適なものを選択すると共に、アウター層との接着性を高めるために、アウター層の材料と相溶性に優れたものを選択するか、又はアウター層との間に接着層を追加形成することが好ましい。 【0017】 更に、上記耐圧層の補強材としては、例えばポリエステルやナイロンやアラミドなどの合成樹脂製補強糸又は補強繊維又はモノフィラメント(monofilament:単繊維)か、或いは例えばステンレスなどの金属製補強線を用い、上記インナー層の外周面に沿って螺旋状(コイル状)又は網状に巻き付けることにより構成される。 【0018】 次に、斯かる本発明の合成樹脂ホースの作用効果について説明する。 先ず、上述した通り、ホース本体の表面に分子量が異なる複数の合成樹脂を混ぜて加熱成形するだけで、ホース本体の表面がフイッシュアイによる微細な凹凸で低摩擦性面となるため、特許第3639174号公報に開示されるような部分架橋樹脂を使用しなくとも、表面にベタ付き感や粘着性(タック性)が無い透明な合成樹脂ホースを安価に製造できる。 【0019】 更に、ホース本体の表面全周に亘ってフイッシュアイを密に形成すれば、これらフイッシュアイによる微細な凹凸が無数に発生して、それらに当たった光が屈折して艶消し面となるため、デザイン性が高くなって高級感を与えることができるという利点がある。 【0020】 また、分子量又は重合度が大きく異なる複数の合成樹脂を混ぜて、これら高分子樹脂の溶融温度と低分子樹脂の溶融温度との温度差を大きくすれば、その成形温度の設定範囲が広くなるため、これら両者の溶融温度の間で低めに温度設定しながら加熱成形するだけで、高分子樹脂の粒子が数多く残り易く、それにより厳格な温度設定を行わなくても、フイッシュアイ及びそれによる艶消し面を容易でしかも確実に形成できるという利点がある。 【0021】 尚、前示実施例では、前記ホース本体が、インナー層と耐圧層とアウター層とを一体的に積層した構造で、このアウター層の全体にフイッシュアイを形成するか、或いは該アウター層の外周面のみにフイッシュアイを薄膜状に形成した場合を示したが、これに限定されず、例えば耐圧層のないホース本体の表面にフイッシュアイを形成するなど、他の構造のホース本体の表面にフイッシュアイを形成しても良い。 更に、使用した合成樹脂の種類や成形方法も上述した塩化ビニル樹脂や押し出し成形に限定されず、塩化ビニル樹脂以外の合成樹脂を使用したり、押し出し成形以外の成形方法を使用しても良い。 このような場合でも前示した実施例と同様な作用効果が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000134534 【氏名又は名称】株式会社トヨックス
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| 【出願日】 |
平成18年6月30日(2006.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000626 【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
【識別番号】100109955 【弁理士】 【氏名又は名称】細井 貞行
【識別番号】100140154 【弁理士】 【氏名又は名称】岩▲崎▼ 孝治
【識別番号】100111785 【弁理士】 【氏名又は名称】石渡 英房
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| 【公開番号】 |
特開2008−6774(P2008−6774A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−181787(P2006−181787) |
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