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【発明の名称】 積層フィルム及びこれを用いた電子部品用包装材
【発明者】 【氏名】吉田 裕司

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムの表面に、
金属酸化物層と、樹脂層と、金属層と、
をこの順に、又は逆順に、
積層してなること、
を特徴とする積層フィルムであって、
前記金属酸化物層が、SiOx(1.0≦x≦2.0)で示される酸化珪素であること、
を特徴としてなる、積層フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の積層フィルムにおいて、
前記金属層が、アルミニウムであり、
前記樹脂層が、エポキシ系樹脂であること、
を特徴とする、積層フィルム。
【請求項3】
請求項2に記載の積層フィルムにおいて、
前記エポキシ系樹脂に、シランカップリング剤を含有させてなること、
を特徴としてなる、積層フィルム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の積層フィルムにおいて、
前記積層フィルムを形成するに際して予め前記樹脂フィルムに対して、コロナ放電、プラズマ処理、又はグロー放電処理のいずれか若しくは複数表面処理を施しておくこと、
を特徴とする、積層フィルム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の積層フィルムを用いてなること、
を特徴とする、電子部品用包装材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は透明状のガスバリア性を持つ積層体に関するものであって、具体的には、例えば静電気等による変質を嫌う電子部品材料等を包装する包装材料として好適なガスバリア性と静電気シールド性とを備えた積層体及びこの積層体を用いた電子部品用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりプラスチックフィルム上に金属酸化物を蒸着することによって薄膜状に積層してなるガスバリア性を有したガスバリアフィルムが知られている。
このようなフィルムは、例えば食品や医療品などのように、水蒸気や酸素に触れることで性質や品質が劣化したり、清潔さが失われたりするような物品を保護するために用いられる。さらに昨今では内容物を容易に視認できるように、透明性を有することが好まれるようになってきている。
【0003】
一方で、昨今急激に普及しているIC関連機器を形成する電子部材(いわゆる「IC部品(部材)」と呼ばれているもの。)や、磁気ディスク等のような部材は、一般的に静電気障害を発生しやすく、また酸素や湿気(水蒸気)によってダメージを受ける場合も多いが、このようなダメージ、即ち静電気と酸素や水蒸気とから内容物を保護できるIC部材用の包装材料として、前述のようなガスバリア性を備えたフィルムにおいて、さらに静電気シールド性をも同時に備えた透明バリアフィルムが望まれている。
【0004】
そこでこのような目的に応じた透明バリアフィルムが提案されてきた。例えば特許文献1に記載されたフィルムであれば、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に、酸化珪素による薄膜層と、アルミニウムによる金属薄膜層と、を設けた構成を有しているが、酸化珪素による薄膜層を設けることでガスバリア性が、アルミニウムによる金属薄膜層を設けることで静電気シールド性が、それぞれ付与されるものとなっている。
【0005】
【特許文献1】特開平4−210464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された積層シートでは、確かに透明性もあり、静電気シールド性、及び防湿性もある程度のレベルまで実現できるが、実際には酸化珪素による薄膜層には多数のピンホール及びマイクロクラックが多数発生してしまい、望ましいレベルのガスバリア性に到達することが困難である。さらに酸化珪素による薄膜層と金属薄膜層との間の層間密着性を十分なレベルに到達させることが困難であり、換言すると、これらの層が容易に剥離してしまい、特に実用に供した場合、フィルムの撓みに層間密着力が追従せずに、層間剥離が生じてしまう、という問題が生じていた。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、ガスバリア性と静電気シールド性とを共に好適なレベルで維持できるのみならず、層間剥離の発生を抑制することを可能とした積層フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願発明の請求項1に記載の発明は、樹脂フィルムの表面に、金属酸化物層と、樹脂層と、金属層と、をこの順に、又は逆順に、積層してなること、を特徴とする積層フィルムであって、前記金属酸化物層が、SiOx(1.0≦x≦2.0)で示される酸化珪素であること、を特徴としてなる。
【0009】
本願発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の積層フィルムにおいて、前記金属層が、アルミニウムであり、前記樹脂層が、エポキシ系樹脂であること、を特徴とする。
【0010】
本願発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の積層フィルムにおいて、前記エポキシ系樹脂に、シランカップリング剤を含有させてなること、を特徴としてなる。
【0011】
本願発明の請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の積層フィルムにおいて、前記積層フィルムを形成するに際して予め前記樹脂フィルムに対して、コロナ放電、プラズマ処理、又はグロー放電処理のいずれか若しくは複数表面処理を施しておくこと、を特徴とする。
【0012】
本願発明の請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の積層フィルムを用いてなる電子部品包装材料であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
例えば昨今急激に流通している、静電気や酸素、水蒸気によるダメージに対して繊細な電子部品材料等のようなものを保護する包装材料として、従来のものでは静電気シールド性とガスバリア性とを好適なレベルで両立させたものはなかったところ、本願発明にかかる積層体であれば、樹脂フィルム/金属酸化物層/樹脂層/金属層、又は樹脂フィルム/金属層/樹脂層/金属酸化物層、という構成としたことにより静電気シールド性を備えているので静電気のダメージから内容物を保護できると同時にガスバリア性も備えているので酸素や水蒸気のダメージから内容物を保護でき、さらにフィルムそのものも透明性が十分あるので、内容物を容易に視認できる、静電気シールド性透明ガスバリアフィルムとして用いることができるので、これを上述したような、例えば各種ダメージに対して脆弱な電子部品材料を包装する電子部品包装材料として用いれば、電子部品材料を各種ダメージにさらされることなく安全に梱包出来るので、昨今著しく進歩を遂げている電子産業にかかる流通に広く用いることが出来るようになり、即ち大変好適な包装材料とすることが出来るようになるのである。また電子部品材料の包装以外の目的であっても、透明性、ガスバリア性、静電気シールド性、が同時に必要とされる箇所であれば適用することが可能となるので、それらの箇所に用いるのにやはり好適な部材とすることが出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。尚、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずもこの実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
本願発明に係る積層体について第1の実施の形態として説明する。
本実施の形態に係る積層体は、樹脂フィルムの表面に、金属酸化物層と、樹脂層と、金属層と、をこの順に、又は逆順に、積層してなる、という構成を有し、なおかつ金属酸化物層が、SiOx(1.0≦x≦2.0)で示される酸化珪素を用いてなる。
【0016】
以下、順次説明をする。
まず基材フィルムとなる樹脂フィルムであるが、これは従来公知の、積層体の基材として広く用いられる樹脂フィルムであれば何でもよいが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、又はポリオレフィンフィルム、のいずれか若しくは複数を用いればよいが、本実施の形態においてはPETフィルムを用いることとする。そしてここで用いるPETフィルムの厚みは5μm以上50μm以下であることが好ましいが、これは5μm未満の厚みであると後述の各種積層工程を実施するに際して生じる種々の処理に耐えられない可能性が高く、また50μmよりも厚くすると今度は最終的に得られるフィルム全体の厚みが増えてしまうからである。そして本実施の形態では厚みが12μmのPETフィルムであるものとする。
【0017】
次に金属酸化物層である酸化珪素層につき説明する。
この層を形成する酸化珪素はSiOx(1.0≦x≦2.0)で示されるものであるが、これは、酸化珪素により層を積層することで、得られる層はガスバリア性を備え、また透明性も確保するのに好適な周知の物質であるからである。そして酸化珪素による金属酸化物層の厚みは100Å以上1000Å以下であることが好ましいが、これは100Å以下であると十分なガスバリア性を確保することができなくなり、また1000Å以上であると透明性及び耐屈曲性が劣るからである。そして本実施の形態では、その厚みは400Åであるものとする。尚、酸化珪素の積層方法としては、やはり従来公知のものであってよ、例えば真空蒸着法などの手法を用いればよい。金属酸化物による金属酸化物層を第2高分子樹脂フィルム層に積層することにより、ガスバリア性を確保することが出来る。
【0018】
次に金属層につき説明する。
この金属層は、例えばアルミニウム、ニッケル、金、銀、銅、又はプラチナのいずれか若しくは複数によるものであって、本実施の形態ではアルミニウムであるものとするが、この層は、例えば従来公知である真空蒸着法などの手法によりガスバリア層の表面に積層される。そして金属層を設けることにより、この積層フィルムに静電気シールド性が付与されることとなる。そしてその厚みは30Å以上150Å以下であることが好ましいが、これは150Å以上であると透明性に劣るようになってしまい、また30Å未満であると十分な静電気シールド性が得られない、即ち十分な帯電防止性が得られないからである。そして本実施の形態ではアルミニウムによる金属層であり、その厚みは90Åであるものとする。尚、本実施の形態においてこの金属層はアルミニウムにより形成されてなるものとするが、必ずしもこれに限定されるものではないことを断っておく。
【0019】
次に樹脂層につき説明する。
本実施の形態における樹脂層を構成するには、ガスバリア性を有した物質を用いればよく、例えばそれに用いられるのに好ましい樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、またはこれらの樹脂にシランカップリング剤を配合してなる樹脂、のいずれかもしくは複数であることが好適であり、本実施の形態ではエポキシ系樹脂を用いることとする。この樹脂層は、積層フィルムにあってはガスバリア性を補完すると同時に、層間密着力を向上させる作用も有したものであることが望ましい。
【0020】
そしてこの樹脂層により得られる性能、即ちガスバリア性と層間密着力とを向上させるために、シランカップリング剤をこの樹脂に含有させることも考えられ、また効果を発揮するので、本実施の形態においてもシランカップリング剤を樹脂層に含有させることとする。
【0021】
この樹脂層がガスバリア性を発揮するために、その厚みは0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。これは10μmを超えた厚みとすると積層物にクラックが生じてしまいやすくなり、そのためにガスバリア性の低下、層間密着力の低下、という現象が生じてしまうからである。そして本実施の形態ではシランカップリング剤を含有させたエポキシ系樹脂であり、またその厚みは0.5μmであるものとし、またこのガスバリア層の積層方法は従来公知のコーティング法、即ちグラビアコーティング法、リバースコーティング法、スプレイコーティング法、またはロールコーティング法、等であって、好適な手法を随時用いればよい。
【0022】
以上説明した各層を積層することにより本実施の形態に係る積層体を得るが、積層体を形成するに際して予め基材となる樹脂フィルムの表面に対して、コロナ放電、プラズマ処理、又はグロー放電処理のいずれか若しくは複数表面処理を施しておくことで、基材フィルムの表面に形成される積層体の密着性が向上するので、好適な処理であるといえる。
【0023】
そして得られた積層体を用いて、例えば袋としたならば、得られる袋はガスバリア性を備えると同時に、静電気シールド性を備えた袋とすることができるので、この袋を静電気のダメージを受けやすい電子部材の包装材料とすれば、内包される電子部材は、静電気や水蒸気、酸素などによるダメージを受けることなく保存、輸送することが出来るようになるのである。またここでは詳述しないが、かような利用方法の他であっても、静電気と水蒸気、酸素などによるダメージを受けることを嫌う部材として、袋状にして用いてもよいし、フィルムを裁断した状態で用いても構わない。
【0024】
尚、本実施の形態に係る積層体の積層順は樹脂フィルム/金属酸化物層/樹脂層/金属層、であっても良いし、樹脂フィルム/金属層/樹脂層/金属酸化物層、であってもよいことを断っておく。
【出願人】 【識別番号】000235783
【氏名又は名称】尾池工業株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6762(P2008−6762A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181610(P2006−181610)