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蒸着フィルムと該蒸着フィルムを用いた積層体 - 特開2008−6747 | j-tokkyo
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【発明の名称】 蒸着フィルムと該蒸着フィルムを用いた積層体
【発明者】 【氏名】今井 伸彦

【氏名】石井 敏也

【要約】 【課題】表刷り印刷のインキの着肉、3層構成の中間層として用いた場合の密着性を上げるため、PETフィルムの非蒸着面の表面分子状態を特定する。

【構成】片面に無機酸化物蒸着膜を設けた二軸延伸PETフィルムの蒸着膜を設けてない面のX線光電子分光法測定で得られるC1s波形分離のC−C結合半値幅が1.225〜1.554eVである。片面に無機酸化物蒸着膜を設けた二軸延伸PETフィルムの蒸着膜を設けてない面のX線光電子分光法測定で得られる元素比率O(酸素)/C(炭素)が0.50〜0.55である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に無機酸化物蒸着膜を設ける二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材の蒸着膜を設けない面のX線光電子分光法(測定条件:X線源 MgKα、X線出力 100W)測定で得られるC1s波形分離のC−C結合半値幅が1.225〜1.554eVであることを特徴とする蒸着フィルム。
【請求項2】
片面に無機酸化物蒸着膜を設けるPETフィルム基材の蒸着膜を設けない面のX線光電子分光法(測定条件:X線源 MgKα、X線出力 100W)測定で得られる元素比率O(酸素)/C(炭素)が0.50〜0.55であることを特徴とする蒸着フィルム。
【請求項3】
片面に無機酸化物蒸着膜を設けるPETフィルム基材の蒸着膜を設けない面のX線光電子分光法(測定条件:X線源 MgKα、X線出力 100W)測定で得られるC1s波形分離のC−C結合半値幅が1.225〜1.554eVであり、尚且つ元素比率O(酸素)/C(炭素)が0.50〜0.55であることを特徴とする蒸着フィルム。
【請求項4】
無機酸化物蒸着膜上に保護コート層を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
【請求項5】
保護コート層が水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする請求項4に記載の蒸着フィルム。
【請求項6】
保護コート層が水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方と、及び一般式(R2 Si(OR1 3 n …(R1 :CH3 ,C2 5 ,C2 4 OCH3 、R2 :有機官能基)で表されるケイ素化合物を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなることを特徴とする請求項4に記載の蒸着フィルム。
【請求項7】
PETフィルム基材と無機酸化物蒸着膜の間にアンカーコート層を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
【請求項8】
アンカーコート層が有機官能基を有するシランカップリング剤あるいはシランカップリング剤の加水分解物と、ポリオール及びイソシアネート化合物との複合物を含むコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなることを特徴とする請求項7に記載の蒸着フィルム。
【請求項9】
蒸着膜を設ける前にPETフィルム基材面に、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、またはこれらの混合ガスを用いてリアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマを利用した処理を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
【請求項10】
PETフィルム基材の蒸着膜を設けない面にインキ層を設けたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の蒸着フィルム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の蒸着フィルムの蒸着膜面、あるいは保護コート面に接着剤を介してシーラント層を設けたことを特徴とする蒸着フィルムを用いた積層体。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の蒸着フィルムをプラスチックフイルム基材とシ
ーラント層との間に設けたことを特徴とする蒸着フィルムを用いた積層体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に無機化合物薄膜層を形成させた蒸着フィルムと該蒸着フィルムを用いた積層体に関し、特には表刷り印刷の着肉改善、3層構成の中間層として用いた場合の密着改善を図った蒸着フィルムと該蒸着フィルムを用いた積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や医薬品等の包装に適した、PETフィルム上に無機化合物薄膜層を形成させた蒸着フィルムの研究は数多く行われている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2001−322200号公報。
【特許文献2】特開2002−52646号公報。
【0004】
前者の発明はパラメータとして静摩擦係数や動摩擦係数を用いたものであり、後者の発明はパラメータとして静摩擦係数や動摩擦係数のほかに表面粗さ、ヘーズといった物性を用いた発明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
摩擦係数、表面粗さ、ヘーズといった物性は濡れ性とは関係ない物性であり、密着を上げる濡れ性とは相関のある物性ではない。そこで本発明は、表刷り印刷のインキの着肉、3層構成の中間層として用いた場合の密着性を上げるため、PETの非蒸着面の表面分子状態を特定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の発明は、片面に無機酸化物蒸着膜を設けるPETフィルム基材の蒸着膜を設けない面のX線光電子分光法(測定条件:X線源 MgKα、X線出力 100W)測定で得られるC1s波形分離のC−C結合半値幅が1.225〜1.554eVであることを特徴とする蒸着フィルムである。
【0007】
また、請求項2の発明は、片面に無機酸化物蒸着膜を設けるPETフィルム基材の蒸着膜を設けない面のX線光電子分光法(測定条件:X線源 MgKα、X線出力 100W)測定で得られる元素比率O(酸素)/C(炭素)が0.50〜0.55であることを特徴とする蒸着フィルムである。
【0008】
また、請求項3の発明は、片面に無機酸化物蒸着膜を設けるPETフィルム基材の蒸着膜を設けない面のX線光電子分光法(測定条件:X線源 MgKα、X線出力 100W)測定で得られるC1s波形分離のC−C結合半値幅が1.225〜1.554eVであり、尚且つ元素比率O(酸素)/C(炭素)が0.50〜0.55であることを特徴とする蒸着フィルムである。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の発明において、無機酸化物蒸着膜上に保護コート層を設けたことを特徴とする蒸着フィルムである。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、保護コート層が水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とする蒸着フィルムである。
【0011】
また、請求項6の発明は、請求項4の発明において、保護コート層が水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方と、及び一般式(R2 Si(OR1 3 n …(R1 :CH3 ,C2 5 ,C2 4 OCH3 、R2 :有機官能基)で表されるケイ素化合物を含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなることを特徴とする蒸着フィルムである。
【0012】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項の発明において、PETフィルム基材と無機酸化物蒸着膜の間にアンカーコート層を設けたことを特徴とする蒸着フィルムである。
【0013】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明において、アンカーコート層が有機官能基を有するシランカップリング剤あるいはシランカップリング剤の加水分解物と、ポリオール及びイソシアネート化合物との複合物を含むコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなることを特徴とする蒸着フィルムである。
【0014】
また、請求項9の発明は、請求項1〜6のいずれか1項の発明において、蒸着膜を設ける前にPETフィルム基材面に、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、またはこれらの混合ガスを用いてリアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマを利用した処理を施すことを特徴とする蒸着フィルムである。
【0015】
また、請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれか1項の発明において、PETフィルム基材の蒸着膜を設けない方の面にインキ層を設けたことを特徴とする蒸着フィルムである。
【0016】
また、請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の蒸着フィルムの蒸着膜面、あるいは保護コート層面に接着剤を介してシーラント層を設けたことを特徴とする蒸着フィルムを用いた積層体である。
【0017】
また、請求項12の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の蒸着フィルムをプラスチックフィルム基材とシーラント層の間に設けたことを特徴とする蒸着フィルムを用いた積層体である。
【0018】
PETフィルムとインキ、接着剤との密着性を上げるためには、PET表面の濡れ性を上げる必要があり、PET表面の濡れ性をコントロールしているのがC1s波形分離で得られるC−C結合半値幅であり、O(酸素原子)/C(炭素原子)の元素比率である。上記のC−C結合半値幅、O(酸素原子)/C(炭素原子)の元素比率を特定範囲に限定することで、最適な密着性を確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
PETフィルムの非蒸着面となる面のインキの着肉改善、3層構成の中間層として用いた場合の接着剤密度を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を一実施形態に基づいて以下に説明する。
PETの非蒸着面となる面のインキ着肉改善、3層構成の中間層として用いた場合の接着剤密着を改善するために、PET表面状態がX線光電子分光法(測定条件:X線源 MgKα、X線出力 100W)測定で得られるC1s波形分離のC−C結合半値幅が1.225〜1.554eVであること。または/及び、元素比率O(酸素)/C(炭素)が0.50〜0.55である様に表面改質する。
【0021】
表面状態分析方法について説明する。
測定に用いたX線光電子分光装置:日本電子株式会社製JPS−90MXV
X線源:非単色化MgKα(1253.6eV)、出力:100W(10KV−10mA)。定量分析:O1sで2.28、C1sで1.00の相対感度因子を用いて計算。
C1s波形の波形分離解析:ガウシアン関数とローレンツ関数の混合関数を使用。
帯電補正:ベンゼン環に由来するC−C結合ピークを285.0eVとして補正。
【0022】
改質前のPET表面のX線光電子分光法の測定結果は、
・標準物質として分解能が銀(Ag)の3d5/2ピークが0.8〜1.0eV。
【0023】
その時のデータは、
・C1s波形分離のC−C結合半値幅が1.220eV
・元素比率O(酸素)/C(炭素)が0.49。従って、未処理PET表面の分子構造であった。
【0024】
改質方法はコロナ処理、低温プラズマ処理、大気圧プラズマ処理などの改質方法が使用できる。また、使用するガス種はArなどの不活性ガス、O2 、CO2 などの酸化性ガス、不活性ガスと酸化性ガスの混合ガスなどを用いることができる。
【0025】
PETは、耐熱性と加工適性の面から2軸延伸したポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、周知の種々の添加剤や安定剤,例えば、帯電防止剤,紫外線防止剤、可塑剤及び滑剤等を使用することも可能である。
【0026】
無機化合物蒸着膜は、厚みは3〜200μm、好ましくは6〜30μmが好ましい。例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化珪素の何れかが好ましい。厚みは一般的には5〜300nmの範囲内が望ましい。膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜50nmの範囲内にあることである。
【0027】
無機化合物蒸着薄膜層をプラスチック基材上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。
【0028】
つぎに保護コート層について説明する。保護コート層として例えば、水溶性高分子とし
ては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸ナトリウム等があげられる。
【0029】
特にポリビニルアルコール(以下PVAと略す)は、ガスバリア性が優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものである。PVAとしては、例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分ケン化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等を含み、特に限定されない。水溶性高分子成分を含むコーティング剤を蒸着薄膜上に塗布した後、加熱、乾燥して形成され得る。
【0030】
さらに好ましくは、上記コーティング剤は、水溶性高分子と1)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物,及び2)塩化錫のうち少なくとも一方と、水または水−アルコール混合液とを主に含む。すなわち水溶性高分子及び塩化錫を、水または水−アルコール混合溶液で溶解した溶液、或いは水溶性高分子及び金属アルコキシドを、直接あるいは予め加水分解させて水または水−アルコール混合溶液で溶解した溶液を、コーティング剤として調製し得る。
【0031】
前記コーティング剤に好ましく使用される塩化錫は、塩化第一錫(SnCl2 )、塩化第二錫(SnCl4 )、或いはそれらの混合物である。また、これらの塩化錫の無水物及び水和物等が好適に使用できる。
【0032】
さらに、金属アルコキシドとは、一般式、M(OR)n で表される化合物である。但し、式中、MはSi,Ti,Al及びZr等の金属、RはCH3 、及びC2 5 等のアルキル基から選択される。具体的にはテトラエトキシシラン Si(OC3 6 4 、トリイソプロポキシアルミニウム Al(O−2’−C3 7 3 などがあげられる。中でもテトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは,加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0033】
コーティング剤には、そのガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
【0034】
コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。このような イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメクントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。
【0035】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法及びグラビア印刷法などの従来公知の塗布手段を用いることができる。乾燥後の厚さは200〜600nmの範囲であることが好ましい。
【0036】
さらに別の保護コート層について説明する。
本発明において用いられる金属アルコキシドとは、テトラエチルオルソシリケート Si(OC2 5 4 、トリプロピルアルミニウム Al(OC3 H)3 など一般式M(OR)n (MはSi,Ti,Al,Zrなどの金属、RはCH3 ,C2 5 などのアルキル基)で表されるものである。その中でもMがSi、Alあるいは両者の混合物が種々の特性に優れている。
【0037】
3官能オルガノシランとはメトキシトリエチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシランなど一般式(R2 −Si(OR1 3 n (R
1 :CH3 ,C2 5 ,C2 4 OCH3 、R2 :有機官能基)で表されるものであり、なかでもR’の末端がエポキシ基3であるグリシドオキシプロピルトリメトキシシランやエポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどが最も好ましい。
【0038】
水溶性高分子とは、PVA、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。その中でもPVAを用いた場合にバリア特性が最も優れている。ここでいうPVAとは一般に酢酸ビニルアルコールをケン化して得られるもので、酢酸基が数十%程度残存しているいわゆる部分ケン化PVAから、数%しか残存していない完全ケン化PVAまでの総称であって特に限定されるものではない。
【0039】
コート層である被膜はこのような金属アルコキシドや3官能基オルガノシランを直接あるいはあらかじめ加水分解反応させたものを水溶性高分子、イソシアネート化合物と混合して複合溶液を作製し、基材にコーティングして形成させるものである。
【0040】
金属アルコキシドと3官能基オルガノシランとの比率は、モル比率で0.99:0.01から0.7:0.3が望ましく、オルガノシランが0.01以下では耐水性が期待できず、また、0.3以上ではバリア性が低下する。
【0041】
金属アルコキシドとオルガノシランを金属酸化物に換算したときの金属酸化物と水溶性高分子との重量比率が、20:80〜95:5の範囲がバリア性、可撓性ともに優れている。さらにイソシアネート化合物の占める割合は、全体の0.1〜20%が望ましく、0.1%以下では耐水性の効果が薄く、20%以上ではバリア性が著しく低下する。
【0042】
コーティングの方法は通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などいずれの方法を用いても良い。
被膜の厚さは,用いる複合物の種類によっても異なるが、約0.01〜1000μmの範囲内であれば良い。しかし、50μm以上では膜にクラックが入り易くなるため、0.01〜50μmの範囲内にあることがより望ましい。
【0043】
つぎにアンカーコートについて説明する。
シランカップリング剤の例は、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、例えばビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤あるいはその加水分解物の1種ないしは2種以上を用いることができる。
【0044】
さらにこれらのシランカップリング剤のうち、ポリオールの水 酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を持つものが特に好ましい。例えばγ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランのようなイソシアネート基を含むもの、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのようなメルカプト基を含むものや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ基を含むものがある。
【0045】
さらにγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のようにエポキシ基を含むものや、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のようなシランカップ
リング剤にアルコール等を付加し水酸基等を付加したものでも良く、これら1種ないしは2種以上を用いることができる。
【0046】
これらのシランカップリング剤は、一端に存在する有機官能基がポリオールとイソシアネート化合物からなる複合物中で相互作用を示し、もしくはポリオールの水酸基またはイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を含むシランカップリング剤を用いることで共有結合をもたせることによりさらに強固なプライマー層を形成し、他端のアルコキシ基またはアルコキシ基の加水分解によって生成したシラノール基が無機酸化物中の金属や、無機酸化物の表面の極性の高い水酸基等と強い相互作用により無機酸化物との高い密着性を発現し、目的の物性を得ることができるものである。
【0047】
よって上記アンカーコート層としてシランカップリング剤を金属アルコキシドとともに加水分解反応させたものを用いても構わない。また上記シランカップリング剤のアルコキシ基がクロロ基、アセトキシ基等になっていても何ら問題はなく、これらのアルコキシ基、クロロ基、アセトキシ基等が加水分解し、シラノール基を形成するものであればこの複合物に用いることができる。
【0048】
またポリオールとは高分子末端に、2つ以上のヒドロキシル基をもつもので、後に加えるイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応させるものである。このポリオールとして、アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られるポリオールもしくは、アクリル酸誘導体モノマーおよびその他のモノマーとを共重合させて得られるポリオールであるアクリルポリオールが好ましい。
【0049】
中でもエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートやヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸誘導体モノマーを重合させたアクリルポリオールや、前記アクリル酸誘導体とスチレン等のその他のモノマーを加え共重合させたアクリルポリオールが好ましく用いられる。またイソシアネート化合物との反応性、シランカップリング剤との相溶性を考慮すると前記アクリルポリオールのヒドロキシル価が5〜200(KOHmg/g)の間であることが好ましい。
【0050】
アクリルポリオールとシランカップリング剤の配合比は、重量比で1/1から1000/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは2/1から100/1の範囲にあることである。溶解および希釈溶媒としては、溶解および希釈可能であれば特に限定されるものではなく、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が単独および任意に配合されたものを用いることができる。しかし、シランカップリング剤を加水分解するために塩酸等の水溶液を用いる場合には、共溶媒としてイソプロピルアルコール等のアルコール類と極性溶媒である酢酸エチルを任意に混合した溶媒を用いることが好ましい。
【0051】
更にイソシアネート化合物は、アクリルポリオールなどのポリオールと反応してできるウレタン結合によりプラスチック基材や無機酸化物との密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。前記機能を発揮するイソシアネート化合物の具体例としては、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、脂肪族系のキシレンジイソシアネート(XDI)やヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などのモノマー類、これらの重合体、もしくは誘導体の1種、またはこれらの2種以上用いることができる。
【0052】
ここで、アクリルポリオールとイソシアネート化合物の配合比は特に制限されるもので
はないが、イソシアネート化合物が少なすぎると硬化不良になる場合があり、またそれが多すぎるとブロッキング等が発生し加工上問題がある。そこでアクリルポリオールとインソシアネート化合物との配合比としては、イソシアネート化合物由来のNCO基がアクリルポリオール由来のOH基の50倍以下であることが好ましく、特に好ましいのはNCO基とOH基が当量で配合される場合である。混合方法は、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
【0053】
本発明におけるアンカーコート層は、シランカップリング剤、ポリオール、イソシアネート化合物を任意の濃度で混合した複合溶液を製作し、プラスチック基材にコーティング、乾燥硬化して形成する。前記アンカーコート層を形成するアンカーコート剤は具体的には、シランカップリング剤とポリオールを混合し、溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物と混合して作成する。前記方法以外にシランカップリング剤とポリオールを溶媒中混合しておき予めシランカップリング剤とポリオールを反応させたものを溶媒、希釈剤を加え任意の濃度に希釈した後、イソシアネート化合物加えて作製する方法などがある。
【0054】
前記アンカーコート剤にさらに各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を添加する事も可能である。
【0055】
アンカーコート層は、アンカーコート剤を例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いプラスチック基材の上にコーティングし、その後コーティング膜を乾燥乾燥し溶媒等を除去し硬化させることによって形成する。
【0056】
アンカーコート層の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.01〜2μmの範囲であることが好ましい。厚さが0.01μmより薄いと均一な塗膜が得られにくく密着性が低下する場合がある。また厚さが2μmを越える場合は厚いために塗膜にフレキシビリティを保持させることができず、外的要因により塗膜に亀裂を生じる恐れがあるため好ましくない。特に好ましいのは0.05〜0.5μmの範囲内にあることである。
【0057】
つぎにリアクティブイオンエッチング処理(RIE)について説明する。
RIEによる前処理を行うためのガス種としては、アルゴン、酸素、窒素、水素を使用することが出来る。これらのガスは単独で用いても、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。また、2基の処理器を用いて、連続して処理を行ってもよい。
【0058】
加工速度、エネルギーレベルなどで示される処理条件は、基材種類、用途、放電装置特性などに応じ、適宜設定するべきである。ただし、プラズマの自己バイアス値は200V以上2000V以下、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100V・s/m2 以上10000V・s/m2 以下にすることが必要であり、これより若干低い値でも、ある程度の密着性を発現するが、未処理品に比べて優位性が低い。また、高い値であると、強い処理がかかりすぎて基材表面が劣化し、密着性が下がる原因になる。プラズマ用の気体及びその混合比などに関してはポンプ性能や取り付け位置などによって、導入分と実効分とでは流量が異なるので、用途、基材、装置特性に応じて適宜設定するべきである。
【0059】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0060】
構成:PET12μm/インキ/ドライ1/Arプラズマ/PET12μm/酸化アルミニウム/ドライ2/CPP30μm。
・Ar低温プラズマ…低温プラズマ処理ユニットとして、チタン(Ti)をカソードとしたDCマグネトロン放電方式のものを用意し、真空度1.5×10-5Torrとした後、低温プラズマ処理ユニット内にその真空度が5.0×10-3Torrとなるようにアルゴン(Ar)にてプラズマを発生させ、上述のPETフィルムの非コロナ処理面に対して低温プラズマ処理を行い、本発明の蒸着用PETフィルムを得た。
【0061】
・PET低温プラズマ処理面のXPS測定:C1s波形分離
C−C結合の半値幅(FWHM)⇒1.23eV
元素比率O(酸素)/C(炭素)⇒0.505
・酸化アルミニウム:真空蒸着法でアルミニウム蒸気と酸素ガスの反応蒸着で製膜。
・インキ:ウレタン/塩酢ビ系インキの白べた
・ドライ1、2:ウレタン系接着剤
・ドライ1の剥離強度(ラミ強度)⇒300g/15mm。
【実施例2】
【0062】
構成:PET12μm/インキ/ドライ1/Ar+O2 低温プラズマ/PET12μm/酸化アルミニウム/ドライ2/CPP30μm。
・ArガスとO2 ガスのモル比が50:50
・PET低温プラズマ処理面のXPS測定:C1s波形分離
C−C結合の半値幅(FWHM)⇒1.42eV
元素比率O(酸素)/C(炭素)⇒0.515
・ドライ1の剥離強度(ラミ強度)⇒350g/15mm。
【実施例3】
【0063】
構成:PET12μm/インキ/ドライ1/O2 低温プラズマ/PET12μm/酸化アルミニウム/ドライ/CPP30μm。
・PET低温プラズマ処理面のXPS測定:C1s波形分離。
C−C結合の半値幅(FWHM)⇒1.55eV
元素比率O(酸素)/C(炭素)⇒0.535
・ドライ1の剥離強度(ラミ強度)⇒400g/15mm。
【実施例4】
【0064】
構成:PET12μm/ドライ1/インキ/Ar低温プラズマ/PET12μm/酸化アルミニウム/コート1/ドライ/CPP30μm。
・PET低温プラズマ処理面のXPS測定:C1s波形分離
C−C結合の半値幅(FWHM)⇒1.23eV
元素比率O(酸素)/C(炭素)⇒0.505。
【0065】
・コート1:テトラエトキシシラン〔Si(OC2 5 4 :以下、TEOSとする〕10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液とポリビニルアルコールの3.0wt%水/イソプロピルアルコール溶液の混合溶液を塗布乾燥。
・ドライ1の剥離強度(ラミ強度)⇒400g/15mm。
【実施例5】
【0066】
構成:PET12μm/ドライ1/インキ/Ar低温プラズマ/PET12μm/アンカーコート/酸化アルミニウム/Eコート/ドライ/CPP30μm。
・アンカーコート:希釈溶媒(酢酸エチル)中、γ−イソシアネートプロピルトリメチルシラン1重量部に対し、アクリルポリオールを5重量部を量りとり混合し、攪拌する。ついでイソシアネート化合物としてトリイジルイソシアネート(以下TDIという)をアクリルポリオールのOH基に対しNCO基が等量となるように加えた混合溶液を2%の濃度に希釈したものをグラビアコーターで塗布し乾燥機で100°C、1分間乾燥させ、厚さ0.3μmのアンカーコート層を作成した。
【0067】
・PET低温プラズマ処理面のXPS測定:C1s波形分離
C−C結合の半値幅(FWHM)⇒1.23eV
元素比率O(酸素)/C(炭素)⇒0.505
・ドライ1の剥離強度(ラミ強度)⇒500g/15mm。
【実施例6】
【0068】
構成:PET12μm/インキ/ドライ1/Ar低温プラズマ/PET12μm/RIE処理/酸化アルミニウム/コート1/ドライ/CPP30μm。
・RIE:電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、処理ガスにアルゴン/酸素混合ガスを用いた。
【0069】
・PET低温プラズマ処理面のXPS測定:C1s波形分離
C−C結合の半値幅(FWHM)⇒1.23eV
元素比率O(酸素)/C(炭素)⇒0.505
・ドライ1の剥離強度(ラミ強度)⇒300g/15mm。
【実施例7】
【0070】
構成:インキ/Ar低温プラズマ/PET12μm/酸化アルミニウム/コート1/ドライ/CPP30μm。
・PET低温プラズマ処理面のXPS測定:C1s波形分離
C−C結合の半値幅(FWHM)⇒1.23eV
元素比率O(酸素)/C(炭素)⇒0.505
・ドライ1の剥離強度(ラミ強度)⇒300g/15mm。
【出願人】 【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6747(P2008−6747A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181021(P2006−181021)