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医療用積層編地、それを用いた手術衣、それを用いた手術用資材 - 特開2008−6664 | j-tokkyo
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【発明の名称】 医療用積層編地、それを用いた手術衣、それを用いた手術用資材
【発明者】 【氏名】西山 武史

【氏名】堀井 二三男

【要約】 【課題】伸縮性に優れるとともに、洗濯・滅菌処理に対する耐久性に優れ、しかも快適に使用できる医療用の積層編地を提供する。

【構成】バクテリアバリア性及び耐熱耐久性を有するフィルムの両面に、ポリエステルフィラメント糸を用いたトリコット編地が貼り合わされた積層編地である。経方向の伸長率が3%以上、緯方向の伸長率が5%以上であり、伸長回復率が90%以上であり、目付けが230g/m以下であり、湿熱滅菌洗濯100洗後における経緯方向の収縮率が共に20%以下である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バクテリアバリア性及び耐熱耐久性を有するフィルムの両面にポリエステルフィラメント糸を用いたトリコット編地が貼り合わされており、経方向の伸長率が3%以上、緯方向の伸長率が5%以上であり、伸長回復率が90%以上であり、目付けが230g/m以下であり、湿熱滅菌洗濯100洗後における経緯方向の収縮率が共に20%以下であることを特徴とする医療用積層編地。
【請求項2】
ポリエステルフィラメント糸が加工糸であることを特徴とする請求項1記載の医療用積層編地。
【請求項3】
トリコット編地の編成組織が、ハーフ、逆ハーフ、サテン及びアトラスからなる群より選ばれた組織を含んでいることを特徴とする請求項1または2記載の医療用積層編地。
【請求項4】
帯電電荷密度が7μC/m以下であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の医療用積層編地。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の医療用積層編地にて形成されていることを特徴とする手術衣。
【請求項6】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の医療用積層編地にて形成されていることを特徴とする手術用資材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用積層編地、それを用いた手術衣、それを用いた手術用資材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、手術衣、手術用資材などの生地として、バクテリアバリア性及び耐湿熱性を有するフィルムと、紡績糸からなる編物とを積層した積層生地(例えば、特許文献1参照)や、ポリエステル系長繊維織編物の上にポリウレタン系樹脂フィルムが非全面状に積層された生地(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。手術用資材としては、手術包布、マスク、シーツ、手術用具をパッケージするための袋などが挙げられる。
【0003】
これらの生地は、過酷な洗濯・滅菌処理に対して優れた耐久性を発揮し、手術中の体液や血液を媒介とする二次感染を抑制しうるに留まらず、吸汗性にも優れるという作用効果を奏する。そのため、これらの生地は、上記の手術衣、手術用資材はもちろん、医療用テキスタイル全般に使用しうる。
【特許文献1】特開平9−78464号公報
【特許文献2】特開2000−316694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の生地に共通する問題点として、伸縮性に劣るという欠点がある。これによって、手術の際の細かい作業を阻害することがある。これに対処するために、フィルムに積層する編地として、伸縮性に優れた丸編地を採用すればよいと考えられるが、丸編地は、編地の柔軟性及びドレープ性が高すぎるため、使用者にかえって重量感を与えてしまうという問題がある。
【0005】
さらに、特許文献1に記載された積層生地においては、紡績糸からなる編物が使用されているため、この紡績糸から浮遊繊維が発せられることが皆無ではなく、もし発せられると、その浮遊繊維が患部へ付着するおそれがあり、その点について改善の余地がある。また、特許文献2に記載された生地においては、フィルムの片面にしか生地が積層されていないため、洗濯を繰り返すうちにフィルムにおける反対側の表面が徐々に傷つくおそれがあり、ある程度以上の傷が生じると、その傷に雑菌が残留するだけでなく、その傷から患部の血液が進入する恐れもあり、同様に改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、伸縮性に優れるとともに、洗濯・滅菌処理に対する耐久性に優れ、しかも快適に使用できる医療用の積層編地を提供することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)バクテリアバリア性及び耐熱耐久性を有するフィルムの両面にポリエステルフィラメント糸を用いたトリコット編地が貼り合わされており、経方向の伸長率が3%以上、緯方向の伸長率が5%以上であり、伸長回復率が90%以上であり、目付けが230g/m以下であり、湿熱滅菌洗濯100洗後における経緯方向の収縮率が共に20%以下であることを特徴とする医療用積層編地。
【0008】
(2)ポリエステルフィラメント糸が加工糸であることを特徴とする(1)の医療用積層編地。
【0009】
(3)トリコット編地の編成組織が、ハーフ、逆ハーフ、サテン及びアトラスからなる群より選ばれた組織を含んでいることを特徴とする(1)または(2)の医療用積層編地。
【0010】
(4)帯電電荷密度が7μC/m以下であることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかの医療用積層編地。
【0011】
(5)上記(1)から(4)までのいずれかに記載の医療用積層編地にて形成されていることを特徴とする手術衣。
【0012】
(6)上記(1)から(4)までのいずれかに記載の医療用積層編地にて形成されていることを特徴とする手術用資材。
【発明の効果】
【0013】
本発明の医療用積層編地は、バクテリアバリア性及び耐熱耐久性を有するフィルムの両面にポリエステルフィラメント糸を用いたトリコット編地が貼り合わされており、経方向の伸長率が3%以上、緯方向の伸長率が5%以上であり、伸長回復率が90%以上であり、目付けが230g/m以下であり、湿熱滅菌洗濯100洗後における経緯方向の収縮率が共に20%以下であることで、伸縮性に優れるとともに、洗濯・滅菌処理に対する耐久性に優れる。また、使用者に重量感を与えることが少ないため、快適に使用することができる。
【0014】
本発明の医療用積層編地は、医療用テキスタイル全般に使用しうるものであるが、特に手術衣及び手術用資材に好適に使用できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を詳細に説明する。
本発明の医療用積層編地に用いられるポリエステルフィラメント糸の原料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどがあげられる。中でも、滅菌処理時の耐熱性や色相維持を重視する場合はポリエチレンテレフタレートを採用することが、また伸縮性や洗濯時における耐アルカリ加水分解性を考慮する場合はポリブチレンテレフタレートを採用することが、それぞれ好ましい。フィラメント糸を構成するポリマーの重合度の向上や末端基の封鎖等によっても、耐アルカリ加水分解性を向上させることが可能である。
【0016】
本発明においては、フィラメント糸を使用する。紡績糸を用いると、紡績糸の浮遊繊維が患部へ付着する場合があるためである。また、編地の伸縮性向上を図る上でも、紡績糸に比べフィラメント糸が有利である。
【0017】
フィラメント糸の形態としては、どのようなものであっても特に限定されない。中でも、加工糸が好ましい。これは、加工糸は一般に嵩高であるため、生糸に比べフィルムを覆う効果に優れ、フィルムを洗濯時のダメージから守る効果が高いことによる。本発明においては、加工糸の中でも特に捲縮加工された加工糸が好ましく用いられる。これは、上記の効果に加え、積層編地の伸縮性、寸法安定性などをより向上させることができるからである。つまり、捲縮加工糸を用いることによって、生地の伸縮性がより向上し、加えて、フィルムとの積層加工時に接着樹脂の浸透がより強くなり、剥離強力が向上するという利点がある。
【0018】
加工糸を得る方法としては、特に限定されず、公知法に準ずればよい。すなわち、捲縮加工されていない加工糸の場合は、空気混繊法などを採用でき、捲縮加工された加工糸の場合は、押込加工、仮撚加工、ニットデニット法などを採用できる。
【0019】
フィルムの両面に貼り合わされる編地は、このフィルムを保護するためのものであるから、表面に大きい空隙部を有しないことが重要である。このために、トリコット編地であることが必要がある。
【0020】
また、編地組織としては、無地で均一な組織が好ましく、具体的には、ハーフ、逆ハーフ、サテン及びアトラスからなる群より選ばれた組織を含んでいることが好ましい。また、編地組織として、鎖編組織(1−0/0−1)を含まないことが好ましい。鎖編組織は、トリコットの基本組織中で最もランナー長が短く、組織として単純であるため、編地を薄くすることが可能であるが、鎖編組織を含む場合、生地の伸縮が大きく制限され、手術時の作業性に支障を来たす恐れがあるからである。特に最外層にこの組織を用いた場合には顕著に伸縮性が低下するからである。
【0021】
フィルム保護の観点から、フィルムの両面に編地を積層することが重要である。フィルムの片面のみに編地を積層しただけの場合は、積層していない側のフィルム面が、着用時や、洗濯・滅菌時に傷つきやすく、そこから患部の血液等が進入する恐れがあり、加えて、加熱滅菌時にフィルム面同士が貼り付いて、破れや剥離を引き起こす懸念がある。
【0022】
本発明におけるバクテリアバリア性及び耐熱耐久性を有するフィルムとしては、前述の特許文献1などに記載された公知のものを用いることができる。このようなフィルムの素材として、具体的には、特許文献1に記載のように、ポリカーボネートポリウレタン系樹脂、シリコーンポリウレタン系樹脂、クロロスルフォン化ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。中でも、耐熱性、洗濯・滅菌耐久性、伸縮性等を考慮すると、ポリカーボネートポリウレタン系樹脂が好ましい。
【0023】
フィルムと編地とを接着するための接着樹脂については、従来から公知の樹脂が使用可能である。中でも、ウレタン系接着樹脂が好ましく、特にポリカーボネートポリオールまたはポリテトラメチレングリコールポリオールを主成分とする二液型ウレタン系接着樹脂がより好ましい。
【0024】
編地とフィルムとの積層接着を行う場合には、特許文献1に記載のように、離型紙を用いた公知の方法で接着を行うことができる。すなわち、離型紙にフィルム材料をコーティングしてフィルムを形成し、フィルム表面に接着樹脂による接着剤層を積層し、さらに編地を積層して熱プレスなどを施すことにより、編地とフィルムとの積層接着を行って積層編地を得ることができる。これをフィルムの両面について施す。このとき、生地の剥離強力を考慮すると、接着樹脂を全面に塗布して接着を行うのが好ましいが、積層した生地の柔軟性が求められる場合には、片面側、特に手術衣等の衣料用途の場合には内側となる肌側の接着を、ドット状の部分接着にすることによって、耐久性を落とさずに柔軟性を向上することが可能になる。
【0025】
編地における積層接着を行う面は、アンダーラップ側、ループ側どちら側でもよく、どちら側にするかは、使用する編地の組織や求める機能(吸水性・撥水性等)によって判断するのが最良である。一般的には、編地の耐摩耗性を考慮して、編地におけるアンダーラップ側を接着してループ側を表側に使用するのが好ましい。しかし、吸水加工を施して吸水量を求める場合などにおいては、ループ側を接着してアンダーラップ側を表に使用しても構わない。
【0026】
積層編地の目付は、230g/m以下であることが必要で、特に手術衣等の医療用被服に使用する際には、200g/m以下であることが好ましい。230g/mを超えると、手術衣等の医療用被服に使用した際に、重量が大きく、手術時の疲労を増す原因となる懸念がある。
【0027】
積層編地の伸長率は、経方向で3%以上、緯方向で5%以上であることが必要であり、好ましくは、経方向で4〜15%、緯方向で6〜40%である。経方向は手術衣における着丈の方向であるため、伸び過ぎると却って着心地が低下する。これに対し緯方向は身体を動かす方向であるため、上述のように経方向よりも伸長率が高い方が好都合である。伸長率が上記範囲から外れると、手術の作業性が低下することが懸念される。なお、本発明によれば、トリコット編地を用いるものであるため、経方向で伸長率が低く、緯方向ではそれよりも伸長率が高い積層編地を容易に得ることができる。
【0028】
伸長率を上記の範囲にするためには、編目の粗さや編糸の繊度や編組織などを適宜にコントロールすればよい。たとえば、編目が適度に詰まっていることで、伸長率を高くすることができる。編目が粗すぎると、大半の編糸が接着樹脂によってフィルムに張り付いてしまい、伸長率を向上させることが困難となる。編目が細かすぎても、編糸が詰まり過ぎて各編糸の動きを阻害することになって、同様に伸長率を向上させることが困難となる。
【0029】
積層編地の伸長回復率は、経方向・緯方向ともに90%以上であることが必要であり、90〜99%であることが好ましい。伸長回復率が90%未満の場合は、伸長した部分が薄くなって弱化してしまい、着用中もしくは洗濯中にその弱化した部分に破れや剥離を生じる恐れがある。加えて、編地が伸びた状態になってしまうことから着用時のフィット感が劣り、また重さをより感じやすくなって疲労感が増加する場合がある。
【0030】
伸長回復率を90%以上とするためには、伸長率の場合と同様に、編目の粗さや編糸の繊度や編組織などを適宜にコントロールすればよい。
本発明の積層編地は、編地を用いることによって、その伸縮性が飛躍的に向上する。加えて、フィルムとの積層加工を考慮した場合、織物や不織布と比較して、編地とフィルムとを接着するための接着樹脂が編地の編目に浸透することで、剥離強力が向上し、より強固な接着が可能となる。このことによって、洗濯・滅菌時に編地の剥離を防ぐことが可能になる。
【0031】
積層編地の帯電電荷密度は、7.0μC/m以下であることが好ましく、0.1〜4.0μC/mであることがより好ましい。これにより、医療用の精密機器に対する静電気の悪影響を除外することが可能になる。このような性能を具現するには、積層する編地内に導電性繊維を含ませればよい。具体的には、導電性繊維を1〜2本/cm程度、編地内に配列させればよい。
【0032】
積層編地は、手術衣外側での使用時の感染防御性を重視する用途の場合には撥水加工を施すことで、また、資材用途や肌側の吸汗性を重視する用途の場合には吸水加工を施すことで、より効果が向上する。なお、編地−フィルム−編地の3層積層編地の片面を撥水加工することによって、生地の防水性能や剥離強力をより強固に維持することができる。
【0033】
本発明では、積層編地を用いて手術衣や手術用資材を作製することができる。この場合、積層編地を患部に近接する箇所のみに部分的に用いてもよい。例えば、手術衣の場合は、身体の前面部及び腕部に本発明の積層編地を用い、他の部分には通常の耐久撥水加工された高密度布帛等を用いる方法もある。同様に、手術用資材の場合には、患部周辺に本発明の積層編地を用い、患部から離れた部分には通常の耐久撥水加工された高密度布帛等を用いる方法もある。
【0034】
本発明の医療用積層編地は、洗濯・滅菌によって繰り返しの使用が可能である。繰り返し使用性を確認する際の洗濯・滅菌の条件としては、ワッシャー型洗濯機を用い、温度70℃、pH9、浴比すなわち(洗濯物質量):(洗濯水質量)=1:30、洗剤1g/Lで20分処理した後、オートクレーブを用いて121℃で15分湿熱滅菌処理を行う工程を1回とする。本発明の医療用積層編地においては、この処理を100回繰り返した後の収縮率が経方向・緯方向共に20%以内であることが必要であり、15%以内であることが好ましい。本発明の医療用積層編地は、ポリエステルフィラメント糸を用いているため、上記の洗濯・滅菌処理を100回行っても、収縮率を20%以内に収めることができるのみならず、積層編地の剥離や破れが生じないという性能を保持することもできる。
【0035】
本発明の医療用積層編地は、伸縮性に優れ、このため手術衣とした場合には神経を使う細かい作業の作業性が格段に向上し、手術時の集中力維持や疲労軽減にも効果を発する。また、洗濯・滅菌を施して繰り返し使用することが可能であり、このため廃棄の頻度が低下することで環境負荷を低減することができる。かつ、これと同時に、滅菌処理を行うことが前提となっていることから、外部への感染予防に役立つ。加えて、バクテリアバリアフィルムを積層することによって感染防御性が向上し、フィラメントの使用により発塵性が抑えられる。
【実施例】
【0036】
次に実施例により本発明を具体的に説明する。なお、下記の実施例、比較例における各種性能の評価は、下記の方法で行った。
【0037】
〔洗濯・滅菌耐久性〕
ワッシャー型洗濯機を用い、経50cm×緯50cmの積層生地を、温度70℃、pH9、浴比1:30、洗剤1g/Lで20分洗濯処理した後、常温の水で4分×5回すすぎを行い、脱水・乾燥後、オートクレーブを用いて121℃で15分湿熱滅菌処理を行う工程を1回とした。この処理を100回繰り返した後の積層生地の寸法変化率を測定するとともに、剥離・破れの有無を目視で確認して評価した。寸法変化率は、伸びた場合は「+」の符号を付し、縮んだ場合は「−」の符号を付した。
【0038】
〔伸縮性〕
JIS−L−1018 伸長率(定速伸長法)、及び伸長回復率(定速伸長法)に準じて測定を行い、荷重14.7N時の伸長率と、荷重14.7N時の伸長率に対して80%の割合を伸長させた際の伸長回復率とを、%で示した。
【0039】
〔発塵性〕
JIS−B−9923 クリーンルーム用衣服の汚染粒子測定方法に準じて測定を行い、測定布1mあたりの0.5μm以上5μm未満の粒子の発生個数で評価した。
【0040】
〔帯電電荷密度〕
JIS−L−1094 帯電電荷密度測定(生地評価)に準じて測定を行った。その結果を、単位:μC/mで示した。
【0041】
〔着用感〕
積層編地を用いて手術衣を作製し、これを着用して術時と同様に身体を動かした際の着用感を、作業性及び疲労度の観点から判断し、3段階評価(○:作業性良好である、△:作業性に気になる点がある、×:作業性不良である)を行った。
【0042】
(実施例1)
28ゲージトリコット編機を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィラメント33デシテックス12フィラメントにポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント28デシテックス2フィラメントを2本/吋のピッチで経方向に配列した、フロント筬組織1−2/1−0、バック筬組織1−0/2−3のトリコットハーフ編地を編立し、公知の加工工程にて染色加工を実施し、編地密度38ウエール/吋×55コース/吋のトリコット編地を作製した。ポリプロピレン製押出ラミネート離型紙を用いて、その表面に膜厚20μmのポリカーボネートポリウレタンフィルムを形成した。このフィルムに、上述したトリコット編地のアンダーラップ側を、ポリカーボネートポリオール樹脂に芳香族系ポリイソシアネート架橋剤とアミン系促進剤を加えた接着樹脂を用いて接着し、2層積層編地を作製した。接着条件として、温度100℃×線圧1.5kg/cmで加圧接着し、常温下で48時間放置・熟成した。次に、この2層積層編地から離型紙を剥離し、その剥離側のフィルム面に、上述と同じ他のトリコット編地のアンダーラップ側を、同様の接着樹脂を用いて同条件にて加圧接着を行い、常温下で48時間放置・熟成して、3層積層編地を作製した。この3層積層編地の両耳端をカットして巾を揃えた後、編地両面の表側にフッ素系撥水剤を用いて撥水加工を行い、目付165g/mの医療用3層積層編地を得た。
【0043】
(実施例2)
28ゲージトリコット編機を用い、ポリエチレンテレフタレートフィラメント56デシテックス96フィラメントを用いて、フロント筬組織1−2/1−0、バック筬組織1−0/2−3のトリコットハーフ編地を編立し、公知の加工工程にて染色加工を実施し、編地密度48ウエール/吋×47コース/吋のトリコットハーフ編地を作製した。上記実施例1に記載の2層積層編地のフィルムにおける剥離紙を剥離した面に、このトリコットハーフ編地のアンダーラップ側を、実施例1記載の条件で加圧接着し、常温下で48時間放置・熟成して、3層積層編地を作製した。この3層積層編地の両耳端をカットして巾を揃えた後、生地の両表面に吸水加工を行い、目付217g/mの医療用3層積層編地を得た。
【0044】
(実施例3)
28ゲージトリコット編機を用い、ポリブチレンテレフタレートフィラメント仮撚捲縮加工糸56デシテックス24フィラメントにポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント28デシテックス2フィラメントを2本/吋のピッチで経方向に配列した、組織1−0/1−2/2−3/2−1のトリコットシングルアトラス編地を編立し、公知の加工工程にて染色加工を実施し、編地密度40ウエール/吋×70コース/吋のトリコット編地を作製した。この編地を両面に用いて実施例1と同様に3層積層編地を作製し、両耳端をカットして巾を揃えた後、生地の両表面に撥水加工を行い、目付161g/mの医療用3層積層編地を得た。
【0045】
(比較例1)
ウォータージェットルーム織機を用い、経糸・緯糸共に、ポリエチレンテレフタレートフィラメント84デシテックス72フィラメントにポリエチレンテレフタレート導電性フィラメント28デシテックス2フィラメントを2本/吋のピッチで配列した平織物を製織し、公知の加工工程にて染色加工を実施し、生地密度が経160本/吋×緯100本/吋の織物生地を作製した。この生地を両面に用いて実施例1と同様に3層積層生地を作製し、両耳端をカットして巾を揃えた後、生地の両表面に撥水加工を行い、目付230g/mの医療用3層積層生地を得た。
【0046】
(比較例2)
実施例1に比べ、ポリエチレンテレフタレートフィラメントのトータル繊度を56デシテックス24フィラメントに変え、並びに、編地密度を45ウエール/吋×70コースに変えた。そして、それ以外は実施例1と同様にして、目付220g/mの医療用3層積層編地を得た。
【0047】
(比較例3)
エアージェットルーム織機を用い、経糸・緯糸共に、ポリエステル短繊維よりなる芯層が30質量%、綿繊維よりなる鞘層が70質量%の複重層紡績糸30番単糸を用いて平織物を製織した。そして、公知の加工工程にて染色加工を施し、生地密度が経120本/吋×緯65本/吋の織物生地を作製した。この生地に、膜厚20μmのポリカーボネートポリウレタンフィルムを、ポリカーボネートポリオール樹脂に芳香族系ポリイソシアネート架橋剤とアミン系促進剤を加えた接着樹脂を用いて、温度100℃×線圧1.5kg/cmの条件で加圧接着した。そして、常温下で48時間放置・熟成して、目付200g/mの医療用2層積層生地を得た。
【0048】
(比較例4)
28ゲージ丸編機を用い、ポリエチレンテレフタレートフィラメント84デシテックス72フィラメント仮撚捲縮加工糸を用いた天竺編物を編立し、公知の加工工程にて染色加工を実施し、編地密度42ウエール/吋×47コース/吋の天竺編地を作製した。この編地を両面に用い、それ以外は実施例1と同様にして、3層積層編地を作製した。そして、両耳端をカットして巾を揃えた後、編地の両表面に撥水加工を行い、目付170g/mの医療用3層積層編地を得た。
【0049】
実施例1〜3及び比較例1〜4の積層編地、積層生地について、前述した諸性能を評価した。その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】


【0051】
表1に示す通り、実施例1〜実施例3の積層編地は、洗濯・滅菌耐久性、伸縮性、帯電電荷密度、発塵性の何れにおいても、優秀な成績を示した。着用試験すなわち着用感においても、作業性に優れて高評価が出ており、疲労も少ないものであった。このため、医療用被服・資材用生地として好適であることが実証された。
【0052】
これに対し、比較例1においては本発明のようなトリコット編地ではなく平織物を用いたものであったため、比較例2においては編地密度が高すぎたため、いずれも伸長率が非常に低く、結果として着用感の基準となる作業性が劣ってしまい、疲労度が増すとの結果が出た。特に比較例1では、本発明のようなトリコット編地ではなく平織物を用いたものであったため、生地に対する接着樹脂の浸透が劣り、このため洗濯・滅菌100回より前に生地の剥離が発生した。
【0053】
比較例3は、本発明のようなフィラメント糸を用いたものではなく紡績糸を用いたものであったため、他の比較例よりも着用感は若干良好であったが、比較例1と同様に本発明のようなトリコット編地ではなく平織物を用いたものであったため、同様に生地の伸縮が少ないという欠点があった。また紡績糸を用いたものであったために毛羽が多発し、発塵量が非常に多く、手術時に患部を汚染する懸念があるものであった。加えて、本発明のような3層構造ではなく、フィルムの片側のみに生地を積層しているため、フィルム面の傷発生や、フィルム面同士での貼り付きが見受けられた。
【0054】
比較例4については、本発明のようなトリコット編地ではなく天竺編地であったため、伸縮性は十分であるものの、寸法変化率が非常に大きく、加えてドレープ性が大きかったため、着用試験において編地の重さが肩に大きく掛かり、疲労度が大きいものであった。
【0055】
比較例3及び4は、導電性繊維を繊維中に使用していないため、帯電電荷密度が高く、医療用の精密機器に影響を及ぼす恐れがあるものであった。
【出願人】 【識別番号】599089332
【氏名又は名称】ユニチカテキスタイル株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫

【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘

【識別番号】100096437
【弁理士】
【氏名又は名称】笹原 敏司

【識別番号】100100000
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 洋平


【公開番号】 特開2008−6664(P2008−6664A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178854(P2006−178854)