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FRP成形品及び洗い場床パン - 特開2008−6622 | j-tokkyo
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【発明の名称】 FRP成形品及び洗い場床パン
【発明者】 【氏名】井上 孝啓

【氏名】筒井 利尚

【氏名】田川 清美

【要約】 【課題】SMCの含浸樹脂が表面層に突き抜けて露出することがなく、表面層を、表面シートのみによる均質な特性にすることができる。

【構成】基材層1と、不織布に樹脂を含浸させた中間シートよりなる中間層2と、不織布に樹脂を含浸させた表面シートよりなる表面層3とを上下に積層一体成形したFRP成形品である。SMCと表面シートとの間に介在される中間シートが上記SMCや表面シートよりも速硬性のものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SMCからなる基材層と、不織布に樹脂を含浸させた中間シートよりなる中間層と、不織布に樹脂を含浸させた表面シートよりなる表面層とを上下に積層一体成形したFRP成形品であって、上記SMCと表面シートとの間に介在される中間シートが上記SMCや表面シートよりも速硬性のものであることを特徴とするFRP成形品。
【請求項2】
表面シート、中間シートの含浸樹脂がSMCの含浸樹脂であるポリエステル樹脂よりも親水性の優れたアクリル樹脂又はポリ酢酸ビニル樹脂又はポリウレタン樹脂で構成してあることを特徴とする請求項1記載のFRP成形品。
【請求項3】
表面シート、中間シートの不織布がガラス、あるいはガラスとポリエステルが混紗されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のFRP成形品。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載したFRP成形品よりなることを特徴とする洗い場床パン。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、表面シートにより表面層を形成したFRP成形品及び洗い場床パンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からSMCからなる基材層と、繊維補強材と、不織布に熱硬化性樹脂を含浸させた表面シートとを積層一体成形したFRP成形品が特許文献1により知られている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に示された従来例にあっては、繊維補強材を、SMCからなる基材層と、熱硬化性樹脂を含浸させた表面シートとの間に介在させて全体を加熱加圧することで一体成形するものであるから、加熱加圧する際に基材層を形成するためのSMCの含浸樹脂が繊維補強材内に入り込み、更に、繊維補強材を通過して表面シート部分に圧入し、表面シートの表面に部分的にSMC中の含浸樹脂が突き抜けて露出するおそれがある。このようにして成形されるFRP成形品の表面層は表面シートにより形成されるのでFRP成形品の表面の特性は表面シートにより特定される特性となる。しかしながら、上記のように表面シートに部分的にSMC中の含浸樹脂が突き抜けて露出するため、FRP成形品の表面の一部のSMC中の含浸樹脂が突き抜けて露出する部分においては、表面シートにより特定される特性と異なり、表面特性が均一にならないという問題がある。
【0004】
また、上記特許文献1に示されたFRP成形品は、表面に微小なクラックや凹凸を形成する物理的処理やプラズマ処理やコロナ放電処理等による化学的処理により親水化処理を行うことで、表面の排水性及び乾燥性を良好にするようにしているが、この従来例にあっては、表面に物理的処理や化学的処理を施すことで親水化処理を行うものであるから、親水化処理のための特別な工程が必要となり、コストが高くなる。
【特許文献1】特開2002−347182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、SMCの含浸樹脂が表面層に突き抜けて露出することがなく、表面層を、表面シートのみによる均質な特性にすることができ、また、物理的処理や化学的処理による親水化処理を行うことなく簡単な構成で表面の親水性を持たせることができて表面の排水性や乾燥性に優れたFRP成形品及び洗い場床パンを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係るFRP成形品は、SMCからなる基材層1と、不織布に樹脂を含浸させた中間シートよりなる中間層2と、不織布に樹脂を含浸させた表面シートよりなる表面層3とを上下に積層一体成形したFRP成形品であって、上記SMCと表面シートとの間に介在される中間シートが上記SMCや表面シートよりも速硬性のものであることを特徴とするものである。
【0007】
このように表面シートを設けることで、表面をSMCとは別材料の層にできるのみならず、表面をSMCの材料とは別の層とするものにおいて、中間層2を形成するための中間シートがSMCや表面シートよりも速硬性であるので、厚みの厚い基材層1を形成するためのSMCの含浸樹脂が速硬性の中間シートにより遮られて表面シート側に突き抜けて露出することがなく、この結果、SMC成形品4の表面は表面シートのみによる均質な特性の表面層3とすることができる。
【0008】
また、表面シート、中間シートの含浸樹脂がSMCの含浸樹脂であるポリエステル樹脂よりも親水性の優れたアクリル樹脂又はポリ酢酸ビニル樹脂又はポリウレタン樹脂で構成してあることが好ましい。
【0009】
このような構成とすることで、表面層3が親水性を有した表面シートのみにより構成され、表面層3にSMCの含浸樹脂が突き抜けて露出することによる親水性の低下を防ぐことができる。
【0010】
また、表面シート、中間シートの不織布がガラス、あるいはガラスとポリエステルが混紗されたものであることが好ましい。
【0011】
このような構成とすることで、成形後に表面層3、中間層2が透明になり、SMC色が透過してSMC色を生かすことができる。
【0012】
また、上記のようなFRP成形品4が洗い場床パン5であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、SMCの含浸樹脂が表面層に突き抜けて露出することがなく、表面層を、表面シートのみによる均質な特性にすることができ、表面の特性のばらつきが無い。
【0014】
また、表面シート、中間シートの含浸樹脂を親水性のあるアクリル樹脂又はポリ酢酸ビニル樹脂又はポリウレタン樹脂で構成することで、従来のように物理的処理や化学的処理を施すことで親水化処理を行うことなく簡単な構成で表面の親水性を持たせることができて表面の排水性や乾燥性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0016】
本発明のSMC成形品4は、図1に示すように、SMCからなる基材層1と、その上の不織布に樹脂を含浸させた中間シートよりなる中間層2と、その上の不織布に樹脂を含浸させた表面シートよりなる表面層3との3層構造となっており、SMC、中間シート、表面シートとを同時成形することで3層を上下に積層一体成形して構成してある。
【0017】
基材層1を形成するためのSMCはガラス繊維マットに樹脂を含浸させたもので、含浸樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を挙げることができる。
【0018】
中間層2を形成するための中間シート、表面層3を形成するための表面シートはいずれも、不織布に樹脂を含浸したもので、この中間シート、表面シートに含浸する樹脂としてはSMCの含浸樹脂とは異なる樹脂、つまり、SMCの含浸樹脂であるポリエステル樹脂よりも親水性の優れたアクリル樹脂又はポリ酢酸ビニル樹脂又はポリウレタン樹脂が用いられる。また、中間シートはSMC、表面シートよりも速硬性のものが用いられる。中間シートを速硬性とするには例えば反応を速めるための触媒を添加する。
【0019】
上記のような硬化前のSMC、中間シート、表面シートを用いて成形金型により一体に同時成形してFRP成形品を成形するのであるが、この場合、下金型に表面シート、中間シート、SMCの順で載置するか、又は、下金型にSMC、中間シート、表面シートの順で載置し(つまり、意匠側となる方の金型側に表面シートが位置し、裏面側となる金型側にSMCが位置するようにする)、その後、上金型を移動して加熱加圧成形することで、SMCよりなる基材層1、中間シートよりなる中間層2、表面シートよりなる表面層3が積層一体化される。
【0020】
ここで、中間シートがSMC、表面シートよりも速硬性のものであるため、上記加熱加圧成形の際、中間シートがSMCや表面シートよりも速く硬化し、このため、加熱加圧により厚みの厚いSMCの含浸樹脂が中間シートを突き抜けて、更に、表面シートの表面側(金型と接する面)に突き抜けるのが防止される。したがって、成形されたFRP成形品4においては、表面層3にSMCの含浸樹脂が突き抜けて露出せず、表面層3は表面シートのみにより形成されることになり、表面シートとして親水性の優れたアクリル樹脂又はポリ酢酸ビニル樹脂又はポリウレタン樹脂を用いることで、優れた親水性を発揮できることになる。また、表面シートとしてアクリル樹脂を用いた場合は表面硬度も向上させることができる。
【0021】
上記表面シート、中間シートの不織布としてはガラス、あるいはガラスとポリエステルが混紗されたものを用いることが好ましい。
【0022】
このように、表面シート、中間シートの不織布としてはガラス、あるいはガラスとポリエステルが混紗されたものを用いると、表面シート、中間シートが成形後に透明になり、SMC色が透過してSMC色を生かすことができる。
【0023】
上記のようなFRP成形品4としては洗い場床パン5、あるいはカウンター等各種の水廻りで使用される商品であり、表面が親水性であるため、通常のSMC成形品に比べて、同じ残水量でも残水の表面積が大きくなるので、排水性が良くなると共に濡れてから乾燥するまでの時間が短くなり、排水性、乾燥性が優れたものとなる。また、湿気が少なくなるので、防カビ効果もある。
【0024】
以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0025】
(実施例)
SMC
不飽和ポリエステル樹脂(スチレン希釈40%)80重量部、ポリスチレン系低収縮化剤(スチレン希釈20%)20重量部、炭酸カルシウム150重量部、ステアリン酸亜鉛5重量部、酸化マグネシウム1重量部、t−ブチルパーベンゾエート1重量部、パラベンゾキノン0.1重量部、着色剤(スチレン希釈20%)5重量部、スチレンモノマー5重量部を配合したコンパウンドを作成し、このコンパウンド重量に対して22%(つまり、コンパウンド重量100に対して22パーセント)配合してSMCを作成した。
【0026】
表面シート
ガラス不織布(目付け50g/m)に硬化に要する時間をSMCの硬化時間と合わせるように硬化遅延剤を添加したアクリル系樹脂(目付け50g/m)を含浸して表面シートを形成した。このアクリル系樹脂は硬化を遅延させるために硬化遅延剤を添加したもので、140℃の熱板上で5分間で硬化する(SMCの硬化時間と同じ)ように調整されたものを使用している。
【0027】
中間シート
ガラス不織布(目付け50g/m)に硬化を速めるための触媒を添加したアクリル系樹脂(目付け50g/m)を含浸して中間シートを形成した。このアクリル系樹脂は硬化を速めるための触媒を添加したもので、140℃の熱板上で1分間で硬化するように調整されたものを使用している。
【0028】
成形条件
上記のようにして得た表面シート、中間シート、SMC(900g)の順に金型(サイズ300mm×300mm)にセットし、下金型(意匠側)を145℃、上金型(裏面側)を130℃、プレス圧7MPa、成形時間5分で加熱加圧成形して実施例のFRP成形品を成形した。
【0029】
(比較例)
上記SMC(900g)のみを金型(サイズ300mm×300mm)にセットし、下金型(意匠側)を145℃、上金型(裏面側)を130℃、プレス圧7MPa、成形時間5分で加熱加圧成形して比較例のFRP成形品を成形した。
【0030】
上記のようにして得た実施例のFRP成形品と、比較例のFRP成形品を中性洗剤で洗浄、乾燥後、接触角と鉛筆硬度の性能を評価した。結果を下記の表1に示す。
【0031】
【表1】


【0032】
上記表1で明らかなように、実施例のFRP成形品は比較例のFRP成形品に比べ、接触角が下がって親水性が優れたものとなり、鉛筆硬度が上がることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のSMC成形品の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 基材層
2 中間層
3 表面層
4 SMC成形品
5 洗い場床パン
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−6622(P2008−6622A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177047(P2006−177047)