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【発明の名称】 装飾タイル
【発明者】 【氏名】大橋 孝吉

【氏名】中山 恵子

【氏名】中屋 孝一

【要約】 【課題】タイル本体の表面(前面)に板ガラスを融着させてなる装飾タイルにおいて、該板ガラスの亀裂発生を防止することを目的とする。

【構成】板状のタイル本体に板ガラスを融着させてなる装飾タイルにおいて、該タイル本体の室温〜400℃間の熱膨張係数が9.0〜10.6×10−6/℃であることを特徴とする装飾タイル。板ガラスとしてはソーダ・ライムガラスが好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のタイル本体に板ガラスを融着させてなる装飾タイルにおいて、
該タイル本体の室温〜400℃間の熱膨張係数が9.0〜10.6×10−6/℃であることを特徴とする装飾タイル。
【請求項2】
請求項1において、タイル本体の組成が
SiO 68〜75重量%、
Al 2〜6重量%、
CaO 0〜5重量%、
MgO 16〜23重量%、
NaO及びKOの合量 4重量%以下
であることを特徴とする装飾タイル。
【請求項3】
請求項2において、タイル本体が結晶相としてクォーツ、クリストバライト及びエンスタタイトを含むことを特徴とする装飾タイル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、ガラスはソーダ・ライムガラスであることを特徴とする装飾タイル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はタイル本体の表面に板ガラスを融着させてなる装飾タイルに係り、詳しくは板ガラスのヒビ割れを防止するよう改良された装飾タイルに関する。
【背景技術】
【0002】
板状のタイル本体の上に板ガラスを載せて焼成することにより板ガラスをタイル本体に融着させて製造した装飾タイルが特開昭60−203440号に記載されている。
【0003】
この特開昭60−203440号のタイル本体は、長石・粘土系の坏土に珪砂を配合した調合物を成形し、1250〜1300℃で素焼きしたものであり、その熱膨張係数は5〜7×10−6/℃である。同号で用いている板ガラスは、軟化点が約700℃であり、熱膨張係数は8〜11×10−6/℃である。上記の素焼きしたタイル本体の上にガラス粉末を介して板ガラスを載せ、750℃で20分間加熱することにより板ガラスをタイル本体に融着させている。
【特許文献1】特開昭60−203440号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開昭60−203440号の装飾タイルにあっては、板ガラスの熱膨張係数がタイル本体の熱膨張係数よりも大きい。このため、製造された装飾タイルの板ガラスには、加熱融着処理における降温過程で発生した引張応力が残留することになり、板ガラスに亀裂が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、タイル本体の表面(前面)に板ガラスを融着させてなる装飾タイルにおいて、該板ガラスの亀裂発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の装飾タイルは、板状のタイル本体に板ガラスを融着させてなる装飾タイルにおいて、該タイル本体の室温〜400℃間の熱膨張係数が9.0〜10.6×10−6/℃であることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の装飾タイルは、請求項1において、タイル本体の組成が
SiO 68〜75重量%、
Al 2〜6重量%、
CaO 0〜5重量%、
MgO 16〜23重量%、
NaO及びKOの合量 4重量%以下
であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の装飾タイルは、請求項2において、タイル本体が結晶相としてクォーツ、クリストバライト及びエンスタタイトを含むことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の装飾タイルは、請求項1ないし3のいずれか1項において、ガラスはソーダ・ライムガラスであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の装飾タイルでは、タイル本体の室温〜400℃の熱膨張係数が9.0〜10.6×10−6/℃と、通常の板ガラス(例えばソーダ・ライムガラス)の熱膨張係数と略同等である。このため、板ガラスに引張応力が全く又は殆ど残留せず、板ガラスの亀裂発生が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1は実施の形態に係る装飾タイル1の斜視図である。図1の通り、この装飾タイル1は、タイル本体2と、該タイル本体2の表面に融着した板ガラス3とを有する。
【0012】
このタイル本体2の室温〜400℃の熱膨張係数は9.0〜10.6×10−6/℃である。
【0013】
このタイル本体の組成は、好ましくは
SiO 68〜75重量%特に70〜73重量%、
Al 2〜6重量%特に3〜6重量%、
CaO 0〜5重量%特に0〜4重量%、
MgO 16〜23重量%特に17〜22重量%、
NaO+KO 4重量%以下特に2.5〜3.5重量%
である。
【0014】
このタイル本体2は、上記組成範囲となるようにタルク、マグネサイト、珪石、ベントナイト、粘土、石灰、長石等の坏土原料を調合し、成形し、焼成する。この成形は、乾式プレス成形、湿式押出成形などのいずれでもよい。焼成は、焼成体が陶器質、セッ器質、磁器質のいずれか(好ましくは陶器質)となるように行われる。
【0015】
この焼成により、焼成体はクォーツ、エンスタタイト及びクリストバライトを主結晶相としたものとなる。
【0016】
なお、タイル本体2は、その大きさが1辺200mm以上特に300mm以上の正方形又は長方形の大型のタイル本体であることが好ましい。この大型のタイル本体は、焼成後の収縮量が大きいので、本発明の構成を採用した場合の板ガラスの亀裂防止効果が顕著となる。タイル本体の大きさの上限は、通常は1辺1000mm程度である。
【0017】
板ガラス3としては窓ガラス、瓶ガラスなどに用いられるソーダ・ライムガラスが好適である。なお、通常のソーダ・ライムガラス(フロートガラス)の組成の一例を挙げると次の通りである。
SiO 68〜74重量%、
NaO+KO 12〜16重量%、
CaO 8〜12重量%、
MgO 1〜4重量%、
Al 1〜2重量%、
その他(Fe、TiOなど)0.5重量%以下。
【0018】
このソーダ・ライムガラスの室温〜400℃の熱膨張係数は約8.5〜9×10−6/℃程度である。このように、ソーダ・ライムガラスの熱膨張係数がタイル本体の熱膨張係数よりも小さいので、焼成時の降温過程でタイル本体の収縮の方が板ガラスよりも大きく、製造された板ガラスに圧縮応力が残留する。これにより、板ガラスの亀裂発生が防止される。
【0019】
板ガラス3の厚みは1〜10mm特に2〜7mm程度が好適である。
【0020】
装飾タイル1を製造するには、タイル本体2の上に板ガラス3を載せ、板ガラス3の軟化温度よりも好ましくは200〜300℃程度高く、且つ融点よりも低い温度で焼成して板ガラス3をタイル本体2に融着させればよい。なお、前記特開昭60−203440号のように、タイル本体2の上にガラス粉末や、釉薬を存在させておいてもよい。このガラス粉末や釉薬は、板ガラス3と同等以下の軟化温度のものが好ましい。
【実施例】
【0021】
実施例1
タルク36.5重量部、マグネサイト16重量部、珪石25重量部、ベントナイト3重量部、蛙目粘土9.5重量部、石灰5重量部、長石5重量部を調合した。この調合物の化学組成を表1に示す。この調合物を600×400×10mmに乾式成形し、乾燥後、ローラーハースキルンにて1180〜1200℃×3Hrの条件で焼成してタイル本体2を製造した。このタイル本体の室温〜400℃の熱膨張係数は9.7×10−6/℃であった。
【0022】
この焼成体の上に窓ガラス用のフロート板ガラス(厚さ3mm。室温〜400℃の熱膨張係数8.5×10−6/℃)を載せ、ローラーハースキルンにて850〜920℃×3Hrの条件で焼成し、装飾タイルを製造した。この装飾タイルは、14日経過しても亀裂は全く発生しなかった。
【0023】
実施例2,3、比較例1,2
原料の調合割合を若干変化させて表1の化学組成となるようにしたほかは実施例1と同様にして装飾タイルを製造した。タイル本体の熱膨張係数と、14日経過後の亀裂発生の有無の観察結果を表1に併せて示す。
【0024】
【表1】


【0025】
表1の通り、本発明例にあっては亀裂発生が全く発生しなかった。なお、各実施例のタイル本体は水和膨張率も小さいことが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る装飾タイルの斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 装飾タイル
2 タイル本体
3 板ガラス
【出願人】 【識別番号】000000479
【氏名又は名称】株式会社INAX
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛


【公開番号】 特開2008−6607(P2008−6607A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176775(P2006−176775)