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【発明の名称】 ポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法
【発明者】 【氏名】村松 亨

【氏名】矢野 忠史

【要約】 【課題】端面での粉落ちが抑えられると共に、厚さの変化が抑制されるシート状製品を容易に製造することができるポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法を提供する。

【構成】樹脂フィルム12上に、原料供給装置17の供給口16からポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤を含むポリウレタン発泡体の原料15を供給する。送出ローラ18から離型フィルム19を上記原料15上に載せる。ポリオール類としては末端に一級水酸基を有し、その割合が50質量%以上であるポリエーテルポリオールが用いられ、触媒としては感温性触媒が用いられる。樹脂フィルム12と離型フィルム19との間に原料15を介在させた状態で、加熱炉の一次通路23及び二次通路24を通過させ、原料15の反応、発泡及び硬化させる。その後、離型フィルム19を剥離することによりシート状製品10を製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム上に、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤を含むポリウレタン発泡体の原料を供給し、ポリオール類とポリイソシアネート類とを反応させ、発泡及び硬化させてポリウレタン発泡体のシートを形成し、そのシートに樹脂フィルムが接着されたポリウレタン発泡体のシート状製品を製造するに当たり、前記ポリオール類として末端に一級の水酸基を有し、その割合が50質量%以上であるポリエーテルポリオールを用いると共に、触媒として感温性触媒を用いることを特徴とするポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。
【請求項2】
前記ポリエーテルポリオールは、3価アルコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加して得られたトリオールであることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。
【請求項3】
前記感温性触媒は、ジアザビシクロアルケン又はその塩であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。
【請求項4】
前記ポリウレタン発泡体の原料の上に離型フィルムを載せ、ポリオール類とポリイソシアネート類とを反応させ、発泡及び硬化させた後、離型フィルムを剥離することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。
【請求項5】
前記ポリウレタン発泡体のシート状製品は、電子機器用のガスケットとして用いられるものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンピュータのハードディスク、携帯電話等から発生する騒音を吸収したり、シール性を付与したりするためのガスケット(パッキン)として使用されるポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のシート状製品に関しては、既に本願出願人が提案を行っている。例えば、離型シート上にポリオール、ポリイソシアネート及び触媒を含む反応混合液を塗布し、加熱して反応、硬化させ、硬化途中の反応混合液の表面に発泡体からなる基材を載置した後、反応混合液を硬化完了し、反応混合液の硬化被膜を基材の表面に形成した積層体である(特許文献1を参照)。この積層体は防水性シール材等として使用されるもので、離型シートのサイズを変えることによってサイズの異なる製品を容易に製造することができると共に、表面形状が一定の製品を得ることができる。
【0003】
また、ポリウレタン発泡体よりなるシートの少なくとも片面に樹脂フィルムが接合されて構成され、前記シート中に含まれる融点100℃以下の成分がソクスレー抽出法によりアセトンで8時間抽出したときの溶出量として1質量%以下であるポリウレタン発泡体のシート状製品である(特許文献2を参照)。このシート状製品によれば、積み重ねたときに接着するブロッキングを防止することができる。
【特許文献1】特開2003−225913号公報(第2頁及び第4頁)
【特許文献2】特開平10−83667号公報(第2頁、第4頁〜第6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述のガスケットは、一般にシート状製品をトムソン型等にて打ち抜き加工することにより形成される。この場合、特許文献1及び2に記載されたシート状製品に用いられるポリウレタン発泡体では、特に発泡体であるが故に打ち抜き加工後にその加工端面より粉落ちが発生する。粉落ちが発生すると、その粉が電子部品の基板に接触することで電気的な短絡(ショート)を引き起こす。このため、シート状製品の端面における粉落ちが発生しないようにしなければならない。
【0005】
さらに、特許文献1に記載されたシート状製品を連続的に製造する場合には、ポリウレタンの原料が加熱されて反応、硬化されるため反応が加速し、反応混合液による硬化被膜の厚さが次第に厚くなる傾向を示す。また、特許文献2に記載されたシート状製品を連続的に製造する場合にも、ポリウレタン発泡体を得るための触媒がアミン触媒と金属触媒との組合せであることから反応が加速し、ポリウレタン発泡体の厚さが次第に厚くなる傾向を示す。このように、シート状製品の厚さが変化すると、電子機器の部品として要求される厚さ精度を満たさなくなり、製品として不適当なものとなる。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、端面での粉落ちが抑えられると共に、厚さの変化が抑制されるシート状製品を容易に製造することができるポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法は、樹脂フィルム上に、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤を含むポリウレタン発泡体の原料を供給し、ポリオール類とポリイソシアネート類とを反応させ、発泡及び硬化させてポリウレタン発泡体のシートを形成し、そのシートに樹脂フィルムが接着されたポリウレタン発泡体のシート状製品を製造するに当たり、前記ポリオール類として末端に一級の水酸基を有し、その割合が50質量%以上であるポリエーテルポリオールを用いると共に、触媒として感温性触媒を用いることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法は、請求項1に係る発明において、前記ポリエーテルポリオールは、3価アルコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加して得られたトリオールであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記感温性触媒は、ジアザビシクロアルケン又はその塩であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記ポリウレタン発泡体の原料の上に離型フィルムを載せ、ポリオール類とポリイソシアネート類とを反応させ、発泡及び硬化させた後、離型フィルムを剥離することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に係る発明において、前記ポリウレタン発泡体のシート状製品は、電子機器用のガスケットとして用いられるものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法においては、ポリオール類として末端に一級の水酸基を有し、その割合が50質量%以上であるポリエーテルポリオールを用いる。ポリエーテルポリオールの末端に結合されている一級の水酸基は、二級の水酸基に比べて樹脂化反応の反応性が良いため、樹脂化反応が十分に進行し、得られるポリウレタン発泡体の構造が緻密になる。従って、シート状製品の端面での粉落ちを抑えることができる。さらに、触媒として感温性触媒を用いることから、樹脂化反応が温度の上昇に伴って緩やかに、しかも均一に進行し、シート状製品の厚さの変化を抑制することができる。よって、ポリウレタン発泡体の原料中におけるポリオール類と触媒とを上記のように選択することにより、前記効果を有するシート状製品を容易に製造することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法では、ポリエーテルポリオールは、3価アルコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加して得られたトリオールであるため、ポリウレタン発泡体の架橋密度を上げ、強度を高めることができる。従って、請求項1に係る発明の効果に加えて、シート状製品の端面での粉落ちを一層抑えることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法では、感温性触媒はジアザビシクロアルケン又はその塩であることから、温度に対して敏感で感温性に優れている。従って、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、シート状製品の厚さの変化を一層抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法では、ポリウレタン発泡体の原料の上に離型フィルムを載せ、ポリオール類とポリイソシアネート類とを反応させ、発泡及び硬化させた後、離型フィルムが剥離される。このため、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明の効果に加え、シート状製品の表面部に硬化皮膜が形成されて表面を平滑にすることができると共に、シート状製品の製造過程において例えばローラにポリウレタン発泡体の原料が付着して不具合を生ずるのを回避することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法では、ポリウレタン発泡体のシート状製品は、電子機器用のガスケットとして用いられるものである。従って、電子機器用のガスケットを製作するに際し、端面での粉落ちがなく、厚さの変化を抑制することができ、ガスケットを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良と思われる実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
図2に示すように、本実施形態のポリウレタン発泡体(以下、単に発泡体ともいう)のシート状製品10は、ポリウレタン発泡体よりなるシート11の片面(下面)に樹脂フィルム12が接合されて構成されている。このシート状製品10は、例えば電子部品、具体的にはコンピュータにおけるハードディスクドライブの本体と基板との間に挟み込まれて用いられる。そのため、シート状製品10の厚さは5mm以下であることが好ましく、0.5〜3mmであることがより好ましい。また、ポリウレタン発泡体よりなるシート11は、連続気泡型の軟質ポリウレタン発泡体によって形成されていることが好ましい。独立気泡に比べて連続気泡内には音が有効に吸収され、音の伝播が低減されて吸音性を高めることができる。さらに、シート11の両表面の近傍位置には軟質ポリウレタン発泡体の硬化物による2〜50μm程度の厚さの皮膜(スキン層)が形成されることにより、発泡体の表面を平滑なものにすることができる。
【0018】
このようなポリウレタン発泡体のシート状製品10は、以下のようにして連続的に製造することができる。
図1はポリウレタン発泡体のシート状製品10の製造装置を示す概略断面図である。同図に示すように、装置本体13の後方位置(図1の左方位置)には樹脂フィルム12が巻回された送り出しローラ14が配設され、その樹脂フィルム12が前方に位置する装置本体13(図1の二点鎖線)上へ送り出されるようになっている。樹脂フィルム12を形成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂等のポリウレタン発泡体のシート11と接着性の良いものが好適に用いられる。
【0019】
送り出しローラ14の上方位置には、ポリウレタン発泡体の原料15(液体)を下方へ開口された供給口16から吐出する原料供給装置17が配設されている。そして、原料供給装置17の供給口16から吐出される原料15が、送り出しローラ14から送り出される樹脂フィルム12上に供給されるようになっている。原料供給装置17の上方位置には、送出ローラ18が配設され、離型フィルム19が巻回されている。離型フィルム19を形成する樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が用いられる。そして、送出ローラ18から送出された離型フィルム19は、原料供給装置17から供給されたポリウレタン発泡体の原料15表面を覆うようになっている。原料供給装置17の前方位置には押えローラ20が配設され、樹脂フィルム12と離型フィルム19との間にポリウレタン発泡体の原料15が挟まれた状態で、離型フィルム19の上面から押圧し、樹脂フィルム12と離型フィルム19との間の厚さを調整するようになっている。
【0020】
この押えローラ20の前方位置には装置本体13を構成する一次加熱炉21が設けられ、その前方位置には同じく装置本体13を構成する二次加熱炉22が並設されている。一次加熱炉21の内部には一次通路23が貫通形成され、その一次通路23を通るシート11に25〜40℃の低温の加熱エアを吹き付ける。二次加熱炉22の内部には二次通路24が貫通形成され、その二次通路24を通るシート11に50〜150℃の高温の加熱エアを吹き付ける。本実施形態では一次加熱炉21が30℃に設定され、二次加熱炉22が80℃に設定されている。そして、樹脂フィルム12と離型フィルム19との間に挟まれたポリウレタン発泡体の原料15が一次通路23を通るときに発泡が開始され、その後二次通路24を通るときに主に泡化反応及び樹脂化反応が進行するようになっている。その過程を経て、ポリウレタン発泡体のシート11の片面(下面)に樹脂フィルム12が接着される。
【0021】
二次加熱炉22の前方位置には支持ローラ25が配設され、二次加熱炉22から送り出されるシート11が支持された状態で前方へ送られる。一方、二次加熱炉22の前端上方位置には、加熱処理されたシート11上の離型フィルム19を巻き取るための巻き取りローラ26が配設されている。そして、二次加熱炉22から出たシート11上の離型フィルム19が剥離されて巻き取りローラ26に巻き取られ、シート11の下面に樹脂フィルム12が接着されたシート状製品10が支持ローラ25上を連続して前方へ案内される。
【0022】
前記ポリウレタン発泡体の原料15は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤を含み、必要により整泡剤等のその他の成分を含む。ポリオール類としては、末端に一級水酸基を有し、その割合が50質量%以上、好ましくは55〜90質量%であるポリエーテルポリオールが用いられる。末端の一級水酸基はポリイソシアネート類などとの反応性が良く、樹脂化反応などが促進されるためである。ポリオール類としては、上記の条件を満たす限り、その他のポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを使用することができる。ポリエーテルポリオール中の末端一級水酸基の割合が50質量%未満の場合、ポリエーテルポリオールはポリイソシアネート類などとの反応性が不足し、特にシート状製品10の端部における強度が弱くなり、緻密性に欠けるため、端面での粉落ちが発生する。
【0023】
係るポリエーテルポリオールとしては、多価アルコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等にプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオール、それらの変性体等が用いられる。多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールなどが挙げられる。3価アルコールを用いることにより、ポリウレタン発泡体の架橋密度を上げ、その強度を向上させることができる。
【0024】
ポリエーテルポリオールとして具体的には、グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、トリメチロールプロパンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたトリオールなどであって、末端に一級水酸基を有し、その割合が50質量%以上のものである。
【0025】
その他のポリエーテルポリオールとしては、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させたトリオール(末端一級水酸基の割合が0質量%)、グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたトリオール(末端一級水酸基の割合が50質量%未満)、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたジオール(末端一級水酸基の割合が50質量%未満)等が挙げられる。
【0026】
また、前記ポリエステルポリオールは、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。前記その他のポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールを使用する場合には、前記条件を満たすポリエーテルポリオールとの混合物中において、末端一級水酸基の割合が50質量%以上となるように配合量を設定することが必要である。
【0027】
ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)又はそれらの変性体等が用いられる。変性体としては、例えばMDIのプレポリマー、ポリメリックMDI等が挙げられる。
【0028】
ここで、ポリイソシアネート類のイソシアネート指数(イソシアネートインデックス)は80〜130であることが好ましく、100〜120であることがより好ましい。ここで、イソシアネート指数は、ポリオール類の水酸基及び発泡剤(水)等の活性水素に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比を百分率で表したものである。従って、その値が100未満の場合には水酸基がイソシアネート基より過剰であることを意味し、100を越える場合にはイソシアネート基が水酸基より過剰であることを意味する。イソシアネート指数が80未満の場合には、ポリオール類がポリイソシアネート類と十分に反応することができず、発泡体の柔軟性が大きく、形状保持性が低下する原因となる。一方、イソシアネート指数が130を越える場合には、発泡体が硬くなり過ぎたりして軟質ポリウレタン発泡体としての物性が低下する。
【0029】
次に、触媒はポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応などの反応を促進するためのものである。係る触媒としては、温度条件によって触媒機能を発揮することができる感温性触媒、特に60〜150℃に加熱されたときに触媒機能を発揮することができる感温性触媒が用いられる。係る感温性触媒としては、アミン触媒を部分的又は全体的にカルボン酸で中和したブロック触媒、常時には封止され、加熱されてアミン触媒が形成される熱活性触媒、加熱による分子の立体障害の低下、窒素原子への電子対の接近、水素結合の低下などで触媒活性が高まる感温性触媒などが挙げられる。
【0030】
感温性触媒として具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5(DBN)等のアミジノ基〔HNC(=NH)−〕を有するジアザビシクロアルケン又はその塩のほか、トリエチレンジアミン、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。これらのうち、感温性触媒として触媒活性の高いジアザビシクロアルケン又はそのフェノール塩、オクチル酸塩等の塩が好ましい。
【0031】
触媒としては、上記の感温性触媒のほかに、その他のアミン触媒、金属触媒などを用いることができる。アミン触媒としては、ジメチルエタノールアミン、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミンが挙げられる。金属触媒としては、オクチル酸スズ等の有機金属化合物、アルカリ金属アルコラート等が挙げられる。その他の触媒のうち、感温性触媒とその他のアミン触媒との併用が、樹脂化反応と泡化反応とをバランス良く進行させ、良好なポリウレタン発泡体を得るうえで望ましい。
【0032】
触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して、感温性触媒の場合0.05〜0.5質量部、アミン触媒の場合0.05〜1.0質量部、金属触媒の場合0.05〜0.5質量部であることが好ましい。感温性触媒の配合量が0.05質量部未満の場合には、感温性触媒の機能が十分に得られず、触媒の温度依存性が低下する。その一方、0.5質量部を越える場合には、感温性触媒が過剰になって温度上昇時に樹脂化反応が過度に促進されやすくなったりして好ましくない。アミン触媒の配合量が0.05質量部未満の場合には樹脂化反応が不十分となり、1.0質量部を越える場合には樹脂化反応が過度に促進される傾向を示して好ましくない。金属触媒の配合量が0.05質量部未満の場合には樹脂化反応が不足しやすく、0.5質量部を越える場合には樹脂化反応の進行が過度になる傾向を示す。
【0033】
発泡剤はポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体とするためのものである。この発泡剤としては、水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。これらの発泡剤のうち、泡化反応の反応性に優れ、取扱性の良好な水が好ましい。発泡剤の配合量は、ポリオール類100質量部に対して、0.1〜3.0質量部であることが好ましく、0.1〜1.0質量部であることがより好ましい。この配合量が0.1質量部未満の場合には発泡が不十分になり、3.0質量部を越える場合には発泡が過大になり、いずれも目的とする発泡量(見掛け密度)のポリウレタン発泡体を得ることが難しくなる。
【0034】
ポリウレタン発泡体の原料15としては、前記各原料15のほか整泡剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を配合することもできる。整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン化合物などが用いられる。帯電防止剤としては、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが用いられる。難燃剤としては、ハロゲン化リン酸エステル、縮合リン酸エステルなどが用いられる。
【0035】
そして、ポリウレタン発泡体の原料15を発泡、反応及び硬化させて軟質ポリウレタン発泡体を製造するが、その際の反応は複雑であり、基本的には次のような反応が主体となっている。すなわち、ポリオール類とポリイソシアネート類との付加重合反応及びその反応生成物等とポリイソシアネート類との架橋反応などを含む樹脂化反応、並びにポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応であると考えられる。
【0036】
前記ポリウレタン発泡体を製造する場合には、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類又はポリイソシアネート類を反応させる方法である。ワンショット法はプレポリマー法に比べて製造工程が一工程で済み、製造条件の制約も少ないことから好ましい方法であり、製造コストを低減させることができる。
【0037】
ポリウレタン発泡体の製造に際してその原料配合を適宜調整することにより、連続気泡型の構造を有するポリウレタン発泡体を得ることができる。そして、連続気泡型であることでセル内に音を吸い込む吸音性能を発揮させることができるため好ましい。独立気泡型の構造を有するものは、音がポリウレタン発泡体表面で反射されてセル内にほとんど吸収されない。
【0038】
さて、ポリウレタン発泡体のシート状製品10を製造する場合には、図1に示すように、送り出しローラ14から樹脂フィルム12を送り出し、その樹脂フィルム12上に原料供給装置17からポリウレタン発泡体の原料15を供給する。一方、その上方位置において、送出ローラ18から離型フィルム19を原料15の上に重ね合せるようにして供給し、押えローラ20で押えて原料15が挟まれた状態で樹脂フィルム12と離型フィルム19との間の厚さを例えば1mmに調整する。
【0039】
次いで、一次加熱炉21内で30℃に保持して原料15を自然発泡させて発泡体を形成する。続いて、80℃に設定された二次加熱炉22内で加熱することにより、原料15中のポリオール類とポリイソシアネート類とを反応及び硬化させる。この製造過程において、ポリオール類として末端に一級水酸基を有するポリエーテルポリオールが主体となっていることから、二級水酸基を有するポリエーテルポリオールに比べて樹脂化反応の反応性が高く、従って得られるポリウレタンの構造が緻密になって、シート状製品の端面での強度を確保することができる。しかも、触媒としてDBUやDBN等の感温性触媒を用いることから、通常のアミン触媒に比べて樹脂化反応が温度の上昇に沿って徐々に、全体として均一に進行する。
【0040】
その後、巻き取りローラ26で離型フィルム19が巻き取られ、ポリウレタン発泡体のシート11の下面に樹脂フィルム12が接着されたシート状製品10が支持ローラ25で支持されながら連続的に前方へ送られる。
【0041】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のシート状製品10の製造方法においては、ポリオール類として末端に一級の水酸基を有し、その割合が50質量%以上であるポリエーテルポリオールを用いる。ポリエーテルポリオールの末端に結合されている一級の水酸基は、樹脂化反応の反応性が良く、ポリウレタン発泡体の端部における強度が確保され、シート状製品10の端面での粉落ちを抑えることができる。さらに、触媒として感温性触媒を用いることから、樹脂化反応が全体的に均一に進行し、シート状製品10の厚さの変化を抑制することができる。よって、ポリウレタン発泡体の原料中におけるポリオール類と触媒とを上記のように選択することにより、前記効果を有するシート状製品10を容易に製造することができる。
【0042】
・ 前記ポリエーテルポリオールが、3価アルコールにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加して得られたトリオールであることにより、ポリウレタン発泡体の架橋密度を上げ、強度を高めることができる。従って、シート状製品10の端面での粉落ちを一層抑えることができる。
【0043】
・ 前記感温性触媒がジアザビシクロアルケン又はその塩であることにより、温度に対して敏感で感温性に優れている。従って、シート状製品10の厚さの変化を一層抑制することができる。
【0044】
・ ポリウレタン発泡体の原料の上に離型フィルム19を載せ、ポリオール類とポリイソシアネート類とを反応させ、発泡及び硬化させた後、離型フィルム19を剥離することにより、シート状製品10の表面部に硬化皮膜が形成されて表面を平滑にすることができる。その上、シート状製品10の製造過程において例えば押えローラ20にポリウレタン発泡体の原料15が付着して不具合を生ずるのを回避することができる。
【0045】
・ シート状製品10を電子機器用のガスケットとして用いることにより、電子機器用のガスケットを製作するに際し、端面での粉落ちがなく、厚さの変化を抑制することができ、ガスケットを容易に製造することができる。
【0046】
・ 得られたシート状製品10は、例えばハードディスクドライブの本体と基板との間に圧縮状態で挿入して使用される場合、連続気泡型の軟質ポリウレタン発泡体によって構成されていることから、独立気泡に比べて連続気泡内には音が有効に吸収され、吸音性を向上させることができる。さらに、シート状製品10の片面には樹脂フィルム12が接着されており、面密度(kg/m)が大きくなって、ヤング率が大きくなり、振動の伝播が抑えられ、吸音性を一層高めることができる。加えて、ポリウレタン発泡体のシート11の表面にはポリウレタン発泡体の加熱硬化物による皮膜が形成され、その皮膜によっても振動の伝播が抑えられ、吸音性をさらに向上させることができる。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
ポリウレタン発泡体の原料として、表1に示す組成のものを用意し、前述した図1に示す製造装置によってポリウレタン発泡体のシート11の片面に樹脂フィルム12としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)が接着された厚さ1mmのシート状製品10を製造した。この場合、押えローラ20と装置本体13(図1の二点鎖線の部分)との隙間を1mmとし、また一次加熱炉21の温度を30℃、二次加熱炉22の温度を80℃とした。
【0048】
ここで、比較例1ではポリウレタン発泡体の原料としてポリエーテルポリオールが末端一級水酸基を有しておらず、かつ感温性触媒を含まない例、比較例2ではポリエーテルポリオールとして末端一級水酸基を有しないものを使用した例を示す。また、比較例3ではポリエーテルポリオールとして末端一級水酸基の割合が50質量%未満(48質量%)である例、比較例4では感温性触媒を含まない例を示す。
【0049】
得られたシート状製品10について、見掛け密度、厚さの変化及び端面の粉落ちの結果を、下記に記載する方法によって測定し、それらの結果を表1に示した。また、表1における略号の意味を以下に示す。
【0050】
見掛け密度(kg/m):JIS K7222:1999に準拠して測定した。
厚さの変化:シート状製品10を200m連続生産(ライン速度4m/分の速度で50分)し、その生産スタート時の厚さ(t0)と生産終了時の厚さ(t1)を測定し、Δt=〔(t1−t0)/t0〕×100を算出した。そして、Δt>10%の場合には×、Δt≦10%の場合には○とした。
【0051】
端面の粉落ち:JIS K6400のダンベル1号トムソン型にてシート状製品10の打ち抜きを行い、その端面の粉落ちの状態を目視にて観察した。そして、粉落ちが観察された場合には×、粉落ちが観察されなかった場合には○とした。
(表1中の略号)
ポリエーテルポリオールGP3000:三洋化成工業(株)製のポリエーテルポリオール、分子量3000、水酸基価56mgKOH/g、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させたトリオール、末端一級水酸基の割合は0質量%。
【0052】
ポリエーテルポリオールFA703:三洋化成工業(株)製のポリエーテルポリオール、分子量5000、水酸基価35mgKOH/g、グリセリンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、末端一級水酸基の割合は80質量%。
【0053】
ポリエーテルポリオールPML7001K:旭硝子(株)製のポリエーテルポリオール、分子量6500、水酸基価28mgKOH/g、トリメチロールプロパンにプロピレンオキシド及びエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、末端一級水酸基の割合は90質量%。
【0054】
ポリイソシアネートSBU0379:住友バイエル(株)製の4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)プレポリマー、イソシアネート基は25質量%。
感温性触媒U−catSA1:サンアプロ(株)製のDBUフェノール塩。
【0055】
感温性触媒U−catSA102:サンアプロ(株)製のDBUオクチル酸塩。
感温性触媒U−cat1102:サンアプロ(株)製のDBNオクチル酸塩。
金属触媒MRH110:城北化学(株)製のオクチル酸第1スズ。
【0056】
アミン触媒カオライザーNo.1:花王(株)製の第3級アミン。
難燃剤:三井化学(株)製のメラミンパウダーを20質量部と、大八化学(株)製の難燃剤SH800を10質量部との混合物。
【0057】
帯電防止剤カチオンIN:日本油脂(株)製の帯電防止剤。
【0058】
【表1】


表1に示す結果より、実施例1〜6では、シート状製品10の厚さの変化がなく、かつ端面の粉落ちが認められなかった。これは、いずれの実施例においても、ポリエーテルポリオールは末端一級水酸基の割合が50質量%以上であり、かつ触媒として感温性触媒を用いたことから、シート状製品10の製造過程で樹脂化反応が安定した状態で、均一に進行し、緻密な発泡体が形成されたものと考えられる。
【0059】
一方、比較例1ではポリエーテルポリオールが末端一級水酸基を有しておらず、かつ感温性触媒を含まないため、シート状製品の厚さが生産スタート時に比べて10%を越えて変化し、しかも端面の粉落ちが観察された。比較例2ではポリエーテルポリオールとして末端一級水酸基を有しないものを用いたため、端面の粉落ちが観察された。比較例3ではポリエーテルポリオールとして末端一級水酸基の割合が50質量%未満であったため、端面の粉落ちが観察された。比較例4では感温性触媒を含まないため、端面の粉落ちが観察され、さらにシート状製品10の厚さが生産スタート時に比べて10%を越えて変化した。
【0060】
なお、前記実施形態を、次のように変更して具体化することも可能である。
・ ポリウレタン発泡体のシート状製品10の製造装置において、装置本体13の一次加熱炉21と二次加熱炉22とを一体化することもでき、各加熱炉の長さを、加熱温度設定の変更により容易に変えることができるように構成してもよい。
【0061】
・ ポリウレタン発泡体のシート状製品10の製造装置において、送出ローラ18に巻回されている離型フィルム19に代えて樹脂フィルム12を巻回し、ポリウレタン発泡体のシート11の両面に樹脂フィルム12を接着させることもできる。
【0062】
・ ポリウレタン発泡体のシート11のみを製造し、そのシート11の片面又は両面にポリウレタン系接着剤等の接着剤を塗布して樹脂フィルム12を接着することもできる。また例えば、ポリウレタン発泡体として軟質スラブポリウレタン発泡体を用い、それをシート状に切り出した後、その表面に樹脂フィルムを接着してシート状製品10を作製することもできる。軟質スラブポリウレタン発泡体は原料をベルトコンベア上に吐出し、該ベルトコンベアが移動する間に原料が常温、大気圧下で自然発泡し、その後乾燥炉内で硬化(キュア)することにより得られる。
【0063】
・ ポリウレタン発泡体のシート11は、モールド成形法等によって製造することもできる。
・ 二次加熱炉22から出たシート状製品10を、別途バッチ処理的に異なる加熱炉で、後硬化(アフターキュア)を実施することもできる。
【0064】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記シートの表面には、ポリウレタン発泡体の硬化物による皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。このように構成した場合、シート状製品の表面に存在する密度の高い皮膜により、シート状製品の表面を平滑なものにすることができる。
【0065】
・ 前記樹脂フィルムを連続的に移動させると共に、前記原料を樹脂フィルム上に連続的に供給し、シート状製品を連続的に製造することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。この製造方法によれば、ポリウレタン発泡体のシート状製品の生産性を向上させることができる。
【0066】
・ 前記発泡剤は水であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。この製造方法によれば、泡化反応の反応性に優れ、発泡剤の取扱いを良好にすることができる。
【0067】
・ 前記ポリイソシアネート類は、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートのポリマーであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体のシート状製品の製造方法。この製造方法によれば、ポリウレタン発泡体の構造をより緻密にでき、端面での粉落ちを一層抑え、厚さの変化を一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施形態におけるポリウレタン発泡体のシート状製品の製造装置を示す概略断面図。
【図2】実施形態におけるポリウレタン発泡体のシート状製品を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0069】
10…シート状製品、11…ポリウレタン発泡体のシート、12…樹脂フィルム、15…ポリウレタン発泡体の原料、19…離型フィルム。
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠


【公開番号】 特開2008−6592(P2008−6592A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176393(P2006−176393)