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【発明の名称】 積層構造体
【発明者】 【氏名】小野木 隆行

【氏名】金子 英之

【氏名】松木 智昭

【氏名】鈴木 孝太郎

【氏名】太田 誠治

【氏名】安井 繁行

【氏名】礒川 素朗

【要約】 【課題】オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層と、極性ビニル系プラスチック、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマーなどから選ばれる少なくとも1種から選ばれる層が、特定のハイブリッドポリマーを含むホットメ

【構成】(A) オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層、(B) ポリオレフィンセグメント[S1]と、極性ポリマーセグメント[S2]とからなるハイブリッドポリマー[P]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層、
(B) ポリオレフィンセグメント[S1]と、極性ポリマーセグメント[S2]とからなるハイブリッドポリマー[P]を含む層、
(C) 極性ビニル系プラスチック、芳香族ビニル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1種から
なる層、
が、層(A)/層(B)/層(C)の順に積層している構造を少なくとも一部に有することを特徴
とする積層構造体。
【請求項2】
前記ハイブリッドポリマー[P]が、
ポリオレフィンセグメント [S1]と、
溶解度パラメーターが18.0〜25.0 J/mであり、且つヘテロ元素を含む重合性モノマーの重合体である極性ポリマーセグメント[S2]とが、
共有結合で連結された構造であることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
【請求項3】
前記極性ポリマーセグメント[S2]が、イソシアネート基、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、マレイミド基、アミン基、イミン基およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するビニルモノマーをラジカル重合して得られる重合体残基であること特徴とする請求項1または2に記載の積層構造体。
【請求項4】
前記極性ポリマーセグメント[S2]の、示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラス転移
温度(Tg)が25℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層構造体。
【請求項5】
前記ポリオレフィンセグメント[S1]が、示差走査型熱量計(DSC)で測定した融点(Tm
)に起因する吸熱ピーク位置の温度が50℃以上である結晶性ポリオレフィン残基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層構造体。
【請求項6】
前記ポリオレフィンセグメント[S1]が、プロピレン系重合体残基であることを特徴とする請求項5に記載の積層構造体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の有機重合体層または無機物質層が積層している積層重合体に関する。詳しくは、本発明は、オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層と、極性ビニル系プラスチック、芳香族ビニル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1種からなる層が、特定の
ハイブリッドポリマーを含む層を介して接着されている積層構造を少なくとも一部有している積層構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは機械的特性、耐薬品性などに優れており、それらの特性を活かして、単独でまたはポリエチレン、ポリプロピレン、その他のオレフィン系樹脂フィルムとの積層体の形態で様々な用途に用いられている。ポリカーボネートフィルムは透明性、耐衝撃性などに優れ、ポリメチルメタクリレートフィルムは透明性、耐候性、印刷適性などに優れており、それらの特性を活かして、種々のプラスチックフィルムとの積層が試みられている。エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアミドフィルムは、ガスバリヤー性に優れており、その高いガスバリヤー性を活かして、ポリエチレン、ポリプロピレン、などのようなヒートシール性やその他の性質に優れるプラスチックフィルムなどと積層して、包装材料などやその他の分野で巾広く用いられている。また、ポリ塩化ビニルフィルムは、その透明性、耐薬品性、印刷適性、機械的特性などに優れるので汎用プラスチックフィルムと積層することによって多くの産業界で有用なフィルムが提供されている。
【0003】
従来、オレフィン系樹脂などの基材に、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの極性基含有樹脂の基材、またはアルミニウム等の金属との接着剤として、スチレン・共役ジエン・スチレン系ブロック共重合体の水添物に無水マレイン酸をグラフト重合させた変性ブロック共重合体、または該重合体と溶媒からなる接着剤が知られている(特許文献1、2)。また、熱可塑性ポリウレタンと芳香族ビニル化合物・共役ジエン系重合体ブロック水添物の混合物を接着剤として用いる方法も開示されている(特許文献3)。しかし、これらの接着剤の接着力は十分でないことから、極性基含有樹脂の基材と
オレフィン系樹脂などの基材をさらに強力に接着せしめる接着剤が求められている。
さて一般的には、上記したような積層フィルムの製造は、溶剤型接着剤を用いて各プラスチックフィルム間の接着・積層を行う方法と、ホットメルト接着剤を用いて積層する方法に二大別される。従来より、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル系重合体フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等を、他のポリマーフィルムと積層する場合には、溶剤型接着剤が汎用されてきたが、有機溶剤の使用による自然環境汚染、作業環境の悪化や安全性の点で問題があり、溶剤型接着剤を用いない積層技術が求められていた。また、極性基含有樹脂基材のうち、ポリカーボネートフィルムやアクリル系重合体フィルムなどは耐溶剤性が劣るため、選択可能な溶剤も限定されていた。以上の従来技術に鑑み、本発明者らは、オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層と、極性ビニル系プラスチック、芳香族ビニル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1種からなる層が、特定のハイブリッドポリマーを含むホットメルト型接着剤層を介して、強力に接着されている積層構造を少なくとも一部有している積層構造体を開発すべく鋭意検討を行い、本発明に到達したのである。
【特許文献1】特公平4-45532号公報
【特許文献2】特公昭63-65116号公報
【特許文献3】特開平10-202799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層と、極性ビニル系プラスチック、芳香族ビニル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1種からなる層が、特定のハイブリッドポリマ
ーを含むホットメルト型接着剤層を介して、強力に接着されている積層構造を少なくとも一部有している積層構造体を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、
(A) オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層、(B) ポリオレフィンセグメント[S1]と、極性ポリマーセグメント[S2]とからなるハイブリッドポリマー[P]を含む層、(C) 極性ビニル系プラスチック、芳香族ビニル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1種からな
る層、が、層(A)/層(B)/層(C)の順に積層している構造を少なくとも一部に有する積層
構造体(以下、『積層構造体[I]』と呼ぶ場合がある)である。
【0006】
本発明における積層構造体の好ましい態様は、前記ハイブリッドポリマー[P]が、ポリ
オレフィンセグメント[S1]と、溶解度パラメーターが18.0〜25.0 J/mであり、且つヘテロ元素を含む重合性モノマーの重合体である極性ポリマーセグメント[S2]とが、共有結合で連結された構造である積層構造体(以下、『積層構造体[II]』と呼ぶ場合がある)である。
【0007】
本発明の積層構造体[I]および[II]においては、前記極性ポリマーセグメント[S2]が、
イソシアネート基、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、マレイミド基、アミン基、イミン基およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するビニルモノマーをラジカル共重合して得られる重合
体残基であることが好ましい。
【0008】
また、前記極性ポリマーセグメント[S2]の、示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラ
ス転移温度(Tg)は25℃以下であることが好ましい態様である。
さらに、本発明の積層構造体[I]および[II]においては、前記ポリオレフィンセグメン
ト[S1]が、DSCで測定した融点(Tm)に起因する吸熱ピーク位置の温度が50℃以上である
結晶性ポリオレフィン残基であることが好ましく、特にプロピレン系重合体残基であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層と、極性ビニル系プラスチック、芳香族ビニル系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1種からなる層との層間接着力に優れた積層構造体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、(A) オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層、(B) ポリオレフィンセグメント[S1]と、極性ポリマーセグメント[S2]とからなるハイブリッドポリマー[P]
を含む層、(C) 極性ビニル系プラスチック、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1種からなる層が、層(A)/層(B)/層(C)の順に積層している構造を少なくとも一部に有する積層構造体[I]である
。以下、層(A)、層(B)および層(C)を構成する成分をこの順に詳細に説明した後に、層(A)/層(B)/層(C)の順に積層している構造を少なくとも一部に有する積層構造体[I]につ
いて説明する。
【0011】
層 (A)
層(A)は、オレフィン系重合体を主要な構成成分として含む層である。なお、本発明に
おいて、「主要」とは、全体に占める重量割合が70重量%であることをいう。
【0012】
本発明においてオレフィン系重合体とは、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを用いて(共)重合することによって得られる重合体である。炭素原子数3〜20のα-オレフィンは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、たとえばプロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどを例示することができる。オレフィン系重合体として具体的には、ポリエチレン、ホモプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ヘキセン)等のホモポリオレフィン、エチレン・プロピレンブロック共重合体等のブロックポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体等のオレフィン系共重合体、およびこれらの二種以上からなる組成物等が挙げられる。なお、オレフィン系重合体が立体規則性を有する場合はシンジオタクチックポリオレフィン、アイソタクチックポリオレフィンのいずれであってもよい。また、層(A)には、必要に応じて、オレフィン系樹脂に通常添加される公知の添加剤、例えば、タルク、シリカ、マイカ、クレー、グラスファイバー等の無機フィラー、染顔料、酸化防止剤、加工安定剤、耐候剤、熱安定剤、光安定剤、核剤、滑剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤等を含有させることができる。
【0013】
層 (B)
層(B)は、層(A)と層(C)を接着するための接着層として機能する重合体層である。層(B)は、ポリオレフィンセグメント[S1]と、極性ポリマーセグメント[S2]とからなるハイブリッドポリマー[P]を含んでなる層である。
【0014】
ハイブリッドポリマー[P]は、ポリオレフィンセグメント[S1]と極性ポリマーセグメン
ト[S2]とを有するハイブリッドポリマーであり、[S1]と[S2]との結合様式によって、ハイブリッドポリマー[P1]とハイブリッドポリマー[P2]に二大別される。ハイブリッドポリマー[P1]は、下記イメージ式(i)で表される骨格を持ち、[S1]中の炭素原子と[S2]中の炭素原子が直接結合した構造を持つハイブリッドポリマーである。ハイブリッドポリマー[P2]は、[S1]中の炭素原子と[S2]中の炭素原子がヘテロ原子またはヘテロ原子を含む結合基によって結合された構造(イメージ式(ii))を有する。二つの構造を模式的に以下に示す。以下、ハイリッドポリマー[P1]とハイブリッドポリマー[P2]について、主に構成要素と製法の視点からその特徴を述べる。
【0015】
【化1】


【0016】
ハイブリッドポリマー[P1]
◆ポリオレフィンセグメント[S1]
ハイブリッドポリマー[P1]においては、ポリオレフィンセグメント[S1]は、化学構造式上は、ポリオレフィンをハロゲン化して得られるハロゲン変性ポリオレフィン[S1']から
ハロゲンラジカルが取り除かれた化学構造式を有するセグメントであることが好ましい。ハロゲン変性ポリオレフィン[S1']は、通常は分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上のポリオレ
フィン[S1'']をハロゲン化して得られる。
【0017】
ポリオレフィン[S1'']は、炭素原子数が2〜20のオレフィンから導かれる繰返し単位か
らなるポリオレフィンであり、具体的には炭素原子数が2〜20のオレフィンから選ばれる
オレフィンの単独重合体またはランダム共重合体である。このポリオレフィンが立体規則性を有する場合は、アイソタクチックポリオレフィン、シンジオタクチックポリオレフィンのいずれであってもよい。炭素原子数が2〜20のオレフィンとしては、例えば直鎖状ま
たは分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物を例示できる。
【0018】
直鎖状のα-オレフィンとして具体的には、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセ
ン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましく
は2〜10のものを例示できる。
【0019】
分岐状のα-オレフィンとして具体的には、例えば3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メ
チル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの炭素原子数4〜20、好ましくは5〜10のものを例示できる。
【0020】
環状オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの炭素原子数が3〜20、好ましくは3〜10のものを例示できる。
【0021】
ポリオレフィン[S1'']のGPC分子量プロファイルは実質的にポリオレフィンセグメント[S1] のGPC分子量プロファイルに同一であり、重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜400,000、さらに好ましくは10,000〜300,000の範囲にある。 またポリオレフィン[S1'']およびポリオレフィンセグメント[S1]の、GPCで求めた分子量分布(Mw/Mn)が1〜10、好ましくは1.5〜8、より好ましくは1.6〜7、さらに好ましくは1.7〜6、特に好ましくは1.8〜5である。
【0022】
ポリオレフィンセグメント[S1]としては、炭素数3以上のα-オレフィンを少なくとも1種含む単独重合体または共重合体、もしくは、エチレンと環状オレフィンとの共重合体が好ましい。さらに、炭素数3以上のα-オレフィン成分に起因する立体規則性が認められることがより好ましく、立体規則性が高いアイソタクティシティを示すことが特に好ましい。このようなセグメントの中でも、ポリオレフィンセグメント[S1]はDSCで測定した融点(Tm)に起因する吸熱ピーク位置の温度が50℃以上、好ましくは60〜200℃、より好ましくは70〜180℃、特に好ましくは100〜180℃である結晶性ポリオレフィン残基であることが好ましい。
このような性質を具備する結晶性ポリオレフィンは、ポリエチレンもしくは高立体規則性を示すポリオレフィンである。ポリエチレンの中でも炭素数3以上のα-オレフィン成分の共重合量が0〜10mol%が好ましく、0〜7mol%がより好ましい。高結晶性・高立体規則性ポ
リオレフィンの中でも、α-オレフィンの共重合量が0〜10mol%である高立体規則性プロピレン重合体が好ましく、α-オレフィンの共重合量が0〜7mol%である高立体規則性プロピ
レン重合体が好ましく、高立体規則性プロピレンホモポリマーがさらに好ましい。
【0023】
ポリオレフィンセグメント[S1]の前駆体となるポリオレフィン[S1'']の製造は従来公知のオレフィン重合触媒の存在下に行われる。従来公知のオレフィン重合用触媒としては、TiCl3系触媒、MgCl2担持型TiCl4系触媒、クロム系触媒、メタロセン系触媒、ポストメタ
ロセン系触媒などが挙げられ、MgCl2担持型TiCl4系触媒もしくはメタロセン系触媒を用いて製造されていることが好ましい。
【0024】
ハロゲン変性ポリオレフィン[S1']は、上記したポリオレフィン[S1'']を公知のハロゲ
ン化剤を用いるハロゲン化方法によって製造することができる。ハロゲン化剤としては、塩素、臭素、ヨウ素、三塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、五塩化リン、五臭化リン、五ヨウ化リン、塩化チオニル、塩化スルフリル、臭化チオニル、N−クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモカプロラクタム、N-ブロモフタルイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-クロログルタルイミド、N-ブロモグルタルイミド、N,N'-ジブロモイソシアヌル酸、N-ブロモアセトアミド、N-ブロモカルバミド酸エステル、ジオキサンジブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド、ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド、ピロリドンヒドロトリブロミド、次亜塩素酸tert-ブチル、次亜臭素酸tert-ブチル、塩化銅(II)、臭化銅(II)、塩化鉄(III)、塩化オキサリル、IBrなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは塩素、臭素、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモカプロラクタム、N-ブロモフタルイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-クロログルタルイミド、N-ブロモグルタルイミド、N,N'-ジブロモイソシアヌル酸であり、より好ましくは臭素、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモカプロラクタム、N-ブロモフタルイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-ブロモグルタルイミド、N,N'-ジブロモイソシアヌル酸などのN-Br結合を有する化合物である。なお、ハロゲン化剤との反応においては、反応を促進するために必要に応じて、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ-tert-ブチル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジイソプロピルジカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸ジメチルラジカルなどに代表される開始剤を添加することもできる。このようにして得られたハロゲン変性ポリオレフィン[S1']のハロゲン含有率は、通常0.01〜70重量%、好ましくは0.02〜50重量%、さらに好ましくは0.05〜30重量%である。なお、本発明のハロゲン変性ポリオレフィン[S1']中に存在するハロゲン原子含有量は、例えば元素分析やイオンクロマトグラフィーなどの方法により測定することができる。また、ハロゲン変性ポリオレフィン[S1']中に存在する炭素−炭素二重結合含有量は、例えば赤外分光法や核磁気共鳴法(NMR)などの方法により測定することができる。さらに、炭素−炭素二重結合のアリル位に存在するハロゲン原子については、例えばNMRにより確認および定量することができる。アリル位に存在するハロゲン原子確認の具体例としては、例えば臭素化ポリプロピレンの重水素化オルトジクロロベンゼンを溶媒に用いたプロトンNMRにおいて、炭素−炭素二重結合に基づくシグナルは通常δ4.5〜6.0 ppmの範囲に観測され、臭素原子が結合したアリル位のメチレン基およびメチン基は通常δ3.5〜4.5 ppmに観測される。アリル位以外のメチレン基およびメチン基に臭素原子が導入された場合のシグナル位置は通常、δ3.0〜3.5 ppmであるため、臭素原子がアリル位に存在しているかそうでないかは容易に識別可能である。加えて、例えばプロトン−プロトン二次元NMR(HH−COSY)を用いることにより、上記炭素−炭素二重結合に基づくシグナルと、臭素原子が結合したメチレン基およびメチン基のシグナルとの相関関係を確認することも可能である。
【0025】
このようにして得られるハロゲン変性ポリオレフィン[S1']は、重合体主鎖の末端に下
記一般式(I)〜(III)で表される構成単位から選ばれる少なくとも一つの構成単位が接続された構造、および/または重合体主鎖中に下記一般式(IV)〜(VII)で表される構
成単位から選ばれる少なくとも一つの構成単位が挿入された構造を有する。
【0026】
【化2】


【0027】
上記一般式(I)〜(VII)において、Xはハロゲン原子を表し、R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R3c、R4a、R5a、R5b、R6a、R6b、R7a、R7bは水素原子、ハロゲン原子、一つ以
上のハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基、酸素含有基または窒素含有基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0028】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、好ましくは塩素または臭素である。
炭化水素基として具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、 tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基、エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基、トリル、iso-プロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-t-ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル、クミルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
【0029】
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基などで置換されていてもよい。
【0030】
これらのうち炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシルなどの
炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6
〜30、好ましくは6〜20のアリール基、これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基
などが好ましい。
【0031】
酸素含有基は、基中に酸素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、例えばアルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシル基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、アルコキシ基、アリーロキシ基、アセトキシ基、カルボニル基、ヒドロキシル基などが好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。これらの酸素含有基のうち、アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシなどが、アリーロキシ基としては、フェノキシ、2,6-ジメチルフェノキシ、2,4,6-トリメチルフェノキシなどが、アシル基としては、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、p-クロロベンゾイル、p-メトキシベンソイルなどが、エステル基としては、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p-クロロフェノキシカルボニルなどが好ましく例示される。
【0032】
窒素含有基は、基中に窒素原子を1〜5個含有する基であり、具体的には、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられ、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。これらの窒素含有基のうち、アミド基としては、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルベンズアミドなどが、アミノ基としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが、イミド基としては、アセトイミド、ベンズイミドなどが、イミノ基としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどが好ましく例示される。
【0033】
ハロゲン変性ポリオレフィン[S1']においては、炭素−炭素二重結合のα位に存在する
炭素−ハロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造を開始剤構造として利用し、ヘテロ元素含有重合性モノマーを重合することによって極性ポリマーセグメント[S2]を導入することができる。流動性と接着性能の観点から平均ハロゲン原子導入本数としては、0.3〜10本が好ましく、0.5〜8本がより好ましく、0.7〜5本がさらに好ましい。
【0034】
ポリマー 1本鎖あたりの平均ハロゲン導入数N は以下のように求めた。GPCより求めら
れる数平均分子量をMn、1H-NMRから求められる、導入モノマーの平均分子量をFw(ave)、
ハロゲン基の全モノマー連鎖単位に対するモル含有量を、n(mol%)としたとき、ポリマー
1本鎖あたりの平均ハロゲン導入数N(本/鎖)は次式により求められる。
【0035】
N=n×Mn/[Fw(ave)×100]
◆極性ポリマーセグメント[S2]
ハイブリッドポリマーを構成する極性ポリマーセグメント[S2]とは、ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーの単独重合体または共重合体である。本発明で用いられるラジカル重合性単量体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)
アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アク
リル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、γ-(メタクリロイルオキシプ
ロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩等のスチレン系モノマー、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン系モノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらの有機化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。
【0036】
本発明で用いられる極性ポリマーセグメント[S2]としては、(メタ)アクリル酸およびその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、スチレンおよびその誘導体、(メタ)アクリル
アミドおよびその誘導体、マレイン酸およびその誘導体、マレイミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、共役ジエン類、ハロゲン含有オレフィン類から選ばれる一種あるいは二種以上の単量体を(共)重合して得られる重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸およびその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、スチレンおよびその誘導体から選ばれる1種
あるいは2種以上の単量体を(共)重合して得られる重合体がより好ましく、(メタ)ア
クリル酸エステル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸の単独重合体および共重合体がさらに好ましく用いることができる。
【0037】
本発明においてハイブリッドポリマー[P1]中の極性ポリマーセグメント[S2]は、数平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、3,000〜300,000であることがより好ましい。分子量がこの範囲より高いときには流動性が低下し、成形性が悪化する。この範囲より低いときには接着性能が低下する。
【0038】
本発明の積層構造体においては、ハイブリッドポリマー[P1]中の極性ポリマーセグメント[S2]は、層(A)と層(B)の接着力を向上させ可塑剤保持性を良くする観点から、あるいは層(B)中のハイブリッドポリマー[P]以外の成分への溶解性・分散性が良好となるという理由によって、溶解度パラメーターが18〜24 (J/m)の範囲であり、好ましくは18.2〜22 (J/m)の範囲であり、さらに好ましくは18.4〜20 (J/m)の範囲であるヘテロ元素含有の重合性モノマーの重合体であることが好ましい。
【0039】
極性ポリマーセグメント[S2]の溶解度パラメーターは極性ポリマーセグメント[S2]を構成する共重合体の組成から計算できる。なお、本発明において溶解度パラメーターは、極性ポリマーセグメント[S2]の組成をMillion Zillion Software, Inc.製CHEOPS Ver. 4.0
に入力し、計算した。
【0040】
ハイブリッドポリマー[P]中の極性ポリマーセグメント[S2]はイソシアネート基、カル
ボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、マレイミド基、アミン基、イミン基およびエーテル基からなる群から選ばれる少なくとも1
種の基を含有するラジカル重合性単量体を含有していることが接着力の視点から好ましい。
【0041】
ハイブリッドポリマー[P1]中の極性ポリマーセグメント[S2]は、接着力の点で、示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が25℃以下が好ましく、より好まし
くは、-60〜25℃、さらに好ましくは-50〜20℃である。
【0042】
カルボキシル基を含有するラジカル重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸などが挙げられ、カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体の誘導体としては、これらの酸無水物およびこれらの酸ハライド、アミド、イミド、エステルなどの誘導体が挙げられる。具体的には、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、およびメタクリル酸アミノプロピルなどを挙げることができる。
【0043】
ヒドロキシル基を含有するラジカル重合性単量体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシ-プロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート
、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-(6-ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;10-ウンデセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、2-メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、2-(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2-ブテン-1,4-ジオール、グリセリンモノアルコールなどが挙げられる。
【0044】
オキサゾリン基、マレイミド基、アミン基、イミン基から選ばれる少なくとも1種の基
を含有するラジカル重合性単量体としては、例えばエチレン性二重結合とアミノ基を有するアミノ基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられ、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類;N-ビニルジエチルアミンおよびN-アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類;アリルアミン、メタクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、N,N-ジメチルアクリルアミド、およびN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアリルアミン系誘導体;アクリルアミドおよびN-メチルアクリルアミドなどのアクリルアミド系誘導体;p-アミノスチレンなどのアミノスチレン類;6-アミノヘキシルコハク酸イミド、2-アミノエチルコハク酸イミドなどが用いられる。
【0045】
エポキシ基を含有するラジカル重合性単量体は、1分子中に重合可能な不飽和結合およ
びエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーであり、このようなエポキシ基含有ラ
ジカル重合性単量体として具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド-シス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-メチル-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合は、アルキル基の炭素原子数は1〜12。)、p-スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ペンテン、5,6-エポキシ-1-ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられる。
【0046】
ハイブリッドポリマー[P1]は、上記ハロゲン変性ポリオレフィン[S1']をマクロ開始剤
として、前記したラジカル重合性単量体から選ばれる一種以上のモノマーをラジカル共重合することにより製造される。ラジカル共重合方法は特に制限されるものではないが、通常は原子移動ラジカル共重合法が好んで用いられる。なお、マクロ開始剤とは、原子移動
ラジカル重合の開始能を有する重合体であり、分子鎖中に原子移動ラジカル重合の開始点となりうる部位を有する重合体を表す。
【0047】
本発明における原子移動ラジカル重合とは、リビングラジカル重合の一つであり、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒としてラジカル重合性単量体をラジカル重合する方法である。(例えば、Matyjaszewskiら、Chem. Rev., 101, 2921 (2001)、WO96/30421号パンフレット、WO97/18247号公報、WO98/01480号パンフレット、WO98/40415号パンフレット、WO00/156795号パンフレット等に関連情報が開示されている。)用いられる開始剤としては、例えば有機ハロゲン化物やハロゲン化スルホニル化合物が挙げられるが、特に炭素−炭素二重結合または炭素−酸素二重結合のα位に存在する炭素−ハロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造が開始剤構造として好適である。本発明に係わるハロゲン変性ポリオレフィン[S1']においては、炭素−炭素二重結合のα位に存在する炭素−ハロゲ
ン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造を開始剤構造として利用することができる。
【0048】
ハロゲン変性ポリオレフィン[S1']をマクロ開始剤とするハイブリッドポリマー[P1]の
製造方法は、基本的には上記変性ポリオレフィン[S1']の存在下、遷移金属を中心金属と
する金属錯体を重合触媒としてラジカル重合性単量体を原子移動ラジカル重合させるものである。
【0049】
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体である。さらに好
ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄または2価のニッケル
の錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示す
るならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2'-ビピリジル
、もしくはその誘導体、1,10-フェナントロリン若しくはその誘導体、またはテトラメチ
ルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2-アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。さらに、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)3)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3)2)、および、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好適である。
【0050】
原子移動ラジカル重合方法は特に限定されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状・懸濁重合などを適用することができる。本発明のラジカル重合において使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであればいずれでも使用することができるが、例えば、具体例として、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノールおよびtert-ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンお
よびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-n-アミルエーテル、テト
ラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒等をあげることができる。また、水を溶媒として、懸濁重合、乳化重合することもできる。これらの溶媒は、単
独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、
反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
【0051】
反応温度はラジカル重合反応が進行する温度であれば何れでも構わず、所望する重合体の重合度、使用するラジカル重合開始剤および溶媒の種類や量によって一様ではないが、通常、-100℃〜250℃である。好ましくは-50℃〜180℃であり、さらに好ましくは0℃〜160℃である。反応は場合によって減圧、常圧または加圧のいずれでも実施できる。上記重合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0052】
ハイブリッドポリマー[P1]における極性ポリマーセグメント[S2]の割合、[S2]/([S1]+[S2])(重量%)は、1%〜60%が好ましく、2〜30%がより好ましく、3〜15%が特に好ましい。極性ポリマーセグメント[S2]の割合がこの範囲にあると、層(B)の中でハイブリッドポリマー[P1]の溶解性が高まり、層(C)への溶解性・反応性が高いために層(B)と層(C)との接着強度が高まる。
【0053】
上記の方法により生成したハイブリッドポリマー[P1]は、重合に用いた溶媒や未反応のモノマーの留去あるいは非溶媒による再沈殿などの公知の方法を用いることにより単離される。さらに、得られたポリマーをソックスレー抽出装置を用い、アセトンやTHFなどの
極性溶媒で処理することで、副生したホモラジカル重合体を除去することが可能である。
【0054】
ハイブリッドポリマー[P2]
前記イメージ式(ii)で表されるハイブリッドポリマー[P2]においては、ポリオレフィンセグメント[S1]と極性ポリマーセグメント[S2]の構成成分は、各々既述したハイブリッドポリマー[P1]中の[S1]および[S2]と同一である。イメージ式(II)におけるQの態様、なら
びに[S1]、[S2]およびQから構成されるハイブリッドポリマー[P2]の代表的製造方法は本
出願人によって出願され、既に公開されている特開2004-131620号公報に開示されている
方法を制限無く使用することができる。代表的には、ハイブリッドポリマー[P2]は下記一般式[C-1]で表される構成単位と、下記一般式[C-2]で表される構成単位および下記一般式[C-3]で表される構成単位から選ばれる少なくとも一種類の構成単位を含む。
【0055】
【化3】


【0056】
一般式[C-1]におけるR1は、水素原子または炭素原子数1〜18の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基を示し、一般式[C-2]および一般式[C-3]におけるR2は炭素原子数1〜18
の直鎖もしくは分岐状の脂肪族もしくは芳香族の炭化水素基を示し、一般式[C-3]におけ
るF1はヘテロ原子またはヘテロ原子を含む基を示し、一般式[C-2]および一般式[C-3]におけるF2は不飽和基を含む基を示し、Zはラジカル重合によって得られる重合体セグメントを示し、Wはアルコール性水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、シロキシ基およびメルカプト基から選ばれる基を示し、nは1〜3の整数、mは0、1または2であり、nが2または3のときZは互いに同一
でも異なっていてもよく、mが2のときWは互いに同一でも異なっていてもよく、WはR1の同一または異なる原子に環状構造で結合していても良い。なお、ハイブリッドポリマー[P2]が、前記[C-2]のみから構成されている仮想的なケースでは、骨格[C-2]中の主鎖部分(−
CH2-CH−)が前記で表されるイメージ式(ii)における[S1]に相当し、骨格[C-2]中のZが前記イメージ式(ii)における[S2]に相当し、その他残り部分(−R2(Wm)−F2−)が前記イメージ式のQに相当する。
【0057】
ハイブリッドポリマー[P2]における、ポリオレフィンセグメント[S1]の数平均分子量および極性ポリマーセグメント[S2]の数平均分子量は、ハイブリッドポリマー[P1]と同じく各々、1,000〜1,000,000の範囲、および1,000〜500,000の範囲である。以上、ハイブリッドポリマー[P1] および[P2] について詳説した。
【0058】
本発明の積層構造体を構成する層(B)は、前記ハイブリッドポリマー[P]、好ましくはハイブリッドポリマー[P1]および/またはハイブリッドポリマー[P2]を含んでなる層である。通常は、ハイブリッドポリマー[P]を必須構成成分として、前記ポリオレフィンセグメント[S1]と同質のポリオレフィン[R]および、前記した極性ポリマーセグメント[S2]と同質の極性ポリマー[Q]から選ばれる1種以上から構成される。なお、本発明において「同質の」とは、ポリオレフィンセグメント[S1]中の、極性ポリマーセグメント[S2]と結合している炭素原子、あるいは極性ポリマーセグメント[S2]中の、ポリオレフィンセグメント[S1] と結合している炭素原子が水素原子で置換された化学構造を持つ、各々ポリオレフィンあるいは極性ポリオレフィンとして定義される。しかしながら本発明においては、前記ポリオレフィン[R]としては、ポリオレフィンセグメント[S2] と結合している炭素原子が水素原子で置換された化学構造のポリオレフィンのみならず、分子量が変動したものやα-オレフィン導入率が異なるポリオレフィンも[R]の対象であり、前記した層(A)を構成ずるオレフィン系重合体として例示したオレフィン系重合体を制限なく使用できるのである。一方で極性ポリオレフィン[Q]としては、ポリオレフィンセグメント[S1] と結合している炭素原子が水素原子で置換された化学構造の極性ポリオレフィンのみならず、分子量が変動したもの、極性モノマーの導入率が異なるものも全て[Q]の対象となる。
【0059】
層(B)における [P]と[Q]と[R]の合計に占めるハイブリッドポリマー[P]の重量割合は、通常1〜100重量%、好ましくは1〜50重量%であり、より好ましくは1〜30重量%である。
なお、層(B)がハイブリッドポリマー[P]と前記極性ポリマー[Q]を含み、前記ポリオレ
フィン[R]を含まない場合は、[Q]/[S2](重量比)、すなわち、成分[Q]重量を成分[P]中
の極性ポリマーセグメント[S2]重量で除した値が、0.5未満、好ましくは0.4未満、さらに好ましくは0.3未満である要件を満たすことによって、層(B)および層(C)と強力な接着力
を発現する。
【0060】
また、層[B]は、[P]と[Q]と[R]以外の構成成分の共存を何ら排除するものではない。本発明の目的を阻害しない範囲で[P]と[Q]と[R]以外の樹脂や添加剤を添加してもよい。層(B)を構成する樹脂組成物において、[P]と[Q]と[R]以外の構成成分として樹脂類を添加す
る場合には、[P]と[Q]と[R]の合計が層(B)の1〜100重量%であり、好ましくは50〜100重量%であり、さらに好ましくは70〜100重量%となるように添加される。また、層(B)に添加される添加剤成分としては、タルク、シリカ、マイカ、クレー、グラスファイバー等の無機フィラー、染顔料、酸化防止剤、加工安定剤、耐候剤、熱安定剤、光安定剤、核剤、滑剤、離型剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤等である。
【0061】
層(B)を構成する樹脂組成物の製造方法は、従来公知の方法を採用できる。たとえば、
各成分を一括で、または逐次に、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で混合して得られた混合物を、さらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒あるいは得られた樹脂塊を粉砕することによって得ることができる。
【0062】
層 (C)
層(C)は、極性ビニル系プラスチック、芳香族ビニル系重合体、ポリエステル、ポリア
ミド、ポリカーボネート、エンジニアリングプラスチック、生物由来ポリマー、熱可塑性エラストマー、天然製または人工繊維、無機ガラスおよび金属から選ばれる少なくとも1
種から選ばれる層である。本発明においては、層(C)が、極性ビニル系プラスチックまた
は芳香族ビニル系重合体またはポリエステルから構成されておる場合において、層(B)と
の層間で優れた接着性能を示す。
【0063】
層(C)において用いられる極性ビニル系プラスチックとして具体的には、アクリル系重
合体、塩化ビニル系重合体、塩化ビニリデン系重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸
化物などを例示することができる。
【0064】
層(C)において用いられるアクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルか
ら誘導される構造単位から主としてなるアクリル系重合体を挙げることができる。その場合に、アクリル系重合体における(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構造単位の割合が50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。アクリル系重合体を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを挙げることができ、アクリル系重合体はこれらの(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上から誘導される構造単位を有していることができる。また、アクリル系重合体は、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル以外の不飽和単量体から誘導される構造単位の1種または2種以上を有していてもよい。例えば、メタクリル系樹脂は、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体から誘導される構造単位を好ましくは50重量%以下の割合で有していてもよく、またスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物から誘導される構造単位などを好ましくは10重量%以下の割合で有していてもよい。
【0065】
層(C)において用いられる塩化ビニル系重合体としては、塩化ビニル単独重合体、塩化
ビニルに由来する構造単位を70重量%以上の割合で有する塩化ビニルと他の共重合性単量
体との共重合体およびそれらの塩素化物の1種または2種以上が好ましく用いられる。塩化ビニル系重合体が塩化ビニル共重合体である場合は、塩化ビニルと、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、マレイミドなどの共重合性単量体の1種または2種以上の共重合体が好ましく用いられる。塩化ビニル系重合体の重合度は特に制限されないが、一般に、重合度が100〜10,000のものが好ましく用いら
れ、500〜6,000のものがより好ましく用いられる。
【0066】
重合体層(C)において用いられる塩化ビニリデン系重合体としては、塩化ビニリデンに
由来する構造単位を50重量%以上の割合で有している熱可塑性重合体が好ましく用いられ
、70重量%以上の割合で有している熱可塑性重合体がより好ましく用いられる。塩化ビニ
リデン系重合体が塩化ビニリデンと他の単量体との共重合体である場合には、塩化ビニリデンと、塩化ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸エステルおよびアクリル酸などの他の不飽和単量体の1種または2種以上との共重合体が好ましく用いられる。塩化ビニリデン系重合体の重合度は特に制限されないが、一般に、重合度が100〜10,000のものが好まし
く用いられ、500〜5,000のものがより好ましく用いられる。
【0067】
層(C)において用いられるエチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物としては、エチレン含量が20〜60モル%、好ましくは25〜60モル%で、ケン化度が95%以上のものが好ましく用いら
れる。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、ASTM D-1238-65Tに準拠して測
定したメルトインデックスが0.1〜25 g/10分(190℃、2.16kg荷重下で測定)であること
が、成形性の点から好ましく、0.3〜20 g/10分であることがより好ましい。
【0068】
層(C)において用いられる芳香族ビニル重合体とは、芳香族ビニル単量体を成分として
含有する単量体を重合して得られる重合体のことである。芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンを挙げることができる。芳香族ビ
ニル重合体の例としては、芳香族ビニル単独重合体のみならず、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等の各種ゴム質重合体を含有する芳香族ビニル重合体、スチレン-無水マレイ
ン酸共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体等を例示することができる。
【0069】
層(C)において用いられるポリエステルとしては、ポリマー主鎖にエステル結合を有し
、加熱溶融が可能なものであれば特に制限されない。本発明で用い得るポリエステルとしては、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分との反応により得られるポリエステル、ラクトンを開環重合して得られるポリエステル(ポリラクトン)、ヒドロキシカルボン酸またはそのエステル形成誘導体を重縮合して得られるポリエステルなどを挙げることができ、これらのポリエステルの一種または二種以上を用いることができる。そのうちでも、本発明では、ジカルボン酸成分とジオール成分とから実質的に形成されているポリエステルが好ましく用いられる。ポリエステルの原料である上記したジカルボン酸成分の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p-
カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸;グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;テトラブロモフタル酸などのハロゲン含有ジカルボン酸;およびそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。
【0070】
また、ポリエステルの原料である上記したジオール成分の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シク
ロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ-1,3-プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの分子量6,000以下のポリアルキレングリコールなどから誘導されるジオールなどを挙げることができる。
【0071】
また、ポリエステルは、必要に応じて、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸などの三官能以上の化合物から誘導される構造単位の1種または2種以上を少量であれば有していてもよい。
【0072】
層(C)において用いられるポリカーボネートとしては、実質的ジヒドロキシ化合物と、
ホスゲン、炭酸ジエステルまたはハロゲンホルメートとを反応させて得られるポリカーボネートを挙げることができる。その場合に、原料であるジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と呼ぶ場合
がある)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4'-
ジヒドロキシフェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができ、これらのう
ちでもビスフェノールAが好ましい。また、ポリカーボネートは、必要に応じて、三官能
以上のポリヒドロキシ化合物に誘導される構造単位の1種または2種以上を少量であれば有していてもよい。
【0073】
層(C)において用いられるポリアミドとしては、ポリマー主鎖にアミド結合を有し、加
熱溶融が可能なものであれば特に制限されない。本発明で用い得るポリアミドとしては、例えば、三員環以上のラクタムを開環重合して得られるポリアミド(ポリラクタム)、ω-アミノ酸の重縮合により得られるポリアミド、二塩基酸とジアミンとの重縮合により得られるポリアミドなどを挙げることができ、これらのポリアミドの1種または2種以上を用いることができる。
【0074】
ポリアミドの原料である上記したラクタムの具体例としては、ε-カプロラクタム、エ
ナトラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、α-ピロリドンなどを挙げること
ができる。また、ポリアミドの原料である上記したω-アミノ酸の具体例としては、6-ア
ミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸など
を挙げることができる。上記二塩基酸の具体例としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4'-オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4'-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4'-ジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などを挙げることができる。また、上記ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン;p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、キシレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミンを挙げることができる。
【0075】
層(C)において用いられるエンジニアリングプラスチックの代表的例は、ポリアセター
ル(POM)、ポリフェニレンエーテル(変性ポリフェニレンエーテルを含む)、ポリサル
ホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート(Uポリマー)、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、液晶ポリエステル等のスーパーエンジニアリングプラスチック等である。
【0076】
層(C)において用いられる生物由来ポリマーとは、植物や動物といった生物由来の原料
である「バイオマス」からつくられる生物由来のポリマーであり、その代表的例は、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、またはこれらの共重合体、でんぷん、セルロース、カニやエビの甲羅などの成分であるキチン・キトサン、ケナフ、天然ゴム等が挙げられる。
【0077】
層(C)において用いられる熱可塑性エラストマーは、一般的に常温で引張弾性率が300MPa以下の柔軟な弾性体であり、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどが例示される。
【0078】
層(C)において用いられる天然製または人工繊維とは、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊
維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維などが挙げられる。
【0079】
層(C)において用いられる無機ガラスとはケイ酸塩を主成分とするガラスである。
層(C)において用いられる金属とは、代表的にはアルミニウム、鉄、マグネシウム、チ
タンおよびこれらとの合金等に、熱接着性の表面処理を施した金属材料が挙げられる。
【0080】
積層構造体
本発明の積層構造体では、各層の厚さは特に制限されず、各層を構成する重合体または材料の種類、積層構造体における全体の層数、積層構造体の用途などに応じて調節し得るが、一般には、重合体層(A)の厚さを10μm〜5mm、重合体層(B)の厚さを1μm〜1mm、重合
体層(C)の厚さを10μm〜5mmにしておくことが、積層構造体の製造の容易性、層間接着力
などの点から好ましい。
【0081】
また、本発明の積層構造体における全体の層数は特に制限されず、層(A)/層(B)/層(C)の順に積層している構造を少なくとも一部に有する積層構造体である限りはいずれでもよい。また、本発明の積層構造体は、層(A)、層(B)および層(C)の三層のみから形成されていても、またはそれらの三種の層と共に、層(A)〜層(C)を構成している材料以外の他の材料からなる層の1つまたは2つ以上を有していてもよい。
【0082】
本発明の積層構造体の例としては、層(A)/層(B)/層(C)からなる3層構造物;層(C)/
層(A)/層(B)/層(C)からなる4層構造物;層(A)/層(B)/層(C)/層(B)/層(A)からなる5層構造物;層(C)/層(B)/層(A)/層(B)/層(C)からなる5層構造物;層(C)/層(A)/層(B)/層(C)/層(B)/層(A)/層(C)からなる7層構造物などを挙げることができる。
【0083】
本発明の積層構造体の製造法としては、例えば、
(1) 層(A)用の重合体、層(B)用の重合体および層(C)用の重合体または材料を少なくとも用いて、それらをフィルム状、シート状、板状に溶融共押出成形して、それぞれの層の押出成形と同時に積層させて積層構造体を製造する方法;
(2) 層(A)を構成するフィルム、シート、板などを予め製造しておき、および/または
層(C)を構成するフィルム、シート、板などの成形品を予め製造しておき、重合体層(B)を溶融押出成形しながら、また層(A)および層(C)の一方が予め成形されたものでない場合はそれをも溶融押出成形しながら、予め製造しておいた層(A)用の成形品および/または層(C)用の成形品と積層して一体化させて積層構造体を製造する方法;
(3) 層(A)を構成するフィルム、シート、板などの成形品と、層(C)を構成するフィルム、シート、板などの成形品を予め製造しておき、さらに層(B)用の重合体も予めフィルムやシート状に成形しておき、層(B)用のフィルムまたはシートを層(A)用の成形品と層(C)用の成形品との間に挟んで加熱下に層(B)用のフィルムまたはシートを溶融させて層(A)と層(C)を層(B)を介して接着・一体化させて積層構造体を製造する方法;
(4) 層(A)用の重合体、層(B)用の重合体および層(C)用の重合体または材料を少なく
とも用いて、3種類の重合体または材料を、射出のタイミングをずらして金型内に射出す
ることにより、積層成形体を製造する方法;などを挙げることができる。
【0084】
上記の(1)〜(4)の方法のいずれの場合にも、溶融した層(B)を介して層(A)と層(C)が接
着され、接着剤層が有機溶剤を含まないので、有機溶剤による自然環境の破壊や、作業環境の悪化、溶剤の回収などの問題や手間を生ずることなく、目的とする積層構造体を得ることができる。そのうちでも、上記した(1)の共押出成形による方法が、工程数が少なく
てすみ生産性が高く、しかも層(A)、層(B)および層(C)間の接着強度が高くて、層間剥離
のない積層構造体を得ることができるので好ましい。
【0085】
共押出成形法によって本発明の積層構造体を製造する場合は、積層構造体の層数などに応じて、例えば3台以上の押出機を1つのダイに結合して、複数の重合体をダイの内側または外側で積層一体化して製造することができる。その場合のダイとしては、Tダイ、環状
ダイなどを使用することができ、押出機やダイの形状や構造などは特に制限されない。
【0086】
本発明の積層構造体は、それを構成している層(A)、層(B)、層(C)の性質などに応じて
種々の用途に使用することができ、例えば、食品や医療用薬剤の包装材料;衣料用包装材料;その他の製品用の包装材料;壁紙や化粧板などのような建材用;電気絶縁用フィルム;粘着フィルムやテープ用基材;マーキングフィルム;農業用フィルム;テーブルクロス、レインコート、傘、カーテン、カバー類などの雑貨用;金属板やその他の材料とのラミネート用などの種々の用途に使用することができる。
【0087】
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
【0088】
〔製造例1〕
特開2002-145944号公報記載の方法に準じて製造したプロピレン/10-ウンデセン-1-オ
ール共重合ポリマーを、ガラス製反応基に入れ、ポリマー濃度が100g/Lになるよう、ヘキサンを加えスラリー状態にした。ポリマーに存在する水酸基の量に対し、5倍当量の2-ブ
ロモイソ酪酸ブロミド添加し、60℃に昇温し、3時間加熱撹拌した。反応液を、20℃/hの
冷却速度で20℃まで冷却し、ポリマーを濾別した。ポリマーを、再度アセトンに入れ10分間攪拌することで固液洗浄した後に再度濾取した。得られた白色ポリマーを50℃、10 Torrの減圧条件下で10時間乾燥させた。高温GPC分析の結果、ポリプロピレン換算重量平均分子量Mw=82,800, ポリプロピレン換算数平均分子量Mn=41,300であり、DSCの測定結果より
融点が154℃であり、1H-NMR分析より、2-ブロモイソ酪酸ブロミド由来の臭素が導入され
た末端が平均導入本数として1.3本/鎖であった。このハロゲン化ポリプロピレンをガラ
ス製重合器に入れ、スチレンモノマーを、ポリマー濃度が189 g/Lになるように加え、窒
素バブリングによる脱酸素操作を行った。その後、臭化銅(I):N,N,N',N'',N''-ペン
タメチルジエチレントリアミン(以下「PMDETA」と略記する。)の1:2(mol比)のトルエン溶液をハロゲン化ポリプロピレンのハロゲン含有量に対し、1.5当量の臭化銅(I)となるように加え、加温・攪拌した。100℃で5時間重合したところで、氷浴で冷却し、ポリマーを析出させた後、濾過し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを減圧下(10 Torr)、80℃で乾燥することで白色のポリマーを得た(以下の説明では、このポリマーを『ハイブリッドポリマー(P-1)』と呼ぶ)。1H-NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0089】
〔製造例2〕
製造例1において使用したハロゲン化ポリプロピレン(ポリプロピレン換算重量平均分
子量Mw=82,800、ポリプロピレン換算数平均分子量Mn=41,300、臭素平均導入本数として1.3本/鎖)を、スチレン/メタクリル酸メチル(モル比で7:3)のモノマー混合液を、ポリマー濃度が189 g/Lになるように加え、窒素バブリングによる脱酸素操作を行った。その後、臭化銅(I): PMDETAの1:2(mol比)のトルエン溶液をハロゲン化ポリプロピレンのハロゲン含有量に対し、3.0当量の臭化銅(I)となるように加え、加温・攪拌した。100℃で5時間重合したところで、氷浴で冷却し、ポリマーを析出させた後、濾過し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを減圧下(10 Torr)、80℃で乾燥することで白色のポリマーを得た(以下の説明では、このポリマーを『ハイブリッドポリマー(P-2)』と呼ぶ)。1H-NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0090】
〔製造例3〕
製造例1に記載に記載した方法に準拠して合成したハロゲン化ポリプロピレン(ポリプ
ロピレン換算重量平均分子量Mw=106,000, ポリプロピレン換算数平均分子量Mn=56,400,
臭素平均導入本数として1.9本/鎖)をガラス製重合器に入れ、アクリル酸-n-ブチル(nBuA)とメタクリル酸グリシジル(GMA)がそれぞれ3.0 M、0.30 Mになるように調製したトルエン溶液を、ポリマー濃度が93 g/Lになるように加え、窒素バブリングによる脱酸素操作を行った。その後、臭化銅(I):PMDETAの1:2(mol比)のトルエン溶液をハロゲン化ポリプロピレンのハロゲン含有量に対し、2当量の臭化銅(I)となるように加え、加温・攪拌した。75℃で1時間重合したところで、氷浴で冷却し、ポリマーを濾過し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを減圧下(10 Torr)、80℃で乾燥することで白色のポリマーを得た(以下の説明では、このポリマーを『ハイブリッドポリマー(P-3)』と呼ぶ)。1H-NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0091】
〔製造例4〕
製造例3において使用したハロゲン化ポリプロピレン(ポリプロピレン換算重量平均分
子量Mw=106,000、ポリプロピレン換算数平均分子量Mn=56,400、臭素平均導入本数として1.9本/鎖)をガラス製重合器に入れ、アクリル酸-2-エチルヘキシル(2-EHA)とメタクリル酸グリシジル(GMA)がそれぞれ3.0 M、0.30Mになるように調製したトルエン溶液を、ポリマー濃度が93 g/Lになるように加え、窒素バブリングによる脱酸素操作を行った。その後、臭化銅(I):PMDETAの1:2(mol比)のトルエン溶液をハロゲン化ポリプロピレンのハロゲン含有量に対し、2当量の臭化銅(I)となるように加え、加温・攪拌した。75℃で1時間重合したところで、氷浴で冷却し、ポリマーを濾過し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを減圧下(10 Torr)、80℃で乾燥することで白色のポリマーを得た(以下の説明では、このポリマーを『ハイブリッドポリマー(P-4)』と呼ぶ)。1H-NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0092】
〔製造例5〕
製造例3および製造例4において使用したハロゲン化ポリプロピレン(ポリプロピレン換算重量平均分子量Mw=106,000、ポリプロピレン換算数平均分子量Mn=56,400、臭素平均導
入本数として1.9本/鎖)をガラス製重合器に入れ、アクリル酸-n-ブチル(nBuA)とアクリロニトリル(AN)とメタクリル酸グリシジル(GMA)がそれぞれ2.1 M、0.90 M、0.3 Mに
なるように調製したトルエン溶液を、ポリマー濃度が93 g/Lになるように加え、窒素バブリングによる脱酸素操作を行った。その後、臭化銅(I):PMDETAの1:2(mol比)のトル
エン溶液をハロゲン化ポリプロピレンのハロゲン含有量に対し、2当量の臭化銅(I)となるように加え、加温・攪拌した。75℃で6時間重合したところで、氷浴で冷却し、ポリマ
ーを濾過し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを減圧下(10 Torr)、80℃で乾
燥することで白色のポリマーを得た(以下の説明では、このポリマーを『ハイブリッドポリマー(P-5)』と呼ぶ)。1H-NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0093】
〔製造例6〕
製造例3、製造例4および製造例5において使用したハロゲン化ポリプロピレン(ポリプ
ロピレン換算重量平均分子量Mw=106,000、ポリプロピレン換算数平均分子量Mn=56,400、
臭素平均導入本数として1.9本/鎖)をガラス製重合器に入れ、メタクリル酸グリシジル(GMA)が3.0 Mになるように調製したトルエン溶液を、ポリマー濃度が93 g/Lになるように
加え、窒素バブリングによる脱酸素操作を行った。その後、臭化銅(I):PMDETAの1:2(mol比)のトルエン溶液をハロゲン化ポリプロピレンのハロゲン含有量に対し、2当量の臭化銅(I)となるように加え、加温・攪拌した。75℃で20分間重合したところで、氷浴で冷却し、ポリマーを濾過し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを減圧下(10 Torr)、80℃で乾燥することで白色のポリマーを得た(以下の説明では、このポリマーを『ハイブリッドポリマー(P-6)』と呼ぶ)。1H-NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0094】
〔製造例7〕
ポリプロピレン(プライムポリマー社製S119)をガラス製反応器に入れ、ポリマー濃度が100 g/Lになるよう、クロロベンゼンを加えて120℃で2時間加熱撹拌した。その後、ポ
リプロピレン100重量部に対して2.5重量部のN-ブロモスクシンイミドを加えて100℃で2時間溶液状態で反応を行った。反応液を4Lのアセトン中に注ぎ、析出したポリマーをろ過した。ポリマーを再度アセトンに入れ10分間攪拌することで固液洗浄した後に再度濾取し、80℃、10 Torrの減圧条件下で10時間乾燥させた。得られたポリマー中に含まれる臭素原
子の含有量は、イオンクロマトグラフィー分析から0.55 wt%であった。また、該ポリマーの分子量をGPC(ポリプロピレン換算)により測定したところ、Mw=101,000、Mn=43,000、Mw/Mn=2.35であり、DSCの測定結果より融点が153℃であった。このハロゲン化ポリプロピレンをガラス製重合器に入れ、アクリル酸-n-ブチル(nBuA)とメタクリル酸グリシジル(GMA)がそれぞれ3.0 M、0.30 Mになるように調製したトルエン溶液を、ポリマー濃度が93 g/Lになるように加え、窒素バブリングによる脱酸素操作を行った。その後、臭化銅(I):PMDETAの1:2(mol比)のトルエン溶液をハロゲン化ポリプロピレンのハロゲン含有量に対し、2当量の臭化銅(I)となるように加え、加温・攪拌した。75℃で1時間重合したところで、氷浴で冷却し、ポリマーを濾過し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを減圧下(10 Torr)、80℃で乾燥することで白色のポリマーを得た(以下の説明では、このポリマーを『ハイブリッドポリマー(P-7)』と呼ぶ)。1H-NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0095】
〔製造例8〕
株式会社プライムポリマー社製該ホモポリプロピレン F102W(MFR=2g/10分(本明細書においては特に記載がない限りMFRとは230℃、2.16kg荷重下での値を示す)、引張弾性率1,600MPa、引張破壊呼びひずみ130%である。)100重量に、無水マレイン酸(和光純薬社
製。以下、MAHと略記)1重量部、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエイト(日本油
脂社製、商品名パーブチルZ) 0.5重量部をアセトンに溶解させた溶液をドライブレンド
した。その後、二軸混練機(日本製鋼所製、TEX-30)を用いて樹脂温度230℃、スクリュ
ー回転数200 rpm、吐出量100g/分にて押し出し、マレイン酸変性ポリプロピレン(以下『変性ポリマー(P-8)』と呼ぶ)を得た。得られた変性ポリマー(P-8)をキシレンに溶解、アセトンに再沈させて精製し、無水マレイン酸のグラフト量を測定したところ0.75重量%であり、MFRは400g/10分であった。
【0096】
〔製造例9〕
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、上記製造例3で得たハロゲン化ポリプロピレン15gとアクリル酸ブチル(nBuA)25.2ml、メタクリル酸グリシ
ジル(GMA)10.3ml、トルエン217mLを入れ、25℃で溶液を窒素置換(30L/
hr,0.5時間)した。このスラリーに、臭化銅(I)73mg、PMDETA 0.2
1mlを加え、80℃で4時間重合を行った。反応液をろ過し、フィルター上の固体をメタノールで洗浄後ポリマーを減圧乾燥して19.9gの固体状ポリマーを得た(以下、『ハイブリッドポリマー(P-9)』とする)。得られたポリマー3.00gを取り、アセトン150mlを用いてソクスレー抽出を還流下9時間行った。抽出残を減圧乾燥して2.98gのポリマーを得た。1H−NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0097】
〔製造例10〕
アクリル酸ブチル(nBuA)、メタクリル酸グリシジル(GMA)、トルエンの仕込み量をそれぞれ、5.2ml/11.6ml/236mlとする以外は、製造例9と同様な手法で重合を行い、16.9gのポリマー(以下、『ハイブリッドポリマー(P-10)』とする)を得た。1H−NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0098】
〔製造例11〕
仕込みモノマーをメタクリル酸メチル(MMA)9.1ml、メタクリル酸グリシジル(GMA)5.0mlとし、トルエンの仕込み量を239mlとし、重合時間を3.5時間
する以外は、製造例9と同様な手法で重合を行い、17.3gのポリマー(以下、『ハイブリッドポリマー(P-11)』とする)を得た。1H−NMRより求めたポリマーの組成分析
結果を表1にまとめた。
【0099】
〔製造例12〕
仕込みモノマーをスチレン(St)20.3ml、メタクリル酸グリシジル(GMA)10.3m
lとし、トルエンの仕込み量を222mlとし、重合時間を3.5時間とする以外は、製造
例9と同様な手法で重合を行い、16.1gのポリマー(以下、『ハイブリッドポリマー(P-12)』とする)を得た。1H−NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた

【0100】
〔製造例13〕
[ハロゲン化ポリプロピレンの合成]
特開2002−145944号公報の実施例に記載の方法に準じて製造したプロピレン/10−ウンデセン−1−オール共重合ポリマー(ポリプロピレン換算重量平均分子量Mw=149000、ポリプロピレン換算数平均分子量Mn=66180,融点:153.8℃,水酸基含量:0.117mmol/g)を、ガラス製反応器に入れ、ポリマー濃度が100g/Lになるよう、ヘキサンを加えスラリー状態にした。ポリマーに存在する水酸基の量に対し、5倍当量の2−ブロモイソ酪酸ブロミド添加し、60℃に昇温し、3時間加熱撹拌した。反応液を、20℃/hの冷却速度で20℃まで冷却し、ポリマーを濾別した。ポリマーを、再度アセトンに入れ10分間攪拌することで固液洗浄した後に再度濾取した。得られた白色ポリマーを50℃、10Torrの減圧条件下で10時間乾燥させた。DSCの測定結果より融点が153.1℃であり、1H−NMR分析より、2−ブロモイソ酪酸ブロミド由来の臭素が導入された末端が平均導入本数として7.5本/鎖であった。
【0101】
〔製造例14〕
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、上記製造例13で得たハロゲン化ポリプロピレン15gとアクリル酸ブチル(nBuA)12.1ml、メタクリル酸グリ
シジル(GMA)5.0ml、トルエン236mLを入れ、25℃で溶液を窒素置換(30
L/hr,0.5時間)した。このスラリーに、臭化銅(I)73mg、PMDETA 0
.21mlを加え、80℃で4時間重合を行った。反応液をろ過し、フィルター上の固体をメタノールで洗浄後ポリマーを減圧乾燥して19.0gの固体状ポリマーを得た(以下、『ハイブリッドポリマー(P-13)』とする)。得られたポリマー3.00gを取り、アセトン150mlを用いてソクスレー抽出を還流下9時間行った。抽出残を減圧乾燥して2.94gのポリマーを得た。1H−NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0102】
〔製造例15〕
充分に窒素置換した内容積500mLのガラス製反応器に、上記製造例3で得たハロゲン化ポリプロピレン30gとスチレン(St)1.4ml、マレイン酸無水物(MAH)1.2g、トルエン265mLを入れ、25℃で溶液を窒素置換(30L/hr,0.5時間)した。このスラリーに、シクロペンタジエニルカルボニル鉄(II)2量体143m
gを加え、80℃で4時間重合を行った。反応液をろ過し、フィルター上の固体をメタノールで洗浄後ポリマーを減圧乾燥して31.9gの固体状ポリマーを得た(以下、『ハイブリッドポリマー(P-14)』とする)。得られたポリマー3.00gを取り、アセトン150mlを用いてソクスレー抽出を還流下9時間行った。抽出残を減圧乾燥して2.97gのポリマーを得た。1H−NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0103】
〔製造例16〕
以下の実施例で使用したエポキシスチレン(m,p混合物)は、Polymer 40(9), 2411 (1999)記載の方法で合成した。
【0104】
上記製造例3で得たハロゲン化ポリプロピレン60.0g/L、アクリル酸nブチル495ml/L、
エポキシスチレン(m,p-混合物) 210ml/L、アセトン295ml/Lの濃度でコンデンサー付き4つ口フラスコに仕込み、30分間窒素バブリングさせたのち、別途調整した0.8 mol/LのN,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミンと臭化第一銅のトルエン調整液を25ml/Lの濃度になるよう添加して、55℃で8時間反応させた。反応液をろ取して得られた固体をアセトンで数回洗浄し、60℃で減圧乾燥して、目的のエポキシ基ハイブリッドポリマーを得た(以下、『ハイブリッドポリマー(P-15)』とする)。得られたハイブリッドポリマーの1H−NMRより求めたポリマーの組成分析結果を表1にまとめた。
【0105】
【表1】


【実施例1】
【0106】
[1] 株式会社プライムポリマー製ホモポリプロピレンJ106G(MFR=15g/10分、引張弾性
率1500MPa、引張破壊呼びひずみ100%である。該ホモポリプロピレンを以下の説明では『
ポリオレフィンB-1』と呼ぶ。)50重量部、三井化学株式会社製エチレンブテンランダム
ポリマーであるタフマーA0550(MFR=1.0g/10分、密度860kg/m3である。該ポリマーを以下の説明では『ポリオレフィンB-2』と呼ぶ。)30重量部、および前記製造例1で得られたハイブリッドポリマー(P-1)20重量部を予備混合し、株式会社テクノベル製二軸押出機KZW-15G ダイ径15mmφ、L/D=30二軸押出機を用いて200℃の温度で溶融混練した後ストランド状の押出し、切断してペレットを製造した。このペレットを80℃の減圧乾燥機で一晩加熱して、ポリオレフィンB-1とポリオレフィンB-2とハイブリッドポリマー(P-1)との重合
体組成物を得た。
【0107】
[2] 三台の押出機を1つのダイに結合した押出成形装置を用いて、それぞれの押出機に
株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン(グレードF227D; MFR=7.0 g/10分
、引張弾性率950MPa、引張破壊呼びひずみ200%以上)、上記の[1]で得た重合体組成物、
および三井化学株式会社製ポリエチレンテレフタレート(グレードJ135)を供給し、押し出し時の最高温度をランダムポリプロピレンが220℃、重合体組成物が230℃、ポリエチレンテレフタレートが280℃になるように設定して、押出成形装置のTダイ(ダイ幅は200mm
)から、ランダムポリプロピレン(40μm)/重合体組成物(40μm)/ポリエチレンテレフタレート(160μm)の順に積層した三層構造になるようにして共押出成形を行って、(A)層がランダムポリプロピレン層、(B)層がハイブリッドポリマーを含む層、(C)層がポリ
エチレンテレフタレートである三層からなる積層構造体を製造した。
上記[2]で得られた積層構造体について、(B)層と(C)層との界面接着強度を、剥離雰囲気
温度23℃、剥離速度500mm/分、ピール幅10 mmの条件でT型剥離して求めた。その結果を表2に示した。また、剥離の際の形態を表2に示した。樹脂切れとは(C)層が破壊して剥
離したことを示し、凝集剥離とは(B)層が破壊して剥離したことを示し、剥離面荒とは剥離の際に(C)層に(B)層が残って剥離したことを示し、良好とは剥離の際に(C)層に(B)層が残らず、接着強度を発現せずに剥離したことを示し、接着不可とは剥離試験を行う前に試料調整段階で剥離してしまったことを示す。
【0108】
[実施例2]〜[実施例15]
実施例1において、表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にしてT型剥離試験を行った。結果を表2に示した。
【0109】
[実施例16]
[1] ポリオレフィン(B−1)68重量部、ポリオレフィン(B−2)23重量部、および前記製造例15で得られたハイブリッドポリマー(P−14)9重量部を予備混合し、株式会社テクノベル製二軸押出機KZW−15G(ダイ径15mmφ、L/D=30)二軸押出機を用いて200℃の温度で溶融混練した後ストランド状の押出し、切断してペレットを製造した。このペレットを80℃の減圧乾燥機で一晩加熱して、ポリオレフィン(B−1)とポリオレフィン(B−2)とハイブリッドポリマー(P−14)との重合体組成物を得た。
[2] 三台の押出機を1つのダイに結合した押出成形装置を用いて、それぞれの押出機に株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン(グレードF227D;MFR=7.0g/10分、引張弾性率950MPa、引張破壊呼びひずみ200%以上)、上記の[1]で得た重合体組成物、および株式会社クラレ製エチレン・ビニルアルコール共重合体(商品名エバール、グレードL101A)を供給し、押し出し時の最高温度をランダムポリプロピレンが220℃、重合体組成物が230℃、エチレン・ビニルアルコール共重合体が220℃になるように設定して、押出成形装置のTダイ(ダイ幅は200mm)から、ランダムポリプロピレン(40μm)/重合体組成物(40μm)/エチレン・ビニルアルコール共重合体(160μm)の順に積層した三層構造になるようにして共押出成形を行って、層(A)がランダムポリプロピレン層、層(B)がハイブリッドポリマーを含む層、層(C)がエチレン・ビニルアルコール共重合体である三層からなる積層構造体を製造した。上記[2]で得られた積層構造体について、層(B)と層(C)との界面接着強度を、剥離雰囲気温度23℃、剥離速度500mm/分、ピール幅10mmの条件でT型剥離して求めた。その結果を表2に示した。また、剥離の際の形態を表2に示した。
【0110】
[実施例17]
[1] ポリオレフィン(B−1)68重量部、ポリオレフィン(B−2)23重量部、および前記製造例10で得られたハイブリッドポリマー(P−10)9重量部を予備混合し、株式会社テクノベル製二軸押出機KZW−15G(ダイ径15mmφ、L/D=30)二軸押出機を用いて200℃の温度で溶融混練した後ストランド状の押出し、切断してペレットを製造した。このペレットを80℃の減圧乾燥機で一晩加熱して、ポリオレフィン(B−1)とポリオレフィン(B−2)とハイブリッドポリマー(P−10)との重合体組成物を得た。
[2] 株式会社プライムポリマー製ランダムポリプロピレン(グレードF227D;MFR=7.0g/10分、引張弾性率950MPa、引張破壊呼びひずみ200%以上)、上記の[1]で得た重合体組成物をそれぞれ温度200℃、圧力100kg・cm2でプレス成形し、その後20℃に設定したプレス成形機にて急冷することにより、厚さ100μm、長さ80mm、幅10mmの大きさのプレスシートを得た。得られたプレスシートを用いて、層(A)がランダムポリプロピレン層、層(B)がハイブリッドポリマーを含む層、層(C)が厚さ100μmのアルミシートとして、220℃に設定したヒートシール試験機にて10秒間ヒートシールを行い、三層からなる積層構造体を製造した。
上記[2]で得られた積層構造体について、層(B)と層(C)との界面接着強度を、剥離
雰囲気温度23℃、剥離速度500mm/分、ピール幅10mmの条件でT型剥離して求めた。その結果を表2に示した。また、剥離の際の形態を表2に示した。
【0111】
[実施例18]
前記製造例12で得られたハイブリッドポリマー(P−12)を使用した以外は実施例17と同様な方法で層(C)としてアルミシートを含む三層からなる積層構造体を製造した。得られた積層構造体について、層(B)と層(C)との界面接着強度を、剥離雰囲気温度23℃、剥離速度500mm/分、ピール幅10mmの条件でT型剥離して求めた。その結果を表2に示した。また、剥離の際の形態を表2に示した。
【0112】
〔比較例1〕〜〔比較例2〕
実施例1において、表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にしてT型剥離試験を行った。結果を表2に示した。
【0113】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の積層構造体は、層間の接着強度が極めて高いので層間の剥離が生じず難いので、食品や医療用薬剤の包装材料、衣料用包装材料、その他の製品用の包装材料、壁紙や化粧板などのような建材用、電気絶縁用フィルム、粘着フィルムやテープ用基材、マーキングフィルム、農業用フィルム、テーブルクロス、レインコート、傘、カーテン、カバー類などの雑貨用、金属板やその他の材料とのラミネート用などの種々の用途に有効に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成19年5月25日(2007.5.25)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎

【識別番号】100103218
【弁理士】
【氏名又は名称】牧村 浩次


【公開番号】 特開2008−1099(P2008−1099A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−139267(P2007−139267)