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【発明の名称】 シュリンクラベル
【発明者】 【氏名】田中 秀和

【氏名】松本 收平

【氏名】穂積 奈緒美

【氏名】上▲陰▼ 那央

【要約】 【課題】植物由来原料であるポリ乳酸系重合体を成分とするため環境に優しく、尚かつ、シュリンク加工性、生産性や仕上がり性を向上させたシュリンクラベルを提供する。

【構成】本発明のシュリンクラベルは、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)を少なくとも1層有するシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルであって、75℃温水中での熱収縮開始1秒後における主配向方向の熱収縮率が3〜23%、さらに90℃、10秒における主配向方向の熱収縮率が40〜84%であることを特徴としている。または、75℃温水中での主配向方向の最大熱収縮速度が7〜40%/秒であり、さらに90℃、10秒における主配向方向の熱収縮率が40〜84%であることを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)を少なくとも1層有するシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルであって、75℃温水中での熱収縮開始1秒後における主配向方向の熱収縮率が3〜23%、さらに90℃、10秒における主配向方向の熱収縮率が40〜84%であることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項2】
ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)を少なくとも1層有するシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルであって、75℃温水中での主配向方向の最大熱収縮速度が7〜40%/秒であり、さらに90℃、10秒における主配向方向の熱収縮率が40〜84%であることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項3】
シュリンクフィルムが、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)及びポリ乳酸系重合体以外の樹脂を主成分とするフィルム層(B層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムである請求項1または2に記載のシュリンクラベル。
【請求項4】
ポリ乳酸系重合体以外の樹脂が、ポリスチレン系樹脂である請求項3に記載のシュリンクラベル。
【請求項5】
ポリ乳酸系重合体以外の樹脂が、芳香族ポリエステル系樹脂である請求項3に記載のシュリンクラベル。
【請求項6】
シュリンクフィルムが、A層の両側にB層を、若しくはB層の両側にA層を有する積層シュリンクフィルムである請求項3〜5のいずれかの項に記載のシュリンクラベル。
【請求項7】
積層シュリンクフィルムの、全A層のフィルム層厚みと全B層のフィルム層厚みの比(A層厚み/B層厚み)が80/20〜20/80である請求項3〜6のいずれかの項に記載のシュリンクラベル。
【請求項8】
ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)、ポリスチレン系樹脂を主成分とするフィルム層(B1層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムであって、全A層のフィルム層厚みと全B1層のフィルム層厚みの比(A層厚み/B1層厚み)が80/20〜20/80であるシュリンクフィルム及び印刷層を有することを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項9】
シュリンクフィルムが、A層の両側にB1層を、若しくはB1層の両側にA層を有する積層シュリンクフィルムである請求項8に記載のシュリンクラベル。
【請求項10】
ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とするフィルム層(B2層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムであって、全A層のフィルム層厚みと全B2層のフィルム層厚みの比(A層厚み/B2層厚み)が80/20〜20/80であるシュリンクフィルム及び印刷層を有することを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項11】
シュリンクフィルムが、A層の両側にB2層を、若しくはB2層の両側にA層を有する積層シュリンクフィルムである請求項10に記載のシュリンクラベル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の原料であるポリ乳酸系重合体を用いたシュリンクフィルム、及び、印刷層を有するシュリンクラベル(以下、単にシュリンクフィルム、若しくはシュリンクラベルと表現しても特に断らない限りそれらはシュリンクフィルム、及び、それからなり且つ印刷層を有するシュリンクラベル両方意味する場合がある)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、お茶や清涼飲料水等の飲料用容器として、PETボトルなどのプラスチック製ボトルや、ボトル缶等の金属製ボトル等が広く用いられている。これらの容器には、表示や装飾性、機能性の付与のため、シュリンクラベルなどのプラスチックラベルが広く使用されている。
【0003】
上記シュリンクラベルとしては、近年、環境保護の観点から、生分解性であり、且つ、植物由来の材料であるポリ乳酸を用いたフィルムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリ乳酸フィルムの耐衝撃性やシール強度を改善するために、ポリ乳酸系重合体およびポリエステル系樹脂を有する積層シュリンクフィルムが知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
しかし、上記ポリ乳酸を含むシュリンクフィルムには、ポリ乳酸の固有の性質として、熱収縮の際の収縮速度がポリスチレン系フィルムやポリエステル系フィルムなどの既存のシュリンクフィルムに対して非常に大きく、熱収縮が急激に起こるため、熱収縮加工を行う際の収縮挙動の制御が困難で、熱収縮後のラベルの外観を損なう場合が多く問題であった。特に、飲料用ボトル用途の場合など、部位によって熱収縮率が大きく異なる場合には、「しわ」が発生したり、熱収縮が不均一となりラベルとしての意匠性が低下したりするなどの問題が生じていた。
【0005】
このように、適切な熱収縮性を有するシュリンクフィルムが求められており、特に環境面からは、植物由来のポリ乳酸を用いた適切な熱収縮速度を有するシュリンクフィルムが求められているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開平5−212790号公報
【特許文献2】特開2002−234117号公報
【特許文献3】特開2005−35238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ポリ乳酸系重合体を用いた、シュリンクラベルであって、シュリンクフィルムの熱収縮速度を調整することによって、シュリンク加工性や仕上がり性を改良し、以って生産性を向上させたシュリンクラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層を有するシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルの75℃における熱収縮速度を特定の範囲に制御することによって、低温あるいは短時間で熱収縮加工が可能で、なおかつ、優れた仕上がり性を有するシュリンクラベルが得られることを見出し本発明を完成した。また、ポリ乳酸系重合体を主成分とするフィルム層とポリスチレン系樹脂または芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とするフィルム層の積層シュリンクフィルムであって、それぞれのフィルム層の厚み比を特定の範囲に制御することによって、上記特性を有するシュリンクラベルが得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)を少なくとも1層有するシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルであって、75℃温水中での熱収縮開始1秒後における主配向方向の熱収縮率が3〜23%、さらに90℃、10秒における主配向方向の熱収縮率が40〜84%であることを特徴とするシュリンクラベルを提供する。
【0010】
また、本発明は、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)を少なくとも1層有するシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルであって、75℃温水中での主配向方向の最大熱収縮速度が7〜40%/秒であり、さらに90℃、10秒における主配向方向の熱収縮率が40〜84%であることを特徴とするシュリンクラベルを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、シュリンクフィルムが、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)及びポリ乳酸系重合体以外の樹脂を主成分とするフィルム層(B層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムである前記のシュリンクラベルを提供する。
【0012】
さらに、本発明は、ポリ乳酸系重合体以外の樹脂が、ポリスチレン系樹脂である前記のシュリンクラベルを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、ポリ乳酸系重合体以外の樹脂が、芳香族ポリエステル系樹脂である前記のシュリンクラベルを提供する。
【0014】
さらに、本発明は、シュリンクフィルムが、A層の両側にB層を、若しくはB層の両側にA層を有する積層シュリンクフィルムである前記のシュリンクラベルを提供する。
【0015】
さらに、本発明は、積層シュリンクフィルムの、全A層のフィルム層厚みと全B層のフィルム層厚みの比(A層厚み/B層厚み)が80/20〜20/80である前記のシュリンクラベルを提供する。
【0016】
また、本発明は、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)、ポリスチレン系樹脂を主成分とするフィルム層(B1層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムであって、全A層のフィルム層厚みと全B1層のフィルム層厚みの比(A層厚み/B1層厚み)が80/20〜20/80であるシュリンクフィルム及び印刷層を有することを特徴とするシュリンクラベルを提供する。
【0017】
さらに、本発明は、シュリンクフィルムが、A層の両側にB1層を、若しくはB1層の両側にA層を有する積層シュリンクフィルムである前記に記載のシュリンクラベルを提供する。
【0018】
また、本発明は、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とするフィルム層(B2層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムであって、全A層のフィルム層厚みと全B2層のフィルム層厚みの比(A層厚み/B2層厚み)が80/20〜20/80であるシュリンクフィルム及び印刷層を有することを特徴とするシュリンクラベルを提供する。
【0019】
さらに、本発明は、シュリンクフィルムが、A層の両側にB2層を、若しくはB2層の両側にA層を有する積層シュリンクフィルムである前記に記載のシュリンクラベルを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のシュリンクラベルは、植物由来原料であるポリ乳酸系重合体を必須成分として用いることにより環境負荷が少ない。また、熱収縮速度をある特定の範囲に制御することで、シュリンク加工に際して「しわ」や「印刷の歪み」などの問題を生じにくく、生産効率、仕上がり性が向上する。このため、本発明のシュリンクラベルはPETボトルなどのプラスチック容器等に用いられるラベル用途として特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明のシュリンクラベルについて、さらに詳細に説明する。
【0022】
本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルム及び印刷層を必須の構成成分としてなる。
【0023】
本発明のシュリンクフィルムはポリ乳酸系重合体を必須の成分とするフィルム層(以下、A層という)を少なくとも1層有していれば良くA層の単層フィルムであっても良い。また、A層とポリ乳酸系重合体以外の樹脂を主成分とするフィルム層(以下、B層という)を少なくとも1層ずつ有する積層フィルムであっても良い。
【0024】
本発明のシュリンクフィルムが積層フィルムである場合、その積層方法としては、公知の方法を用いることが可能で特に限定されないが、例えば、共押出、接着層を介した接着、ドライラミネート、溶融押出ラミネートなどが挙げられる。中でも、熱収縮加工の仕上がり性の観点から、共押出が好ましい。積層構成としては、特に限定されないが、A/Bの2種2層構成やB/A/B、A/B/Aの2種3層構成が好ましく、熱収縮加工性、フィルムの化学的安定性(耐候性、耐加水分解性等)の観点から、特に好ましくはB/A/Bの2種3層構成である。なお、3層構成とする場合の2つのA層、若しくは2つのB層は、全く同じフィルム層であってもよいが、同種の樹脂を主成分としておれば異なる組成であってもよく、フィルム層厚みが異なっていてもよい。さらに、本発明の効果が損なわれない範囲で、これらのフィルム層は接着層を介して積層されていてもよい(例えば、B層/接着層/A層/接着層/B層の3種5層構成など)。また、A層、B層以外の他のフィルム層を有していてもよい。
【0025】
本発明のシュリンクフィルムは、少なくとも1方向に配向している。A層、B層を有する積層構成の場合には、フィルム中のA層、B層の少なくとも1層ずつが同方向に配向している。A層、B層のどちらか一方だけが配向している場合やフィルム中の全ての層が無配向の場合には、良好な熱収縮性を得ることができない。中でも、すべてのフィルム層が配向していることが特に好ましい。配向は1軸配向、2軸配向の何れでも良く特に限定されない。2軸配向にあっては、主にラベル用として用いられるフィルムはフィルムの長手方向又は幅方向のどちらか一方向に大きく配向しているフィルムが一般的に使用される。そのようなフィルムは、フィルム幅方向(ラベルを筒状にした場合に周方向となる方向)により強く配向しても良いし、また、フィルムの長手方向(幅方向と直行する方向)により強く配向していても良い。フィルムが筒状シュリンクラベルとして使用される時は前者の方が好ましい。
【0026】
本発明のA層は、ポリ乳酸系重合体を必須の成分とするフィルム層である。A層はポリ乳酸系重合体のみから構成されていてもよいが、他の樹脂を含む組成物であってもよく、シュリンク加工時の熱収縮速度の調整、層間の接着性向上、或いは回収原料を使用する観点から、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などのB層の主成分として用いられる樹脂を含んでいてもよい。また、その他の添加剤を含んでいてもよい。
【0027】
本発明のA層に用いられるポリ乳酸系重合体は、乳酸を単量体成分とする重合体を意味するが、乳酸は光学異性体を有しポリマーを構成する光学異性体の組成比(D体とL体の含有率比)によって重合体の物性が変化する。例えば、L体に対するD体の割合を少なくすると、熱収縮速度を遅くできるが、樹脂の結晶化度が上昇し、フィルムの剛性が必要以上に高くなり、フィルムの触感が悪くなる、衝撃特性や耐寒性が低下するなどの欠点が生じてくる。市販のポリ乳酸系重合体には、例えば、全乳酸成分の内D−乳酸が1〜2重量%程度、4〜5重量%程度、或いは、10〜15重量%程度占めるものなどがあるが、本発明はそれらを区別せず総てを対象とする。中でも、本発明に用いられるシュリンクフィルムが単層である場合には、熱収縮速度を遅くする観点がより重要となるため、ポリ乳酸系重合体としては、全乳酸成分に占めるD−乳酸成分の割合が5重量%以下のものを用いることが好ましい。一方、本発明に用いられるシュリンクフィルムが積層フィルムである場合には、B層による熱収縮速度を遅くする効果が加わるため、単層の場合と比べて、剛性などの観点をより重視することが可能となる。このため、ポリ乳酸系重合体としては、上記フィルムの剛性という観点から、全乳酸成分に占めるD−乳酸成分の割合が4〜15重量%程度のものが好ましく、より好ましくは7〜15重量%、更に好ましくは10〜15重量%である。また、本発明のA層に用いられるポリ乳酸系重合体は、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸又はラクトン類との共重合体、或いは乳酸と他のジカルボン酸類、及び/又は、ジオール類との共重合体も含まれる。他のヒドロキシカルボン酸として、例えば、グリコール酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸などが挙げられる。ラクトン類としては、例えば、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが例示される。また、ジカルボン酸としては、各種の脂肪族(飽和及び不飽和)ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。ジオール成分としては、各種の脂肪族ジオールの他脂環式ジオールなどが例示される。
【0028】
ここで例示されたヒドロキシカルボン酸類、ラクトン類、ジカルボン酸、或いはジオール類は乳酸とモノマー状態で混合され、ランダム共重合体としてポリマー中に導かれても良いし、事前にポリエステルとして重合されたオリゴマー、或いはプレポリマーとして乳酸とブロック共重合体を形成する形でポリマー中に導かれても良い。
【0029】
ポリ乳酸系重合体を構成する全単量体に占める乳酸の割合は、フィルムが単独材料からなるA層単層で構成される場合は、一般に20モル%以上、好ましくは35モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、特に生分解性の観点からすれば65モル%以上のものが好ましい。フィルムがA層とB層が組み合わされた多層フィルムの場合、A層のポリ乳酸系重合体を構成する全単量体に占める乳酸の割合は、一般に50モル%以上、好ましくは65モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に95モル%以上(例えば100モル%)のものが好ましい。ポリ乳酸系重合体は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。例えば、L−乳酸とD−乳酸との比率が異なるポリ乳酸系重合体を2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
ポリ乳酸系重合体を得る方法としては、特に限定されず、縮重合法、開環重合法等の公知の方法を採用できる。例えば、縮重合法では、乳酸、又は乳酸と他の単量体成分とを直接脱水縮合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系重合体を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、適当な触媒の存在下で重合させることにより任意の組成のポリ乳酸系重合体を得ることができる。
【0031】
ポリ乳酸系重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、通常1万〜100万、好ましくは3万〜40万程度、より好ましくは5万〜20万程度である。分子量が小さすぎると引っ張り破断伸度、引き裂き強度、衝撃強度などフィルムとしての機械物性や耐候性耐熱性などの長期物性に劣り、分子量が大きすぎると成形加工性が低下する。
【0032】
本発明のA層中におけるポリ乳酸系重合体の含有量は、熱収縮速度を本発明の範囲に制御する観点から、50〜100重量%が好ましく、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100%である。
【0033】
本発明のA層には、上記ポリ乳酸系重合体以外の樹脂が含まれていてもよい。A層に含まれるポリ乳酸系重合体以外の樹脂としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂などのポリエステル系樹脂(上記ポリ乳酸系重合体に該当するポリエステル系樹脂は除く)、ポリスチレン系樹脂が好ましく例示される。中でも、本発明に用いられるシュリンクフィルムがA層のみからなる単層フィルムの場合には、シュリンク加工時の熱収縮特性を調整する観点から、ポリスチレン系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、圧縮強度の観点から、特に好ましくはポリスチレン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂である。一方、本発明に用いられるシュリンクフィルムがB層を有する積層フィルムの場合には、透明性の観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。
【0034】
上記脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族又は脂環式ジオール成分と脂肪族又は脂環式ジカルボン酸成分との縮重合、脂肪族又は脂環式ヒドロキシカルボン酸の縮重合、ラクトン類の開環重合、又はこれらの組み合わせにより製造される。各単量体成分は複数種組み合わせて用いることもできる。脂肪族又は脂環式ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール;ジエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールなどが例示される。脂肪族又は脂環式ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族又は脂環式ヒドロキシカルボン酸及びラクトン類としては、前記例示のものを使用できる。
【0035】
上記の脂肪族ポリエステル系樹脂においては、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸成分の一部(例えば0.1〜50モル%程度、好ましくは0.1〜20モル%)を芳香族ジカルボン酸成分で置き換えてもよい。このようにして得られるポリエステル(芳香族脂肪族ポリエステル)をポリ乳酸系重合体に添加して得られるフィルムは、耐衝撃性に特に優れ、熱収縮させた後にも破断しにくいという特徴を有する。前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0036】
前記脂肪族ポリエステル系樹脂の代表的な例として、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレンテレフタレートサクシネート(PETS)などが挙げられる。中でも、PBS、PCL、及びこれらの混合物などが好適に利用される。
【0037】
また、上記ポリスチレン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂は、B層に用いることができる樹脂として、例示されているポリスチレン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂の中から選択して用いることができる。
【0038】
A層に脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などのポリ乳酸系重合体以外の樹脂を含有させる場合、A層中の含有量は10〜50重量%が好ましく、より好ましくは20〜40重量%である。脂肪族ポリエステル系樹脂の含有量が50重量%を超える場合には、フィルムが柔らかくなりすぎて熱収縮仕上がり性が低下しやすく、表面がべたついて取扱性に劣る他、透明性が低下しやすい。
【0039】
本発明のA層には、上記以外にも他の樹脂成分、例えば、脂肪族ポリエステルアミド、脂肪族ポリエステルエーテル、脂肪族ポリエステルカーボネートなどの生分解性樹脂などを少量添加してもよい。これらの樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0040】
また、回収原料を再利用してA層に用いる場合、回収原料の含有量は、フィルムの引張伸度特性や透明性の観点から、A層全重量に対して30重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。なお、本発明に用いられるシュリンクフィルムが積層フィルムである場合、回収原料を添加することによって、B層に用いる樹脂がA層にも含まれることとなるため、A層とB層の層間接着強度が向上するため好ましい。
【0041】
本発明のA層樹脂(A層に含まれる全ての樹脂の混合物)のガラス転移温度(Tg)は、加工性の観点から、40〜80℃が好ましく、より好ましくは50〜80℃である。Tgが40℃未満では延伸後のフィルムの自然熱収縮が大きく、また、80℃を超える場合はフィルムの延伸に際して十分の延伸倍率を確保することが難しくなりフィルムの生産性が低下する。
【0042】
本発明のA層は、必要に応じてその他の添加剤、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等を含んでいてもよい。
【0043】
本発明のシュリンクフィルムが上記A層とポリ乳酸系重合体以外の樹脂を主成分とするフィルム層(B層)の積層フィルムの場合、B層に用いられる樹脂は、シュリンクフィルム全体の熱収縮速度を緩やかに制御する観点から、延伸配向後にA層よりも熱収縮速度が遅いことが好ましい。
【0044】
このようなB層の主成分として用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。中でも、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂(芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂)、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に好ましくはポリスチレン系樹脂または芳香族ポリエステル系樹脂である。
【0045】
本発明のB層に用いられるポリスチレン系樹脂は、構成モノマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体を1種又は2種以上含み、且つ製膜した際に熱収縮性を示す樹脂であれば特に限定されない。
【0046】
このようなポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体である一般ポリスチレン(GPPS)、スチレン系単量体の単独又は共重合体;ポリスチレンと合成ゴム(例えば、ポリブタジエンやポリイソプレン等)の混合物、合成ゴムにスチレンをグラフト重合させた高衝撃性ポリスチレン(HIPS);スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体などに代表される、スチレン系単量体とブタジエンやイソプレン等の共役ジエンの共重合体(特に、ブロック共重合体)であるスチレン−共役ジエン共重合体;スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体などの共重合体であるスチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体;スチレン−共役ジエン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体;スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合体の連続相中にゴム状弾性体を分散させ、該ゴム状弾性体に前記共重合体をグラフト重合させた透明・高衝撃性ポリスチレン(グラフトTIPS)等が挙げられる。
【0047】
上記スチレン−共役ジエン共重合体に用いられる共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、クロロプレンなどが挙げられる。中でも、特に好ましくは、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを用いたスチレン−ブタジエン共重合体である。また、共重合の形態としては、特に限定されないが、ブロック共重合体が好ましく、スチレンブロック(S)−共役ジエンブロック(D)型、S−D−S型、D−S−D型、S−D−S−D型等が挙げられる。また、スチレン−共役ジエン共重合体において、スチレン含有量は55〜95重量%(共役ジエン含有量:5〜45重量%)程度が好ましい。
【0048】
上記スチレン−ブタジエン共重合体としては、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロック共重合体が好ましい。スチレン−ブタジエンブロック共重合体において、スチレン含有量は、65〜90重量%(ブタジエン含有量:10〜35重量%)が好ましく、より好ましくは75〜88重量%(ブタジエン含有量:12〜25重量%)である。また、スチレン−ブタジエンブロック共重合体のメルトフローレート(MFR)(JIS K 7210 :温度200℃/荷重49N)は、1〜20g/10分が好ましく、より好ましくは3〜10g/10分である。スチレン−ブタジエンブロック共重合体は、旭化成ケミカルズ(株)製「アサフレックス」、フィリップス(株)製「K−レジン」等が市場で入手可能である。
【0049】
上記スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体に用いられる重合性不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル(特に、(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル);フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどのフマル酸モノ又はジエステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどのマレイン酸モノ又はジエステル;イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルなどのイタコン酸モノ又はジエステルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチルは透明性に優れているため好ましく用いられる。また、アクリル酸ブチルやメタクリル酸ブチルなどの炭素数4以上(例えば、炭素数4〜10程度)のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは自然熱収縮率(25〜35℃で保管したときの収縮率)の低減に寄与するため好ましい。これらの重合性不飽和カルボン酸エステルは単独で又は2種以上を混合して使用できる。スチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体中のスチレン含有量は50〜98重量%が好ましい。より好ましくは60〜95重量%、更に好ましくは70〜90従量%である。なお、ここでいう「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」をさす。
【0050】
上記スチレン−共役ジエン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体に用いられる共役ジエン、重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体は前記の化合物が挙げられる。スチレン−共役ジエン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体中の、スチレン含有量は50〜98重量%、共役ジエン含有量は1〜45重量%、重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体含有量は1〜45重量%が好ましい。より好ましくはスチレン含有量が60〜90重量%、共役ジエン含有量が5〜35重量%、重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体含有量5〜35重量%であり、更に好ましくはスチレン含有量が65〜80重量%、共役ジエン含有が5〜25重量%、重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体含有量が5〜25重量%である。
【0051】
本発明のB層に用いられるポリスチレン系樹脂としては、上記の中でも、SBSなどのスチレン−ブタジエンブロック共重合体やスチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体(SBIS)が特に好ましい。
【0052】
本発明のB層に用いられるポリエステル系樹脂は、上記ポリ乳酸重合体を除くポリエステル系樹脂である。上記に示したような脂肪族ポリエステル系樹脂であっても、芳香族ポリエステル系樹脂であってもよいが、好ましくは芳香族ポリエステル系樹脂である。
【0053】
本発明のB層に用いられる芳香族ポリエステル系樹脂は、芳香環を構造単位に含むポリエステルであり、主なものとしては、芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジオールの縮合反応による重合体、共重合体またはこれらの混合物が挙げられる。特にジカルボン酸成分のうち50モル%を超える成分が芳香族ジカルボン酸であるポリエステルが挙げられる。
【0054】
上記芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3’−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸及びこれらの置換体などが挙げられる。中でも、生産性、加工性、コスト等の観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、特に好ましくはテレフタル酸である。また、これら芳香族ジカルボン酸に追加して、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、また、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などを共重合させても良い。これらを共重合することにより、結晶化度が低下し、分子組織の滑りが起こりやすくなるためと考えられるが、シュリンク特性が向上する。なお、上記ジカルボン酸は、それぞれ単独で又は2種以上混合して使用できる。耐熱性や熱収縮特性の観点から、芳香族ポリエステル系樹脂に用いられる全ジカルボン酸成分中における上記芳香族ジカルボン酸成分の含有量は、60モル%以上が好ましく、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。
【0055】
上記ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2,4−ジメチル−1,3−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールなどの脂環式ジオール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキシド付加物、キシリレングリコール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。中でも、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。なお、これらは単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0056】
また、本発明の芳香族ポリエステル系樹脂には、上記以外にも、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等のオキシカルボン酸;安息香酸、ベンゾイル安息香酸等のモノカルボン酸;トリメリット酸等の多価カルボン酸;ポリアルキレングリコールモノメチルエーテル等の1価アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールなどが、本発明の効果を損なわない範囲内で共重合されていてもよい。
【0057】
本発明のB層に用いられる具体的な芳香族ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、イソフタル酸、アジピン酸、琥珀酸を追加成分として用い、一方、ジオール成分としてエチレングリコールやブタンジオールを主成分として用いることが出来る。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、さらに1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いたCHDM共重合PET、その他ジオール成分としてジエチレングリコール(DEG)やネオペンチルグリコール(NPG)を加えたものが、シュリンクフィルムとした際の熱収縮挙動、コスト、生産性、A層との層間強度向上の観点で、特に好ましい。上記CHDMの共重合の割合はエチレングリコールに対して10〜40モル%が好ましく、さらに好ましくは15〜20モル%である。上記の割合でCHDMを共重合させることによって、ポリエステル系樹脂が非晶性となるため、層間の密着性が高くなるため好ましい。
【0058】
上記の芳香族ポリエステル系樹脂としては、既存品を用いることも可能であり、例えば、Eastman Chemical社製「Eastar Copolyester」、「EMBRACE」(以上、CHDM共重合PET);ベルポリエステルプロダクツ(株)製「ベルペット」(NPG共重合PET)等が市場で入手できる。
【0059】
また、B層に脂肪族ポリエステル系樹脂を用いる場合には、ポリブチレンサクシネート(PBS)やポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)など、前述でA層に用いることができる樹脂として、例示されている脂肪族ポリエステル系樹脂の中から選択して用いることができる。
【0060】
本発明のB層に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリメチルペンテン(PMP)等の単独重合体;エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体等のランダム共重合体;環状オレフィンとα−オレフィン(エチレン、プロピレン等)との共重合体又はそのグラフト変性物、環状オレフィンの開環重合体若しくはその水添物又はそれらのグラフト変性物等の非晶性環状オレフィン系重合体等が挙げられる。上記の中でも、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒系LLDPE(mLLDPE)などのポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのプロピレン系ランダム共重合体が好ましい。また、これらのポリオレフィン系樹脂は単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0061】
本発明のB層の主成分として用いられる樹脂のB層中の含有量は、樹脂の種類によっても異なり、特に限定されないが、B層の総重量に対して、40〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%、更に好ましくは60〜100重量%である。40重量%未満では、シュリンクラベルの熱収縮特性を改善する効果が得られない場合や、透明性、寸法安定性、腰の強さ等、シュリンクラベルとして必要な特性が低下する場合がある。中でも、ポリスチレン系樹脂の場合、B層中の含有量は、50〜100重量%が好ましく、より好ましくは60〜100重量%であり、更に好ましくは70〜100重量%である。芳香族ポリエステル系樹脂の場合には50〜100重量%が好ましく、より好ましくは60〜100重量%であり、更に好ましくは70〜100重量%である。ポリオレフィン系樹脂の場合には、70〜100重量%が好ましく、より好ましくは80〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%である。
【0062】
本発明のB層樹脂(B層に含まれる全ての樹脂の混合物)がポリエステル系樹脂やポリスチレン系樹脂の場合、B層樹脂のガラス転移温度(Tg)は、加工性の観点から、40〜80℃が好ましく、より好ましくは50〜70℃である。Tgが上記範囲を外れる場合には、積層の場合などに、各フィルム層を十分に配向させることが困難となったり、生産性が低下する場合がある。
【0063】
本発明のB層は、必要に応じて、その他の添加剤、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等を含んでいてもよい。
【0064】
本発明のシュリンクラベルは、少なくとも1層の印刷層を有する。印刷層は、前記シュリンクフィルムのどちらか片方の表面に設けられることが好ましい。中でも、シュリンクフィルムが積層フィルムの場合には、シュリンク加工時の印刷層の追従性や耐溶剤性を向上する観点から、B層表面に設けられることが好ましい。印刷層は、特に限定されないが、透明ラベルの場合などには、容器等に装着する場合に内側(すなわち被着体側)になる側の面に施すと、市場で流通する際の印刷層のはがれや汚れなどがなく好ましい。また、シュリンクフィルムが不透明である場合には、装飾性の観点から、外側(すなわち被着体側と反対側)に設けられることが好ましい。さらには、シュリンクフィルムの両面に設けられていてもよい。
【0065】
本発明の印刷層は、商品名やイラスト、取り扱い注意事項等を表示した層であり、グラビア印刷やフレキソ印刷等の慣用の印刷方法により形成することができる。印刷層の形成に用いられる印刷インキは、例えば顔料、バインダー樹脂、溶剤、その他の添加剤等からなる。上記バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系、セルロース系、ニトロセルロース系などの樹脂を単独あるいは併用して使用できる。上記顔料としては、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)、その他の着色顔料等が用途に合わせて選択、使用できる。また、顔料として、その他にも、光沢調製などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。上記溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒や水などのグラビア、フレキソ印刷インキ等で塗工性やコーティング剤中の各成分の相溶性や分散性を改良する目的で通常用いられるものを使用できる。
【0066】
本発明の印刷層は、A層、B層の種類や用途などによっても異なり、特に限定されないが、可視光、紫外線、電子線などの活性エネルギー線硬化性の樹脂層であってもよい。活性エネルギー線硬化性の印刷層である場合には、印刷インキには、上記の他に、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤などの光重合開始剤や増感剤等を添加することが好ましい。
【0067】
本発明のシュリンクラベルには、上記フィルム層、印刷層の他に、例えば、コーティング層、樹脂層、アンカーコート層、プライマーコート層、接着剤層、接着性樹脂層などを設けることができ、不織布、紙、金属薄膜等の層を必要に応じて設けてもよい。
【0068】
本発明のシュリンクフィルムの厚みは、用途によって異なり特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは30〜60μmである。
【0069】
本発明のシュリンクフィルムが積層フィルムの場合、A層の厚みは、5〜60μmが好ましく、より好ましくは15〜40μmである。B層の厚みは4〜40μmが好ましく、より好ましくは10〜20μmである。また、A層(フィルム中の全てのA層厚みの総和)に対するB層(フィルム中の全てのB層厚みの総和)の厚み比(A層/B層)は、80/20〜20/80が好ましく、より好ましくは80/20〜30/70、さらに好ましくは80 /20〜40/60であり、最も好ましくは80/20〜50/50である。上記範囲に対して、A層が厚い場合には、熱収縮速度が速く加工性が低下したり、熱収縮応力が小さく印刷層の追従性が劣ったりして生産性が低下する場合がある。また、上記範囲に対して、B層が厚い場合には、熱収縮速度の低下や、加工温度の上昇により、相対的にみて生産性が低下する側に生産条件が移動する。また、環境への負荷も相対的にみて大きくなる。中でも、特に好ましい厚み構成としては、B/A/B、若しくはA/B/Aの積層構成で、厚み比が5/90/5〜1/1/1(A/B/Aの場合)、1/8/1〜1/1/1(より好ましくは1/8/1〜1/2/1)(B/A/Bの場合)である。
【0070】
本発明の印刷層の厚みは、特に限定されないが、例えば0.1〜10μm程度である。厚みが0.1μm未満である場合には、印刷層を均一に設けることが困難である場合があり、部分的な「かすれ」が起こったりして、装飾性が損なわれたり、デザイン通りの印刷が困難となる場合がある。また、厚みが10μmを超える場合には、印刷インキを多量に消費するため、コストが高くなったり、均一に塗布することが困難となったり、印刷層がもろくなって、剥離しやすくなったりする。また、印刷層の剛性が高くなり、シュリンク加工時にフィルムの熱収縮に追従しにくくなる場合がある。
【0071】
本発明のシュリンクラベル(及びシュリンクフィルム)は、所定の温度の温水中、熱収縮開始直後において、特定の熱収縮率または熱収縮速度を有する必要がある。本発明では以下の測定原理に基づいて測定された加熱条件下のサンプル(シュリンクラベルまたはシュリンクフィルム)の収縮速度を熱収縮速度と定義する。
【0072】
上記熱収縮速度の測定原理図を図1に示す。熱収縮速度は、シュリンクラベル(又はシュリンクフィルム)から採取した短冊状サンプル1を、所定の温水中に入れた際の、特定の標線A、B間の距離(標線間距離)ABの変化を検出することによって測定する。本発明においては、上記標線間距離ABは、特定の支点OとA、Bのそれぞれを結ぶ線分OA、OBがなす角度θ(開き角ともいう)を測定することによって算出する。すなわち、この角度θの変化量からサンプル1の熱収縮率を、角速度から熱収縮速度を算出する。なお、測定装置、測定条件、算出方法などは、後述の[熱収縮率、熱収縮速度の測定方法ならびに評価方法]の部分に記載する。
【0073】
本発明のシュリンクラベルは、75℃温水中での熱収縮開始1秒後における主配向方向の熱収縮率が3〜23%であるか、又は、75℃温水中での主配向方向の最大熱収縮速度が7〜40%/秒であることが必要である。
【0074】
本発明のシュリンクラベルの75℃温水中での熱収縮開始1秒後における主配向方向の熱収縮率は3〜23%であり、好ましくは3〜21%、より好ましくは4〜21%、さらに好ましくは5〜19%である。該熱収縮率が23%を超える場合には、シュリンクラベルをシュリンク加工する際の熱収縮速度が速すぎて、制御が困難となり、「しわ」が発生したり、熱収縮が不均一となって意匠性が低下したりする。また熱収縮率が3%未満の場合には、熱収縮速度が遅く生産性が低下したり、高温で熱収縮加工を行う必要があり、耐熱性の低い容器や熱劣化しやすい内容物に使用できない場合が生じたりする。
【0075】
本発明のシュリンクラベルの75℃温水中での主配向方向の最大熱収縮速度は7〜40%/秒であり、より好ましくは10〜38%/秒、さらに好ましくは12〜35%/秒である。一般的に、熱収縮開始時、若しくは熱収縮開始直後の熱収縮速度が最大熱収縮速度となる。該熱収縮速度が40%/秒を超える場合には、シュリンクラベルをシュリンク加工する際の熱収縮速度が速すぎて、制御が困難となり、「しわ」が発生したり、熱収縮が不均一となって意匠性が低下したりする。また該熱収縮速度が7%/秒未満の場合には、熱収縮速度が遅く生産性が低下したり、より高温で熱収縮加工を行う必要があり、耐熱性の低い容器や変質しやすい内容物の容器には使用できない場合が生じたりする。
【0076】
なお、上記「主配向方向」とは主に延伸処理を施した方向のことをいう。1軸延伸フィルムの場合には延伸方向(通常は長手方向または幅方向)であり、2軸延伸フィルムの場合には2つの延伸方向(通常は長手方向と幅方向)のうち、配向の大きな方向(熱収縮の大きな方向)である。製造条件などから主配向方向が判断できない場合には、例えば、フィルム中で最も熱収縮率(90℃、10秒など)の大きな方向を主配向方向とする。
【0077】
本発明のシュリンクラベルの75℃温水中での熱収縮開始3秒後における主配向方向の熱収縮率は、1秒後の熱収縮率が上記記載の範囲にあれば特に限定されないが、例えば、下限が10%が好ましく、より好ましくは13%、さらに好ましくは14%、最も好ましくは17%である。一方、上限は45%が好ましく、より好ましくは30%、さらに好ましくは28%、最も好ましくは25%である。
【0078】
本発明に用いられるシュリンクラベルの90℃温水中での10秒後における主配向方向の熱収縮率は、40〜84%であり、好ましくは50〜80%、さらに好ましくは55〜75%である。該熱収縮率は、サンプルの90℃の温水条件下で浸漬10秒後に測定された熱収縮率である。上記熱収縮率は、フィルムの延伸加工における延伸倍率、その他の延伸条件と関連する値であり、同時にシュリンクラベルの限界熱収縮率に関わる値である。該熱収縮率が84%を超える場合には、延伸倍率が6倍を超え、延伸加工が難しいのみならず、延伸後のフィルムの破断伸度や衝撃強度の低下を招くことがある。また熱収縮率が40%未満の場合には、シュリンク加工時の熱収縮量が不足し、容器形状に十分追従せず仕上がり性が劣る。
【0079】
シュリンクラベルの熱収縮特性(75℃1秒における熱収縮率、75℃3秒における熱収縮率、90℃10秒における熱収縮率、熱収縮速度)は、シュリンクラベルに用いるシュリンクフィルムの熱収縮特性とほとんど同じであるため、シュリンクフィルムの各熱収縮率もシュリンクラベルと同様の範囲にあることが好ましい。これらの熱収縮特性は、ポリ乳酸系重合体の含有量、ポリ乳酸以外の樹脂の種類、含有量、フィルム層厚みや厚み比、シュリンクフィルムの延伸配向条件などにより制御することができる。
【0080】
本発明の特徴は、熱収縮速度の速いポリ乳酸系重合体と熱収縮速度の緩やかなポリスチレン系樹脂や芳香族ポリエステル系樹脂などを複合(積層、混合など)して用いることによって、シュリンク加工を行う際に、高い生産性と加工性、美麗な仕上がり性が両立しうるように熱収縮速度を制御したことにある。本発明においては、シュリンクフィルムが、ポリ乳酸系重合体とそれ以外の重合体の組成物からなる単層フィルムの場合であっても、また、ポリ乳酸系重合体を主成分とするA層とそれ以外の重合体を主成分とするB層等との組み合わせからなる多層フィルムの場合であっても、ポリ乳酸系重合体はフィルムの熱収縮速度を上昇させる成分としての役割を負い、それ以外の重合体は熱収縮速度を低減させる役割を負っている。前記A層の主成分であるポリ乳酸系重合体を単独成分とするフィルムにあっては、熱収縮速度が速く、熱収縮挙動が急激であり、結果として、シュリンク加工時の収縮挙動の制御が困難となって、「しわ」や「印刷層の歪み」等の問題を引き起こしやすくなる。これとは逆に、B層の主成分(例えば、ポリスチレン系樹脂)を単独成分とするフィルムにあっては、熱収縮速度が遅く、また、環境面で劣る。環境面で優れる植物由来のポリ乳酸系重合体と、例えばポリスチレン系重合体或いはポリエステル系重合体を組成物として、或いは積層体として組み合わせることにより、環境面で優れるラベルを得ることができるとともに、得られたフィルムの熱収縮速度を調整し、シュリンク加工時の熱収縮挙動を容易に制御することができ、更に、両者の組成比や層構成を調整することで、シュリンク加工の生産効率や製品の仕上がりを向上できる。
【0081】
これらの組み合わせは、熱収縮速度の調整のみならず、熱収縮応力の調整においてもその効力を発揮する。即ち、ポリ乳酸系重合体は熱収縮応力が小さいため、単体で用いる場合には、印刷層が厚い場合、無機顔料を多く含む場合など印刷層の剛性が高い場合には、シュリンク時に印刷層がフィルムの熱収縮にうまく追従せず、仕上がりが低下する場合がある。これに対して、B層に用いられる樹脂が芳香族ポリエステル系樹脂やポリスチレン系樹脂の場合は、A層対比熱収縮応力が大きいため、シュリンクラベルの熱収縮応力を向上させる。さらに、B層のポリスチレン系樹脂や芳香族ポリエステル系樹脂などは、ポリ乳酸系重合体に比べ、シール性(後述の溶剤によるセンターシール適性)が良好であるため、B層を表層にする場合には、シール性が良好となり好ましい。なお、A層とB層とでは、上記の通り、熱収縮特性が大きく異なるため、カール等の問題を防ぐ観点では、B/A/B型2種3層積層構成とすることが好ましい。
【0082】
本発明のシュリンクラベルおよびシュリンクフィルムの主配向方向と直交する方向の熱収縮率(温水、90℃、10秒)は、シュリンク加工性等の観点から、−3〜15%が好ましく、より好ましくは−1〜10%である。
【0083】
本発明のシュリンクフィルムの透明性(ヘイズ値:JIS K 7136)(単位:%)は、10以下であることが好ましく、より好ましくは5以下である。ヘイズ値が10を超える場合には、シュリンクフィルムの内側(ラベルを容器に装着した時に容器側になる面側)に印刷を施し、フィルムを通して、印刷を見せるシュリンクラベルの場合、製品とした際に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。
【0084】
本発明に用いられるシュリンクフィルムの耐ブロッキング性(積層フィルムの場合にはB層表面)(JIS K 6854−3に準じたT型剥離試験における剥離強度、加圧条件:40℃、0.3MPa、180秒)は、0.1N/15mm以下が好ましい。剥離強度が0.1N/15mmを超える場合には、ブロッキングが生じやすく、生産性、加工性が低下する場合や、加温状態で本発明のシュリンクラベルを用いる場合に取り扱い不良が生じる場合がある。
【0085】
本発明のシュリンクフィルムの主配向方向の熱収縮応力(85℃)は、3〜11MPaが好ましく、より好ましくは4〜8MPaである。熱収縮応力が3MPa未満の場合には、印刷層のシュリンク加工追従性が低下し、仕上がりが低下する場合がある。11MPaを超えると容器の変形を引き起こしたり、開封時に内容物があふれたりするおそれがある。
【0086】
本発明のシュリンクラベルは、例えば、ラベル両端を溶剤や接着剤でシールし筒状にして容器に装着されるタイプの筒状シュリンクラベルや、ラベルの一端を容器に貼り付け、ラベルを巻き回した後、他端を一端に重ね合わせて筒状にする巻き付け方式のシュリンクラベルとして好適に用いることができる。この筒状シュリンクラベルのセンターシール強度は、2.0(N/15mm)以上が好ましい。シール強度が2.0(N/15mm)未満の場合には、加工工程や製品化した後に、シール部分がはがれて、生産性を低下させたり、ラベル脱落の原因となったりする。また、筒状シュリンクラベルはシール部が白化していないことが好ましい。
【0087】
上記の熱収縮特性を有するシュリンクラベルを達成する一つの態様は、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)、ポリスチレン系樹脂を主成分とするフィルム層(B1層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムであって、A層(フィルム中の全てのA層厚みの総和)とB1層(フィルム中の全てのB1層厚みの総和)の厚み比(A層厚み/B1層厚み)が80/20〜20/80、好ましくは80/20〜30/70、より好ましくは80/20〜40/60、最も好ましくは80/20〜50/50であるシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルである。
【0088】
上記のB1層に用いるポリスチレン系樹脂としては、前述のポリスチレン系樹脂を用いることが可能である。なお、A層中のポリ乳酸系重合体の含有量は50〜100重量%が好ましく、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%である。B1層中のポリスチレン系樹脂の含有量は50〜100重量%が好ましく、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%である。また、A層中には、前述の脂肪族ポリエステル系樹脂が1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度含まれていてもよい。
【0089】
上記の熱収縮特性を有するシュリンクラベルを達成する他の一つの態様は、ポリ乳酸系重合体を必須成分とするフィルム層(A層)、芳香族ポリエステル系樹脂を主成分とするフィルム層(B2層)を少なくとも1層ずつ有する積層シュリンクフィルムであって、A層(フィルム中の全てのA層厚みの総和)とB2層(フィルム中の全てのB2層厚みの総和)の厚み比(A層厚み/B2層厚み)が80/20〜20/80、好ましくは80/20〜30/70、より好ましくは80/20〜40/60、最も好ましくは80/20〜50/50であるシュリンクフィルム及び印刷層を有するシュリンクラベルである。
【0090】
上記のB2層に用いる、芳香族ポリエステル系樹脂としては、前述の芳香族ポリエステル系樹脂を用いることが可能である。なお、A層中のポリ乳酸系重合体の含有量は50〜100重量%が好ましく、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%である。B2層中の芳香族ポリエステル系樹脂の含有量は50〜100重量%が好ましく、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%である。また、A層中には、前述の脂肪族ポリエステル系樹脂が1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%程度含まれていてもよい。
【0091】
本発明のシュリンクラベルは、容器に装着し、ラベル付き容器として用いられる。このような容器には、例えば、PETボトルなどのソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳瓶、調味料などの食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレーなどの化学製品の容器、カップ麺容器などが含まれる。容器の形状としても、円筒状、角形のボトルや、カップタイプなど様々な形状が含まれる。また、容器の材質としても、PETなどのプラスチック製、ガラス製、金属製などが含まれる。
【0092】
以下に、本発明のシュリンクラベルの製造方法及び容器に対する装着加工方法の一例を説明する。ここでは、ポリ乳酸系重合体からなるA層、ポリスチレン系樹脂からなるB層を有するB/A/B型2種3層のシュリンクラベルを例に説明するが、これに限定したものではない。なお、下記説明において、工程順に、延伸後のフィルム原反を「シュリンクフィルム」、これに印刷処理を施したものを「長尺状シュリンクラベル」、さらに長尺のまま筒状に加工したものを「長尺筒状シュリンクラベル」と記載する。
【0093】
[シュリンクフィルム]
本発明のシュリンクフィルムに用いる、ポリ乳酸系重合体及びポリスチレン系樹脂は、既知の手法を用いて重合することができる。また、これらの樹脂は、市販のものを用いることができる。例えば、ポリ乳酸系重合体としては、三井化学(株)製「レイシア」、ネイチャーワークス社製「ネイチャーワークス」等を用いてもよい。また、スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体としては、旭化成株式会社製「アフサレックス」やフィルップス社製「K−レジン」、PSジャパン(株)製「SC004」等を用いることが可能である。また、必要に応じて、コストやリサイクルの観点から、回収原料を一定量添加することも可能である。
【0094】
次に得られた原料を用いて、積層フィルムを作成する。積層の方法としては、慣用の方法、例えば、Tダイ方式若しくはインフレーション方式の共押出法、ドライラミネート法、サンドラミネート法などを用いることが可能である。また、積層した後に延伸してもよいし、延伸したフィルム同士を積層することも可能である。中でも、生産性の観点からは、共押出法により積層未延伸フィルムを作製した後に延伸を行う方法が好ましい。以下には、共押出法(B/A/B型2種3層積層)の例を示す。
【0095】
所定の温度に設定した押出機aにはポリ乳酸系重合体を投入し、押出機bには、ポリスチレン系樹脂を投入し、Tダイ、サーキュラーダイなどから共押出し、冷却ドラムなどを用いて急冷し、未延伸積層フィルムを作成する。この際、3層マニホールドや合流ブロックを用いて、B/A/B型2種3層積層構成とすることが好ましい。また必要に応じて、ギアポンプを用いて供給量を調節してもよく、さらにフィルターを用いて、異物を除去するとフィルム破れが低減できるため好ましい。なお、押出温度は、用いるポリ乳酸系重合体、ポリスチレン系樹脂の種類によっても異なり、特に限定されないが、190〜250℃が好ましい。さらに、必要に応じて、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、酸化防止剤などの他の混合剤を混合してもよい。
【0096】
また、用途によっては、3台の押出機を用いて、共押出を行ってもよい。その場合には、A層の両側にそれぞれ異なる厚み、異なる樹脂からなる積層部を設けることが可能である。
【0097】
次に、得られた未延伸積層フィルムを延伸し、長尺状のシュリンクフィルムを作製する。延伸は、長手方向(縦方向;MD方向)および幅方向(横方向;TD方向)の2軸延伸でもよいし、長手、または、幅方向の1軸延伸でもよい。また、延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式の何れの方式を用いてもよい。延伸処理は、70〜110℃程度の温度で、必要に応じて長手方向に例えば1.01〜1.5倍、好ましくは1.05〜1.3倍程度に延伸した後、幅方向に2〜8倍、好ましくは3〜6倍程度延伸することにより行う。
【0098】
また、本発明のシュリンクフィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理やプライマー処理(アンダーコート処理)等の慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0099】
[シュリンクラベル]
次に、上記のようにして得られた長尺状のシュリンクフィルムの少なくとも一方の面に印刷層を形成し、長尺状シュリンクラベルを作製する。印刷層は、顔料、バインダー樹脂、溶剤、その他の添加剤等を混合して調製した印刷インキを塗布することにより形成する。塗布の方法は、シュリンクフィルムの製造工程中(例えば、未延伸または縦1軸延伸後)に塗布を行うインラインコートでもよいし、フィルム製膜後に塗布を行うオフラインコートでもよく、特に限定されないが、生産性、加工性などの観点から、オフラインコートが好ましい。また、印刷手法としては、慣用の方法を用いることができるが、グラビア印刷またはフレキソ印刷が最も好ましい。
【0100】
上記のラベルは、所定の幅にスリットして、ロール状に巻回し、複数個のロール状物として、シュリンクラベル(長尺状シュリンクラベル)が得られる。
【0101】
[長尺状シュリンクラベルの加工]
【0102】
以下に得られたシュリンクラベルを容器に装着する加工の一例を示すが、製造方法は、これに限定されるものではない。
【0103】
上記ロール状物のひとつを繰り出しながら、長尺状シュリンクフィルムの幅方向が円周方向となるように円筒状に成形する。具体的には、長尺状シュリンクラベルを筒状に形成し、ラベルの一方の側縁部に、長手方向に帯状に約2〜4mm幅で、テトラヒドロフラン(THF)などの溶剤や接着剤(以下溶剤等)を内面に塗布し、筒状に丸めて、該溶剤等塗布部を、他方の側縁部から5〜10mmの位置に重ね合わせて外面に接着(センターシール)し、長尺筒状のラベル連続体とし、長尺筒状シュリンクラベルを得る。
【0104】
なお、ラベル切除用のミシン目を設ける場合は、所定の長さ及びピッチのミシン目を長手方向に形成する。ミシン目は慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程段階は、印刷工程の後や、筒状加工工程の前後など、適宜選択ことができる。
【0105】
[ラベル付き容器]
最後に、上記で得られた長尺筒状シュリンクラベルを切断後、所定の容器に装着し、加熱処理によって、ラベルを熱収縮、容器に追従密着させることによってラベル付き容器を作製する。上記長尺筒状シュリンクラベルを、自動ラベル装着装置(シュリンクラベラー)に供給し、必要な長さに切断した後、内容物を充填した容器に外嵌し、所定温度の熱風トンネルやスチームトンネルを通過させたり、赤外線等の輻射熱で加熱して熱収縮させ、容器に密着させて、ラベル付き容器を得る。上記加熱処理としては、例えば、80〜100℃のスチームで処理する(スチームおよび湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)ことなどが例示される。
【0106】
[熱収縮率、熱収縮速度の測定方法ならびに評価方法]
以下に、前述および図1に示した測定原理に基づき、本発明における熱収縮率および熱収縮速度を測定する方法(測定装置、測定方法、算出方法)を説明する。
【0107】
(1)測定装置
本発明で使用する測定装置は、水平に設置された台座に、図1のOA、OBに相当する2本のアームと、支点Oの位置に回転角度を測定する回転角測定器が設置されてなる。上記アームのうち一方のアーム(OA)は台座に固定されたアームである。また、他方のアーム(OB)は、回転角測定器の回転軸に取り付けられた可動式のアームであり、支点Oを中心に自由に回動可能(回転トルクは2mN・m以下である。)である。なお、2本アームはそれぞれ、地面と水平に設置する。
アーム先端部(A、Bの点に相当する)には試料(フィルム)を固定する留め金具(クリップ)が取り付けられている。なお、必要に応じて、アーム先端部に、試料支持アームが垂直に取り付けられ、それぞれの試料支持アームの先端に試料固定用の留め金具が取り付けられた構造でもよい。それぞれの留め金具は相互に水平になるように位置決めされている。
なお、上記装置の試料部分は、測定系を保ったまま、温水中に移動可能となっている。例えば、上記台座が温調可能な水槽上に取り付けられ、上下に可動となっており、台座を上下にスライドさせることにより試料部分をすばやく所定の温度に温調された水中に浸漬できる構造である。
【0108】
(2)測定方法
測定対象であるシュリンクラベルを主配向方向(実施例、比較例のシュリンクラベルの場合には幅方向)に長さ100mm、幅5mmの短冊状に裁断し、これを試料フィルムとした。試料フィルムの両端に掴み代を略均等に残すようにして88.0mm間隔の標線を設けた。
この試料フィルムを上記アーム(又は試料支持アーム)の先端部に固定する。固定アーム(OA)の留め金具に一方の標線の部位を固定し、次いで可動側アーム(OB)の開き角を調整しながら、もう一方の留め金具にもう一方の標線部を固定し、両留め金具間の距離が正確に88mmになるように調節した。なお、OA、OBの長さは100mmである。
次いで、試料フィルム部分をすばやく75℃±0.5℃に温調された水槽に浸漬し、同時に試料フィルムの熱収縮によるアームOA−OB間の角度θ(開き角)の変化の測定を開始し、同開き角を測定開始後0.1秒毎に測定した。
なお、実施例、比較例の測定に用いた測定条件は以下の通りである。
(測定、装置条件)
回転角度測定器 : 株式会社緑測器製、無接触型回転角度センサー「CP−2UK−R200」
アーム : アルミ製角柱(断面:10mm×10mm)
温水温度 : 75℃±0.5℃(75℃測定の場合)
【0109】
(3)算出方法
(3−1)熱収縮率(st
測定された開き角から試料の標線間距離を算出(標線間距離=OA(又はOB)×sin(θ/2)×2)し、初期標線間距離(L0=88mm)とt秒後の標線間距離(Lt)からt秒後の熱収縮率st(%)を下記式1により求め、t=0から0.1秒毎のstをグラフにプロットする。
t=(L0−Lt)×100/L0 (式1)
【0110】
(3−2)熱収縮速度(Vt)、最大熱収縮速度(Vmax
次に測定点毎に式2により熱収縮速度Vtを求める。
t=(st+0.2−st)/0.2 (式2)
上記式2の意味するところは、測定開始よりt秒後の熱収縮速度は(t+0.2)秒後の熱収縮率(st+0.2)とt秒後の熱収縮率(st)の差を0.2秒で除した数字(即ち、2点間の傾き)と定義することである。1つの試料中、0.1秒間隔の全ての測定点について求められたVtの最大値を最大熱収縮速度(Vmax)とする。
なお、測定は少なくとも熱収縮率の変化が定常に達するまで行う。
【0111】
(3−3)熱収縮開始点(T0
本発明において、上記式1で得られたt秒後の熱収縮率st(縦軸)を、時間t(横軸)に対してプロットしたグラフの一例を図2に示した。グラフ中の曲線が熱収縮率の変化であり、直線は、下記の最大の傾き(上記Vmaxである)の直線(接線と近似する)である。前記試料フィルムを温水に浸漬し測定を開始した時点を原点(t=0)としている。
フィルムは原点よりやや遅れて熱収縮を開始し、収縮の立ち上がり部では熱伝導の遅れの影響を受けるため、多くの場合、該曲線はS字状の曲線となる。
その為、本発明では、熱収縮開始点(T0)を次のように定義する。上記Vmaxが得られた測定点を通り、傾きがVmaxの直線を引き、時間軸との交点を求める。この交点の時間より後のはじめての測定点の時間(サンプリング時間)を熱収縮開始点(T0)として定義する。
【0112】
(3−4)熱収縮開始1、3秒後における熱収縮率(S1、S3
図2に示すとおり、T0から1秒後(T1)における熱収縮率S1を「熱収縮開始1秒後における熱収縮率」とした。同様に、T0から3秒後(T3)の熱収縮率S3を「熱収縮開始3秒後における熱収縮率」とした。
【0113】
(4)90℃、10秒における熱収縮率(S10’)
水槽の温度を90℃±0.5℃に変更して、上記(3)同様に熱収縮率の測定を実施し、同様の算出方法を用いて、T0’から10秒後の熱収縮率S10’(熱収縮開始10秒後の熱収縮率)を求め、「90℃、10秒における熱収縮率」とした。
【0114】
[その他の評価]
(1)透明性(ヘイズ値)(単位:%)
JIS K 7136に準じて測定を行う。40μm厚みに換算して、以下の基準で評価する。
5.0以下 : ラベル用途として優れた透明性である(◎)。
5.0より大、10以下 : ラベル用途として十分な透明性である(○)。
10より大 : ラベル用途として不十分な透明性である(×)。
【0115】
(2)フィルム層厚み、印刷層厚み
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用いて測定した。印刷層厚みは、印刷層を設けた部分(塗布面)と印刷層を設けていない部分(非塗布面)の段差を、3次元顕微鏡(キーエンス(株)製VK8510)を用いて測定した。
【0116】
(3)シール強度
センターシールされた筒状シュリンクラベルを、ラベルの高さ方向に15mm幅となるように、ラベルの円周方向に切断し、幅15mmのリング状のラベル片を採取した後、前記リング状ラベル片を、センターシールが施された部分(以下、シール部分という)以外の部分で切開し、上記円周方向が長辺となる短冊状のサンプル片を作成する。
T型剥離されるように、上記のサンプル片をチャックして、引張試験機で引っ張ることにより、下記の条件で、T型剥離試験(JIS K 6854−3に準拠)を行う。なお、初期チャック間隔は40mmであり、シール部分がチャック間の中心となるようにセットして測定を行う。また、試験はサンプル片の破断まで行う。
試験で得られた最大荷重をもってシール強度(N/15mm)とし、該シール強度が2(N/15mm)以上であればセンタシール性が良好(○)と判断し、2(N/15mm)未満の場合にはシール性が不良(×)と判断する。
(なお、上記の測定に際しては、必要に応じて、伸びないフィルム片をつなぎ合わせて測定に用いてもよい。)
測定装置 : 島津製作所(株)製オートグラフ(AGS−50G:ロードセルタイプ500N)
温湿度 : 温度23±2℃、湿度50±5%RH(JIS K 7000標準温度状態2級)
初期チャック間隔 : 40mm
サンプル幅 : 15mm
試験回数 : 3回
クロスヘッド移動速度 : 200mm/分
【0117】
(4)熱収縮応力
実施例、比較例で得られたシュリンクフィルムから、シュリンクフィルム主延伸方向(実施例、比較例では幅方向)に200mm、主延伸方向と直交する方向(実施例、比較例では長手方向)に15mmの略矩形のフィルム片を切り出しサンプルとした。
引張試験機(島津製作所(株)製「オートグラフ AGS−50G」、ロードセル500N)のチャックにチャック間距離100mmでセット(シュリンクフィルムの主延伸方向が引張試験機の引張方向)し、チャック間距離(100mm)を保持した状態で、85℃の温水に10秒浸漬した。なお、チャック間100mmのうち、80mmまでの部分を温水に浸漬した。
この際に生じた応力を検出し、最大値を熱収縮応力とした。
【実施例】
【0118】
以下に、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0119】
実施例1
A層樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製「レイシア H−280」)70重量%とポリブチレンサクシネート(昭和高分子(株)製「ビオノーレ 1003」)30重量%の混合樹脂(樹脂A1)を用いた。また、B層樹脂として、SBS樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社 「アサフレックス825」)100重量%(樹脂B1)を用いた。
210℃に加熱した押出機aに樹脂A1を投入し、225℃に加熱した押出機bには樹脂B1を投入した。上記2台の押出機を用いて溶融押出を行った。押出機aから押出される樹脂が基層部、押出機bから押出される樹脂が基層部両側の積層部となるように、合流ブロックを用いて合流させ、Tダイ(スリット間隔1mm)より押出した後、25℃に冷却したキャスティングドラム上で急冷して、積層部(B1)/基層部(A1)/積層部(B1)の2種3層積層未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムの積層厚み比は、B1/A1/B1=1/3/1であった。
次に、該未延伸フィルムを、ロール延伸機を用いて、長さ方向に1.3倍延伸した後、幅方向に5.3倍テンター延伸することにより、主に1軸方向に熱収縮する2軸延伸フィルム(シュリンクフィルム)を得た。フィルムの総厚みは50μm(層厚み比:1/3/1)であった。
続いて、得られたシュリンクフィルムの片面にアクリル系インキ(商品名「PS−985」、サカタインクス社製)をグラビア印刷により塗布、印刷層(厚み3μm)を形成し、シュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルの、75℃温水中での熱収縮開始1秒後(T1)における主配向方向の熱収縮率(S1)は9%、熱収縮開始3秒後(T3)における主配向方向の熱収縮率(S3)は17%、90℃10秒における熱収縮率(S10’)は55%であった。また、最大熱収縮速度(Vmax)は10.1%/秒であった。
上記シュリンクラベルを、印刷面が内側となり、且つ、フィルムの幅方向が円周方向となるように筒状に丸めて、テトラヒドロフラン(THF)でセンターシールし、筒状シュリンクラベルを得た。さらに、上記筒状シュリンクラベルを容器(東洋製罐(株)製500ml耐熱角形PETボトル)に装着し、雰囲気温度90℃のスチームトンネルで加熱収縮して、ラベル付き容器96本を得た。得られたラベル付き容器には「しわ」などの不良が1本もなく、優れた仕上がりであった。
【0120】
実施例2
層厚み比を、B1/A1/B1=1/5/1に変更した以外は、実施例1と同様にして総厚み50μmのシュリンクフィルム、及び、シュリンクラベルを得た。得られたシュリンクラベルの熱収縮率(S1)は19%、熱収縮率(S3)は26%、90℃10秒後の熱収縮率(S10’)は62%であった。最大熱収縮速度(Vmax)は25.8%/秒であった。
また、実施例1と同様にして、ラベル付き容器96本を得た。得られたラベル付き容器には「しわ」などの不良が1本もなく、優れた仕上がりであった。
【0121】
実施例3
層厚み比を、B1/A1/B1=1/8/1に変更した以外は、実施例1と同様にして総厚み50μmのシュリンクフィルム、及び、シュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルの熱収縮率(S1)は21%、熱収縮率(S3)は27%、90℃10秒後の熱収縮率(S10’)は65%であった。最大熱収縮速度(Vmax)は39.2%/秒であった。
また、実施例1と同様にして、ラベル付き容器96本を得た。得られたラベル付き容器には「しわ」などの不良が1本もなく、優れた仕上がりであった。
【0122】
比較例1
押出機1台のみを用い、樹脂A1からなる単層フィルムを作製した。
210℃に加熱した押出機に、樹脂A1を投入して、Tダイ(スリット間隔1mm)より溶融押出した後、25℃に冷却したキャスティングドラム上で急冷して、単層未延伸フィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして、総厚み50μmのシュリンクフィルム、及び、シュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルの熱収縮率(S1)は24%、熱収縮率(S3)は30%、90℃10秒後の熱収縮率(S10’)は70%であった。最大熱収縮速度(Vmax)は115.7%/秒であった。
また、実施例1と同様にして、ラベル付き容器96本を得た。得られたラベル付き容器の17本に対して、「しわ」が観察され、外観が劣っていた。
【0123】
実施例4〜8
原料として、表1に示すポリ乳酸系重合体70重量部と添加樹脂(ポリ乳酸系重合体以外の樹脂)30重量部の混合原料を用い、押出機1台のみを用い、該混合樹脂からなる単層フィルムを作製した。
190℃に加熱した押出機に、混合原料を投入して、Tダイ(スリット間隔1mm)より溶融押出した後、25℃に冷却したキャスティングドラム上で急冷して、単層未延伸フィルムを得た。さらに、表1に示す延伸条件で横1軸延伸を行い、総厚み50μmのシュリンクフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にしてシュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルの熱収縮率(S1)、熱収縮率(S3)、90℃10秒後の熱収縮率(S10’)、最大熱収縮速度(Vmax)は表1に示したとおりである。
また、実施例1と同様にして、ラベル付き容器96本を得た。得られたラベル付き容器は表1に示すとおり、「しわ」などの不良が1本もなく、優れた仕上がりであった。
【0124】
実施例9〜15
A層樹脂(A層原料)およびB層樹脂(B層原料)として、表2に示した樹脂を用い、表2に示した配合組成で、2種3層積層フィルムを作製した。
190℃に加熱した押出機aにA層樹脂を投入し、180℃に加熱した押出機bにはB層樹脂を投入した。押出機aから押出される樹脂が基層部、押出機bから押出される樹脂が基層部両側の積層部となるように、合流ブロックを用いて合流させ、Tダイ(スリット間隔1mm)より押出した後、25℃に冷却したキャスティングドラム上で急冷して、積層部(B層)/基層部(A層)/積層部(B層)の2種3層積層未延伸フィルムを得た。さらに、表2に示す延伸条件で横1軸延伸を行い、総厚み50μmのシュリンクフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にしてシュリンクラベルを得た。
得られたシュリンクラベルの熱収縮率(S1)、熱収縮率(S3)、90℃10秒後の熱収縮率(S10’)、最大熱収縮速度(Vmax)は表2に示したとおりである。
また、実施例2と同様にして、ラベル付き容器96本を得た。得られたラベル付き容器は表2に示すとおり、「しわ」などの不良が1本もなく、優れた仕上がりであった。
【0125】
なお、表2における「配合量」の単位は重量部であり、実施例4〜15で用いた原料樹脂の詳細は表3に示した。
【0126】
【表1】


【0127】
【表2】


【0128】
【表3】


【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の熱収縮開始直後の熱収縮率および最大熱収縮速度の測定の原理図である。
【図2】本発明の熱収縮率測定で得られた、時間tと時間tにおける熱収縮率stの関係をプロットしたグラフの一例である。
【符号の説明】
【0130】
1 試料フィルム
O 支点
A、B 標線
θ OAとOBのなす角(開き角)
【出願人】 【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
【出願日】 平成19年5月23日(2007.5.23)
【代理人】 【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久


【公開番号】 特開2008−1098(P2008−1098A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−136157(P2007−136157)