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【発明の名称】 気泡シート体
【発明者】 【氏名】岩坂 正基

【要約】 【課題】キャップシート及びバックシートの厚み寸法の相対比を所定範囲内の値に設定することにより原材料を節約しつつ従来品に劣らぬ良好な強度を有する気泡シート体を提供する。

【構成】バックシートBSの厚み寸法Bを、キャップシートCSのうちバックシートBSと融着する部位CSxの厚み寸法、すなわち元厚みの0.15倍〜0.3倍に設定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール本体の外周面にキャップ成形用の吸引キャビティを多数個凹設した真空成形ロールを利用して突状のキャップを複数成形したキャップシートと、当該キャップシートのうち前記キャップの底部側に貼り合わされる平坦なバックシートとを少なくとも具備してなる気泡シート体であって、
前記キャップシートが、前記各キャップの外径Dに対して、前記各キャップの高さ寸法H、及び各キャップの頂部と側壁部との境界部位に設けたアール部の曲率半径Rをそれぞれ式〔1〕及び〔2〕を満たす値に設定したものであり、
0.35D≦H≦0.45D・・・式〔1〕
0.075D≦R≦0.125D・・・式〔2〕
前記キャップシートのうち前記バックシートと融着する部位の厚み寸法Cに対して、前記バックシートの厚み寸法Bを式〔3〕を満たす値に設定していることを特徴とする気泡シート体。
0.15C≦B≦0.3C・・・式〔3〕
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡シート体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
突状のキャップを多数設けたキャップシートと、平坦なバックシートとを貼り合わせてなる気泡シート体が緩衝包装材や断熱材等として広く使用されている。このような気泡シート体の製造方法しては、従来、図4に示すように、ロールR1に巻いたキャップシート成形用フィルムF1を加熱した状態で真空成形ロールF2に送り出し、真空成形ロールF2の真空吸引作用により、ロール本体の外周面に多数個凹設したキャップ成形用の吸引キャビティの形状に対応する突状のキャップを多数成形したキャップシートS1を連続的に形成する一方、ロールR2に巻いたバックシート成形用フィルムF2を加熱した状態で加圧ロールR4により前記キャップシートS1に押し付け、これによって、キャップシートS1の裏面にバックシートS2を順次貼り合わせる態様が採用されていた。
【0003】
このような製造方法を採用した場合、キャップシート成形用フィルム及びバックシート用フィルムは、在庫管理上の理由から同じフィルムを適用していたため、キャップシートの厚み寸法とバックシートの厚み寸法との相対比は必然的に1:1となっていた。
【0004】
しかしながら、その後、キャップシート及びバックシートとして、それぞれ加熱溶融した樹脂をキャップシート用フラットダイス及びバックシート用フラットダイスによって薄膜状にしたものを適用する態様が標準となり(例えば特許文献1参照)、その結果、キャップシートの厚み寸法とバックシートの厚み寸法との相対比を自由に設定できるようになった。
【0005】
このような技術変遷を背景にして、キャップシートが真空成形ロールによって真空吸引されることにより、キャップシートのうち特にキャップの厚み寸法がバックシートの厚み寸法よりも薄くなることを考慮し、通常、キャップシートの厚み寸法、具体的にはキャップシートのうちバックシートと融着する部位の厚み寸法(いわゆる元厚み)をバックシートの厚み寸法よりも大きく設定している。
【特許文献1】特開平10−180869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、キャップシート及びバックシートの厚み寸法の相対比は実際に検証した上で設定された値ではなく、いわば適当に決定されたものであった。そのため、キャップシート及びバックシートの厚み寸法の相対比によっては、強度不足の発生、或いは必要以上に厚み寸法を大きく確保することによる無駄肉の発生、ひいては気泡シート体が強度の割に重くなるという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、キャップシート及びバックシートの肉厚の相対比を所定範囲内の値に設定することにより原材料を節約しつつ良好な強度を有する気泡シート体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の気泡シート体は、ロール本体の外周面にキャップ成形用の吸引キャビティを多数個凹設した真空成形ロールを利用して突状のキャップを複数成形したキャップシートと、当該キャップシートのうち前記キャップの底部側に貼り合わされる平坦なバックシートとを少なくとも具備してなる気泡シート体であって、前記キャップシートが、前記各キャップの外径Dに対して、前記各キャップの高さ寸法H、及び各キャップの頂部と側壁部との境界部位に設けたアール部の曲率半径Rをそれぞれ式〔1〕及び〔2〕を満たす値に設定したものであり、
0.35D≦H≦0.45D・・・式〔1〕
0.075D≦R≦0.125D・・・式〔2〕
前記キャップシートのうち前記バックシートと融着する部位の厚み寸法Cに対して、前記バックシートの厚み寸法Bを式〔3〕を満たす値に設定していることを特徴とする。
0.15C≦B≦0.3C・・・式〔3〕
気泡シート体は、キャップに荷重が掛かった場合、密閉されたキャップ内部の気体の存在により、荷重をキャップシートの抗張力で受け止める。すなわち、キャップの圧縮をキャップシートの引っ張りに転換して気泡シート体全体の強度を最大限に生かす緩衝材として機能する。このことは、換言すれば、キャップシートの各寸法を有効な抗張力を発揮し得る値に設定さえすれば、バックシート自体は気泡シート体全体の本来発揮すべき強度を損なわない範囲で必要最小限の肉厚に設定しても緩衝材としての機能を損なうことがないということである。このような観点に着目した出願人は、バックシートの厚み寸法と、成形後の各キャップの最薄部、つまりキャップの頂部と側壁部との境界部位に設けたアール部の厚み寸法とが略同一になることが望ましいことを見出し、鋭意研究の末、良好な抗張力を発揮するキャップシートとすべく各キャップの高さ寸法やアール部の曲率半径を上記値に設定した場合、成形後のキャップの最薄部の厚み寸法が、キャップシートのうちバックシートと融着する部位の厚み寸法(C)、すなわちキャップシートの元厚みの0.2倍〜0.25倍(0.2C〜0.25C)になることを発見した。したがって、バックシートの厚み寸法(B)を、キャップの最薄部の厚み寸法の上限及び下限を包含する値である0.15C≦B≦0.3Cに設定し、キャップの最薄部の厚み寸法に対応させた。
【0009】
ここで、バックシートの厚み寸法を0.15Cよりも小さい値に設定した場合には、バックシートの強度が低下し、気泡シート体本来の機能を発揮することができず、実用性に欠けるものとなる上、このような極めて薄い膜を熱融着させる際の温度コントロールが困難であり、生産性の低下をも招来する。一方、バックシートの厚み寸法を0.3Cよりも大きい値に設定した場合には、バックシートの厚み寸法を0.3C以下に設定した場合と比較して気泡シート体の強度に大きな差異はなく、むしろ無駄肉となり、原料高騰の近時において生産コストの不要な増大を招来するのみならず、気泡シート体のメリットである軽量化をも損なうものとなる。
【0010】
このように、バックシートの厚み寸法Bを0.15C≦B≦0.3Cに設定することによって、無駄肉を省き、バックシートで削減した分をキャップシートに充てることにより、原材料ひいては環境負荷を必要最小限に抑えることができるとともに、本来発揮すべき強度を有効に発揮する実用性に優れたものになる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、バックシートの厚み寸法(B)を、キャップの最薄部の厚み寸法(0.2C〜0.25C)に多少の巾を持たせた0.15C≦B≦0.3Cに設定することにより、バックシートの原材料を節約することができるとともに従来品に劣らぬ強度を発揮する品質良好な気泡シート体を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
本実施形態に係る気泡シート体Sは、図1に示すように、突状のキャップCSaを複数成形したキャップシートCSと、キャップシートCSのうちキャップCSaの底部側に貼り合わされる平坦なバックシートBSとを具備したものである。この気泡シート体Sは、図2に示す気泡シート体製造機Xによって製造される。
【0014】
気泡シート体製造機Xは、キャップシートCSを供給するキャップシート供給装置X1と、真空吸引源X2vに接続され且つキャップシート供給装置X1から供給されたキャップシートCSに多数の突状のキャップCSaを成形する真空成形ロールX2と、バックシートBSを供給するバックシート供給装置X3と、真空成形ロールX2により多数のキャップCSaを成形したキャップシートCSの裏面側にバックシート供給装置X3から供給されたバックシートBSを押し付けて融着する加圧ロールX4と、キャップシートCS及びバックシートBSを相互に融着してなる気泡シート体Sを真空成形ロールX2から剥離する剥離ロールX5とを少なくとも備えたものである。
【0015】
キャップシート供給装置X1は、例えば、キャップシート押出機X11と、キャップシート用フラットダイスX12とから構成したものである。
【0016】
真空成形ロールX2は、図3に示すように、ロール本体の外周面に多数個凹設されたキャップ成形用の吸引キャビティX21と、ロール本体の一端から他端に亘って形成され両端を開口した吸引用横孔X22と、各吸引キャビティX21の底壁に設けられそれらの吸引キャビティX21をそれぞれ対応する吸引用横孔X22に連通させる吸引孔X23とを具備してなり、吸引用横孔X22の両端を真空吸引源X2vに接続し得るように構成したものである。なお、図3では、ロール本体の外周面に多数個凹設した吸引キャビティX21のうち、一部破断して示す領域に設けたもののみを図示し、それ以外の領域に設けたものは省略している。
【0017】
バックシート供給装置X3は、例えば、バックシート押出機X31と、バックシート用フラットダイスX32とから構成したものである。
【0018】
なお、キャップシート用フラットダイスX12及びバックシート用フラットダイスX32として、リップの外側にアウターディッケルをスライド自在に配置し、シート幅を所定寸法内で可変可能なTダイスを適用してもよい。
【0019】
加圧ロールX4及び剥離ロールX5は、例えばそれぞれ真空成形ロールX2に対して接離可能に設けられ、運転時には真空成形ロールX2に近接し、停止時(緊急停止時も含む)には真空成形ロールX2から離間するものである。また、剥離ロールX5を、駆動軸として機能させ、この剥離ロールX5の回動に従動して真空成形ロールX2及び加圧ロールX4が回動するように設定してもよい。
【0020】
次に、このような気泡シート体製造機Xを用いて気泡シート体Sを製造する方法及び作用について説明する。
【0021】
先ず、キャップシート供給装置X1から熱可塑化状態にある膜状のキャップシートCSが回転する真空成形ロールX2に逐次供給され、真空排気装置X2vに接続された真空成形ロールX2の真空吸引作用により吸引キャビティX21の形状に対応した多数のキャップCSaを有したキャップシートCSを連続的に形成する。
【0022】
一方、バックシート供給装置X3から熱可塑化状態にある膜状のバックシートBSが真空成形ロールX2に逐次供給され、加圧ロールX4により当該バックシートBSを前記キャップシートCSの裏面側に押し付けて貼り合わせる。これにより、キャップシートCSとバックシートBSとからなり十分な真空状態で密閉された多数の気泡を有する二層構造の気泡シート体Sが成形され、その後、剥離ロールX5により真空成形ロールX2から剥離され、図示しない巻取ロールに巻き取られる。
【0023】
このような工程を経て製造される本実施形態に係る気泡シート体Sは、図1に示すように、キャップシートCSに成形される各キャップCSaの高さ寸法H、及び各キャップCSaの頂部CSa1と側壁部CSa2との境界部位に設けたアール部CSa3の曲率半径Rをそれぞれ式〔1〕及び〔2〕を満たす値に設定している。
0.35D≦H≦0.45D・・・式〔1〕
0.075D≦R≦0.125D・・・式〔2〕
ここで、「D」は各キャップCSaの外径である。このような寸法に設定することにより、キャップシートCS全体が有効な抗張力を発揮し得るものとなる。そして、このような寸法を採用した場合、成形後の各キャップCSaの肉厚分布は以下のようになる。
【0024】
キャップシートCSのうちバックシートBSと融着する部位CSx、すなわち吸引キャビティX21に直接吸引されずキャップシート用フラットダイスX12によって製膜された当初の厚み寸法が維持される部位の厚み寸法(元厚み)Cに対して、各キャップCSaの頂部CSa1の厚み寸法C1及び側壁部CSa2の厚み寸法C2がそれぞれ0.5Cとなり、アール部CSa3の厚み寸法C3が0.2〜0.25Cとなる。なお、図1は、上記肉厚分布を正確に表現したものではなく、デフォルメしたものである。
【0025】
しかして、バックシートBSの厚み寸法Bを、キャップシートCSの最薄部であるアール部CSa3の厚み寸法C3に対応させるべく、以下の式〔3〕を満たす値に設定している。
0.15C≦B≦0.3C・・・式〔3〕
特に、本実施形態では、バックシートBSの厚み寸法Bを、キャップシートCSのアール部CSa3の厚み寸法C3と略同一にすべく、以下の式〔4〕を満たす値に設定している。
0.2C≦B≦0.25C・・・式〔4〕
バックシートBSの厚み寸法Bを0.15Cよりも小さい値に設定した場合には、強度が低下し、気泡シート体S本来の機能を発揮することができず、実用性に欠けるものとなる上、このような極めて薄い膜を熱融着させる際の温度コントロールが困難であり、生産性の低下をも招来する。
【0026】
一方、バックシートBSの厚み寸法Bを0.3Cよりも大きい値に設定した場合には、0.3C以下に設定した場合と比較して気泡シート体Sの強度に飛躍的な向上はなく、むしろ無駄肉となり、原料高騰の近時において生産コストの不要な増大を招来するのみならず、気泡シート体Sの軽量性をも損なうという問題が生じる。
【0027】
したがって、バックシートBSの厚み寸法Bを、キャップCSaのアール部CSa3の厚み寸法C3と略同一に設定すべく、キャップシートCSのうちバックシートBSと融着する部位CSxの厚み寸法Cの0.15倍〜0.3倍、特に0.2〜0.25倍に設定することにより、バックシートBSの無駄肉の発生を抑制するとともに、バックシートBSで節約した分をキャップシートCSに充てることにより、気泡シート体S全体の原材料を最小限に抑えることができ、環境負荷軽減の観点からも望ましいものとなる。しかも、従来品に劣らぬ強度を有効に発揮し、品質良好なものとなる。
【0028】
このように、本実施形態に係る気泡シート体Sは、省資源化に資するとともに、本来発揮すべき機能を有効に発揮し、実用性に富むものとなる。
【0029】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0030】
例えば、気泡シート体は、前記実施形態で示したキャップシートとバックシートとからなる二層状のものであってもよく、あるいは、キャップシートの表面側(各キャップの頂部側)にさらにライナーシートを貼着した三層状のものであってもよい。後者の場合、ライナーシートの厚み寸法は適宜設定すればよく、バックシートの厚み寸法よりも小さく設定しても構わない。
【0031】
また、キャップシート及びバックシートの材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体が挙げられる。
【0032】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る気泡シート体の断面を模式的に示す図。
【図2】同実施形態における気泡シート体製造機の概略図。
【図3】同実施形態における真空成形ロールの概略図。
【図4】従来の気泡シート体製造機の概略図。
【符号の説明】
【0034】
S…気泡シート体
CS…キャップシート
CSa…キャップ
CSa1…頂部
CSa2…側壁部
CSa3…アール部
BS…バックシート
X2…真空成形ロール
【出願人】 【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博

【識別番号】100118245
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬子


【公開番号】 特開2008−979(P2008−979A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172470(P2006−172470)