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【発明の名称】 建材用化粧材および床材
【発明者】 【氏名】高木 隆

【要約】 【課題】従来の建材用化粧材や床材が有する低コストで、加工性、意匠性、印刷適性、貼り合わせ強度および難燃性などの優れた特性を維持しつつ、VOCの発生を少なくした塩化ビニル樹脂製の建材用化粧材および該化粧材を用いた床材を提供すること。

【構成】絵柄2および/または3を印刷した着色塩化ビニル樹脂シート1の絵柄2および/または3面に、透明塩化ビニル樹脂シート4を熱圧着してなり、上記絵柄2および/または3が水性ウレタン樹脂をバインダーとする水性インキにより形成され、ガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物(VOC)の測定値が3mg/m2未満であることを特徴とする建材用化粧材および該化粧材を用いた床材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絵柄(2、3)を印刷した着色塩化ビニル樹脂シート(1)の絵柄(2、3)面に、透明塩化ビニル樹脂シート(4)を熱圧着してなり、上記絵柄(2、3)が水性ウレタン樹脂をバインダーとする水性インキにより形成され、ガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物(VOC)の測定値が3mg/m2未満であることを特徴とする建材用化粧材。
【請求項2】
前記水性ウレタン樹脂が、自己乳化型のウレタン樹脂である請求項1に記載の建材用化粧材。
【請求項3】
前記水性ウレタン樹脂が、末端がイソシアネート基のウレタン樹脂である請求項1または2に記載の建材用化粧材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の化粧材を基材表面に貼合してなることを特徴とする床材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂製の建材用化粧材に関し、更に詳しくは、家具や床材などからの揮発性有機化合物の発生を抑えることができる建材用化粧材および床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家具や住宅などの床面に用いられる表面装飾材として、積層された塩化ビニル樹脂シートからなる建材用化粧材(以下、「建材用化粧材」を単に「化粧材」と呼ぶ場合がある)が使用されている。この塩化ビニル樹脂製の建材用化粧材は、ダブリングと称される熱溶融ラミネート方式で、基材となる着色塩化ビニル樹脂シートとトップ層となる透明塩化ビニル樹脂シートを貼り合わせて形成されている。また、従来の塩化ビニル樹脂製の建材用化粧材は、有機溶剤を含む油性インキを用いて木目などの絵柄が施されていて、安価であり、加工性、各種耐性、ラミネート強度、印刷適性および意匠性が優れ、且つ塩化ビニル樹脂の特徴である難燃性を有するため、家具や床材などの表面装飾材として広く使用されている。
【0003】
ところが、最近シックハウス症候群などの問題から、主に建材の内装材から発生する揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compound)の量を減ずることが要望されている。
【0004】
しかし、従来の建材用化粧材は、絵柄を施すインキとして有機溶剤を含む油性インキが使用されており、その有機溶剤の成分としてトルエン、メチルエチルケトン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノンまたはイソホロンなどが使用されているため、これらを用いて得られた製品から、製品中に残留した溶剤が多量のVOCとして発生する。
【0005】
そこで、これまで、これらのVOCの発生を抑えるために、建材用化粧材について様々な材料や方法が検討されてきた。例えば、基材の材質をオレフィン樹脂などの非塩化ビニル樹脂製にする方法が提案されている(特許文献1)。基材を塩化ビニル樹脂製からオレフィン樹脂製へ変更することで、インキから基材へ吸収される有機溶剤の量を少なくし、全体として建材用化粧材に残留する溶剤を低減することができる。しかしながら、非塩化ビニル樹脂製の化粧材は、コストが塩化ビニル樹脂製の化粧材と比較し高価であるため普及率が低い。また、上記化粧材は、加工性も劣り、難燃性も優れない。
【0006】
また、塩化ビニル樹脂製の化粧材の絵柄形成に使用するインキを油性インキから水性インキに代える方法もある。しかし、水性インキのバインダーとして、一般的に塩化ビニル系樹脂エマルジョンやエチレン−酢酸ビニル系樹脂エマルジョンを使用しているため、従来の水性インキにより絵柄形成した化粧材は、インキの印刷適性が悪かったり、基材とトップ層のラミネート強度が経時的に低下するなどの問題が多発していた。
【特許文献1】特開2000−127306公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、従来の建材用化粧材が有する安価で、加工性、各種耐性、ラミネート強度、印刷適性、意匠性および難燃性などの優れた特性を維持しつつ、VOCの発生を少なくした塩化ビニル樹脂製の建材用化粧材および該化粧材を用いた床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明は、絵柄2および/または3を印刷した着色塩化ビニル樹脂シート1の絵柄2および/または3面に、透明塩化ビニル樹脂シート4を熱圧着してなり、上記絵柄2および/または3が水性ウレタン樹脂をバインダーとする水性インキにより形成され、ガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物(VOC)の測定値が3mg/m2未満であることを特徴とする建材用化粧材および該化粧材を基材表面に貼合してなる床材である。また、前記水性ウレタン樹脂は、自己乳化型のウレタン樹脂であることが好ましい。また、前記水性ウレタン樹脂は、末端がイソシアネート基であるウレタン樹脂であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来の建材用化粧材が有する安価であり、加工性、各種耐性、ラミネート強度、印刷適性、意匠性および難燃性などの優れた特性を維持しつつ、VOCの発生を少なくした塩化ビニル樹脂製の建材用化粧材および該化粧材を用いた床材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の建材用化粧材の基本的層構成を図解的に示す模式断面図である。本発明の建材用化粧材は、図1に示すように、絵柄2および/または3を印刷した着色塩化ビニル樹脂シート1の絵柄2および/または3面に、透明塩化ビニル樹脂シート4を熱圧着してなり、上記絵柄2および/または3が水性ウレタン樹脂をバインダーとする水性インキにより形成され、ガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物(VOC)の測定値が3mg/m2未満であることを特徴としている。
【0011】
本発明を構成する着色塩化ビニル樹脂シート1は、着色塩化ビニル系樹脂組成物を原料とし、公知の加工方法、例えば、カレンダー法または押出成型法などによりシート化されたものである。前記シート1の厚さは、特に限定されないが、加工性や各種耐性を考慮して50〜800μmが好ましい。
【0012】
上記着色塩化ビニル系樹脂組成物は、主として塩化ビニル系樹脂、可塑剤、着色剤および安定剤などを組成とし、従来の建材用化粧材に使用される着色塩化ビニル系樹脂組成物と同様のものが使用される。上記着色塩化ビニル系樹脂組成物は、該組成物中に可塑剤を0〜40質量%含んだ軟質、半硬質または硬質のものを使用でき、好ましくは、加工性や耐性を考慮し、該組成物中に可塑剤を5〜30質量%含んだ半硬質の着色塩化ビニル系樹脂組成物である。
【0013】
シート1は、建材用化粧材に意匠性を付与し、また、木製、ゴム製または鋼製などのバッカーや基材と貼り合わせるために設けられるものであり、通常下地を隠すために適宜着色されている。
【0014】
絵柄2および/または3は、水性ウレタン樹脂を主体バインダーとして、これに顔料、溶媒などを添加してなるインキを用いて、公知の印刷方法、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷またはスクリーン印刷などにより1〜5色の柄が施されることにより形成される。主に、絵柄2をベタ印刷し、絵柄3を絵柄印刷することにより、化粧材に意匠性を付与する。水性ウレタン樹脂をインキの主体バインダーとして用いることで、化粧材からのVOCの発生を抑えることができる。また、上記バインダーには、改質剤として水性アクリル樹脂や塩化ビニル樹脂エマルジョンを加えた組成も含まれる。
【0015】
また、上記水性ウレタン樹脂には、顔料分散性、印刷適性、塩化ビニル樹脂シートへの接着性および耐水性などが必要とされる。従って、例えば、エステル系ウレタン樹脂および/またはエーテル系ウレタン樹脂のコロイダルディスパージョン、水溶解タイプおよび/またはエマルジョンタイプを上記水性ウレタン樹脂として使用することができ、特に自己乳化型のウレタン樹脂が、好ましく使用することができる。また、更に、耐水性の向上、インキの各種耐性の点から、末端がイソシアネート基であるウレタン樹脂を上記水性ウレタン樹脂として使用することが好ましい。
【0016】
上記水性ウレタン樹脂は、例えば、以下の方法で作成される。イソシアネート基(NCO)と反応しない有機溶剤、例えば、ケトン系溶剤中で、NCO/OH>1の比率でポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、末端がイソシアネート基であるウレタン樹脂を得る。この際に、ジメチロールプロピオン酸の如く、アニオン性基を有するポリオール、ポリアミンまたはアミノ酸をポリオールの一部として使用すると、主鎖中にカルボキシル基やスルホン基がペンダントしているウレタン樹脂が得られる。次に、この反応液を脱溶剤した後、反応生成物をアンモニアなどのアルカリ水に加えると、ウレタン樹脂のアニオン性基が、アンモニアなどで中和され、親水性のウレタン樹脂が得られる。このようにして得られるウレタン樹脂は、前記アニオン性基の量により、水溶性にしたり、自己乳化性にすることができる。
【0017】
また、この際に末端イソシアネート基が水と反応して、イソシアネート基が失われる畏れがあるため、ウレタン樹脂を製造した後、有機溶剤(ケトンなど)溶液中で、イソシアネート基を安定化(ブロック)しておく必要がある。このブロックは、例えば、フェノール、クレゾールなどのフェノール類などをイソシアネート基に付加反応させることにより行なう。
【0018】
前記ウレタン樹脂の製造に用いられるポリイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族または脂環族の各種公知のジイソシアネートを使用することができる。例えば、トリレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたはヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0019】
また、前記のウレタン樹脂の製造に使用されるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはジプロピレングリコールなどの低分子グリコールや、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールまたはポリブタジエングリコールなどの高分子ポリオールなどのウレタン樹脂の製造に通常使用されるポリオールが挙げられる。
【0020】
また、前記のウレタン樹脂の製造に使用されるアニオン性基を有するポリオール、ポリアミンまたはアミノ酸としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸の他に、例えば、2,2−ジメチロール酪酸、ジメチロールアルカン酸、ジアミノ安息香酸などのジアミン型アミノ酸またはアスパラギン酸などのモノアミン型アミノ酸が挙げられる。アニオン性基を有するポリオール、ポリアミンまたはアミノ酸は、ウレタン樹脂にカルボキシル基やスルホン基などのアニオン性基を与える他、ウレタン樹脂の合成において、ウレタン樹脂の分子量を調整し反応を停止させる作用も有する。
【0021】
また、前記のウレタン樹脂を中和するアルカリとしては、アンモニアの他に、例えば、モノメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンまたは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどの有機アミン、水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウムなどの無機アルカリなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いられる。また、前記アルカリは、VOCの発生を抑え、乾燥後の皮膜物性維持の点から、熱によって容易に解離して揮発するアンモニアやアミンが望ましい。
【0022】
以上の如き水性ウレタン樹脂は、自ら製造して使用する他に、例えば、第一工業製薬社から商品名「スーパーフレックス107M」、「スーパーフレックス150」などとして市場から入手して本発明で用いることができる。
【0023】
本発明で用いるインキの溶媒としては、VOC発生を抑えるため、水が望ましいが、インキの乾燥性や印刷適性またはインキ膜のレベリングを改良する目的で、炭素数の少ないアルコール、例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコールなどを水と併用することができる。更には、最小限度のジオールのモノエーテル、例えば、メトキシプロパノール、エトキシプロパノールなどをインキの溶剤として使用することもできる。
【0024】
本発明で使用するインキには、その他に消泡剤、粘度調整剤および充填剤などを添加することができる。
【0025】
本発明を構成する透明塩化ビニル樹脂シート4は、透明塩化ビニル樹脂組成物を原料とし、公知の加工方法、例えば、カレンダー法または押出成型法などによりシート化されたものである。前記シート4の厚さは、特に限定されないが、加工性や各種耐性を考慮して50〜800μmのものが好ましい。
【0026】
上記透明塩化ビニル系樹脂組成物は、主として塩化ビニル系樹脂、可塑剤、帯電防止剤および安定剤などを組成とし、従来の建材用化粧材に使用される透明塩化ビニル系樹脂組成物と同様のものが使用される。上記透明塩化ビニル系樹脂組成物は、上記シート4として、該組成物中に可塑剤を0〜40質量%含んだ軟質、半硬質、硬質のものを使用でき、好ましくは、加工性や耐性を考慮し、該組成物中に可塑剤を5〜30質量%含んだ半硬質の透明塩化ビニル系樹脂組成物である。
【0027】
シート4には、透明のもの以外に半透明のもの、表面をエンボス加工したものが含まれ、更には、シート4上にポリエチレンテレフタレートフィルムなどの保護フィルムや水性ウレタン樹脂を含むコート剤またはUVコート剤などの保護層を施す場合もある。
【0028】
シート4は、建材用化粧材に意匠性を付与し、また、家具や床材などの建材に要求される諸物性、特に耐擦傷性、耐磨耗性および耐汚染性などの表面物性を維持するために設けられる。
【0029】
本発明の建材用化粧材は、着色塩化ビニル樹脂シート1の絵柄面に透明塩化ビニル樹脂シート4を重ね、公知のラミネート方法、例えば、熱溶融ラミネート方法により積層して製造される。
【0030】
本発明の建材用化粧材に残留するVOCを測定する方法として、ガスクロマトグラフ法を用いることができる。上記したガスクロマトグラフ法によるVOCの測定は、建材用化粧材を一定面積取り、細かく裁断した後、三角フラスコに入れて密閉し、80℃において20分間放置させ、その後ガスクロマトグラフィーにて蒸発したVOCを測定することにより行なわれる。本発明の建材用化粧材は、上記の方法で測定したVOCが3mg/m2未満であることを特徴とする。
【0031】
本発明の床材は、上記本発明の化粧材を、床材の基材の表面に貼着することで得られる。床材の基材としては従来の床材の基材、例えば、塩化ビニル樹脂製、ゴム製、木製、布製などの基材が何れも使用できる。該基材に対する前記化粧材の貼着方法は従来技術と同様である。このような本発明の床材も前記と同様に低VOC性である。
【実施例】
【0032】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
[インキの配合]
水、25質量%アンモニア水、消泡剤(商品名:BYK020、ビックケミージャパン社製)、顔料(商品名:シアニンブルー7629G、大日精化工業社製)、バインダーとして下記樹脂A乃至Dおよび粘度調整剤(商品名:SNシックナー619、サンノプコ社製)を表1に記載する比率でそれぞれ配合し、ペイントシェーカーで60分間分散処理して水性インキを得た。上記インキをそれぞれ水性インキ1乃至4とした。
【0033】
上記の樹脂A乃至Dは、それぞれ下記のものを示す。
(1)樹脂A:コロイド分散したアニオン性のウレタン樹脂(商品名:スーパーフレックス107M、固形分25質量%、第一工業製薬製)。
(2)樹脂B:コロイド分散したアニオン性のウレタン樹脂(商品名:スーパーフレックス150、固形分30質量%、第一工業製薬製)。
(3)樹脂C:塩化ビニル−アクリル共重合樹脂エマルジョン(商品名:ビニブラン619、固形分54質量%、日信化学工業製)。
(4)樹脂D:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(商品名:ビニブラン601、固形分50質量%、日信化学工業製)。
【0034】


【0035】
[建材用化粧材の製造]
シート中に可塑剤25質量%を含有する厚さ90μmの着色塩化ビニル樹脂シートを用意し、該シートにグラビア印刷機にて、表1に記載の水性インキ1を塗布量Wet4g/m2になるように塗布した後、乾燥温度35℃にて約2分間乾燥し、絵柄面を形成した。次に、上記着色塩化ビニル樹脂シートの絵柄面にシート中に可塑剤25質量%を含有する厚さ100μmの透明塩化ビニル樹脂シートを重ね、更に透明塩化ビニル樹脂シート上に、ポリエチレンテレフタレートからなる厚さ25μmの保護フィルムを重ねた。その後、熱ロール機を使い、温度200℃、スピード10m/min、圧1kg/cm2の条件にて、着色塩化ビニル樹脂シートと透明塩化ビニル樹脂シートを熱ラミネートすることにより、キャビネットの表面装飾に用いることができる建材用化粧材を得た。上記建材用化粧材を実施例1とする。
【0036】
水性インキ1の代わりに水性インキ2乃至4を用いて、上記と同様の条件により、建材用化粧材をそれぞれ作成した。インキ2で作成した建材用化粧材を実施例2、インキ3で作成した建材用化粧材を比較例2、また、インキ4で作成した建材用化粧材を比較例3とした。
【0037】
また、水性インキ1の代わりにメチルエチルケトンおよびトルエンを溶剤として含有する油性インキを用いて、上記と同様の条件により、建材用化粧材を作成し、該化粧材を比較例1とした。
【0038】
[評価結果]
実施例および比較例の建材用化粧材および該化粧材に用いられるインキについて評価した。
評価条件は以下の通りである。なお、下記の記号は、「○」は「優」、「△」は「良」、「×」は「不良」であることをそれぞれ示す。
(1)インキの乾燥性:水性インキを基材にグラビア印刷した後、インキの乾燥性を指触にて評価した。
○:1分未満で乾燥。
△:1分以上2分未満で乾燥。
×:2分以上で乾燥。
(2)インキの転移性:水性インキを基材にグラビア印刷した絵柄面を目視することによりインキの転移性を評価した。
○:転移性が良好。
△:転移性がやや良好。
×:転移性が不良。
(3)インキの密着性:幅12mmのセロハンテープをグラビア印刷した絵柄面に圧着後、90度の角度で強く剥離してインキの密着性を評価した。
○:剥離しない。
△:一部剥離する。
×:全面剥離する。
(4)建材用化粧材のラミネート強度:熱圧着後のシートを幅24mm、長さ100mmに切り試験片を作成し、接着部分を一部剥離した後、剥離部分から引っ張り試験機を用いて剥離角度180度、引っ張り速度300mm/min、フルスケール50Nの条件にてラミネート強度を測定した。
○:ラミネート強度が20N/24mm以上。
△:ラミネート強度が10N/24mm以上20N/24mm未満。
×:ラミネート強度が10N/24mm未満。
(5)建材用化粧材に残留する有機溶剤:熱圧着後のシートを一定面積取り、細かく裁断した後、三角フラスコに入れて密閉した。その後80℃において20分放置し、ガスクロマトグラフィーにて蒸発した有機溶剤(VOC)を測定した。
○:有機溶剤が3mg/m2未満。
△:有機溶剤が3mg/m2以上5mg/m2未満。
×:有機溶剤が5mg/m2以上。
以上の評価結果を表2に示す。
【0039】


【0040】
比較例1の化粧材は、各種耐性などは良いが、化粧材中の残留溶剤が多く、VOCを低減することはできない。比較例2または3の化粧材は、化粧材中の残留溶剤が少なく、VOCを大幅に削減できるが、インキの密着性や転移性が悪いため、実用性に乏しい。実施例1または2の化粧材においては、インキの密着性および転移性が良く、化粧材のラミネート強度も良好で、化粧材中の残留溶剤も抑えた低VOC性の建材用化粧材である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、従来の建材用化粧材が有する低コストで、加工性、意匠性、印刷適性、貼り合わせ強度および難燃性などの優れた特性を維持しつつ、VOCの発生を少なくした塩化ビニル樹脂製の建材用化粧材および該化粧材を用いた床材を提供することができる。従って、本発明の建材用化粧材は、家具や床材などの建材の表面装飾材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の建材用化粧材の基本的層構成を図解的に示す模式断面図。
【符号の説明】
【0043】
1:着色塩化ビニル樹脂シート
2:絵柄
3:絵柄
4:透明塩化ビニル樹脂シート
【出願人】 【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子

【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広

【識別番号】100146042
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 克哲


【公開番号】 特開2008−973(P2008−973A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172201(P2006−172201)