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【発明の名称】 エンボス加工方法及びそれによって製造されるブランクシート
【発明者】 【氏名】杉山 有二

【氏名】荻田 一夫

【氏名】小林 泰一郎

【要約】 【課題】一工程でブランクシートの端部にエンボスの切断端面を露出状態で形成する。

【解決手段】ブランクシート打抜き機の抜き型に凹状型1を取り付けるとともに、抜き型に対向する面板に凸状型2を取り付け、ブランク抜きと同時に凹状型1と凸状型2の凹凸が合わさることでシートをプレス成形するエンボス加工方法において、ブランク端部を押し切る抜き型の切断刃3より外側に位置するよう凸状型2に伸長部2aを設けることで切断刃3の刃先が凸状型2に載るようにすると同時に、切断刃3の刃先を凸状型2に合った凹状の形に加工しておき、しかも、凹状型2は切断刃3の側面とぶつかる位置で止めて凸状型2の伸長部2aとは干渉しないようにしておき、プレス成形時に凸状型2に凹状型2が嵌まることで、間にあるシートにエンボス加工を施すとともに該シートを打ち抜く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランクシート打抜き機の抜き型に凹状型を取り付けるとともに、抜き型に対向する面板に凸状型を取り付け、ブランク抜きと同時に凹状型と凸状型の凹凸が合わさることでシートをプレス成形するエンボス加工方法において、ブランク端部を押し切る抜き型の切断刃より外側に位置するよう凸状型に伸長部を設けることで切断刃の刃先が凸状型に載るようにすると同時に、切断刃の刃先を凸状型に合った凹状の形に加工しておき、しかも、凹状型は切断刃の側面とぶつかる位置で止めて凸状型の伸長部とは干渉しないようにしておき、プレス成形時に凸状型に凹状型が嵌まることで、間にあるシートにエンボス加工を施すとともに該シートを打ち抜くようにしたことを特徴とするエンボス加工方法。
【請求項2】
凸状型を階段状とし、その凸状型の高さに合わせて分割した複数の刃を組み合わた切断刃を使用することを特徴とする請求項1に記載のエンボス加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2のエンボス加工方法によって付与されたエンボスを端面に有することを特徴とするブランクシート。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙や樹脂シートを打ち抜いて形成するブランクシートに凹凸を付与するためのエンボス加工の技術分野に属し、詳しくは、ブランクシートの端部に凹凸を形成するエンボス加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、菓子類等を入れて販売するための紙箱として、サック貼りしたブランクシートを角筒状に起こし、一方の開口を閉じてからもう一方の開口より内容物を充填して閉じることで箱型とするシールエンド型のものが多く利用されている。このタイプの紙箱は、内容物を取り出すための開封機構を設けている。例えば、閉鎖部分に帯状のジッパーを設けたものや、胴部を周回する帯状のジッパーを設けたものがある。特に、再封できるようにするため、摘み部とそれに対応した位置にスリットを設けておき、摘み部からミシン目を破断を開始して開封し、閉じる際には摘み部をスリットに係止するようにしたタイプも多く用いられている。
【特許文献1】特開平7−257558号公報
【特許文献2】特開平8−11869号公報
【特許文献3】特開2001−139025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記したような紙箱は、開封を開始するための摘み部を利用してミシン目を破断することで紙箱を開けるようになっている。しかしながら、摘み部は紙箱の側面や端面において板紙同士が重なったところに設けるので、摘み部が下側の板紙に接した状態になり、指先が摘み部の先端になかなか引っ掛からずに開けにくい。そこで、摘み部となる端部に凸部があれば、指先が引っ掛かるので、開けやすくなるが、エンボス加工はシートに囲まれた部分に施すもので、シートの端部に行うことはタブーとされている。
【0004】
一般にエンボス加工方法としては次の2つの方法がある。まず第1の方法は、プラテンなどブランクシート打抜き機の抜き型に金属製又は樹脂製からなる凹状の型を付けるとともに、対向する面板の方にも金属製又は樹脂製からなる凸状の型を付けておき、ブランク抜きと同時にこれらの凹凸が合わさることで、シートをプレス成形する方法である。もう一つの方法は、予め箔押し機などのシートプレス機を使用してエンボスをシートの所望の位置に成形した後、打抜き機にてブランク抜きを行う方法である。
【0005】
第1の方法では、成形と同時にエッジ部を打ち抜かなければならないので、エンボス型のエッジ部分ぎりぎりに刃を当てて切るという、いわゆるシェアカット方式で切ることになる。したがって、刃としては一般の抜き型で多く用いる両刃は使えない。また、エンボス型もそのエッジが刃物のように硬く鋭いものでなければシートを打ち抜くことができない。ところが、このようなエンボス型は材料や加工にコストが掛かるため、非常に高価なものになってしまう。また、この方法では、僅かでも打抜き刃とエンボス型の位置がずれてエッジが重なると刃先が潰れることになり、逆に隙間が開くとシート切り口にびびりが生じてしまうという問題が生じる。
【0006】
また、第2の方法の場合、エンボスは閉塞したままの形状なので、成形後にブランク抜きをする時にエンボスの一部を切り取る必要がある。これは二度手間となるし、中空のエンボスの上から刃物を押し当てて切ることになるので、エンボスが潰れてしまうという問題がある。また、ブランクを抜く位置とエンボスの位置をこまめに合わせる必要があり、手間が掛かるという問題もある。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一工程でブランクシートの端部にエンボスの切断端面を露出状態で形成することができるエンボス加工方法を提供し、併せてそれによって形成されるブランクシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明のエンボス加工方法は、ブランクシート打抜き機の抜き型に凹状型を取り付けるとともに、抜き型に対向する面板に凸状型を取り付け、ブランク抜きと同時に凹状型と凸状型の凹凸が合わさることでシートをプレス成形するエンボス加工方法において、ブランク端部を押し切る抜き型の切断刃より外側に位置するよう凸状型に伸長部を設けることで切断刃の刃先が凸状型に載るようにすると同時に、切断刃の刃先を凸状型に合った凹状の形に加工しておき、しかも、凹状型は切断刃の側面とぶつかる位置で止めて凸状型の伸長部とは干渉しないようにしておき、プレス成形時に凸状型に凹状型が嵌まることで、間にあるシートにエンボス加工を施すとともに該シートを打ち抜くようにしたことを特徴としている。
【0009】
そして、上記のエンボス加工方法においては、凸状型を階段状とし、その凸状型の高さに合わせて分割した複数の刃を組み合わた切断刃を使用するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のエンボス加工方法によれば、面板側の凸状型と抜き型側の切断刃とが多少ずれても刃先に重大なダメージを与えることなく、一工程でブランクシートの端部にエンボスの露出端面を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明に係るエンボス加工方法を行う打抜き機の要部を示す概略説明図、図2は図1のA−A断面図である。なお、図2ではシートを入れた状態で図示している。
【0013】
図1及び図2において、1はブランクシート打抜き機の抜き型に取り付けた凹状型、2は抜き型に対向する面板に取り付けた凸状型である。これらの凹状型1と凸状型2は、いずれも金属又は合成樹脂からなる。3はブランクシートの端部を押し切るために抜き型に取り付けられた切断刃で、その切断刃3より外側に位置するよう凸状型2には伸長部2aが設けられており、これにより切断刃3の刃先が凸状型2に載るようになっている。また、切断刃3はその刃先を凸状型2に合った凹状の形に加工してあり、しかも、凹状型1は切断刃3の側面とぶつかる位置の手前で止めて凸状型2の伸長部2aとは干渉しないようにしてある。
【0014】
この打抜き機でシートSのプレス成形を行うと、図示のように凸状型2に凹状型1が嵌まることで、間にあるシートSにエンボス加工が施されるとともに該シートSが打ち抜かれる。この場合、あたかもシートSをまな板に上で手で押さえつつ切るような恰好になるので、面板側の凸状型2と抜き型側の切断刃3が多少ずれても刃先に重大なダメージを与えることなく綺麗に打ち抜くことができる。
【0015】
すなわち、通常のシェアカット方式では、少しでも後側にずれると刃全体が凸状型にかかって重大なダメージを受けることになるし、逆に前側にずれると切れなくなるが、本発明では、凸状型の上で刃が移動するだけなので位置合わせはラフで(それ程正確でなくても)よくなる。また、左右方向のずれについて見ると、シェアカット方式では多少のずれは影響がなく、本発明では刃が凸状型の端部に引っ掛かるが、ずれの範囲で刃が潰れる程度で済む。したがって、総合的に見ると、本発明のようなまな板方式の方がずれに強いということができる。
【0016】
図3は本発明に係るエンボス加工方法を行う別のタイプの打抜き機の要部を示す概略説明図、図4(a),(b),(c)はそれぞれ図3のA−A,B−B,C−C断面図である。なお、図4ではシートを入れた状態で図示している。
【0017】
図3及び図4に示すように、この打抜き機では、階段状をした凸状型2の高さに合わせて分割した複数の刃3a,3b,3cを組み合わた切断刃3を使用している。この形態では、切断刃3における刃先の形状を凸状型2に合わせるために複雑な加工をしなくてもよい。すなわち、段のせり上がり分だけ背を低くした刃をセットするだけで凹凸が合うことになる。また、エンボスのフォルムもテーパー状になだらかに立ち上がる形に比べて、階段状に立ち上がって行くため、形成されるエンボスは各段ごとにはっきりとした輪郭を有し、より強固な保形性を持った立体形状となる。
【0018】
抜き型に取り付ける凹状型1は、面板に取り付けた凸状型2の凸部輪郭をきちんと押さえていさえすればよい。すなわち、凸状型2の天面を全部覆う必要はないので、例えば図5に示すように、凹状型1は一般の抜き型で多く用いられる罫線刃1a,1bを凸状型2の凸部輪郭に沿うように曲げ加工したもので作ることができる。これにより、凹状型1は部材をくり抜いて作る必要がなくなる。このように、面板側の凸状型2の各段に対応するように凹状型1を分割することによって凹状型1を簡略化することができる。
【0019】
面板に取り付ける凸状型2は、金属や高強度の樹脂を加工して別途作製するが、例えば図6に示すように、台座部分21とその上に重なるエンボス部分22とからなる。このうち台座部分21は、エンボス部分22と切断刃3が当たるラインの付け根部分には付いておらず、この近傍はエンボス部分22のみが露出している。これにより、ブランク周縁を形成するための押切り刃は、エンボス用の凸状型2の取付部分ぎりぎりまで、台座部分21に干渉しないで接近させることができる。このように台座部分21を設けることで、凸状型2をより強固に面板に取り付けることができる。
【0020】
また、凹状型1と凸状型2との位置合わせには、図7に示すような接合部材4を使用すればよい。すなわち、図8に示すように、面板6側に取り付ける凸状型2は、抜き型5に取り付けた凹状型1に接合部材4を介して予め仮着しておくとともに、凸状型2の台座部分21の裏面に接着剤Fを付けておき、抜き型5と面板6を打抜き機に装着して両者を合わせる際に、抜き型5から離れて面板6側に移着させるようにするのである。これにより、複雑な位置合わせの調整を行うことなく、面板6側と抜き型5側の凹凸位置を正確に合わせることができる。なお、接合部材4の外縁に張り出した数本の筋状突起4aは、接合部材4を抜き型5に適度な強度で取り付けるためのリブである。
【0021】
上記した何れのタイプの打抜き機においても、抜き型に凹状型1を取り付け面板に凸状型2を付けるようにしたが、これとは逆に、面板に凹状型1を付け抜き型に凸状型2を付けるようにしてもよい。
【0022】
シートSとしては、板紙が代表的であり、この場合、エンボスが良好に入るためには凸状型2における各段の高さは0.3〜0.6mm程度とするのが望ましい。なお、シートSとしてプラスチックシート、その他の用紙が対象となることは言うまでもない。その場合、凸状型2における各段の高さはエンボスの入り具合を考慮して適宜決めればよいことである。
【0023】
凸状型2の台座部分21は、0.1〜0.3mm程度が適当であり、特に0.15〜0.25mm程度とするのがより望ましい。
【0024】
凸状型2は、図9に示すように、押切り刃が当たるラインLを除く内外両方に分けて面板に付けるようにしてもよい。また、カットラインLより外側は、台座部分21及びエンボス部分22ともに傾斜を付けるようにしてもよく、このようにすることで、加工時にシートが面板になだらかに沿うようになるので好ましい。
【0025】
凸状型2の素材としては、グラスファイバー入りエポキシ樹脂を始めとして、銅合金、ステンレス合金、鉄号金、クロム合金等を用いることができる。また、工具鋼(焼入れをした刃物用鋼材)を用いることもできる。いずれの素材を用いた場合でも、凸状型2の硬度の方が切断刃3の硬度よりも大きいことが好ましい。このようにすることで、凸状型2の耐久性がアップするとともに、凸状型2と切断刃3が僅かに上下方向にずれた場合でも凸状型2に傷が付かず、弾力性のある切断刃3の方が僅かに潰れる程度で済む。
【0026】
抜き型に取り付ける切断刃3は、必ずしも図6に示すような直線状でなくてもよい。例えば、図10及び図11に示すように、切断刃3を外側に膨らませると、ブランクシートの端縁に突出部が形成されるので、つまみ部に利用する際などに摘みやすくなる等の効果が期待できる。
【0027】
また、図10及び図11に示すように、面板側の凸状型2の各段に対応し、複数の刃3a,3b,3cに分割してなる抜き型側の切断刃3は、刃3bのように凸状型2に当たる部分から外して曲げながら延長させてもよい。このようにすれば個々の刃が短くて不安定となりがちな切断刃3をより強固に抜き型に固定することができる。
【0028】
上記したエンボス加工方法によれば、端縁にエンボスを有するブランクシートが形成される。したがって、紙箱を形成するブランクシートにおいて、この膨らんだエンボス部分を摘み部として利用することにより、重なった下側の板紙との間に隙間が形成されて指先が引っ掛かりやすくなり、開封しやすい紙箱を形成することができる。また、このような膨らんだエンボス部分に板紙の角部を引っ掛けて係止する構造を採ることもでき、エンボス部分を有効活用して紙箱の設計範囲を広げることが可能となる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明によるエンボス方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るエンボス加工方法を行う打抜き機の要部を示す概略説明図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係るエンボス加工方法を行う別のタイプの打抜き機の要部を示す概略説明図である。
【図4】(a),(b),(c)はそれぞれ図3のA−A,B−B,C−C断面図である。
【図5】抜き型に取り付ける凹状型の別の例を示す概略説明図である。
【図6】台座部分とその上に重なるエンボス部分としからなる凸状型を示すための説明ずである。
【図7】凹状型と凸状型の位置合わせに使用する接合部材を示す斜視図である。
【図8】凹状型と凸状型の位置合わせ方法を示す説明図である。
【図9】凸状型の変形例を示す斜視図である。
【図10】切断刃の変形例を凸状型とともに示す上面図である。
【図11】図10の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
S シート
1 凹状型
1a,1b 罫線刃
2 凸状型
2a 伸長部
21 台座部分
22 エンボス部分
3 切断刃
3a,3b,3c 刃
4 接合部材
5 抜き型
6 面板
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成19年2月17日(2007.2.17)
【代理人】 【識別番号】100096600
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 育郎


【公開番号】 特開2008−200915(P2008−200915A)
【公開日】 平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願番号】 特願2007−37241(P2007−37241)