トップ :: B 処理操作 運輸 :: B31 紙製品の製造;紙の加工

【発明の名称】 段ボール紙の反り及び接着不良防止方法
【発明者】 【氏名】石渕 浩

【氏名】川島 常洋

【要約】 【課題】ダブルフェーサで両面段ボール紙を製造する場合に、片面段ボール紙又は表ライナ紙(以下シートという)の加熱効率及び水分付与効率が高く、両面段ボール紙の反りとシートの接着不良を簡易な手段で同時に防止する自動化運転を可能とする。

【解決手段】外気条件と、運転条件と、ダブルフェーサ10入口での表裏ライナ紙m、nの加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ10出口での表裏ライナ紙m、nの温度及び水分含有量の相関データ27を取得しておき、ダブルフェーサ10入口でシートの両側で圧力差を形成し、該圧力差を利用して加熱蒸気又は加熱加湿空気をシートに透過させることにより、シートを加熱加湿し、該相関データ27を基に、ダブルフェーサ10入口での該加熱量及び加湿量を、ダブルフェーサ10の出口で両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの温度を70〜90℃に、水分含有量を5〜7重量%とするように調整する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の片面段ボール紙と表ライナ紙とを重ね合わせて熱盤上を走行させながら貼合して両面段ボール紙を製造するダブルフェーサにおける該両面段ボール紙の反り及び接着不良を防止する方法において、
外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙の加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量の相関データを取得しておき、
ダブルフェーサの入口で片面段ボール紙、又は表ライナ紙の両側で圧力差を形成し、該圧力差を利用して加熱蒸気又は加熱加湿空気を該片面段ボール紙及び表ライナ紙に透過させることにより、該片面段ボール紙及び表ライナ紙を加熱加湿し、
前記相関データを基に、該外気条件及び運転条件からダブルフェーサ入口での該加熱量及び加湿量を、ダブルフェーサの出口で前記両面段ボール紙の表裏ライナ紙の温度を70〜90℃、水分含有量を5〜7重量%とするように調整することにより、該両面段ボール紙の反り及び片面段ボール紙と表ライナ紙との接着不良を防止することを特徴とする段ボール紙の反り及び接着不良防止方法。
【請求項2】
前記加熱加湿工程で、片面段ボール紙及び表ライナ紙に、85〜90℃の温度でドレンを多く含んだ蒸気圧0.3〜0.5kgf/cmの低圧加熱蒸気を透過させることを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の反り及び接着不良防止方法。
【請求項3】
前記加熱加湿工程で、片面段ボール紙及び表ライナ紙、湿り蒸気を再加熱し、120〜130℃の温度でドレンを多く含んだ蒸気圧0.2〜0.4kgf/cmの低圧加熱蒸気を透過させることを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の反り及び接着不良防止方法。
【請求項4】
ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度を計測し、該計測値を加味して、前記運転条件から、ダブルフェーサ出口で表裏ライナ紙の温度及び水分含有量が前記範囲内となるようにダブルフェーサ入口で該片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱量及び加湿量を調整することを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の反り及び接着不良防止方法。
【請求項5】
ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量を計測し、該計測値を加味した前記運転条件から、ダブルフェーサ出口で表裏ライナ紙の温度及び水分含有量が前記範囲内となるようにダブルフェーサ入口で該片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱量及び加湿量を調整することを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の反り及び接着不良防止方法。
【請求項6】
前記加熱加湿工程の上流側でプレヒータロールによる予熱工程と、該予熱工程と該加熱加湿工程との間又はダブルフェーサの出口に設けられた加湿手段による水分付与とを併用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の段ボール紙の反り及び接着不良防止方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲータと称される段ボール紙製造装置において、帯状の片面段ボール紙と表ライナ紙とを重ね合わせて熱盤上を走行させながら貼合して両面段ボール紙を製造するダブルフェーサでの該両面段ボール紙の反り及び接着不良を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲータでの段ボール紙の反り防止技術やシート接着不良防止技術の現状は、生産管理装置に入力される生産状態情報(原紙構成、原紙坪量、紙幅、フルート等)と、運転状態情報(運転速度、各プレヒータへの紙シート巻き付け量、蒸気圧、ダブルフェーサの加圧力、蒸気圧、シングルフェーサ及びダブルフェーサでの各糊付け装置の糊付け量、湿潤化装置を備える場合はその湿潤量等)を基に、予め作成しているマトリックス条件表に記載された運転条件を選定して運転条件を調整し(これをマトリックス制御という)、コルゲータ上のシート反りやシート接着不良を防止している。
【0003】
シート反り防止技術については、前記のマトリックス制御に加え、ダブルフェーサ上流側のプレヒータ出口での片面段ボール紙と表ライナ紙のシート温度を計測し、又はダブルフェーサの熱盤出口直後の表ライナ紙のシート温度を計測し、PIDフィードバック制御とフィードフォワード制御(シート搬送速度、紙種、フルート等の条件から、シート温度を予測して目標値とし、プレヒータ巻き付け角、ダブルフェーサでの加圧力等を調整する制御)を行い、シート搬送方向とシート幅方向の上下反りを防止するシステムもある(特許文献1;特許第3492304号公報、及び特許文献2;特許第3492305号公報)。
【0004】
シート接着不良防止技術については、前記のマトリックス制御に加え、シングルフェーサ入口での裏ライナ紙と中芯紙のシート温度を計測し、又はダブルフェーサ上流側のプレヒータ出口での片面段ボール紙と表ライナ紙のシート温度を計測し、さらにはダブルフェーサの熱盤出口直後の表ライナ紙のシート温度を計測し、PIDフィードバック制御とフィードフォワード制御(シート搬送速度、紙種、フルート等の条件から、シート温度を予測して目標値とし、プレヒータ巻き付け角、ダブルフェーサでの加圧力等を調整する制御)を行い、シングルフェーサでの裏ライナ紙と中芯紙との接着不良や、ダブルフェーサでの片面段ボール紙と表ライナ紙との接着不良を防止するシステムもある(特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特許第3492304号公報
【特許文献2】特許第3492305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記マトリックス制御では、マトリックス条件表の運転条件が今までの経験と勘に基づいて作成されるため、運転条件の調整がラフで、正確な運転条件の調整は不可能である。よって、シート反りやシート接着不良の自動化運転は十分できず、オペレータの経験と勘で各種運転条件の調整を行なっている。さらにシート製造後の積載シートの継時反りを自動で防止する手段は今のところ存在していない。
【0007】
マトリックス制御とPIDフィードバック制御とフィードフォワード制御(予測制御)とを組み合わせた特許文献1及び2に開示されたシステムでは、マトリックス制御単体よりもシート反り防止効果やシート接着不良防止効果は大きいが、制御時間が長く、さらに高精度に反り防止やシート接着不良防止を行なう必要がある。また運転条件(シート搬送速度、目標値と実測値との差)により、三つの制御モードを使い分ける必要があり、制御が複雑である。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、ダブルフェーサで片面段ボール紙と表ライナ紙とから両面段ボール紙を製造する場合に、シートの加熱効率及び水分付与効率が高く、両面段ボール紙の反り(シート幅方向の上下反り、継時反りを含む)やシートの接着不良を簡易な手段で同時に防止する自動化運転を可能とし、かつ高品質な両面段ボール紙を生産可能な方法を実現することを目的とする。以下片面段ボール紙及び表ライナ紙を総称して「シート」という。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、本発明の段ボール紙の反り及び接着不良防止方法は、
帯状の片面段ボール紙と表ライナ紙とを重ね合わせて熱盤上を走行させながら貼合して段ボール紙を製造するダブルフェーサにおける該段ボール紙の反り及び接着不良を防止する方法において、
外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙の加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量の相関データを取得しておき、
ダブルフェーサの入口で片面段ボール紙、又は表ライナ紙の両側で圧力差を形成し、該圧力差を利用して加熱蒸気又は加熱加湿空気を該片面段ボール紙及び表ライナ紙に透過させることにより、該片面段ボール紙及び表ライナ紙を加熱加湿し、
前記相関データを基に、該外気条件及び運転条件からダブルフェーサ入口での該加熱量及び加湿量を、ダブルフェーサの出口で前記両面段ボール紙の表裏ライナ紙の温度を70〜90℃、水分含有量を5〜7重量%とするように調整することにより、該段ボール紙の反り及び片面段ボール紙と表ライナ紙との接着不良を防止するものである。
【0010】
本発明方法において、ダブルフェーサ入口での片面段ボール紙及び表ライナ紙を加熱加湿するが、その方法は、片面段ボール紙又はライナ紙の両側に圧力差を形成し、該圧力差を利用して該片面段ボール紙又は表ライナ紙を透過する加熱蒸気又は加熱加湿空気の流れを形成させるようにするものである。圧力差を形成する具体的な方法は、例えば片面段ボール紙又はライナ紙の片面側に大気圧以下の負圧形成ゾーンを形成する等である。これによって、片面段ボール紙又はライナ紙の反対側から片面段ボール紙又はライナ紙を透過して該負圧形成ゾーンに向う加熱蒸気又は加熱加湿空気の流れを形成させることにより、片面段ボール紙及びライナ紙を加熱加湿する。
【0011】
本発明方法によれば、片面段ボール紙及び表ライナ紙の表裏の差圧を利用して、片面段ボール紙及び表ライナ紙を透過する加熱蒸気又は加熱加湿空気の流れを形成するようにしているので、片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱加湿効率を向上させることができる。
また、片面段ボール紙及び表ライナ紙の表裏の差圧によって、加熱量及び加湿量を一義的に決めることができるため、該差圧を調整することにより、加熱量及び加湿量を精度良く制御できる。
【0012】
また本発明では、外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙の加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量の相関データを取得しておき、該相関データを基に、該外気条件及び運転条件からダブルフェーサ入口での片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱量及び加湿量を調整し、これによってダブルフェーサの出口で段ボール紙の表裏ライナ紙の温度を70〜90℃、水分含有量を5〜7重量%とする。
【0013】
製造後の両面段ボール紙をスタッカで積載されたスタックにおいて、外気と接する表層や周辺部は大気中の水分を吸収しやすいため、数時間で平衡水分(7〜10%)に達する。これに対して、スタックの内部は大気中の水分を吸収しにくく、平衡水分に到達するまでに数十時間を要する。
【0014】
このように、平衡水分に到達するまでの時間が異なり、場所によって水分差が生じるため、伸縮率の違いにより、スタッカに積載後の段ボール紙にS字状の経時反りが発生し、品質低下の原因になっていた。また、ダブルフェーサでの段ボール紙製造時における表裏ライナ紙の水分量の違いによっても、製造直後に表ライナ紙を下側にして紙幅方向両端が上側に反るいわゆる上反りや、中心部が上側に反る下反りが発生する。即ち貼合時表ライナ紙のほうが水分量が少ない場合、段ボール紙の製造後に表ライナ紙が水分を吸って伸びるため、上反りが発生する。
【0015】
本発明において、ダブルフェーサの出口で両面段ボール紙の表裏ライナ紙の温度を70〜90℃、水分含有量を5〜7重量%とすることにより、両面段ボール紙の表裏ライナ紙の水分差をなくし、これによって製造直後の上反りや下反りを防止し、且つ平衡水分量に近い水分量にすることができるので、両面段ボール紙の製造後のスタッカで積載後の平衡水分に達する時間の不均一に起因する継時反りを防止できる。
【0016】
また、シングルフェーサやダブルフェーサで中芯紙cの段頂部に生澱粉液が塗布され、該段頂部に裏ライナ紙m又は表ライナ紙nが接着されるが、この接着力を発揮させるためには、接着部に対する「加圧力」の付与と一定以上の「加熱時間」が必要になる。この接着の過程を図8により説明する。図8において、中芯紙cの段頂部に生澱粉液pが塗布され、該段頂部にライナ紙m又はnが押圧されると、まず初期段階として、矢印aに示すように生澱粉液pに含まれる水分のライナ紙m又はnへの浸透が始まり、水分の浸透により紙面間に残った生澱粉液pの濃度が上がり、水分に続いて澱粉粒子の浸透が行なわれる。
【0017】
次にシングルフェーサにおける上下段ロールによる加熱、又はダブルフェーサにおける熱盤群による加熱により、生澱粉液pが加熱されてゲル化(糊化)し、接着性能が高まる。これによって中芯紙cの山頂部にライナ紙m又はnが接着される。このように接着過程初期段階での接着側シートへの水分及び澱粉粒子の浸透が促進されることにより、ゲル化による接着性能が良好となる。
【0018】
すなわち、生澱粉液pへの加熱量が不足すると、生澱粉液のゲル化が十分でなくなり、貼合不良が発生するという問題がある。上記生澱粉液pの加熱不足は、特に紙シートが高速走行したり、厚紙のときに加熱不足が起こりやすい。
本発明においては、ダブルフェーサ出口での両面段ボール紙の表裏ライナ紙の温度を70〜90℃にしているので、片面段ボール紙と表ライナ紙との接着性能を良好にすることができる。
このように本発明によれば、該両面段ボール紙の反り及び片面段ボール紙と表ライナ紙との接着不良を同時に防止する自動化運転を可能とする。
【0019】
本発明において、ダブルフェーサ入口での前記加熱加湿工程で、片面段ボール紙及び表ライナ紙に、85〜90℃の温度でドレンを多く含んだ蒸気圧0.3〜0.5kgf/cmの低圧加熱蒸気を透過させるようにすれば、ドレンを多く含んでいるので、通常蒸気、加湿蒸気等を使用した場合に比べ、片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱効果及び加湿効果が向上する。
【0020】
またダブルフェーサ入口での加熱加湿工程で、片面段ボール紙及び表ライナ紙に湿り蒸気を再加熱し、120〜130℃の温度でドレンを多く含んだ蒸気圧0.2〜0.4kgf/cmの低圧加熱蒸気を透過させるようにすれば、通常の蒸気(加湿蒸気)を使用しているため、安価であり、装置構成もシンプルとなり、かつ加湿蒸気を減圧して使用しているため、使用量も少なくなり、ランニングコストが低減される。
【0021】
また本発明において、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度を計測し、該計測値を加味して、前記運転条件から、ダブルフェーサ出口で表裏ライナ紙の温度及び水分含有量が前記範囲内となるようにダブルフェーサ入口で該片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱量及び加湿量を調整するようにすれば、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度を計測した結果に基づいてダブルフェーサ入口での片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱量及び加湿量を調整するため、ダブルフェーサ出口の表裏ライナ紙の温度を精度良く制御できる。
【0022】
また本発明において、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量を計測し、該計測値を加味した前記運転条件から、ダブルフェーサ出口で表裏ライナ紙の温度及び水分含有量が前記範囲内となるようにダブルフェーサ入口で該片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱量及び加湿量を調整するようにすれば、ダブルフェーサ出口の表裏ライナ紙の温度及び水分含有量を精度良く制御できる。
【0023】
また本発明において、前記加熱加湿工程と併用して、該加熱加湿工程の上流側でプレヒータロールによる予熱工程と、該予熱工程と該加熱加湿工程との間又はダブルフェーサの出口に設けられた加湿手段による水分付与とを行なうようにすれば、ダブルフェーサ出口側口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量をさらに精度良く制御することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明方法によれば、外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙の加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量の相関データを取得しておき、この相関データを基にダブルフェーサ出口での段ボール紙の表裏ライナ紙の温度及び水分含有量を制御しているので、制御精度が高い。
【0025】
また、ダブルフェーサの入口で片面段ボール紙又は表ライナ紙の両側で圧力差を形成し、該圧力差を利用して加熱蒸気又は加熱加湿空気を該片面段ボール紙及び表ライナ紙に透過させることにより、該片面段ボール紙及び表ライナ紙を加熱加湿しているので、片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱効率及び水分付与効率が高い。
また、片面段ボール紙及び表ライナ紙の加熱及び加湿を一つの工程で同時に行うことができるので、加熱装置及び加湿装置を別々に設置した場合に比べて、装置構成がシンプルとなり、ランニングコストを低減することができる。
【0026】
またダブルフェーサの出口で段ボール紙の表裏ライナ紙の温度を70〜90℃に、水分含有量を5〜7重量%とするため、シートの反り(シート幅方向の上下反り及び継時反り)及び接着不良を同時に防止可能であり、従って高品質の段ボール紙を製造可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
図1は本発明の第1実施形態に係るダブルフェーサの縦断立面図、図2は第1実施形態の蒸気吹付け装置及び吸引装置の断面図、図3は吸引装置のサクション圧とダブルフェーサ出口での裏ライナ紙の温度及び水分含有量との関係を示す線図である。
(実施形態1)
【0028】
図1において、片面段ボール紙kは、プレヒータ11で予熱され、糊付装置12で段頂部に生澱粉液が塗布された後、ダブルフェーサ10に送られる。一方、表ライナ紙nは、プレヒータ13で予熱された後、ダブルフェーサ10に送られる。
ダブルフェーサ10は、片面段ボール紙k及び表ライナ紙nの走行面を形成する熱盤群14を備え、ダブルフェーサ10の入口で片面段ボール紙kと表ライナ紙nとが重ね合わされて該熱盤群14上を走行する。片面段ボール紙kは、ダブルフェーサ10の前工程でシングルフェーサにより裏ライナ紙mと波形に形成された中芯紙cとが貼合されたものである。
【0029】
熱盤群14は、適宜の手段で加熱用蒸気が供給される蒸気室を有し、熱盤14の上面は片面段ボール紙k及び表ライナ紙nの走行面を形成し、片面段ボール紙k及び表ライナ紙nは熱盤上面から受熱して加熱される。
該熱盤群14の上方及び該熱盤群14の下流側には、片面段ボール紙kと表ライナ紙nとが貼合された両面段ボール紙dを挟持して矢印b方向に搬送する上コンベアベルト16と下コンベアベルト17とが配設されている。
【0030】
また、該熱盤群14の上部には、エア加圧装置又はウェイトロール等によって上コンベアベルト16の背面を加圧することによって片面段ボール紙k及び表ライナ紙nを上方から加圧する加圧装置15が設けられている。
また、下コンベアベルト17を背面から支持する下ロール群18と、加圧装置15の下流側で上コンベアベルト16の背面に配置された上ウェイトロール群19とが設けられている。
【0031】
ダブルフェーサ10の熱盤群14と加圧装置15との間に導入された片面段ボール紙kと表ライナ紙nとは、片面段ボール紙kの中芯紙cの段頂部に塗布された生澱粉液を介して重ね合された状態に置かれ、上コンベアベルト16と下コンベアベルト17とで挟持されて搬送される。そして熱盤群14に接触しながら走行しつつ受熱して昇温される表ライナ紙nからの熱によって生澱粉液が糊化され、その接着力で接着され、両面段ボール紙dが製造される。その後、下コンベアベルト17のベルト面で形成される搬送面を走行して自然冷却される。片面段ボール紙k及び表ライナ紙nは、例えば300m/分もの高速で走行するため、ダブルフェーサの走行面を数秒で通過する。
【0032】
ダブルフェーサ入口には、片面段ボール紙kと表ライナ紙nがプレヒータ11及び13で予熱された後で互いに重ね合わせられる前の位置で、蒸気吹付け装置21と吸引装置22とが片面段ボール紙k又は表ライナ紙nを挟んで互いに対峙するように設けられている。
蒸気吹付け装置21及び吸引装置22の構成を図2により説明する。図2は表ライナ紙nを挟んで互いに対峙して配置された蒸気吹付け装置21及び吸引装置22の断面図である。
【0033】
図2において、プレヒータ13の下流側のダブルフェーサ入口に、蒸気吹付け装置21が表ライナ紙nの下方に、吸引装置22が表ライナ紙nの上方に互いに対峙して設けられている。蒸気吹付け装置21又は吸引装置22と表ライナ紙nとの間には微小間隔がもうけられている。蒸気吹付け装置21は内部に加湿空間210を有し、該加湿空間210に加熱蒸気を供給する複数の蒸気ノズル211が設けられている。また、表ライナ紙nに対面する面には複数の開口212が設けられている。
【0034】
吸引装置22は、内部に負圧形成空間220を有し、該負圧形成空間220はバルブ221を介してブロア等の負圧形成手段に接続されている。また表ライナ紙nに対面した面には多数の吸引口222が設けられている。
かかる構成において、ダブルフェーサ10の運転時には、蒸気ノズル211から、85〜90℃の温度でドレンを多く含み、蒸気圧が0.3〜0.5kgf/cmの低圧蒸気が供給される。蒸気の供給源は、熱盤14やプレヒータ11又は13に供給する蒸気の一部を利用し、それを所定の温度及び蒸気圧とし、水分を加えて供給すればよい。
【0035】
また、吸引装置22では図示しない吸引駆動手段を駆動させて負圧形成空間220内の空気を吸引して負圧を形成する。これによって加湿装置21内の蒸気が表ライナ紙nを透過して負圧形成空間220に吸引されるので、表ライナ紙nに蒸気の凝縮水を付着させるとともに、蒸気で加熱することができる。なおプレヒータ11の下流側でダブルフェーサ入口に片面段ボール紙kを挟んで対峙して設けられる蒸気吹付け装置21及び吸引装置22も図2と同一の構成をなす。
【0036】
図1において、吸引装置22のサクション圧を調整するためのコントローラ23が設けられており、該コントローラ23にはダブルフェーサ出口の表裏ライナ紙m及びnの温度及び水分含有量の目標設定値24が入力される。
また外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙の加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量の相関データ27を予め取得し、コントローラ23に入力しておく。該相関データ27を基に、該外気条件と該運転条件から、ダブルフェーサ出口で両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの温度を70〜90℃に、水分含有量を5〜7重量%とするように、ダブルフェーサ入口での片面段ボール紙k及び表ライナ紙nの加熱量及び加湿量を調整する。
【0037】
蒸気吹付け装置21及び吸引装置22による片面段ボール紙k及び表ライナ紙nの加熱量及び加湿量の調整は、吸引装置22のサクション圧を調整することによって行なう。
図3は吸引装置22のサクション圧とダブルフェーサ出口での裏ライナ紙mの温度及び水分含有量との関係を示す実験データである。この実験は、加熱量及び加湿量を一定とし、サクション圧(ゲージ圧に対する負圧)を変更して行い、蒸気流量が8kg/hr、蒸気温度が120〜130℃、蒸気圧が200kPa程度の高温・高圧蒸気を用い、また裏ライナ紙mの坪量が180g/m、シート搬送速度が200mpmの条件下で行った。
【0038】
図3の紙温度曲線及び紙水分曲線から、ダブルフェーサ出口での裏ライナ紙mの温度及び水分含有量は、吸引装置22のサクション圧で一義的に決定されることがわかる。
【0039】
第1実施形態によれば、外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙m、nの加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙m、nの温度及び水分含有量の相関データを取得しておき、この相関データを基にダブルフェーサ出口での両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの温度及び水分含有量を制御しているので、制御精度が高い。
【0040】
また、負圧形成空間220のサクション圧に比例して片面段ボール紙k及び表ライナ紙nを透過する蒸気量を増加できるので、これらのシートに十分な加熱量と水分量を付与できる。また蒸気吹付け装置21をシートの下方に設置した場合でも重力に抗して十分な加熱量と水分量を付与できる。
また、差圧による蒸気の流れを利用しているので、高速で走行するシート表面の近傍に発生する空気流の影響を受けない。また、負圧形成空間220の負圧量でシートに付与する加熱量及び水分量を一義的に決定できるので、シートの加熱量及び加湿量を精度良く制御することができる。
【0041】
また、加熱蒸気を紙シートk、nに透過させるので、熱盤14による加熱を補助する加熱効果があり、加熱効率が向上するとともに、場合によっては片面段ボール紙k又は表ライナ紙nのプレヒータをなくすことも可能である。
また本実施形態によれば、前記手段によりダブルフェーサ出口での両面段ボール紙の表裏ライナ紙m、nの温度を70〜90℃に正確に制御できるので、片面段ボール紙kと表ライナ紙nとの接着不良を防止でき、水分含有量を5〜7重量%に正確に制御できるので、ダブルフェーサ出口側での上下反り、及びスタッカ積載後の経時反りを防止することができる。
【0042】
また本実施形態では、85〜90℃の温度でドレンを多く含み、蒸気圧が0.3〜0.5kgf/cmの低圧蒸気を供給しているので、通常の蒸気や加湿蒸気等を使用した場合に比べて、シートの加熱効果及び水分付与効果が高い。
【0043】
なお、図2に示す蒸気吹付け装置21に代えて、図4に示す構成の蒸気吹付け装置25を使用してもよい。蒸気吹付け装置25は温水加熱方式の蒸気吹付け装置である。図4において、蒸気吹付け装置25は、内部に水を貯留する加湿空間250を有するとともに、水を加熱する電気温熱器252を備えている。該電気温熱器252により水を加熱して蒸気をつくり、加湿空間250を蒸気雰囲気とする。なお吸引装置22は、図2の吸引装置と同一構成をなす。
【0044】
ダブルフェーサの運転時に吸引装置22で負圧形成空間220を負圧にし、加湿空間250の蒸気雰囲気を複数の開口252から吸引口222を通して負圧形成空間220に吸引することにより、蒸気を片面段ボール紙k又は表ライナ紙nに透過させ、これによってこれらシートに蒸気の凝縮水を付与するようにする。この変形例によれば、蒸気を他の供給源に拠らず、蒸気吹付け装置25で製造できる利点がある。
(実施形態2)
【0045】
次に本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、加熱蒸気として、湿り蒸気を再加熱し、120〜130℃の温度でドレンを多く含んだ低圧蒸気(蒸気圧0.2〜0.4kgf/cm)を用いている。本実施形態で使用する蒸気吹付け装置26を図5により説明する。図5において、湿り蒸気sが蒸気管260から供給され、減圧弁261を介して減圧され、ケーシング262の内部に供給される。ケーシング262の内部では、加熱装置263によって湿り蒸気sが再加熱され、再加熱された蒸気は蒸気噴出孔264から図示しないシート側に噴出される。なお加熱装置263は、例えば図4の電気温熱器251等が適用できる。本実施形態のその他の構成は前記第1実施形態と同一である。
【0046】
この噴出蒸気は、120〜130℃の温度でドレンを多く含んだ低圧蒸気(蒸気圧0.2〜0.4kgf/cm)である。なお蒸気管260内では、蒸気温度T1=85〜90℃、蒸気圧P1=1.1〜1.2kgf/cmであり、ケーシング262内では、蒸気温度T2=85〜90℃、蒸気圧P2=0.2〜0.4kgf/cmであり、ケーシング262から噴出した後では、蒸気温度T3=120〜130℃、蒸気圧P3=0.2〜0.4kgf/cmである。また図5において、片面段ボール紙k又は表ライナ紙n及びこれらシートを挟んで蒸気吹付け装置26と対峙して配置される吸引装置22は省略されている。
【0047】
本実施形態では、通常の加湿蒸気を使用しているため、安価であり、蒸気吹付け装置26の構成も簡易にすることができる。また通常の加湿蒸気を使用し、かつそれを減圧して使用しているので、使用量が少なく、ランニングコストを低減できる。
(実施形態3)
【0048】
次に本発明の第3実施形態を図6により説明する。図6において、本実施形態は、ダブルフェーサ出口に両面段ボール紙dの搬送面を挟んで、両側に温度センサ31を配置し、両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの温度を計測するようにしている。またダブルフェーサ出口の表裏ライナ紙m、nの水分含有量の目標設定値32がコントローラ23に入力される。ダブルフェーサ出口の表裏ライナ紙m、nの温度の目標設定値33は、比較演算器34で温度センサ31で計測された計測値と比較演算され、その差分がコントローラ23に入力される。
【0049】
コントローラ23では、外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙の加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙m、nの温度及び水分含有量の相関データ27を予め取得し、コントローラ23に入力されている。そして水分含有量の前記目標設定値32と、比較演算器34で演算された温度差分と、相関データ27を基に、該外気条件と該運転条件から、ダブルフェーサ出口で両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの温度を70〜90℃に、水分含有量を5〜7重量%とするように、ダブルフェーサ入口での片面段ボール紙k及び表ライナ紙nの加熱量及び加湿量を調整する。
【0050】
これによって、両面段ボール紙dの製造直後の上下反りや継時反りを防止するとともに、片面段ボール紙kと表ライナ紙nとの接着不良を防止する。
本実施形態によれば、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙m、nの温度を計測し、その計測値が目標温度になるようにフィードバック制御しているので、表裏ライナ紙m、nの温度の調整精度が高い。
(実施形態4)
【0051】
次に本発明の第4実施例を図7により説明する。図7において、本実施形態は、ダブルフェーサ出口で温度センサ31だけでなく、シート搬送面の両側に水分センサ41を設け、両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの水分含有量を計測する。比較演算器34で温度センサ31の計測値と目標温度との差分を演算し、該差分をコントローラ23に入力する。また、比較演算器42で水分センサ41の計測値と水分含有量の目標値との差分を演算し、該差分をコントローラ23に入力する。
【0052】
また、外気の温度及び湿度からなる外気条件と、シート搬送速度及び紙種からなる運転条件と、ダブルフェーサ入口での表裏ライナ紙の加熱量及び加湿量と、ダブルフェーサ出口での表裏ライナ紙の温度及び水分含有量の相関データ27を予め取得し、コントローラ23に該相関データが入力されている。
そしてコントローラ23で、該温度及び水分含有量の差分と該相関データを基に、該外気条件と該運転条件から、ダブルフェーサ出口で両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの温度を70〜90℃に、水分含有量を5〜7重量%とするように、ダブルフェーサ入口での片面段ボール紙k及び表ライナ紙nの加熱量及び加湿量を調整する。
【0053】
本実施形態によれば、ダブルフェーサ出口での両面段ボール紙dの表裏ライナ紙m、nの温度及び水分含有量を計測し、それらの計測値と目標値との差分を演算し、該差分をコントローラ23に入力し、該計測値が目標値になるようにフィードバック制御するようにしているため、該表裏ライナ紙m、nの温度及び水分含有量の調整精度を高くすることができる。
【0054】
なお、本発明において、プレヒータによる片面段ボール紙k又は表ライナ紙nの温度制御、あるいは加湿装置を追設して該加湿装置による水分含有量の調整を併用してもよい。該加湿室装置は、前記蒸気吹付け装置21及び吸引装置22の直上流側又はダブルフェーサ出口に設置するのがよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、両面段ボール紙を製造するダブルフェーサにおいて、シートの加熱効率及び水分付与効率が高く、製造した両面段ボールの反り(シート幅方向の上下反り及び継時反り)及び接着不良をシンプルな構成により防止可能で、高品質の両面段ボール紙を製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係るダブルフェーサの縦断立面図である。
【図2】前記第1実施形態の蒸気吹付け装置及び吸引装置の断面図である。
【図3】前記第1実施形態の吸引装置のサクション圧とダブルフェーサ出口での裏ライナ紙の温度及び水分含有量との関係を示す線図である。
【図4】蒸気吹付け装置の変形例を示す断面図である。
【図5】蒸気吹付け装置の別な変形例を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るダブルフェーサの縦断立面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るダブルフェーサの縦断立面図である。
【図8】中芯紙とライナ紙との接着部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
10 ダブルフェーサ
11,13 プレヒータ
14 熱盤群
21、25、26 蒸気吹付け装置
22 吸引装置
23 コントローラ
27 相関データ
31 温度センサ
41 水分センサ
34、42 比較演算器
c 中芯紙
k 片面段ボール紙
m 裏ライナ紙
n 表ライナ紙
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成18年11月2日(2006.11.2)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久

【識別番号】100137257
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 廣


【公開番号】 特開2008−114468(P2008−114468A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−299640(P2006−299640)