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【発明の名称】 段ボールシート製造装置の制御システム
【発明者】 【氏名】石渕 浩

【氏名】川島 常洋

【要約】 【課題】製造された段ボールシートの反り、接着不良を高精度に抑制すること。

【解決手段】段ボールシート製造装置の制御システム100は、FF/FB制御装置101と、PIDコントローラ102と、知識データベース103とを含んでいる。FF/FB制御装置101は、知識データベース103によって動特性と静特性との補償分の判別を行い、FF制御とFB制御とを切り替える。PIDコントローラ102は、2自由度のPIDアルゴリズムに基づいており、知識データベース103からの情報に基づいてフィードバックゲインが調整される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィードフォワード制御及びフィードバック制御が実行可能であり、段ボールシートを製造する際には、フィードフォワード制御又はフィードバック制御のうち少なくとも一方を実行することにより、段ボールシート製造装置内における製造過程のシートの温度又は水分量のうち少なくとも一方が、予め設定した目標値になるように制御するフィードフォワード/フィードバック制御装置と、
製造された前記段ボールシートの評価情報と、前記段ボールシートの製造時における前記製造過程のシートの温度又は水分量に関する情報と、前記段ボールシートの製造時における前記段ボールシートの製造に関する情報とを関連付けて提供する制御情報提供手段と、
前記知識データベースに格納されている情報に基づいて、前記フィードフォワード制御及び前記フィードバック制御の制御パラメータを変更する制御切替手段と、
を備えることを特徴とする段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項2】
前記フィードフォワード/フィードバック制御装置は、分離型フィードフォワード/フィードバック制御と、ゲインスケジューリング型フィードフォワード/フィードバック制御と、選択組み合わせ型フィードフォワード/フィードバック制御とを実行できることを特徴とする請求項1に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項3】
前記フィードバック制御においては、2自由度のPIDアルゴリズムを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項4】
前記フィードバック制御においては、前記制御情報提供手段から提供される情報に基づいてフィードバックゲインを調整し、フィードバック信号として用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項5】
前記制御情報提供手段は、製造された前記段ボールシートの評価情報と、前記段ボールシートの製造時における前記製造過程のシートの温度又は水分量に関する情報と、前記段ボールシートの製造時における前記段ボールシートの製造に関する情報とが関連付けて格納される知識データベースであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項6】
前記制御情報提供手段は、フィールドバス及びニューラルネットワークであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項7】
前記段ボールシート製造装置の運転条件と、前記段ボールシートの製造条件と、環境条件とに応じて、
前記フィードフォワード/フィードバック制御装置による前記ダンボールシート製造装置の運転と、前記段ボールシート製造装置の運転条件及び前記段ボールシートの製造条件に対応する前記段ボールシート製造装置の運転パターンが記述された制御マトリックスを用いた前記ダンボールシート製造装置の運転とを切り替える判定手段を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項8】
製造された前記段ボールシートの状態を撮像する撮像手段を少なくとも備え、撮像した前記段ボールシートの状態に基づいて、製造された前記段ボールシートの評価情報を作成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【請求項9】
前記段ボールシート製造装置の運転中における前記製造過程のシートの状態を表示する画像表示手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の段ボールシート製造装置の制御システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
フィードバック制御は、制御対象の温度や圧力等を目標値に制御する際に用いられる制御方法である。フィードバック制御においては、P(Proportional:比例)、I(Integral:積分)、D(Differential:微分)の3成分を調整して制御特性を高める、いわゆるPID制御が用いられることが多い。特許文献1には、制御対象に応じてより高い制御特性を得るため、PID制御則とモデル予測制御則とに基づいて導かれる算出式にしたがってPID制御パラメータを求める制御装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−195905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、段ボールシートを製造する場合、貼り合わせ過程における原紙や片面段ボールシート等の温度、あるいは水分量が、製造された段ボールシートの品質に影響を与える。段ボールシートを製造する場合、製造管理装置に入力される製造状態情報(原紙構成、原紙坪量、紙幅等)と、段ボールシート製造装置の運転情報(運転速度、プレヒータに対するシートの巻き付け量等)とを基に、予め作成しているマトリックス条件表に記載された運転条件を選定して、運転条件を調整し、段ボールシートの接着不良や反り等を抑制している。これをマトリックス制御という。
【0005】
マトリックス制御では、マトリックス条件表の運転条件がオペレータの経験と勘とに基づいて作成されているので、運転条件の設定が粗く、正確な運転条件の調整は困難である。段ボールシート製造装置の制御において、貼り合わせ過程における原紙や片面段ボールシート等の温度、あるいは水分量を目標値に維持するため、特許文献1のPIDフィードバック制御を適用すると、マトリックス制御を単独で用いた場合より段ボールシートの反りや接着不良を抑制する効果は大きい。しかし、段ボールシートの製造においては製造速度が高く、制御時間はできる限り短いことが望まれる。特許文献1の技術のみでは制御時間が長くなるため、段ボールシートの品質を精度よく制御するためには限界がある。
【0006】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、段ボールシートを製造するにあたり、段ボールシートの品質を精度よく制御できる段ボールシート製造装置の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、フィードフォワード制御及びフィードバック制御が実行可能であり、段ボールシートを製造する際には、フィードフォワード制御又はフィードバック制御のうち少なくとも一方を実行することにより、段ボールシート製造装置内における製造過程のシートの温度又は水分量のうち少なくとも一方が、予め設定した目標値になるように制御するフィードフォワード/フィードバック制御装置と、製造された前記段ボールシートの評価情報と、前記段ボールシートの製造時における前記製造過程のシートの温度又は水分量に関する情報と、前記段ボールシートの製造時における前記段ボールシートの製造に関する情報とを関連付けて提供する制御情報提供手段と、前記知識データベースに格納されている情報に基づいて、前記フィードフォワード制御及び前記フィードバック制御の制御パラメータを変更する制御切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、フィードフォワード制御又はフィードバック制御のうち少なくとも一方を実行することにより、段ボールシート製造装置内における製造過程のシートの温度又は水分量のうち少なくとも一方が、予め設定した目標値になるように制御する。このとき、製造された前記段ボールシートの評価情報と、前記段ボールシートの製造時におけるシートの温度又は水分量に関する情報と、段ボールシートの製造時における前記段ボールシートの製造に関する情報とを関連付けて提供された情報に基づきフィードフォワード制御及びフィードバック制御の制御パラメータが変更される。
【0009】
このように、フィードフォワード制御又はフィードバック制御のうち少なくとも一方を実行することにより、制御性が向上するので、段ボールシートの品質を精度よく制御することができる。ここで、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の制御パラメータには、ゲインやPID制御の係数等が含まれる。また、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の制御パラメータを変更することには、ゲインやPID制御の係数を変更することの他、フィードフォワード制御又はフィードバック制御の介入割合を変更することも含まれる。
【0010】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、前記フィードフォワード/フィードバック制御装置は、分離型フィードフォワード/フィードバック制御と、ゲインスケジューリング型フィードフォワード/フィードバック制御と、選択組み合わせ型フィードフォワード/フィードバック制御とを実行できることを特徴とする。
【0011】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、分離型フィードフォワード/フィードバック制御と、ゲインスケジューリング型フィードフォワード/フィードバック制御と、選択組み合わせ型フィードフォワード/フィードバック制御とを組み合わせて用いる。これにより、シート温度やシート流量による影響低減、負荷変動に対して強い制御系が得られる等の利点が得られる。その結果、さらに段ボールシートの品質を精度よく制御することができる。
【0012】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、前記フィードバック制御においては、2自由度のPIDアルゴリズムを用いることを特徴とする。
【0013】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、フィードバック制御においては、2自由度のPIDアルゴリズムを用いる。これによって、追従性と安定性とのバランスに優れた制御系が得られるので、さらに段ボールシートの品質を精度よく制御することができる。
【0014】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、前記フィードバック制御においては、前記制御情報提供手段から提供される情報に基づいてフィードバックゲインを調整し、フィードバック信号として用いることを特徴とする。
【0015】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、制御情報提供手段から提供される情報に基づいてフィードバックゲインを調整するので、高精度にフィードバックゲインを調整できる。その結果、段ボールシートの品質を精度よく制御することができる。
【0016】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、前記制御情報提供手段は、製造された前記段ボールシートの評価情報と、前記段ボールシートの製造時における前記製造過程のシートの温度又は水分量に関する情報と、前記段ボールシートの製造時における前記段ボールシートの製造に関する情報とが関連付けて格納される知識データベースであることを特徴とする。
【0017】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、オペレータのノウハウ、知識を格納した知識データベースを用いるので、簡単な線形モデルによる高精度な制御が可能になる。その結果、段ボールシートの品質を精度よく制御することができる。
【0018】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、前記制御情報提供手段は、フィールドバス及びニューラルネットワークであることを特徴とする。
【0019】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、制御情報提供手段にフィールドバス及びニューラルネットワークを用いるので、大量のデータベースを作成し、保持する必要はない。これにより、記憶手段がコンパクトにできる。
【0020】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、前記段ボールシート製造装置の運転条件と、前記段ボールシートの製造条件と、環境条件とに応じて、前記フィードフォワード/フィードバック制御装置による前記ダンボールシート製造装置の運転と、前記段ボールシート製造装置の運転条件及び前記段ボールシートの製造条件に対応する前記段ボールシート製造装置の運転パターンが記述された制御マトリックスを用いた前記ダンボールシート製造装置の運転とを切り替える判定手段を備えることを特徴とする。
【0021】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、フィードフォワード/フィードバック制御と、いわゆるマトリックス制御とを切り替える。これによって、製造条件、環境条件等に応じて適切な制御を選択し、実行できる。その結果、段ボールシートの品質を精度よく制御することができる。
【0022】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、製造された前記段ボールシートの状態を撮像する撮像手段を少なくとも備え、撮像した前記段ボールシートの状態に基づいて、製造された前記段ボールシートの評価情報を作成することを特徴とする。
【0023】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、撮像した前記段ボールシートの状態に基づいて、製造された前記段ボールシートの評価情報を作成するので、知識ネットワーク等の制御情報提供手段に対する情報の蓄積を自動化することができる。その結果、製造、評価情報の蓄積、製造というサイクルを自動化するとともに、段ボールシート製造装置に対する制御を、熟練したオペレータの技能に近づけることができる。また、検品作業を省くことも可能になるので、ランニングコストを低減できる。
【0024】
次の本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムにおいて、前記段ボールシート製造装置の運転中における前記シートの状態を表示する画像表示手段を備えることを特徴とする。
【0025】
この段ボールシート製造装置の制御システムは、前記段ボールシート製造装置の制御システムの構成を備えるので、段ボールシート製造装置の制御システムと同様の作用、効果を奏する。さらに、この段ボールシート製造装置の制御システムは、運転中におけるシートの状態を表示する画像表示手段を備える。これによって、運転中のシート状態を逐次モニタできるので、不具合を迅速に発見して迅速に対応することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、段ボールシートの品質を精度よく制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。なお、以下において、表ライナ、裏ライナ等における表、裏は、便宜上の表現であって、表は裏の反対面にあり、裏は表の反対面にあることを意味する相対的なものである。また、以下において、原紙、表ライナ、裏ライナ、片面段ボールシート(一方のライナと中芯とを貼り合わせたもの)等のように、段ボールシートの製造途中にあるものを、必要に応じてシートと称する。
【0028】
(実施形態1)
実施形態1は、段ボールシートの温度又は水分の少なくとも一方を制御する際に、段ボールシート製造装置の制御情報を提供する制御情報提供手段を用いて、フィードフォワード(FF)制御とフィードバック(FB)制御とを切り替える点に特徴がある。制御情報提供手段は、製造された段ボールシートの評価情報と、段ボールシートの製造時におけるシート(原紙や片面段ボールシート)の温度又は水分量に関する情報と、段ボールシートの製造時における段ボールシートの製造に関する情報とを関連付けて提供するものである。例えば、知識データベースや、フィールドバス、ニューラルネットワークが制御情報提供手段に該当する。
【0029】
図1は、実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御装置によって制御される段ボールシート製造装置の構成を示す全体図である。段ボールシート製造装置1は、裏ライナ用ミルロールスタンド2と、裏ライナ用プレヒータ3と、シングルフェーサ4と、中芯用プレヒータ5と、中芯用ミルロールスタンド6と、表ライナ用ミルロールスタンド7と、グルーマシン前プレヒータ群8と、シャワー装置9と、グルーマシン10と、加圧装置11及び加熱板12を備えるダブルフェーサ13と、ロータリーシャー14と、カットオフ15と、両面段ボールシート格納手段16とを含んで構成される。
【0030】
シングルフェーサ4で中芯I1と裏ライナRA1とが貼り合わされて片面段ボールシートが形成され、グルーマシン10で片面段ボールシートと中芯I1とが貼り合わされる。その後、ダブルフェーサ13で片面段ボールシートと中芯I1とが加圧・加熱されて、両面段ボールシートDS_Sが完成する。このように、図1の左側から右側に向かって進む間に、両面段ボールシートDD_Sが完成する。
【0031】
段ボールシート製造装置1は、本実施形態に係る段ボールシート製造装置の制御システム100によって運転が制御される。段ボールシート製造装置の制御システム100は、知識データベースと、制御部とを含む。本実施形態に係る段ボールシート製造装置1は、完成した両面段ボールシートDD_Sの反りの状態を検出するため、両面段ボールシート格納手段16の位置に撮像手段であるカメラ17が配置される。カメラ17で撮影した両面段ボールシートDD_Sの状態は、画像処理/評価装置18によって解析されて、段ボールシート製造装置の制御システム100に取り込まれる。
【0032】
段ボールシート製造装置の制御システム100の制御部には、画像表示手段19が接続されており、カメラ17によって撮影した両面段ボールシートDD_Sの状態が画像表示手段19に表示される。また、カメラ17で撮影した両面段ボールシートDD_Sの状態は、知識データベース103に蓄積され、段ボールシート製造装置の制御システム100による段ボールシート製造装置1の制御に用いられる。なお、図1においては、完成した両面段ボールシートDD_Sの反りの状態を検出するカメラ17のみを示しているが、この他にも、段ボールシート製造装置1による製造途中における段ボールシート原紙の状態や片面段ボールシートの状態を検出する撮像手段(カメラ)を配置してもよい。次に、段ボールシート製造装置1の構成要素についてより詳しく説明する。
【0033】
図2、図3は、シングルフェーサの構成例を示す説明図である。図2は、ベルト加圧式のシングルフェーサであり、図3は、ロール加圧式のシングルフェーサである。まず、図2に示すベルト加圧式のシングルフェーサから説明する。シングルフェーサ4は、段ボールシート原紙である裏ライナRA1と、同じく段ボールシート原紙である中芯I1とを接着するために用いる。裏ライナRA1は、表ライナ用第1プレヒータ20Aと、表ライナ用第2プレヒータ20Bとによって加熱され、ベルトロール23Aとストレッチロール23Bとで駆動される加圧ベルト24に搬送される。
【0034】
中芯I1は、中芯用第1プレヒータ21Aと、中芯用第2プレヒータ21Bとによって加熱され、中芯用第3プレヒータ25によってさらに加熱されてから、中芯形成用第1ロール22Aと中芯形成用第2ロール22Bとの間に搬送される。中芯I1は、中芯用第3プレヒータガイドロール25Gによって中芯用第3プレヒータに巻き付けられる。中芯用第3プレヒータガイドロール25Gを中芯用第3プレヒータ25の周方向に向かって移動させて、中芯用第3プレヒータ25に対する中芯I1の巻き付け角を調整することにより、中芯I1の加熱量が調整される。
【0035】
中芯形成用第1ロール22Aと中芯形成用第2ロール22Bとは、回転軸方向に垂直な歯車状であり、両者が噛み合って回転する。そして、中芯形成用第1ロール22Aと中芯形成用第2ロール22Bとが噛み合う部分を中芯I1が通過すると、段ボールシート原紙が波状の中芯I1に加工される。中芯形成用第1ロール22Aに巻き付けられた中芯I1には、糊付けロール26Bが接しており、メータロール26Bから糊付けロール26Bに供給された糊Gが中芯I1に塗布される。
【0036】
加圧ベルト24と中芯形成用第1ロール22Aとは、互いに押し付け合うように構成されており、両者の間に挟持される中芯I1と裏ライナRA1とは、ベルト24によって加圧される。これによって、片面に糊付けされた中芯I1と裏ライナRAとが接着され、片面段ボールシートDS_Sが形成される。次に、図3に示すロール加圧式のシングルフェーサ4aの構成を説明する。
【0037】
シングルフェーサ4aは、裏ライナRA1は、表ライナ用第1プレヒータ20Aと、表ライナ用第2プレヒータ20Bとによって加熱され、加圧ロール27へ搬送される。中芯I1は、中芯用プレヒータ21によって加熱された後、中芯形成用第1ロール22Aと中芯形成用第2ロール22Bとの間に搬送される。中芯I1は、中芯用プレヒータガイドロール21G1、21G2によって中芯用プレヒータに巻き付けられる。中芯用プレヒータガイドロール21G1又は21G2を、中芯用プレヒータ25の周方向に対して移動させ、中芯用プレヒータ25に対する中芯I1の巻き付け角を調整することにより、中芯I1の加熱量が調整される。
【0038】
中芯形成用第1ロール22Aと中芯形成用第2ロール22Bとの間に搬送された中芯I1が、中芯形成用第1ロール22Aと中芯形成用第2ロール22Bとが噛み合う部分を中芯I1が通過すると、段ボールシート原紙が波状の中芯I1に加工される。中芯形成用第2ロール22Bに巻き付けられた中芯I1には、糊付けロール26Bが接しており、メータロール26Bから糊付けロール26Bに供給された糊Gが中芯I1に塗布される。
【0039】
中芯形成用第2ロール22Bと加圧ロール27とは、互いに押し付け合うように構成されており、両者の間に挟持される中芯I1と裏ライナRA1とは、加圧ロール27によって加圧される。これによって、片面に糊付けされた中芯I1と裏ライナRAとが接着され、片面段ボールシートDS_Sが形成される。本実施形態に係る段ボールシート製造装置1は、図2に示すベルト加圧式のシングルフェーサ4を備えているが、図3に示すロール加圧式のシングルフェーサ4aを備えてもよい。次に、グルーマシン前プレヒータ群8について説明する。
【0040】
図4は、グルーマシン前プレヒータ群の一例を示す説明図である。グルーマシン前プレヒータ群8は、片面段ボールシートDS_S_B(あるいはDS_S_A)と、段ボールシート原紙である表ライナRBとを接着する前に、これらを加熱するために用いられる。このグルーマシン前プレヒータ群8は、片面段ボールシート用第1プレヒータ30Aと、片面段ボールシート用第2プレヒータ30Bと、表ライナ用プレヒータ30Rとを備えている。片面段ボールシート用第1プレヒータ30Aと、片面段ボールシート用第2プレヒータ30Bとは、それぞれ異なる片面段ボールシートDS_S_A又はDS_S_Bを加熱することができる。
【0041】
片面段ボールシート用第1プレヒータ30Aには、第1プレヒータガイドロール30AG1、30AG2によって、第1の片面段ボールシートDS_S_Aが巻きつけられる。そして、第1プレヒータガイドロール30AG1又は30AG2を、片面段ボールシート用第1プレヒータ30Aの周方向に対して移動させ、片面段ボールシート用第1プレヒータ30Aに対する第1の片面段ボールシートDS_S_Aの巻き付け角を調整することにより、第1の片面段ボールシートDS_S_Aの加熱量が調整される。
【0042】
片面段ボールシート用第2プレヒータ30Bには、第2プレヒータガイドロール30BG1、30BG2によって、第2の片面段ボールシートDS_S_Bが巻きつけられる。そして、第1プレヒータガイドロール30BG1又は30BG2を、片面段ボールシート用第2プレヒータ30Bの周方向に対して移動させ、片面段ボールシート用第2プレヒータ30Bに対する第2の片面段ボールシートDS_S_Bの巻き付け角を調整することにより、第2の片面段ボールシートDS_S_Bの加熱量が調整される。
【0043】
表ライナ用プレヒータ30Rには、表ライナ用プレヒータガイドロール30RG1、30RG2によって、表ライナRBが巻きつけられる。そして、表ライナ用プレヒータガイドロール30RG1又は30RG2を、表ライナ用プレヒータ30Rの周方向に対して移動させ、表ライナ用プレヒータ30Rに対する表ライナRBの巻き付け角を調整することにより、表ライナRBの加熱量が調整される。
【0044】
両面段ボールシートを製造する場合、表ライナ用プレヒータ30Rと、片面段ボールシート用第1プレヒータ30A又は片面段ボールシート用第2プレヒータ30Bのいずれか一方とを用いる。また、複両面段ボールシートを作成する場合には、表ライナ用プレヒータ30Rと、片面段ボールシート用第1プレヒータ30Aと、片面段ボールシート用第2プレヒータ30Bとを用いる。このグルーマシン前プレヒータ群8は、3種類のプレヒータを備えることにより、複数の種類の両面段ボールシートを製造することができるが、本実施形態に係る段ボールシート製造装置1に用いることができるグルーマシン前プレヒータ群は、図4に示すものに限られるものではない。次に、グルーマシン10の構成を説明する。
【0045】
図5は、グルーマシンの構成を示す説明図である。グルーマシン10は、片面段ボールシートと表ライナとを糊付けし、ダブルフェーサ13へ送るために用いられる。グルーマシン10は、第1糊付け装置40Aと、第2糊付け装置40Bとを備えており、第1糊付け装置40Aによって第1の片面段ボールシートDS_S_Aに糊付けし、第2糊付け装置40Bによって第2の片面段ボールシートDS_S_Bに糊付けする。
【0046】
第1糊付けロール41Aには、第1メータロール42Aによって糊が供給される。第1の片面段ボールシートDS_S_Aの中芯側と、第1糊付けロール41Aとは接触してり、第1糊付けロール41Aから第1の片面段ボールシートDS_S_Aの中芯に糊が塗布される。第2糊付けロール41Bには、第2メータロール42Bによって糊が供給される。第2の片面段ボールシートDS_S_Bの中芯側と、第2糊付けロール41Bとは接触してり、第2糊付けロール41Bから第2の片面段ボールシートDS_S_Bの中芯に糊が塗布される。糊が塗布された第1及び第2の片面段ボールシートDS_S_A、DS_S_Bは、ダブルフェーサ13へ搬送され、両者はここで接着される。また、表ライナRBは、第1表ライナ用プレヒータ46と第2表ライナ用プレヒータ44とによって加熱されて、ダブルフェーサ13で第2の片面段ボールシートDS_S_Bの中芯と接着される。なお、第1表ライナ用プレヒータ46又は第2表ライナ用プレヒータ44の少なくとも一方に対する表ライナRBの巻き付け角を調整することによって、表ライナRBの加熱量が調整される。
【0047】
第2の片面段ボールシートDS_S_B、及び表ライナRBは、接着前にシャワー装置9により水分が付与されて、接着に適した水分量に調整される。ダブルフェーサ13へ搬送された第1の片面段ボールシートDS_S_A、第2の片面段ボールシートDS_S_B、及び表ライナRBは、加圧装置11と加熱板12とに挟持され、加熱されながら接着される。これによって、複両面段ボールシートDD_Dが形成される。なお、ダブルフェーサ13内では、搬送ベルト45が複両面段ボールシートDD_Dを搬送する。
【0048】
両面段ボールシートを製造する場合、このグルーマシン10が備える第1糊付け装置40A又は第2糊付け装置40Bのいずれか一方を用いる。また、複両面段ボールシートを製造する場合、このグルーマシン10が備える第1糊付け装置40A及び第2糊付け装置40Bを用いる。このように、グルーマシン10は、複数の種類の両面段ボールシートを製造することができる。なお、本実施形態に係る段ボールシート製造装置1に適用できるグルーマシンは、図5で説明したものに限られない。次に、ダブルフェーサ13の構成を説明する。
【0049】
図6は、ダブルフェーサの構成を示す説明図である。図6には、片面段ボールシートDS_Sと表ライナRBとを接着して、両面段ボールシートDD_Sを形成する場合を示すが、2枚の片面段ボールシートと表ライナRBとを接着して、複段ボールシートを形成する場合も図6に示すダブルフェーサ13を適用できる。ダブルフェーサ13は、搬送ベルト45、加圧装置11及び加熱板12を備える。搬送ベルト45は、片面段ボールシートDS_Sと表ライナRBとを搬送する。加圧装置11は、搬送ベルト45によって搬送された片面段ボールシートDS_Sと表ライナRBとを加熱板12に押し付けて、両者を接着する。加熱板12は、片面段ボールシートDS_Sと表ライナRBとを加熱して、糊の乾燥を促進する。
【0050】
加圧装置11の加圧力を変化させることにより、加熱板12と表ライナRBとの接触熱伝達率が変化する。その結果、加熱板12から片面段ボールシートDS_S及び表ライナRBへの伝熱量が変化する。したがって、加圧装置11の加圧力を変化させることにより、片面段ボールシートDS_S及び表ライナRBに対する加熱量を制御することができる。
【0051】
加圧装置11は、複数の加圧ロール11Rから構成される。また、加熱板12は、複数の群(この例では4群)12A〜12Dに分割されてり、内部に蒸気が供給されて、片面段ボールシートDS_Sと表ライナRBとを加熱する。加熱板12を複数の群に分割することにより、片面段ボールシートDS_S及び表ライナRBの搬送方向に対して温度分布を設けることができる。これによって、片面段ボールシートDS_S及び表ライナRBに対する加熱量の制御が容易になる。次に、本実施形態に係る段ボールシート製造装置の制御システム100について説明する。なお、次の説明では、適宜図1〜6を参照されたい。
【0052】
図7は、実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。ここでは、グルーマシン前プレヒータ群8が備えるプレヒータでシートの温度を制御する場合について説明するが、段ボールシート製造装置1において、シートの温度制御が必要な部分(例えば、裏ライナ用プレヒータ3やダブルフェーサ13が備える加圧装置11や加熱板12等)に対しても同様である。
【0053】
表ライナ用プレヒータ116は筒状の加熱器であり、第1ガイドロール114と第2ガイドロール115とを介してシート(表ライナや片面段ボールシート)Sを巻き付けて、シートSを加熱する。第1ガイドロール114の位置は、アーム113によって、表ライナ用プレヒータ116の周方向に対する位置を変更することができる。シートSに対する加熱量は、アーム113を、表ライナ用プレヒータ116の中心に対して回転させて、表ライナ用プレヒータ116の周方向に対する第1ガイドロール114の位置を変更することにより、表ライナ用プレヒータ116に対するシートSの巻き付け角を変化させて、調整する。
【0054】
アーム113は、シートSの巻き付け角(以下、単に巻き付け角という)を変更するアーム駆動用モータ112によって駆動される。アーム駆動用モータ112にはPIDコントローラ111が接続されており、アーム駆動用モータ112の駆動軸に取り付けられるエンコーダ123からの信号によってフィードバック制御される。アーム駆動用モータ112のフィードバック制御は、後述する2自由度のPIDアルゴリズムを用いるPID制御である。なお、アーム駆動用モータ112のフィードバック制御に用いるPID制御のアルゴリズムは、2自由度のPIDアルゴリズムに限定されるものではない。
【0055】
実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システム(制御システムという)100は、フィードフォワード(FF)/フィードバック(FB)制御装置(FF/FB制御装置という)101と、PIDコントローラ102と、知識データベース103とを含んで構成される。また、(制御システムという100には、ダンボールシートの製造装置1の総合的な制御を司る統括制御装置124が設けられている。統括制御装置124には、ダンボールシートの製造装置1を制御するために必要な情報を取得するためのセンサ類125が接続されている。統括制御装置124は、知識データベース103に接続されており、センサ類125から取得した段ボールシート製造装置1の状態に関する情報や、統括制御装置124の段ボールシート製造装置1に対する制御データ等が入力され、知識データベース103逐次更新する。また、統括制御装置124は、知識データベース内に格納されているデータに基づき、段ボールシート製造装置1を制御する。
【0056】
ここで、知識データベースとは、製造された段ボールシートの評価情報と、段ボールシートの製造時におけるシート(原紙や片面段ボールシート)の温度又は水分量に関する情報と、段ボールシートの製造時における段ボールシートの製造に関する情報とを関連付けて蓄積したものである。すなわち、本実施形態における知識データベースとは、段ボールシートの製造、流通過程における、過去の記録が蓄積されている。そして、将来の製造計画を策定する際に、過去同様の製造、及び流通過程の記録や、同じ顧客との製品の記録を参照すると、リスクの洗い出しがやりやすくなったり、計画の精度が高くなったりするという利点がある。知識データベースを有効に活用することにより、より円滑な製造、販売、在庫管理の運営が可能になる。知識データベースには、オペレータの経験や勘により得られた情報が入力されるので、これが段ボール製造装置1の制御に反映される。
【0057】
本実施形態に係るダンボールシートの製造装置1は、制御システム100によって段ボールシートや段ボール原紙の温度(水分量)が制御される。この制御システム100においては、いわゆるアドバンストFF/FB制御が用いられており、FF/FB制御装置101により前記アドバンストFF/FB制御が実行され、段ボールシートや段ボール原紙の温度(水分量)が適切な値に制御される。その結果、段ボール原紙同士の接着不良等が抑制され、製造された段ボールシートの反りや接着不良を高精度に抑制し、品質の高いダンボールシートを製造することができる。
【0058】
フィードバック制御に用いるPIDコントローラ102は、表ライナ用プレヒータ116によって加熱した後のシートSの温度(出口シート温度という)をフィードバック信号として用いる。出口シート温度は、出口温度センサ119で測定される。また、PIDコントローラ102には、フィードバック制御目標値(SV)として、出口シート温度目標値が入力される。PIDコントローラ111の出力は、FF/FB制御装置101の第1掛算器117に入力される。そして、出口シート温度が、出口シート温度目標値となるように、FF/FB制御装置101がアーム駆動用モータ112を制御する。
【0059】
外乱としては、表ライナ用プレヒータ116によって加熱する前のシートSの温度(入口シート温度という)が入力される。入口シート温度は入口温度センサ120により測定される。入口シート温度は、出口シート温度目標値と合流して、FF/FB制御装置101の第1掛算器117に入力される。また、第2掛算器118には、FFゲインも入力される。第2掛算器118からの出力は、FF/FB制御装置101中の分離型FF/FB制御部104における動特性補償要素107と、静特性補償要素108とに入力される。
【0060】
FF/FB制御装置101中のゲインスケジューリング型FF/FB制御部106には、シートSの熱(水分)収支演算結果が入力される。シートSの熱(水分)収支は、紙幅、坪量、速度に基づいて求められるシートSの流量(測定値)、比熱、熱伝導率等に基づいて求められるシートSの熱(水分)効率(測定値)をパラメータとして演算される。このように、シートSの熱(水分)収支は、シートSの製造中における値となる。
【0061】
本実施形態に係る制御システム100では、フィードバック制御に用いるPIDコントローラ102に、2自由度のPIDアルゴリズムを用いる。2自由度のPID制御は、外乱を抑制する特性を最適に維持したまま、目標値変更に対する追従特性を最適化することができる。これにより、温度(あるいはシートSの水分量)制御性が改善される、調整が容易になる、制御の安定性が向上するという利点が得られる。2自由度のPID制御は、例えば、1自由度のPID制御である測定値微分先行型PID制御の目標値に、目標値フィルタを付加することにより実現できる。本実施形態においては、PIDコントローラ111に目標値フィルタとして差分要素Dを設け、差分要素Dによる逆補償によって2自由度のPID制御を実現する。
【0062】
本実施形態においては、PIDコントローラ111のPIDパラメータ値を外乱抑制特性が最適となるようにしておき、目標値フィルタのパラメータを調整し、目標値追従特性が最適になるように構成するとともに、PIDパラメータと目標値フィルタのパラメータとを独立して調整できるようにしてある。2自由度PID制御には、P動作のみ、PD動作のみ、PIDのすべてを2自由度化する部分2自由度PID制御から、完全2自由度PID制御までの段階がある。
【0063】
本実施形態に係る制御システム100が備えるFF/FB制御装置101は、分離型FF/FB制御、ゲインスケジューリング型FF/FB制御、及び選択組み合わせ型FF/FBの3種類のFF/FB制御を用い、条件に応じてこれらを使い分ける。選択組み合わせ型FF/FBは、分離型FF/FB制御とゲインスケジューリング型FF/FB制御とを統括し、FF制御とFB制御とを最適に切り替えて、制御性能の最適化を図るものである。本実施形態において、FF制御とFB制御との切り替えは、知識データベース103に蓄積された、段ボールシート製造装置1の運転条件や段ボールシートの製造条件に応じた制御パラメータに基づいて実行される。
【0064】
分離型FF/FB制御とは、FF制御モデルの静特性補償分と動特性補償分との関係を加法結合にして、静特性補分は速度形信号とし、また、動特性補償分は位置形信号として、FB制御と組み合わせたものである。プロセス及び外乱の伝達関数を一次近似した場合、式(1)のようになる。ここで、K=Kd/Kp、Kdは外乱ゲイン、Kpはプロセスゲイン、Tpはプロセス時定数、Tdは外乱時定数である。また、式(1)のKが静特性補償分であり、δ×{(1+Tp)/(1+Td)−1}が動特性補償分である。
F(s)=K×[1+δ×{(1+Tp)/(1+Td)−1}]・・・(1)
【0065】
式(1)の動特性補償分は、定常状態では0になるので、非線形要素δを自由に修飾しても、静的定量性に影響はない。分離型FF/FB制御は、制御上のニーズやプロセスの制約条件に合わせて、「不感帯」、「上下制限値」、「方向性」等を持たせることができ、FF制御の効果を最大限に生かすように、限界を調整できる。その結果、本実施形態に係る制御システム100では、段ボールシートの流量による影響の抑制、段ボールシートの温度による影響を抑制、パラメータの調整及び限界の調整が容易になるという利点が得られる。分離型FF/FB制御機能は、FF/FB制御装置101の分離型FF/FB制御部104で実現される。
【0066】
ゲインスケジューリング型FF/FB制御とは、上記分離型FF/FB制御に、外乱の大きさに比例してFB制御ゲインを変更する機能を付加することにより、負荷の大きさに対応してプロセスゲインが変化するようなプロセスに好適なFF/FB制御である。ゲインスケジューリング型FF/FB制御は、段ボールシートの原紙の流量変化及び温度変化による影響を抑制でき、さらに、スケジューリング機能と段ボールシートの加熱量及び段ボールシートの速度の中における操作特性補正機能によって、プロセス全体の特性を線形化し、広範囲の段ボールシートの流量変化に対して、制御性の低下やハンチングを抑制できる。これによって、負荷に対して非常に強い制御系が実現できる。ゲインスケジューリング型FF/FB制御は、FF/FB制御装置101のゲインスケジューリング型FF/FB制御部106の、ゲイン調整要素110で実現される。ゲイン調整要素110は、ゲインスケジューリング機能を有する。
【0067】
選択組み合わせ型FF/FB制御とは、基本的には分離型FF/FB制御を用い、FF制御とFB制御とを常時組み合わせることはせず、FF制御の動特性補償成分が一定値以上の場合には、FB制御を停止、あるいはP制御のみとする選択組み合わせ制御である。このように、選択組み合わせ型FF/FB制御は、過渡時にはFF制御が主役で、定常時にはFF制御+FB制御として、FF制御をFB制御が補完するように構成される。
【0068】
これによって、選択組み合わせ型FF/FB制御は、動特性補償分が所定値を超える間、すなわち、動的補償を実行している過渡状態では、FB制御をロック(FB出力をホールド)するように全体を選択組み合わせとし、FF制御とFB制御とを最適に切り替えることによって、制御性能の最適化を図ることができる。選択組み合わせ型FF/FB制御は、外乱の性質が製造量を計画的に変更したり、負荷が所定値から所定値へ変わったりするようなランダムでないもの、すなわち「非ランダム」で、かつ無駄時間や時定数の大きいプロセスに対して有効な制御である。
【0069】
選択組み合わせ型FF/FB制御は、FF/FB制御装置101の選択組み合わせ型FF/FB制御部105によって実現される。制御切替手段として機能する選択組み合わせ型FF/FB制御部105は、判別要素109及びFF/FB切替装置122を備えている。本実施形態において、判別要素109は、知識データベース103からの情報に基づいて、FF制御とFB制御との切り替えを実行する。
【0070】
本実施形態に係る制御システム100では、客先、製品、運転パターンで最適に運転できた過去の運転実績を、製品情報や、時系列の運転情報として知識データベース103に格納しておき、段ボールシートの製造開始前に基本となる最適な運転情報を知識データベース103から選択し製造を開始する。その後、フィールドバスで収集されてくる制御部毎の運転情報を統括制御装置124で状態判別させながら学習し、知識データベース103にその結果をフィードバックして格納する。格納された結果により知識データベース103で作られた制御モデルにより、各制御部の現在の状態を見て状態予測をしながら各フィードバック、フィードフォワード制御を切り替え、パラメータを時々刻々微調整していくとともに最適な運転実績として更新していく。また、オペレータの介入等があってもその経験操作を優先的に学習させ、運転実績を再計算しデータベース103を更新していく。
【0071】
本実施形態に係る制御システム100では、知識データベース103からの情報に基づき、FF/FB制御の動的補償分と静的補償分との補償分の判別を行い、その結果に基づきFF制御とFB制御とを切り替える。これによって、外乱の影響を抑制して、目標値に対する追従性が向上するので、段ボールシートの品質を精度よく制御できる。段ボールシートの製造においては、紙を取り扱うという性質上、段ボールシート製造装置1の運転条件に対して製造される段ボールシートの品質を予測することは難しい。また、同じ紙種であっても、製造時によってシートの温度や水分は異なるので、マトリックス制御や単なるFF/FB制御では、目標値に対する追従性を向上させることは難しかった。さらに、これまでのマトリックス制御では、オペレータの勘と経験とに頼っていたので、オペレータが変更されると製造される段ボールシートの品質に違いが発生するおそれもあった。
【0072】
本実施形態に係る制御システム100では、オペレータの勘と経験とを関連付けて知識データベース103を作成することにより、オペレータの勘と経験を段ボールシート製造装置1の制御に反映させることができる。その結果、段ボールシートの品質を精度よく制御して、反りや接着不良を抑制した高品質の段ボールシートを製造することができる。
【0073】
また、知識データベース103を用いることにより、さらに次のような利点が得られる。従来用いられていたマトリックス制御では、制御に用いるデータの履歴から大域的なモデルを作成するが、非線形性等があると、部分的にマッチングしない領域が出てくる。これに対し、知識データベースを用いると、部分的な線形モデルを多く作成するため、たとえ非線形性が存在しても、簡単な線形モデルでの高精度な予測が可能になる。また、オペレータのノウハウ、知識がすべて知識データベースに格納されているため、データの欠落、紛失等を最小限に抑えることができ、安全性が向上する。さらに、制御により目標値と実際の値とが一致しない場合でも、再度データを与えればそのままの形で再学習して制御が可能になる。次に、本実施形態に係る制御システム100によって段ボールシートを製造する手順を説明する
【0074】
図8は、実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムによる段ボールシートの製造手順例を示すフローチャートである。図9は、完成した両面段ボールシートの反りを評価する手法を示す説明図である。図10は、実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムにおける運転中の表示画面の一例を示す説明図である。図11は、実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムにおける調整画面の一例を示す説明図である。
【0075】
まず、統括制御装置124に、運転条件を入力する(ステップS101)。運転条件は、片面段ボールシートの種類、紙種、坪量、紙幅、寸法、仕上がり枚数、計画長、目標運転速度等であり、製造計画に基づいて与えられる。次に、統括制御装置124が環境条件を取得し(ステップS102)、知識データベース103へ与える。そして、統括制御装置124は、運転条件、環境条件から、出口シート温度や水分量、あるいは糊付け量の目標値、及び運転パラメータを算出する(ステップS103)。出口シート温度や水分量の目標値、及び運転パラメータは、知識データベースに蓄積されたこれまでの情報から、ステップS101、ステップS102で与えられた前記運転条件及び前記環境条件に対応する値が選択される。
【0076】
出口シート温度等の目標値、及び運転パラメータが算出されたら、その目標値及び運転パラメータで、段ボールシート製造装置1の運転を開始し(ステップS104)、段ボールシートの製造を開始する。制御システム100は、段ボールシート製造装置1が備える制御対象(原紙や段ボールシートの温度、水分量、張力、加熱量、水分付与、運転速度)を、ステップS103で算出された目標値及び運転パラメータで制御する。
【0077】
製造された段ボールシートは、反りの状態が評価されて、その結果が知識データベース103へ入力され、蓄積される(ステップS105、ステップS106)。図9に示すように、完成した両面段ボールシートDD_Sに反りが発生すると、両面段ボールシートDD_Sは円弧状になる。段ボールシート製造装置1におけるシートSの進行方向をMD方向とし、MD方向と直交する方向をCD方向とする。
【0078】
両面段ボールシートDD_Sに反りが発生した場合における垂直方向(段ボールシートの面と直交する方向)の変位をh、両面段ボールシートDD_SのMD方向における長さをL_MD、CD方向における長さをL_CDとする。両面段ボールシートDD_Sの反りはWF(ワープファクタ)で評価する。WPは、L_MD=L_CD〜1mの段ボールシートにおいて、垂直方向の変位hが17mmの場合に0.25と定義する。そして、WP≦0.25であれば、両面段ボールシートDD_Sの反りに起因する不具合(例えば製造装置1での反転作業における搬送不良、段ボール箱の製造装置における両面段ボールシートDD_Sの搬送不良)が発生しないと判断される。
【0079】
両面段ボールシートDD_Sの反りを作業者が評価する場合、マニュアル入力により評価データが知識データベース103へ入力される。また、本実施形態に係る段ボールシート製造装置1では、両面段ボールシート格納手段16に積まれた両面段ボールシートDD_Sの状態を撮像手段であるカメラ17で撮影し、撮影した画像を画像処理/評価装置18によって解析して両面段ボールシートDD_Sの反りを評価する。そして、その評価結果が知識データベース103へ入力される。このように、カメラ17によって撮影した、製造後における両面段ボールシートDD_Sの状態に基づいて両面段ボールシートDD_Sの反りを評価すれば、評価、知識データベースの更新を自動化することができる。
【0080】
図10に示すように、段ボールシート製造装置1の運転中には、段ボールシート製造装置1の各部分における段ボールシート原紙や段ボールシートの状態を監視するカメラ(撮像手段)が設けられている(図1には、積み上げたシートの部分を監視するカメラ17のみを示してある)。そして、段ボールシート製造装置1の運転中、各カメラで撮像した段ボール原紙や段ボールシートの状態が画像表示手段19の画像表示部19aに表示される。この例では、各カメラで撮像した映像が、5箇所表示されている(画像V1〜画像V5)。
【0081】
また、制御状態表示部19bには、各カメラで撮像した部分における段ボール原紙の温度や段ボールシートの温度等の制御状態を表示できる。さらに、拡大表示部19cにおいては、選択した箇所における段ボール原紙の温度や段ボールシートの温度等の制御状態を拡大することもできる。このように、本実施形態においては、段ボール原紙や段ボールシートの状態や制御状態をリアルタイムで監視できるので、不具合が発生した場合には迅速に対応できる。その結果、不良率を低下させることができる。
【0082】
段ボールシート製造装置1の運転中に、製造された段ボールシートに許容値を超える反りが発生したり、段ボール原紙や段ボールシートの温度が目標値から大きく外れたりした場合、段ボールシート製造装置1の運転パラメータを調整する。図11に示すように、運転パラメータを調整する際には、画像表示手段19の画像表示部19aに各カメラで撮像した段ボール原紙や段ボールシートの状態が画像表示手段19の画像表示部19aに表示される。これによって、段ボール原紙や段ボールシートの実際の状態を監視しながら、運転パラメータを調整できる。
【0083】
運転パラメータを調整する際には、例えば、選択した箇所における運転パラメータを調整できる。図11に示す例では、選択された箇所は、シングルフェーサ(SF)4の出口である。調整対象箇所表示部19dに調整対象が表示され、拡大表示部19eには、調整対象箇所における制御状態が表示される。ここでは、制御目標値SV、制御値PV、及び操作量MVが表示されている。
【0084】
調整方法表示部19fには、現在の調整モードが表示される。この例においては、2自由度PID制御の制御パラメータをチューニングする際の調整モードが表示されており、ATはオートチューニング、STはセルフチューニング、OTはオペレータチューニングである。調整対象パラメータ表示部19gには、現在調整している運転パラメータが表示される。この例では、FF/FB制御装置101の運転パラメータが調整される。ここで、FF1はゲイン調整、FF2は偏差調整、FF3は外乱調整、FBは2自由度PID制御調整、FF/FBはFF/FB統合制御調整である。
【0085】
調整情報表示部19hには、運転パラメータの調整時におけるオペレータの調整メモが表示される。これは、運転パラメータの調整時に、オペレータの気付いた点が入力され、知識データベース103へ蓄積される。例えば、調整日時、運転条件、環境条件、調整状態、調整方法等が入力される。また、調整時における段ボール原紙や段ボールシートの状態を画像として保存することができる。調整対象箇所における段ボール原紙や段ボールシートの状態の画像は、カメラで取得され、調整情報表示部19h中の保存対象画像表示部19iに表示される。これにより、保存する画像を確認することができる。
【0086】
本実施形態に係る制御システム100では、知識データベース103を用いてFF/FB制御を切り替えて各制御対象を制御する。知識データベース103は、部分的な線形モデルを多く作成するため、たとえ非線形性が存在しても、簡単な線形モデルでの高精度な予測が可能になる。また、オペレータのノウハウ、知識がすべて知識データベース103に格納されているため、データの欠落、紛失等を最小限に抑えることができ、安全性が向上する。
【0087】
さらに、制御により目標値と実際の値とが一致しない場合でも、再度データを与えればそのままの形で再学習して制御が可能になる。これによって、本実施形態に係る制御システム100によって製造された段ボールシートは、段ボール原紙同士の接着不良等が抑制され、製造された段ボールシートの反りや接着不良が抑制されるので、品質が向上する。また、知識データベースを利用することにより、自動制御化が容易になるとともに、オペレータによる調整作業が低減できるので、人件費削減、オペレータの訓練が低減できるという利点がある。なお、実施形態1で開示した構成は、以下の実施形態においても適用できる。また、実施形態1で開示した構成と同様の構成を備えるものは、実施形態1の作用、効果と同様の作用、効果を奏する。
【0088】
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1と同様の構成であるが、上位制御装置と下位制御装置とを備え、上位制御装置で製造状態の情報、環境状態の情報、段ボールシート製造装置の状態情報を参照し、かつ知識データベースに基づき制御モデル(数式モデルであり、例えばFFモデル)を予測する。そして、下位制御装置では、ヒータ等によって加熱されたシートのシート出口温度(水分)を基に調整された2自由度PID制御の制御パラメータ制御パラメータを参照し、また、知識データベースに基づいてFF/FB制御のゲインを修正し、これをFB信号としてFF/FB制御装置へ入力する点に特徴がある。
【0089】
図12は、実施形態2に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。この制御システム100aは、上位制御装置GOと、下位制御装置LOとを含み、両者は通信回線により接続されて、互いに情報をやり取りできるように構成される。下位制御装置LOは、フィードフォワード(FF)/フィードバック(FB)制御装置(FF/FB制御装置という)101と、PIDコントローラ102とを含んで構成される。上位制御装置GOは、モデル予測制御部130と、知識データベース103とを含んでおり、両者は通信回線で接続されて、互いに情報をやり取りできるように構成される。
【0090】
本実施形態において、下位制御装置LOは、シートのシート出口温度(水分)を基に調整された2自由度PID制御の制御パラメータを参照し、また、知識データベース103に基づいてFF/FB制御のゲインを修正し、これをFB信号としてFF/FB制御装置101へ入力する。これによって、段ボールシート製造装置1(図1参照)の運転中に、シートのシート出口温度をFF/FB制御する。
【0091】
上位制御装置GOは、段ボールシートの製造状態の情報、センサ類125で検出される段ボールシートの製造時における環境状態の情報、センサ類125や制御指令値から求められる段ボールシート製造装置1(図1参照)の状態情報を参照し、かつモデル予測制御部130が知識データベース103に基づき制御モデルを予測する。制御モデルは数式モデルであり、段ボールシート製造装置1上におけるシートの温度、水分を最適値とした予測モデルである。この制御モデルは、知識データベース103に蓄積されたデータを分析して予め作成しておく。
【0092】
このように、モデル予測制御を実行するモデル予測制御部130の扱う膨大な入出力データを上位制御装置GOで監視、操作することができる。これによって、モデル予測制御部130の扱う入出力データを上位制御装置GOで一元的に統括管理できるため、制御系をシンプルにすることができ、また、制御の高速化、高精度化を図ることができる。
【0093】
また、従来用いられていたマトリックス制御では、制御に用いるデータの履歴から大域的な制御モデルを作成するが、非線形性等があると、部分的にマッチングしない領域が出てくる。これに対し、本実施形態に係る制御システム100aのように、知識データベース103を用いて制御モデルを作成すると、部分的な線形モデルを多く作成するため、たとえ非線形性が存在しても、簡単な線形モデルでの高精度な予測が可能になる。さらに、上位制御装置GOと下位制御装置LOとを配置するといった階層構造とすることにより、相関関係を有するプロセス全体を統括して監視、操作することができる。これによって、煩雑な操作が解消された最適な操作環境を提供することができる。
【0094】
(変形例)
図13は、実施形態2の変形例に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。この変形例に係る制御システム100bは、実施形態2に係る制御システム100(図12参照)とほぼ同様であるが、知識データベース103(図12)の代わりにニューラルネットワーク131及びフィールドバスを用いる点が異なる。他の構成は、実施形態2に係る制御システム100aと同様なので、説明を省略する。この変形例において、ニューラルネットワーク131は階層型ニューラルネットワークを用いる。運転開始前においては、将来運転される製品情報により基本となる最適な運転情報を選択し運転を開始する。その後、フィールドバスで収集されてくる制御部毎の運転情報を各ニューラルネットワークで状態判別させながら学習し、モデル予測制御部130にその結果をフィードバックする。そして、格納された結果によりモデル予測制御部130で作られた制御モデルにより制御部の現在の状態を見て状態予測させながら、各フィードバック、フィードフォワード制御を切り替え、パラメータを時々刻々微調整していくとともに最適な運転実績として更新していく。また、オペレータの介入等があってもその経験操作を優先的に学習させ、運転実績を再計算していく。このように、この変形例に係る制御システム100bは、ニューラルネットワーク131を用いるので、知識データベース103のように大量のデータベースを作成し、保持する必要がないという利点が得られる。
【0095】
なお、実施形態2及びその変形例に係る制御システム100a、100bにおいて、知識データベース103やニューラルネットワーク131を備えなくてもよい。この場合、モデル予測制御を実行するモデル予測制御部130の扱う膨大な入出力データを上位制御装置GOで監視、操作することができるので、モデル予測制御部130の扱う入出力データを上位制御装置GOで一元的に統括管理できる。その結果、制御系をシンプルにすることができ、また、制御の高速化、高精度化を図ることができる。また、実施形態2及びその変形例で開示した構成は、以下の実施形態においても適用できる。そして、実施形態2及びその変形例で開示した構成と同様の構成を備えるものは、実施形態2及びその変形例の作用、効果と同様の作用、効果を奏する。
【0096】
(実施形態3)
図14は、実施形態3に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。実施形態3は、実施形態2と同様の構成であるが、上位制御装置と下位制御装置とを備え、上位制御装置で製造状態の情報、環境状態の情報、段ボールシート製造装置の状態情報を取得し、マトリックス制御か、実施形態1で説明したFF/FB制御かを切り替える点が異なる。他の構成は実施形態2と同様なので、説明を省略する。ここで、マトリックス制御とは、速度、紙幅、紙種に応じて設定した加熱ロールの巻き付け角等の運転パターンを記述したマトリックス表にしたがって、段ボールシート製造装置1の制御パラメータを変更する制御である。
【0097】
この制御システム100dは、上位制御装置GOと下位制御装置LOとを配置するといった階層構造とすることにより、相関関係を有するプロセス全体を統括して監視、操作することができる。これによって、煩雑な操作が解消された最適な操作環境を提供することができる。また、実施形態1で説明したFF/FB制御とマトリックス制御とに制御方法を切り替えることができるので、段ボールシートの製造状態、環境状態、段ボールシート製造装置1(図1)の運転状態に応じて最適な制御が可能になる。なお、実施形態3で開示した構成と同様の構成を備えるものは、実施形態3の作用、効果と同様の作用、効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明に係る段ボールシート製造装置の制御システムは、段ボールシートの製造に有用であり、特に、製造された段ボールシートの反り、接着不良を高精度に抑制することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御装置によって制御される段ボールシート製造装置の構成を示す全体図である。
【図2】シングルフェーサの構成例を示す説明図である。
【図3】シングルフェーサの構成例を示す説明図である。
【図4】グルーマシン前プレヒータ群の一例を示す説明図である。
【図5】グルーマシンの構成を示す説明図である。
【図6】ダブルフェーサの構成を示す説明図である。
【図7】実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。
【図8】実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムによる段ボールシートの製造手順例を示すフローチャートである。
【図9】完成した両面段ボールシートの反りを評価する手法を示す説明図である。
【図10】実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムにおける運転中の表示画面の一例を示す説明図である。
【図11】実施形態1に係る段ボールシート製造装置の制御システムにおける調整画面の一例を示す説明図である。
【図12】実施形態2に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。
【図13】実施形態2の変形例に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。
【図14】実施形態3に係る段ボールシート製造装置の制御システムによるシートの温度制御例を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0100】
1 段ボールシート製造装置
2 裏ライナ用ミルロールスタンド
3 裏ライナ用プレヒータ
4、4a シングルフェーサ
5 中芯用プレヒータ
6 中芯用ミルロールスタンド
7 表ライナ用ミルロールスタンド
8 グルーマシン前プレヒータ群
9 シャワー装置
10 グルーマシン
11 加圧装置
11R 加圧ロール
12 加熱板
13 ダブルフェーサ
14 ロータリーシャー
15 カットオフ
16 両面段ボールシート格納手段
17 カメラ
18 画像処理/評価装置
19 画像表示手段
100、100a、100b、100d 段ボールシート製造装置の制御システム
101 FF/FB制御装置
102 PIDコントローラ
103 知識データベース
104 分離型FF/FB制御部
105 選択組み合わせ型FF/FB制御部
106 ゲインスケジューリング型FF/FB制御部
107 動特性補償要素
108 静特性補償要素
109 判別要素
110 ゲイン調整要素
111 PIDコントローラ
112 アーム駆動用モータ
113 アーム
114、115 ガイドロール
116 表ライナ用プレヒータ
119 出口温度センサ
120 入口温度センサ
122 FF/FB切替装置
123 エンコーダ
124 統括制御装置
125 センサ類
130 モデル予測制御部
131 ニューラルネットワーク
D 差分要素
GO 上位制御装置
LO 下位制御装置
S シート
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成18年9月22日(2006.9.22)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−74007(P2008−74007A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−257464(P2006−257464)