トップ :: B 処理操作 運輸 :: B31 紙製品の製造;紙の加工

【発明の名称】 段ボール製造用加熱装置及び両面段ボールシート製造装置、並びに製造方法
【発明者】 【氏名】糸山 正

【氏名】石渕 浩

【氏名】奥 行雄

【氏名】沖原 利直

【要約】 【課題】オーダーチェンジ時に時間に対する応答性のよい段ボール製造用加熱装置及び両面段ボールシート製造装置並びに両面段ボールシート製造方法を提供する。

【構成】本発明にかかる両面段ボールシート製造装置1は、片面段ボールシート10と表ライナ紙11とを加熱する段ボール製造用加熱装置22において、片面段ボールシート10と表ライナ紙11とを加熱させる加熱手段28と、片面段ボールシート10又は表ライナ紙11と接触する接触面が平滑に形成された接触部24と加熱手段28との間に接触部24を冷却する冷却手段30と、が設けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面段ボールシートと表ライナ紙とを加熱する段ボール製造用加熱装置において、
前記片面段ボールシートと前記表ライナ紙とを加熱させる加熱手段と、
前記片面段ボールシート又は前記表ライナ紙と接触する接触面を有する接触部と前記加熱手段との間に前記接触部を冷却する冷却手段と、
が設けられていることを特徴とする段ボール製造用加熱装置。
【請求項2】
前記段ボール製造用加熱装置において、
前記加熱手段と前記冷却手段とは、それぞれ別部材で構成されており、
前記接触部は前記冷却手段が設けられている部材に形成されており、
前記加熱手段と前記冷却手段とは分離可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール製造用加熱装置。
【請求項3】
前記加熱手段若しくは前記冷却手段の少なくとも一方の温度を制御することにより、前記片面段ボールシート及び前記表ライナ紙へ与える熱量を調整する温度制御手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の段ボール製造用加熱装置。
【請求項4】
前記加熱手段と前記冷却手段との距離を変更することにより、前記片面段ボールシート及び前記表ライナ紙へ与える熱量を調整する距離可変手段を有していることを特徴とする請求項3に記載の段ボール製造用加熱装置。
【請求項5】
前記片面段ボールシートと前記表ライナ紙とのライン速度、又は前記片面段ボールシートの紙種情報、又は前記表ライナ紙の紙種情報のうち少なくとも1つに基づいて、前記温度制御手段又は前記距離可変手段の少なくとも一方を制御することにより、前記片面段ボールシート及び前記表ライナ紙へ与える熱量を調整する総合制御手段を有していることを特徴とする請求項4に記載の段ボール製造用加熱装置。
【請求項6】
前記段ボール製造用加熱装置は、
前記片面段ボールシート又は前記表ライナ紙の温度又は水分量の少なくとも一方を計測する計測手段を有しており、
前記総合制御手段は、前記計測手段から得られた前記温度又は前記水分量の少なくとも一方に基づいて、前記温度制御手段又は前記距離可変手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の段ボール製造用加熱装置。
【請求項7】
前記片面段ボールシートに接着剤を塗布する前に予熱する片段用プレヒータと、
前記表ライナ紙に接着剤を塗布する前に前記ライナ紙を予熱する第1表ライナ用プレヒータと、
予熱された前記片面段ボールシートと前記表ライナとに接着剤を塗布するグルーマシンと、
接着剤が塗布された後の前記表ライナ紙をさらに加熱する第2表ライナ用プレヒータと、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の段ボール製造用加熱装置と、
前記片面段ボールシート及び前記表ライナ紙を搬送する搬送手段と、
を有していることを特徴とする両面段ボールシート製造装置。
【請求項8】
前記搬送手段を介して前記片面段ボールシートと前記表ライナとを前記段ボール製造用加熱装置に押し付ける加圧手段を有していることを特徴とする請求項7に記載の両面段ボールシート製造装置。
【請求項9】
両面段ボールシートを製造するにあたり、
片面段ボールシートを予熱する手順と、
前記片面段ボールシートと貼り合わされる表ライナ紙を予熱する手順と、
前記片面段ボールシートと前記表ライナ紙とに接着材を塗布する手順と、
前記表ライナ紙を再び予熱する手順と、
前記片面段ボールシートと前記表ライナ紙とを加熱し、接着させる手順と、を含み、
前記片面段ボールシートと前記表ライナ紙とを加熱し、接着させる手順は、前記片面段ボールシート又は前記表ライナ紙と接触する接触面が平滑に形成された接触部を強制冷却、及び、強制加熱できる手段を用いることを特徴とする両面段ボールシート製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール製造用加熱装置、両面段ボールシート製造装置及び両面段ボールシート製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
両面段ボールシートは、片面段ボールシートと表ライナ紙とに接着剤を塗布し、その接着剤を乾燥させて製造される。接着剤の乾燥には、熱板を有する加熱装置が用いられる。従来の加熱装置では、片面段ボールシートおよび表ライナ紙を加熱装置に押し付ける加圧装置の加圧力を変更することにより、加熱装置から表ライナ紙への接触熱伝達率を微調整して、乾燥温度を調節していた。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5662765号明細書(column3 line42, FIG2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱板は150mm程度の鋳鉄でできており、その熱容量が大きい。このため、段ボール製造のオーダーチェンジ(異なるロットの段ボールを製造することであり、段ボールの紙種が変更となったり、片面段ボールシートと表ライナ紙とのライン速度が変更になったりすること)に付随する温度調整に時間を要していた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オーダーチェンジ時に温度に対する応答性の低下を抑制できる段ボール製造用加熱装置、両面段ボールシート製造装置及び両面段ボールシート製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる段ボール製造用加熱装置は、片面段ボールシートと表ライナ紙とを加熱する段ボール製造用加熱装置において、片面段ボールシートと表ライナ紙とを加熱させる加熱手段と、片面段ボールシート又は表ライナ紙と接触する接触面を有する接触部と加熱手段との間に接触部を冷却する冷却手段と、が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この段ボール製造用加熱装置では、例えば、表ライナ紙と接触する接触部と加熱手段との間に、接触部を冷却する冷却手段を設ける。これによって、接触部の温度を強制的に冷却することができるので、オーダーチェンジ時には、接触面の温度を迅速に変更することができる。なお、接触面は、平滑に形成することが好ましい。
【0008】
次の発明にかかる段ボール製造用加熱装置は、前記段ボール製造用加熱装置において、加熱手段と冷却手段とは、それぞれ別部材で構成されており、接触部は冷却手段が設けられている部材に形成されており、加熱手段と冷却手段とは分離可能となっていることを特徴とする。
【0009】
本段ボール製造用加熱装置では、加熱手段と冷却手段とは、それぞれ別部材で構成されているという構成を採用する。この構成によれば、加熱手段と冷却手段とを一体で構成する場合には複雑な形状の部材となり、加工に制約を受けるが、上述の構成では、加熱手段の部材と冷却手段の部材とは、それぞれ別個の部材として製造できるので、加工の制約が低減され、また、加工自体も容易になる。その結果、段ボール製造用加熱装置を製造する際の製造コストを低減することができる。
【0010】
次の発明にかかる段ボール製造用加熱装置は、加熱手段若しくは冷却手段の少なくとも一方の温度を制御することにより、片面段ボールシート及び表ライナ紙へ与える熱量を調整する温度制御手段を有していることを特徴とする。
【0011】
この段ボール製造用加熱装置では、加熱手段又は冷却手段の少なくとも一方の温度を制御することができるので、両面段ボールシートに加える熱量の調整を行うことができる。したがって、両面段ボールシートの過剰加熱を抑制することができる。
【0012】
次の発明にかかる段ボール製造用加熱装置は、加熱手段と冷却手段との距離を変更することにより、片面段ボールシート及び表ライナ紙へ与える熱量を調整する距離可変手段を有していることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、加熱手段と冷却手段との距離を変更することにより、加熱手段と冷却手段との間の接触熱伝達率を変更できるので、接触部の温度調整を容易に行うことができる。
【0014】
次の発明にかかる段ボール製造用加熱装置は、片面段ボールシートと表ライナ紙とのライン速度、すなわち両面段ボールシートが生産されるライン速度、又は片面段ボールシートの紙種情報、又は表ライナ紙の紙種情報のうち少なくとも1つに基づいて、温度制御手段又は距離可変手段の少なくとも一方を制御することにより、片面段ボールシート及び表ライナ紙へ与える熱量を調整する総合制御手段を有していることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、紙種情報に基づいて温度制御手段若しくは距離可変手段を制御することにより、両面段ボールシート製造前に、温度制御手段若しくは距離可変手段を制御し、段ボール製造用加熱装置の温度をプリセットすることができる。紙種に応じてどの程度両面段ボールシートを加熱し、乾燥させれば反りの少ない両面段ボールシートが製造できるかが定まるからである。これにより、両面段ボールシート製造開始時に発生する可能性の高い両面段ボールシートの過乾燥を抑制することができるので、両面段ボールシート製造後に発生する反りを低減できる。
【0016】
次の発明にかかる段ボール製造用加熱装置は、片面段ボールシート又は表ライナ紙の温度又は水分量の少なくとも一方を計測する計測手段を有しており、総合制御手段は、計測手段から得られた温度又は水分量の少なくとも一方に基づいて、温度制御手段又は距離可変手段を制御することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、片面段ボールシート又は表ライナ紙の温度又は水分量の少なくとも一方の情報に基づいて、温度制御手段若しくは距離可変手段を制御するので、両面段ボールシート製造中においても接触部の温度調整を行うことができる。即ち、段ボール製造用加熱装置の入口や出口における上述の片面段ボールシートや表ライナ紙の温度又は含水分量に基づいて、両面段ボールシート製造中においても段ボール製造用加熱装置の温度を変更できる。即ち、片面段ボールシートや表ライナ紙の湿度が低いときは、片面段ボールシートや表ライナ紙に与える熱量を少なくして、過乾燥を抑制することができるので、両面段ボールシート製造後に発生する反りを低減できる。
【0018】
次の発明にかかる両面段ボールシート製造装置は、片面段ボールシートに接着剤を塗布する前に予熱する片段用プレヒータと、表ライナ紙に接着剤を塗布する前にライナ紙を予熱する第1表ライナ用プレヒータと、予熱された片面段ボールシートと表ライナとに接着剤を塗布するグルーマシンと、接着剤が塗布された後の表ライナ紙をさらに加熱する第2表ライナ用プレヒータと、段ボール製造用加熱装置と、片面段ボールシート及び表ライナ紙を搬送する搬送手段と、搬送手段を介して片面段ボールシートと表ライナとを段ボール製造用加熱装置に押し付ける加圧手段とを有していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、片面段ボールシートと表ライナ紙とを加圧すると共に、段ボール製造用加熱装置によって、片面段ボールシートと表ライナ紙とに付着した接着剤を乾燥させ、両面段ボールシートを製造することができる。上述の加圧をすることによって、両面段ボールシートが平滑に形成された接触部に押し付けられるので、シートの四隅の反りが抑制され平滑な両面段ボールシートを製造することができる。なお、上述の反り量の合計が17mm以下となるように上述の加圧によって両面段ボールシートを接触部に押し付けることが好ましい。
【0020】
また、上述の平滑に形成された接触部の寸法公差は、当該接触部が冷態時(段ボール製造用化加工装置の非運転時であって、接触部が常温の時)において、0.05mm以下とすることが好ましい。さらに、当該寸法公差は、接触部の過熱時においても10mm以下となるように、接触面は平滑に設定されていることが好ましい。なお、寸法公差とは、接触部の最大高さと最小高さとの差のことである。
【0021】
さらに、この両面段ボールシート製造装置は、その接触部の温度を強制冷却できるので、オーダーチェンジの際に、迅速に接触部の温度を変更することができる。すなわち、両面段ボールシート製造開始時に発生する可能性の高い両面段ボールシートの製造不良を抑制することができる。
【0022】
次の発明にかかる両面段ボールシートの製造方法は、両面段ボールシートを製造するにあたり、片面段ボールシートを予熱する手順と、片面段ボールシートと貼り合わされる表ライナ紙を予熱する手順と、片面段ボールシートと表ライナ紙とに接着材を塗布する手順と、表ライナ紙を再び予熱する手順と、片面段ボールシートと表ライナ紙とを加熱し、接着させる手順とを含み、片面段ボールシートと表ライナ紙とを加熱し、接着させる手順は、片面段ボールシート又は表ライナ紙と接触する接触面が平滑に形成された接触部を強制冷却、及び、強制加熱できる手段を用いることを特徴とする。
【0023】
上述の方法によれば、接触部の温度変更が可能な段ボール製造用加熱装置を用いて両面段ボールシートを製造するので、好適な両面段ボールシートを製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
この発明にかかる段ボール製造用加熱装置、両面段ボールシート製造装置及び両面段ボールシート製造方法によれば、オーダーチェンジ時に熱に対する応答性のよい段ボール製造用加熱装置、両面段ボールシート製造装置及び両面段ボールシート製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例(この発明を実施するための最良の形態)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明にかかる両面段ボールシート製造装置を示す概略図である。この両面段ボールシート製造装置1は、片段用プレヒータ12、第1表ライナ用プレヒータ13、グルーマシン14、第2表ライナ用プレヒータ15、ヒーティング部16、蒸気配管(図示省略)、搬送ベルト17、加圧装置55、クーリング部33、ロータリシャー50、センサ18,19、総合制御装置23とを有している。
【0027】
ここで、片段用プレヒータ12は、片面段ボールシート10に接着剤を塗布する前に予熱する手段である。第1表ライナ用プレヒータ13は、表ライナ紙11を予熱する手段である。
【0028】
さらに、グルーマシン14は、予熱された片面段ボールシート10に接着剤を塗布する手段である。第2表ライナ用プレヒータ15は、表ライナ紙をさらに加熱する手段である。ヒーティング部16は、それ自身が加熱することにより片面段ボールシート10と表ライナ紙13とに塗布された接着剤をゲル化後に乾燥させて片面段ボールシート10と表ライナ紙13とを接着させる手段である。蒸気配管(図示省略)は、ヒーティング部16に蒸気を供給する手段である。
【0029】
搬送ベルト17は、片面段ボールシート10及び表ライナ紙11を搬送する手段である。加圧装置55は、搬送ベルト17を介して片面段ボールシート10と表ライナ紙11とをヒーティング部16に押し付ける手段である。
【0030】
センサ18は、グルーマシン14と第2表ライナ用プレヒータ15との間を通過する片面段ボールシート10の両面の水分量又は温度のうち少なくとも一方を測定する手段である。センサ19は、ヒーティング部16を通過した後の貼り合わされた片面段ボールシート10と表ライナ紙11(以下、両面段ボールシートと称する)の両面の水分量及び/若しくは温度を測定する手段である。総合制御装置23(総合制御手段)は、それぞれのセンサ18,19から得られた情報に基づいて後述する温度制御手段又は距離可変手段のうち少なくとも一方を制御する。
【0031】
ヒーティング部16は複数のヒーティングボックス22(段ボール製造用加熱装置)によって構成されており、それぞれのヒーティングボックス22は、上述の総合制御装置23によって制御される。
【0032】
次にヒーティングボックス22について説明する。図2はヒーティングボックスの概略図である。同図に示すように、ヒーティングボックス22は、冷却板25と、冷却媒体管路30と、加熱板26と、蒸気供給管29と、蒸気排気管34と、昇降装置27(距離可変手段)とから構成されている。
【0033】
冷却板25は、片面段ボールシート若しくは表ライナ紙と接触する接触部24を有している。冷却媒体管路30(冷却手段)は、冷却板25に冷却媒体を供給して、冷却板25を強制冷却する手段である。
【0034】
また、蒸気供給管29は、加熱板26の蒸気室28(加熱手段)に高圧の蒸気を供給する手段である。これにより、強制加熱することができる。昇降装置27(距離可変手段)は、加熱板26を上下に昇降させる手段である。
【0035】
図3は、加熱板の上面視断面図である。同図に示すように加熱板26の内部には、蒸気室28が形成されており、蒸気供給管29(図2参照)及び蒸気排気管34(図2参照)と連通するための蒸気供給孔29H及び蒸気排出孔34Hが穿設されている。
【0036】
ヒーティングボックス22において、冷却板25は、薄肉化され、伝熱効率が高くなるように設計されていることが好ましい。しかし、冷却板25は、接触部24が熱変形を起こさないよう十分肉厚とすることにも考慮する。即ち、極端に薄肉化するのではなく、冷却板の厚みを10mm程度とすることが好ましい。さらに、冷却板25と加熱板26は鋳鉄でもよいが、加工の容易化および熱容量の減少のため、鋳鉄よりも比熱が低い炭素鋼ないしステンレス(SUS)鋼板の加工により形成することが好ましい。
【0037】
上述の蒸気供給管29は、蒸気室28に供給される蒸気の量を調整し、加熱板の温度を調整する機能を有する蒸気バルブ31(温度制御手段)と、昇降装置27によって加熱板26が昇降した際に、蒸気供給管29の距離変化を吸収するためのベローズ32と、を有している。
【0038】
蒸気バルブ31及び昇降装置27は、手動で調整してもよいし、上述した総合制御装置23からの信号に基づいてアクチュエータを動作させ、それぞれ蒸気バルブ31の開閉によって蒸気量を調整したり、昇降装置27により加熱板26の位置調整をしたりしてもよい。また、上述の蒸気を蒸気室28から排出するための蒸気排出管34は、加熱板26が昇降する際に、その蒸気排気管34の距離変化を吸収するベローズ32を有している。
【0039】
従来、片段用段ボールシート又は表ライナ紙とヒーティングボックスとの接触部の冷却手段としては、ヒーティングボックスに供給する蒸気の圧力を1.2MPaから0.9MPaに減圧して、前記蒸気温度を190℃から170℃に低下させる方式があった。しかし、ヒーティングボックスの熱容量が大きいため、応答性のよい制御手段ではなかった。
【0040】
しかし、本実施例の構成によれば、加熱板26と接触部24の間に冷却手段として冷却媒体管路30が設けられているので、接触部24を強制冷却することができる。これによって、オーダーチェンジ時においても接触部24を迅速に冷却することができる。即ち、オーダーチェンジ直後において、両面段ボールシートに余分な熱を加えることを抑えることができるので、両面段ボールシートの過剰乾燥を抑制することができる。
【0041】
さらに、加熱板26に供給される蒸気圧を調整することによって蒸気量の調整ができるので、オーダーチェンジ時においても接触部24を強制加熱することができる。加熱板26の薄肉化と組み合わせることにより、オーダーチェンジ直後において、両面段ボールシートに与えるべき熱量が少ないときでも迅速に接触部24の温度を上昇させることができる。これによって、片面段ボールシート10と表ライナ紙11との間に塗布された接着剤のゲル化を早め、未乾燥を抑制することができるので、両面段ボールシートの接着不良を低減することができる。
【0042】
また、従来、加熱板内の温度分布の影響を受けて加熱板自体が変形することがあり、その変形がヒーティング部を通過した後の両面段ボールシートの表面に少なからず影響を与えていた。しかし、本発明によれば、加熱板26と表ライナ紙11との間には冷却板25が配置されており、冷却板25と加熱板26とは別体に形成されており、さらに、それらの間には空間が形成されている。即ち、加熱板26と両面段ボールシート33との間には冷却板があり、加熱板26の変形が当該表面に与える影響を少なくできる。
【0043】
次に上記構成を用いた両面段ボールシートの製造方法について図1から図3に基づいて説明する。まず、接着剤を塗布するために、片面段ボールシート10及び表ライナ紙11を適切な温度にする必要がある。このため、片面段ボールシート10は、片段用プレヒータ12で予熱され、表ライナ紙11は第1表ライナ用プレヒータ13で予熱される。その後、グルーマシン14によって、片面段ボールシート10のコルゲート面側に接着剤が塗布される。
【0044】
表ライナ紙11は、片面段ボールシート製造装置内で既に予熱されている片面段ボールシート10と略同一の温度に設定されるべく、再び第2表ライナ用プレヒータ15によって加熱される。片面段ボールシート10と表ライナ紙11とはヒーティング部16の入り口で重ねられ、搬送ベルト17によってヒーティング部16に搬送される。
【0045】
ヒーティング部16では、冷却板25の接触部24上に表ライナ紙11が搬送されるようになっており、該表ライナ紙11上に片面段ボールシート10が搬送されるようになっている。そして、加圧装置55が搬送ベルト17を介して、片面段ボールシート10および表ライナ紙11を接触部24に押し付けるようになっている。
【0046】
このように、片面段ボールシート10と表ライナ紙11とを加圧すると共に、ヒーティングボックス22によって、片面段ボールシート10と表ライナ紙11とに付着した接着剤を乾燥させ、両面段ボールシート33を製造する。なお、加圧装置55に段ボール製造用加熱装置を設けてもよい。
【0047】
また、センサ18,19によって、片面段ボールシート10及び両面段ボールシート33の温度又は水分量を計測し、その値に基づいて総合制御装置23が温度制御手段又は距離可変手段のうち少なくとも一方を制御する。これによって接触部24の温度を調節する。なお、当該制御手順は後述する。
【0048】
次に、センサ18,19及び総合制御装置23を用いた場合の制御手順について図4のフローチャートを用いて説明する。まず、センサ18により片面段ボールシート10の温度T1'又は水分量W1'の値を総合制御装置23が得る(ステップS10)。温度T1'が所定の規定温度T1より高い場合、又は、水分量W1'が所定の規定水分量W1より低い場合(ステップS20)にはヒーティング部16(特に接触部24)の温度を低下させ(ステップS30)、ステップS20の条件に該当しない場合にはステップS40に進む判断を総合制御装置23が行う。
【0049】
このヒーティング部16の温度を低下させる手段としては、例えば、次のような手法がある。第1の手法は、冷却媒体管路30に冷媒を流し、熱交換により温度を低下させる。第2の手法は蒸気バルブ31を制御し、蒸気室28へ供給される蒸気圧を0.1MPa〜1.2MPaの間で減圧し、蒸気温度を低下させる。第3の手法は昇降装置27を制御し、冷却板25と加熱板26との距離を調整することにより、接触熱伝達率を低下させる。この実施例にかかる両面段ボールシートの製造方法では、前記第1の手段、前記第2の手段、又は前記第3の手段のうち少なくとも一つを用いて、ヒーティング部16の温度を低下させればよい。
【0050】
次に、センサ19により両面段ボールシート33の温度T2'又は水分量W2'の値を総合制御装置23が得る(ステップS40)。温度T2'が所定の規定温度T2より高い場合、若しくは、水分量W2'が所定の規定水分量W2より低い場合(ステップS50:Yes)にはヒーティング部16(特に接触部24)の温度を下げ(ステップS30)、ステップS50の条件に該当しない場合には、ヒーティング部16の温度を上げ(ステップS60)、RETURNに進む。その後、RETURNからSTARTに戻ってもよい。これらの判断を総合制御装置23が実行する。
【0051】
なお、上述の規定温度T1,T2、規定水分量W1,W2はある程度の幅を持った値(許容値)とすることが好ましい。例えば、規定温度T1を90℃と設定し、温度許容値を5℃と設定する。そして、ステップS20において、温度T1'が95℃以上であれば、ステップS30に進むこととし、ステップS50においては、温度T1'が85℃以下であれば、ステップS30に進むこととするように設定する。規定水分量W1、W2についても同様に水分量許容値を設定する。
【0052】
言い換えれば、規定温度±温度許容値内に温度T1',T2'がある場合や規定水分量±水分量許容値内に水分量W1',W2'がある場合には、冷却板25の接触部24の温度調整を行わないとする制御ができる。これによって、制御が安定し、接触部24の温度も安定したものとなり、結果として、安定した両面段ボールシート33の製造ができる。
【0053】
このヒーティング部16の温度を上昇させる手段としては、例えば、次のような手法がある。第1の手法は、冷却媒体管路30に流している冷媒の供給を停止させ、冷却効果をなくし、加熱板の熱により温度上昇させる。第2の手法は、蒸気バルブ31を制御し、蒸気室28へ供給される蒸気圧を0.1MPa〜1.2MPaの間で加圧し、蒸気温度を上げる。第3の手法は、昇降装置27を制御し、冷却板25と加熱板26との距離を調整することにより、接触熱伝達率を上げ、加熱板の熱によりヒーティング部16の温度を上昇させる。この実施例にかかる両面段ボールシートの製造方法では、前記第1の手段、前記第2の手段、又は前記第3の手段のうち少なくとも一つを用いて、ヒーティング部16の温度を上昇させればよい。
【0054】
また、ヒーティング部16の温度を下げる場合には、両面段ボールシート33の流れ方向下流にあるヒーティングボックス22から順に温度を下げることが好ましい。例えば、ヒーティング部16にあるすべてのヒーティングボックス22の温度が180℃で、下流側における両面段ボールシート33の温度が規定温度T2以上であった場合には、ヒーティング部16の温度を下げる必要がある。この場合、上流側のヒーティングボックス22の温度は180℃のままにし、下流側のヒーティングボックス22の温度を160℃にする。このようにすることによって、ヒーティング部16全体として、両面段ボールシート33に与える熱量を減少させ、両面段ボールシート33を過剰に乾燥させないように調整する。一般に紙中の水分の温度上昇および蒸発は、紙の温度上昇に比べて時間的に遅れるので、下流側のヒーティングボックスの設定温度を下げることにより、両面段ボールシートの温度を大きく低下させることなしに、紙中の水分蒸発に使われる熱量を減少させ、過乾燥を防止することが可能になる。これにより、両面段ボールシートの反り現象を防止することができる。
【0055】
反対に、ヒーティング部16の温度を上げる場合には、上流側のヒーティングボックス22から温度を上げる。例えば、上流側の3つのヒーティングボックス22が160℃で、下流側の5つのヒーティングボックス22が160℃であって、ヒーティング部の温度を上げる必要がある場合には、上流側の6つのヒーティングボックス22を180℃にし、下流側の2つのヒーティングボックス22は160℃のままにする。このようにして、ヒーティング部16全体として、両面段ボールシート33に与える熱量を上昇させると同時に、両面段ボールシート33の過剰乾燥にならないように調整する。これにより、両面段ボールシートの反り現象を防止することができる。
【0056】
ところで、一般的にオーダーチェンジの際には、両面段ボールシートの紙種に応じて接触部24の温度を変更する必要がある。
【0057】
例えば、搬送ベルト17の速度は一定だとすると、片面段ボールシート10又は表ライナ紙11の紙種が変われば、接着剤まで熱が伝わる速度が変化する。つまり、片面段ボールシート10と表ライナ紙11との接着までに要する時間が変化し、接着不良の両面段ボールシートができてしまう場合や両面段ボールシートの過剰乾燥による反りが発生してしまう場合があるからである。
【0058】
本実施例では、温度制御手段を有しているので、オーダーチェンジの際に、次の片面段ボールシート10又は表ライナ紙11の状態に適した温度に接触部24を迅速に調整することができる。これにより、接着不良の発生しやすい厚紙の高速貼合時には熱量を多く、過乾燥状態になりやすい薄紙の低速貼合時には熱量を少なく与えるよう、ヒーティングボックス22の温度が設定される。したがって、オーダーチェンジ後の初期の段階における両面段ボールシートの接着不良や過剰乾燥を低減することができる。
【0059】
なお、片面段ボールシート10の紙種情報に基づいて総合制御装置23が温度制御手段又は距離可変手段のうち少なくとも一方を制御する場合は次の手法を用いればよい。
【0060】
例えば、標準的な紙厚よりも薄い紙厚の両面段ボールシートを製造する場合やライン速度が200m/min以下である場合には、上述のヒーティング部16の温度を低下させる手段の「第1の手法」から「第3の手法」のいずれかを用いて温度を低下させればよい。
【0061】
逆に、標準的な紙厚よりも厚い紙厚の両面段ボールシートを製造する場合やライン速度が350m/min以上である場合には、上述のヒーティング部16の温度を上昇させる手段の「第1の手法」から「第3の手法」のいずれかを用いて温度を上昇させればよい。
【0062】
(変形例)
次に、本実施例にかかるヒーティングボックスの変形例について説明する。この変形例は、実施例1と同様の構成であるが、冷却板と加熱板を一体に形成した点が異なる。図5は、実施例1の変形例にかかるヒーティングボックスを示す説明図である。
【0063】
同図に示すように、冷却板25と加熱板26とを一体に形成してもよい。このように一体に形成することによって、冷却板25と加熱板26との間に空間を設けて接触熱伝達率を下げる効果は得られないが、蒸気室28と接触部24との間に冷却媒体管路30が存在するので、冷却板25分だけ厚くヒーティングボックス22を形成することができる。したがって、蒸気室28付近での熱分布による熱変形が接触部24に与える影響を小さくすることができる。
【0064】
以上、実施例1及びその変形例では、加熱板と接触部の間に冷却手段として冷却媒体管路が設けられている構成とした。これによって、接触部を強制冷却できるという作用が得られる。その結果、オーダーチェンジ時においても接触部24を迅速に冷却することができるという効果が得られる。
【0065】
また、上述の制御手段を用いることによって、片面段ボールシートと表ライナ紙の紙種情報、温度、湿度に基づいて常時、接触部24の温度調整をすることができる。したがって、製造された両面段ボールシートの接着不良や反りを低減することができる。
【実施例2】
【0066】
実施例2にかかる両面段ボールシート製造装置は、上記実施例1にかかる両面段ボールシート製造装置と略同一の構成であるが、蒸気室を複数設けた点が異なる。その他の構成は実施例1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0067】
図6は加熱板の上面視断面図である。同図に示すように、加熱板36の内部には両面段ボールシート幅方向(両面段ボールシートの流れ方向と垂直方向であり、且つ、両面段ボールシートの面と平行な方向)に複数の蒸気室37が形成されている。そして、それぞれの蒸気室37には蒸気供給管29及び蒸気排出管34と連通するための蒸気供給孔29H及び蒸気排出孔34Hが穿設されている。それぞれの蒸気室37に送られる蒸気量は、実施例1に示した蒸気バルブ31を制御することによって調整される。
【0068】
上述のように複数の蒸気室37を両面段ボールシート幅方向に形成し、それぞれの蒸気室37へ供給される蒸気量を調整することによって、両面段ボールシート幅方向における両面段ボールシート33の温度・水分量を調整することができる。
【0069】
即ち、両面段ボールシート幅方向の温度・水分量が均一でないために、両面段ボールシート33の伸縮率がシート幅方向に均一にならず、シートに反りが発生することもあるが、上述の構成により、ヒーティング部を通過した両面段ボールシート33の温度・水分量を均一にするように調整することができる。その結果として、当該両面段ボールシート33の温度・水分量がシート幅方向に均一になることによって、両面段ボールシート33の伸縮率がシート幅方向に均一になり、反りのない好適な両面段ボールシート33の製造が可能となる。
【実施例3】
【0070】
実施例3にかかる両面段ボールシート製造装置は、上記実施例1にかかる両面段ボールシート製造装置と略同一の構成であるが、蒸気室を蒸気流路とした点が異なる。その他の構成は実施例1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0071】
図7は加熱板の上面視断面図である。同図に示すように、加熱板40の内部に蒸気流路41を形成する。この蒸気流路41は、両面段ボールシート幅方向に伸びる管路となっている。また蒸気流路41には、蒸気供給管29と連通するための蒸気供給孔29H、及び、蒸気排気管34と連通するための蒸気排出孔34Hが穿設されている。
【0072】
上述のように構成することによって、蒸気流路41に沿って蒸気が循環することになるので、蒸気流路41内の蒸気の流速をたとえば30m/sの適切な速度に保てば、熱交換により凝縮したドレンは流路に沿って下流側に排出され、ドレンによる温度低下も抑制することができる。また、蒸気流路41の表面積は同体積の蒸気室より広くなるため、加熱板40との単位時間当たりの熱交換効率が上昇し、ドレンの凝縮量に見合った蒸気を蒸気供給管29から供給することにより、加熱装置の熱効率を上昇させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明にかかる段ボール製造用加熱装置、両面段ボールシート製造装置及び両面段ボールシート製造方法は、オーダーチェンジ時に有用であり、特に、両面段ボールシートの製造に適している。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】両面段ボールシート製造装置の概略図を示す図である。
【図2】ヒーティングボックスの概略図である。
【図3】加熱板の上面視断面図である。
【図4】温度調節のための制御手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例1のヒーティングボックスの変形例を示す概略図である。
【図6】実施例2にかかる加熱板の上面視断面図である。
【図7】実施例3にかかる加熱板の上面視断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10 片面段ボールシート
11 表ライナ紙
12 片段用プレヒータ
13 第1表ライナ用プレヒータ
14 グルーマシン
15 第2表ライナ用プレヒータ
16 ヒーティング部
17 搬送ベルト
18,19 センサ
22 ヒーティングボックス
23 総合制御装置
25 冷却板
26 加熱板
27 昇降装置
28 蒸気室
29 蒸気供給管
30 冷却媒体管路
31 蒸気バルブ
32 ベローズ
33 クーリング部
34 蒸気排出管
50 ロータリーシャー
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明


【公開番号】 特開2008−55790(P2008−55790A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236512(P2006−236512)