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【発明の名称】 段ボール紙の製造方法及び装置
【発明者】 【氏名】加藤 利英

【氏名】藤田 明久

【氏名】佐藤 弘

【要約】 【課題】両面段ボール紙の製造工程において、波形に成形された中芯紙の段頂部とライナ紙とを接着する場合に、澱粉液が塗布された中芯紙の段頂部に接着されるライナ紙の接着面に対する水分及び澱粉粒子の浸透性を向上させることによって、接着性能を向上させる。

【構成】中芯紙とライナ紙とを接着する押圧工程の前段に、軸方向が該ライナ紙nの紙幅方向に沿って配置され、ロール外周面に水膜が形成された水付けロール2をライナ紙nの中芯紙との接着面に接触させて所定の水分を付与する水分付与工程を有することにより、該接着面全域の水分含有量を、後工程の押圧工程で中芯紙の段頂部に塗布された澱粉液からライナ紙nの接着面への水分及び澱粉粒子の浸透が起こる最適の水分含有量、好ましくは3〜6重量%とする。これによって接着不良を防ぎ、中芯紙とライナ紙nとの接着性能が良好な両面段ボール紙を製造可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が波形に成形された中芯紙の波形頂部に澱粉液を塗布する塗布工程と、澱粉液が塗布された該波形頂部にライナ紙を押圧する押圧工程とを含み、押圧されたライナ紙と中芯紙とを接着する段ボール紙の製造方法において、
前記押圧工程の前段に、軸方向が該ライナ紙の紙幅方向に沿って配置されロール外周面に水膜が形成された水付けロールを該ライナ紙の前記中芯紙との接着面に接触させて所定の水分を付与する水分付与工程を有することを特徴とする段ボール紙の製造方法。
【請求項2】
前記水分付与工程において、前記ライナ紙の水分含有量が、前記押圧工程の直前で3〜6重量%となるように水分付与することを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の製造方法。
【請求項3】
前記水膜を形成する水を予め室温以上に加熱しておくことを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の製造方法。
【請求項4】
前記ライナ紙の走行速度に対して前記水付けロール外周面の周速を変化させることにより該ライナ紙に付与する水分量を調整することを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の製造方法。
【請求項5】
前記水膜を形成する水に粘度増加剤又はアルカリ化剤が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール紙の製造方法。
【請求項6】
断面が波形に成形された中芯紙の波形頂部に澱粉液を塗布する手段と、澱粉液が塗布された該波形頂部にライナ紙を押圧する手段とを備えた段ボール紙の製造装置において、
前記押圧手段の上流側に、該ライナ紙の該中芯紙との接着面へ紙面全幅に亘り接触することにより該ライナ紙に水分を付与する水付けロールを備えたことを特徴とする段ボール紙の製造装置。
【請求項7】
該水付けロールの外周面との間に所定の隙間をもって配置されることにより該水付けロールの外周面に形成される水膜の膜厚を調整する掻き取り装置と、
該水付けロールの外周面と該掻き取り装置との隙間を調整する手段とを備えたことを特徴とする請求項6に記載の段ボール紙の製造装置。
【請求項8】
前記水付けロールの外周面には複数の凹部が形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の段ボール紙の製造装置。
【請求項9】
該水付けロールと共に該ライナ紙を挟んで加圧する加圧部材を設けたことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の段ボール紙の製造装置。
【請求項10】
該水付けロールに接する該ライナ紙の接触面と反対側の面を吸引する手段を設けたことを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の段ボール紙の製造装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲータと称され、表ライナ紙、中芯紙及び裏ライナ紙を貼り合わせて両面段ボールシートなどを製造する装置において、中芯紙と裏ライナ紙とを貼り合わせて片面段ボール紙を製造するシングルフェーサや、該片面段ボール紙に表ライナ紙を貼り合わせて両面段ボール紙を製造するダブルフェーサでの中芯紙と表裏ライナ紙との接着性能を向上させた段ボール紙の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲータと称される段ボール製造装置の製造ライン上流側は、一般的に、段ボール紙の原料になる表・裏ライナ原紙や中芯原紙のロール原紙を装備するミルロールスタンドと、コルゲータに向けて連続的に段ボール原紙を供給するための紙継ぎ装置としてのスプライサと、該ミルロールスタンドから繰り出された中芯紙を波形に成形して裏ライナと貼り合わせ、片面段ボール紙を製造するシングルフェーサと、該シングルフェーサで製造された片面段ボール紙の段頂部に糊付けして表ライナと貼り合わせて両面段ボール紙を製造するダブルフェーサとから構成される。
【0003】
さらにダブルフェーサの製造ライン下流側には、両面段ボール紙の生産オーダに沿って所望位置に罫線加工及び裁断加工を行なうスリッタスコアラと、両面段ボール紙の切断加工を行なうカットオフ装置が設けられ、カットオフ装置の下流側には、紙継ぎ装置やその下流側の製造ラインで発生した不良紙を除去する除去機が設けられている。
【0004】
特許文献1(特開昭61−270143号公報)には、片面段ボール紙を製造するシングルフェーサの一例が開示されている。このシングルフェーサの概要を図11により説明する。図11において、図示しないミルロールスタンドに装備されたロール原紙r1から中芯原紙c1が連続的に繰り出され、中芯原紙c1は、外周面が波形に形成された上段ロール01及び下段ロール02の噛み合い部を通ることにより波形断面を有する中芯紙c2に成形される。
【0005】
上段ロール01及び下段ロール02は、例えば内部が中空とされ該中空部に過熱蒸気が供給される等の手段によって加熱されており、中芯原紙c1は、上段ロール01に巻回されることによって予備加熱され、上下段ロール01及び02のニップ部を通ることにより波形に成形された後、下段ロール02に巻回されながら生澱粉液塗付手段03により波形の段頂部に生澱粉液を塗布される。
生澱粉液は澱粉を水中に懸濁させたものであり、加熱すると澱粉粒子が崩壊し、ゲル化(溶解)する。この現象を「糊化」と言い、このとき澱粉懸濁液は急激に粘度を増し接着性を増す。澱粉粒子が最大限吸水したとき粘度が最大となる。
【0006】
中芯紙c2の山頂部に塗布された生澱粉液は、中芯紙c2が下段ロール02に巻回された間に加熱されゲル化して接着性を増し、糊となる。
一方、図示しないミルロールスタンドに装備されたロール原紙r2からは裏ライナ紙mが連続的に繰り出され、過熱蒸気の供給、あるいはその他の手段によって加熱された加熱ロール05及び08を通ることによって予備加熱される。
その後、波形の中芯紙c2と裏ライナ紙mとは、下段ロール02とプレスロール04のニップ部で重ね合わされて押圧され、糊化した澱粉糊により互いに接着されて片面段ボール紙sを形成する。
【0007】
シングルフェーサで製造された片面段ボール紙sは、その後ダブルフェーサに送られて両面段ボール紙が製造される。
次に、従来のダブルフェーサの一例を図12を用いて説明する。図12において、片面段ボール紙sは、プレヒータ011で予熱され、糊付装置012で段頂部に生澱粉液が塗布された後、ダブルフェーサ010に導入される。一方、表ライナ紙nは、ミルロールスタンドに装着されたロール原紙r3から繰り出され、プレヒータ013で予備加熱された後、ダブルフェーサ010に導入される。
【0008】
ダブルフェーサ010は、片面段ボール紙s及び表ライナ紙nの走行路を形成する熱盤群014を備え、片面段ボール紙sと表ライナ紙nとが重ね合わされて該熱盤群014上を走行する。熱盤群014の中空部に過熱蒸気が供給され、各熱盤上面は例えば180℃に加熱される。該熱盤群014の上方及び該熱盤群の下流側には、片面段ボール紙sと表ライナ紙nとが接着されて形成された両面段ボール紙dを挟持して搬送する上コンベア016と下コンベア017とが配設されている。また該熱盤群014の上部には、エア加圧装置又はウェイトロール等によって上コンベア016の背面を加圧することによって片面段ボール紙s及び表ライナ紙nを上方から加圧する加圧装置015が設けられている。
また下コンベア017を背面から支持する下ロール群018と、加圧装置015の下流側で上コンベア016の背面に配置された上ウェイトロール群019とが設けられている。
【0009】
ダブルフェーサ010の熱盤群014と加圧装置015との間に導入された片面段ボール紙sと表ライナ紙nとは、糊付装置012で片面段ボール紙sの中芯紙c2の段頂部に塗布された生澱粉液を介して接合された状態に置かれ、上コンベア016と下コンベア017とで挟持されて搬送される。そして、熱盤群014に接触摺動しながら走行しつつ受熱して昇温される表ライナ紙nからの熱によって生澱粉液が糊化され、その接着力で接着され、両面段ボール紙dが形成される。
なお、段ボール原紙は、例えば300m/分もの高速で走行するため、ダブルフェーサの走行面を数秒で通過する。
こうして接着された両面段ボール紙dは、上コンベア016及び下コンベア017により搬送されて後工程に搬出されるようになっている。
【0010】
このようにシングルフェーサやダブルフェーサで中芯紙の段頂部に生澱粉液が塗布され、該段頂部に裏ライナ紙又は表ライナ紙が接着されるが、この接着力を発揮させるためには、接着部に対する「加圧力」の付与と一定以上の「加熱時間」が必要になる。この接着の過程を図13により説明する。
図13において、中芯紙c2の山頂部に生澱粉液pが塗布され、該山頂部にライナ紙m又はnが押圧されると、まず初期段階として、矢印aに示すように生澱粉液pに含まれる水分のライナ紙m又はnへの浸透が始まり、水分の浸透により紙面間に残った生澱粉液pの濃度が上がり、水分に続いて澱粉粒子の浸透が行なわれる。
【0011】
次にシングルフェーサにおける上下段ロール01及び02による加熱、又はダブルフェーサ010における熱盤群014による加熱により、生澱粉液pが加熱されてゲル化(糊化)し、接着性能が高まる。これによって中芯紙c2の山頂部にライナ紙m又はnが接着される。このように接着過程初期段階での接着側シートへの水分及び澱粉粒子の浸透が促進されることにより、ゲル化の接着性能が良好となる。
【0012】
また、上記した紙シートに対する「加圧力」や「加熱時間」のみならず、接着工程前の紙シートに所定の水分が含有されていたほうが接着過程初期段階の水分及び澱粉粒子の接着側シートへの浸透を過度に促進して、接着性能を良くすることが知られている。
そこで、紙シートに対する水分付与の手段として、例えば水スプレーや蒸気吹き付け等の手段が考えられている。
例えば特許文献1では、図11に示すように、中芯紙c2と裏ライナ紙mとの接着工程の前段で裏ライナ紙mに蒸気を吹き付ける手段06及び07を設けている。
【0013】
【特許文献1】特開昭61−270143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、中芯紙とライナ紙との接着工程の前段階での水分付与は、水分付与量が多すぎても中芯紙とライナ紙との接着はうまくいかず、その付与量を正確に調整する必要がある。理想的には、中芯紙又はライナ紙の水分含有量が3〜6重量%となるようにするのがよい。また紙幅方向に均一に付与する必要がある。
【0015】
これに対し水スプレー装置では、水分付与量を計画的にコントロールすることが困難であり、適正な水分量を正確に付与できないため、接着過程初期段階で接着側シートへの水分及び澱粉粒子の浸透が起こらない。
また、通常中芯原紙やライナ紙の紙幅は1000〜2500mmあり、紙シート面に対して紙幅方向に水噴霧ノズルが配置された場合、水噴霧範囲の中心部と周辺部とで水量を均一に噴霧ことが難しく、従って紙幅方向に均一且つ正確に水量を付与することが困難である。さらに、長期に亘る使用により水噴霧ノズルが磨耗すると、紙幅方向の均一加湿が一層困難となる。
【0016】
水分の付与にムラがあると、水分の多い箇所は部分的に伸びて紙シート面の平面度を損なう。平面度の悪いシートは接着工程で加熱ロール又は熱盤群との接触が一様でないため部分的に加熱不足となる。
従って、生澱粉液に部分的なゲル化不足が生じ、製造された両面段ボール紙の接着不良の原因となる。
【0017】
また、特許文献1に開示された蒸気を吹き当てる手段では、前記水スプレー装置がもつ水分付与の不均一性の問題は概ね解消できるが、依然として水分付与量を正確にコントロールすることができないという問題があり、微妙な水分付与量の調整を必要とする澱粉糊の接着性を改善することなど不可能である。
また、近年、段ボール紙製造装置では生産効率を向上させるため、中芯紙やライナ紙の走行速度が高速化されてきているが、高速で走行する中芯紙やライナ紙に蒸気を吹き付けただけでは十分な量の水分を付着・浸透させるのは難しく、ほとんど加湿されないまま通過しているのが現状である。
【0018】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、段ボール紙の製造工程において、特に、シングルフェーサやダブルフェーサで波形に成形された中芯紙の段頂部とライナ紙とを接着する場合に、該ライナ紙の接着面に対して全紙幅方向に亘り水分量を均一に塗布できるようにするとともに、高速で走行する紙面に対しても十分な水分量を正確に付与できる手段を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
かかる目的を達成するため、本発明の段ボール紙の製造方法は、断面が波形に成形された中芯紙の波形頂部に澱粉液を塗布する塗布工程と、澱粉液が塗布された該波形頂部にライナ紙を押圧する押圧工程とを含み、押圧されたライナ紙と中芯紙とを接着する段ボール紙の製造方法において、
前記押圧工程の前段に、軸方向が該ライナ紙の紙幅方向に沿って配置されロール外周面に水膜が形成された水付けロールを該ライナ紙の前記中芯紙との接着面に接触させて所定の水分を付与する水分付与工程を有するものである。
【0020】
本発明方法では、波形に成形された中芯紙と裏又は表のどちらかのライナ紙が接着される工程の前段階で、ライナ紙の中芯紙に接着される接着面をロール外周面に水膜が形成された水付けロールの該外周面に接触させることにより、ライナ紙の接着面に均一な水分量を付与させることを可能にしたものである。
ライナ紙の接着面への水分付与は、ライナ紙の接着面に紙幅方向の全紙幅に亘り均一な水分量を付与させることが望ましく、そのためには、ライナ紙の紙幅よりも軸方向に長い水付けロールを用意し、水付けロールの軸方向をライナ紙の紙幅方向に向け、ライナ紙の接着面が全紙幅に亘り同時に該水付けロールの外周面に接触するようにすればよい。
【0021】
このような構成の水付けロールを用いて、ライナ紙の紙幅方向全幅に亘り均一に水分を塗布し、ライナ紙の中芯紙段頂部との接着面全域の水分含有量が、後工程の押圧工程の直前で中芯紙の段頂部に塗布された澱粉液からライナ紙の接着面への水分及び澱粉粒子の浸透が起こる最適の水分含有量とするのがよい。該最適の水分含有量とは、好ましくは3〜6重量%の範囲である。
【0022】
これによって該押圧工程において、中芯紙の山頂部に塗布された澱粉液から水分及び澱粉粒子をライナ紙の接着面側へ浸透させることができるため、良好な接着性能を得ることができる。
また、ライナ紙の接着面に均一な水分量を付与することによってライナ紙面の平面度を損なうことがなく、そのため加熱ロールとの接触を一様にすることができるので、部分的な加熱不足に起因した接着性能のムラをなくすことができる。
【0023】
本発明方法において、好ましくは、水付けロールのロール外周面に付与され水膜を形成する水を予め室温以上に加熱しておくとよい。この加熱された水によってライナ紙の少なくとも接着面側が予熱され、接着工程において澱粉液の加熱不足による未糊化現象を回避することができる。また、これによってシングルフェーサでの上下段ロールによる加熱量又はダブルフェーサでの熱盤群による加熱量を補うことができるので、該押圧工程での加熱量を少なくすることができる。
【0024】
水を加熱する手段としては、水付けロールの内部に温水又は蒸気を吹き込む空間を設けるか、又は水タンクに加熱装置を設けて該水タンクに貯留された水を加熱するようにしてもよい。水の加熱温度は高いほど予熱効果が大きいが、100℃近くの高温にすると蒸発してしまうので、実用的には70〜80℃がよい。また、下流側で紙面の温度を計測するセンサを設けて該センサの温度検出値に基づき該加熱装置をフィードバック制御して該水温を設定範囲に保持するようにしてもよい。
また、このように予め水分を付与され加湿された紙面は比熱が大きくなり、後工程で予熱された後も走行中にエネルギ放出量が減り、その結果、省エネルギの段ボール製造装置を実現できる。
【0025】
また、本発明方法において、ライナ紙の走行速度に対して水付けロール外周面の周速を変化させることにより、該ライナ紙に付与する水分量を調整することができる。例えば、ライナ紙の走行速度より水付けロールの外周面の周速を速くすることにより、紙面への水分付与量を多くすることができ、逆に水分付与量を少なくしたいときには水付けロール外周面の周速を遅くすればよい。
【0026】
また、本発明方法において、水付けロールの外周面に水膜を形成する水に粘度増加剤又はアルカリ化剤を添加しておくとよい。粘度増加剤(例えば苛性ソーダ等)を添加すれば、水付けロールに付与された水の飛散を少なくしてより厚い水膜を形成することができる。このように粘度増加剤を添加すれば、水付けロールの外周面に水膜を形成しやすくすることができる。
またアルカリ化剤(例えば苛性ソーダ等)を添加しておけば、澱粉液のゲル化温度を低下させる効果があり、より低温で澱粉液をゲル化できるので、ゲル化に要する熱量を低減することができる。
【0027】
本発明方法は、段ボールの製造工程が、シングルフェーサを用いた片面段ボールシートの製造工程、又はダブルフェーサを用いた両面段ボールシート若しくは複両面段ボールシートの製造工程のいずれにも適用することができる。複両面段ボール紙は片面段ボール紙を複数段重ね合わせ、一方の片面段ボール紙の段頂部に他方の片面段ボール紙のライナ面を接着したものであるが、かかる複両面段ボール紙の製造にも本発明を適用できる。
【0028】
また、本発明の段ボール紙の製造装置は、断面が波形に成形された中芯紙の波形頂部に澱粉液を塗布する手段と、澱粉液が塗布された該波形頂部にライナ紙を押圧する手段とを備えた段ボール紙の製造装置において、前記押圧手段の上流側に、該ライナ紙の該中芯紙との接着面へ紙面全幅に亘り接触することにより該ライナ紙に水分を付与する水付けロールを備えたものである。
【0029】
本発明装置においては、前記構成の水付けロールを用いて、そのロール外周面に形成した水膜を中芯紙段頂部に接着されるライナ紙の接着面にその全紙幅方向に亘り同時に塗布するようにしているので、該接着面全域に均一な水分量を付与することができる。
また、水付けロール外周面の形状を適宜選択して、水付けロール外周面に保有する水分量を調節でき、あるいはライナ紙の走行速度に対する水付けロールの周速度を調整することによって、ライナ紙の該接着面へ付与する水分量を調整できるので、該接着面全域の水分含有量を、後工程の押圧工程で中芯紙の段頂部に塗布された澱粉液から該ライナ紙の接着面への水分及び澱粉粒子の浸透が起こる最適の水分含有量とすることができる。
【0030】
これによって、波形成形された中芯紙と表裏ライナ紙との押圧工程において、中芯紙の段頂部に塗布された澱粉液から水分及び澱粉粒子をライナ紙側への浸透を促進させることができるため、良好な接着性能を得ることができる。
また、ライナ紙の接着面に均一な水分量を付与することによってライナ紙面の平面度を損なうことがなく、そのため加熱ロールとの接触を一様にすることができるので、部分的な加熱不足に起因した接着性能のムラをなくすことができる。
【0031】
本発明装置において、好ましくは、該水付けロールの外周面との間に所定の隙間をもって配置されることにより、該水付けロールの外周面に形成される水膜の膜厚を調整する掻き取り装置、例えばドクターロール又はドクターブレード等と、該水付けロールの外周面と該掻き取り装置との隙間を調整する手段とを備えれば、該水付けロールのロール外周面に形成される水膜の膜厚を調整でき、それによって紙シートに付与する水分量を所望の量に調整することができる。
【0032】
本発明で使用される水付けロールのロール外周面は複数の凹部が形成されていることが望ましく、例えばメッキ面に入ったクラックの如き微細な溝でもよい。ロールは平滑面であるよりも凹部を形成することによってより水溜め効果を増すことができる。ロール外周面に微細な凹部を形成した場合、毛細管現象によりロール外周面上の水分の保有力を高めることにより保有量を増加でき、かつ水分を該微細凹部に分散保有させることにより、水付けロールのロール外周面に均一な水分分布を形成できる。従って、ロール外周面上の水分を高速で走行する紙面に対しても十分な量であってかつ紙幅方向に均一な水分量を安定して転移させることができる。
【0033】
また水付けロールのロール外周面に微細な凹部を形成した場合、前記掻き取り装置によってロール外周面の平滑面に付着した水膜を掻き取ると、該微細凹部に溜まった水のみを残すことができるので、微細凹部の容積を設定することにより、該ロール外周面に付着する水分量を設定することができる。
かかる微細凹部の製造方法は、例えばオフセット印刷の湿紙ロールに用いられるマイクロポーラスメッキ加工(特開平4−371597号公報参照)や、フレキソ印刷で用いられる水性インキ転移用のアニロックスロール表面のエンボス加工(特開2001−181861号公報参照)を施せばよい。
【0034】
本発明装置では、前記構成を有する水付けロールを用いることにより、ライナ紙の接着面に対して全紙幅方向に亘って均一な水分量を付与することができる。また、前記掻き取り装置によって水付けロールのロール外周面に形成する水膜の膜厚を所望の設定値に調整することができるので、ライナ紙の少なくとも接着面の水分含有量を、後工程の押圧工程で澱粉液の接着力を高めるのに理想的な水分含有量である3〜6重量%にすることが容易である。
【0035】
また、本発明装置によれば、ライナ紙が軽量紙であれば、水分付与量を少なくし、重量紙であれば、水分付与量を多くすることができる。また走行する紙面の速度に合わせて水付けロールの回転速度を調整することにより、紙面の任意の走行速度に対して所望量の水分を付与することができる。即ち紙面の走行速度が遅ければ、水付けロールの回転速度をそれに合わせて遅くし、紙面の走行速度が速ければ、水付けロールの回転速度をそれに合わせて早くすればよい。
【0036】
また、本発明装置では、好ましくは、該水付けロールと共に該ライナ紙を挟んで加圧する加圧部材、例えば加圧ロール又は加圧シュー等を設ければ、水付けロールから紙面への水分浸透を促進することができる。あるいは該水付けロールに接する該ライナ紙の接触面と反対側の面を吸引する手段を設けるようにすれば、同様に水付けロールから紙面への水分塗布及び水分浸透を促進することができる。
なお、加圧部材として加圧ロールを使用した場合、ライナ紙が速い走行速度(例えば300mm/分以上)で走行すると、該加圧ロールの回転により該加圧ロールと水付けロールとのニップ部でしわが寄りやすいが、非回転で固定された加圧シューを用いた場合は、しわの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明方法によれば、押圧工程の前段に、軸方向が該ライナ紙の紙幅方向に沿って配置されロール外周面に水膜が形成された水付けロールを該ライナ紙の前記中芯紙との接着面に接触させて所定の水分を付与する水分付与工程を有することにより、該接着面全域の水分含有量を、後工程の押圧工程で中芯紙の段頂部に塗布された澱粉液から該ライナ紙の接着面への水分及び澱粉粒子の浸透が起こる最適の水分含有量、好ましくは3〜6重量%とすることができ、該中芯紙とライナ紙との押圧過程の初期段階で中芯紙の澱粉液を塗布された段頂部に押圧されるライナ紙の接着面への水分及び澱粉粒子の浸透が促進され、その後の澱粉液の加熱ゲル化により中芯紙の段頂部とライナ紙との接着力を高めた両面段ボール紙を製造することができる。
また、高速で走行するライナ紙の接着面に対して、ライナ紙の紙幅よりも軸方向に長い水付けロールを用意し、ライナ紙の接着面が全紙幅に亘り同時に該水付けロールの外周面に接触するようにすれば、紙面全幅に亘りに均一かつ十分な水分量を付与できるので、接着性能にムラのない両面段ボール紙を製造することができる。
【0038】
また、本発明装置によれば、澱粉液が塗布された波形頂部にライナ紙を押圧する手段の上流側に、該ライナ紙の該中芯紙との接着面へ紙面全幅に亘り接触することにより該ライナ紙に水分を付与する水付けロールを備え、該水付けロールによって該押圧手段の前段で該押圧手段による接着過程で中芯紙の段頂部に塗布された水分及び澱粉粒子をライナ紙の接着面に浸透させるのに十分な水分量を該接着面に均一に付与することができるので、該接着過程で水分及び澱粉粒子のライナ紙の接着面への浸透が良好に行なわれ、これによって中芯紙とライナ紙との接着性能が良好な両面段ボール紙を製造することができる。
【0039】
また、該水付けロールによってライナ紙の接着面へ均一な水分量を付与することができるので、ライナ紙の平面度を損なうことがなく、これによって押圧工程でライナ紙と加熱ロール又は熱盤群との接触が一様に保持されるので、ライナ紙の部分的な加熱不足に起因した部分的な接着不良がなく、全紙幅領域に亘り接着性の良好な両面段ボール紙を製造することができる。
【0040】
また好ましくは、該水付けロールの外周面との間に所定の隙間をもって配置されることにより該水付けロールの外周面に形成される水膜の膜厚を調整する掻き取り装置と、該水付けロールの外周面と該掻き取り装置との隙間を調整する手段とを備えれば、水付けロールのロール外周面に所望の膜厚の水膜を形成することができ、これによってライナ紙の接着面に所望の水分量を付与することができるため、ライナ紙の接着面の水分含有量を接着性能にとって理想的な水分含有量である3〜6重量%に調整するのが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
図1は本発明の第1実施形態の水付けロール装置を示す斜視図、図2は前記第1実施形態の水付けロール外周面の微細凹部を示し、(a)は立面図、(b)は断面図である。
図3は前記第1実施形態の系統図、図4は前記第1実施形態のドクターロールの支持機構を示す斜視図、図5は前記第1実施形態におけるアルカリ剤の添加による澱粉液のゲル化温度の低下を示す線図である。
図6は本発明の第2実施形態のドクターブレードの支持機構を示す斜視図、図7は本発明の第3実施形態を示す説明図である。図8は本発明の第4実施形態を示す断面図、図9はダブルフェーサによる複両面段ボール紙の製造工程を示す説明図、図10は本発明の第5実施例を示す断面図である。
【0042】
(実施形態1)
本発明の第1実施形態に係る図1〜図4は、コルゲータのダブルフェーサにおいて、片面段ボール紙の波形に成形された中芯紙と表ライナ紙とを接着する加熱接着工程の上流側で、表ライナ紙の走行路に配設された水付けロール装置を示すものである。該水付けロール装置1は、図12に示すダブルフェーサで言うと、熱盤群014の上流側の表ライナ紙nの走行路の適宜位置に配置される。
【0043】
即ち、図示しないミルロールスタンドに装着されたロール原紙から繰り出された表ライナ紙nが片面段ボール紙sとの接着位置に到達する前の走行路に水付けロール装置1が配設される。また、表ライナ紙nが片面段ボール紙sの中芯紙の波形段頂部に接着される側の接着面が該水付けロール装置1の水付けロール2に接触するように配置される。
水付けロール装置1の設置位置を図12で例示すると、プレヒータ013と熱盤群014との間で、破線で示す表ライナ紙nの走行路に符号1を付した部分である。
【0044】
図1において、水付けロール装置1は、表ライナ紙nの下面(接着面)に接する水付けロール2と、該水付けロール2の回転軸2aの両端を回転可能に支承する軸受3及び4と、該回転軸2aに接続され回転軸2aを回転駆動する駆動モータ5と、内部に水wを貯留し水付けロール2の下部が該水wに浸漬するように配置されているパン6と、水付けロール2の軸方向に平行に配置され水付けロール外周面との間の間隔を調整可能なドクターロール7とから構成されている。
水付けロール2は、使用される表ライナ紙nの最大紙幅よりも長く構成されている。
【0045】
水付けロール2のロール外周面には、図2示すような微細な凹部8が刻設されている。
凹部8の形状は、例えば図2に示すように開口表面が菱形で断面が逆ピラミッド形になっているが、本発明ではこの形状に限定されない。微細凹部8の大きさは、例えば一辺が1mmの正方形に中に200〜300個分散配置されるような微細寸法を呈する。かかる微細凹部8を形成することによって、水付けロール2のロール外周面に形成される水膜の表面張力が該ロール2が回転することにより生じる遠心力に打ち勝って該ロール外周面への水膜保持力を高め、保持水分量を増大可能にしている。
かかる微細凹部8の形成方法は、例えば特開平4−371597号公報に開示されているように、防錆用の下層メッキの上に微孔を有するクロムメッキを施す方法等があり、かかる方法によって形成することができる。
【0046】
図3に示すように、パン6に水を供給する水タンク11には水供給源からポンプ12で供給された水が貯留され、水タンク11には加熱装置13が付設され、水タンク11に貯留された水を室温以上に、実用的には70〜80℃になるように加熱している。水タンク11に貯留された加熱水は、ポンプ14でパン6に供給され、パン6内の加熱水が所定高さ以上になると、オーバフロー水w1として水タンク11に戻るようにし、このように水タンク11からパン6に加熱水を循環させるようにしておき、水付けロール2の下部が該加熱水wに常に浸漬されるようにパン6内の水深を一定に保持するとともに、パン6内の加熱水wの温度を70〜80℃の範囲に保持するようにしている。
【0047】
次にドクターロール7の隙間調整機構を図4により説明する。図4において、ドクターロール7の回転軸7aは、両端に配置された支持歯車22及び23で回転可能に支持され、かつ駆動モータ21に連結されて回転駆動されるが、回転軸7aは支持歯車22、23の回転中心oから偏心した位置にある偏心点qで支持されている。また、支持歯車22及び23は、歯車24及び25とかみ合っており、歯車24及び25の回転軸26は駆動モータ27によって回転駆動される。
【0048】
従って、歯車24及び25が駆動モータ27によって回転されると、歯車24及び25と噛み合う支持歯車22及び23は回転中心oを中心として回転するため、偏心点qで支持されているドクターロール7は、回転軸7aの方向を変えることなく平行移動する。これによって、ドクターロール外周面と水付けロール2との隙間を調整して、水付けロール2のロール外周面に形成された水膜の膜厚を調整することができる。
【0049】
水タンク11に貯留された水には粘度増加剤又はアルカリ化剤を添加することができる。例えば苛性ソーダ等の粘度増加剤を添加すると、水付けロール2のロール外周面に形成された水膜を水付けロール2の回転により発生する遠心力に抗して該ロール外周面から飛散しにくくし、該ロール外周面での保持力を増大させることができる。これによって水付けロール2のロール外周面に保有できる水膜の膜厚を増大させ、ロール外周面の保有水分量を増大させることができる。
【0050】
また、例えば苛性ソーダ等のアルカリ化剤を添加した場合、図5に示すように、澱粉液を加熱したときのゲル化温度を変えることができる。図5は温度に対する澱粉液の粘度の変化を示す線図であり、図5に示すように、澱粉液の粘度曲線xは、アルカリ化剤の添加量を調整することにより、ゲル化温度gを変えることができる。即ち、アルカリ化剤の添加量を増やすことによりゲル化温度gを低下させることもできる。例えば、アルカリ化剤の添加前の澱粉液のゲル化温度が90℃(g1)である場合に、アルカリ化剤の添加により60℃(g3)にすることも可能となり、これによって澱粉液をゲル化するための加熱量を節約することができる。
なお、アルカリ化剤の添加量を増やし、澱粉液のゲル化温度を下げすぎると、接着時より前の段階、例えば予熱時から澱粉液のゲル化が始まるため、アルカリ化剤の添加量には注意を要する。
【0051】
かかる構成の第1実施形態において、パン6内で下部が水wに浸漬された水付けロール2を表ライナ紙nの走行方向bに対して外周面の回転方向が同一となるように矢印c方向に回転してロール外周面に水膜を形成する。また、ドクターロール7の回転方向を水付けロール2の回転方向と同一の矢印d方向に回転させ、水付けロール2のロール外周面とドクターロール7のロール面との隙間を調整することによって該水膜の膜厚を調整する。
その後、表ライナ紙nに水付けロール2を接触させてロール外周面に形成された水膜を表ライナ紙nに転移させる。
【0052】
このとき、水付けロール2の外周面の周速を表ライナ紙nの走行速度と同一としてもよいが、表ライナ紙nの走行速度に対して水付けロール2の外周面の周速を変えることにより、表ライナ紙nに付与する水分量を変えることができる。即ち表ライナ紙nの走行速度に対して水付けロール2外周面の周速を遅くすれば、表ライナ紙nへの水分付着量を減らすことができ、水付けロール2の外周面の周速を速くすれば、表ライナ紙nへの水分付着量を増やすことができる。
【0053】
本実施形態によれば、水付けロール2によって表ライナ紙nの紙幅全体に同時に均一に水分を付与することができる。また、水付けロール2のロール外周面に微細凹部8を刻設して水の表面張力を高めているので、水付けロール2の回転によって生じる遠心力に抗して十分な量の水膜を水付けロール2のロール外周面に形成することができ、そのため表ライナ紙nに十分な水分量を安定して付与することができる。
また、ドクターロール7によって該水膜の膜厚を調整することにより、あるいは前述のように水付けロール2の外周面の周速を変えることにより、表ライナ紙nに付与する水分量を表ライナ紙nの水分含有量が3〜6重量%になるように正確に調整することができる。
【0054】
このように、表ライナ紙nに所望の量の水膜を紙幅全体に亘り均一に付与できるので、後工程で行なわれる中芯紙と表ライナ紙との接着過程において、接着過程初期の段階で表ライナ紙への水分及び澱粉粒子の浸透を十分行なうことができ、これによって中芯紙とライナ紙との接着力の十分な両面段ボール紙を製造することができる。また、均一な水分量付与により加熱ゲル化工程での澱粉液のゲル化をムラなく行なうことができるので、ムラのない接着性能を得ることができる。
【0055】
また、表ライナ紙nに付与する水を予め70〜80℃に加熱しているので、表ライナ紙nの予熱も同時に行なうことができ、図12に示す従来のダブルフェーサのように予熱のためのプレヒータ013を不要とすることも可能となる。
また、加熱水wに予め粘度増加剤を添加しておけば、水付けロール2のロール外周面での水膜の飛散をなくし、膜厚の厚い水膜形成が容易になる。また、加熱水wに予めアルカリ化剤を添加しておけば、澱粉液のゲル化温度を低下できるので、コルゲータ全体の加熱効率を高めることができ、省エネルギの段ボール製造装置を実現できる。
なお、本実施形態では、水付けロール2のロール外周面に微細凹部8を刻設したが、該ロール外周面を微細凹部を形成しない平滑面としても水膜の形成は十分可能であり、本発明の目的を達成可能である。
【0056】
(実施形態2)
次に本発明の第2の実施形態を図6により説明する。図6において、本実施形態では水付けロール2のロール外周面に形成された水膜の膜厚調整機構としてドクターブレード31を設けたものである。ドクターブレード31は水付けロール2の軸方向と同一方向に配置され、支持梁32を介して偏心軸受33に固設されている。偏心軸受33は、回転軸34によってその中心oから外れた偏心点qで支持されており、回転軸34を駆動モータ35によって回転させると、偏心軸受33は偏心点qを中心に移動する。この動作により水付けロール2のロール外周面とドクターブレード31との隙間を調整可能となる。なお、この膜厚調整機構以外の構成は前記第1実施形態と同一である。
【0057】
かかる膜厚調整機構によっても水付けロール2のロール外周面に形成される水膜の正確な膜厚調整が可能であり、また前記第1実施形態のドクターロール7のように、ドクターロール7の回転機構及びドクターロール7の回転速度を水付けロール2の回転速度に合わせて同期させる機構を必要としないので、装置構成が簡略化できるという利点がある。
【0058】
(実施形態3)
次に本発明の第3実施形態を図7により説明する。図7に示すように、本実施形態は表ライナ紙nが水付けロール2と接触する位置において、表ライナ紙nを挟んで対向するように加圧ロール41を配置し、水付けロール2と該加圧ロール41とで表ライナ紙nをニップするようにしたものである。なお加圧ロール41の表面は、表ライナ紙nに対するニップ面を確保するとともに、表ライナ紙nを傷付けないように弾力性をもたせるようにすることが好ましい。
これによって、水付けロール2のロール外周面に形成された水膜を表ライナ紙nに転移しやすくするとともに、転移した水分を表ライナ紙nに均一に浸透しやすくしたものである。
【0059】
(実施形態4)
次に本発明の第4実施形態を図8により説明する。図8において、本実施形態は、前記第3実施形態で用いられる加圧ロール41の代わりに加圧シュー51を用いたものである。即ち、水付けロール2のロール外周面とともに表ライナ紙nをニップする手段として、加圧ロール41の代わりに加圧シュー51を配置したものであり、該加圧シュー51は、表ライナ紙nに当接する面は、水付けロール2のロール外周面と同じ曲率を有する円弧断面形状をなすとともに、ピストン52と一体となっている。
【0060】
ピストン52は、油圧ボックス53に形成されたシリンダ部に油圧配管54から供給される油により表ライナ紙nに向けて該シリンダ部内を往復可能となっている。このように該シリンダ部とピストン52とを含んで油圧加圧装置55が構成されており、油圧加圧装置55によって加圧シュー51が水付けロール2とともに表ライナ紙nにニップ圧を付与するように構成されている。
【0061】
なお加圧シュー51は、水付けロール2の軸方向に一体となったものでもよく、あるいは水付けロール2の軸方向に複数配置し、各加圧シュー51ごとに個別に油圧加圧装置55を設け、各加圧シュー51ごとに加圧力を調整できるようにしてもよい。このように加圧シュー51を分割型とすれば、水付けロール2の軸方向に沿って加圧シュー51のニップ力を変更可能であり、また、それによって水分付与量も水付けロール2の軸方向で可変とすることができ、これによって該軸方向の水分ムラを解消することができる。
【0062】
かかる第4実施形態によれば、加圧シュー51は回転せず静止しているため、表ライナ紙nが高速走行する場合でも、前記第3実施形態の加圧ロール41と比べて表ライナ紙nにシワが寄りにくいという利点がある。
【0063】
(実施形態5)
次に本発明の第5実施形態を図9により説明する。本実施形態は、前記第3実施形態の加圧ロール41又は前記第4実施形態の加圧シュー51を設ける代わりに、表ライナ紙nを挟んで水付けロール2と対向する位置に吸引装置61を設けたものである。図9において、水付けロール2の軸方向に表ライナ紙nの全紙幅に渡り、吸引ノズル62を配置する。吸引ノズル62の先端には表ライナ紙nの走行方向に伸びるシール部63を有し、該シール部63の表ライナ紙nに当る面にはシール板64が装着されて表ライナ紙nとの隙間をシールしている。
【0064】
かかる構成で、図示しない吸引駆動装置(例えば吸引ポンプ等)で吸引ノズル62の内部を矢印e方向に吸引することにより、水付けロール2から表ライナ紙nへの水分の転移及び表ライナ紙n内部への水分の浸透を促進することができる。
なおシール板64の表面も、表ライナ紙nに対するニップ面を確保するとともに、表ライナ紙nを傷付けないように弾力性をもたせるようにするとよい。
【0065】
なお前記実施形態は、いずれもダブルフェーサにおける中芯紙と表ライナ紙との接着工程に係るものであるが、これに限られるものではなく、シングルフェーサにおける中芯紙と裏ライナ紙との接着工程や、あるいは図10に示すように、ダブルフェーサ010において、片面段ボール紙s同士を接着して片面段ボール紙sを複数段重ね合わせた複両面段ボール紙を製造する場合、即ち一方の片面段ボール紙sの中芯紙の段頂部を他方の片面段ボール紙sの裏ライナ紙に接着する場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態の水付けロール装置を示す斜視図である。
【図2】前記第1実施形態の水付けロール外周面の微細凹部を示し、(a)は立面図、(b)は断面図である。
【図3】前記第1実施形態の系統図である。
【図4】前記第1実施形態のドクターロールの支持機構を示す斜視図である。
【図5】前記第1実施形態におけるアルカリ剤の添加による澱粉液のゲル化温度の低下を示す線図である。
【図6】本発明の第2実施形態のドクターブレードの支持機構を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態を示す断面図である。
【図10】ダブルフェーサで複両面段ボール紙を製造する場合の説明図である。
【図11】従来のシングルフェーサを示す系統図である。
【図12】従来のダブルフェーサを示す系統図である。
【図13】中芯紙とライナ紙との接着部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1 水付けロール装置
2 水付けロール
6 パン(水槽)
7 ドクターロール(掻き取り装置)
8 微細凹部
11 水タンク
13 加熱装置
22、23 支持歯車(隙間調整手段)
31 ドクターブレード(掻き取り装置)
33 偏心軸受(隙間調整手段)
41 加圧ロール
51 加圧シュー
61 吸引装置
62 吸引ノズル
c1 中芯原紙
c2 中芯紙
m 裏ライナ紙
n 表ライナ紙
p 生澱粉液
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久

【識別番号】100137257
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 廣


【公開番号】 特開2008−55777(P2008−55777A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236062(P2006−236062)