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【発明の名称】 容器基材の製造方法及び製造装置、容器基材
【発明者】 【氏名】中村 祐司

【要約】 【課題】特別な組み立ての機械を用いることなく、簡便に組み立て可能であり、かつ製造コストを抑制した貼箱を形成する容器基材の製造方法と、その製造装置、及び容器基材を提供すること。

【解決手段】主たる厚みの第1層とそれより薄い第2層とを接着層により貼着し、第1層と第2層とからなる容器の基材を構成する際に、第1層が面を形成する領域以外の領域と、第2層とが対向する領域に、貼着後に剥離が可能な接着層の領域を形成する工程、第1層と第2層とを貼着する貼着工程、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域の外縁に沿って第1層側から第1層の厚みと略同一な深度の切り込み加工を行うと共に、第2層の外縁に沿って第1層、接着層及び第2層の厚みの和以上の深度の切り込み加工を行う切り込み加工工程、第1層が面を形成する領域以外の領域の第1層を剥離除去する残余領域除去工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器基材の製造方法であって、
基材の厚みのうち主たる厚みを占める第1層と、第1層よりも薄い従たる厚みを占める第2層との少なくとも2層を接着層により貼着し、第1層と第2層とからなる容器の基材を構成する際に、
該接着層のうち少なくとも、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域と、第2層とが対向する領域に、貼着後に剥離が少なくとも1回以上可能な剥離可能接着領域を形成する剥離可能接着領域形成工程、
第1層と第2層とを貼着する貼着工程、
第1層の少なくとも1つの面を形成する領域の外縁に沿って第1層側から第1層の厚みと略同一な深度の切り込み加工を行うと共に、第2層の外縁に沿って第1層、接着層及び第2層の厚みの和以上の深度の切り込み加工を行う切り込み加工工程、
該第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域の第1層を剥離除去する残余領域除去工程、
を含むことを特徴とする容器基材の製造方法。
【請求項2】
前記容器基材の製造方法において、
前記接着層に、剥離紙を剥離することで貼着面が露出する貼着紙を用い、第1層との境界側に剥離紙側を配置し、前記剥離可能接着領域形成工程を行うと共に、
前記残余領域除去工程において該剥離紙を剥離して、該第2層の貼着面を露出させる剥離紙剥離工程を含む
ことを特徴とする容器基材の製造方法。
【請求項3】
容器基材の製造装置であって、
基材の厚みのうち主たる厚みを占める第1層と、第1層よりも薄い従たる厚みを占める第2層との少なくとも2層を接着層により貼着し、第1層と第2層とからなる容器の基材の製造装置が、
該接着層のうち少なくとも、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域と、第2層とが対向する領域に、貼着後に剥離が少なくとも1回以上可能な剥離可能接着領域を形成する剥離可能接着領域形成手段と、
少なくとも第1層と第2層とを貼着する貼着手段と、
第1層の少なくとも1つの面を形成する領域の外縁に沿って第1層側から第1層の厚みと略同一な深度の切り込み加工を行うと共に、第2層の外縁に沿って第1層、接着層及び第2層の厚みの和以上の深度の切り込み加工を行う切り込み加工手段と、
該第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域の第1層を剥離除去する残余領域除去手段と、
を備えたことを特徴とする容器基材の製造装置。
【請求項4】
前記容器基材の製造装置の剥離可能接着領域形成手段が、
前記第2層の貼着面に対して、第1層との境界側に剥離紙を貼着する
ことを特徴とする容器基材の製造装置。
【請求項5】
容器の少なくとも一部を形成するための容器基材であって、
基材の厚みのうち主たる厚みを占める第1層と、第1層よりも薄い従たる厚みを占める第2層との少なくとも2層を接着層により貼着し、第1層と第2層とからなる容器の基材を構成する際に、
該接着層のうち少なくとも、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域と、第2層とが対向する領域に、貼着後に剥離が少なくとも1回以上可能な剥離可能接着領域を形成する剥離可能接着領域形成工程、
少なくとも第1層と第2層とを貼着する貼着工程、
第1層の少なくとも1つの面を形成する領域の外縁に沿って第1層側から第1層の厚みと略同一な深度の切り込み加工を行うと共に、第2層の外縁に沿って第1層、接着層及び第2層の厚みの和以上の深度の切り込み加工を行う切り込み加工工程、
該第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域の第1層を剥離除去する残余領域除去工程、
の各工程により製造された容器基材。
【請求項6】
前記容器基材が、
前記接着層に、剥離紙を剥離することで貼着面が露出する貼着紙を用い、第1層との境界側に剥離紙側を配置し、剥離可能接着領域形成工程を行うと共に、
前記残余領域除去工程において該剥離紙を剥離して、該第2層の貼着面を露出させる剥離紙剥離工程を含む
ことにより製造された請求項5に記載の容器基材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、貼箱を形成する容器基材とその製造方法及び製造装置に関し、特に少なくとも2層を接着して形成する容器基材に係るものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆる貼箱を製作する際には、従来は主たる厚みを形成するための芯材に対し、箱オモテ面から美粧目的の薄紙をその内側面まで巻きながらニカワなどで貼着して、これを固定し箱の蓋部およびそれが上から重なる身部を形成している。
芯材は十字形になっていて通常1mm〜2mm程度の厚みを有するボール紙でできている。平面展開状態において四方に突出する突出部分が最終成果物たる箱の四側面に、中央部は蓋部の天面又は身部の底面に使用され、側面は容易に直角に曲げて立ちあがるべく、その屈曲部には芯材の厚み未満の深さで屈曲方向とは逆側から直線の切れ目が入っている。
【0003】
貼箱の製造手順は、美粧目的の薄紙を敷きその上に一様に接着剤を塗布し、四方の壁を垂直に立ち上げた状態で固定した芯材を設置し、これを下からくるむように薄紙が4側面とその内側面に回し込んで貼られて箱の身部や蓋部が形成される。
このような従来の工程は貼箱製造設備に依存するため、組立場所が製造設備のある工場に限られていた。
【0004】
この方法によると以下のような問題点が挙げられる。
物流効率の観点からは、貼箱製造後に輸送したり、保管したりすると、組み立てによって容積が増大するため、輸送・保管に要する場所と作業の手間が著しく大きくなる問題があった。これに従い、コスト高も招いてしまう。
また納期対応の観点からは、組立場所および組み立てる労働力集約性において限界があるため、需要変動への対応にその負担が大きい。
【0005】
関連する技術として、本発明者らによる特許文献1の技術が開示されている。該文献によれば、容器の基材の屈折位置において、所定の間隔で層の厚みと略同一な深度の切り込みを入れた上で、その切り込み間領域を除去して、溝部を開穿する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006-272680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記物流非効率問題に対しては、箱に内容物を詰める現場に極力近い場所での組立、すなわち貼箱を「製造〜流通〜使用」する過程における「使用」の直前の段階で、箱を平面から立体に組立てられるようにすることが望ましい。
また、上記納期対応負担増の問題に対しては需要変動に対し生産資源を拡大縮小して柔軟に対応可能となるような、より具体的には熟練労働や製造設備がなくとも、容易かつ美麗に仕上げられるような貼箱構造の提供が課題となる。
【0008】
従って、本発明は、特別な組み立ての機械を用いることなく、簡便に組み立て可能であり、かつ製造コストを抑制した貼箱を形成する容器基材の製造方法と、その製造装置、及び容器基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、次の手段を提供する。
請求項1に記載の発明は、容器基材の製造方法であって、基材の厚みのうち主たる厚みを占める第1層と、第1層よりも薄い従たる厚みを占める第2層との少なくとも2層を接着層により貼着し、第1層と第2層とからなる容器の基材を構成する際に、該接着層のうち少なくとも、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域と、第2層とが対向する領域に、貼着後に剥離が少なくとも1回以上可能な剥離可能接着領域を形成する剥離可能接着領域形成工程、少なくとも第1層と第2層とを貼着する貼着工程、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域の外縁に沿って第1層側から第1層の厚みと略同一な深度の切り込み加工を行うと共に、第2層の外縁に沿って第1層、接着層及び第2層の厚みの和以上の深度の切り込み加工を行う切り込み加工工程、該第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域の第1層を剥離除去する残余領域除去工程、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記容器基材の製造方法において、前記接着層に、剥離紙を剥離することで貼着面が露出する貼着紙を用い、第1層との境界側に剥離紙側を配置し、前記剥離可能接着領域形成工程を行うと共に、前記残余領域除去工程において該剥離紙を剥離して、該第2層の貼着面を露出させる剥離紙剥離工程を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、容器基材の製造装置を提供する。基材の厚みのうち主たる厚みを占める第1層と、第1層よりも薄い従たる厚みを占める第2層との少なくとも2層を接着層により貼着し、第1層と第2層とからなる容器の基材の製造装置が、該接着層のうち少なくとも、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域と、第2層とが対向する領域に、貼着後に剥離が少なくとも1回以上可能な剥離可能接着領域を形成する剥離可能接着領域形成手段と、少なくとも第1層と第2層とを貼着する貼着手段と、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域の外縁に沿って第1層側から第1層の厚みと略同一な深度の切り込み加工を行うと共に、第2層の外縁に沿って第1層、接着層及び第2層の厚みの和以上の深度の切り込み加工を行う切り込み加工手段と、該第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域の第1層を剥離除去する残余領域除去手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、上記の製造装置の剥離可能接着領域形成手段が、前記第2層の貼着面に対して、第1層との境界側に剥離紙を貼着することを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、容器の少なくとも一部を形成するための容器基材であって、基材の厚みのうち主たる厚みを占める第1層と、第1層よりも薄い従たる厚みを占める第2層との少なくとも2層を接着層により貼着し、第1層と第2層とからなる容器の基材を構成する際に、該接着層のうち少なくとも、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域と、第2層とが対向する領域に、貼着後に剥離が少なくとも1回以上可能な剥離可能接着領域を形成する剥離可能接着領域形成工程、少なくとも第1層と第2層とを貼着する貼着工程、第1層の少なくとも1つの面を形成する領域の外縁に沿って第1層側から第1層の厚みと略同一な深度の切り込み加工を行うと共に、第2層の外縁に沿って第1層、接着層及び第2層の厚みの和以上の深度の切り込み加工を行う切り込み加工工程、該第1層の少なくとも1つの面を形成する領域以外の領域の第1層を剥離除去する残余領域除去工程の各工程により製造された容器基材。
【0014】
請求項6に記載の発明は、上記容器基材が、前記接着層に、剥離紙を剥離することで貼着面が露出する貼着紙を用い、第1層との境界側に剥離紙側を配置し、前記剥離可能接着領域形成工程を行うと共に、前記残余領域除去工程において該剥離紙を剥離して、該第2層の貼着面を露出させる剥離紙剥離工程を含むことにより製造されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記構成を備えることにより、次の効果を奏する。
本発明に係る容器基材を用いることで組立工程に設備を要せず、しかも簡便に製造できるため未熟練者が作業可能である。組立工程能力を機動的に伸縮させて需要の急変動に対応可能となる。
また箱の使用工程に近い地点に分散して組立が可能となるため物流負担も小さい。以上により産業において長期的視点で不要な製造設備投資の抑制や需要対応力の向上に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る容器基材の断裁面図である。第1層としてチップボールを、第2層として粘着紙の紙層を、接着層として粘着紙の粘着層及びその貼着面に貼着された剥離紙を用いる。以下の実施例では、粘着紙を用いることで、接着層の形成を大幅に簡略化しているが、本発明では基材に粘着剤を塗布した後に剥離紙を貼着させて第2層を形成してもよい。
【0017】
箱の美粧面として粘着紙(3)の印刷面(3a)を使用する。まず粘着紙(3)は剥離紙(2)と密着された2層構造になっていてこの剥離紙(2)の剥離紙面(2a)側を箱の芯材たるチップボール紙(1)と接着剤で貼合する。
本構成により、チップボール紙(1)と貼着紙(3)とは剥離紙(2)を介して接着されながら、剥離紙と貼着面とは剥離可能であるから、手作業又は機械によりチップボール紙(1)を剥離紙(2)と共に貼着紙(3)から剥離除去することが可能である。
【0018】
芯材たるチップボール紙(1)は数mmの厚みを有するのが一般的である。次にこれに対して刃型で芯材たるチップボール紙(1)側から型抜きをおこなう。刃の深さを2通り用意し一つは貼合された部材の裏まで貫通する深さの刃(イ)、他方は裏まで到達せずに芯材(1)と剥離紙(2)までを打ちぬく程度の深さの刃(ロ)とする。
【0019】
図2は、上記により断裁された本発明の容器基材の斜視図である。
図示のように、刃(イ)の圧入によって箱の平面展開図の外周線(5)が形成され箱の平面展開状態が取り出される。このとき同時に刃(ロ)の圧入によって平面展開図外周線(5)の内側にあって芯材の縁部たる線(6)も形成される。
従って刃(イ)、刃(ロ)によって閉じた線で囲まれながら切断された領域(4)においては、該領域における芯材たるチップボール紙(1)とこれに貼合されている剥離紙(2)を平面展開状態の部材から剥がし去ることができるため、本領域では箱の美粧面を形成する粘着紙(3)の裏側の粘着面(3b)が露出する。
【0020】
本発明は、この基本的原理によって接着剤を塗布するための機械設備を要することなく粘着面(3b)を以下に示す例のように箱の必要箇所に手で容易に貼着させることができ、従来のように機械設備を要することなく手作業だけで簡便に貼箱等容器を製造することが可能になる点に最大の特徴がある。
【0021】
具体的実施例として、蓋部と内面にガイドを有する身部によって構成されるいわゆる印籠式の貼箱を製造する場合を説明する。
【実施例1】
【0022】
まず印籠式の貼箱における身部の内側に接着されるガイド(ニ)の作りかたを説明する。図3は印籠式用のガイド部の平面図、図4は同組立途上図である。
ガイド(ニ)は底面部となる矩形(10)、その周囲4辺から部材の厚みに満たない深度の刃(ロ)でカットされる線(10a)を隔てて底面部となる矩形(10)と連繋する側面の4面(10b)、さらにその先端に上述の手段によって芯材たるチップボール紙(1)を剥離紙(2)とともに剥離して粘着紙(3)を露出させこれを折り曲げて断面および側面の裏側まで被覆するための縁部(10c)からなる。
要するに、図3における点分布地で示した面はチップボール(図1の符号1)が露出し、白地の部分は貼着面(図1の符号3b)が露出している。
【0023】
部材の厚みに満たない深度の刃(ロ)でカットされる線(10a)に沿って底面部となる矩形(10)と連繋する側面の4面(10b)を90度折り曲げて直立させ、ガイド(ニ)をトレイ状にする。
さらに、縁部(10c)の貼着面を180度折り曲げて4面(10b)に貼着し、連繋する側面の4面(10b)の断面およびその裏面まで粘着紙(3)で被覆する。図4は先に図3における上下の縁部(10c)を折り曲げた様子である。
【0024】
このとき該上下の縁部(10c)の被覆したあまり(10d)が生じる長さになっている。これを連繋する側面の4面(10b)のうちの残った一対(図3の左右の面)に貼着させたあと、該一対の側面から連繋する断面および側面の裏側まで被覆するための縁部(10c)を180度折り曲げて、この側面の断面およびその裏面まで粘着紙(3)で被覆することによって、ガイド(ニ)がトレイ状に接着固定される。
【0025】
以上の構成は印籠式用のガイド部として説明したが、同構成において単体の箱そのもの、または箱の蓋体そのものとして提供してもよい。
【実施例2】
【0026】
次にガイド(ニ)を内包する身部の外壁部分の製造方法を説明する。
この方法はガイド(ニ)の4側面に対して、連繋した4面より構成されるフレームを順次接着させながら、ガイド(ニ)を取り囲むように順次接着し容器の周囲4側面部を形成するものである。図5は、曲折用の溝のある4側面が連繋したフレームの平面図、図6は、曲折用の溝のある4側面とガイドの接着途上図である。
【0027】
まず、芯材たるチップボール紙(1)と剥離紙(2)が接着貼合された部材に対し、芯材たるチップボール紙(1)側から刃(イ)、刃(ロ)が混在した刃型を圧入する。このとき平面展開図外周線(5)に沿った刃(イ)によって溝付四側面のフレーム(ホ)の外周が打ち抜かれる。
該フレーム(ホ)においては平面展開図外周線(5)と、その内側にあって芯材の縁部たる線(6)によって囲まれる領域(図2の符号4で示される領域に相当する)が形成される。
【0028】
この領域を剥離紙(2)から剥離し貼着面(3b)を露出する。さらに同領域をチップボール紙(1)側(裏側)に向かって180度折り曲げて該粘着面(3b)を貼着させると、図6のように溝付四側面のフレーム(ホ)が完成する。
該フレーム(ホ)は美粧を施した粘着紙(3)によって自身の断面部から裏側面の一部にわたって被覆されているため、容器が完成したときに芯材たるチップボール紙(1)が露出することなく美しい外観を実現する。
【0029】
尚、該フレーム(ホ)において、図5のように四側面を構成する面同士の間は線(6)が互いに数ミリメートルの間隔で設けられており、これらによって挟まれた帯状の領域はこの該フレームを90度屈曲させるための溝部(11)として機能する。
この溝付四側面のフレーム(ホ)をガイド(ニ)に接着して身部を完成させるには、図6のように、該フレームに設けられる屈曲させるための溝部(11)に沿って芯材たるチップボール紙(1)側へ90度ずつ折り曲げながら、上述したガイド(ニ)の側面周囲に順次接着剤を使って固定する。
【0030】
ここで、接着速度を高めるために部分的に簡易ホットメルト式等の瞬間接着方式などを採用するのも合理的である。
接着の際、ガイド(ニ)に対して溝付四側面のフレーム(ホ)の相対的位置を適度に下げることによって、ガイド(ニ)の上端が溝付四側面のフレーム(ホ)の上端より高くなり、蓋と勘合できるようになるほか、身部の底面が溝付四側面のフレーム(ホ)の接地面より上方に設定して底面下部に空間を設けることが可能になり、下部に同様の身部を多段積層することが可能になる。
【0031】
印籠式の貼箱における身部の内側に接着されるガイドはこれまで説明した製造様式によるガイド(ニ)に限られる必要はなく、厚みのもっと少ない例えば0.5mm程度の厚みのコートボール紙を使用しても、堅牢さおよび品位は多少劣るものの原材料費や加工費が安い類似した構造物を形成することが可能である。すなわち底面を形成する矩形とその周囲4辺からそれぞれ連繋する4側面からなるところのコートボール紙製トレイ(ハ)が、前述のガイド(ニ)に代替できる。
図7に実施例1のガイド(ニ)を代替する部材の斜視図を示す。
【0032】
このコートボール紙製トレイ(ハ)には底面から側面を90度曲げて立ち上げるための罫線(12)と垂直に立ち会ったその側面をさらに180度折り返すための罫線(13)が設けられている。
このコートボール紙製トレイ(ハ)を芯にするように、前段と同じ方法で、溝付四側面のフレーム(ホ)をその屈曲させるための溝部(11)に沿って芯材たるチップボール紙(1)側へ90度ずつ折り曲げながら、該トレイの側面周囲に順次接着剤を使って、溝付四側面のフレーム(ホ)に順次接着して身部を完成させる。
【0033】
その際該トレーの上端を溝付四側面のフレーム(ホ)の上縁よりも適度に突出させ、かつその底面を溝付四側面のフレーム(ホ)の接地面より上方に設けることはいうまでもない。
【実施例3】
【0034】
最後に残った印籠式容器の蓋部の製造方法を説明する。図8は蓋部の構成図、図9は蓋部の組立て途上図である。
蓋部は蓋部の主要部(14)と蓋部の外皮部(15)により構成される。
蓋部の主要部(14)は身部を構成するガイド(ニ)の天地を逆転した状態のものである。したがってこの製造手段は、先段のガイド(ニ)の作り方とまったく同一のものとなる。なお付言すると、天地が逆転しているために、ガイド(ニ)における中央部の矩形は容器身部の底面を形成するのに対し、蓋部の主要部(14)のそれは容器蓋部の天面部を形成する。
【0035】
蓋部の外皮部(15)もこれまで説明した方法によって作られる。すなわち、芯材たるチップボール紙(1)側から型抜きをすることによって、蓋部の外皮部(15)においてチップボールが残った状態の外皮部の天面部(16)とチップボールを剥離させた状態となった蓋部の側面を被覆する粘着面露出部(17)を得る。
【0036】
以上の過程を経てできた蓋部の主要部(14)と蓋部の外皮部(15)を接着して蓋部を完成する。
具体的には図9のように、蓋部の主要部(14)の中央にある天面のうち、チップが露出した面側と、外皮部の天面部(16)のチップが露出した面側を見当よく接着する。しかるのちに蓋部の側面を被覆する粘着面露出部(17)を蓋部の主要部(14)の側面に貼着させ、さらに該粘着面露出部の余剰部をその断面および反対面に回しこんで貼着させると蓋部が完成する。
【0037】
なお、以上は印籠式容器の製造方法について集中的に説明してきたが、当然ながらこれに類する単なる身部に蓋部が重なる形式の容器や身部に対し単純な板状の蓋をのせたり落とし込んだりする形式の容器に対しても自在に応用ができるものである。
また上記実施例を応用すれば、形状の多様化例としてたとえば六角形の底面をもつ箱も未熟練労働かつ製造設備なしでよりたやすく組立が可能である。
【0038】
上記特徴を有する構造は、製造工程のボトルネックとなりがちな組立工程に対して、機動的にその工程能力を伸縮させて需要の急変動に対応できる。
すなわち需要が急増すれば組立に未熟練作業員でも対応が可能であり、結果として「製造〜流通〜使用」という供給連鎖上におけるボトルネックを解消する。
また組立用機械設備に依存せずに手で容易に組立てられるため、供給連鎖の比較的川下まで未完成の平面状態を保てるため物流負担の軽減にも貢献する。
【0039】
上記実施例では、最適な方法として剥離紙を用いる構成を開示したが、本発明では貼着・剥離が可能な接着剤を用いる方法でも実現できる。すなわち、第2層に貼着紙を用いながら、その貼着のための接着剤に1度貼着させても所定の力で剥がすことにより、剥離可能な公知の成分材料を用いてもよい。このとき剥離しても貼着力が残留する接着剤であれば、上記剥離紙を剥離した後の貼着紙と同様の作用が得られる。
本発明では、必ずしも貼着力が残留してなくてもよいから、1度剥離後は貼着力が無くなるものでもよい。
【0040】
剥離紙を貼着するのは第2層の全面とするのが簡便であるが、本発明の実施には少なくとも第1層の1つの面(例えば底面)を形成する領域以外の領域に剥離可能な接着領域が形成されればよいから、剥離紙も同領域近傍だけに設けてもよい。
また、第2層には貼着紙ではなく、通常の紙を用いて、接着剤を塗布する構成でもよい。
【0041】
加えて、本発明は、上記の製造方法を実現する製造装置として提供してもよい。
すなわち、剥離可能接着領域形成手段と、貼着手段、切り込み加工手段、残余領域除去手段を少なくとも備える。
そして、剥離可能接着領域形成手段として2つの面体を貼着する公知の貼着機構を用い、第2層の貼着面に剥離紙を貼着する。あるいは、第2層の基材に対して片面の剥離紙を除去した両面テープを貼着して同様の第2層を形成してもよい。
あるいは、剥離可能接着領域形成手段として第2層の基材に剥離可能な接着剤を塗布する塗布機構を用いてもよい。
【0042】
そして貼着手段にも、2つの面体を貼着する貼着機構を用い、第1層と第2層を貼着させる。
さらに、切り込み加工手段は、上述した2種の刃を備えたカッター機構である。予め深度毎にカッターを備えてもよいし、あるいは1つの刃が異なる深さまで切り込み加工してもよい。
残余領域除去手段は、第1層を貼着面から剥離させる手段であり、例えば第2層を固定した状態で、貼着面と剥離紙との貼着力よりも強力な力で第1層の除去領域を引っ張ることにより、該領域を除去することができる。そのほか、同手段は公知の剥離機構により実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】粘着紙を使用するときの断裁面図
【図2】断裁された部材の斜視図
【図3】印籠式用のガイド部の平面図
【図4】印籠式用のガイド部の組立途上図
【図5】曲折用の溝のある4側面が連繋したフレームの平面図
【図6】曲折用の溝のある4側面とガイドの接着途上図
【図7】ガイド(ニ)を代替する部材の斜視図
【図8】蓋部の構成図
【図9】蓋部の組立て途上図
【符号の説明】
【0044】
イ 貼合された部材の裏まで貫通する深さの刃
ロ 芯材(1)と剥離紙(2)までを打ちぬく程度の深さの刃
ハ コートボール紙製トレイ
ニ ガイド
ホ 溝付四側面のフレーム
1 芯材たるチップボール
2 剥離紙
2a 剥離紙面
3 粘着紙
3a 印刷面
3b 粘着面
4 刃(イ)、刃(ロ)によって閉じた線で囲まれながら切断された領域
5 平面展開図外周線
6 平面展開図外周線(5)の内側にあって芯材の縁部たる線
10 底面部となる矩形
10a 部材の厚みに満たない深度の刃(ロ)でカットされる線
10b 連繋する側面の4面
10c 断面および側面の裏側まで被覆するための縁部
10d 縁部の被覆したあまり
11 屈曲させるための溝部
12 90度曲げて立ち上げるための罫線
13 180度屈曲させるための罫線
14 蓋部の主要部
15 蓋部の外皮部
16 外皮部の天面部
17 蓋部の側面を被覆する粘着面露出部
【出願人】 【識別番号】505112679
【氏名又は名称】富士印刷株式会社
【出願日】 平成18年11月22日(2006.11.22)
【代理人】 【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉


【公開番号】 特開2008−126549(P2008−126549A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−314988(P2006−314988)