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【発明の名称】 プラスチックチャック付袋体の製袋方法
【発明者】 【氏名】葛西 壽一

【要約】 【課題】大型チャックを使用した袋体であってもチャック端部からの漏れを確実に防止できるプラスチックチャック付袋体の製袋方法を提供する。

【解決手段】垂直方向のヒートシールHS1、HS2がプラスチックチャックCと交差する領域CSにおいて、プラスチックチャックの一対の係合部同士または係合部と係合部近傍のプラスチックフイルムとを、超音波シール装置により超音波シールする工程と、超音波シール工程後に、プラスチックチャックに対してほぼ直角な方向にヒートシールする工程とを含み、超音波シール工程においては超音波シール装置のホーンとアンビルとの間隔を超音波シールにより係合部が封止機能を保持する程度とし、且つ超音波シール部分がヒートシール部分より袋の口の中心方向に突出した状態となる幅で超音波シールする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のプラスチックチャック用係合部を具備する2枚のプラスチックフイルムからなり、該プラスチックフイルムの両端部が前記プラスチックチャックに対して垂直方向にヒートシールされている袋体を製造するためのプラスチックチャック付袋体の製袋方法において、前記垂直方向のヒートシール部分が前記プラスチックチャックと交差する領域において、プラスチックチャックの一対の係合部同士または係合部と係合部近傍のプラスチックフイルムとを、超音波シール装置により超音波シールする工程と、該超音波シール工程後に、前記プラスチックチャックに対してほぼ直角な方向に前記ヒートシールを行う工程を含み、前記超音波シール工程においては前記超音波シール装置のホーンとアンビルとの間隔を超音波シールにより係合部が封止機能を保持する程度とし、且つ超音波シール部分が前記ヒートシール部分より袋の口の中心方向に突出した状態となる幅で超音波シールすることを特徴とするプラスチックチャック付袋体の製袋方法。
【請求項2】
前記超音波シール部分を前記ヒートシール部分より袋の口の中心方向に少なくとも0.5mm突出した状態とすることを特徴とする請求項1に記載の製袋方法。
【請求項3】
前記超音波シール装置のホーンとアンビルとの間隔をL、係合状態における係合部の最大厚さをHmとして、L≧0.85Hmの範囲で前記超音波シールを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の製袋方法。
【請求項4】
前記プラスチックチャックの係合部は雄雌一対の鈎爪からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製袋方法。
【請求項5】
前記プラスチックチャックの係合部は雄雌一対の鈎爪からなり、一方の鈎爪の内側に該鈎爪と平行な連続締付け壁を、他方の鈎爪の内側に該鈎爪と平行な連続押付けリブをそれぞれ有する高気密性プラスチックチャックであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製袋方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、食品,薬品,電子部品などの包装容器に使用され、複数回の開閉後でも密閉性を保つことができ、開口が容易で再封止可能なプラスチックチャックを備えた袋体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、表面に一対のプラスチックチャック用係合部を具備する2枚のプラスチックフイルムにおいて、前記係合部を互いに係合させ、該プラスチックフイルムの両端部を前記プラスチックチャックに対して垂直方向にヒートシールして袋体を形成するプラスチックチャック付袋体の製袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックチャックを備えた袋体は安価で簡便であるため、食品,薬品,電子部品などの包装材料として広く使用されている。
【0003】
表面に一対のプラスチックチャック用係合部(例えば一対の雄鈎爪、雌鈎爪)を具備する2枚のプラスチックフイルムにおいて、前記係合部を互いに係合させ、プラスチックフイルムの両端部をプラスチックチャックに対して垂直方向にヒートシールして袋体を形成するプラスチックチャック付袋体の製袋方法を採用した場合には、袋体の両端部において垂直方向のヒートシール部分がプラスチックチャックと交差する領域の近傍で、気体や液体などの内容物が袋体から漏れ易いという欠点があった。
【0004】
この内容物が漏れ易いという欠点について検討すると、チャックの幅(後述の図1において符号aで示す係合部の外側寸法)が1mm程度の小形チャックでは端部のヒートシールによって端部からの漏れが生じないこともある。しかし、例えばチャックの幅が3mm以上の大型チャックの場合には、ヒートシールとプラスチックチャックとが交差する領域の近傍でチャックの密閉性が損なわれて漏れが生じることが観察されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような漏れ現象が起こる原因は定かではない。しかし、プラスチックフィルムおよびプラスチックチャックのヒートシールに際して、樹脂によって決まる一定の温度でチャック部分を熱圧着する場合に、小形のチャックでは熱融着時間がチャックの変形時間より短くてよいためヒートシール端部でのチャックの変形が起こり難く、チャックの係合部からの漏れが生じ難い。一方、大型のチャックではシール時間を長くするために変形時間と融着時間が拮抗し、このためにヒートシール端部でのチャックの変形が起こり、チャックの係合部からの漏れが生じ易いのであろうと、本発明者は推量している。
【0006】
この対策として、例えば、特許文献1(特公昭63−57315号公報)には、雄爪の基部に隆起部を設けてチャックをヒートシール金型で圧着する際に雌爪が雄爪の基部に寄ることによってチャック末端における漏れを防止する方法が提案されている。しかし、チャックの基部が厚くなるフランジ付きのテープ状チャック(大型チャックに多い)にこの方法を適用しようとすると、隆起部によってヒートシール性や位置精度が阻害されるという問題点があった。このため、大型チャックを使用した袋体では依然としてチャック端部からの漏れが生ずるため、内容物が液体や気体である用途に使用することが出来なかった。
【0007】
本発明は、上述した従来技術に付随する問題点に鑑み、大型チャックを使用した袋体であってもチャック端部からの漏れを確実に防止できるプラスチックチャック付袋体の製袋方法を提供することを目的とする。
【特許文献1】特公昭63−57315号公報
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、上記の目的を、一対のプラスチックチャック用係合部を具備する2枚のプラスチックフイルムからなり、該プラスチックフイルムの両端部が前記プラスチックチャックに対して垂直方向にヒートシールされている袋体を製造するためのプラスチックチャック付袋体の製袋方法において、前記垂直方向のヒートシール部分が前記プラスチックチャックと交差する領域において、プラスチックチャックの一対の係合部同士または係合部と係合部近傍のプラスチックフイルムとを、超音波シール装置により超音波シールする工程と、該超音波シール工程後に、前記プラスチックチャックに対してほぼ直角な方向に前記ヒートシールを行う工程を含み、前記超音波シール工程においては前記超音波シール装置のホーンとアンビルとの間隔を超音波シールにより係合部が封止機能を保持する程度とし、且つ超音波シール部分が前記ヒートシール部分より袋の口の中心方向に突出した状態となる幅で超音波シールすることを特徴とするプラスチックチャック付袋体の製袋方法により達成する。
【0009】
なお、本発明において、プラスチックチャック用係合部を具備するプラスチックフイルムには:テープ状プラスチックフィルムの表面にプラスチックチャック用係合部が形成されたテープ状プラスチックチャックがプラスチックフイルム製のフランジ部を具備し、フランジ部が袋体を形成するプラスチックフィルムに接着されているもの;プラスチックチャック用係合部を有するプラスチックチャックが袋体を形成するプラスチックフィルムの表面に直接接着されているもの;およびプラスチックチャック用係合部を有するプラスチックチャックが袋体を形成するプラスチックフィルムと一体成形されているもの;の何れも含むものである。
【0010】
また、本発明のプラスチックチャック付袋体の製袋方法は袋体を一つずつ製袋するバッチ方式にも、また、複数の袋体を連続的に製袋する連続方式にも適用できる。連続方式の場合には、連続したプラスチックチャックおよびプラスチックフイルムを準備し、このプラスチックチャックおよびプラスチックフイルムを本発明に従い等間隔にヒートシールおよび超音波シールして製袋し、その上でヒートシール部分の長手方向の中心をキロチンカッターなどの適宜な切断手段により切断して、個別の袋体とする。また、上記連続方式においては、製袋した後に(個別の袋体に切断する前に)内容物を充填し、その後ヒートシール部分の長手方向の中心を切断して、内容物が充填された個別の袋体としてもよい。
【0011】
本発明の実施に際し、前記超音波シール部分を前記ヒートシール部分より袋の口の中心方向に少なくとも0.5mm突出した状態とすることが好ましい。
【0012】
更に、本発明においては、前記超音波シール装置のホーンとアンビルとの間隔をL、係合状態における係合部の最大厚さをHmとして、L≧0.85Hmの範囲で前記超音波シールを行うことが好ましい。
【0013】
本発明は、前記プラスチックチャックの係合部が雄雌一対の鈎爪からなるプラスチックチャックに適用でき、特に、前記プラスチックチャックの係合部は雄雌一対の鈎爪からなり、一方の鈎爪の内側に該鈎爪と平行な連続締付け壁を、他方の鈎爪の内側に該鈎爪と平行な連続押付けリブをそれぞれ有する高気密性プラスチックチャックに適用することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては超音波シール装置のホーンとアンビルとの間隔を超音波シールにより変形した係合部が封止機能を保持する程度として超音波シールするので、一対のプラスチックチャックの係合部が超音波シールにより確実にシールされ、超音波シールの後にヒートシールを行ってもプラスチックチャックの係合部が封止機能を保持し、すなわち、係合部が変形して封止機能を失わない。しかも、超音波シール部分がヒートシール部分より袋の口の中心方向に突出した状態となる幅で超音波シールするので、係合部の封止機能の保持が確実に行なわれる。したがって、本発明のプラスチックチャック付袋体の製袋方法により、大型チャックを使用した袋体であってもチャック端部からの漏れを確実に防止できる。
【0015】
この際に、超音波シール部分を前記ヒートシール部分より袋の口の中心方向に少なくとも0.5mm突出した状態とすることにより、チャック端部からの漏れを一層確実に防止できる。また、本発明においては、超音波シール装置のホーンとアンビルとの間隔をL、係合状態における係合部の最大厚さをHmとして、L≧0.85Hmの範囲で前記超音波シールを行うことにより、係合部の変形が封止機能を失わない状態で係合部の超音波シールが確実に行なえ、チャック端部からの漏れを確実に防止できる。
【0016】
また、本発明においては、プラスチックフイルムの表面に雄雌一対の鈎爪が形成されたプラスチックチャックに適用でき、特に、プラスチックフイルムの表面に雄雌一対の鈎爪が形成されたプラスチックチャックであって、且つ一方の鈎爪の内側にその鈎爪と平行な連続締付け壁を、他方の鈎爪の内側にその鈎爪と平行な連続押付けリブをそれぞれ有する高気密性プラスチックチャックに適用することにより、チャック端部からの漏れを一層確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して発明を詳しく説明する。図1は本発明に係るプラスチックチャック付袋体の製袋方法を実施する袋体の斜視図であり、図2は本発明に係る製袋方法を実施する袋体のプラスチックフイルムの表面に形成され雄雌一対の鈎爪を具備するプラスチックチャックの断面図であり、(a)は超音波シールする前の状態、(b)は雌鈎爪FCの底部と雄鈎爪MCの頂部との間で超音波シールがされており、(c)は別の態様で雌鈎爪FCの先端と雄鈎爪MCの基板との間で超音波シールがされている。図3は本発明に係る製袋方法を実施する袋体のプラスチックフイルムの表面に形成され、雄雌一対の鈎爪および一方の鈎爪の内側に鈎爪と平行な連続締付け壁を、他方の鈎爪の内側に鈎爪と平行な連続押付けリブを具備するプラスチックチャックの断面図であり、(a)は超音波シールする前の状態、(b)は雌鈎爪FCの連続締付け壁OKと雄鈎爪MCの連続押付けリブORとの間で超音波シールがされている。図4は係合部の変形を示す断面図であり、(a)および(b)は従来のチャックを示し、(c)および(d)は本発明の製袋方法により製袋したチャックを示す。図5は係合部の変形を示す断面図である。図6は本発明の製袋方法に使用する超音波シール装置の概略断面図である。
【0018】
図1において、プラスチックフイルムF1、F2は、表面に一対の雄鈎爪MC、雌鈎爪FCよりなる係合部が形成されたプラスチックチャックCを有する。なお、本実施例においては、プラスチックフイルムF1、F2は、プラスチックチャックCがテープ状プラスチックフィルムの表面にプラスチックチャック用係合部MC、FCが形成され且つプラスチックフイルム製のフランジ部Fcを具備するもので、フランジ部Fcが袋体を形成するプラスチックフィルムにヒートシール接着されているものである。しかし、本発明においては、プラスチックチャックCが、袋体を形成するプラスチックフィルムF1、F2の表面に直接接着されているものでも、或はプラスチックフィルムと一体成形されているものでもよい。
【0019】
2枚のプラスチックフイルムF1、F2の両端部を、チャックの係合部を係合状態にした状態でプラスチックチャックCに対して垂直方向にヒートシールHS1、HS2する。更に、プラスチックフイルムF1、F2の底部をヒートシールHS3して袋体Bが形成される。なお、1枚のプラスチックフイルムを底部で2つ折りした場合には、底部のヒートシールHS3は不要である。
【0020】
なお、プラスチックチャックCは、図2に示すように、雄雌一対の鈎爪FC、MCを具備していてもよく、また、図3に示すように、プラスチックフイルムの表面に形成され雄雌一対の鈎爪FC、MCおよび一方の鈎爪MCの内側に鈎爪MCと平行な連続締付け壁OKを、他方の鈎爪FCの内側に鈎爪FCと平行な連続押付けリブORを具備していてもよい。
【0021】
本発明に係るプラスチックチャック付袋体の製袋方法においては、上述のヒートシールHS1、HS2により袋体Bを形成する前にプラスチックフイルムF1、F2の両端部において、プラスチックチャックCと垂直方向のヒートシールHS1、HS2とが交差する領域CSとなる箇所の近傍に予め超音波シール装置を用いて超音波シールする。
【0022】
超音波シール装置の一例の断面図を図6に示す。超音波シール装置は、超音波発信子を内蔵し超音波シールのための超音波振動を発信する超音波ホーンH−1および超音波ホーンH−1から発信された超音波振動を受けるプラスチックチャックCを載置するアンビルAV−1を具備している。
【0023】
図示したプラスチックチャックCは、図3(a)に示すように、プラスチックフイルムの表面に形成され雄雌一対の鈎爪FC、MCおよび一方の鈎爪MCの内側に鈎爪MCと平行な連続締付け壁OKを、他方の鈎爪FCの内側に鈎爪FCと平行な連続押付けリブORを具備している。なお、図6においては、袋体を形成するプラスチックフィルムの図示を省略している。
【0024】
超音波ホーンH−1はアンビルAV−1に対して垂直方向に上下動可能である。まず超音波ホーンH−1とアンビルAV−1との最小間隔Lを設定する。超音波ホーンH−1を最小間隔Lよりも上方に移動させて(なお、図6では上昇状態を分り易く図示するために、高く上昇させた状態を2点鎖線で示した)、超音波ホーンH−1とアンビルAV−1の間に、係合された状態のプラスチックチャックCの係合部を保持する。そして、超音波ホーンH−1の発生する超音波の振動数と振幅を一定に保った状態で最小間隔Lまで超音波ホーンH−1を垂直方向に下降させて、超音波振動による発熱を用いて鈎爪MCに平行な連続締付け壁OKと他方の鈎爪FCの内側に鈎爪FCに平行に形成された連続押付けリブORとを超音波シールW接着する。接着部分の接着強度は最小間隔Lで保持する時間を変えることにより調節可能である。
【0025】
超音波ホーンH−1とアンビルAV−1の最小間隔Lに関して説明する。本発明者の検討によれば、図3に示したような鈎爪MC、FCの内側に連続締付け壁OKと連続押付けリブORを各々有するプラスチックチャックCの係合状態の最大厚さをHmとすると、係合状態におけるこのプラスチックチャックの厚さ方向での最大可撓長さは(撓んで動ける最大長さ)は約0.15Hmであることが分かった。
【0026】
一方、最小間隔Lが最大厚さHmより大きい(L>Hm)と、超音波ホーンH−1とアンビルAV−1の間でプラスチックチャックCがその長手方向に移動する際に図6の上下方向にも動いてしまい、その結果、超音波による影響が変動するので、安定した状態で超音波シール部分が溶融されず、連続締付け壁OKと連続押付けリブORとの接着強度が不安定になる。また、アンビルAV−1がチャックCの外表面を擦って、チャックBの外表面の光沢を失わせたり、電子回路などに有害なプラスチック微紛を発生させたりする。従って、超音波ホーンH−1とアンビルAV−1の最小間隔Lは最大厚さHmを越えて大きくしてはならない。
【0027】
また、最小間隔Lがチャックの可撓長さの範囲を越えて狭まる(L<0.85Hm)とチャックの鈎爪MC、FC部分が変形してしまうため、チャックの機能を保てない。このため、超音波ホーンH−1とアンビルAV−1の最小間隔LはHm≧L≧0.85Hmの範囲とすることが好ましい。
【0028】
超音波シール装置のホーンH−1とアンビルAV−1との最小間隔Lを、プラスチックチャックの一対の係合部同士(図2(b)および図3(b)参照)または係合部と係合部近傍のプラスチックフイルムF(図2(c)参照)が、超音波シールにより係合部が封止機能を保持する程度、すなわち、係合部が変形して封止機能を失わない程度として、予め超音波シール装置を用いて接着させる。
【0029】
ここで、係合部が変形して封止機能を失わない程度とは図2(a)または図3(a)に例示した正常な形状のチャックを図4(a)または図4(b)に例示する如くにチャックが変形してチャック機能を損なうほどの押圧状態で接着しないことを意味する。
【0030】
係合状態における係合部の高さをH(図2(a)および図3(a)参照)は、チャックの両側(図2および図3では上下方向)からの負う圧力により変化するので、チャックの係合状態における高さを最大にした場合を係合部の最大高さをHmと定義すると、ホーンH−1とアンビルAV−1との最小間隔Lが、L≧0.85Hmの範囲であれば、係合部が変形して封止機能を失うことはない。従って、係合部が変形して封止機能を失わない程度のホーンH−1とアンビルAV−1との最小間隔LはL≧0.85Hmであり、図2(b)、(c)、図3(b)に例示するLである。
【0031】
超音波シール装置により超音波シールを行なった後に、プラスチックチャックCに対してほぼ直角な方向にヒートシールHS1、HS2を行う。
【0032】
プラスチックフイルムの両端部におけるヒートシールHS1、HS2がプラスチックチャックCと交差する領域CSの近傍において、超音波シール部分が前記ヒートシール部分より距離Pだけ袋の口の中心方向に突出した状態となるような幅を超音波シールする。ここでPの値は少なくとも0.5mm(P≧0.5mm)の長さとし、望ましくは3mm以上とする。
【0033】
熱板を用いたヒートシールでは接着部分以外は変形させないで且つチャックの一部分を係合部同士で接着させることは出来ないが、本発明においては、超音波シール装置を用いることにより、プラスチックチャックCの一対の係合部同士または係合部と係合部近傍のプラスチックフイルムFが係合部が変形しない程度に接着させることができる。
【0034】
図3(a)に例示するチャックを図1で示す如くヒートシール部分より距離Pだけ袋の口の中心方向に突出した状態となるような幅で係合部が変形しない程度に接着させた(図3(a)参照)後、ヒートシール熱板によってチャック部分を溶融して潰すと、チャックの交差部CSの断面は図5のようになり、Pの長さの間で図4(d)に示すようなチャック変形部を経て、図3(b)の状態に移行する。Pより中心方向側では図3(a)の正常状態のチャックとなる。
【0035】
なお、図2(a)に示したチャックの場合は図5に示すような潰れた状態から図4(c)に示すような変形部を経て、図2(b)または図2(c)となる。図2(b)においては雌鈎爪FCの底部と雄鈎爪MCの頂部との間で超音波シールWがされており、図2(c)においては雌鈎爪FCの先端と雄鈎爪MCの基板との間で超音波シールWがされている。更に中心方向側では図2(a)の状態となる。
【0036】
本発明を適用すると、P部分において予めプラスチックチャックの一対の係合部同士、あるいは係合部と係合部近傍のプラスチックフイルムを、係合部が変形して封止機能を失わない程度に接着させることによって、図4(c)または(d)に示すような変形部分であっても予め係合部分が接着しているためチャックの内容物側Cから取出側Mの方向に漏れることはなく、チャック端部で漏れが発生しない袋体の製袋が可能となる。
【0037】
一方、本発明を適用しないで、ヒートシール熱板によってチャック部分を溶融して潰すと、図4(a)または(b)のような変形部において、チャックの内容物側Cから取出側Mの方向に漏れた流体はチャックの長手方向に流れて結果的に漏れを生ずる。
【0038】
一般に図2で例示するようなチャックは完全密閉が困難な場合が多く、チャック端部での漏れもある程度許容できる場合があるが、図3に例示したようなプラスチックフイルムの表面に一対の雄鈎爪MCと雌鈎爪FCが形成されたプラスチックチャックであって、且つ一方の鈎爪の内側に鈎爪と平行な連続締付け壁OKを、他方の鈎爪の内側に鈎爪と平行な連続押付けリブORをそれぞれ有する高気密性プラスチックチャックの場合はチャック端部での漏れは絶対に許容されない。
【0039】
このような高気密性プラスチックチャックに本発明を適用すると、ヒートシール部分より距離Pだけ袋の口の中心方向に突出した状態となるような幅で係合部が変形しない程度で接着させると図2(b)もしくは(c)、または図3(b)に例示したような形状となった後、ヒートシール熱板によってチャック部分を溶融して潰すことによってチャック端部で漏れが発生しない袋体の製袋が可能となる。
【実施例1】
【0040】
図1に示したような袋体を形成するプラスチックフィルムF1、F2として、厚さ15μのナイロンフイルムと厚さ50μの低密度ポリエチレンフイルムをドライラミネートしたラミネートフイルムを用い、そのフィルムの両端と底部とをヒートシールして幅140mm×チャック下長さ200mmのチャック付き平袋を製造した。
【0041】
チャックは図3に示したように高気密性プラスチックチャックであり、係合した時の最大厚さHmが2.3mmでチャックの両側には5mmのフランジ部を有するテープ状のチャックである。このチャックの雄鈎爪MCと雌鈎爪FCとのそれぞれのフランジ部をラミネートフイルムの低密度ポリエチレン側にヒートシールし、2枚のチャック付きフイルムとし、このチャック付きフイルムを用いて製袋した。
【0042】
製袋に際し、先ず2枚のチャック付きフイルムのチャックは係合状態する。チャックの長手方向の長さがそれぞれ10mmであるアンビルとホーンのセットを備え、ホーンとアンビルの最小間隔を予め2.0mm(L=0.87×Hm)に設定し、40KHzの超音波シール装置を使用して、袋の端部となる位置で超音波シール装置のホーンとアンビルとが最小間隔になるまで上方より下方向に移動させながら超音波振動によって図3(b)のようにチャックの内面をチャックの長手方向に20mmの長さに亘り係合部が変形しない程度に溶着した。
【0043】
袋体を連続的に生産するために、プラスチックフィルムおよびプラスチックチャックの長さ方向に等間隔にヒートシールおよび超音波シールを繰り返している。したがって、上記作業に続いて、幅16mmの金型でチャックに対して垂直方向にヒートシールし、前述のように係合部が変形しない程度に超音波シール装置によって超音波シールした20mmの長さの部分がヒートシール部分から両側にそれぞれ2mm突出するようにした。
【0044】
上記の作業に際しては、チャック付きフイルムをチャックの長手方向に移動させて140mmの間隔で超音波シールおよびヒートシール操作を行い、チャックに対して垂直で幅16mmのヒートシールの中心をギロチンカッターで切り離した。これによって幅140mmの平袋を連続的に製造した。なお、袋の底部は超音波シール下後または超音波シールする前に、幅8mmの金型でチャックの下200mmとなる位置でヒートシールして形成する。
【0045】
この袋を20枚取出しチャックを開いて溶剤に赤色の染料を溶かしたレッドチェッカーを袋の内部に約2cc注入後にチャックを閉じてチャック部分を下にした状態で24時間放置したが、いずれの袋からも漏れは検出されなかった。
【0046】
本発明によってチャック端部の漏れを防止できると判断できた。
〔比較例1〕
【0047】
実施例1と同材質、同寸法の平袋を製造するに際して、2枚のチャック付きフイルムのチャックは係合状態とし、先ず幅8mmの金型でチャックの下200mmとなる位置でヒートシールして底部を形成した。その後、上述の実施例におけるチャックの口の中心をチャックの長手方向に20mm長さで係合部が変形しない程度に溶着する工程を実施することなく、いきなり幅16mmの金型でチャックと垂直方向にヒートシールした。次いで、幅16mmのヒートシールの中心を、チャックと垂直方向にギロチンカッターで切り離した。これによって幅140mmの平袋を連続的に製造した。
【0048】
この袋を20枚取出し溶剤に赤色の染料を溶かしたレッドチェッカーを袋の内部に約2cc注入後のチャックを閉じてチャック部分を下にした状態で放置したが、放置後約4時間で全ての袋のチャック端部において漏れが検出された。
【0049】
本発明を実施しないとチャック端部での漏れは防止できないと判断できた。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るプラスチックチャック付袋体の製袋方法を説明する袋体の概略斜視図である。
【図2】本発明に係る製袋方法を実施する袋体のプラスチックフイルムの表面に形成され雄雌一対の鈎爪を具備するプラスチックチャックの断面図であり、(a)は超音波シールを掛ける前の状態、(b)は雌鈎爪FCの底部と雄鈎爪MCの頂部との間で超音波シールがされており、(c)は別の態様で雌鈎爪FCの先端と雄鈎爪MCの基板との間で超音波シールがされている。
【図3】本発明に係る製袋方法を実施する袋体のプラスチックフイルムの表面に形成され雄雌一対の鈎爪および一方の鈎爪の内側に鈎爪と平行な連続締付け壁を、他方の鈎爪の内側鈎爪と平行な連続押付けリブを具備するプラスチックチャックの断面図であり、(a)は超音波シールを掛ける前の状態、(b)は雌鈎爪FCの連続締付け壁と雄鈎爪MCの連続押付けリブとの間で超音波シールがされている。
【図4】係合部の変形を示す断面図であり、(a)および(b)は従来のチャックを示し、(c)および(d)は本発明の製袋方法により製袋したチャックを示す。
【図5】ヒートシールによる係合部の変形を示す断面図である。
【図6】本発明の製袋方法に使用する超音波シール装置の概略断面図であり、2点鎖線で超音波ホーンH−1が上方に移動した状態を示している。
【符号の説明】
【0051】
B 袋体
C プラスチックチャック
CS 交差する領域
F1、F2 プラスチックフイルム
FC 雌鈎爪
HS1、HS2、HS3 ヒートシール
MC 雄鈎爪
OK 連続締付け壁
OR 連続押付けリブ
P 突出部分
【出願人】 【識別番号】503429799
【氏名又は名称】葛西 壽一
【出願日】 平成18年11月7日(2006.11.7)
【代理人】 【識別番号】100082681
【弁理士】
【氏名又は名称】三中 英治

【識別番号】100077654
【弁理士】
【氏名又は名称】三中 菊枝


【公開番号】 特開2008−114546(P2008−114546A)
【公開日】 平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願番号】 特願2006−301777(P2006−301777)