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【発明の名称】 リニアモータ搭載プレス機械
【発明者】 【氏名】岡田 卓也

【要約】 【課題】リニアモータを用いた簡素な構成のプレス機械としながら、加工精度の向上、機械組立時のリニアモータの取付け易さの向上が図れるリニアモータ搭載プレス機械を提供する。

【構成】水平載置面Sを有するプレスフレーム41と、ワークWにプレス加工を施すプレス金型61と、前記水平載置面Sに搭載されてプレス金型61を駆動するリニアモータ1とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平載置面を有するプレスフレームと、ワークにプレス加工を施すプレス金型と、前記水平載置面に搭載されて前記プレス金型を駆動するリニアモータとを備えたリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項2】
前記リニアモータは、プレス方向と平行な取付具によって、前記水平載置面に取付けられる請求項1記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項3】
水平載置面を有するフレームと、ワークに加工を施す工具と、前記水平載置面に搭載されて前記工具を駆動するリニアモータとを備えたリニアモータ搭載工作機械。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、リニアモータを駆動源とするパンチプレス等のプレス機械、およびその他の工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
パンチプレス等のプレス機械において、パンチ金型を進退させるプレス駆動源には、回転型の電気モータを用いてクランク機構等により直動運動に変換するものや、油圧シリンダを用いるものが一般的である。電気モータとして、サーボモータを用い、ストローク途中のパンチ速度を可変とするものも提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、回転型の電気モータを用いるものは、直動運動に変換する機構が必要なため、構成が複雑となる。また、回転運動を直動運動に変換するため、制御性にも劣る。油圧シリンダを用いるものは、油圧ユニット等の油圧供給系が必要であり、構造が複雑となる。
【0003】
この他に、リニアモータをプレス駆動源に用いるものも提案されている。この提案例では、リニアモータはC形のプレスフレームの上部前端面に設置されている。リニアモータを用いると、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。リニアモータは制御性にも優れる。
【特許文献1】特開平8−1384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のリニアモータ搭載プレス機械は、C形のプレスフレームの上部の端面に設置されている。このため、リニアモータの側面でプレスフレームに取り付くことになる。したがって、プレス荷重の反力がリニアモータに作用すると、リニアモータのモータケースに対して不均等な荷重が作用し、加工精度の低下の原因になるという問題がある。また、プレス機械では、リニアモータは大重量であるため、プレス機械の組立時に、上記のようにモータ側面でプレスフレームに取付ける構造では、取付作業が困難となる。リニアモータは、磁力の非常に強い永久磁石が用いられるため、プレス機械の組立作業に手間がかかると、人体への影響も懸念される。
このような課題は、プレス機械の他に、リニアモータを加工の駆動源として用いる他の工作機械においても生じる。
【0005】
この発明の目的は、リニアモータを用いた簡素な構成のプレス機械としながら、加工精度の向上、機械組立時のリニアモータの取付け易さの向上が図れるリニアモータ搭載プレス機械を提供することである。
この発明の他の目的は、リニアモータを用いた簡素な構成の工作機械としながら、加工精度の向上、機械組立時のリニアモータの取付け易さの向上が図れるリニアモータ搭載工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、水平載置面を有するプレスフレームと、ワークにプレス加工を施すプレス金型と、前記水平載置面に搭載されて前記プレス金型を駆動するリニアモータとを備える。
この構成によると、進退動作する金型をリニアモータで駆動させるため、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。駆動源となるリニアモータは、プレスフレームの水平載置面に設置するため、リニアモータおよびプレスフレームに作用するプレス反力がプレス中心まわりの各部で均等となり、モータケースやプレスフレームの撓みに起因する加工精度の低下が緩和できて、加工精度が向上する。また、駆動源となるリニアモータをプレスフレームの水平載置面に設置するため、プレス機械の組立時に上記水平載置面に置いた状態でボルト締め等の固定作業が行え、取付作業が行い易い。
【0007】
この発明において、前記リニアモータは、プレス方向と平行な取付具によって、前記水平載置面に取付けられるものとしても良い。上記取付具にはボルト等を用いることができる。
プレス方向と平行な取付具によりリニアモータを取付けるようにした場合、リニアモータに作用するプレス反力をより一層均等に受けることができて、加工精度をさらに向上させることができる。
【0008】
この発明のリニアモータ搭載工作機械は、水平載置面を有するフレームと、ワークに加工を施す工具と、前記水平載置面に搭載されて前記工具を駆動するリニアモータとを備える。なお、この明細書で言う「工作機械」とは、旋盤等の切削加工を行う機械に限らず、物を加工する機械一般を示す広義の工作機械であり、パンチプレスやその他のプレス機械を含む意味である。
プレス機械に限らず、ワークに加工を施す工具をリニアモータで駆動する工作機械の場合に、リニアモータを水平載置面に搭載することで、加工の反力によるモータケースや工作機械のフレームの変形を抑制し、加工精度の向上を図ることができる。また、リニアモータの取付作業性が向上する。特に、工具を直線状経路で往復動作させる工作機械の場合は、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。
【発明の効果】
【0009】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、水平載置面を有するプレスフレームと、ワークにプレス加工を施すプレス金型と、前記水平載置面に搭載されて前記プレス金型を駆動するリニアモータとを備えたものであるため、リニアモータを用いた簡素な構成のプレス機械としながら、加工精度の向上、機械組立時のリニアモータの取付け易さの向上を図ることができる。
前記リニアモータが、プレス方向と平行な取付具によって、前記水平載置面に取付けられる場合は、より一層の加工精度の向上が図れる。
この発明のリニアモータ搭載工作機械は、水平載置面を有するフレームと、ワークに加工を施す工具と、前記水平載置面に搭載されて前記工具を駆動するリニアモータとを備えたものであるため、加工精度の向上、機械組立時のリニアモータの取付け易さの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の一実施形態を、図1ないし図4と共に説明する。この実施形態は、パンチプレスからなるプレス機械に適用したものである。このプレス機械は、プレス駆動源としてリニアモータ1を用いたものであり、プレスフレーム41に工具支持体42,43と、ワーク送り機構44とを設置し、フレーム41の上部に、上記リニアモータ1を備えるプレス機構45が設置されている。リニアモータ1は、後に詳述するように、プレスフレーム41における取付部材54の上面である水平載置面Sに搭載される。
【0011】
工具支持体42,43は、同心に設置された上下のタレットからなり、上下の工具支持体42,43には円周方向の複数箇所に、それぞれパンチ金型61,ダイ金型62である工具が搭載される。これらパンチ金型61,ダイ金型62は、工具支持体42,43の回転によって所定のパンチ位置Pに割り出される。ワーク送り機構44は、板材のワークWの縁部をワークホルダ47で把持し、ワークWをテーブル48上で前後左右に移動させるものである。
【0012】
プレス機構45は、工具支持体42のパンチ位置Pに割り出されたパンチ金型61を昇降させるラム49を、ラムガイド50により昇降自在に支持し、ラム49をリニアモータ1の出力軸12によって昇降駆動させるものである。
【0013】
プレスフレーム41は、側面形状がC字状のフレーム本体41Aと、その下部の前方に続く板材送り部フレーム41Bとでなる。フレーム本体41Aは、後部のコラム部41Aaと、このコラム部41Aの上部および下部からそれぞれ前方へ延びる上フレーム部41Abおよび下フレーム部41Acからなる。
【0014】
図2に示すように、フレーム本体41Aは、両側面の一対の側板51と、これら側板51間に介在する垂直フレーム板部52および水平フレーム板53を有し、上フレーム部41Abにおける前端に、上面が水平載置面Sとなる取付部材54が設けられている。取付部材54は、リニアモータ1の取付用部材であり、両側縁が両側の側板51に接合されていて、中央にモータ出力軸出入り用の開口54aが設けられている。
図1において、ラムガイド50はプレスフレーム41における水平フレーム板53上に設置されている。
【0015】
図3,図4に示すように、リニアモータ1は、それぞれ円筒型リニアモータからなる複数の単位リニアモータ2をモータケース25内に並列配置したものが用いられる。並列に配置する形態として、この例では同一仕様の円筒型リニアモータ2を、出力軸中心Oを中心とする仮想の円上に円周方向に並べて配置している。
【0016】
各単位リニアモータ2は、N極とS極が交互に並ぶ永久磁石からなる軸部材3と、この軸部材3が内部を相対的に軸方向移動自在なコイルユニット4とでなる。コイルユニット4は、軸部材3の周囲を囲む複数のコイル5を、円筒状のコイルケース7内に軸方向に並べて構成される。コイルユニット4はステータとなり、軸部材3が移動体となる。軸部材3は、1本の丸棒状の部材からなるが、複数個の永久磁石を軸方向に並べたものであっても良い。
【0017】
モータケース25は、内筒26と外筒27を同心に配置し、これら内筒26と外筒27の両端を端板28,29で連結したものである。下方の端板29は、外筒27の周縁に張り出していて、この張出部分が取付ブラケット29Aとなる。各単位リニアモータ2は、内筒26と外筒27間の環状の空間内に前記円周方向に並べて配置されている。両側の端板28,29は、各単位リニアモータ2の軸部材3を挿通する複数の軸部材挿通孔28a,29aをそれぞれ有し、かつ片方の端板28は、中央にガイド軸挿通孔28bが設けられている。
【0018】
各単位リニアモータ2の軸部材3は、両端が板状の連結部材10,11により相互に連結され、これら複数の軸部材3と連結部材10,11とで移動体30が構成される。この移動体30における片方の連結部材11に、単位リニアモータ2の配列の中心Oに位置する出力軸12が形成されている。
【0019】
モータケース25と、移動体30の間には、複数の単位リニアモータ2の軸部材3の移動を案内するガイド機構32が設けられる。ガイド機構32は、モータケース25の内筒26と、この内筒26内に嵌合状態に固定された案内部であるブッシュ15と、一端側の連結部材10の中心に設けられてブッシュ15内に軸方向移動自在に嵌合する被案内部であるガイド軸13とで構成される。ブッシュ15は滑り軸受を構成する。
ガイド機構32には、モータケース25に対する移動体30との相対的な回転を阻止する回り止め手段16が設けられている。回り止め手段16は、ガイド軸13に軸方向に沿って設けられたキー溝17と、モータケース25の内筒26に固定されてキー17に摺動自在に係合するキー部18とでなる。
【0020】
リニアモータ1は、上記のようにプレスフレーム41における取付部材54の上面である水平載置面Sに搭載され、モータケース25の外周に張り出した取付ブラケット29Aで、複数本の取付具55により取付部材54に固定される。取付具55は、プレス方向と平行に、つまり上下方向に延びて設けられる。上記取付具55はボルトからなり、取付ブラケット29Aに設けられたボルト挿通孔56に挿通されて、取付部材54のねじ孔からなる取付孔57に締め付け固定される。取付孔57をねじ孔とする代わりに単に挿通孔とし、ナット(図示せず)を用いてボルトからなる取付具55の締め付けを行うようにしても良い。
【0021】
上記のように水平載置面Sに搭載されたリニアモータ1の出力軸12は、下方の連結板11と共に、プレスフレーム41の取付部材54に設けられた開口54a内を出入り可能である。
【0022】
この構成のプレス機械によると、プレス駆動源としてリニアモータ1を用いるため、回転型のモータを用いるものに比べて、回転をラム49の直線運動に変換する機構が不要であり、プレス機構45の部品点数が少なく構成が簡素となる。また、プレス駆動源として油圧シリンダを用いるものと比べて、油圧ユニットが不要で、構成が簡単になる。しかもリニアモータ1は、位置精度に優れており、加工品質,精度の良い加工が可能となる。
リニアモータ1は、この実施形態では、複数の単位リニアモータ2を並列に配置したものであるため、個々の単位リニアモータ2が出力の小さなものであっても、大きな出力が得られ、プレス加工に必要な出力を十分に得ることができる。
【0023】
プレス駆動源となるリニアモータ1は、プレスフレーム41の水平載置面Sに設置するため、リニアモータ1およびプレスフレーム41に作用するプレス反力がプレス中心まわりの各部で均等となり、モータケース25やプレスフレーム41の撓みに起因する加工精度の低下が緩和できて、加工精度が向上する。この実施形態では、リニアモータ1をプレス方向と平行な取付具55によって取付けられるため、リニアモータ1に作用するプレス反力をより一層均等に受けることができて、加工精度をさらに向上させることができる。
また、リニアモータ1をプレスフレーム41の水平載置面Sに設置するため、プレス機械の組立時に上記水平載置面Sに置いた状態でボルト締め等の固定作業が行え、取付作業が行い易い。このため、リニアモータ1の軸部材3に磁力の強力なものが用いてられていても、プレス機械への組み立て時に時間がかからず、人体への磁力の影響による害が回避できる。
【0024】
なお、上記実施形態では、リニアモータ1が複数の単位リニアモータ2からなるものとしたが、例えば図5に示すように、リニアモータ1は、単独の軸部材3およびコイルユニット2からなるものであっても良い。この場合も、リニアモータ1は、プレスフレーム41の水平載置面S上に搭載し、モータケース25の外周に突出した取付ブラケット29Aを介してボルト等の取付具55によりプレスフレーム41に固定する。
【0025】
また、前記実施形態では、プレス機械に適用した場合につき説明したが、この発明は、プレス機械に限らず、工作機械一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施形態に係るリニアモータ搭載プレス機械の側面図である。
【図2】(A)は同リニアモータ搭載プレス機械のプレスフレームの正面図、(B)は同プレスフレームの破断側面図である。
【図3】同リニアモータ搭載プレス機械におけるリニアモータの縦断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】この発明の他の実施形態におけるリニアモータの縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1…リニアモータ 2…単位リニアモータ
3…軸部材
4…コイルユニット 5…コイル 7…コイルケース 10,11…連結部材 12…出力軸 15…ブッシュ
25…モータケース
28,29…端板
29A…取付ブラケット
30…移動体
32…ガイド機構
41…フレーム
41A…フレーム本体
41B…板材送り部フレーム
41Ab…上フレーム部
42,43…工具支持体
44…ワーク送り機構
45…プレス機構
49…ラム
50…ラムガイド
51…側板
54…取付部材
54a…開口
55…取付具
61…パンチ金型(プレス金型)
62…ダイ金型(プレス金型)
O…中心
P…パンチ位置
S…水平載置面
W…ワーク
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士


【公開番号】 特開2008−43994(P2008−43994A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223788(P2006−223788)