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【発明の名称】 リニアモータ搭載プレス機械
【発明者】 【氏名】坂本 博一

【要約】 【課題】大プレストン数の加工から小プレストン数の高速加工までを、プレストン数に最適な過不足のない推力の発生により、エネルギ効率良く運転できるリニアモータ搭載プレス機械を提供する。

【構成】第1のリニアモータ11と、第1のリニアモータ11よりも推力が小さいかまたは同等の第2のリニアモータ12と、これら第1および第2のリニアモータ11,12の出力軸30,34を相互に連結解除可能に連結する連結切替機構13とを備える。第2のリニアモータ12の出力軸34により、プレス金型6を進退駆動する。第1,第2のリニアモータ11,12は、プレス加工軸中心Pの回りに単位リニアモータ15を複数配置した単位リニアモータ集合体とする。第2のリニアモータ12は、単位リニアモータ15の個数を第1のリニアモータ11よりも同じか少なくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリニアモータと、第1のリニアモータよりも推力が小さいかまたは同等の第2のリニアモータと、これら第1および第2のリニアモータの出力軸を相互に連結解除可能に連結する連結切替機構と、第2のリニアモータの出力軸に進退駆動されるプレス金型とを備えたリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項2】
前記第1および第2のリニアモータは、いずれもプレス金型が昇降するプレス加工軸中心回りに単位リニアモータを複数配置した単位リニアモータ集合体であり、第2のリニアモータは単位リニアモータ個数を第1のリニアモータよりも少なくした請求項1記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項3】
前記第1および第2のリニアモータは、いずれもプレス金型が昇降するプレス加工軸中心回りに単位リニアモータを複数配置した単位リニアモータ集合体であり、第1のリニアモータの単位リニアモータの配列の内側に、第2の単位リニアモータを配置した請求項1または請求項2記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項4】
前記単位リニアモータが、軸方向に交互にN極とS極を有する永久磁石からなる軸部材およびこの軸部材が内部を相対的に移動自在なコイルユニットを有する円筒型リニアモータである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項5】
必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、前記連結切替機構を連結解除状態とし、かつ第2のリニアモータのみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、前記連結切替機構を連結状態として第1のリニアモータを第2のリニアモータと共働して駆動させるように制御する連結状態・使用モータ選択制御手段を設けた請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項6】
前記第1または第2のリニアモータにつき、複数の単位リニアモータのうちの一部の単位リニアモータを選択的に駆動する単位リニアモータ選択制御手段を設けた請求項2または請求項3記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、リニアモータを駆動源とするパンチプレス等のプレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
パンチプレス等のプレス機械において、プレス金型を進退させるプレス駆動源には、回転型の電気モータを用いてクランク機構等により直動運動に変換するものや、油圧シリンダを用いるものが一般的である。電気モータとして、サーボモータを用い、ストローク途中のパンチ速度を可変とするものも提案されている(例えば、特許文献1)。
しかし、回転型の電気モータを用いるものは、直動運動に変換する機構が必要なため、構成が複雑となる。また、回転運動を直動運動に変換するため、ロストモーション等が存在し、制御性にも劣る。油圧シリンダを用いるものは、油圧ユニット等の油圧供給系が必要であり、構造が複雑となる。
【0003】
この他に、リニアモータをプレス駆動源に用いるものが試みられている。パンチの駆動にリニアモータを用いると、回転型のモータを用いるものとは異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。
【特許文献1】特開平8−1384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パンチプレス等によるプレス加工では、大きなプレストン数を必要とする加工から、小さなプレストン数で済むが高速加工が要求されるものまでを、同じ機械で行うことが要求されることが一般的である。
同じリニアモータでこのようなプレストン数の大きく異なる加工を行う場合、大出力のリニアモータを用いることになるが、大出力のリニアモータは、大きくて可動部分の重量が重いため、高速動作を得ることが難しい。また、高速動作が得られても、電力消費が多くなって、効率の良い動作が得られない場合がある。大出力のリニアモータは、高速加工時は振動面からも好ましくない場合がある。そのため、高速加工が要求される用途に大出力のリニアモータを用いることは現実的ではない。
【0005】
また、リニアモータは、磁力の強い永久磁石を用いることが一般的であるが、1個のリニアモータで大きな推力を得るには、磁石の大きさの製造限界や供給電圧の制約等もあって、製造が困難である。プレス加工では、一般的な加工に比べてリニアモータに大きな推力を得ることが必要な場合があり、1個のリニアモータでは必要プレストン数が得られない場合がある。
このため、複数のリニアモータを連結して用い、小プレストン数の加工の場合は、一部のリニアモータのみを駆動する方策もあるが、連結された非駆動状態のリニアモータが抵抗として作用し、電気エネルギの使用効率が低減する。
【0006】
この発明の目的は、リニアモータを用いてプレス駆動源を簡易な構成とでき、また大プレストン数の加工から小プレストン数の高速加工までを、プレストン数に最適な推力の発生により、エネルギ効率良く運転できるリニアモータ搭載プレス機械を提供することである。
この発明の他の目的は、複数の単位リニアモータを用いて出力アップが図れ、これら複数の単位リニアモータでバランス良く直進出力を得られ、かつ第2のリニアモータのみで加工するときに、小プレストン数の推力を効率良く得ることができるものとすることである。
この発明のさらに他の目的は、各リニアモータをより空間効率良く配置し、より一層コンパクトな構成とすることである。
この発明のさらに他の目的は、各単位リニアモータをコンパクトで効率良いものとできて、また単位リニアモータの組み合わせが簡素な構成で行えるものとすることである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータを適切に駆動して効率の良い運転が行える制御を達成することである。
この発明のさらに他の目的は、プレストン数に応じたよりエネルギ効率の良い加工が簡単な制御で行えるものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、第1のリニアモータと、第1のリニアモータよりも推力が小さいかまたは同等の第2のリニアモータと、これら第1および第2のリニアモータの出力軸を相互に連結解除可能に連結する連結切替機構と、第2のリニアモータの出力軸に進退駆動されるプレス金型とを備える。
【0009】
この構成によると、プレス金型をリニアモータで進退駆動するため、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。また、第1のリニアモータと第2のリニアモータと、両者を連結する連結切替機構とを備えるため、大プレストン数を要求される加工では、両リニアモータを連結状態とし、両リニアモータを駆動することにより、あるいは出力の大きい第1のリニアモータを駆動することにより、要求される大きなプレストン数に応じた加工が行える。小さなプレストン数で済む加工の場合は、連結切替機構を連結解除状態として、小出力の第2のリニアモータのみで駆動することにより、高速で低振動の加工を行うことができる。この場合に、第1のリニアモータは第2のリニアモータと切り離されているため、第1のリニアモータが第2のリニアモータの駆動の抵抗とならず、効率の良い運転が行える。
【0010】
この発明において、前記第1および第2のリニアモータは、いずれもプレス金型が昇降するプレス加工軸中心回りに単位リニアモータを複数配置した単位リニアモータ集合体とし、第2のリニアモータは単位リニアモータ個数を第1のリニアモータよりも少なくしても良い。
このように、第1および第2のリニアモータを単位リニアモータ集合体とすることで、個々の単位リニアモータの出力を複数本分の出力として大きな出力を得ることができる。また、複数の単位リニアモータはプレス加工軸中心回りに配置するため、複数の単位リニアモータを設置しながら、バランス良く直進出力を得ることができる。第2のリニアモータは、単位リニアモータを第1のリニアモータよりも少ない個数としたため、動作部の質量が小さくて済み、第2のリニアモータのみで加工するときに、小プレストン数の推力を効率良く得ることができる。
【0011】
このように第1および第2のリニアモータを単位リニアモータ集合体とした場合に、第1のリニアモータの単位リニアモータの配列の内側に、第2の単位リニアモータを配置しても良い。
このように第1のリニアモータと第2のリニアモータの単位リニアモータの配列を同芯として2重の配列としたため、コンパクトな配置とすることができる。この場合に、小プレストン数とする第2のリニアモータを内側に配置するため、各リニアモータの大きさに応じた空間効率の良い配置が行えて、無駄のないよりコンパクトな配置とすることができる。
【0012】
この発明において、前記単位リニアモータが、軸方向に交互にN極とS極を有する永久磁石からなる軸部材およびこの軸部材が内部を相対的に移動自在なコイルユニットを有する円筒型リニアモータであっても良い。円筒型リニアモータは、磁石部材の周囲にコイルユニットが位置するため、磁界を効率良く利用でき、コンパクトで効率良いリニアモータとなる。
【0013】
この発明において、必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、前記連結切替機構を連結解除状態とし、かつ第2のリニアモータのみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、連結切替機構を連結状態として第1のリニアモータを第2のリニアモータと共働して駆動させるように制御する連結状態・使用モータ選択制御手段を設けても良い。
このように連結状態・使用モータ選択制御手段を設けて必要プレストン数に応じた両リニアモータの連結および駆動の制御を行うようにした場合、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータを適切に駆動して効率の良い運転が行える。
【0014】
この発明において、第1または第2のリニアモータが複数の単位リニアモータからなるものである場合に、これら複数の単位リニアモータのうちの一部の単位リニアモータを選択的に駆動する単位リニアモータ選択制御手段を設けても良い。
一部の単位リニアモータをのみを駆動することで、プレストン数に応じたエネルギ効率の良い加工が行える。
【発明の効果】
【0015】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、第1のリニアモータと、第1のリニアモータよりも推力が小さいかまたは同等の第2のリニアモータと、これら第1および第2のリニアモータの出力軸を相互に連結解除可能に連結する連結切替機構と、第2のリニアモータの出力軸に進退駆動されるプレス金型とを備えるため、リニアモータを用いてプレス駆動源を簡易な構成とでき、また大プレストン数の加工から小プレストン数の高速加工までを、プレストン数に最適な推力の発生により、エネルギ効率良く運転することができる。
【0016】
前記第1および第2のリニアモータは、いずれもプレス金型が昇降するプレス加工軸中心回りに単位リニアモータを複数配置した単位リニアモータ集合体である。また、複数の単位リニアモータでバランス良く直進出力を得られ、かつ第2のリニアモータのみで加工するときに、小プレストン数の推力を効率良く得ることができる。
【0017】
このように第1および第2のリニアモータを単位リニアモータ集合体とした場合に、第1のリニアモータの単位リニアモータの配列の内側に、第2の単位リニアモータを配置した場合は、各リニアモータをより空間効率良く配置できて、より一層コンパクトな構成とできる。
【0018】
前記単位リニアモータが、軸方向に交互にN極とS極を有する永久磁石からなる軸部材およびこの軸部材が内部を相対的に移動自在なコイルユニットを有する円筒型リニアモータである場合は、各単位リニアモータがコンパクトで効率良いものとでき、また複数の単位リニアモータの組合せが簡素な構成で行える。
【0019】
この発明において、必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、前記連結切替機構を連結解除状態とし、かつ第2のリニアモータのみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、前記連結切替機構を連結状態として第1のリニアモータを第2のリニアモータと共働して駆動させるように制御する連結状態・使用モータ選択制御手段を設けた場合は、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータを適切に駆動して効率の良い運転が行える。
【0020】
この発明において、前記第1または第2のリニアモータにつき、複数の単位リニアモータのうちの一部の単位リニアモータを選択的に駆動する単位リニアモータ選択制御手段を設けた場合は、プレストン数に応じたエネルギ効率の良い加工が、簡単な制御で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明の第1の実施形態を、図1ないし図5と共に説明する。このリニアモータ搭載プレス機械は、例えばパンチプレスと称されるものであり、プレスフレーム1に、上下一対の金型支持体2,3と、ワーク送り機構4と、プレス駆動機構5とが設置されている。
【0022】
金型支持体2,3は、同心に設置された上下のタレットからなり、それぞれ円周方向の複数箇所に、パンチ側のプレス金型6、およびダイ側のプレス金型7が搭載されている。これらプレス金型6,7は、金型支持体2,3の回転によって所定のプレス加工軸中心Pに割り出される。
【0023】
ワーク送り機構4は、板材のワークWの縁部をワークホルダ8で把持し、ワークWをテーブル9上で前後左右に移動させるものである。
【0024】
プレス駆動機構5は、プレス駆動源として第1のリニアモータ11と、その真下に設置された第2のリニアモータ12とを備える。これら第1および第2のリニアモータ11,12は、連結切替機構13により、出力軸が相互に連結解除可能に連結される。第2のリニアモータ12の出力軸にラム14が連結され、ラム14により、パンチ側のプレス金型6にプレス加工のための下降動作が与えられる。プレス金型6は、ばね部材(図示せず)によって上昇復帰するものであっても、またラム14により強制引き上げするものであっても良い。
【0025】
第1のリニアモータ11は、図2および図3に示すように、プレス加工軸中心Pの回りの円周上に単位リニアモータ15を複数配置した単位リニアモータ集合体である。前記複数の単位リニアモータ15は、等間隔、等角度で配列される。図示の例では、6個の単位リニアモータ15(15a 〜15f )により1個のリニアモータ11が構成される。
【0026】
個々の単位リニアモータ15は、図5に示すように、N極とS極が交互に並ぶ永久磁石からなる軸部材23と、この軸部材23が内部を相対的に軸方向移動自在なコイルユニット24とでなる円筒型リニアモータとされている。コイルユニット24は、軸部材23の周囲を囲む複数のコイル25を、円筒状の単位リニアモータケース27内に軸方向に並べて構成される。コイルユニット24はステータとなり、軸部材23が単位リニアモータ15の移動体である出力軸となる。軸部材23は、1本の丸棒状の部材からなるが、複数個の永久磁石を軸方向に並べたものであっても良い。
【0027】
各単位リニアモータ15のコイルユニット24は、単位リニアモータケース27が全体モータフレーム26により相互に固定され、リニアモータ11のモータステータを構成する。なお、個別の単位リニアモータケース27を設けずに、共通の一つの全体モータフレーム26に、個々の単位リニアモータ15におけるコイルユニット24のコイル25を設置しても良い。
【0028】
各単位リニアモータ15の軸部材23の両端は、上下の出力軸連結フレーム28,29により相互に連結され、下側の出力軸連結フレーム29の中心に、リニアモータ11の出力軸30(図3,図4)が設けられている。
【0029】
第2のリニアモータ12は、第1のリニアモータ11と同様に、プレス加工軸中心P回りに単位リニアモータ15を複数配置した単位リニアモータ集合体からなる。第2のリニアモータ12における単位リニアモータ15の個数は、第1のリニアモータ11と同じかまたは少なく設定され、図示の例では2個とされている。
単位リニアモータ15の構成は、図5と共に前述した第1のリニアモータ11における単位リニアモータ15に対比して、出力が小さく小型とされている他は同様であり、対応部分に同一符号を付してその説明を省略する。なお、第1と第2のリニアモータ11,12の単位リニアモータ15を、同じ大きさ,同じ出力の仕様のものとしても良い。
【0030】
第2のリニアモータ12における各単位リニアモータ15のコイルユニット24は、単位リニアモータケース27が全体モータフレーム31により相互に固定され、リニアモータ12のモータステータを構成する。第2のリニアモータ12における各単位リニアモータ15の軸部材23の両端は、上下の出力軸連結フレーム32,33により相互に連結され、下側の出力軸連結フレーム33の中心に、リニアモータ12の出力軸34が設けられている。
【0031】
図3,図4に示すように、第1のリニアモータ11の出力軸30には、その下方に延びて下部が中空軸部分となった連結軸36が接続され、第2のリニアモータ12の出力軸34から上方に延びる被連結軸37が、上記連結軸36の中空軸部分に摺動自在に嵌合している。
【0032】
図4のように、連結軸36,被連結軸37の嵌合部分には、両者に渡って結合軸38が挿脱自在に嵌合する結合孔39,40が設けられている。この結合軸38は、第1のリニアモータ11側の連結軸36に取付部材46を介して設置された挿脱駆動源41により、第2のリニアモータ12側の被連結軸37の結合孔40に対して挿脱される。これら挿脱駆動源41と、結合軸38と、結合孔39,40と、連結軸36,被連結軸37とにより、上記連結切替機構13が構成される。挿脱駆動源41は、電磁ソレノイド、またはシリンダ装置等からなる。
なお、第1のリニアモータ11側の連結軸36は、出力軸30に対してピン47により揺動可能に連結され、連結軸36の自由な揺動により、連結軸36,被連結軸37の嵌合部分に作用する横方向の外力を逃がされ、円滑な摺動が維持される。
【0033】
図3に示すように、第2のリニアモータ12の出力軸34は、ラム14に、ピン48によって揺動自在に連結されている。ラム14は、プレスフレーム1に設置されたラムガイド42に昇降自在に嵌合する。
ラム14の下部にはストライカ43が、プレス加工軸中心Pと直交する方向に移動自在に設けられ、シフト駆動源44により、ラム14の中心に対するストライカ43の位置が変更可能とされる。このストライカ43により、パンチ側のプレス金型6が押し下げ駆動される。
【0034】
なお、ストライカ43は、同図のようにプレス金型6が複数の昇降自在な個別金型6aを有するものである場合に、個別金型6aを選択的に駆動可能なように設けられたものである。プレス金型6が上記のような個別金型6aを有しないものである場合は、ストライカ43を設けずに、ラム14で直接にプレス金型6が駆動されるようにする。
【0035】
図1において、制御系を説明する。制御装置50は、このリニアモータ搭載プレス機械の全体を制御する装置であり、コンピュータ式の数値制御装置およびプログラマブルコントローラからなる。この制御装置50は、加工プログラム(図示せず)を演算制御部(図示せず)により実行してリニアモータ搭載プレス機械を制御するものであり、金型支持体2,3の割出駆動源(図示せず)や、ワーク送り機構4の各軸の送り駆動源、プレス駆動機構5における第1,第2のリニアモータ11,12、連結切替機構13等に制御指令を出力する。この制御装置50に、連結状態・使用モータ選択制御手段51および単位リニアモータ選択制御手段52が設けられている。
【0036】
連結状態・使用モータ選択制御手段51は、必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、連結切替機構13を連結解除状態とし、かつ第2のリニアモータ12のみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、連結切替機構13を連結状態として第1のリニアモータ11および第2のリニアモータ12の両方を駆動させるように制御する。このとき、例えば第1のリニアモータ11と第2のリニアモータ12とは同期して駆動させる。連結状態・使用モータ選択制御手段51において、必要プレストン数は、例えば加工プログラムに記述された値から認識され、または加工プログラムで指定された使用プレス金型から所定の演算によって得る。
【0037】
単位リニアモータ選択制御手段52は、第1または第2のリニアモータ11,12につき、複数の単位リニアモータ15のうちの一部の単位リニアモータ15を選択的に駆動するように制御する手段である。単位リニアモータ選択制御手段52は、より具体的には、この例では、第1のリニアモータ11の単位リニアモータ15のうち、例えば、互いに等配位置にある3個または2個の単位リニアモータ15のみを駆動するように制御する。
【0038】
上記構成の動作を説明する。プレストン数の大きな加工を行う場合は、連結切替機構13を、その結合軸38が両結合孔39,40に渡って嵌合した結合状態とし、第1および第2のリニアモータ11,12の両方を駆動する。これにより、第1,第2のリニアモータ11,12の両方の駆動による大きな推力でラム14を昇降させてプレス加工を行うことができる。第2のリニアモータ12は駆動電流は付与せず、第1のリニアモータ11のみを駆動してプレス加工を行うようにしても良い。第1のリニアモータ11は、第2のリニアモータ12に対して大出力のものであり、これによっても大きなプレストン数の加工が可能である。
【0039】
プレストン数の小さな加工を行う場合は、連結切替機構13を、その結合軸38が結合孔40から抜き出されて非結合状態とし、第2のリニアモータ12のみを駆動する。これにより、小出力の第2のリニアモータ12のみによってプレス加工でき、高速でラム14を昇降させて加工することができる。このとき、第1のリニアモータ11は第2のリニアモータ12と出力軸30が切り離されているため、第1のリニアモータ11の可動部分が第2のリニアモータ11の駆動に対する抵抗や慣性付与の要因とならない。そのため、効率の良い加工が行える。
【0040】
また、さらに小プレストン数の可能な加工の場合は、第2のリニアモータ12の一部の単位リニアモータ15のみを駆動させるようにしても良い。図示の例のように第2のリニアモータ12の単位リニアモータ15の個数が2個の場合は、両方駆動することが必要であるが、単位リニアモータ15が4個以上の場合は、単位リニアモータ15の選択的な駆動によって、消費エネルギを節減できる。
第1のリニアモータ11の駆動においても、その一部の単位リニアモータ15のみを駆動してプレス加工を行うようにしても良い。
【0041】
上記の連結切替機構13の連結状態と連結解除状態との選択は、1枚のワークWの加工毎やロット毎に変更するようにしても、また1枚のワークWの加工途中で変更するようにしても良い。
【0042】
この構成のリニアモータ搭載プレス機械は、プレス金型6をリニアモータ11,12で進退駆動するため、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。
また、第1のリニアモータ11と第2のリニアモータ12とを設け、両者を連結解除可能に連結する連結切替機構13を備えるため、プレストン数に最適な過不足のない推力を発生でき、大プレストン数の必要な加工から、小プレストン数での高速加工までが1台のリニアモータ搭載プレス機械により効率良く行える。
【0043】
第1,第2のリニアモータ11,12は、単位リニアモータ15の集合体としたため、個々の単位リニアモータ15の出力を複数本分の出力として大きな出力を得ることができる。また、複数の単位リニアモータ15はプレス加工軸中心Pの回りに配置するため、複数の単位リニアモータ15を設置しながら、バランス良く直進出力を得ることができる。第2のリニアモータ12は、単位リニアモータ15を第1のリニアモータ11よりも少ない個数としたため、第2のリニアモータ12のみで加工するときに、小プレストン数の推力を効率良く得ることができる。
【0044】
連結状態・使用モータ選択制御手段51を設けて必要プレストン数に応じた両リニアモータ11,12の連結および駆動の制御を行うようにした場合は、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータ11,12を適切に駆動して効率の良い運転が行える。
また、単位リニアモータ選択制御手段52を設け、第1または第2のリニアモータ11,12につき、複数の単位リニアモータ15のうちの一部の単位リニアモータ15を選択的に駆動するようにした場合は、一部の単位リニアモータ15をのみを駆動することで、プレストン数に応じたエネルギ効率の良い加工が行える。
【0045】
図6,図7は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、第2のリニアモータ12の各単位リニアモータ15を、第1のリニアモータ11の単位リニアモータ15の配列の内側に配列したものである。その他の構成は、図1〜図5に示す第1の実施形態と同様であるため、対応部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0046】
このように第1のリニアモータ11と第2のリニアモータ12の単位リニアモータ15の配列を同芯として2重の配列とした場合は、より一層コンパクトな配置とできる。この場合に、小プレストン数とする第2のリニアモータ12を内側に配置するため、各リニアモータ11,12の大きさに応じた空間効率の良い配置が行えて、無駄のないよりコンパクトな配置とすることができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、パンチプレスに適用した場合につき説明したが、この発明はプレス機械一般に適用でき、例えば、プレスブレーキ等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るリニアモータ搭載プレス機械の側面図およびその制御系のブロック図を組合せて示す説明図である。
【図2】同プレス機械の第1および第2のリニアモータの関係を示す概略斜視図である。
【図3】同プレス機械の第1および第2のリニアモータの設置部分を示す拡大破断側面図である。
【図4】同プレス機械の第1および第2のリニアモータの設置部分を示す拡大破断正面図である。
【図5】第1のリニアモータの単位リニアモータを示す拡大断面図である。
【図6】この発明の他の実施形態に係るリニアモータ搭載プレス機械の第1および第2のリニアモータの設置部分を示す拡大破断側面図である。
【図7】同プレス機械の第1および第2のリニアモータの設置部分を示す拡大破断正面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…プレスフレーム
2,3…金型支持体
4…ワーク送り機構
5…プレス駆動機構
6…パンチ側のプレス金型
11…第1のリニアモータ
12…第2のリニアモータ
13…連結切替機構
14…ラム
15…単位リニアモータ
23…軸部材
24…コイルユニット
25…コイル
26…全体モータフレーム
27…単位リニアモータケース
28,29…出力軸連結フレーム
30…出力軸
31…全体モータフレーム
32,33…出力軸連結フレーム
34…出力軸
36…連結軸
37…被連結軸
38…結合軸
39,40…結合孔
41…挿脱駆動源
50…制御装置
51…連結状態・使用モータ選択制御手段
52…単位リニアモータ選択制御手段
P…プレス加工軸中心
W…ワーク
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士


【公開番号】 特開2008−43993(P2008−43993A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223781(P2006−223781)