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【発明の名称】 リニアモータ搭載プレス機械
【発明者】 【氏名】坂本 博一

【要約】 【課題】増力機構を用いて比較的小出力のプレス駆動源により大プレストン数の加工が行え、また小プレストン数の加工の場合は、効率良く、高速加工が行えるリニアモータ搭載プレス機械を提供する。

【構成】出力部が直線往復動作を行う増力機構10と、この増力機構10の入力部に連結された第1のリニアモータ11と、出力軸がプレス金型6を進退駆動する第2のリニアモータ12と、連結切替機構13とを備える。連結切替機構13は、第2のリニアモータ12の出力軸と増力機構13の出力部とを相互に連結解除可能に連結する。増力機構10は、トグル式のリンク機構等とする。第1のリニアモータ11の代わりに、サーボモータとクランク機構等を用いても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力部が直線往復動作を行う増力機構と、この増力機構の入力部に出力軸が連結された第1のプレス駆動源と、出力軸がプレス金型を進退駆動する第2のプレス駆動源となるリニアモータと、このリニアモータの出力軸と前記増力機構の出力部とを相互に連結解除可能に連結する連結切替機構とを備えたリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項2】
前記増力機構がリンク機構である請求項1記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項3】
前記第1のプレス駆動源がリニアモータである請求項1または請求項2記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項4】
前記連結切替機構が、前記リニアモータの出力軸および前記増力機構の出力部にそれぞれ設けられた孔に渡って挿脱自在に挿入される結合部材と、この結合部材の挿脱動作を行う挿脱駆動源とでなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項5】
前記第2のプレス駆動源となるリニアモータが、前記増力機構の直線往復動作を行う出力部の回りに単位リニアモータを複数配置した単位リニアモータ集合体である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項6】
前記単位リニアモータが、軸方向に交互にN極とS極を有する永久磁石からなる軸部材およびこの軸部材が内部を相対的に移動自在なコイルユニットを有する円筒型リニアモータである請求項5記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項7】
必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、前記連結切替機構を連結解除状態とし、かつ第2のプレス駆動源となるリニアモータのみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、前記連結切替機構を連結状態として第1のプレス駆動源を第2のプレス駆動源と共働して駆動させるように制御する連結状態・使用モータ選択制御手段を設けた請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、リニアモータを用いたリニアモータ搭載プレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
パンチプレス等のプレス機械において、プレス金型を進退させるプレス駆動源には、回転型の電気モータでフライホイールを回転させ、その慣性を用いてプレス駆動力を得るものや、油圧シリンダを用いるものが一般的である。フライホイールを用いるものは、ストローク途中のラム速度を可変とすることができないため、フライホイールを廃してサーボモータを用い、ストローク途中のパンチ速度を可変とすることで、騒音低下や加工品質の向上を図るものも提案されている。
【0003】
サーボモータをプレス駆動源とする場合、直接に打ち抜きに必要な力を得ることが難しいことがあり。そのため、トグル機構等の増力機構を用いるものが提案されている(例えば特許文献1)。
この他に、リニアモータをプレス駆動源に用いるものが試みられている。パンチの駆動にリニアモータを用いると、回転型のモータを用いるものとは異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。
【特許文献1】特開平8−103897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パンチプレス等によるプレス加工では、大きなプレストン数を必要とする加工から、小さなプレストン数で済む加工までを、同じ機械で行うことが要求されることが一般的である。小さなプレストン数で済む加工の場合は、高速加工が要求されることも一般的である。
全てを同じプレス機構全体を使って動かすことは、高速性や、効率、省エネルギに反する。
【0005】
このため、第2のプレス駆動源を設け、高速加工時は第2のプレス駆動源を用いることを考えた。しかし、増力機構を用いる場合、増力機構の入力側に第2のプレス駆動源を連結すると、第2のプレス駆動源を使用するときも、増力機構を介することになるため、動力伝達の効率が悪い。また、トグル機構等からなる増力機構の出力側は、直線往復動作となるため、サーボモータ等からなる第2のプレス駆動源の出力の連結が難しい。
【0006】
この発明の目的は、増力機構を用いて比較的小出力のプレス駆動源により大プレストン数の加工が行え、また小プレストン数の加工の場合は、効率良く、高速加工が行えるリニアモータ搭載プレス機械を提供することである。
この発明の他の目的は、プレス駆動系の全体を簡素な構成とすることである。
この発明のさらに他の目的は、簡素な構成でリニアモータの出力軸と増力機構の出力部との連結状態と連結解除状態との切替えが行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、複数の単位リニアモータを用いて出力アップが図れ、これら複数の単位リニアモータでバランス良く直進出力を得られるようにすることである。 この発明のさらに他の目的は、各単位リニアモータをコンパクトで効率良いものとできて、また単位リニアモータの組み合わせが簡素な構成で行えるものとすることである。
この発明のさらに他の目的は、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータを適切に駆動して効率の良い運転が行える制御を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、出力部が直線往復動作を行う増力機構と、この増力機構の入力部に出力軸が連結された第1のプレス駆動源と、出力軸がプレス金型を進退駆動する第2のプレス駆動源となるリニアモータと、このリニアモータの出力軸と前記増力機構の出力部とを相互に連結解除可能に連結する連結切替機構とを備える。
【0008】
この構成によると、連結切替機構を連結状態として第1のプレス駆動源を駆動することにより、第1のプレス駆動源の駆動力が増力機構を介してプレス金型に伝えられる。このように増力機構を用いるため、大プレストン数のプレス加工が行える。このとき、第2のプレス駆動源となるリニアモータは、駆動状態としても非駆動状態としても良い。第2のプレス駆動源を駆動状態とすると、第1および第2のプレス駆動源の駆動力を合わせた大推力を得ることができる。第2のプレス駆動源は、リニアモータであるため、出力部が直線往復動作となる増力機構の出力部と、簡単な構成で連結することができる。
連結切替機構を連結解除状態として第2のプレス駆動源となるリニアモータを駆動すれば、このリニアモータのみの駆動によりプレス加工が行える。したがって、このリニアモータに適宜のモータ出力のものを用いることで、高速のプレス加工を効率良く行うことができる。また、このとき、第2のプレス駆動源となるリニアモータは、連結切替機構で増力機構と切り離されているため、増力機構や第1のプレス駆動源が抵抗となることなく、効率良くプレス金型を動作させることができる。
【0009】
前記増力機構は、リンク機構であっても良い。リンク機構形式の増力機構には、出力部が直線往復動作を行う増力機構が種々あり、例えば、トグル機構などが採用できる。
【0010】
この発明において、前記第1のプレス駆動源はリニアモータであっても良い。リニアモータを用いると、回転・直線の動作変換機構を介することなく、出力部が直線往復動作を行う増力機構に対してモータ出力を伝えることができ、プレス駆動系の全体を簡素な構成とできる。
【0011】
前記連結切替機構は、前記リニアモータの出力軸および前記増力機構の出力部にそれぞれ設けられた孔に渡って挿脱自在に挿入される結合部材と、この結合部材の挿脱動作を行う挿脱駆動源とでなるものであっても良い。
このように結合部材を挿脱させる構成とすると、簡素な構成で前記リニアモータの出力軸と前記増力機構の出力部との連結状態と連結解除状態との切替えが行える。
【0012】
この発明において、前記第2のプレス駆動源となるリニアモータが、前記増力機構の直線往復動作を行う出力部の回りに単位リニアモータを複数配置した単位リニアモータ集合体であっても良い。
リニアモータを単位リニアモータ集合体とすることで、個々の単位リニアモータの出力を複数本分の出力として大きな出力を得ることができる。複数の単位リニアモータは、増力機構の直線往復動作を行う出力部の回りに配置するため、複数の単位リニアモータを設置しながら、バランス良く直進出力を得ることができ、またコンパクトに構成できる。
【0013】
第1のプレス駆動源となるリニアモータも、複数の単位リニアモータを並列に配置したものであっても良い。
リニアモータは、磁力の強い永久磁石を用いることが一般的であるが、1個のリニアモータで大きな推力を得るには、磁石の大きさの製造限界や供給電力の制約等もあって、製造が困難である。複数の単位リニアモータの集合体とすることで、簡易に大出力のリニアモータを得ることができる。
【0014】
リニアモータを単位リニアモータの集合体とする場合に、前記単位リニアモータは、軸方向に交互にN極とS極を有する永久磁石からなる軸部材およびこの軸部材が内部を相対的に移動自在なコイルユニットを有する円筒型リニアモータとしても良い。円筒型リニアモータは、磁石部材の周囲にコイルユニットが位置するため、磁界を効率良く利用でき、コンパクトで効率良いリニアモータとなる。
【0015】
この発明において、必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、前記連結切替機構を連結解除状態とし、かつ第2のプレス駆動源となるリニアモータのみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、前記連結切替機構を連結状態として第1のプレス駆動源を第2のプレス駆動源と共働して駆動させるように制御する連結状態・使用モータ選択制御手段を設けても良い。
このように連結状態・使用モータ選択制御手段を設けて必要プレストン数に応じた両リニアモータの連結および駆動の制御を行うようにした場合、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータを適切に選別駆動して効率の良い運転が行える。
【発明の効果】
【0016】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、出力部が直線往復動作を行う増力機構と、この増力機構の入力部に出力軸が連結された第1のプレス駆動源と、出力軸がプレス金型を進退駆動する第2のプレス駆動源となるリニアモータと、このリニアモータの出力軸と前記増力機構の出力部とを相互に連結解除可能に連結する連結切替機構とを備えるため、増力機構を用いて比較的小出力のプレス駆動源により大プレストン数の加工が行え、また小プレストン数の加工の場合は、効率良く、高速加工を行うことができる。
前記増力機構がリンク機構である場合は、増力機構を簡素な構成とできる。
第1のプレス駆動源がリニアモータである場合は、プレス駆動系の全体を簡素な構成とすることができる。
前記連結切替機構が、前記リニアモータの出力軸および前記増力機構の出力部にそれぞれ設けられた孔に渡って挿脱自在に挿入される結合部材と、この結合部材の挿脱動作を行う挿脱駆動源とでなる場合は、簡素な構成でリニアモータの出力軸と増力機構の出力部との連結状態と連結解除状態との切替えが行える。
第2のプレス駆動源となるリニアモータが、前記増力機構の直線往復動作を行う出力部の回りに単位リニアモータを複数配置した単位リニアモータ集合体である場合は、複数の単位リニアモータを用いて出力アップが図れ、またこれら複数の単位リニアモータでバランス良く直進出力が得られ、さらにコンパクトに配置できる。
前記単位リニアモータが、軸方向に交互にN極とS極を有する永久磁石からなる軸部材およびこの軸部材が内部を相対的に移動自在なコイルユニットを有する円筒型リニアモータである場合は、各単位リニアモータをコンパクトで効率良いものとできて、また単位リニアモータの組み合わせが簡素な構成で行える。
【0017】
この発明において、必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、前記連結切替機構を連結解除状態とし、かつ第2のプレス駆動源となるリニアモータのみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、前記連結切替機構を連結状態として第1のプレス駆動源を第2のプレス駆動源と共働して駆動させるように制御する連結状態・使用モータ選択制御手段を設けた場合は、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータを適切に駆動して効率の良い運転が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の第1の実施形態を、図1ないし図6と共に説明する。このリニアモータ搭載プレス機械は、パンチプレスからなり、プレスフレーム1に、上下一対の金型支持体2,3と、ワーク送り機構4と、プレス駆動機構5とが設置されている。
【0019】
金型支持体2,3は、同心に設置された上下のタレットからなり、それぞれ円周方向の複数箇所に、パンチ側のプレス金型6、およびダイ側のプレス金型7が搭載されている。これらプレス金型6,7は、金型支持体2,3の回転によって所定のプレス加工軸中心Pに割り出される。
【0020】
ワーク送り機構4は、板材のワークWの縁部をワークホルダ8で把持し、ワークWをテーブル9上で前後左右に移動させるものである。
【0021】
プレス駆動機構5は、第1のプレス駆動源である第1のリニアモータ11と、出力部が直線往復動作を行う増力機構10と、第2のプレス駆動源である第2のリニアモータ12とを備える。第1のリニアモータ11は出力軸が横向きに設置され、第2のリニアモータ12は出力軸が立て向きに設置されている。増力機構10の入力部に、第1のリニアモータ11の出力軸が連結され、増力機構10の出力部と第2のリニアモータ12の出力軸とが、連結切替機構13により相互に連結解除可能に連結される。
第2のリニアモータ12の出力軸にラム14が連結され、ラム14により、パンチ側のプレス金型6にプレス加工のための下降動作が与えられる。プレス金型6は、ばね部材(図示せず)によって上昇復帰するものであっても、またラム14により強制引き上げするものであっても良い。
【0022】
図2,図3に示すように、増力機構10は、トグル式のリンク機構からなり、短い方の上側リンク10aと長い方の下側リンク10bとを、ピン16で屈曲自在に連結したものであり、前記ピン16に連結された入力部となる入力レバー17の進退により屈曲駆動される。上側リンク10aは、プレスフレーム1に設けられた支持台18にピン19で回動自在に連結されている。下側リンク10bは、下端が出力部となる昇降自在な出力部軸20にピン21で回動自在に連結されている。
【0023】
第2のリニアモータ12は、図2に示すように、所定の中心Pの回りの円周上に単位リニアモータ15を複数配置した単位リニアモータ集合体である。図示の例では、2個の単位リニアモータ15により1個のリニアモータ12が構成されるが、単位リニアモータ15の個数は3個以上としても良い。前記所定の中心Pは、増力機構10の出力部軸20の中心であり、またプレス加工軸中心となる。
【0024】
個々の単位リニアモータ15は、図5に示すように、N極とS極が交互に並ぶ永久磁石からなる軸部材23と、この軸部材23が内部を相対的に軸方向移動自在なコイルユニット24とでなる円筒型リニアモータとされている。コイルユニット24は、軸部材23の周囲を囲む複数のコイル25を、円筒状の単位リニアモータケース27内に軸方向に並べて構成される。コイルユニット24はステータとなり、軸部材23が単位リニアモータ15の移動体である出力軸となる。軸部材23は、1本の丸棒状の部材からなるが、複数個の永久磁石を軸方向に並べたものであっても良い。
【0025】
各単位リニアモータ15のコイルユニット24は、単位リニアモータケース27が全体モータフレーム31により相互に固定され、リニアモータ12のモータステータを構成する。なお、個別の単位リニアモータケース27を設けずに、共通の一つの全体モータフレーム31に、個々の単位リニアモータ15におけるコイルユニット24のコイル25を設置しても良い。
【0026】
各単位リニアモータ15の軸部材23の両端は、上下の出力軸連結フレーム32,33により相互に連結され、下側の出力軸連結フレーム33の中心に、リニアモータ12の出力軸34(図2,図4)が設けられている。
【0027】
図2において、第1のリニアモータ11は、第2のリニアモータ12と同様に、所定の軸心回りの円周上に単位リニアモータ15を複数配置した単位リニアモータ集合体からなる(図6参照)。第1のリニアモータ11における単位リニアモータ15の個数は、第2のリニアモータ12と同じかまたは多く設定され、図示の例では6個とされている。
第1のリニアモータ11の単位リニアモータ15の構成は、図5と共に前述した第2のリニアモータ12における単位リニアモータ15に対比して、出力が大きく、かつ外形が大型とされている他は同様であり、対応部分に同一符号を付してその説明を省略する。なお、第1と第2のリニアモータ11,12の単位リニアモータ15を、同じ大きさ,同じ出力の仕様のものとしても良い。
【0028】
第1のリニアモータ11における各単位リニアモータ15のコイルユニット24は、単位リニアモータケース27が全体モータフレーム26により相互に固定され、リニアモータ11のモータステータを構成する。第1のリニアモータ11における各単位リニアモータ15の軸部材23の両端は、前後両側の出力軸連結フレーム28,29により相互に連結され、前側の出力軸連結フレーム28の中心に、リニアモータ12の出力軸30が設けられている。
【0029】
この第1のリニアモータ11における出力軸30に、増力機構10の入力レバー17の入力側端が、ピン22で回動自在に連結されている。
【0030】
増力機構10の出力部軸20は、プレスフレーム1または第2のリニアモータ12の全体モータフレーム31に、ブッシュまたは直動転がり軸受等のガイド手段(図示せず)を介して昇降のみ自在に支持されている。
一方、図2,図4に示すように、第2のリニアモータ12の出力軸34には、上方に延びる被連結軸37が設けられていて、増力機構10の出力部軸20の中空軸部分に摺動自在に嵌合している。
【0031】
図4のように、出力部軸20と被連結軸37の嵌合部分には、両者に渡って結合軸38が挿脱自在に嵌合する結合孔39,40が設けられている。この結合軸38は、出力部軸20に取付部材46を介して設置された挿脱駆動源41により、第2のリニアモータ12側の被連結軸37の結合孔40に対して挿脱される。これら挿脱駆動源41と、結合軸38と、結合孔39,40と、被連結軸37とにより、上記連結切替機構13が構成される。挿脱駆動源41は、電磁ソレノイド、またはシリンダ装置等からなる。
【0032】
図2に示すように、第2のリニアモータ12の出力軸34は、ラム14に、ピン48によって揺動自在に連結されている。ラム14は、プレスフレーム1に設置されたラムガイド42に昇降自在に嵌合する。
ラム14の下部にはストライカ43が、プレス加工軸中心Pに直交する方向に移動自在に設けられ、シフト駆動源44により、ラム14の中心に対するストライカ43の位置が変更可能とされる。このストライカ43により、パンチ側のプレス金型6が押し下げ駆動される。
【0033】
なお、ストライカ43は、同図のようにプレス金型6が複数の昇降自在な個別金型6aを有するものである場合に、個別金型6aを選択的に駆動可能なように設けられたものである。プレス金型6が上記のような個別金型6aを有しないものである場合は、ストライカ43を設けずに、ラム14で直接にプレス金型6が駆動されるようにする。
【0034】
図1において、制御系を説明する。制御装置50は、このリニアモータ搭載プレス機械の全体を制御する装置であり、コンピュータ式の数値制御装置およびプログラマブルコントローラからなる。この制御装置50は、加工プログラム(図示せず)を演算制御部(図示せず)により実行してリニアモータ搭載プレス機械を制御するものであり、金型支持体2,3の割出駆動源(図示せず)や、ワーク送り機構4の各軸の送り駆動源、プレス駆動機構5における第1,第2のリニアモータ11,12、連結切替機構13等に制御指令を出力する。この制御装置50に、連結状態・使用モータ選択制御手段51および単位リニアモータ選択制御手段52が設けられている。
【0035】
連結状態・使用モータ選択制御手段51は、必要プレストン数が設定プレストン数未満であるときは、連結切替機構13を連結解除状態とし、かつ第2のリニアモータ12のみを駆動させ、必要プレストン数が設定プレストン数以上であるときは、連結切替機構13を連結状態として第1のリニアモータ11および第2のリニアモータ12の両方を駆動させるように制御する。このとき、例えば、第1のリニアモータ11と第2のリニアモータ12とを同期して駆動させる。連結状態・使用モータ選択制御手段51において、必要プレストン数は、例えば加工プログラムに記述された値から認識され、または加工プログラムで指定された使用プレス金型から所定の演算によって得る。
【0036】
単位リニアモータ選択制御手段52は、第1または第2のリニアモータ11,12につき、複数の単位リニアモータ15のうちの一部の単位リニアモータ15を選択的に駆動するように制御する手段である。単位リニアモータ選択制御手段52は、より具体的には、この例では、第1のリニアモータ11の単位リニアモータ15のうち、例えば、互いに等配位置にある3個または2個の単位リニアモータ15のみを駆動するように制御する。
【0037】
上記構成の動作を説明する。プレストン数の大きな加工を行う場合は、連結切替機構13を、その結合軸38が両結合孔39,40に渡って嵌合した結合状態とし、第1および第2のリニアモータ11,12の両方を駆動する。これにより、第1,第2のリニアモータ11,12の両方の駆動による大きな推力でラム14を昇降させてプレス加工を行うことができる。第2のリニアモータ12は駆動電流は付与せず、第1のリニアモータ11のみを駆動してプレス加工を行うようにしても良い。
第1のリニアモータ11の駆動は、増力機構10を介して増力されるため、第1のリニアモータ11のモータ出力が限られていても、大プレストン数のプレス加工が行える。
【0038】
プレストン数の小さな加工を行う場合は、連結切替機構13を、その結合軸38が結合孔40から抜き出されて非結合状態とし、第12のリニアモータ12のみを駆動する。これにより、小出力の第2のリニアモータ12のみによってプレス加工でき、高速でラム14を昇降させて加工することができる。このとき、第2のリニアモータ12は、増力機構10と出力軸34が切り離されているため、増力機構10や、第1のリニアモータ11の可動部分が第2のリニアモータ11の駆動に対する抵抗や慣性付与の要因とならない。そのため、効率の良い加工が行える。
【0039】
また、さらに小プレストン数の可能な加工の場合は、第2のリニアモータ12の一部の単位リニアモータ15のみを駆動させるようにしても良い。図示の例のように第2のリニアモータ12の単位リニアモータ15の個数が2個の場合は、両方駆動することが好ましいが、単位リニアモータ15が4個以上の場合は、単位リニアモータ15の選択的な駆動によって、消費エネルギを節減できる。
第1のリニアモータ11の駆動においても、その一部の単位リニアモータ15のみを駆動してプレス加工を行うようにしても良い。
【0040】
上記の連結切替機構13の連結状態と連結解除状態との選択は、1枚のワークWの加工毎やロット毎に変更するようにしても、また1枚のワークWの加工途中で変更するようにしても良い。
【0041】
この構成のリニアモータ搭載プレス機械は、増力機構10を用いるため、大プレストン数のプレス加工が行える。第2のプレス駆動源はリニアモータ12であるため、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、出力部軸20が直線往復動作となる増力機構10の出力部軸20と、簡単な構成で連結することができる。
また、第1のリニアモータ11と第2のリニアモータ12とを設け、第1のリニアモータ11の出力を増力する増力機構10の出力部軸20と第2のリニアモータ12とを連結解除可能に連結する連結切替機構13を備えるため、プレストン数に最適な過不足のない推力を発生でき、大プレストン数の必要な加工から、小プレストン数での高速加工までが1台のリニアモータ搭載プレス機械により効率良く行える。
【0042】
第1,第2のリニアモータ11,12は、単位リニアモータ15の集合体としたため、個々の単位リニアモータ15の出力を複数本分の出力として大きな出力を得ることができる。また、第2のリニアモータ12の複数の単位リニアモータ15は、増力機構10の出力部軸20の回りに配置するため、複数の単位リニアモータ15を設置しながら、バランス良く直進出力を得ることができる。第2のリニアモータ12は、単位リニアモータ15を第1のリニアモータ11よりも同じか少ない個数としたため、第2のリニアモータ12のみで加工するときに、小プレストン数の推力を効率良く得ることができる。
【0043】
連結状態・使用モータ選択制御手段51を設けて必要プレストン数に応じた両リニアモータ11,12の連結および駆動の制御を行うようにした場合は、大プレストン数の要求される加工と、小プレストン数で高速動作が要求される加工とに対して、両リニアモータ11,12を適切に駆動して効率の良い運転が行える。
また、単位リニアモータ選択制御手段52を設け、第1または第2のリニアモータ11,12につき、複数の単位リニアモータ15のうちの一部の単位リニアモータ15を選択的に駆動するようにした場合は、一部の単位リニアモータ15をのみを駆動することで、プレストン数に応じたエネルギ効率の良い加工が行える。
【0044】
図7,図8は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、図1ないし図6と共に説明した第1の実施形態において、第1のプレス駆動源に、第1のリニアモータ11を設ける代わりに、サーボモータ61を設けたものである。
サーボモータ61の回転出力は、クランク機構62を介して進退レバー63の直線往復動作に変換し、増力機構10に入力レバー17に伝達する。進退レバー63は、プレスフレーム1にガイド67を介して水平方向に進退自在に設置され、その先端が増力機構10に入力レバー17にピン22で回動自在に連結される。
クランク機構62は、サーボモータ61の出力軸に取付けられた円板状のクランク64の偏心位置に、連接棒65の一端をピン66で接続したものであり、連接棒65の他端が前記進退レバー63にピン67で連結される。
この実施形態におけるその他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、対応部分に同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0045】
このように、第1のプレス駆動源としてサーボモータ61を用いた場合も、増力機構10を用いることで、サーボモータ61の出力の割合にして大プレストン数の加工が行え、また小プレストン数の加工の場合は、第2のプレス駆動源である第2のリニアモータ12のみを駆動して、効率良く高速加工が行えるなど、第1の実施形態と同様な各利点が得られる。
【0046】
なお、上記実施形態では、パンチプレスに適用した場合につき説明したが、この発明はプレス機械一般に適用でき、例えば、プレスブレーキ等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るリニアモータ搭載プレス機械の側面図およびその制御系のブロック図を組合せて示す説明図である。
【図2】同プレス機械の第1のリニアモータ、増力機構、および第2のリニアモータの関係を示す平面図である。
【図3】同プレス機械の第1のリニアモータと増力機構の関係を示す平面図である。
【図4】同プレス機械における増力機構、第2のリニアモータ、および連結切替機構の関係を示す破断正面図である。
【図5】同第2のリニアモータの単位リニアモータを示す拡大断面図である。
【図6】同第1のリニアモータの概略斜視図である。
【図7】この発明の他の実施形態に係るリニアモータ搭載プレス機械の第1のプレス駆動源、増力機構、および第2のリニアモータの関係を示す平面図である。
【図8】同プレス機械の第1のプレス駆動源および増力機構の関係を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…プレスフレーム
2,3…金型支持体
4…ワーク送り機構
5…プレス駆動機構
6…パンチ側のプレス金型
10…増力機構
10a…上側リンク
10b…下側リンク
11…第1のリニアモータ(第1のプレス駆動源)
12…第2のリニアモータ(第2のプレス駆動源)
13…連結切替機構
14…ラム
15…単位リニアモータ
20…出力部軸(出力部)
23…軸部材
24…コイルユニット
25…コイル
26…全体モータフレーム
28,29…出力軸連結フレーム
30…出力軸
31…全体モータフレーム
32,33…出力軸連結フレーム
34…出力軸
37…被連結軸
38…結合軸
39,40…結合孔
41…挿脱駆動源
44…シフト駆動源
50…制御装置
51…連結状態・使用モータ選択制御手段 61…サーボモータ
62…クランク機構
P…プレス加工軸中心
W…ワーク
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士


【公開番号】 特開2008−43992(P2008−43992A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223780(P2006−223780)