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リニアモータ搭載プレス機械 - 特開2008−43991 | j-tokkyo
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【発明の名称】 リニアモータ搭載プレス機械
【発明者】 【氏名】坂本 博一

【要約】 【課題】パンチおよびダイの両方を駆動可能として加工の多彩化を可能としながら、簡易な構成とでき、また精度の良い加工が行えるリニアモータ搭載プレス機械を提供する。

【構成】パンチ61とダイ62とによってワークWにプレス加工を施すプレス機械に適用される。プレスフレーム41の上部フレーム41bに、パンチ61を昇降駆動するパンチ用リニアモータ1を設置する。下部フレーム41cに、ダイ62を昇降駆動するダイ用リニアモータ1Aを設置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスドライブ軸芯に位置するパンチとダイとによってワークにプレス加工を施すプレス機械であって、上部フレームおよび下部フレームを有するプレスフレームと、上部フレームに設けられ前記パンチを昇降駆動するパンチ用リニアモータと、下部フレーム設けられダイを昇降駆動するダイ用リニアモータとを備えたリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項2】
前記パンチ用リニアモータおよびダイ用リニアモータのいずれか一方または両方は、前記プレスドライブ軸芯を中心として周囲に、出力軸がプレスドライブ軸芯と平行な単位リニアモータを複数設けた単位リニアモータ集合体である請求項1記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項3】
前記ダイ用リニアモータのプレスドライブ軸芯に一致する部位に、プレス加工によって生じるスラグを排出する孔を設けた請求項1または請求項2記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項4】
ダイ用リニアモータは、プレスドライブ軸芯を中心として周囲に、出力軸がドライブ軸芯と平行な単位リニアモータを複数設けた単位リニアモータ集合体であり、プレスドライブ軸芯に一致する部位に、プレス加工によって生じるスラグを排出する孔を設けた請求項1記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項5】
ワークに対して、パンチとダイとの両方を昇降駆動してプレス加工を行う制御手段を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリニアモータ搭載プレス機械。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のリニアモータ搭載プレス機械を用い、ワークに対して、パンチとダイとの両方を昇降駆動してプレス加工を行うプレス加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、リニアモータを駆動源とするパンチプレス等のプレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
パンチプレス等のプレス機械において、パンチを進退させるプレス駆動源には、回転型の電気モータを用いてクランク機構等により直動運動に変換するものや、油圧シリンダを用いるものが一般的である。電気モータとして、サーボモータを用い、ストローク途中のパンチ速度を可変とするものも提案されている。
しかし、回転型の電気モータを用いるものは、直動運動に変換する機構が必要なため、構成が複雑となる。また、回転運動を直動運動に変換するため、ロストモーション等が存在し、制御性にも劣る。油圧シリンダを用いるものは、油圧ユニット等の油圧供給系が必要であり、構造が複雑となる。
【0003】
この他に、リニアモータをプレス駆動源に用いるものが試みられている。パンチの駆動にリニアモータを用いると、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。
【0004】
また、従来、パンチプレスにおいて、成形加工を行うものがある。パンチプレスにおいて、一般的に孔明けと成形を行えることは広く知られた技術であって、下型となるダイを凹型、パンチを凸型として板材ワークの下面から突出する部位を成形するようなものがある。この成形加工された部位は、板材ワークの下面から突出するので、テーブル上でのワーク送りに支障を来すことがある。一方、逆に下型となるダイを凸型、パンチを凹型とし、成形加工された部位をワークの上面側に突出させるものも実用化されている。このような、ダイを凸型としたものにおいて、ダイが常時ダイハイトよりも突出していると、ワーク送り時にワーク下面がダイによって傷付くため、このような凸型の成形用のダイを、常時はダイハイトよりも下方に待機させ、使用時に上方へ突出させるものが提案されている(例えば、特許文献1)。ダイの昇降駆動は、水平方向に進退するシリンダ装置とその水平動作を上下動作に変換するカムあるいはリング機構等により行われる。
【特許文献1】特開平11−156459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリニアモータを用いたプレス機械は、パンチの駆動用であり、ダイは固定のものが用いられている。このようなプレス機械に、上記のような成形加工用あるいは孔明け加工用のダイを昇降可能に設置した構成として多機能化を図る場合に、ダイの昇降機構としてシリンダ装置を用いたときは、昇降ストロークが一定となる。そのため、突出高さの種々異なる成形加工を行うことができない。ダイ昇降機構としてサーボモータおよびボールねじを用いれば、突出高さの異なる成形加工も可能ではあるが、パンチ駆動用のものと同様に構成が複雑となる。
【0006】
この発明の目的は、パンチおよびダイの両方を駆動可能として加工の多彩化を可能としながら、簡易な構成とでき、また精度の良い加工が行えるリニアモータ搭載プレス機械を提供することである。
この発明の他の目的は、製造上の困難性を回避して大きな出力が得られるものとすることである。
この発明のさらに他の目的は、ダイを直下のリニアモータで駆動可能としながら、孔開け加工時などに発生するスラグの排出を容易とすることである。
この発明のさらに他の目的は、ワークの加工にダイおよびパンチの両方を駆動して加工の多彩化を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、プレスドライブ軸芯に位置するパンチとダイとによってワークにプレス加工を施すプレス機械であって、上部フレームおよび下部フレームを有するプレスフレームと、上部フレームに設けられ前記パンチを昇降駆動するパンチ用リニアモータと、下部フレームに設けられダイを昇降駆動するダイ用リニアモータとを備える。
この構成によると、パンチをリニアモータで昇降駆動するため、回転型のモータを用いるものと異なり、回転を直線運動に変換する機構が不要であり、部品点数が少なく簡素な構造とできる。また、ダイについてもリニアモータで昇降駆動するため、水平なシリンダ装置およびカム,リンク機構等で昇降駆動するものに比べて、構成が簡易で、制御性にも優れ、ダイの昇降ストロークの制御も精度良く行える。このように、パンチおよびダイの両方を駆動可能として加工の多彩化を可能としながら、パンチとダイの駆動にいずれもリニアモータを用いるようにしたため、簡易な構成とでき、また精度の良い加工を行うことができる。
【0008】
この発明において、前記パンチ用リニアモータおよびダイ用リニアモータのいずれか一方または両方は、前記プレスドライブ軸芯を中心として周囲に、出力軸がプレスドライブ軸芯と平行な単位リニアモータを複数設けた単位リニアモータ集合体であっても良い。
パンチ加工では、大きな推力が要求されることがある。リニアモータは、磁力の強い永久磁石を用いることが一般的であるが、1個のリニアモータで大きな推力を得るには、磁石の大きさの製造限界や供給電圧の制約等もあって、製造が困難である。しかし、上記のように複数の単位リニアモータの集合体とすると、個々の単位リニアモータの出力を複数本分の出力として利用でき、大きな出力を得ることができる。
【0009】
この発明において、前記ダイ用リニアモータのプレスドライブ軸芯に一致する部位に、プレス加工によって生じるスラグを排出する孔を設けても良い。上記プレスドライブ軸芯は、ラム軸の中心、つまりパンチおよびダイの中心となる。
ダイ側リニアモータは、ダイの下側に配置されるため、成形加工時は問題にならないが、孔開け加工ではスラグの排出の邪魔となることがある。そのため、ダイ用リニアモータのプレスドライブ軸芯に一致する部位に、スラグ排出用の孔を設けることで、リニアモータをダイの駆動に用いながら、スラグの排出を円滑に行うことができる。
【0010】
特に、ダイ用リニアモータが、プレスドライブ軸芯を中心として周囲に、出力軸がプレスドライブ軸芯と平行な単位リニアモータを複数設けた単位リニアモータ集合体である場合に、プレスドライブ軸芯に一致する部位に、プレス加工によって生じるスラグを排出する孔を設けることが好ましい。ダイ用リニアモータが上記のように単位リニアモータの集合体であると、スラグ排出用の孔をプレスドライブ軸芯中心に設けた構成とすることが簡易に行える。
【0011】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械において、ワークに対して、パンチとダイとの両方を昇降駆動してプレス加工を行う制御手段を有するものとしても良い。
パンチとダイとの両方を同時に駆動させて、あるいは1箇所の加工にパンチとダイとの両方を順次動作させて加工するようにした場合、ワークの多彩な加工が行える。このようにパンチとダイとの両方を昇降駆動してプレス加工を行う場合に、リニアモータにおける優れた制御性を効果的に利用でき、これらパンチおよびダイの駆動源として、それぞれにリニアモータを用いたこの発明における精度向上の効果が、より効果的に発揮される。
【0012】
この発明のプレス加工方法は、この発明の上記いずかの構成のリニアモータ搭載プレス機械を用い、ワークに対して、パンチとダイとの両方を昇降駆動してプレス加工を行う方法である。この方法によると、上記のようにパンチおよびダイの駆動源として、それぞれにリニアモータを用いたこの発明のリニアモータ搭載プレス機械における精度向上の効果が、より効果的に発揮され、多彩なパンチ加工を精度良く行うことができる。ここで言うパンチ加工とは、孔明け加工や成形加工を言う。
【発明の効果】
【0013】
この発明のリニアモータ搭載プレス機械は、プレスドライブ軸芯に位置するパンチとダイとによってワークにプレス加工を施すプレス機械であって、上部フレームおよび下部フレームを有するプレスフレームと、上部フレームに設けられ前記パンチを昇降駆動するパンチ用リニアモータと、下部フレーム設けられダイを昇降駆動するダイ用リニアモータとを備えたものであるため、パンチおよびダイの両方を駆動可能として加工の多彩化を可能としながら、簡易な構成とでき、また精度の良い加工を行うことができる。
【0014】
前記パンチ用リニアモータおよびダイ用リニアモータのいずれか一方または両方が、前記プレスドライブ軸芯を中心として周囲に、出力軸がプレスドライブ軸芯と平行な単位リニアモータを複数設けた単位リニアモータ集合体である場合は、リニアモータの製造上の困難性を回避して大きな出力が得られるものとできる。
【0015】
前記ダイ用リニアモータのプレスドライブ軸芯に一致する部位に、プレス加工によって生じるスラグを排出する孔を設けた場合は、ダイを駆動可能としながら、孔開け加工時などに発生するスラグの排出が容易に行える。
【0016】
ダイ用リニアモータが、プレスドライブ軸芯を中心として周囲に、出力軸がプレスドライブ軸芯と平行な単位リニアモータを複数設けた単位リニアモータ集合体であり、プレスドライブ軸芯に一致する部位に、プレス加工によって生じるスラグを排出する孔を設けた場合は、リニアモータの製造上の困難性を回避して大きな出力が得られ、しかも、孔開け加工時などに発生するスラグの排出が容易に行えるものとなる。
【0017】
ワークに対して、パンチとダイとの両方を昇降駆動してプレス加工を行う制御手段を有する場合は、ワークの加工にダイおよびパンチの両方を駆動して加工の多彩化を可能とすることができ、またその加工が精度良く行える。
【0018】
この発明のプレス加工方法は、この発明のリニアモータ搭載プレス機械を用い、ワークに対して、パンチとダイとの両方を昇降駆動してプレス加工を行う方法であるため、ワークの加工にダイおよびパンチの両方を駆動して加工の多彩化を可能とすることができ、またその加工が精度良く行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の一実施形態を、図1ないし図5と共に説明する。このプレス機械は、パンチ61とダイ62とによって板金等の板材のワークWにプレス加工を施すパンチプレスであって、プレスフレーム41と、このプレスフレーム41の上部フレーム41bに設けられパンチ61を昇降駆動するパンチ用のリニアモータ1と、下部フレーム41cに設けられダイ62を昇降駆動するダイ用のリニアモータ1Aとを備える。
【0020】
プレスフレーム41は、コラム部41aに上部フレーム41bと下部フレーム41cとを連結したものであり、前面が開放された側面形状がC字状とされている。上下のフレーム41b,41cの間に、上下一対の工具支持体42,43と、ワーク送り機構44とが設置され、上フレーム41bに、パンチ用リニアモータ1を駆動源とするプレス機構45が設置されている。なお、プレスフレーム41は、同程度の長さの上下のフレーム部を前端および後端でコラム部により連結した門型、リング型、ないしロ字型フレームと呼ばれるものであっても良い。
【0021】
工具支持体42,43は、同心に設置された上下のタレットからなり、上下の工具支持体42,43には円周方向の複数箇所に、それぞれパンチ61およびダイ金型62が搭載される。これらパンチ61,ダイ62は、工具支持体42,43の回転によって所定のパンチ位置Pに割り出される。
【0022】
図1において、ワーク送り機構44は、板材のワークWの縁部をワークホルダ47で把持し、ワークWをテーブル48上で前後左右に移動させるものである。
【0023】
プレス機構45は、工具支持体42のパンチ位置Pに割り出されたパンチ金型61を昇降させるラム49を、ラムガイド50により昇降自在に支持し、ラム49をリニアモータ1の出力軸12によって昇降駆動させるものである。
【0024】
図2,図3に示すように、パンチ用のリニアモータ1は、それぞれ円筒型リニアモータからなる複数の単位リニアモータ2をモータケース25内に並列配置したものが用いられる。並列に配置する形態として、この例では同一仕様の円筒型リニアモータ2を、出力軸中心Oを中心とする、すなわちプレスドライブ軸芯を中心とする仮想の円上に円周方向に並べて配置している。
【0025】
各単位リニアモータ2は、N極とS極が交互に並ぶ永久磁石からなる軸部材3と、この軸部材3が内部を相対的に軸方向移動自在なコイルユニット4とでなる。コイルユニット4は、軸部材3の周囲を囲む複数のコイル5を、円筒状のコイルケース7内に軸方向に並べて構成される。コイルユニット4はステータとなり、軸部材3が単位リニアモータ2の移動体である出力軸となる。軸部材3は、1本の丸棒状の部材からなるが、複数個の永久磁石を軸方向に並べたものであっても良い。
【0026】
モータケース25は、内筒26と外筒27を同心に配置し、これら内筒26と外筒27の両端を端板28,29で連結したものである。各単位リニアモータ2は、内筒26と外筒27間の環状の空間内に前記円周方向に並べて配置されている。両側の端板28,29は、各単位リニアモータ2の軸部材3を挿通する複数の軸部材挿通孔28a,29aをそれぞれ有し、かつ片方の端板28は、中央にガイド軸挿通孔28bが設けられている。
【0027】
各単位リニアモータ2の軸部材3は、両端が板状の連結部材10,11により相互に連結され、これら複数の軸部材3と連結部材10,11とで移動体30が構成される。この移動体30における片方の連結部材11に、単位リニアモータ2の配列の中心Oに位置する出力軸12が形成されている。
【0028】
モータケース25と、移動体30の間には、複数の単位リニアモータ2の軸部材3の移動を案内するガイド機構32が設けられる。ガイド機構32は、モータケース25の内筒26と、この内筒26内に嵌合状態に固定された案内部であるブッシュ15と、一端側の連結部材10の中心に設けられてブッシュ15内に軸方向移動自在に嵌合する被案内部であるガイド軸13とで構成される。ブッシュ15は滑り軸受を構成する。なお、ブッシュ15を設ける代わりに、直動転がり軸受を介在させても良い。
ガイド機構32には、モータケース25に対する移動体30との相対的な回転を阻止する回り止め手段16が設けられている。回り止め手段16は、ガイド軸13に軸方向に沿って設けられたキー溝17と、モータケース25の内筒26に固定されてキー17に摺動自在に係合するキー部18とでなる。
【0029】
図4は、ダイ用のリニアモータ1Aを示す。ダイ用のリニアモータ1Aは、中央にスラグ排出孔70が設けられ、図2,図3のパンチ用リニアモータ1におけるガイド機構32の代わりに、個々の単位リニアモータ2にブッシュ15Aが設けられている。スラグ排出孔70は、モータケース25の内筒26の内部空間からなる。スラグ排出孔70の中心はパンチ位置Pの中心であるプレスドライブ軸芯と一致する位置とされる。
ダイ用のリニアモータ1Aにおける出力側の連結部材11には、内部がスラグ排出孔となる中空軸からなる出力軸71が、上方に突出して設けられている。
ダイ用のリニアモータ1Aにおけるその他の構成は、図2,図3と共に説明したパンチ用リニアモータ1と同様であり、重複する説明を省略する。
【0030】
図1の上下の工具支持体42,43に設置されるパンチ61およびダイ62には、図5(A)に示す孔開け加工用のパンチ611 およびダイ621 と、同図(B),(C)に示す成形加工用のパンチ612 およびダイ622 とがある。
孔開け加工用のパンチ611 は、下側の工具支持体43にダイホルダ63を介して固定設置される。
【0031】
成形加工用のパンチ612 は、下面に凹み型部65を有する凹型とされ、成形加工用のダイ622 は、上側に凸型部66を有する凸型とされている。成形加工用のダイ622 は、下側の工具支持体43に設置されたダイホルダ63に対して昇降可能に設置され、下降状態ではダイハイトDHよりも下方に位置する。成形加工用のダイ622 は、ダイ側リニアモータ1Aの出力軸12Aによって、ダイハイトDHよりも上方に押し上げられる。
【0032】
成形加工用のダイ622 は、下面に出力軸係合突部67が設けられており、上昇時は、この出力軸係合突部67の下面にダイ用リニアモータ1Aの出力軸12Aの上端が押し当てられる。なお成形加工用のダイ622 は、復帰ばね(図示せず)により下方へ付勢されている。
タレットからなる下側の工具支持体43の各ダイ62の設置位置には、ダイ側リニアモータ1Aの出力軸12Aを昇降可能に進入させる中空孔69Aが設けられている。工具支持体43を受けるボルスタ68は、一対のボルスタ構成部材からなり、両ボルスタ構成部材の間が、ダイ側リニアモータ1Aの出力軸12Aが昇降可能に進入する中空空間69Bとなる。
【0033】
図1において、このプレス機械を制御する制御装置81は、コンピュータ式の数値制御装置からなり、加工プログラム82を演算制御部83により解読して実行し、各リニアモータ1,1Aや、ワーク送り機構44の各軸のサーボモータ、および工具支持体42,43の割出回転用の駆動源(図示せず)に指令を与える。この制御装置81には、パンチ61とダイ62との両方を、リニアモータ1,1Aにより昇降駆動してプレス加工を行わせる制御手段84が設けらている。この制御手段84は、加工プログラム82に記述された命令および前記演算制御部83により構成される。
【0034】
上記構成のプレス機械の動作を説明する。図5(A)に示すように、ダイ用リニアモータ1Aは、常時は下降状態にあり、出力軸12Aの上端は下側の工具支持体43の下面よりも下方に位置する。そのため、タレットからなる工具支持体43の回転は、出力軸12Aと干渉することなく可能である。また、図5(B)に示すように、成形加工用のダイ622 は、ダイハイトDHよりも上端が下方に位置している。この状態で、上下の工具支持体42,43の回転による任意のパンチ61,ダイ62のパンチ位置Pへの割出が行われる。このため、成形加工用のダイ622 がワークWの下面に摺接して傷を付けることが回避される。
【0035】
通常の孔開け加工等のパンチ加工は、このようにダイ用リニアモータ1Aが下降した状態で、上側の工具支持体42のパンチ61をパンチ用リニアモータ1で下降駆動することにより行われる。孔開け加工により生じたスラグは、ダイ用リニアモータ1Aの中心に設けられたスラグ排出孔70を通って機械下方に落下する。
【0036】
成形加工を行う場合は、上下の工具支持体42,43を回転させ、図5(B)のように成形用のダイ622 をパンチ中心Pに割り出す。これにより、ダイ用リニアモータ1Aの出力軸12Aの真上に成形用のダイ622 が位置する。この状態で、同図(C)のように、ダイ用リニアモータ1Aを上昇駆動させ、その出力軸12Aで成形用のダイ622 を所定高さまで上昇させる。また、成形用のパンチ612 をパンチ用リニアモータ1により下降させ、パンチ612 とダイ622 とでワークWを挟み込む。これにより、ワークWに成形加工部Waがプレス成形される。
【0037】
成形が終了すると、パンチ用リニアモータ1を上昇させ、かつダイ用リニアモータ1Aを下降させる。このようにパンチ加工で形成された成形加工部Waは、ワークWの上方に突出するため、ワークWをテーブル48上でワーク送り機構44により送るときに、障害とならない。
【0038】
この構成のプレス機械によると、プレス駆動源としてリニアモータ1を用いるため、回転型のモータを用いるものに比べて、回転をラム49の直線運動に変換する機構が不要であり、プレス機構45の部品点数が少なく構成が簡素となる。また、プレス駆動源として油圧シリンダを用いるものと比べて、油圧ユニットが不要で、構成が簡単になる。しかもリニアモータ1は、位置精度に優れており、加工品質,精度の良い加工が可能となる。
【0039】
また、成形用のダイ622 についても、リニアモータ1Aで昇降駆動するため、従来の水平なシリンダ装置およびカム,リンク機構等で昇降駆動するものに比べて、構成が簡易で、制御性にも優れ、ダイ622 の昇降ストロークの制御も精度良く行える。このようにパンチ61およびダイ62の両方を駆動可能として加工の多彩化を可能としながら、パンチ61とダイ62の駆動に、いずれもリニアモータ1,1Aを用いるようにしたため、簡易な構成とでき、また精度の良い加工を行うことができる。
【0040】
パンチ用リニアモータ1およびダイ用リニアモータ1Aは、いずれも、プレスドライブ軸芯を中心として周囲に、出力軸がプレスドライブ軸芯と平行な単位リニアモータ2を複数設けた単位リニアモータ集合体としたため、大きな出力を得ることができる。パンチ加工では、大きな推力が要求されることがあるが、リニアモータは磁力の強い永久磁石を用いるため、1個のリニアモータで大きな推力を得るには、磁石の大きさの製造限界や供給電圧の制約等もあって、製造が困難である。しかし、この実施形態では、上記のように複数の単位リニアモータ2の集合体からなるリニアモータ1,1Aとしたため、個々の単位リニアモータ2の出力を複数本分の出力として利用でき、大きな出力を得ることができる。
【0041】
また、ダイ用リニアモータ1Aには、プレスドライブ軸芯に一致する部位に、プレス加工によって生じるスラグを排出するスラグ排出孔70を設けたため、スラグの排出を円滑に行うことができ、そのため、孔開け用のダイ611 の下方にダイ用リニアモータ1Aを設置しながら、ダイ用リニアモータ1Aがスラグ排出の邪魔となることが回避される。
ダイ用リニアモータ1Aは、単位リニアモータ2を複数設けた集合体であるため、スラグ排出孔 をプレスドライブ軸芯中心に設けた構成とすることが簡易に行える。
【0042】
また、このリニアモータ搭載プレス機械は、図1の制御手段84の制御に従い、図5(C)と共に説明したように、パンチ61とダイ62との両方を昇降駆動してプレス加工を行うようにしたため、パンチ61とダイ62との両方を同時に駆動させて、あるいは1箇所の成形部Waのに加工にパンチ61とダイ62との両方を順次動作させて加工するようにしたため、ワークWの多彩な加工が行える。このようにパンチ61とダイ62との両方を昇降駆動してプレス加工を行う場合に、各リニアモータ1,1Aにおける優れた制御性を効果的に利用でき、これらパンチ61およびダイ62の駆動源として、それぞれにリニアモータを用いたことによる精度向上の効果が有効に発揮される。
【0043】
なお、上記実施形態では、パンチ用およびダイ用のリニアモータ1,1Aを、共に複数の単位リニアモータ2の集合体からなるものとしたが、1個の単位リニアモータ2を大きくしたような単独型のリニアモータを用いても良い。
その場合に、ダイ側のリニアモータ1Aは、例えば図6に示すように、軸部材3の中心にスラグ排出孔70が貫通したものとすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の一実施形態に係るリニアモータ搭載プレス機械の破断側面図である。
【図2】同プレス機械におけるパンチ用リニアモータの縦断面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】同プレス機械におけるダイ用リニアモータの縦断面図である。
【図5】同プレス機械の動作説明図である。
【図6】同プレス機械におけるダイ用リニアモータの変形例の縦断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…パンチ用のリニアモータ
1A…ダイ用のリニアモータ
3…軸部材(出力軸)
4…コイルユニット
5…コイル
7…コイルケース
10,11…連結部材
12,12A…出力軸
25…モータケース
41…プレスフレーム
41b…上部フレーム
41c…下部フレーム
42,43…工具支持体
44…ワーク送り機構
45…プレス機構
49…ラム
61…パンチ
62…ダイ
611 …孔開け加工用のパンチ
621 …孔開け加工用のダイ
612 …成形加工用のパンチ
622 …成形加工用のダイ
63…工具ホルダ
70…スラグ排出孔
81…制御装置
84…制御手段
DH…ダイハイト
O…出力軸中心
P…パンチ位置(プレスドライブ軸芯)
W…ワーク
【出願人】 【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
【出願日】 平成18年8月21日(2006.8.21)
【代理人】 【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士


【公開番号】 特開2008−43991(P2008−43991A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223779(P2006−223779)