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【発明の名称】 熱プレス装置の制御方法
【発明者】 【氏名】本荘 豊

【氏名】白井 英明

【要約】 【課題】成形時間の短縮と成形の高精度化が可能な熱プレス装置の制御方法を提供する。

【構成】成形材料13を固定盤4及び可動盤7の対向面間に配置し、成形材料13を賦型部材6を介して圧締・賦型成形し、閉ループ制御で可動盤7を駆動する駆動手段2を備えた熱プレス装置1の制御方法であって、制御装置3は、成形材料13が賦型部材6に接触したことを、駆動手段2の負荷力が所定値に到達したことで検出し、そのときの可動盤7と固定盤4との距離を接触位置として記憶するとともに圧締を開始させ、それ以降の賦型成形では、前記接触位置に第1所定距離を加算した目標位置まで可動盤7を固定盤4に高速で接近させ、前記目標位置から低速でさらに接近させ、成形材料13が賦型部材6に接触したことを、駆動手段2の負荷力が所定値に到達したことで検出し、そのときの可動盤7と固定盤4との距離を接触位置として更新記憶するとともに圧締を開始させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料を固定盤及び可動盤の対向面間に配置し、温調された前記成形材料を前記固定盤及び/又は前記可動盤の対向面に設けた賦型部材を介して圧締し、前記成形材料の表面を前記賦型部材で賦型成形する熱プレス装置において、前記可動盤と前記固定盤との距離をフィードバックする位置制御による閉ループ制御で前記可動盤を駆動する駆動手段を備えた熱プレス装置の制御方法であって、
制御装置は、前記固定盤と前記可動盤の両対向面に前記成形材料が接触したことを、前記駆動手段の負荷力が所定値に到達したことにより検出し、そのときの前記可動盤と前記固定盤との距離を接触位置として記憶するとともに圧締を開始させて最初の賦型成形を実行し、それ以降の賦型成形では、前記制御装置は、前記接触位置に第1所定距離を加算して求めた目標位置まで前記可動盤を前記固定盤に高速で位置制御して接近させ、前記目標位置から低速でさらに接近させ、前記固定盤と前記可動盤間で前記成形材料が両対向面に接触したことを、前記駆動手段の負荷力が所定値に到達したことにより検出し、そのときの前記可動盤と前記固定盤との距離を接触位置として更新記憶するとともに圧締を開始させることを特徴とする熱プレス装置の制御方法。
【請求項2】
前記賦型成形の一工程において、制御装置は、圧締が開始してから所定時間後、前記接触位置から第2所定距離離隔した位置を目標値として、前記可動盤を前記固定盤から位置制御により離隔移動させた後、再度圧締させる請求項1に記載の熱プレス装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材料を固定盤及び可動盤の対向面間に配置し、温調した成形材料を前記固定盤及び/又は前記可動盤の対向面に設けた賦型部材を介して圧締し、前記成形材料の表面を前記賦型部材で賦型成形する熱プレス装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱プレス装置で成形する成形材料の一例として、ビルドアップ方式で成形する回路基板がある。ビルドアップ多層回路基板を製造する方法としては、例えば、表面に回路パターンが形成された回路基板の表面に熱硬化性の絶縁樹脂層を積層成形し、この硬化した絶縁樹脂層の上に無電解メッキ及び電解メッキによって回路を形成し、必要に応じてこれを繰り返してさらに多重回路を形成する方法がある。しかし、絶縁樹脂層を積層成形した回路基板の表面には回路パターン厚みにより凹凸が生じ、絶縁樹脂層の表面にメッキによる微細回路パターンを形成することが困難になるという問題がある。この問題を解決するため、前記絶縁樹脂層を積層成形した回路基板を成形材料として、熱プレス装置で成形材料の表面を平坦に成形するのである。このとき、成形材料に賦型部材を静かに緩やかに接触させないと良好な平坦化が得られない。そのため、低圧、低速で可動盤を移動させる必要がある。一方、積層し半硬化した絶縁樹脂層は平坦化を良好に行うため可及的速やかに圧締開始させる必要がある。そのため、成形時間の短縮のためにも、成形材料の賦型部材への接触直前まで、高速で可動盤を固定盤へ接近させる必要がある。
【0003】
このような作動を実現する熱プレス装置における可動盤駆動手段の従来技術は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の可動盤駆動手段は、固定ポンプからの定吐出圧油が電磁切換弁の励磁により連通する電磁流量制御弁及び/又は電磁リリーフ弁に分岐して流出することにより圧締シリンダに流入する圧油の量及び/又は圧力を制限して圧締の速度及び/又は力を制御するように構成されている。そして、電磁切換弁の励磁時点は、リニア位置センサが検出する可動盤の位置に基づいて適宜に設定・制御され得る。しかしながら、このような特許文献1においては、電磁流量制御弁及び/又は電磁リリーフ弁がブリードオフのオープンループ制御であるため、繰り返し精度が低く、油温変化による作動時間や制御量の変化も大きいものであった。そのため、圧油の流量や圧力の変更時点の位置設定は、接触位置から十分離隔させて10mm以上の余裕を与えねばならない。したがって、可動盤は10mm以上の距離を低速で移動させねばならず、圧締開始が遅延して成形上に悪影響を及ぼすとともに、成形時間の延長ともなるのである。
【0004】
ところで、熱プレス装置ではないが、射出成形機の型締装置において金型の接触位置を検出する方法に関する特許文献がある。それは例えば特許文献2であり、所定の型締力が得られるように型締装置を調整した後、可動盤を型開状態から微力によって固定盤側に前進させると共に可動盤駆動用アクチュエータの負荷を検出し、可動盤駆動用アクチュエータの負荷が所定値以上となったときの可動盤又はこれと所定の関係で移動する部材の位置を記憶し、この記憶された位置を型締工程を開始させる金型接触位置とする型締装置の金型接触位置設定方法に関するものである。しかしながら、特許文献2の技術のみでは、熱プレス装置による成形時間の短縮化や成形の高精度化は達成し得ない。
【特許文献1】特公平4−2360号公報
【特許文献2】特開昭63−126659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した問題を解決すべくなされたものであって、成形時間の短縮と成形の高精度化が可能な熱プレス装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、成形材料を固定盤及び可動盤の対向面間に配置し、温調された前記成形材料を前記固定盤及び/又は前記可動盤の対向面に設けた賦型部材を介して圧締し、前記成形材料の表面を前記賦型部材で賦型成形する熱プレス装置において、前記可動盤と前記固定盤との距離をフィードバックする位置制御による閉ループ制御で前記可動盤を駆動する駆動手段を備えた熱プレス装置の制御方法であって、制御装置は、前記固定盤と前記可動盤の両対向面に前記成形材料が接触したことを、前記駆動手段の負荷力が所定値に到達したことにより検出し、そのときの前記可動盤と前記固定盤との距離を接触位置として記憶するとともに圧締を開始させて最初の賦型成形を実行し、それ以降の賦型成形では、前記制御装置は、前記接触位置に第1所定距離を加算して求めた目標位置まで前記可動盤を前記固定盤に高速で位置制御して接近させ、前記目標位置から低速でさらに接近させ、前記固定盤と前記可動盤間で前記成形材料が両対向面に接触したことを、前記駆動手段の負荷力が所定値に到達したことにより検出し、そのときの前記可動盤と前記固定盤との距離を接触位置として更新記憶するとともに圧締を開始させる熱プレス装置の制御方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱プレス装置の制御方法によれば、成形時間の短縮と高精度な成形が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明を実施する熱プレス装置の構成を示す構成図である。図2及び図3は、本発明の制御方法を示す流れ図である。図4は、本発明の制御方法における可動盤の移動形態を表すグラフである。
【0009】
熱プレス装置1は、図示しない架台にシリンダ9とともに固着される固定盤4と、固定盤4に対向して接近・離隔移動可能な可動盤7と、固定盤4と可動盤7の対向面のそれぞれに配設された賦型部材6と、賦型部材6に挟持されるように配置される成形材料13と、固定盤4と可動盤7との距離を計測する位置検出器5と、可動盤7の下面中心部に固着されるロッド8と、ロッド8の端部に設けられるピストン11と、ピストン11を液圧密かつ摺動自在に嵌挿するシリンダ9と、シリンダ9をピストン11で区画した二の空間である離隔室10及び接近室12に圧油を供給するポンプ14と、ポンプ14を可変速駆動するモータ15と、モータ15の回転角度を検出するエンコーダ16と、接近室12へ供給される圧油の圧力を検出する圧力検出器17と、位置検出器5、エンコーダ16及び圧力検出器17等からの電気信号を入力し演算・シーケンス処理等をしてモータ15等へ制御信号を出力する制御装置3とからなる。ロッド8、シリンダ9、ピストン11、ポンプ14及びモータ15により駆動手段2が構成される。なお、駆動手段2は油圧方式のものとして例示したが、サーボモータとボール螺子等から構成した機械方式のものであってもよい。
【0010】
賦型部材6は、固定盤4と可動盤7の両対向面の何れか一方又は双方に設けられ、加熱・冷却で温調した鏡面板、金型又はスタンパ等で例示される。賦型部材6自体は温調されず、温調された固定盤4、可動盤7又は別途設けた熱板等からの熱伝導で温調される場合もある。このようにして温調された成形材料13の表面は、賦型部材6に圧締して押圧され、賦型部材6の表面形状が賦型される。
【0011】
駆動手段2は、サーボモータが好適に採用される可変速可逆モータ15で二方向吐出ポンプ14を駆動し、その一方の吐出口の圧油がシリンダ9の接近室12へ供給されたときはロッド8を可動盤7方向へ押し、その他方の吐出口の圧油がシリンダ9の離隔室10へ供給されたときはロッド8を可動盤7方向から引く。位置検出器5は、固定盤4と可動盤7との距離を検出し電気信号に変換して制御装置3へ伝送する。制御装置3は、可動盤7が設定された位置へ設定された速度で到達するように、位置検出器5の信号と設定値を突き合わせてモータ15をフィードバック制御する。また、圧力検出器17は、接近室12の油圧を検出し電気信号に変換して制御装置3へ伝送する。制御装置3は、可動盤7が設定された圧締力で成形材料13を圧締するように、圧力検出器17の信号と設定値を突き合わせてモータ15をフィードバック制御する。エンコーダ16はモータ15の回転角度を検出し電気信号に変換して制御装置3へ伝送する。制御装置3は、モータ15の回転が制御装置3の指令信号と一致するように、エンコーダ16の信号と指令信号を突き合わせてモータ15をフィードバック制御する。なお、駆動手段2は、モータ15と二方向吐出ポンプ14を有するもので例示したが、モータ、ポンプ及びサーボ弁を備えたものであっても良い。
【0012】
次に、本発明に係る制御方法について図2及び図3に基づいて詳細に説明する。賦型部材6に挟持した成形材料13の厚さを含めた固定盤4と可動盤7との距離よりも十分大きな(2.5mm程度)位置の値を、仮目標位置として制御装置3に設定する。成形材料13を固定盤4と可動盤7の間に配置する。可動盤7を仮目標位置に向けて高速で位置決め制御して接近させ、初回の賦型成形を開始する(20)。可動盤7が仮目標位置に到達したか否かを判断し(21)、可動盤7が仮目標位置に到達したら可動盤7の速度制御を高速・高圧から低速・低圧に切換え可動盤7を低速で固定盤4に接近させる(22)。
【0013】
成形材料13の両面が、賦型部材6(固定盤4と可動盤7の対向面)に接触して可動盤7の移動が停止すると、可動盤7の移動中は低かった圧力検出器17の検出油圧(移動圧)が低速移動中の低圧の油圧設定値まで上昇し得る。この移動圧から設定値までの間の適宜な値の所定値に、駆動手段2の負荷力としての圧力検出器17の検出値が到達したか否かを判断する(23)。圧力検出器17の検出値が所定値に到達したとき、位置検出器5で検出した固定盤4と可動盤7との距離を接触位置として制御装置3の記憶装置に記憶する(24)。そして、油圧設定を所定の圧締値に切換えて圧締を開始する(25)。この最初の賦型成形は、接触位置を検出して記憶することが目的である。したがって、最初の賦型成形から良好な成形品が得られなくても構わない。そのため、仮目標位置の設定は最適なものでなくてもよいし、仮目標位置を設定せず可動盤7の全接近移動を低速で行うようにしてもよい。
【0014】
初回の賦型成形に続く2回目以降の賦型成形について、図3及び図4に基づいて説明する。制御装置3は、最初の賦型成形で記憶した接触位置値に第1所定距離値を加算して目標位置値を求め、目標位置として記憶装置へ格納する。そして、可動盤7を目標位置へ高速で位置決め接近させる(30)。可動盤7が目標位置に到達したか否かを判断し(31)、可動盤7が目標位置に到達したら可動盤7の速度制御を高速・高圧から低速・低圧に切換え可動盤7を低速で固定盤4に接近させる(32)。成形材料13の両面が、賦型部材6(固定盤4と可動盤7の対向面)に接触して可動盤7の移動が停止すると、可動盤7の移動中は低かった圧力検出器17の検出油圧(移動圧)が低速移動中の低圧の油圧設定値まで上昇し得る。この移動圧から設定値までの間の適宜な値の所定値に、駆動手段2の負荷力としての圧力検出器17の検出値が到達したか否かを判断する(33)。圧力検出器17の検出値が所定値に到達したとき、位置検出器5で検出した固定盤4と可動盤7との距離を接触位置として制御装置3の記憶装置の値をリセットして更新記憶する(34)。そして、油圧設定を所定の圧締値に切換えて圧締を開始する(35)。なお、駆動手段2の負荷力は、圧力検出器17で求めたが、モータ15の電流を検出して求めてもよい。また、駆動手段が油圧式ではなく機械式のものであるときは、アクチュエータの出力を計測するロードセルや駆動モータの電流検出により負荷力を求めるようにする。
【0015】
このようにして、接触位置までの可動盤7の固定盤4への接近速度を制御するので、成形材料13の賦型部材6との接触状態が良好に維持されるとともに、成形材料13の圧締までの時間が短縮され成形精度向上と成形時間短縮に貢献する。具体例をビルドアップ回路基板の平坦化成形で説明する。ビルドアップ回路基板の厚さは1〜2mmである。第1所定距離は、駆動手段2がフィードバックの位置決め制御を行い0.01mm以下の制御精度を有するので、0.1mmとする。第1所定距離の可動盤7の接近速度は毎秒1mm以下であることが成形上好ましい。したがって、可動盤7の第1所定距離の接近所要時間は、0.1秒である。これに対し、従来方式では第1所定距離に相当する距離を10mmにしなければならないので、可動盤の第1所定距離に相当する距離の接近所要時間は、10秒である。また、ビルドアップ回路基板の成形では、成形サイクル毎に絶縁樹脂層が積層されて0.02mm程度づつ成形材料の厚さが増加してゆくことになる。本発明の制御方法では、前回の成形サイクルでの成形材料の厚さに必要最小限の低速接近距離を加えるので、ビルドアップ回路基板成形のように成形サイクル毎に成形材料の厚さが変化しても可動盤の低速接近距離を常に一定に維持させることができ、成形の安定化に寄与する。
【0016】
ところで、ビルドアップ回路基板成形において、平坦化の工程を一度の圧締ではなく、複数回に分割して実施すると優れた平坦性が得られることがある。また、このような作動は成形材料のガス等の脱気に効果的である。この制御方式について図1及び図4に基づいて説明する。制御装置3は、可動盤7が固定盤4に低速接近して接触位置に到達したとき、圧締を開始させるとともに、タイマを計時開始する。制御装置3は、タイマの所定時間経過後、接触位置から第2所定距離離隔した位置を目標値として、可動盤7を固定盤4から位置制御により離隔移動させた後、再度可動盤7を固定盤4へ低速で接近移動させ圧締させる。他のタイマを設けて、前記再圧締を複数回行うようにしてもよい。
【0017】
このような本発明の制御方式によれば、第2所定距離の設定を、接触位置を基準とした必要最小限の小さな値とすることができるので、従来方式では多くの時間を要するため不可能であった一成形サイクル中の複数回の圧締動作が実現できる。
【0018】
この発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を付加して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を実施する熱プレス装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の制御方法を示す流れ図である。
【図3】本発明の制御方法を示す流れ図である。
【図4】本発明の制御方法における可動盤の移動形態を表すグラフである。
【符号の説明】
【0020】
1 熱プレス装置
2 駆動手段
3 制御装置
4 固定盤
5 位置検出器
6 賦型部材
7 可動盤
8 ロッド
9 シリンダ
10 離隔室
11 ピストン
12 接近室
13 成形材料
14 ポンプ
15 モータ
16 エンコーダ
17 圧力検出器
【出願人】 【識別番号】000155159
【氏名又は名称】株式会社名機製作所
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−36707(P2008−36707A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−218283(P2006−218283)