トップ :: B 処理操作 運輸 :: B30 プレス

【発明の名称】 含水物の脱水装置
【発明者】 【氏名】沢辺 攻

【氏名】伊東 伸朗

【要約】 【課題】ベルトの目詰まりが生じないように、確実に脱水できるようにし、脱水能力の向上を図り、脱水処理効率の向上を図る。

【構成】回転軸P1,P2を平行にして回転可能に機台1に設けられ互いに押圧し合う一方ローラ11及び他方ローラ12を備え、各ローラ11,12の回転方向が互いに近接する側から含水物Wを供給して各ローラ11,12間で含水物Wから水分を圧搾し各ローラ11,12の回転方向が互いに離間する側に排出するものにおいて、一方ローラ11の壁部に多数の小孔14を形成し、一方ローラ14の内側に内面に摺接する開口21を有した吸引機23の吸引ノズル20を設け、一方ローラ11と回転ローラ31と間に圧搾された水分が通過可能な網状のエンドレスのベルト30を巻き掛けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を平行にして回転可能に機台に設けられ互いに押圧し合う一方ローラ及び他方ローラを備え、該各ローラの回転方向が互いに近接する側から含水物を供給して該各ローラ間で該含水物から水分を圧搾し該各ローラの回転方向が互いに離間する側に排出する含水物の脱水装置において、
上記一方ローラを円筒状の壁部を有して中空状に形成し、該一方ローラの壁部であって該一方ローラの軸方向の所定幅に亘り且つ全周に亘る範囲に含水物から圧搾された水分が通過可能な多数の小孔を形成し、該一方ローラの内側に該一方ローラの軸方向の上記所定幅に亘り且つ該一方ローラの周方向の所定長さに亘って開口するとともに該一方ローラの壁部の内面に摺接する開口を有し該開口から上記小孔を通して上記圧搾された水分を吸引する吸引機の吸引ノズルを設け、上記一方ローラの軸線と平行な軸線を有して回転可能な回転ローラを設け、上記一方ローラと回転ローラとの間に上記圧搾された水分が通過可能な網状のエンドレスのベルトを巻き掛けたことを特徴とする含水物の脱水装置。
【請求項2】
上記吸引ノズルの開口の開口縁に、上記一方ローラの壁部の内面に弾接するシール部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の含水物の脱水装置。
【請求項3】
上記ベルトを、金属製ワイヤを編んで形成され上記含水物が通過不能な網目を有したワイヤベルトで構成したことを特徴とする請求項1または2記載の含水物の脱水装置。
【請求項4】
上記ベルトを、該ベルトのワイヤとして、その線径Dが、0.5mm≦D≦0.9mmのものを用いて形成するとともに、30〜40メッシュに形成したことを特徴とする請求項3記載の含水物の脱水装置。
【請求項5】
上記他方ローラを上記一方ローラに対して押圧力を一定に制御可能に押圧する押圧機構と、上記一方ローラ及び他方ローラを回転駆動する回転駆動機構と、上記一方ローラ及び他方ローラ間に上記含水物を所定供給速度で供給する原料供給部とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の含水物の脱水装置。
【請求項6】
上記一方ローラ及び回転ローラを機台に回転可能に支持し、上記押圧機構を、一端側に上記他方ローラが回転可能に支持され中間が機台に回動可能に軸支された可動部材と、シリンダ及びピストンからなり該シリンダ及びピストンの何れか一方が上記機台に対して回動可能に軸支され上記シリンダ及びピストンの何れか他方が上記可動部材の他端側に軸支された油圧シリンダ装置とを備えて構成し、該油圧シリンダ装置の伸張若しくは収縮により上記可動部材にモーメント荷重を作用させることにより上記他方ローラを上記一方ローラに押圧することを特徴とする請求項5記載の含水物の脱水装置。
【請求項7】
上記押圧機構による他方ローラの押圧応力Pを、10MPa≦P≦50MPaに設定したことを特徴とする請求項5または6記載の含水物の脱水装置。
【請求項8】
上記一方ローラ及び他方ローラ間の含水物の平均厚さtが、5mm≦t≦40mmになるように、且つ、上記吸引ノズルの開口における周方向の所定長さLを通過する正味吸水時間Sが、0.2sec≦S≦7secになるように、上記回転駆動機構による上記一方ローラ及び他方ローラの周速と、上記供給部による含水物の単位時間当たりの供給量を定めたことを特徴とする請求項7記載の含水物の脱水装置。
【請求項9】
上記一方ローラ及び他方ローラの前位に、含水物を圧潰する圧潰部を設けたことを特徴とする請求項1乃至8何れかに記載の含水物の脱水装置。
【請求項10】
上記圧潰部を、回転軸を平行にして回転可能に機台に設けられ互いに押圧し合う一対の加圧ローラを備え、該各ローラの回転方向が互いに近接する側から含水物を供給して該各ローラ間で該含水物を圧潰し該各ローラの回転方向が互いに離間する側に排出する構成にしたことを特徴とする請求項9記載の含水物の脱水装置。
【請求項11】
上記含水物がチップ状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至10何れかに記載の含水物の脱水装置。
【請求項12】
上記含水物が木材チップであることを特徴とする請求項11記載の含水物の脱水装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の含水物をローラ間に供給して水分を圧搾して脱水する含水物の脱水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止、資源の循環利用とゼロエミッションの推進及び廃掃法の制定等を背景として、木質バイオマス(林地残材や工場残材などの未利用木質資源)の熱利用や材料利用が推進されつつある。しかし、これら資源は、通常110〜200%もの水分を含有し、熱利用では着火性や燃焼効率を高めるために含水率を100%以下に、また材料利用では接着加工や製品の品質確保のために含水率を20%程度にまで予め乾燥する必要がある。
一方、木質バイオマスは通常粉体あるいはチップ形状で利用するため、これらを乾燥する技術としては、高額で長大な乾燥設備を用いて多量の熱エネルギーを供給して乾燥する以外に方法はなく、付加価値の付けにくい原料に対する乾燥法としては採算面で不利となっている。
そこで、木質バイオマスの利活用を実践面で阻んでいる既存乾燥技術を抜本的に見直し、木質資源の組織的、物理的特性を活かした比較的小型で短時間かつ省エネ的に連続して脱水できる脱水装置の開発が望まれている。
【0003】
従来、含水物の脱水装置としては、例えば、特許文献1(特開2000−15297号公報)に記載されたものが知られており、熱エネルギーを用いないである程度脱水できることから、そのままの適用は難しいが、原理的には木質バイオマスにおいてもその利用が考えられる。
この含水物の脱水装置は、図20に示すように、含水物Wとして汚泥から水分を脱水するもので、回転軸を平行にして回転可能に設けられ互いに押圧し合うフェルトを被覆した一方ローラ100及び他方ローラ101を備え、この一方ローラ100の軸線と平行な軸線を有して回転可能な複数の回転ローラ102を設け、一方ローラ100と複数の回転ローラ102との間に濾布からなるベルト103を巻き掛けて構成されている。
【0004】
そして、含水物Wをベルト103に載せて各ローラ100,101の回転方向が互いに近接する側から供給し、各ローラ100,101間で含水物Wから水分を圧搾し、各ローラ100,101の回転方向が互いに離間する側であって、他方ローラ101の外周面に付着させて排出している。排出された含水物Wは、ドクター104で掻き落とされ、回収用コンベア105によって、外部に搬送される。ベルト103は、一方ローラ100から離れた位置で、洗浄用シャワー106により洗浄される。
【0005】
【特許文献1】特開2000−15297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の含水物の脱水装置にあっては、濾布からなるベルト103は洗浄用シャワー106により洗浄してはいるが、濾布の目が細かいことからどうしても目詰まりし易く、目詰まりが生じると、脱水能力を損ねてしまう。また、脱水された水の回収も容易でなくなるという問題があった。また、従来の脱水装置は汚泥用であり、例えば、木材チップのようなチップ状の含水物においては、そのまま適用することができない。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、ベルトの目詰まりが生じないように、確実に脱水できるようにし、脱水能力の向上を図り、脱水処理効率の向上を図った含水物の脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するため本発明は、回転軸を平行にして回転可能に機台に設けられ互いに押圧し合う一方ローラ及び他方ローラを備え、該各ローラの回転方向が互いに近接する側から含水物を供給して該各ローラ間で該含水物から水分を圧搾し該各ローラの回転方向が互いに離間する側に排出する含水物の脱水装置において、
上記一方ローラを円筒状の壁部を有して中空状に形成し、該一方ローラの壁部であって該一方ローラの軸方向の所定幅に亘り且つ全周に亘る範囲に含水物から圧搾された水分が通過可能な多数の小孔を形成し、該一方ローラの内側に該一方ローラの軸方向の上記所定幅に亘り且つ該一方ローラの周方向の所定長さに亘って開口するとともに該一方ローラの壁部の内面に摺接する開口を有し該開口から上記小孔を通して上記圧搾された水分を吸引する吸引機の吸引ノズルを設け、上記一方ローラの軸線と平行な軸線を有して回転可能な回転ローラを設け、上記一方ローラと回転ローラとの間に上記圧搾された水分が通過可能な網状のエンドレスのベルトを巻き掛けた構成としている。
【0009】
これにより、含水物の脱水を行なうときは、含水物を一方ローラ及び他方ローラ間に各ローラの回転方向が互いに近接する側から供給する。含水物は、他方ローラによりベルトを介して一方ローラに押圧され、水分が圧搾される。水分が圧搾された含水物は、各ローラの回転方向が互いに離間する側に排出されていく。
この圧搾の際には、一方ローラ内には、吸引機の吸引ノズルがあるので、ベルトの隙間及び一方ローラの小孔を通って圧搾された水分が吸引されて、吸引機に吸引されて排出される。この場合、強制的に水分を吸引するので、水分が再度含水物に吸収される事態が防止され、そのため、確実に脱水を行なうことができ、脱水処理効率の向上が図られる。
【0010】
更に、この場合、網状のエンドレスのベルトを介して、一方ローラの小孔から吸引しているので、小孔を含水物が直接塞ぐことがないことから、吸引力が含水物の部分ではなく全体に及ぶことになり、そのため、吸引効率が向上させられ、この点でも確実に脱水が行なわれ、脱水処理効率の向上が図られる。
仮に、ベルトに極めて細かい含水物が入り込んでも、吸引機の吸引ノズルにより強制的に吸引しているので、これらの細かい含水物も水分とともに吸引されることになり、そのため、目詰まりが確実に防止され、脱水能力の低下が防止されることから、この点でも確実に脱水が行なわれ、脱水処理効率の向上が図られる。
【0011】
そして、必要に応じ、上記吸引ノズルの開口の開口縁に、上記一方ローラの壁部の内面に弾接するシール部材を設けた構成としている。これにより、シール部材があることから、シール性が良く不要な空気を吸引することがなくなるので、含水物から確実に脱水を行なうことができ、そのため、脱水処理効率の向上が図られる。
【0012】
また、必要に応じ、上記ベルトを、金属製ワイヤを編んで形成され上記含水物が通過不能な網目を有したワイヤベルトで構成している。ワイヤベルトなので、押圧力が高くても耐力があり、含水物を圧潰して内部の水分を圧搾できるようになる。
この場合、上記ベルトを、該ベルトのワイヤとして、その線径Dが、0.5mm≦D≦0.9mmのものを用いて形成するとともに、30〜40メッシュに形成したことが有効である。押圧が確実に行なわれるとともに、含水物としてチップ状に形成されたものであれば、目詰まりすることが確実に防止される。
【0013】
更に、必要に応じ、上記他方ローラを上記一方ローラに対して押圧力を一定に制御可能に押圧する押圧機構と、上記一方ローラ及び他方ローラを回転駆動する回転駆動機構と、上記一方ローラ及び他方ローラ間に上記含水物を所定供給速度で供給する原料供給部とを備えた構成としている。これにより、押圧機構が、押圧力を一定にし、回転駆動機構が一方ローラ及び他方ローラを一定の周速で回転させ、原料供給部が含水物を所定供給速度で供給しているので、一方ローラと他方ローラ間の含水物の厚さが、一定押圧応力の下で、ほぼ一定になる。そのため、含水物からムラなく均一に水分を吸引することができ、この点でも、確実に脱水が行なわれ、脱水処理効率の向上が図られる。
【0014】
更にまた、必要に応じ、上記一方ローラ及び回転ローラを機台に回転可能に支持し、上記押圧機構を、一端側に上記他方ローラが回転可能に支持され中間が機台に回動可能に軸支された可動部材と、シリンダ及びピストンからなり該シリンダ及びピストンの何れか一方が上記機台に対して回動可能に軸支され上記シリンダ及びピストンの何れか他方が上記可動部材の他端側に軸支された油圧シリンダ装置とを備えて構成し、該油圧シリンダ装置の伸張若しくは収縮により上記可動部材にモーメント荷重を作用させることにより上記他方ローラを上記一方ローラに押圧する構成としている。簡易な機構で、押圧力を一定に保持できる。
【0015】
この場合、上記押圧機構による他方ローラの押圧応力Pを、10MPa≦P≦50MPaに設定した構成としている。押圧が確実に行なわれるとともに、含水物としてチップ状に形成されたものに有効になる。
また、この場合、上記一方ローラ及び他方ローラ間の含水物の平均厚さtが、5mm≦t≦40mmになるように、且つ、上記吸引ノズルの開口における周方向の所定長さLを通過する正味吸水時間Sが、0.2sec≦S≦7secになるように、上記回転駆動機構による上記一方ローラ及び他方ローラの周速と、上記供給部による含水物の単位時間当たりの供給量を定めた構成としている。これにより、極めて、良好に水分が脱水される。即ち、厚さtが薄すぎると、空気の吸引量が増えて含水物からの吸引効率が悪くなり、一方、厚さtが厚くなると、ローラ間の中央を通る含水物からの水分の吸引が不十分になるが、上記の範囲に設定することで、極めて、良好に水分が脱水されるのである。
上記設定値は、望ましくは、20MPa≦P≦30MPa,15mm≦t≦30mm、2sec≦S≦5secである。特に、含水物が木材チップ場合に有効になる。
【0016】
また、必要に応じ、上記一方ローラ及び他方ローラの前位に、予め含水物を圧潰する圧潰部を設けた構成としている。これにより、圧潰部により含水物が圧潰されるので、含水物に含まれる堅いものを予め押しつぶして柔軟化させることができ、そのため、その後の圧搾において、含水物を圧縮され易くして水分の圧搾を容易にすることができ、脱水効率を向上させることができる。
【0017】
この場合、上記圧潰部を、回転軸を平行にして回転可能に機台に設けられ互いに押圧し合う一対の加圧ローラを備え、該各ローラの回転方向が互いに近接する側から含水物を供給して該各ローラ間で該含水物を圧潰し該各ローラの回転方向が互いに離間する側に排出する構成にしている。簡易な機構で、圧搾を行なうことができる。
【0018】
そして、本発明は、上記含水物がチップ状に形成されているものに有効である。特に、上記含水物として木材チップにおいて有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の含水物の脱水装置によれば、含水物の圧搾の際には、吸引機の吸引ノズルで、強制的に水分を吸引するので、水分が再度含水物に吸収される事態が防止され、そのため、確実に脱水を行なうことができ、脱水処理効率の向上を図ることができる。また、網状のエンドレスのベルトを介して、一方ローラの小孔から吸引しているので、小孔を含水物が直接塞ぐことがないことから、吸引力が含水物の部分ではなく全体に及ぶことになり、そのため、吸引効率が向上させられ、この点でも確実に脱水が行なわれ、脱水処理効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置について詳細に説明する。
図1乃至図7に示す本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置は、図8に示すように、含水物Wとして、チップ状に形成されている木材チップおよび/または鋸屑を対象とする。
木材チップは、例えば、最大幅Dが、D=10mm〜50mm程度に、最大長さが10mm〜80mm程度に形成され、例えば、製紙用、燃料用などの用途のものである。また、鋸屑は、最大径1mm〜3mm程度のものを対象とする。
【0021】
実施の形態に係る含水物Wの脱水装置の基本的構成は、図1乃至図7に示すように、機台1と、圧搾部10と、圧潰部60と、原料供給部90とから構成されている。
圧搾部10は、回転軸P1,P2を平行にして回転可能に機台1に設けられ互いに押圧し合う一方ローラ11及び他方ローラ12を備え、各ローラ11,12の回転方向が互いに近接する側から含水物Wが供給され、各ローラ11,12間で含水物Wから水分を圧搾し、各ローラ11,12の回転方向が互いに離間する側に排出する。
【0022】
詳しくは、図4乃至図7に示すように、一方ローラ11は、金属製のドラムであり、円筒状の壁部13を有して中空状に形成されている。図6及び図7に示すように、一方ローラ11の壁部13であってこの一方ローラ11の軸方向の所定幅に亘り且つ全周に亘る範囲には、含水物Wから圧搾された水分が通過可能な多数の小孔14が設けられている。実施の形態では、一方ローラ11は、例えば、その外径が例えば300〜400mm程度に形成され、小孔14は、その径が例えば5〜6mmに形成され、軸方向ピッチが7〜10mmで、一列毎に半ピッチ位相をずらせて整列させられて設けられている。
【0023】
また、図5に示すように、一方ローラ11は、両側壁部13に突設された管状の軸部15を、機台1に固定部材2(図1)等により固定された固定軸3にベアリング16を介して軸支することにより、回転可能に設けられている。また、軸部15は機台1に設けた軸受体17にベアリング18を介して回転可能に支持されている。
【0024】
この一方ローラ11の内側には、図6及び図7に示すように、一方ローラ11の軸方向の所定幅に亘り且つ一方ローラ11の周方向の所定長さLに亘って開口するとともに、一方ローラ11の壁部13の内面に摺接する開口21を有しこの開口21から小孔14を通して圧搾された水分を吸引する吸引機23の吸引ノズル20が設けられている。上記の固定軸3は管状の吸引管24としても構成されており、吸引ノズル20は、この固定軸3(吸引管24)に連通して固定されている。そして、図1に示すように、固定軸3(吸引管24)の一端には電動ターボ型の吸引機23が外部吸引管25を介して接続されている。図6に示すように、吸引ノズル20の開口21の開口縁21aには、一方ローラ11の壁部13の内面に弾接するシール部材26が設けられている。シール部材26は、吸引ノズル20の開口21に固定される固定部26aと、固定部26aから延び一方ローラ11の壁部13に弾接する二条のリップ26bとを備えて構成されている。
【0025】
また、図1,図3,図4及び図7に示すように、圧搾部10において、機台1には、一方ローラ11の軸線P1と平行な軸線を有して回転可能な回転ローラ31(図1,図4)が設けられており、一方ローラ11と回転ローラ31との間には、圧搾された水分が通過可能な網状のエンドレスのベルト30が巻き掛けられている。このベルト30は、図7に示すように、ワイヤを編んで形成されており、含水物Wが通過不能な網目を有したワイヤベルトで構成されている。詳しくは、ベルト30は、ワイヤとして、その線径Dが、0.5mm≦D≦0.9mmのものを用いて形成されるとともに、30〜40メッシュに形成されている。
【0026】
図1乃至図5に示すように、他方ローラ12は、両側に軸部19(図5)を突設した金属製ドラムで構成されている。
また、他方ローラ12は、押圧機構40により一方ローラ11に押圧されている。押圧機構40は、他方ローラ12を一方ローラ11に対して押圧応力を一定に制御可能に押圧するもので、一端側に他方ローラ12の軸部19がベアリング41を介して回転可能に支持され中間が機台1に回動可能に軸42で軸支された可動部材43と、シリンダ44a及びピストン44bからなりこのシリンダ44a及びピストン44bの何れか一方(実施の形態ではシリンダ44a)が機台1に対して回動可能に軸支され、このシリンダ44a及びピストン44bの何れか他方(実施の形態ではピストン44b)が可動部材43の他端側に軸支された油圧シリンダ装置44とを備えて構成されている。この油圧シリンダ装置44の伸張若しくは収縮により、可動部材43にモーメント荷重を作用させることにより、他方ローラ12を一方ローラ11に押圧する。
【0027】
油圧シリンダ装置44の油圧制御は、図1に示すように、油圧ポンプユニット45により、他方ローラ12が一方ローラ11に対して一定の押圧応力になるように行なわれる。実施の形態では、押圧機構40による他方ローラ12の押圧応力を10〜50MPaに設定してある。
【0028】
また、一方ローラ11,他方ローラ12及びベルト30は、回転駆動機構50によって回転駆動させられる。回転駆動機構50は、図4及び図5に示すように、チェーン電動機構で構成され、具体的には、機台1に固定された電動モータ51と、電動モータ51に設けた主スプロケット52と、一方ローラ11の一方の軸部15に設けた従スプロケット53と、主スプロケット52及び従スプロケット53間に掛け渡されたエンドレスのチェーン54とを備えて構成されている。この回転駆動機構50により、一方ローラ11が回転させられると、これに追従して、ベルト30及び他方ローラ12が回転させられる。
【0029】
圧潰部60は、一方ローラ11及び他方ローラ12の前位に設けられ、含水物Wに含まれる節などの堅いものを予め押しつぶして柔軟化するものである。詳しくは、圧潰部60は、回転軸P3,P4を平行にして回転可能に機台1に設けられ互いに押圧し合う一対の金属製の加圧ローラ61,62を備え、各ローラ61,62の回転方向が互いに近接する側から含水物Wが供給され、各ローラ61,62間で含水物Wを押しつぶして柔らかくし、各ローラ61,62の回転方向が互いに離間する側に排出する構成にしてある。一方の加圧ローラ61は機台1に回転可能に設けられるとともに、他方の加圧ローラ62は、上記圧搾部10の他方ローラ12と同様に、押圧機構70により一方の加圧ローラ62に押圧さている。
【0030】
押圧機構70は、上記と同様に構成されており、他方の加圧ローラ62を一方の加圧ローラ61に対して押圧応力を一定に制御可能に押圧するもので、図4及び図5に示すように、一端側に他方の加圧ローラ61の軸部がベアリング71を介して回転可能に支持され中間が機台1に回動可能に軸72で軸支された可動部材73と、シリンダ74a及びピストン74bからなりこのシリンダ74a及びピストン74bの何れか一方(実施の形態ではシリンダ74a)が機台1に対して回動可能に軸支され、このシリンダ74a及びピストン74bの何れか他方(実施の形態ではピストン44b)が可動部材73の他端側に軸支された油圧シリンダ装置74とを備えて構成されている。この油圧シリンダ装置74の伸張若しくは収縮により、可動部材73にモーメント荷重を作用させることにより、他方の加圧ローラ62を一方の加圧ローラ61に押圧する。
【0031】
更に、加圧ローラ61,62は、回転駆動機構80によって回転駆動させられる。回転駆動機構80は、チェーン電動機構で構成され、具体的には、図4及び図5に示すように、機台1に固定された電動モータ81と、電動モータ81に設けた主スプロケット82と、一方の加圧ローラ61の軸部に設けた従スプロケット83と、主スプロケット82及び従スプロケット83間に掛け渡されたエンドレスのチェーン84とを備えて構成されている。
【0032】
原料供給部90は、一次原料供給部90Aと二次原料供給部90Bとを備えている。一次原料供給部90Aは、原料としての含水物Wを貯留する貯留槽91と、貯留槽91内の含水物Wを搬送するコンベアなどで構成された搬送機構92と、搬送された含水物Wを圧潰部60の加圧ローラ61,62間に供給するホッパ93とを備えて構成されている。図4に示すように、ホッパ93の排出口には、排出口の開口の開口率を調整するシャッタ94が設けられているとともに、加圧ローラ61,62に向けて含水物Wを排出するスクリューコンベア95が設けられ、シャッタ94で調整された開口の開口率及びスクリューコンベア95の搬送速度の調整により、含水物Wは単位時間当たり所定量ずつ排出される。図1及び図2中、符合96は貯留槽91内に設けられ含水物Wをチエンコンベア92に送り出すスクリューコンベアである。
【0033】
二次原料供給部90Bは、圧潰部60と圧搾部10との間に設けられ、圧搾部10の一方ローラ11及び他方ローラ12間に含水物Wを供給する。二次原料供給部90Bは、圧潰部60から排出された含水物Wを一時的に貯留するサブホッパ97を備えている。図4に示すように、サブホッパ97の排出口には、排出口の開口の開口率を調整するシャッタ98が設けられているとともに、一方ローラ11及び他方ローラ12に向けて含水物Wを排出するスクリューコンベア99が設けられ、シャッタ98で調整された開口の開口率及びスクリューコンベア99の搬送速度の調整により、含水物Wは単位時間当たり所定量ずつ排出される。即ち、含水物Wは、一方ローラ11及び他方ローラ12間に所定供給速度で供給される。
【0034】
実施の形態では、押圧機構40による他方ローラ12の押圧応力Pを、10MPa≦P≦50MPaに設定したとき、一方ローラ11及び他方ローラ12間の含水物Wの厚さtが、5mm≦t≦40mmになるように、且つ、吸引ノズル20の開口21における周方向の所定長さLを通過する正味吸水時間Sが、0.2sec≦S≦7secになるように、回転駆動機構50による一方ローラ11及び他方ローラ12の周速と、原料供給部による含水物Wの単位時間当たりの供給量が定められている。望ましくは、20MPa≦P≦30MPaに設定し、15mm≦t≦30mm、2sec≦S≦5secになるようにする。
【0035】
従って、この実施の形態に係る含水物Wの脱水装置によれば、以下のようにして含水物Wの脱水が行なわれる。
一次原料供給部90Aにおいて、搬送機構92により貯留槽91から含水物Wがホッパ93内に供給され、ホッパ93の排出口においては、スクリューコンベア95によりホッパ93内の含水物Wが圧潰部60の加圧ローラ61,62間に供給される。この場合、シャッタ94によりホッパ93の開口率が規定され、スクリューコンベア95も一定に作動するので、含水物Wは所定量が所定供給速度で供給される。
【0036】
圧潰部60の加圧ローラ61,62においては、含水物Wは、加圧ローラ61,62に押圧され、圧潰部60により含水物Wが圧潰されるので、含水物Wに含まれる堅いものを予め押しつぶして柔軟化させることができる。
柔らかくされた含水物Wは、各ローラ11,12の回転方向が互いに離間する側に排出され、二次原料供給部90Bのサブホッパ97内に落下していく。この場合、圧潰部60において、柔らかくされるので、圧搾部10に供給する含水物Wは圧縮されやすくなり、そのため、圧搾部10における水分の圧搾において、含水物Wを圧縮され易くして水分の圧搾を容易にすることができ、脱水効率を向上させることができる。
【0037】
次に、二次原料供給部90Bにおいて、サブホッパ97の排出口においては、スクリューコンベア99によりサブホッパ97内の含水物Wが圧搾部10の一方ローラ11及び他方ローラ12間に供給される。この場合、シャッタ98によりサブホッパ97の開口率が規定され、スクリューコンベア99も一定に作動するので、含水物Wは所定量が所定供給速度で供給される。
【0038】
圧搾部10の一方ローラ11及び他方ローラ12間においては、含水物Wは、他方ローラ12によりベルト30を介して一方ローラ11に押圧され、水分が圧搾される。水分が圧搾された含水物Wは、各ローラ11,12の回転方向が互いに離間する側に排出され、図示外のベルトコンベアなどにより外部に搬送されていく。
この圧搾の際には、一方ローラ11内には、吸引機23の吸引ノズル20があるので、ベルト30の隙間及び一方ローラ11の小孔14を通って圧搾された水分が吸引されて、吸引機23に吸引されて排出される。この場合、図6及び図7に示すように、吸引ノズル20の開口21の開口縁には、一方ローラ11の壁部13の内面に弾接するシール部材26が設けられているので、シール性が良く不要な空気を吸引することがなくなるので、含水物Wから確実に脱水を行なうことができ、そのため、脱水処理効率の向上が図られる。
【0039】
また、この場合、強制的に水分を吸引するので、水分が再度含水物Wに吸収される事態が防止され、そのため、確実に脱水を行なうことができ、脱水処理効率の向上が図られる。
更に、この場合、網状のエンドレスのベルト30を介して、一方ローラ11の小孔14から吸引しているので、小孔14を含水物Wが直接塞ぐことがないことから、吸引力が含水物Wの部分ではなく全体に及ぶことになり、そのため、吸引効率が向上させられ、この点でも確実に脱水が行なわれ、脱水処理効率の向上が図られる。
【0040】
更にまた、ベルト30を、ワイヤを編んで形成され、含水物Wが通過不能な網目を有したワイヤベルト30で構成しており、特に、ベルト30を、このベルト30のワイヤとして、その線径Dが、0.5mm≦D0.9mmのものを用いて形成するとともに、30〜40メッシュに形成しているので、押圧が確実に行なわれるとともに、含水物Wとしての木材チップにおいては、ほとんど目詰まりすることがなくなる。
仮に、エンドレスベルト30に極めて細かい含水物Wが入り込んでも、吸引機23の吸引ノズル20により強制的に吸引しているので、これらの細かい含水物Wも水分とともに吸引されることになり、そのため、目詰まりが確実に防止され、脱水能力の低下が防止されることから、この点でも確実に脱水が行なわれ、脱水処理効率の向上が図られる。
【0041】
そしてまた、押圧機構40が、押圧力を一定にし、回転駆動機構50が一方ローラ11及び他方ローラ12を一定の周速で回転させ、二次原料供給部90Bが所定量の含水物Wを所定供給速度で供給しているので、一方ローラ11と他方ローラ12間の含水物Wの厚さが、一定押圧応力の下で、ほぼ一定になる。そのため、含水物Wからムラなく均一に水分を吸引することができ、この点でも、確実に脱水が行なわれ、脱水処理効率の向上が図られる。
【0042】
より詳しくは、押圧機構40による他方ローラ12の押圧応力Pを、10MPa≦P≦50MPaに設定し、一方ローラ11及び他方ローラ12間の含水物Wの厚さtが5mm≦t≦40mm、吸引ノズル20の開口21における周方向の所定長さLを通過する正味吸水時間Sが、0.2sec≦S≦7secになるようにしているので、極めて、良好に水分が脱水される。即ち、厚さtが薄すぎると、空気の吸引量が増えて含水物Wからの吸引効率が悪くなり、一方、厚さtが厚くなると、ローラ間の中央を通る含水物Wからの水分の吸引が不十分になるが、上記の範囲に設定することで、極めて、良好に水分が脱水されるのである。
【0043】
このような含水物Wとしての木材チップにおいては、図8に示すように、原料に含まれている自由水が、圧縮により外に押し出され、結合水はそのまま残るものの、自由水は相当量脱水されていく。そのため、その後、例えば、乾燥機で更に乾燥処理する場合などの際に、乾燥機の負荷を軽減することかできるようになる。
【0044】
[実験例]
次に、実験例について示す。
実験例で用いた装置において、図9にも示すように、圧搾部10を以下のように構成した。
一方ローラ11の外径:335mm
小孔14:直径6mm×2064個
ベルト30:厚さ3mm,30メッシュ(小岩金網社製、3KCB3使用)
吸引ノズル20の開口21:60mm(L)×263mm
含水物Wとしての木材チップは、最大厚さが3mm〜10mm、最大幅Dが、D=10mm〜50mm程度、最大長さが10mm〜80mm程度に形成され、含水率が、約175W%のものを用いた。
【0045】
[実験例1]
原料供給速度を0.4m3/hとし、押圧機構40による押圧応力を10MPa,20MPa,30MPaの3段階に設定し、夫々の押圧応力において回転駆動機構50による一方ローラ11の回転数(ローラ外周速度)を変化させ、夫々の含水率を測定した。
【0046】
結果を図10に示す。この結果から、この条件での脱水性能は圧搾圧力(絞る力)と脱水ローラの外周速度に依存し、圧搾圧力:20〜30MPaでは脱水ローラの外周速度を遅くするほど圧縮脱水後の含水率は低くなる関係が得られた。
【0047】
[実験例2]
原料供給速度を0.4m3/hとし、押圧機構40による押圧応力を20MPaにし、一方ローラ11の回転数(ローラ外周速度)を変化させ、一方ローラ11及び他方ローラ12間の含水物Wの平均厚さt(以下「平均マット厚さt」という)の変化と、正味吸水時間の変化を測定した。ここで、正味吸水時間とは、単体の木材チップが吸引ノズル20の開口21の幅Lである60mmを通過する時間を言う。
【0048】
結果を図11に示す。この結果から、ローラ外周速度の低速化は、吸水開口部通過時間の延長=正味吸水時間の増加と圧縮時の平均チップマット厚さの増加に作用することが分かった。
【0049】
[実験例3]
原料供給速度を0.4m3/hとし、押圧機構40による押圧応力を10MPa,20MPa,30MPaの3段階に設定し、夫々の押圧応力において、正味吸水時間と脱水後の含水率との関係を測定した。
また、原料供給速度を0.4m3/hとし、押圧機構40による押圧応力を20MPaに設定し、ローラ外周速度の違いによる平均マット厚さと脱水後の含水率との関係を測定した。
【0050】
結果を図12に示す。一般に、正味吸水時間が短いと圧搾水の一部しか吸水されず、残余は再度チップに再吸収される。またマット厚さが薄いと吸水開口部全体が圧搾チップで覆われず空気を吸引する確率が高く吸水効率が低下することが考えられるが、図12の結果から、圧締圧力20MPa以上で吸水時間2秒以上(=外周速度1.2m/min以下)、チップマット平均厚さ15mm以上の条件で高い脱水性能が保証されることが明らかとなった。この場合、初期含水率175%のチップは含水率100%にまで脱水された。
【0051】
[実験例4]
原料供給速度を0.4m3/hとし、押圧機構40による押圧応力を20MPaに設定し、ローラ外周速度を1.2m/minに設定し、木材チップの含水率の異なるものにおいて、脱水後の含水率を測定した。
【0052】
結果を図13に示す。初期含水率と脱水後含水率との関係により、圧縮脱水による脱水効果は初期含水率70%以上の木質チップに対して有効で、初期含水率100〜200%の木材チップの脱水後含水率は初期含水率に比例して80〜115%まで低下することが分かった。
【0053】
[実験例5]
原料供給速度を0.4m3/hとし、本装置稼動時の消費電力経過を見た。結果を図14及び図15に示す。この結果から、木質チップ0.4m3を脱水処理するに要する消費電力量は、原料含水率あるいは脱水水分量に無関係に一定の3.2kWhである。ただし、原料を投入しない空稼働時と原料投入脱水時との消費電力量には差がなく、その全量は装置の駆動エネルギーに相当するため圧縮脱水に要する正味のエネルギーは事実上ゼロである。
【0054】
また、本装置による脱水と、従来から行なわれている熱乾燥による脱水とを比較した。比較結果を図16に示す。この結果から、熱乾燥での水分蒸発に要するエネルギーは蒸発水分量に比例して多くなるため、本装置で脱水された水分量と同量の水を熱乾燥で蒸発する場合のエネルギーを比較すると、圧縮脱水では原料含水率が高いほど省エネ効果が高くなり、原料含水率100%では熱乾燥に比較して約30%、同160%以上では10%以下と著しく省エネ性が高いことが分かった。
【0055】
[実験例6]
脱水チップと、未脱水チップとを、周知の熱乾燥機で乾燥し、乾燥速度を比較した。結果を図17に示す。この結果、予め圧縮脱水処理した木材チップは、未乾燥チップを最初から熱乾燥する場合に比べて、乾燥速度は1.5倍に増加し、含水率20%までの乾燥時間は約1/2に短縮できることが分かった。一般に、木材チップを材料利用する場合、含水率を20%程度まで下げる必要があり、熱乾燥処理が不可欠となるが、予め圧縮脱水処理した木材チップを用いることで、乾燥効率を向上させることができる。
【0056】
[実験例7]
高含水率の木材チップを、含水率20%までに乾燥するに要するエネルギーを比較した。結果を図18に示す。未乾燥チップを熱乾燥のみで含水率20%まで乾燥する場合に比べて、圧縮脱水後に熱乾燥して含水率20%まで下げる場合での所要エネルギーは40〜50%に留まることが分かった。材料利用分野での乾燥工程においても省エネと乾燥時間の短縮に繋がる。
【0057】
[実験例8]
脱水した木材チップと、未処理の木材チップとを、水中に浸漬し、吸水率を比較した。結果を図19に示す。この結果から、圧縮によるチップ内亀裂の発生は、薬液浸透量を未処理チップの約2倍に高めることが分かった。そのため、製紙工業におけるパルプ化工程での反応速度の促進と均質化反応を助長する効果を有する。また、チップ内部まで浸透する脱水処理後の木質チップ含水率は80〜115%に留まるが、燃料としては十分な燃焼性を有する水分状態にある。また圧縮脱水による重量減少と容積減少(20%減)とが関係して、チップの輸送効率は未処理チップより約25%アップし、過積載問題の緩和効果を持つ。
【0058】
尚、上記実施の形態において、含水物Wとして木材チップに本願発明を適用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、どのような含水物Wに適用しても良いことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
既存技術(方法、装置、材料など)と比較して、本発明の改良点や利点(技術的優位性)をまとめると以下のようになる。
1)脱水機構
木材を圧縮して液状水分を絞り出す方法は、単板や薄板材に対して一部実用化されている。しかし、粉砕物を対象とした同種の実用脱水装置は固液分離の困難さを克服できずこれまで確立された装置はなかったが、今回、木質粉砕物を対象とした原料搬送と調和のとれた独自の固液分離システムを提供できた。
2)乾燥度(到達限界含水率)の限界
既存の木質粉砕物の熱乾燥装置(ロータリードライヤー)での到達限界含水率は、10%以下まで任意に調節できるのに対して、本圧縮脱水装置では70%、通常の木質チップでは100%前後に留まる。しかし、木質バイオマス利用の主流である燃料利用においてはこの程度で十分な燃焼性能を発揮する。
3)高度な省エネ性
圧縮脱水装置での搾出水と同量の水を熱乾燥装置で蒸発する場合に比べて、所要エネルギーは10〜30%以下と格段に低く、処理時間も短い。また未乾燥チップをそのまま含水率20%まで熱乾燥する場合に比べて、脱水処理後に熱乾燥を併用した場合の所要エネルギーは50%以下となる。いずれにおいても木質バイオマスの乾燥工程における高い省エネ性が確保できる。
4)圧縮脱水処理によるチップの変身
圧縮処理チップは圧縮と脱水の経歴をもち、それらが関連して輸送効率の向上、熱乾燥の際の乾燥速度の増加および乾燥時間の短縮、さらにはパルプ化工程での薬剤の均質浸透性の増加と言った効果が付与される。これらについては既往の熱乾燥のみでは期待できない特性である。
5)小スペース設置が可能
既存の熱乾燥装置(ロータリードライヤ)は通常φ60〜80cm、長さ6〜10mのドラムで構成され長大であるのに対して、本脱水装置は小型で狭いスペースに設置でき、燃料利用に際してはチップボイラーなどに直結できる。
【0060】
次に、本発明は以下のような利用形態(商業形態、製品イメージ)およびその応用形態などが考えられる。
1)高含水率木質バイオマスの省エネ含水率調整
固形燃料化(各種事業所暖房、厨房給湯、農業用ハウス暖房など)、液体燃料化(バイオエタノールなど)、農業用培地製造などに利用できる。
2)高含水率木質バイオマスの低コスト乾燥
建築用ボード製造、土木資材用ボード製造、緑化資材用ボード製造などに利用できる。
3)木質バイオマスの搬送効率向上
チップ工場、製材工場、製紙工場(海外からの船輸送)、山林業者においては有用になる。
4)薬剤処理の効率化
製紙工場、木質改善用注入処理等において極めて有用になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置を示す右側面断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置を示す正面拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置を示す図4中左側から見た拡大断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置において、一方ローラ及び吸引ノズルの組付け状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置において、一方ローラ,吸引ノズル及びベルトの組付け状態を示す断面斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る含水物の脱水装置において、含水物としての木材チップの圧縮脱水メカニズムを示す図である。
【図9】本発明の実験例に係り、脱水装置の具体的寸法を示す図である。
【図10】本発明の実験例に係り、ローラ外周速度と脱水後含水率との関係を示すグラフ図である。
【図11】本発明の実験例に係り、ローラ外周速度と正味吸水時間及びマット厚との関係を示すグラフ図である。
【図12】本発明の実験例に係り、脱水後含水率に及ぼす正味吸水時間と平均マット厚さの影響を示すグラフ図である。
【図13】本発明の実験例に係り、初期含水率と脱水後含水率との関係を示すグラフ図である。
【図14】本発明の実験例に係り、装置稼働時の消費電力経過を示すグラフ図である。
【図15】本発明の実験例に係り、圧縮脱水稼働時の消費エネルギーを示す表図である。
【図16】本発明の実験例に係り、脱水チップと未脱水チップの乾燥速度を比較した表図である。
【図17】本発明の実験例に係り、脱水チップと未脱水チップの乾燥速度を比較したグラフ図である。
【図18】高含水率チップを含水率20%まで乾燥するに要するエネルギーを比較したグラフ図である。
【図19】脱水処理チップの浸透性改善効果を示す図である。
【図20】従来の脱水装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
W 含水物
1 機台
10 圧搾部
P1,P2 回転軸
11 一方ローラ
12 他方ローラ
14 小孔
20 吸引ノズル
21 開口
23 吸引機
26 シール部材
30 ベルト
31 回転ローラ
40 押圧機構
43 回動部材
44 油圧シリンダ装置
50 回転駆動機構
60 圧潰部
P3,P4 回転軸
61,62 加圧ローラ
70 押圧機構
73 可動部材
75 油圧シリンダ装置
80 回転駆動機構
90 原料供給部
90A 一次原料供給部
90B 二次原料供給部
91 貯留槽
93 ホッパ
94 シャッタ
95 スクリューコンベア
97 サブホッパ
98 シャッタ
99 スクリューコンベア
【出願人】 【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
【識別番号】506268500
【氏名又は名称】衣川フォーレスト株式会社
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100093148
【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作


【公開番号】 特開2008−36666(P2008−36666A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−212786(P2006−212786)