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【発明の名称】 ハンドプレス
【発明者】 【氏名】岩瀬 孝利

【要約】 【課題】流体圧シリンダを用いるハンドプレスにおいて、流体圧シリンダを作動させる切替弁を駆動する人力操作レバーの動きとスライドの動きをスムースに対応させること。

【構成】ハンドプレスが、流体圧シリンダ20用のスプール弁50を開閉するレバー40の回転を規制するレバー回転規制手段90を更に具備し、レバー回転規制手段90が、レバー回転軸65に結合された基端部と先端側の接触部95を有する規制アーム94と、規制アーム94の接触部95と係合するようにスライド30に固定された規制部材91であって、規制アーム94が回転したとき、接触部95から受けた回転力を支持できるように形成された規制部材91と、レバー40が一方向に回転されたとき、接触部95から力を受けて弾性変形するように規制部材91に配設された弾性部材93とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー回転軸(65)を中心にして人力によって回転されるレバー(40)と、
流体の圧力を利用する複動式の流体圧シリンダ(20)であって、ピストン(23)によって区分される第1作動室(21)及び第2作動室(22)を有する流体圧シリンダ(20)と、
前記ピストン(23)に連結された基端部と加工物に圧力を加える先端部とを有するスライド(30)であって、前記第1作動室(21)が加圧されたとき加工物に圧力を加える方向に直線運動をし、前記第2作動室(22)が加圧されたとき加工物への圧力を解除する方向に直線運動をするスライド(30)と、
中立位置、及び前記第1作動室(21)へ前記流体を供給する第1切替位置、及び前記第2作動室(22)へ前記流体を供給する第2切替位置に移動して前記流体の流路を切り替えるスプール(53)を有するスプール弁(50)と、
前記レバー(40)の回転力によって前記スプール(53)を移動させるように構成された第1スプール駆動機構(60)であって、前記レバー(40)を一方向及び該一方向とは反対側の他方向に回転させたとき前記スプール(53)を前記第1切替位置及び前記第2切替位置へそれぞれ移動させる第1スプール駆動機構(60)と、
前記スライド(30)の直線運動を動力として前記スプール(53)を移動させるように構成された第2スプール駆動機構(70)であって、前記第1スプール駆動機構(60)によって第1切替位置又は第2切替位置へ移動したスプール(53)を前記中立位置へ戻す第2スプール駆動機構(70)と、を具備するハンドプレスにおいて、
該ハンドプレスが、前記レバー(40)の回転を規制するレバー回転規制手段(90)を更に具備し、該レバー回転規制手段(90)が、
前記レバー(40)と共に回転するように前記レバー回転軸(65)に結合された基端部と先端側の接触部(95)を有する規制アーム(94)と、
前記規制アーム(94)の接触部(95)と係合するように前記スライド(30)に固定された規制部材(91)であって、前記規制アーム(94)が回転したとき、前記接触部(95)から受けた回転力を支持できるように形成された規制部材(91)と、
前記レバー(40)が前記一方向に回転されたとき、前記接触部(95)から力を受けて弾性変形するように前記規制部材(91)に配設された弾性部材(93)と、を具備することを特徴とするハンドプレス。
【請求項2】
前記流体圧シリンダ(20)が発生する推力(F1)の変化を作業者が前記レバー(40)をとおして感知するための補助シリンダ(110)を更に具備する、請求項1に記載のハンドプレスであって、
前記補助シリンダ(110)が、前記流体圧シリンダ(20)の第1作動室(21)に連通する補助作動室(112)と、該補助作動室(112)内の流体の圧力を受けて移動する補助ピストン(113)と、該補助ピストン(113)の推力(F2)を前記レバー回転軸(65)に伝える伝動手段(114)とを具備し、
前記補助作動室(112)の流体の圧力が上昇したとき、前記伝動手段(114)が前記レバー回転軸(65)を前記他方向に回転するように構成されていることを特徴とする、ハンドプレス。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、人力によりレバーを回転操作して、例えば油圧シリンダ等の流体圧シリンダが発生する推力を加工物に加えるハンドプレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧シリンダを用いるハンドプレスの例として特許文献1に示されたものが知られている。特許文献1のハンドプレスは、卓上型の比較的小型のハンドプレスであるが、比較的大きなプレス加工力を油圧シリンダによって得ることができ、操作は人力によって回転されるレバー(ハンドル)により簡単になされるものである。このハンドプレスでは、油圧シリンダ用作動油の流体回路を切り替えるスプール弁(バルブ軸、バルブハウジング)が設けられていて、レバーを下方に回転させると、スプール弁がその中立位置からスライドして油圧シリンダの上側の作動室に流体を供給するように流路を切り替えて油圧シリンダのピストンに連結されたスライド(ラック)を下降させ、次いで下降したスライドの直線運動を動力として、移動したスプールが中立位置に戻されてスライドの下降運動が停止するというように構成されている。
【0003】
このハンドプレスの場合、レバーの動きとスライドの動きがスムースに対応しないことが課題としてあった。特に作業者がレバーを速く回転させた場合にはレバーの動きとスライドの動きの不一致が顕著になること、或いはスライドが間歇的に作動することがあり、操作上の違和感を作業者に与えスムースな作業を阻害した。またレバーはスプール弁を操作するためのものであるため、レバーには加工物からの反力が伝達されない。このため作業者にとってはプレス加工の進行を目視以外で把握することが難しく、例えば異常な加工反力が生じていても作業者がそれを感知できずに品質上あるいは安全上の問題を見逃す恐れがあった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−337897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述した従来技術の課題に鑑みてなされたもので、流体圧シリンダを用いるハンドプレスにおいて、流体圧シリンダを作動させる切替弁を駆動する人力操作レバーの動きとスライドの動きをスムースに対応させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載された発明は、レバー回転軸(65)を中心にして人力によって回転されるレバー(40)と、流体の圧力を利用する複動式の流体圧シリンダ(20)であって、ピストン(23)によって区分される第1作動室(21)及び第2作動室(22)を有する流体圧シリンダ(20)と、ピストン(23)に連結された基端部と加工物に圧力を加える先端部とを有するスライド(30)であって、第1作動室(21)が加圧されたとき加工物に圧力を加える方向に直線運動をし、第2作動室(22)が加圧されたとき加工物への圧力を解除する方向に直線運動をするスライド(30)と、中立位置、及び第1作動室(21)へ流体を供給する第1切替位置、及び第2作動室(22)へ流体を供給する第2切替位置に移動して流体の流路を切り替えるスプール(53)を有するスプール弁(50)と、レバー(40)の回転力によってスプール(53)を移動させるように構成された第1スプール駆動機構(60)であって、レバー(40)を一方向及び該一方向とは反対側の他方向に回転させたときスプール(53)を第1切替位置及び第2切替位置へそれぞれ移動させる第1スプール駆動機構(60)と、スライド(30)の直線運動を動力としてスプール(53)を移動させるように構成された第2スプール駆動機構(70)であって、第1スプール駆動機構(60)によって第1切替位置又は第2切替位置へ移動したスプール(53)を中立位置へ戻す第2スプール駆動機構(70)と、を具備するハンドプレスにおいて、該ハンドプレスが、前記レバー(40)の回転を規制するレバー回転規制手段(90)を更に具備し、該レバー回転規制手段(90)が、レバー(40)と共に回転するようにレバー回転軸(65)に結合された基端部と先端側の接触部(95)を有する規制アーム(94)と、規制アーム(94)の接触部(95)と係合するようにスライド(30)に固定された規制部材(91)であって、規制アーム(94)が回転したとき、接触部(95)から受けた回転力を支持できるように形成された規制部材(91)と、レバー(40)が一方向に回転されたとき、接触部(95)から力を受けて弾性変形するように規制部材(91)に配設された弾性部材(93)と、を具備することを特徴としている。
【0008】
これにより、作業者はレバー回転規制手段の弾性部材からの反発力を感知することができるのでレバーの回転速度をスライドの下降速度に合わせることが容易になり、その結果レバーの動きとスライドの動きは一致し操作上の違和感を作業者が感じることがなくなる。また、異常によりスライドが停止した場合に、作業者はレバーから回転反力の増大という形でスライドが停止したことを感知することができる。
【0009】
請求項2に記載された発明では、請求項1に記載のハンドプレスが、流体圧シリンダ(20)が発生する推力(F1)の変化を作業者がレバー(40)をとおして感知するための補助シリンダ(110)を更に具備し、補助シリンダ(110)が、流体圧シリンダ(20)の第1作動室(21)に連通する補助作動室(112)と、該補助作動室(112)内の流体の圧力を受けて移動する補助ピストン(113)と、該補助ピストン(113)の推力(F2)をレバー回転軸(65)に伝える伝動手段(114)とを具備し、補助作動室(112)の流体の圧力が上昇したとき、伝動手段(114)がレバー回転軸(65)を他方向に回転するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
これにより、作業者は、加工反力を補助シリンダ及びレバーを介して感知することができるようになり、異常な大きさの加工反力が生じた場合にも作業者がこれを感知することができるようになり、その結果品質上又は安全上の問題を見逃すことが防止される。
【0011】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に添付の各図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。図1は本発明の実施例のハンドプレス1の外観を示した斜視図である。このハンドプレス1は、主要構成要素として、略C字形のフレーム10、油圧シリンダ20、円柱状のスライド30、操作レバー40、スプール弁50、第1スプール駆動機構60、第2スプール駆動機構(図示せず)、加工物支持台80を具備している。
【0013】
図2は、ハンドプレスの上部側面断面図で、図1のα−α側面断面図であるが、スライド30は、図2に示されるように、2ヶ所の軸受け33及び34によってフレーム10に支持され、スライドの上端部(不図示)は油圧シリンダ20のピストン(図示せず)に螺着等の方法により結合されてピストンから力を伝達され、その下端部31で加工物を押圧する。また、後述する第2スプール駆動機構の略T字形のピニオン71と噛み合うようにスライド30の縦軸線Asに沿ってラック32が形成されている。
【0014】
複動式の油圧シリンダ20は、スライド30を油圧によって駆動するためにフレーム10の上部に支持されている。図3は、油圧シリンダ20、スプール弁50、並びに後述する第1スプール駆動機構60及び第2スプール駆動機構70の関係を模式的に示す斜視図であるが、この図3で示されるように、油圧シリンダ20の内部にはピストン23が摺動自在に挿入されていて、そのピストン23の上側に第1作動室21、及び下側に第2作動室22が形成されている。ピストン23は、前述したとおりスライド30の上端部に螺着等の方法によって結合されている。
【0015】
フレーム10の正面から見て右側に、作業者の右手で操作される前述のレバー40が配置されている。レバー40は、ほぼ水平に延在するレバー回転軸65を中心にして回転することが可能であり、本実施例では加工時に約60度回転する。なお、レバー40はリセット状態では水平線に対して約45度斜め上方を向いて配置される。
【0016】
前記スプール弁50は、その縦軸線Avがフレーム10の上部のレバー回転軸65とほぼ平行に配置されている。図4は、第1及び第2スプール駆動機構の一部を含んだスプール弁50の縦断面図であるが、スプール弁50は、図4に示すように、その縦軸線Avに沿って内部に円筒状のガイド穴51が形成された弁ハウジング52と、前記ガイド穴51に嵌合して滑動するスプール53とから構成され、弁ハウジング52がフレーム10に固定されている。弁ハウジング52のガイド穴51の周壁面には5つのポートが形成されている。縦軸線Av方向において両端側の二つはいずれも作動油のタンク(不図示)に通じるドレンポートTである。中央に近い二つのうちで右側のポートAは、図3に示すように、配管54によって油圧シリンダ20内の上部の第1作動室21に通じている。また、中央に近い左側のポートBは配管55によって油圧シリンダ20内の下部の第2作動室22に通じている。
【0017】
更に、弁ハウジング52の内面における縦軸線Av方向の中央部分には一つの高圧ポートPが形成されている。通常の油圧システムの場合と同様に、高圧ポートPは油圧調整弁(不図示)を介して油圧ポンプ(不図示)に接続されており、油圧ポンプはタンクから吸い上げた作動油を加圧して、配管と高圧ポートPを介して弁ハウジング52内へ供給する。油圧調整弁は高圧ポートPの油圧を常に一定値に維持し、過剰な作動油をタンクへ戻す。
【0018】
円柱形のスプール53には縦軸線Avに沿って三本の環状溝L,M,Rが形成されていて、スプール53を移動することにより弁ハウジング52のポートA,BとP、Tが連通される。図3はスプール53が中立位置にある状態を示しており、この中立位置では、弁ハウジング52のポートA及びBはポートP,Tのいずれとも連通していない。スプール53が縦軸線Av方向右側の第1切替位置へ移動すると、高圧ポートPが環状溝Mを介して弁ハウジング52のポートAに連通し、配管54をとおって油圧シリンダ20の上部の第1作動室21へ高圧の作動油が送られる。それと反対にスプール53が縦軸線Av方向左側の第2切替位置へ移動すると、高圧ポートPが環状溝Mを介して弁ハウジング52のポートBに連通して、配管55をとおって油圧シリンダ20の下部の第2作動室22へ高圧の作動油が送られる。このようにして第1作動室21及び第2作動室22のいずれか一方が高圧となるときには、他方の作動室にあった作動油が、スプール53の環状溝L及びRのいずれか一方とそのときのその環状溝に連通する左右いずれかのドレンポートTを通ってタンクへ放出される。
【0019】
次に、スプール弁50のスプール53を移動させる機構について図3及び図4を参照して説明する。スプール弁50は作業者によって操作されるレバー40の回転運動に基づいて第1切替位置又は第2切替位置へ移動され、第1又は第2切替位置へ移動されたスプール53をスライド30の直線運動を動力として中立位置に戻すように構成されている。レバー40の回転力をスプール53の直線運動に変換する機構を本実施例では第1スプール駆動機構と呼び、またスライド30の直線運動からスプール53を移動させる機構を第2スプール駆動機構と呼ぶ。
【0020】
第1スプール駆動機構60は、スプール53の軸心上にそれぞれ配置された、スプール53の左端に結合されたスクリュウ軸61、前記スクリュウ軸61に螺合するリングナット62、前記リングナット62の左端に結合された第1プーリシャフト63、及び前記第1プーリシャフト63に固定された歯付きプーリである第1小径プーリ64を具備し、更にレバーに固定されたレバー回転軸65と、該レバー回転軸65に固定された歯付きプーリである第1大径プーリ66、及び第1大径プーリ66と前記第1小径プーリ64の間で回転力を伝える歯付きベルトである第1ベルト67を具備している。第1プーリシャフト63は、図示しない軸受け手段によって軸心方向の移動を阻止されるようにフレーム10に支持されている。したがって、リングナット62は、第1プーリシャフト63と共に回転するが、軸心方向には移動しない。またスプール53はその右端部にスプライン軸部53aを有しており、このスプライン軸部53aが後述する第2スプール駆動機構70の第2プーリシャフト74に形成されたスプライン穴74aに係合している。
【0021】
このように構成されているので、レバー40の回転は、第1大径プーリ66から第1小径プーリ64へ伝えられ更に第1プーリシャフト63からリングナット62へ伝えられる。リングナット62は前述のとおり軸線方向には移動しないように支持され、スプール53の右端部がスプラインで回転阻止されるので、リングナット62が回転するとスクリュウ軸61が軸心方向に移動し、したがってスクリュウ軸61に結合されているスプール53も軸心方向に移動する。ただし、第2プーリがリングナット62と同一方向に例えば同一速度で回転している場合には、スプール53は軸心方向には移動しない。
【0022】
リングナット62及びスクリュウ軸61に形成されたねじ山は本実施例では右ねじであるので、レバー40を方向Dで示される下方へ回転させると、スプール53は右方へスライドして第1切替位置へ移動する。また、レバー40の回転角度に対するスプール53の移動量は、各プーリの間の歯数比、及びリングナット62とスクリュウ軸61に形成されたねじ山のピッチを適宜選択することにより所望の値を得ることができる。
【0023】
次に第2スプール駆動機構70について説明する。第2スプール駆動機構70は、スライド30に形成されたラック32に噛み合うピニオン71、前記ピニオン71の回転軸であってスプール弁の縦軸線Avに平行に延在するピニオン回転軸72、前記ピニオン回転軸72に固定された歯付きプーリである第2大径プーリ73、スプール53の前記スプライン軸部53aに係合するスプライン穴74aが形成された第2プーリシャフト74、前記第2プーリシャフト74に固定された歯付きプーリである第2小径プーリ75、及び前記第2大径プーリ73から第2小径プーリ75へ回転力を伝える歯付きベルトである第2ベルト76から構成されている。また、ピニオン回転軸72及び第2プーリシャフト74は、それぞれ図示しない軸受け手段を介してフレーム10により支持されている。
【0024】
第2スプール駆動機構70はこのように構成されているので、レバー40の操作によってスプール53が第1位置に移動してスライド30が下降したとき、スライド30の下方への直線運動がピニオン71の回転運動に変換され、ピニオン71の回転が第2大径プーリ73から第2小径プーリ75を経て第2プーリシャフト74へ伝達される。スプール53は、その右端部が第2プーリシャフト74とスプラインで係合し、その左端部が右ねじの形成されたスクリュウ軸61に結合され、スクリュウ軸61がリングナット62に螺合しているので、第2プーリシャフト74が図4の矢印W方向に回転すると、スプール53は、スプラインの効果、すなわち回転力の伝達が可能であるが軸心方向の滑動を許容する効果により、前記W方向で回転しながら、スプール左端側のスクリュウ軸61のねじの作用で左方へ引き寄せられ、その結果スプール53が第1切替位置から中立位置に戻されてスライド30の下方への移動が停止する。
【0025】
本発明のハンドプレス1は、レバー40の回転を規制するレバー回転規制手段90を更に具備する。レバー回転規制手段90は、図2及び図5に示されるように、スライド30の上部に結合された規制部材91と、この規制部材91が形成する凹部92に配設された弾性部材93と、レバー回転軸65に連結された規制アーム94及びこの規制アーム94の先端に取り付けられた接触部95とを具備している。なお、図5は、レバー回転規制手段90の詳細を示す図であり、わかり易くするために、規制アーム94の先端付近の一部が作図上削除され、また規制部材91の下部が部分断面図にされている。規制部材91は、上下に離間してほぼ水平に対向する基端壁部材96と先端壁部材97、及びスライド30の軸心に沿ってほぼ鉛直に延在する一つの側面部材98がそれぞれ端部で結合された溝形材のような形状を有し、その結果基端壁部材96と先端壁部材97との間に前記凹部92が形成される。
【0026】
規制部材91の先端壁部材97の内側には、前記弾性部材93が取り付けられている。弾性部材93は、有底円筒形を呈していて開口側の端部に鍔部99が形成された円筒部材100と、該円筒部材100の内部に収容される圧縮コイルばね101とから構成され、また先端壁部材97には、円筒部材100の鍔部99を案内するガイド穴102が外側から形成され、円筒部材100の鍔部99以外を貫通させる貫通穴103がガイド穴102の先端から先端壁部材97を貫通して形成されている。円筒部材100と圧縮コイルばね101を先端壁部材97の外側からガイド穴102及び貫通穴103に挿入した後、先端壁部材97のガイド穴102が蓋104によって塞がれる。この結果、円筒部材100はスライドの縦軸線Asに平行に摺動自在となり、円筒部材100の先端に下向きの力が加わると圧縮コイルばね101が圧縮されて円筒部材100が下方へ移動することとなる。
【0027】
前記規制アーム94は、規制部材91が配置されるフレーム10の中央付近でレバー回転軸65に固定的に結合されている。したがって規制アーム94は、レバー40がレバー回転軸65を中心にしてある角度で回転されるとその角度と同一の角度で回転する。また規制アーム94の先端部に備えられた接触部95は、円柱形をしており、この円柱の縦軸線がレバー回転軸65と平行になる方向で規制アーム94の先端部に螺合等により固定されている。
【0028】
レバー回転規制手段90はこのように構成されているので、規制部材91は規制アーム94の接触部95から回転力を受けた場合これを支持し、接触部に反力を作用させることができる。なお、この実施例では、規制部材91に凹部が形成されていたが、これとは逆に規制アームの先端に凹部を形成し、規制部材をこの凹部に係合する形状に形成してもよい。
【0029】
以上のように構成されたハンドプレス1がどのように作動するかを以下に説明する。加工物支持台80に取り付けられる加工物に圧力を加えるプレス加工を行う場合、作業者がレバー40のグリップを手で掴んでD方向に引き下げることによりレバー40を回転させると、比較的小さな回転角度で、レバー40と一体に回転する規制アーム94の接触部95がスライド側に固定された規制部材91の凹部92に配設された弾性部材93の円筒部材100を押圧するので、作業者は押圧された圧縮コイルばね101からの反発力を受ける。一方、前記比較的小さな回転角度でレバー40が回転すると、第1スプール駆動機構60の働きによってスプール53が中立位置から第1切替位置に移動して油圧シリンダ20の第1作動室21に高圧の作動油が送られてピストン23及びピストンに連結されたスライド30が下降する。スライド30が下降すると、第2スプール駆動機構70の働きによってスプール53が第1切替位置から中立位置へ戻されて油圧シリンダ20の第1作動室21への作動油の供給が停止してスライド30の下降が停止するが、同時に規制部材91の位置もスライド30とともに下降して、作業者はレバー40をさらに下方へ回転させることが可能になるのでこれを回転させるとスライド30が下降する。これが繰り返されてスライド30をプレス加工に必要な所定のストロークだけ下降させることができる。なお、作業者がレバー40をU方向へ引き上げたときには、図3及び4で示される矢印の方向が全て逆に向き、第1スプール駆動機構60によりスプール53が第2切替位置に移動してスライド30が上昇し、第2スプール駆動機構70が第2切替位置に移動したスプール53を中立位置に戻すというように、前述の下降の場合と逆に作動する。
【0030】
前述の説明ではスライド30の下降運動及び作業者によるレバー40の操作は、間歇的であるように記されているが、作業者が弾性部材93からの反発力を感知することができるのでレバー40の回転速度をスライド30の下降速度に合わせることは容易であり、その結果、実際にはスライド30の下降運動を連続的でスムースな運動とすることが可能である。さらに、異常によりスライド30が停止した場合に、作業者は目だけでなくレバー40からも反力の増大という形で情報を得ることができるので、異常の感知の遅れを防ぐことができる。
【0031】
次に、本発明のハンドプレスの第2の実施例について図6を参照して説明する。図6は、この実施例のハンドプレスの油圧シリンダ、スプール弁、並びに第1及び第2スプール駆動機構の関係を示す、図3と同様の模式的な斜視図であるが、図3と異なる点は、参照符号110で示される補助シリンダ等が追加されていることである。補助シリンダ110は、油圧シリンダ20が発生する推力F1の変化を作業者が感知するために設けられたものであって、油圧シリンダ20の第1作動室21に配管111で連通する補助作動室112と、該補助作動室112内の作動油の圧力を受けて移動する補助ピストン113と、該補助ピストン113の推力F2を前記レバー回転軸65に伝える伝動手段114とを具備している。
【0032】
補助作動室112内の圧力は油圧シリンダ20の第1作動室21内の圧力とほぼ同一となるので、補助ピストン113の面積を油圧シリンダ20のピストン23の面積の例えば1/100に設定した場合、補助ピストン113の発生する推力F2は油圧シリンダ20のピストン23の発生する推力F1の約1/100の大きさとなる。勿論、摩擦及び第2作動室22の作動油の影響から前記1/100という値は概算値であるが、本発明のハンドプレス2においては油圧シリンダ20の推力F1に比例して変化する補助シリンダ110の推力F2が得られることが重要である。
【0033】
前記伝動手段114は、レバー回転軸65に結合され先端に長円形の穴115が形成された補助アーム部材116と、補助ピストン113に結合された補助ピストンロッド117とを具備しており、前記補助ピストンロッド117はその先端にピン118を有しており、前記ピン118はその縦軸線がロッドの縦軸線に直交するように補助ピストンロッド117に取り付けられて前記補助アーム部材116の長円形の穴115に挿入されている。また、補助アーム部材116のリセット位置における軸線の方向は、水平線から約30度上方に傾斜している。
【0034】
補助シリンダ110及び伝動手段114は前述のように構成されているので、補助ピストン113の推力F2が補助アーム部材116の先端に作用する。また、レバー40の回転に伴って、補助アーム部材116の角度が変化し、補助ピストンロッド117の先端のピン118とレバー回転軸65の中心との間の距離もわずかではあるが変化するが、本実施例の伝動手段の場合、同一の推力F2によって補助アーム部材116に発生するトルクは前記距離の変化にかかわらずほぼ一定であることは、詳細に説明することなく了解されるはずである。また、補助アーム部材116の前記距離をレバー回転軸65の中心からレバー40の先端までの長さの例えば1/5に設定すると、レバー40をD方向に押し下げる作業者の手には、油圧シリンダ20の発生する推力F1の概ね1/500のU方向の反力が作用する。
【0035】
したがって、作業者がレバー40を引き下げてプレス加工を開始し、スライド30が下降して加工物に接して加工反力を受けると、油圧ピストン23の推力F1が増大し、それに比例して補助ピストン113の推力F2が増大し、その結果作業者が握るレバー先端における反力が増大して作業者は加工反力を感知することができる。また標準的な範囲から外れた大きさの加工反力が生じた場合にも作業者はこれを感知できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例のハンドプレスの外観斜視図である。
【図2】図1のα−α側面断面図である。
【図3】前記ハンドプレスの油圧シリンダ、スプール弁、並びに第1及び第2スプール駆動機構の関係を示す模式的な斜視図である。
【図4】第1及び第2スプール駆動機構の一部を含んだスプール弁50の縦断面図である。
【図5】前記ハンドプレスのレバー回転規制手段の規制部材、弾性手段、及び接触部材を示す正面図である。
【図6】本発明の第2の実施例のハンドプレスの油圧シリンダ、補助シリンダ、スプール弁、並びに第1及び第2スプール駆動機構の関係を示す模式的な斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
30 スライド
40 レバー
65 レバー回転軸
90 レバー回転規制手段
91 規制部材
92 凹部
93 弾性部材
94 規制アーム
95 接触部
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年7月31日(2006.7.31)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一

【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎

【識別番号】100110489
【弁理士】
【氏名又は名称】篠崎 正海


【公開番号】 特開2008−30107(P2008−30107A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−208639(P2006−208639)