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プレス機械の金型交換方法及びプレス機械 - 特開2008−23578 | j-tokkyo
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【発明の名称】 プレス機械の金型交換方法及びプレス機械
【発明者】 【氏名】新妻 素直

【要約】 【課題】金型交換に要する時間を大幅に短縮することができるプレス機械の金型交換方法を提供する。

【構成】サーボモータを制御することにより任意の位置にスライドを位置決め可能なプレス機械(サーボ駆動式プレス機械)において、金型交換に必要な範囲内でスライドを動かすことにより、スライドの移動に要する時間を短縮する。また、スライド調整機構を動作せず、サーボモータを制御してスライドを位置決め制御し、スライドを金型交換に適した高さに移動することにより、スライド調整機構の動作を省略し、金型交換作業を迅速化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス駆動源であるサーボモータの回転運動を動力伝達機構を介してスライドの昇降運動として伝達し、前記サーボモータを制御することによりスライド移動範囲内で任意の位置にスライドを位置決め可能なプレス機械の金型交換方法であって、
上金型が下金型の上に載る位置に前記スライドを移動するステップと、前記スライドから上金型を解放するステップと、前記スライドを上死点に達しない所定の位置まで上昇させて待機させるステップと、前記プレス機械から上下の金型を取り出して、別の上下の金型を前記プレス機械に搬入するステップと、上金型をスライドに固定するための位置に前記スライドを下降させるステップと、前記スライドに上金型を固定するステップと、プレス加工の開始が可能な位置まで前記スライドを上昇させるステップと、を含むことを特徴とするプレス機械の金型交換方法。
【請求項2】
前記プレス機械はダイハイトを調整するスライド調整機構を有するものであり、
該スライド調整機構を動作させ、スライド調整機構の高さを、元の金型によりプレス加工するための調整高さから、次の金型によりプレス加工するための調整高さに変更するステップを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のプレス機械の金型交換方法。
【請求項3】
前記スライド調整機構の高さを変更するステップを、前記プレス機械から上下の金型を取り出して別の上下の金型を前記プレス機械に搬入するステップと並行して行なう、ことを特徴とする請求項2に記載のプレス機械の金型交換方法。
【請求項4】
前記プレス機械の動力伝達機構は、前記サーボモータの一方向の回転に対して前記スライドが昇降を繰り返す機構であって前記スライドの下降時と上昇時の移動量が前記サーボモータの回転角に対して非対称となるものであり、
前記各ステップのうち前記スライドの移動を含むものにおいて、前記サーボモータの回転角に対して移動量が大きい側の区間を利用して前記スライドを昇降させる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス機械の金型交換方法。
【請求項5】
プレス駆動源であるサーボモータと、下面に上金型が取り付けられ昇降運動するスライドと、上金型を前記スライドの下面に解放可能に固定するダイクランパと、前記サーボモータの回転運動を前記スライドの昇降運動に変換する動力伝達機構と、少なくとも前記サーボモータ及び前記ダイクランパを制御する制御部とを備え、該制御部が前記サーボモータを制御することによりスライド移動範囲内で任意の位置にスライドを位置決め可能なプレス機械であって、
前記制御部は、金型交換時に、上金型が下金型の上に載る位置に前記スライドを移動させ、次いで前記スライドから上金型を解放し、次いで前記スライドを上死点に達しない所定の位置まで上昇させて待機させるように前記サーボモータ及び前記ダイクランパを制御し、前記プレス機械から上下の金型が取り出され、別の上下の金型が前記プレス機械に搬入された後に、上金型をスライドに固定するための位置に前記スライドを下降させ、次いで前記スライドに上金型を固定し、次いでプレス加工の開始が可能な位置まで前記スライドを上昇させるように前記サーボモータと前記ダイクランパを制御する、ことを特徴とするプレス機械。
【請求項6】
更に、ダイハイトを調整するスライド調整機構を備え、
前記制御部は、前記金型交換時に、前記スライド調整機構の高さを、元の金型によりプレス加工するための調整高さから、次の金型によりプレス加工するための調整高さに変更するように前記スライド調整機構を制御する、ことを特徴とする請求項5に記載のプレス機械。
【請求項7】
前記制御部は、前記金型交換時における前記スライド調整機構の高さを変更するための制御を、前記プレス機械から上下の金型が取り出されて別の上下の金型が前記プレス機械に搬入される作業と並行して行なう、ことを特徴とする請求項6に記載のプレス機械。
【請求項8】
前記動力伝達機構は、前記サーボモータの一方向の回転に対して前記スライドが昇降を繰り返す機構であって前記スライドの下降時と上昇時の移動量が前記サーボモータの回転角に対して非対称となるものであり、
前記制御部は、金型交換時のスライドの移動時に、前記サーボモータの回転角に対して移動量が大きい側の区間を利用して前記スライドを昇降させるように前記サーボモータを制御する、ことを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のプレス機械。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機械の金型交換方法及びプレス機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレス機械は圧力の発生機構により分類されており、液圧を使用する「液圧プレス」と、機械的な駆動力による「機械プレス」に大別することができる。一般に、機械プレスは、液圧プレスよりも生産性が高く、保守も容易であることから、現在、プレス加工の大部分は機械プレスで行なわれている。
【0003】
図7は、従来の一般的な機械プレス40の概略構成を示す図である。図7に示すように、機械プレス40の下部にはベッド41が配置され、ベッド41の上には下金型44を載置・固定するためのボルスタ42が設置されている。ボルスタ42の上方には、スライド45が昇降可能に設けられている。スライド45の下面にはダイクランパ57により上金型43が固定されるようになっている。機械プレス40の上部にはドライブシャフト46が回転可能に支持されている。ドライブシャフト46の一端側には、フライホイール47及びクラッチ48が配設されている。
【0004】
フライホイール47と、メインモータ49の出力軸に装着されたプーリ50との間には、タイミングベルト51が巻装されている。メインモータ49の回転駆動により、フライホイール47に運動エネルギを蓄積し、このエネルギをクラッチ48を介して放出しドライブシャフト46を回転駆動する。ドライブシャフト46にはピニオンギヤ52が取り付けられており、ピニオンギヤ52はクランク軸53に取り付けられたメインギヤ54と噛合している。クランク軸53の偏心部53aにはコンロッド55が回転可能に連結されている。コンロッド55はスライド調整機構56を介してスライド45に連結されている。スライド調整機構56は、スライド下死点におけるスライド45の上下位置を変化させてダイハイト(スライド45が下死点にあるときのスライド45下面とボルスタ上面の間の距離)を調整するものである。
【0005】
上記のように構成された機械プレス40では、メインモータ49の回転駆動によりフライホイール47を回転させて運動エネルギを蓄積し、クラッチ48を接続状態にするとフライホイール47の運動エネルギが解放されてドライブシャフト46、ピニオンギヤ52、メインギヤ54を介して動力が伝達し、さらにクランク軸53及びコンロッド55を介して回転運動が直線運動に変換されることによりスライド45が上死点、下死点間を昇降動する。また、上記のように構成された機械プレス40では、スライド45の運動をクラッチ48で制御することから、スライド45を正規に停止できる位置は、通常、上死点と下死点に限定されている。フライホイール47は通常一方向に回転し、回転方向の変化は困難である。
【0006】
機械プレス40では、生産すべきプレス成型品の種類に応じて金型を使用するため、金型交換が行なわれる。図8を参照して、従来の機械プレス40の金型交換の手順を説明する。以下では、現在の金型(交換前の金型)を「現型」といい、次の金型(交換後の金型)を「次型」という。
【0007】
(開始)
現型による生産を終了し、スライド45は上死点で停止している。このとき、スライド調整機構56は、スライド下死点におけるスライド下面が現型で生産するための高さとなるように、調整されている。以下、このときのスライド調整高さを、「現型生産用スライド調整高さ」という。
【0008】
(ステップ1)
スライド調整機構56を動作させ、スライド下死点におけるスライド下面が現型の上金型43をアンクランプするための高さ(上金型43を下金型44の上に載せて上金型43をアンクランプするのに適した高さ)となるように、調整する。以下、このときのスライド調整高さを、「現型アンクランプ用スライド調整高さ」という。
この調整によりスライド調整高さは「現型生産用スライド調整高さ」から「現型アンクランプ用スライド調整高さ」に変更する。
【0009】
(ステップ2)
クラッチ48を接続し、スライド45を上死点から下死点へ移動させる。このときスライド45は、下金型44の上に上金型43が丁度乗る位置で停止する。
(ステップ3)
ダイクランパ57を動作させ、現型の上金型43をアンクランプする。これにより、現型の上金型43がスライド45から解放される。
(ステップ4)
クラッチ48を接続し、スライド45を下死点から上死点へ移動させる。
【0010】
(ステップ5)
スライド調整機構56を動作させ、スライド下死点におけるスライド下面が次型の上金型43をクランプするための高さ(下金型44の上に載置された上金型43をクランプするのに適した高さ)となるように、調整する。このときのスライド調整高さを「次型クランプ用スライド調整高さ」という。この調整によりスライド調整高さは「現型アンクランプ用スライド調整高さ」から「次型クランプ用スライド調整高さ」に変更する。
並行して、現型の上金型・下金型を機械プレス40から取り出し、次型の上金型・下金型を機械プレス40のボルスタ42上に載置する。
【0011】
(ステップ6)
クラッチ48を接続し、スライド45を上死点から下死点へ移動させる。
(ステップ7)
ダイクランパ57を動作させ、次型の上金型43をクランプする。これにより、次型の上金型43がスライド45に固定される。
(ステップ8)
クラッチ48を接続し、スライド45を下死点から上死点へ移動させる。
【0012】
(ステップ9)
スライド調整機構56を動作させ、スライド下死点におけるスライド下面が次型で生産するための高さとなるように、調整する。以下、このときのスライド調整高さを「次型生産用スライド調整高さ」という。この調整によりスライド調整高さは「次型クランプ用スライド調整高さ」から「次型生産用スライド調整高さ」に変更する。
【0013】
(終了)
次型による生産が可能になる。
【0014】
このような機械プレスに関連した従来技術を示すものとしては、下記特許文献1〜4がある。
特許文献1は、フライホイールとクラッチを含む駆動系を備えた機械プレスを開示している。
特許文献2は、ネジ機構を採用したスライド調整機構を開示している。
特許文献3、4は、スライド駆動源となるシャフトが一方向に一定速度で回転するときにスライドの下降がゆっくりで上昇が速い動力伝達機構を採用した機械プレスを開示している。
【0015】
【特許文献1】特開2004−34111号公報
【特許文献2】実公昭61−24392号公報
【特許文献3】特公昭46−29224号公報
【特許文献4】特開2003−320489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した従来の機械プレス40では、金型交換に際して以下のような問題があった。
(1)スライド45が上死点と下死点との間を何度も往復するため、この往復移動に時間を要する。
(2)スライド調整機構56の調整機構としては、上記特許文献2に示されたようなネジ機構が一般的に採用されているが、かかるネジ機構は移動速度が極めて遅いため、調整時間が長く掛かる。
(3)上記特許文献3、4のような動力伝達機構を採用したものでは、金型交換のためにスライド45を上昇・下降させるとき、スライド45の下降は遅いモーションとなってしまい、スライド45の移動に時間を要する。
【0017】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、金型交換に要する時間を大幅に短縮することができるプレス機械の金型交換方法及びプレス機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するため、本発明にかかるプレス機械の金型交換方法及びプレス機械は、以下の手段を採用する。
(1)すなわち、本発明は、プレス駆動源であるサーボモータの回転運動を動力伝達機構を介してスライドの昇降運動として伝達し、前記サーボモータを制御することによりスライド移動範囲内で任意の位置にスライドを位置決め可能なプレス機械の金型交換方法であって、上金型が下金型の上に載る位置に前記スライドを移動するステップと、前記スライドから上金型を解放するステップと、前記スライドを上死点に達しない所定の位置まで上昇させて待機させるステップと、前記プレス機械から上下の金型を取り出して、別の上下の金型を前記プレス機械に搬入するステップと、上金型をスライドに固定するための位置に前記スライドを下降させるステップと、前記スライドに上金型を固定するステップと、プレス加工の開始が可能な位置まで前記スライドを上昇させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
上述した従来の機械プレスではスライド停止位置が上死点と下死点に限定されていたが、本発明では、サーボモータを制御することにより任意の位置にスライドを位置決め可能なプレス機械(サーボ駆動式プレス機械)を対象とするため、金型交換においてスライドを上死点まで移動させる必要が無い。このため、金型交換作業に必要十分な範囲でスライドを移動させればよいので、スライドの移動に要する時間を大幅に短縮できる。
【0020】
(2)また、上記のプレス機械の金型交換方法において、前記プレス機械はダイハイトを調整するスライド調整機構を有するものであり、該スライド調整機構を動作させ、スライド調整機構の高さを、元の金型によりプレス加工するための調整高さから、次の金型によりプレス加工するための調整高さに変更するステップを含む、ことを特徴とする。
なお、上記「元の金型」は、実施形態における「現型」(交換前の金型)がこれに該当する。上記「次の金型」は、実施形態における「次型」(交換後の金型)がこれに該当する。
【0021】
スライド調整機構を有するプレス機械の場合、従来の機械プレスでは、ダイハイト調整位置の変更を3回行なう必要があった(図8のステップ1,5,9を参照)。これに対し、本発明では、金型の相違に対応するための変更のみを行なえばよく、従来の金型交換のステップ1,9については、スライドの位置決め制御によって対応できるため、スライド調整機構の動作を省略できる。したがって、スライド調整機構の動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0022】
(3)また、上記のプレス機械の金型交換方法において、前記スライド調整機構の高さを変更するステップを、前記プレス機械から上下の金型を取り出して別の上下の金型を前記プレス機械に搬入するステップと並行して行なう、ことを特徴とする。
【0023】
スライド調整高さを変更するステップを、プレス機械から上下の金型を取り出して別の上下の金型をプレス機械に搬入するステップと並行して行なうことにより、効率的に交換作業を進行し、金型交換を迅速に行なうことができる。
【0024】
(4)また、上記のプレス機械の金型交換方法において、前記機械プレスの動力伝達機構は、前記サーボモータの一方向の回転に対して前記スライドが昇降を繰り返す機構であって前記スライドの下降時と上昇時の移動量が前記サーボモータの回転角に対して非対称となるものであり、前記各ステップのうち前記スライドの移動を含むものにおいて、前記サーボモータの回転角に対して移動量が大きい側の区間を利用して前記スライドを昇降させる、ことを特徴とする。
【0025】
このように、サーボモータの回転角に対して移動量が大きい側の区間を利用してスライドを昇降させるので、スライドの移動時間を短縮することができる。
【0026】
また、本発明にかかるプレス機械は、プレス駆動源であるサーボモータと、下面に上金型が取り付けられ昇降運動するスライドと、上金型を前記スライドの下面に解放可能に固定するダイクランパと、前記サーボモータの回転運動を前記スライドの昇降運動に変換する動力伝達機構と、少なくとも前記サーボモータ及び前記ダイクランパを制御する制御部とを備え、該制御部が前記サーボモータを制御することによりスライド移動範囲内で任意の位置にスライドを位置決め可能なプレス機械であって、前記制御部は、金型交換時に、上金型が下金型の上に載る位置に前記スライドを移動させ、次いで前記スライドから上金型を解放し、次いで前記スライドを上死点に達しない所定の位置まで上昇させて待機させるように前記サーボモータ及び前記ダイクランパを制御し、前記プレス機械から上下の金型が取り出され、別の上下の金型が前記プレス機械に搬入された後に、上金型をスライドに固定するための位置に前記スライドを下降させ、次いで前記スライドに上金型を固定し、次いでプレス加工の開始が可能な位置まで前記スライドを上昇させるように前記サーボモータと前記ダイクランパを制御する、ことを特徴とする。
【0027】
また、上記のプレス機械において、更に、ダイハイトを調整するスライド調整機構を備え、前記制御部は、前記金型交換時に、前記スライド調整機構の高さを、元の金型によりプレス加工するための調整高さから、次の金型によりプレス加工するための調整高さに変更するように前記スライド調整機構を制御する、ことを特徴とする。
【0028】
また、上記のプレス機械において、前記制御部は、前記金型交換時における前記スライド調整機構の高さを変更するための制御を、前記プレス機械から上下の金型が取り出されて別の上下の金型が前記プレス機械に搬入される作業と並行して行なう、ことを特徴とする。
【0029】
また、上記のプレス機械において、前記動力伝達機構は、前記サーボモータの一方向の回転に対して前記スライドが昇降を繰り返す機構であって前記スライドの下降時と上昇時の移動量が前記サーボモータの回転角に対して非対称となるものであり、前記制御部は、金型交換時のスライドの移動時に、前記サーボモータの回転角に対して移動量が大きい側の区間を利用して前記スライドを昇降させるように前記サーボモータを制御する、ことを特徴とする。
【0030】
このようなプレス機械により、上記のプレス機械の金型交換方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、金型交換に要する時間を大幅に短縮することができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0033】
図1は、本発明にかかるプレス機械の概略構成を示す図である。このプレス機械1は、サーボモータ3を制御することによりスライド移動範囲内で任意の位置にスライド4を位置決め可能なサーボ駆動式プレス機械(以下、サーボプレスという)である。
このサーボプレス1は、ベッド6上に設置されたボルスタ8の上方に、昇降自在なスライド4が設けられていて、このスライド4の下面に取り付けられた上金型10と、前記ボルスタ8上に固定された下金型12の間でワークをプレス成形するように構成されている。スライド4には、上金型10をスライド4下面に解放可能に固定するダイクランパ14が設けられている。
【0034】
サーボプレス1は、サーボモータ3を駆動源として備えている。サーボモータ3の回転運動は、動力変換機構16により直線運動(昇降運動)に変換される。この動力変換機構16は、例えば、上記特許文献4のようなクランク軸とリンクの組み合わせによるもの、特開2003−290984号公報のようなリンク機構、などによって実現できる。
【0035】
サーボモータ3の回転位置は回転位置検出器18で検出される。この検出データと、動力変換機構16の機構によって決まる変換式に基づいて、動力変換機構16の下端の位置を計算することができる。また、必要に応じて位置フィードバック制御を行うことにより、サーボモータ3の回転位置を制御して、動力変換機構16の下端を任意の位置へ動かすことができるようになっている。回転位置検出器18は、例えば、光学式ロータリーエンコーダやレゾルバなどによって実現できる。
【0036】
動力変換機構16は、スライド調整機構20を介してスライド4に連結されている。スライド調整機構20は、スライド下死点におけるスライド4の上下位置を変化させてダイハイトを調整するものである。スライド調整機構20は、例えば、上記特許文献2(実公昭61−24392号公報)に示されているような送りねじ方式の機構によって実現できる。スライド調整機構20の高さは、スライド調整機構駆動モータ22を回転させることにより変化させることができる。これによりダイハイト調整位置を調整できる。サーボモータ3が回転しなくてもスライド4の高さを微調整することができる。
【0037】
スライド調整機構20の高さは、スライド調整機構高さ計測器24により計測され、必要に応じ位置フィードバック制御を行うことにより、スライド調整機構20の高さを任意に調整することができるようになっている。スライド調整機構高さ計測器24は、例えば、リニアエンコーダやリニアスケールによって実現できる。
制御部9は、サーボモータ3、ダイクランパ14及びスライド調整機構20を制御する。この制御部9がサーボモータ3を制御することによりスライド移動範囲内で任意の位置にスライド4を位置決めする。
【0038】
上記のように構成されたサーボプレス1では、スライド調整機構駆動モータ22を回転駆動してプレス加工に適した高さにスライド調整機構20の高さを調節した後、サーボモータ3を回転させて動力変換機構16を介してスライド4を昇降させ、上金型10と下金型12をプレス成型に必要な距離まで接近させることにより、ワークのプレス加工を行う。
【0039】
図2(a)に示すように、サーボモータ3を回転させることにより、動力変換機構16の下端位置は、ボルスタ8の上面からH1tの高さにある上死点と、ボルスタ8の上面からH1bの高さにある下死点との間で変化する。
図2(b)に示すように、ある時刻における動力変換機構16の下端のボルスタ8上面からの距離をh1、スライド調整機構20の高さをh2とする。また、スライド4の厚さは変化しないので、ここでは便宜的にスライド4の厚さを0とする(すなわち、ここではスライド調整機構20の下端とスライド4の下端は一致する)。この場合、ボルスタ8上面に対するスライド4下面位置h3は、h3=h1−h2で与えられる。ただし、H1b≦h1≦H1tである。
【0040】
図3は、本発明にかかる機械プレスの金型交換方法の手順を説明する図である。図3では、図8に示した従来の機械プレスの金型交換方法の手順と対比できるよう、対応する動作には同一のステップ番号で示している。また、図4は本発明の金型交換方法を実施する際のスライド4下面高さの変化を、図5は従来の金型交換方法を実施する際のスライド下面の変化を示している。図5における従来例の「動力変換機構」は、図7のクランク軸53及びコンロッド55がこれに該当する。
なお、以下では、現在の金型(交換前の金型)を「現型」といい、次の金型(交換後の金型)を「次型」という。
【0041】
図4(a)及び図5(a)に示すように、現型で生産中は、現型で生産するための下死点におけるスライド下面の高さをh3pcとすると、スライド調整機構20の高さはh2pc=H1b−h3pcとなっている。これは、本発明も従来例も同じである。図2と同様に、スライド4の厚さは変化しないので、ここでは便宜的にスライド4の厚さを0とする(すなわち、ここではスライド調整機構20の下端とスライド4の下端は一致する)。
本発明の金型交換方法は以下の手順で行なう。
【0042】
(開始)
図3を参照して、現型による生産を終了し、スライド4は停止している。このとき、スライド調整機構20は、スライド4下死点におけるスライド4下面が現型で生産するための高さ(現型生産用スライド調整高さ)となるように、調整されている。
【0043】
(ステップ1)
本発明の金型交換方法では、従来例のステップ1に相当する段階はないため、ステップ2に進む。
【0044】
(ステップ2)
制御部9による制御の下、サーボモータ3を回転させてスライド4を下降させる。このときスライド4は、下金型12の上に上金型10が丁度乗る位置で停止する。
ここで、図4(b)に示すように、現型をアンクランプするためにスライド4下面を停止させる高さをH3ucと標記する。図5(b)に示すように、従来例では、スライド調整機構20の高さがh2uc=H1b−H3ucになるようにスライド調整機構20を動作させた後、動力変換機構16下端を下死点、すなわち、高さH1bで停止させていた。これに対し、本発明では、スライド調整機構20の高さはh2pcのまま変化させず、動力変換機構16の下端位置がh1uc=h2pc+H3ucとなるようにサーボモータ3を制御することにより、スライド調整機構20の高さを変化させる時間を省略できる。
【0045】
(ステップ3)
制御部9による制御の下、ダイクランパ14を動作させ、現型の上金型10をアンクランプする。これにより、現型の上金型10がスライド4から解放される。
【0046】
(ステップ4)
制御部9による制御の下、サーボモータ3を回転させ、スライド4を上死点に達しない所定の位置まで上昇させて待機させる。具体的には、現型をアンクランプした後、現型・次型の出し入れの際に、金型とスライド4およびその付属品(図示せず)が干渉しないようにスライド4を上昇させる。従来例ではスライド4を上死点まで上昇させていた。これに対し、本発明では、スライド4及びその付属品が、現型・次型の出し入れに支障ない最低限の高さまでスライド4が上昇するようにサーボモータ3を制御することにより、スライド4の上昇距離、すなわち移動に要する時間を短縮できる。実際にどれだけの高さまでスライド4を上昇させればよいかは、実機における目測、図面上での検討、CADソフトの干渉チェック機能の利用、等の手段により決めることができる。
【0047】
(ステップ5)
制御部9による制御の下、スライド調整機構20を動作させ、スライド4下死点におけるスライド4下面が次型で生産するための高さ(次型生産用スライド調整高さ)となるように、調整する。この調整によりスライド調整高さは「現型生産用スライド調整高さ」から「次型生産用スライド調整高さ」に変更する。
並行して、現型の上金型・下金型をサーボプレス1から取り出し、次型の上金型・下金型を重ねた状態でサーボプレス1のボルスタ8上に載置する。
(ステップ6)
制御部9による制御の下、サーボモータ3を回転させ、スライド4を下降させる。
【0048】
ここで、図4(c)に示すように、次型をクランプするためにスライド下面を停止させる高さをH3cnと標記する。図5(c)に示すように、従来例では、スライド調整機構20の高さがh2cn=H1b−H3cnになるようにスライド調整機構20を作動させた後、動力変換機構16下端を下死点、すなわち、高さH1bで停止させていた。これに対し、本発明では、スライド調整機構20の高さをh2pn=H1b−H3pnに変化させた後、動力変換機構16の下端位置がh1cn=h2pn+H3cnとなるように、サーボモータ3を制御する。ただし、H3pnは、次型で生産するための下死点におけるスライド下面の高さである。
従来例では、動力変換機構16の下端が上死点から移動を開始するのに対し、本発明では、上死点よりも低い位置から移動を開始するので、移動に要する時間を短縮できる。
【0049】
(ステップ7)
制御部9による制御の下、ダイクランパ14を動作させ、次型の上金型10をクランプする。これにより、次型の上金型10がスライド4に固定される。
(ステップ8)
制御部9による制御の下、サーボモータ3を回転させ、スライド4を生産が開始できる高さまで上昇させる。
【0050】
(ステップ9)
図5(d)に示すように従来例では、スライド調整機構20の高さがh2pnになるようにスライド調整機構20を動作させていた。これに対し、図4(d)に示すように本発明では、すでにスライド調整機構20の高さがh2pnになっているため、スライド調整機構20の動作を省略できる。したがって、本発明の金型交換方法では、従来例のステップ9に相当する段階はない。
【0051】
(終了)
次型による生産が可能になる。
【0052】
上述したように、スライド調整機構20を有するプレス機械の場合、従来の機械プレスでは、ダイハイト調整位置の変更を3回行なう必要があった(図8のステップ1,5,9)。これに対し、本発明では、金型の相違に対応するための変更のみを行なえばよく、従来の金型交換のステップ1,9については、スライド4の位置決め制御によって対応できるため、スライド調整機構20の動作を省略できる。したがって、スライド調整機構20の動作に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
また、スライド調整高さを変更するステップを、プレス機械から上下の金型を取り出して別の上下の金型をプレス機械に搬入するステップと並行して行なうことにより、効率的に交換作業を進行し、金型交換を迅速に行なうことができる。
【0054】
動力変換機構16として、例えば特開2003−320489号公報に示されているように、モータの一方向の回転に対してスライドが昇降を繰り返す機構であってスライドの下降時と上昇時の移動量がモータの回転角に対して非対称となるものがある。特開2003−320489号公報に示された機構は、クランク軸とリンク機構とからなるものである。このような動力変換機構におけるクランク角度とスライド4変位との関係は、例えば、図6に示すようになる。図6では、0°−θの区間よりも、θ−360°の区間の方がスライド移動量が大きい。
このような動力変換機構の場合、本発明では、スライド4の移動を含む上記ステップ2,4,6,8において、サーボモータ3を正逆転させることにより、サーボモータ3の回転角に対して移動量が大きい側の区間を利用してスライド4を昇降させる。こうすることにより、スライド4の移動時間を短縮することができるので、金型交換作業を迅速化できる。
【0055】
なお、上述した実施形態では、サーボモータ3の回転角の検出により動力変換機構16の下端位置を測定したが、動力変換機構16の下端位置をリニアエンコーダやリニアスケールを用いて測定してもよい。
上述した実施形態では、リニアエンコーダやリニアスケールによりスライド調整機構20の高さを測定したが、スライド調整機構駆動モータ22の回転角をロータリーエンコーダやレゾルバで測定し、機構から決まるモータ回転角と高さの関係式を用いて高さを計算するようにしてもよい。
上述した実施形態では、モータの駆動によりスライド調整機構20の高さを調整したが、油圧シリンダや空圧シリンダで駆動するようにしてもよい。
上述した実施形態では、ステップ5においてダイハイトの調整を行なったが、必要に応じて別の段階で行なってもよい。この場合、他のステップにおいて、ダイハイトの調整分を考慮してスライド4の移動量を決定する必要がある。
【0056】
スライド調整機構を有しないサーボプレスの場合、図3のステップ5におけるスライド調整機構の動作を省略し、ステップ6において、現型で生産するための下死点におけるスライド下面高さと、次型で生産するための下死点におけるスライド下面高さとの差を補正して、動力変換機構の下端位置を動かせばよい。この場合、生産中であっても、動力変換機構の下端が下死点に達せず、下死点より上方でサーボモータの回転方向を反転させてスライドを上昇させるような運転とすることが多い。
【0057】
上記において、本発明の実施形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の金型交換方法の実施に使用するサーボプレスの概略構成図である。
【図2】図1のサーボプレスにおける上死点、下死点等の位置関係を説明する図である。
【図3】本発明の金型交換方法の手順を説明する図である。
【図4】本発明の金型交換方法を実施する際のスライド下面高さの変化を示す図である。
【図5】従来例の金型交換方法を実施する際のスライド下面高さの変化を示す図である。
【図6】ある種の動力変換機構におけるクランク角とスライド変位との関係を示す図である。
【図7】従来例の金型交換方法の実施に使用する機械プレスの概略構成図である。
【図8】従来例の金型交換方法の手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
1 プレス機械(サーボプレス)
3 サーボモータ
4 スライド
6 ベッド
8 ボルスタ
9 制御部
10 上金型
12 下金型
14 ダイクランパ
16 動力変換機構
18 回転角検出器
20 スライド調整機構
22 スライド調整機構駆動モータ
24 スライド調整機構高さ計測器
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実

【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴

【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博


【公開番号】 特開2008−23578(P2008−23578A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201624(P2006−201624)