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【発明の名称】 加工機械及び加工機械の制御方法
【発明者】 【氏名】鈴木 裕一

【氏名】山田 幸浩

【要約】 【課題】プレス機などの加工機械において、加工工具が被加工物に近づく時には位置制御を実行し、加工工具が被加工物に接触した後に力制御を実行する場合、加工工具と被加工物の接触時の衝撃力を抑制し、また、力制御の精度を向上させる。

【構成】加工工具(例えば可動金型)18が被加工物28に近づいている間、位置制御が実行されて、工具18の位置が位置目標に制御される。また、加工機械10の骨組みである構造部26の歪が検出され、検出された歪が所定の閾値と比較される。閾値は、加工工具18と被加工物28とが接触しない時に検出される歪の値より僅かに大きく設定される。加工工具18が被加工物18に接触した瞬間、検出された歪の値が閾値に到達するので、直ちに、位置制御から力制御への自動切換えが行われ、以後、被加工物28に加わる力が所定の力目標に制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源(12)と、前記動力源から動力を受けて運動し被加工物(28)に力を加える機構部(24)と、前記機構部と前記被加工物を支持する構造部(26)と、前記動力源を制御するコントローラ(50)とを備えた加工機械(10)において、
前記コントローラ(50)は、
前記機構部から前記被加工物に加えられる力を検出する力検出手段(32,56)と、
前記力検出手段からの力フィードバック値に基づいて第1制御指令を生成する力制御手段(64,66)と、
前記機構部の位置を検出する位置検出手段(30)と、
前記位置検出手段からの位置フィードバック値に基づいて第2制御指令を生成する位置制御手段(68,70)と、
前記第1制御指令と前記第2制御指令の一方を選択し、選択された制御指令に基づいて前記動力源を制御する自動選択手段(72〜78)と
を有し、
前記自動選択手段(72〜78)は、前記機構部が前記被加工物に近づいている間は前記位置制御手段からの前記第2制御指令を選択するとともに前記力検出手段からの力フィードバック値と所定の閾値とを比較し、前記比較の結果、前記力フィードバック値が前記閾値より小さければ、前記第2制御指令を依然として選択し、前記比較の結果、前記力フィードバック値が前記閾値以上になったならば、前記力制御手段からの前記第1制御指令を選択する、
ことを特徴とする加工機械。
【請求項2】
請求項1記載の加工機械(10)において、
前記力制御手段(64,66)が、前記力フィードバック値を所定の力目標値に近づけるように前記第1制御指令を生成し、
前記閾値が、前記力目標値より低く設定されていることを特徴とする加工機械。
【請求項3】
請求項1記載の加工機械において、
前記閾値が、前記機構部(24)と前記被加工物(28)との非接触時における前記力フィードバック値の近傍にて前記非接触時における力フィードバック値より大きく設定されていることを特徴とする加工機械。
【請求項4】
請求項1記載の加工機械において、
前記力検出手段(32,56)は、前記構造部に生じる歪を検出して、検出された歪から前記力を検出するようになっていることを特徴とする加工機械。
【請求項5】
動力源(12)と、前記動力源から動力を受けて運動し被加工物(28)に加工力を加える機構部(24)と、前記機構部と前記被加工物を支持する構造部(26)とを備えた加工機械(10)を制御する方法において、
前記機構部の位置を検出するステップと、
前記検出された位置に基づいて第1制御指令を生成するステップと、
前記機構部から出力される前記加工力を検出するステップと、
前記検出された力に基づいて第2制御指令を生成するステップと、
前記第1制御指令と前記第2制御指令の一方を選択し、選択された制御指令に基づいて前記動力源を制御するステップと
を有し、
前記選択するステップでは、前記機構部が前記被加工物に近づいている間は前記位置制御部からの前記第2制御指令を選択するとともに、前記検出された加工力と所定の閾値とを比較し、前記比較の結果、前記検出された加工力が前記閾値より小さければ、前記第2制御指令を依然として選択し、前記比較の結果、前記検出された加工力が前記閾値以上になったならば、前記力制御手段からの前記第1制御指令を選択する、
ことを特徴とする加工機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工機、曲げ加工機、押出し加工機及び射出成形機などのような加工機械及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動サーボプレス加工機のような鍛圧機械において、可動側金型の位置の検出値と位置指令との間の位置偏差に応じて可動側金型の速度を制御する位置制御と、可動側金型から被加工物に加わる圧力の検出値と圧力指令の間の圧力偏差に応じて可動側金型の速度を制御する圧力制御とを、選択的に実行するように構成された制御装置が、特開2006−7296号公報(特許文献1)に開示されている。この制御装置は、位置制御と圧力制御のいずれを選択するべきかを決めるために、位置偏差に基づいて速度指令を計算すると同時に圧力偏差に基づいても速度指令を計算し、そして、両方の速度指令を比較して、小さい方の速度指令を選択する。従って、可動側金型が被加工物に近づくときは、位置偏差に基づく速度指令の方が圧力偏差に基づくそれより小さいため、位置制御が選択される。その後、可動側金型が被加工物に当接すると、可動側金型の速度が低下して位置偏差に基づく速度指令が増加し、他方、被加工物に加わる圧力は上昇して圧力偏差に基づく速度指令が下降する。そして、両方の速度指令が一致して両者の大小関係が逆転する時に、位置制御から圧力制御への切り替えが行なわれ、その後、可動側金型が被加工物を押圧している間は、圧力制御が実行されることになる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−7296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、位置制御と圧力制御の速度指令を比較して値の小さい方を選択することにより、位置制御から圧力制御への移行が連続的にスムーズに行われる旨が記述されている。しかしながら、実際のところ、この方法によると、可動金型が被加工物に接触した後に被加工物に加わる圧力が上昇し且つ可動金型の移動速度が低下して、圧力制御と位置制御の速度指令の大小関係が逆転するまでは、位置制御から圧力制御への切替えが発生しない。そのため、可動金型が被加工物に接触した時に短時間の衝突現象が発生して、大きい衝撃力が被加工物に加わってしまう問題がある。
【0005】
また、圧力制御(広義には、加工力を制御する力制御)を行なうために、金型から被加工物に加わる圧力又は加工力を精度よく検出する必要がある。しかし、従来一般に行われている動力源であるサーボモータの軸トルクを検出する方法では、機構の粘性抵抗力及び摩擦力、並びにモータ特性の変化の影響を受けて、正確な圧力又は加工力を検出することが難しいという問題もある。
【0006】
このような問題は、特許文献1に開示された電動サーボプレス加工機のような鍛圧機械だけに限らず、その他の種類の加工機械においても存在し得る。
【0007】
従って、本発明の目的は、位置制御と力制御を選択的に実行する加工機械において、可動金型のような加工工具が被加工物に接触する時の衝撃力を抑制することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、力制御の精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従う加工機械は、動力源と、動力源から動力を受けて運動し被加工物に力を加える機構部と、機構部と被加工物を支持する構造部と、動力源を制御するコントローラとを備える。コントローラは、機構部から被加工物に加えられる力を検出する力検出手段と、力検出手段からの力フィードバック値に基づいて第1制御指令を生成する力制御手段と、機構部の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段からの位置フィードバック値に基づいて第2制御指令を生成する位置制御手段と、第1制御指令と第2制御指令の一方を選択し、選択された制御指令に基づいて動力源を制御する自動選択手段とを有する。自動選択手段は、機構部が被加工物に近づいている間は位置制御手段からの第2制御指令を選択するとともに力検出手段からの力フィードバック値と所定の閾値とを比較し、比較の結果、力フィードバック値が閾値より小さければ、第2制御指令を依然として選択するが、力フィードバック値が閾値以上になったならば、力制御手段からの第1制御指令を選択する。
【0010】
この加工機械によれば、機構部が被加工物に近づいている間は、位置制御が実行される。その後、機構部が被加工物に接触すると、力フィードバック値が上昇して閾値に到達し、この到達の瞬間に、位置制御から力制御への切換が行われる。閾値を適切に設定することで、機構部が被加工物に接触した瞬間に位置制御から力制御へ移行し、それにより、機構部と被加工物との衝突による衝撃力をより小さく抑えることができる。
【0011】
好適な実施形態によれば、力制御手段が、力フィードバック値を所定の力目標値に近づけるように制御を行なうよう構成されている。そして、前記閾値は、上記力目標値より低く設定されている。これにより、機構部が被加工物に接触したとき、力フィードバック値が力目標値に到達するより早期に、位置制御から力制御へ移行することができる。それにより、機構部と被加工物との衝突による衝撃力をより小さく抑えることができる。
【0012】
好適な実施形態によれば、閾値は、機構部と被加工物との非接触時における力フィードバック値の近傍にて、その非接触時における力フィードバック値より大きく設定されている。これにより、機構部が被加工物に接触した瞬間に位置制御から力制御へ移行し、それにより、機構部と被加工物との衝突による衝撃力をより小さく抑えることができる。
【0013】
また、好適な実施形態では、力検出手段は、構造部に生じる歪を検出して、その歪から被加工物に加わる力を検出するようになっている。構造部に生じる歪は、被加工物に加わる力にほぼ比例し、機構部の粘性抵抗力及び摩擦力、並びにモータ特性の変化の影響を実質的に受けない。そのため、構造部に生じる歪に基づいて被加工物に加わる力を検出することで、力制御の精度が向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、位置制御と力制御を選択的に実行する加工機械において、可動金型のような加工工具が被加工物に接触する時の衝撃力を抑制することができる。
【0015】
また、機構部から被加工物に加わる力を検出するために、その力に応じて構造部に生じる反力を検出するようにした場合には、力制御の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明は種々の加工機械に適用可能であるが、以下では、一例として、電動サーボモータを動力源として用いたに本発明を適用した実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本実施形態にかかる電動サーボプレス機の概略的な構造を示す。
【0018】
図1に示されるように、このプレス機10は、動力源としての電動サーボモータ12を有し、このサーボモータ12は、コントローラ(図1では図示省略、図2参照)により制御される。サーボモータ12は、回転モータでもよいし、リニアモータでもよい。サーボモータ12が回転モータである場合、サーボモータ12の回転シャフトは、回転運動を直線運動に変換する運動変換機構(例えば、ボールねじ、クランクスライダ、リンク機構など)14を介して、スライドシャフト16に結合される。他方、サーボモータ12がリニアモータである場合には、サーボモータ12の直動シャフトがスライドシャフト16に直接結合されてもよい。スライドシャフト16にはスライド18が結合され、スライド18には可動金型20が取り付けられる。運動変換機構14、スライドシャフト16、スライド18及び可動金型20は、動力源からの動力で運動する機構であり、これらを纏めて以下「機構部」24と呼ぶ。また、固定金型22が、可動金型20に対向するように配置される。機構部24と固定金型22は、このプレス機10の骨組つまり構造部26によって支持される。被加工物28は、可動金型20と固定金型22との間にセットされ、可動金型20の運動によりプレスされることになる。
【0019】
このプレス機10には、さらに、位置検出器30と歪検出器32が設けられる。位置検出器30は、例えば、スライド18と構造部26に取り付けられ、機構部24の運動方向の位置、例えばスライド18の直動方向の位置、を検出する。また、歪検出器32は、例えば、構造部26に取り付けられた歪ゲージ又はロードセルであり、その出力信号に基づいてコントローラ(図1では図示省略)により、構造部26の歪の大きさ、換言すれば、機構部24から出力される加工力の大きさ、が計測できるようになっている。さらに、図1には図示されてないが、サーボモータ12の速度を検出する速度検出器も設けられる(図2参照)。後述するように、コントローラは、位置検出器30により検出された機構部24の位置をフィードバック値として用いて、サーボモータ12の速度を制御することにより、機構部24の位置の制御(以下「位置制御」という)を行なう。また、コントローラは、歪検出器32を用いて検出された構造部26の歪、換言すれば、機構部24から出力される加工力をフィードバック値として用いて、サーボモータ12の速度を制御することにより、加工力の制御(以下「力制御」という)を行なう。
【0020】
ここで、注目すべき点は、力制御では、加工力を計測するために、構造部26の歪を検出している点である。これにより、精度の良い加工力の制御が実現できる。すなわち、機構部24は、サーボモータ12で発生したトルクを受けて、被加工物28に加工力(圧縮力)を加える。このとき、加工力に対する反力が構造部26に伝わり、全体の力線(力の伝達を矢印で現したもの)は、図1に矢印で示すように閉じたループを形成し、力が構造部26の外に逃げることがない。従って、構造部26の歪は、ほぼ加工力と比例関係を保つので、構造部26の歪を計測することにより、精度良く加工力を求めることができる。この求めた加工力をフィードバック値として用いて力制御を行うことで、高精度な加工力の制御が実現する。因みに、構造部26ではなく、機構部24(例えば、モータ軸、スライド軸16又はスライド18など)に歪ゲージを貼り付けてその歪を検出する方法でもよいが、構造部26の歪を検出する方がよりよい。その理由は、機構部24の歪を検出する方法では、加工力を精度よく計測することが難しいからである。一般に、機構部24は、構造部26に比べて剛性が高く、同じ力の下での歪の大きさが小さいことに起因する。また、ロードセルをモータ軸やスライド軸16のような機構部24に組み込むことは困難である。さらに、加工力を計測するために、歪ではなく、モータ軸のトルクを検出する方法では、機構部24の粘性抵抗力及び摩擦力並びにモータ特性の変化などの影響を受けて、正確な加工力の制御が困難である。
【0021】
図2は、上述したプレス機10のコントローラの機能構成を示す。
【0022】
図2に示すように、コントローラ50は、目標設定装置52及び演算装置54を有する。目標設定装置52は、力目標設定部60と位置目標設定部62を有する。力目標設定部60は、加工力についての目標値(以下「力目標値」という)を演算装置54に出力する。位置目標設定部62は、機構部24の位置についての目標値(以下「位置目標値」という)を演算装置54に出力する。
【0023】
コントローラ50には、また、図1に示された位置検出器30及び歪検出器32だけでなく、図1には図示してなかった力計算器56及び速度検出器58も関連付けられる。力計算器56は、歪検出器32の出力信号を受けて、加工力に相当する値を計算し、その値を演算装置54に出力する。速度検出器58は、サーボモータ12の速度(換言すれば、機構部24の運動速度)を検出し、その速度の値を演算装置54に出力する。また、位置検出器30は、既に説明したように機構部24の位置を検出し、その位置の値を演算装置54に出力する。以下では、演算装置54に入力された上記加工力、速度及び位置の値をそれぞれ「力フィードバック値」、「速度フィードバック値」及び「位置フィードバック値」という。
【0024】
演算装置54の構成から分かるように、コントローラ50は、二つの主たるフィードバック制御ループを有する。一つは、力フィードバック値を用いて力制御を行なうための「力ループ」であり、もう一つは、位置フィードバック値を用いて位置制御を行なうための「位置ループ」である。そして、自動切換器72による自動的に切り換え動作により、この二つのループのいずれか一方のループが自動的に選択されるようになっている。
【0025】
力ループは、減算器64と力制御部66を有する。減算器64は、力目標設定部60から力目標値を入力し、力計算器56から力フィードバック値を入力し、力目標値と力フィードバック値との間の偏差(以下「力偏差」という)を計算する。力制御部66は、減算器68から力偏差を入力し、その力偏差に対して所定の演算(例えばPID演算)を行なって、その力偏差をゼロに近づけるためのサーボモータ12の速度についての目標値である第1速度指令を生成する。他方、位置ループは、減算器68と位置制御部70を有する。減算器68は、位置目標設定部62から位置目標値を入力し、位置検出器30から位置フィードバック値を入力し、位置目標値と位置フィードバック値との間の偏差(以下「位置偏差」という)を計算する。位置制御部70は、減算器68から位置偏差入力し、その位置偏差に対して所定の演算(例えばPID演算)を行って、その位置偏差をゼロに近づけるためのサーボモータ12速度についての目標値である第2速度指令を生成する。
【0026】
力ループと位置ループは、自動切換器72、減算器74、速度制御部76及び電流制御部78を共有する。自動切換器72は、第1速度指令と第2速度指令を入力し、その何れか一方を選択して、選択された速度指令(以下「選択速度指令」という)を減算器74に出力する。この選択の判断材料の一つとして、自動切換器72は、力フィードバック値を入力する。自動切換器72は、1回のプレス加工工程において、初期的には第2速度指令を選択し(すなわち、位置制御を有効にし、力制御を無効にし)ており、そのとき、力フィードバック値と、予め自動切換器72に設定されている閾値とを比較する。この比較の結果は、初期的には(つまり、可動金型20が被加工物28に接触する前は)力フィードバック値が閾値より低いことになる。このときには、自動切換器72は、依然として第2速度指令を選択し続ける。スライド18が下降して可動金型20が被加工物28に接触すると、力フィードバック値が増加して閾値を超える。このとき、自動切換器72は、第2から第1速度指令へと、選択を切替える(すなわち、位置制御から力制御へと制御モードを切替える)。
【0027】
減算器74は、自動切換器72からの選択速度指令と、速度検出器58からの速度フィードバック値との偏差(以下、速度偏差という)を計算する。速度制御部76は、速度偏差を入力し、速度偏差に対して所定の演算(例えばPID演算)を行って、その速度偏差をゼロに近づけるためのサーボモータ12の励磁電流についての目標値である電流指令を生成する。電流制御部78は、速度制御部76から電流指令を入力し、この電流指令に従ってサーボモータ12の励磁電流を制御することで、サーボモータ12の速度を上記速度指令に近づける。
【0028】
図3は、このプレス機10の動作と制御の全体的な流れを示す。図4は、図3における動作が下降から圧縮へと移行する際の位置制御から力制御へと切り換える制御のロジックを示す。
【0029】
図3に示すように、このプレス機10の1回のプレス加工の工程は、次の5つのサブ工程、すなわち、スライド18が上死点で停止している「静止」、スライド18が下降しながら被加工物28に近づく「下降」、可動金型20が被加工物28に接触した後に可動金型20と固定金型22とで被加工物28を圧縮する「圧縮」、可動金型20が被加工物28から分離した後にスライド18が上昇する「上昇」、そして、スライド18が上死点で停止する「静止」が、この順番で連続的に実行される。
【0030】
このプレス加工工程において、初期の「静止」と「下降」のサブ工程では、制御モードとして位置制御が(つまり、第2速度指令が)自動切換器72により選択される。図3に示すように、位置目標値は、「静止」時には上死点で一定であり、「下降」時には下降していき、この位置目標値に沿って位置フィードバック値も変化していく。このように初期的に位置制御を実行中、自動切換器72は、図4に示すように、力フィードバック値と所定の閾値とを常時比較する。ここで、閾値は、力目標値(「圧縮」サブ工程で被加工物28に加えるべき加工力)よりは小さい値に設定されている。すなわち、閾値は、「静止」や「下降」のサブ工程で可動金型20が被加工物28に接触していない状態における力フィードバック値(実質的にゼロ)の近傍にて、その力フィードバック値より若干大きい値に設定されている。そして、上記の比較の結果、力フィードバック値が上記閾値より小さい間は、依然として位置制御が(つまり、第2速度指令が)選択され続ける。しかし、上記の比較の結果、力フィードバック値が上記閾値以上になった時点で、制御モードが、位置制御から力制御へと切替えられる(つまり、選択速度指令が第2速度指令から第1速度指令へと切替えられる)。
【0031】
従って、「静止」や「下降」のサブ工程で、可動金型20が被加工物28にまだ接触していない間は、位置制御が実行される。その後、可動金型20が被加工物28に接触すると、力フィードバック値が上昇して上記閾値に達するので、この閾値に到達した瞬間に、位置制御から力制御への切換が行われ、「圧縮」のサブ工程が開始される。このように、可動金型20が被加工物28に接触した途端に早期に位置制御から力制御への切換が行われ、それにより、従来技術で問題であった可動金型20と被加工物28との衝突による衝撃力が、より小さく抑えられる。この衝撃力低減のためには、上記閾値は、信号ノイズ等による切り換え誤動作が生じない範囲で、なるべく小さく設定されることが望ましい。それ故、本実施形態では、上記閾値は叙述したように、ゼロの近傍でそれより若干高い値に設定されるのである。
【0032】
制御モードが力制御に移行して「圧縮」のサブ工程が実行されている間は、力フィードバック値は力目標値に制御される。その後、例えば予め設定された圧縮時間が経過すると、制御モードは再び力制御から位置制御へと、自動切換器72により切り換えられ、それにより、「上昇」と「静止」のサブ工程が行なわれることになる。
【0033】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態にかかる加工機械(電動サーボプレス機)の概略的な正面図。
【図2】同プレス機のコントローラの機能構成を示すブロック図。
【図3】同プレス機の動作と制御の全体的な流れを示すタイムチャート。
【図4】同プレス機の動作モードが下降から圧縮へと移行する際の位置制御から力制御へと切り換える制御のロジックを説明するタイムチャート。
【符号の説明】
【0035】
10 電動サーボプレス機
12 電動サーボモータ
14 運動変換機構
16 スライドシャフト
16 スライド軸
18 スライド
20 可動金型
22 固定金型
24 機構部
26 構造部
28 被加工物
30 位置検出器
32 歪検出器
50 コントローラ
52 目標設定装置
54 演算装置
56 力計算器
58 速度検出器
60 力目標設定部
62 位置目標設定部
64 減算器
66 力制御部
68 減算器
70 位置制御部
72 自動切換器
74 減算器
76 速度制御部
78 電流制御部
【出願人】 【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】 【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−12588(P2008−12588A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−189308(P2006−189308)