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【発明の名称】 粉末成形用ダイセット
【発明者】 【氏名】松沼 健二

【氏名】廣野 伸一

【要約】 【課題】ダイを加熱するヒータとダイプレートを冷却する手段を備えた温間成形が可能な粉末成形用ダイセットにおいて、金型セットの手間を減少させるとともに、冷却効率の向上、金型費の削減なども図れるようにすることを課題としている。

【構成】ダイ1を加熱するヒータ11と、ダイプレート5を冷却する冷却手段12を備える粉末成形用ダイセットにおいて、前記ヒータ11と冷却手段12をダイプレート5の内部に設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイ(1)と、そのダイ(1)を支持するダイプレート(5)と、対向した上下のパンチ(2、3)と、前記ダイ(1)を加熱するヒータ(11)と、前記ダイプレート(5)を冷却する冷却手段(12)を備える粉末成形用ダイセットにおいて、前記ヒータ(11)と冷却手段(12)をダイプレート(5)の内部に設けたことを特徴とする粉末成形用ダイセット。
【請求項2】
前記ダイプレート(5)は内部材(5a)と外部材(5b)からなり、前記冷却手段(12)が、前記内部材(5a)の外周にダイ(1)を取り巻く円筒状の冷却水通路(18)を設けて構成され、その冷却水通路が、前記内部材(5a)の外周壁と外部材(5b)の内周壁間に形成されている請求項1に記載の粉末成形用ダイセット。
【請求項3】
ダイプレート(5)の上面側に座ぐり部(14)を設け、その座ぐり部(14)にダイを内側に嵌めるダイケース(15)を組み込み、そのダイケース(15)とダイプレート(5)との間に断熱層(17)を設け、前記ヒータ(11)によるダイ(1)の加熱をダイケース(15)経由で行うようにした請求項1又は2に記載の粉末成形用ダイセット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、温間成形を可能にした粉末成形用ダイセット、より詳しくは、金型セット時の手間や金型費を減少させ、温間成形時の冷却効率を高めることも可能にした粉末成形用ダイセットに関する。
【背景技術】
【0002】
焼結機械部品の製造における粉末成形は、通常、冷間成形法が採用されるが、温間成形法は粉末を圧縮成形して得られる圧粉体の密度を高めることが要求されるときに有利な方法であり、要求に応じてこの温間成形法も実施されている。
【0003】
その温間成形を行うときに用いる粉末成形用のダイセットは、ダイを加熱するヒータとダイプレートを冷却する冷却手段を備えたものが必要である。その要求に応えた温間粉末成形用金型が、下記特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1が開示している粉末成形用金型は、ダイプレートに嵌合したダイケースの内孔に断熱材を介してダイを固定してユニットを形成し、前記ダイケースと断熱材との間及びダイプレートとダイケースとの間にそれぞれ冷却管を設けている。また、ダイを加熱するヒータは、ダイに組み込んでいる。
【0005】
この特許文献1が開示している構造は、冷間成形用ダイセットのダイプレートを温間成形用として共用できる利点があるが、その一方で、ダイとダイプレート間に断熱材と冷却ユニット(ダイケースと冷却管からなるものを冷却ユニットと言う)を組み込んでいるために金型をセットするときの手間が多くなる欠点がある。また、冷却管による冷却面積の確保に限界があり、冷却効率が不満足なものになってダイセットの熱変形が大きくなる可能性が高い。
【0006】
さらに、ヒータをダイに組み込んでいるので、ダイの構造が複雑化して金型費が高くなる。ダイは加工性の良くない材料で形成されているので、ダイに設けるヒータ組み込み用の孔などの加工は容易でなく、これによる金型費の増加も起こる。
【特許文献1】特許第3504828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、ダイを加熱するヒータとダイプレートを冷却する手段を備えた温間成形が可能な粉末成形用ダイセットにおいて、金型セットの手間を減少させるとともに、冷却効率の向上、金型費の削減なども図れるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明においては、ヒータと冷却ユニットをダイプレートに一体化する。具体的にはダイと、そのダイを支持するダイプレートと、対向した上下のパンチと、ダイを加熱するヒータと、ダイプレートを冷却する冷却手段を備える粉末成形用ダイセットを改善の対象にして、前記ヒータと冷却手段をダイプレートの内部に設ける。ダイプレートによるダイの支持は、ダイをクランプ手段でクランプして行い、クランプ、アンクランプ操作でダイを着脱可能となしておく。
【0009】
この粉末成形用ダイセットは、内部材と外部材からなるダイプレートを採用し、前記冷却手段を、ダイプレートの内部材の外周にダイを取り巻く円筒状の冷却水通路を設けて構成し、その冷却水通路が、前記内部材の外周壁と外部材の内周壁間に形成されているものや、冷却水通路を画する内部材の外周壁に襞を形成したものにすると好ましい。
【0010】
また、ダイプレートの上面側に座ぐり部を設け、その座ぐり部にダイを内側に嵌めるダイケースを組み込み、そのダイケースとダイプレートとの間にロックウールやグラスウールなどの断熱材を用いた断熱層を設け、ヒータによるダイの加熱をダイケース経由で行うようにするのも好ましい。前記断熱層は、前記ダイケースとダイプレートの合わせ面の少なくとも一方に凹部を形成してその凹部に断熱材を設置することによって作り出すことができる。また、断熱材の代わりに空気を凹部に導入して空気断熱を行うものも相応の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明のダイセットは、ヒータと冷却手段をダイプレートの内部に設けたので、ダイとダイプレート間に冷却ユニットを組み込む必要がない。これに加え、ダイとダイプレートは焼嵌めなどにより固定されていないため、ヒータと冷却手段をセットしたダイプレートに後からダイをセットするだけでよく、金型セットの手間が増加しない。
【0012】
また、冷却手段をダイプレートの内部に設けることで断面積の大きい冷媒通路を設けたり、熱交換面積を広げたりすることができるので、冷却効率を高めてダイセットの熱変形を小さくすることも可能になる。
【0013】
さらに、ヒータをダイプレートに内蔵させることで、前掲の特許文献1がダイに設けているヒータ組み込み構造が不要になり、ダイの構造の単純化、ヒータ組み込み部の加工費の削減により金型費も低減される。
【0014】
なお、冷媒は一般的な冷却水でよく、その冷却水を用いる場合には、ダイプレートの内部にダイを取り巻く円筒状の冷却水通路を設ける。その冷却水通路はダイプレートを内部材と外部材とで形成してその両者間に設けると、内部材の外周壁と外部材の内周壁に画されてそれらの壁に接触した冷却水通路を容易に形成することができる。その冷却水通路は、ダイの外周を取り巻く円筒状の通路にすると大きな通路面積を確保することができる。また、この通路を画する内部材の外周壁に襞を設けることで通路内に乱流を生じさせて通路内での冷却水のよどみを防止することができ、同時に内部材側の熱交換面積も増加させることができる。
【0015】
このほか、ダイケースを設けてそのダイケース経由でダイを加熱するものは、ダイケースとダイプレートとの間に断熱層を設けることができる。ダイケースとダイプレートの合わせ面の少なくとも一方に凹部を形成してその凹部で断熱層を形成できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面の図1〜図3に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。例示の粉末成形用ダイセットは、ダイ1、上パンチ2、上パンチに対向させた下パンチ3、及びコアロッド4を備えている。ダイ1はダイプレート5に、上パンチ2はプレス機の上ラム(図示せず)で駆動する上パンチプレート6に、下パンチ3はベースプレート7にそれぞれ支持され、コアロッド4は、プレス機の下ラム(これも図示せず)に駆動されるヨークプレート8に連結されている。
【0017】
ダイプレート5は、内部材5aとそれを取り巻く外部材5bの2者を組み合わせたものにしている。このダイプレート5の外部材5b上には、複数本のガイドロッド9が立設され、そのガイドロッド9を上パンチプレート6に対応して設けたガイド部10にスライド自在に挿通してダイ1と上パンチ2を同軸上に位置決めするようにしている。
【0018】
以上説明した部分は、ダイプレート5を内部材5aとそれを取り巻く外部材5bの2者形成した点を除いて従来のダイセットと特に変わるとことがない。即ち、この発明の粉末成形用ダイセットは、ダイ1を加熱するヒータ11と、ダイプレート5を冷却する冷却手段12を備えており、そのヒータ11と冷却手段12をダイプレート5の内部に設けたところに特徴を有する。
【0019】
ダイプレート5の内部材5aの上面側に中心の孔13と同心の座ぐり部14を設けてその座ぐり部14にダイケース15を組み込み、そのダイケース15の内側にダイ1を抜き取り可能に嵌め、クランプ手段21(図のそれは押えリングと締付けボルトからなる)でダイ1をダイケース15に固定している。ヒータ11は先端側をダイケース15に挿入してダイケース15を加熱するようにしており、ダイ1はダイケース15を介して加熱される。ダイケース15には、ダイ1の加熱制御のための熱電対(図示せず)も設けている。その熱電対でダイケース15の温度を測定して温度制御装置(これも図示せず)に測定データを送り込み、温度制御装置によるフィードバック制御を行ってダイ1の温度を所定範囲に維持する。なお、図のダイセットは、ダイプレート5の下部に固定したホルダ16でヒータ11を支持しているが、ヒータ11の支持は他の方法で行ってもよい。
【0020】
ダイケース15に対するダイプレート5の内部材5a側の合わせ面に凹部20を設けてその凹部20の内部にロックウールを設置して断熱層17を形成しており、ダイケース15に加えられた熱はダイプレート5側へは流れ難い。断熱層17を構成する凹部はダイケース15側の合わせ面に設けることもできるが、その凹部をダイプレート5に設けると、凹部設置によるダイケース15の体積減少、熱容量減少が起こらない。なお、断熱層に用いる断熱材は、グラスウールなどのロックウール以外の断熱材であってもよい。また、凹部20に空気を導入してその空気による断熱を行っても構わない。
【0021】
冷却手段12は、ダイプレート5の断熱層17を設けた部分よりも外側に設けられている。例示の冷却手段12は、ダイプレートの内部材5aの外周に円筒状の冷却水通路18を設けてその冷却水通路18で構成している。冷却水通路18は、内部材5aの外周に環状の溝を形成してその溝で構成して内部材5aの溝底となる部分の外周壁とそれに対面した外部材5bの内周壁との間に配置している。
18aは冷却水通路の入口、18bは出口である。出口18bは、冷却水通路18内での冷却水の循環をよくするために、入口18aから180°回転した位置に設けるとよい
。また、ダイプレート5内に連絡路18cを設けて外部への開放口を冷却水通路18の上部から入口18aと高さが揃う位置まで下げたが、スペース上の設置制約がなければ連絡路18cを省いて冷却水通路18の上部からストレートに外部に開放させてもよい。
【0022】
冷却水通路18に面した内部材5aの外周壁には多数の襞19を設けており、その襞19の働きで冷却水通路18内の冷却水の流れに乱流が生じ、冷却水のよどみが抑えられる。また、襞19を設けたことによって内部材5aの熱交換面積も増加し、これらの相乗効果によってダイの冷却効率が向上する。
【0023】
以上のように構成した粉末成形用ダイセットは、従来の冷却ユニットに相当する冷却手段がダイプレートの内部にあり、それを組み込む作業がなくなるため、金型セットの手間が少なくて済む。また、ダイの固定をクランプ手段21で行っているので、ダイ1を簡単に着脱することができる。
【0024】
また、冷却手段12をダイプレート5の内部に設けたことによって通路面積の大きな冷却水通路を設けることや熱交換部の面積を広げることが可能になるので、冷却効率を高めてダイセットの熱変形を小さくすることも可能になる。熱変形が小さいダイセットは円滑な作動が保証され、成形精度もよくなる。
【0025】
このほか、ダイ1が冷間成形用と同様の単純な構造となるので、金型費が上昇することもない。
【0026】
なお、この発明の粉末成形用ダイセットは、温間成形だけでなく、冷間成形にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の粉末成形用ダイセットの一例を示す断面図
【図2】図1の粉末成形用ダイセットを切断位置を変えて示す断面図
【図3】図1の要部を拡大して示す断面図
【符号の説明】
【0028】
1 ダイ
2 上パンチ
3 下パンチ
4 コアロッド
5 ダイプレート
5a 内部材
5b 外部材
6 上パンチプレート
7 ベースプレート
8 ヨークプレート
9 ガイドロッド
10 ガイド部
11 ヒータ
12 冷却手段
13 中心の孔
14 座ぐり部
15 ダイケース
16 ホルダ
17 断熱層
18 冷却水通路
18a 入口
18b 出口
18c 連絡路
19 襞
20 凹部
21 クランプ手段
【出願人】 【識別番号】593016411
【氏名又は名称】住友電工焼結合金株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2008−12575(P2008−12575A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−187869(P2006−187869)