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【発明の名称】 ホットプレス
【発明者】 【氏名】星野 康史

【要約】 【課題】1つの成形型12において1回のプレス操作により複数の成形品を成形する。

【構成】ホットプレスは、炉体11内部に設けられ粉粒物からなる被処理材16が充填される型孔13cが形成されたダイス13と、型孔13cに上側から嵌入されて被処理材16に下面が接触するパンチ部材14と、パンチ部材14の上端に先端が対向する突出軸19aを有し突出軸19aを突出させることによりパンチ部材14を下降させて被処理材16を加圧するプレスシリンダ19とを備える。単一のダイス13に型孔13cが複数形成され、パンチ部材14が複数の型孔13cに相応して複数設けられ、プレスシリンダ19は単一であってかつ突出軸19aを突出させることにより複数のパンチ部材14の全てを同時に下降させるように構成され、突出軸19aの先端と複数のパンチ部材14の間に超弾性機能を有する形状記憶合金21が複数のパンチ部材14毎にそれぞれ設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒物からなる被処理材(16)が充填される型孔(13c)が形成されたダイス(13)と、前記型孔(13c)に上側から嵌入されて前記被処理材(16)に下面が接触するパンチ部材(14)と、前記パンチ部材(14)の上端に先端が対向する突出軸(19a)を有し前記突出軸(19a)を突出させることにより前記パンチ部材(14)を下降させて前記被処理材(16)を加圧するプレスシリンダ(19)とを備えたホットプレスにおいて、
単一の前記ダイス(13)に前記型孔(13c)が複数形成され、
前記パンチ部材(14)が複数の前記型孔(13c)に相応して複数設けられ、
前記プレスシリンダ(19)は単一であってかつ前記突出軸(19a)を突出させることにより複数の前記パンチ部材(14)の全てを同時に下降させるように構成され、
前記突出軸(19a)の先端と複数の前記パンチ部材(14)の間に超弾性機能を有する形状記憶合金(21)が複数の前記パンチ部材(14)毎にそれぞれ設けられた
ことを特徴とするホットプレス。
【請求項2】
ダイス(13)及びパンチ部材(14)が炉体(11)の内部にそれぞれ設けられ、プレスシリンダ(19)が前記炉体(11)の外部に覆い部材(18)を介して設けられ、形状記憶合金(21)が前記覆い部材(18)の内部に設けられ、前記覆い部材(18)は前記形状記憶合金(21)を前記形状記憶合金(21)の形状回復温度以上に保温可能に構成された請求項1記載のホットプレス。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイスの型孔に粉粒物からなる被処理材を充填してパンチ部材を嵌入し、そのパンチ部材をプレスシリンダにより押し下げることにより被処理材を加圧成形するホットプレスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒状の金属やセラミックを加圧成形するものとしてホットプレスが知られている。このホットプレスはダイスとパンチ部材からなる成形型を有し、ダイスの型孔に粉粒物からなる被処理材を充填してパンチ部材を嵌入し、その状態で炉体の内部に装填し、所定の温度に上昇させて予熱させ、その後パンチ部材をプレスシリンダにより押し下げることにより被処理材を加圧成形し、加圧された被処理材からなる成形品を得るようになっている。従って、従来のホットプレスでは、1つの成形型においてプレスシリンダにより1回プレスすることにより1つの成形品を得るようになっている。
また、近年では、複数の成形型を用いて被処理材を連続的に加圧成形して量産性を高めたホットプレスが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この連続ホットプレスにあっては、被処理材を内蔵する複数の成形型をトレイにそれぞれ搭載し、そのトレイを並べて移動させて炉体内部の予熱部とプレス部とに順次移動させ、予熱と加圧成形を同時に行うことによりその量産性を向上できるとしている。
【特許文献1】特開平8−29068号公報(明細書[0006]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来のホットプレスでは、連続型であったとしても、1つの成形型においてプレスシリンダにより1回プレスすることにより1つの成形品を得るという基本的な事項に変わりはなく、単一のホットプレスにおいて日産数百個から数千個の単位の量産を可能にすることは困難であった。
この点を解消するためには、1つの成形型において1回のプレス操作により複数の成形品を同時に成形させることが考えられる。しかし、全ての成形品に対して等しい圧力を加えるためには、パンチ部材をプレスシリンダにより押し下げる方向に複数の被処理材を積層させて加圧成形する必要があり、円板状のものであれば可能であるけれども、円柱状のように高さ方向に長いものを単一の金型において被処理材を上下方向に積層して複数の成形品を同時に成形することは困難であった。
本発明の目的は、高さ方向に長い成形品であっても、1つの成形型において1回のプレス操作により複数の成形品を成形し得るホットプレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、粉粒物からなる被処理材16が充填される型孔13cが形成されたダイス13と、型孔13cに上側から嵌入されて被処理材16に下面が接触するパンチ部材14と、パンチ部材14の上端に先端が対向する突出軸19aを有し突出軸19aを突出させることによりパンチ部材14を下降させて被処理材16を加圧するプレスシリンダ19とを備えたホットプレスの改良である。
その特徴ある構成は、単一のダイス13に型孔13cが複数形成され、パンチ部材14が複数の型孔13cに相応して複数設けられ、プレスシリンダ19は単一であってかつ突出軸19aを突出させることにより複数のパンチ部材14の全てを同時に下降させるように構成され、突出軸19aの先端と複数のパンチ部材14の間に超弾性機能を有する形状記憶合金21が複数のパンチ部材14毎にそれぞれ設けられたところにある。
【0005】
形状記憶合金21における超弾性機能とは、図5に示すように、形状回復温度以上であれば応力を加えて数パーセントの変形を生じさせたとしても、その加えた応力を除くと元の形状に戻る機能である。従って、この形状記憶合金21を備える請求項1に記載されたホットプレスでは、形状記憶合金21が形状回復温度以上であれば、粉粒物である被処理材16を複数の型孔13cに異なる密度で充填して加圧成形した場合、図4に示すように、当初充填された密度が高い被処理材16に対応する形状記憶合金21は著しく縮んでその成型品の高さは高くなり、当初充填された密度が低い被処理材16に対応する形状記憶合金21は僅かに縮むのみでその成型品の高さは低くなる。そして、その成型品の高さのバラツキが超弾性限度内であれば概ね一定の応力で複数の型孔13cに充填された被処理材16を加圧することになる。このため、単一のダイス13に型孔13cを複数形成したとしても、プレスシリンダ19により1回プレスすることにより、一定の応力で加圧された型孔13cの数に等しい数の成型品を得ることができ、その量産性を従来よりも向上させることができる。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、ダイス13及びパンチ部材14が炉体11の内部にそれぞれ設けられ、プレスシリンダ19が炉体11の外部に覆い部材18を介して設けられ、形状記憶合金21が覆い部材18の内部に設けられ、覆い部材18は形状記憶合金21をその形状記憶合金21の形状回復温度以上に保温可能に構成されたことを特徴とする。
この請求項2に記載されたホットプレスでは、炉体11の外部に設けられた覆い部材18により形状記憶合金21を形状回復温度以上に保温することができ、比較的容易に形状記憶合金21の超弾性機能を発揮させて、複数の型孔13cに充填されたそれぞれの被処理材16を一定の応力で加圧し、一定の応力で加圧された型孔13cの数に等しい数の成型品を比較的容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のホットプレスでは、単一のダイスに型孔を複数形成し、パンチ部材を複数の型孔に相応して複数設け、プレスシリンダは単一であってかつ突出軸を突出させることにより複数のパンチ部材の全てを同時に下降させるように構成し、突出軸の先端と複数のパンチ部材の間に超弾性機能を有する形状記憶合金を複数のパンチ部材毎にそれぞれ設けたので、形状記憶合金が形状回復温度以上であれば、粉粒物である被処理材を異なる密度で型孔に充填したとしても、当初充填された密度が高い被処理材に対応する形状記憶合金は著しく縮んでその成型品の高さは高くなり、当初充填された密度が低い被処理材に対応する形状記憶合金は僅かに縮むのみでその成型品の高さは低くなる。このため、その成型品の高さのバラツキが超弾性限度内であれば概ね一定の応力で複数の型孔に充填された被処理材を加圧することになり、1つの成形型においてプレスシリンダにより1回プレスすることにより、一定の応力で加圧された型孔の数に等しい数の成型品を得ることができ、その量産性を向上させることができる。
この場合、形状記憶合金を炉体の外部に設けられた覆い部材の内部に設け、形状記憶合金をその形状記憶合金の形状回復温度以上に保温可能に覆い部材を構成すれば、その覆い部材により形状記憶合金を形状回復温度以上に保温してその形状記憶合金の超弾性機能を効果的に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施の形態におけるホットプレス10はいわゆるバッチ式のものであって、炉体11とその炉体11の内部に収容された成形型12とを有する。炉体11は、上部が開放された炉本体11aと、その炉本体11aの上部開口部を塞ぐ蓋体11bとを有し、蓋体11bを持ち上げて炉本体11aの上部開口部を開放させることにより成形型12をその内部に装填し又は内部に装填された成形型12を炉体11から取出すことができるように構成される。図示しないが、この炉体11には、炉体11の成形型12が収容される内部空間におけるエアを吸い出した後所定の不活性ガスを充填することよりその内部の気体を置換する気体置換装置と、その内部の温度を所定の温度に上昇させて維持する加熱維持装置が設けられる。
【0009】
図2に示すように、成形型12は、ダイス13とパンチ部材14から成り、これらは炭素材料から作られる。ダイス13はダイス本体13aと下パンチ部材13bからなり、ダイス本体13aには型孔13cが上下方向に貫通して形成される。下パンチ部材13bは、台板13dと、その台板13d上に形成され横断面が型孔13cの内形より僅かに小さく形成された突起13eを有する。その突起13eはその型孔13cに下方から嵌入されてその上面が型孔13cの下側を塞ぐように構成される。
図2に突起13eにより下側が塞がれたダイス13における型孔13cに粉粒物からなる被処理材16が充填された状態を示す。この実施の形態では、被処理材16として、酸素雰囲気下で加圧されると特性が変化する粉粒物が用意される。パンチ部材14は横断面が型孔13cの内形より僅かに小さく形成された棒状部材である。図3及び図4に示すように被処理材16が充填された型孔13cにはパンチ部材14が上側から嵌入され、そのパンチ部材14の下面が被処理材16に接触するように構成される。そして、パンチ部材14の上端に対して下方に荷重を加えることにより型孔13cに充填された被処理材16にパンチ部材14の下端面を押し付け、これにより、その被処理材16を加圧して成形するように構成される。
【0010】
図1に戻って、炉体11の内部に成形型12が装填された状態で、蓋体11bには下端がパンチ部材14に対向し上端が炉体11の上方に突出する中間プレス体17がその蓋体11bに上下動可能に設けられる。この実施の形態における中間プレス体17は、パンチ部材14と同一断面の棒状部材である場合を示す。炉体11の上部には蓋体11bを貫通した中間プレス体17の上部を覆う覆い部材18が設けられ、その覆い部材18の上部にはプレスシリンダ19が設けられる。プレスシリンダ19はその突出軸19aを中間プレス体17の上端に対向させるように鉛直に設けられる。そして、プレスシリンダ19が突出軸19aを突出させると中間プレス体17が下降してその下端がパンチ部材14の上端に当接するように構成される。プレスシリンダ19がその状態から突出軸19aを更に突出させると、図3に示すように、中間プレス体17はパンチ部材14とともに下降し、ダイス13の型孔13cに充填された被処理材16にパンチ部材14の下端面を押し付けてその被処理材16を加圧成形するように構成される。ここで、図1に示される符号20は、プレスシリンダ19が突出軸19aを突出させて被処理材16を加圧成形する際に、受け軸20aを上昇させて成形型12を下方から支持し、炉体11に加わる応力を減少させる受圧シリンダ20である。
【0011】
本発明の特徴ある構成は、ダイス13に複数の型孔13cが形成されたところにある。そして、複数の型孔13cにその数に相当する数のパンチ部材14の下部がその複数の型孔13cに上側から嵌入されて設けられる。一方、プレスシリンダ19は単一であって、突出軸19aの先端には複数のパンチ部材14の全てを包囲し得る平板19bが設けられ、この平板19bの存在により突出軸19aを突出させると中間プレス体17を介して複数のパンチ部材14の全てを同時に下降させるように構成される。そして、突出軸19aの先端と複数のパンチ部材14の間には、超弾性機能を有する形状記憶合金21が複数のパンチ部材14毎にそれぞれ設けられる。この実施の形態における形状記憶合金21は、覆い部材18に設けられた支持板18aに上下動可能であって、突出軸19aの先端における平板19bと中間プレス体17との間にその中間プレス体17と同軸にそれぞれ設けられる。この形状記憶合金21は、棒状部材であって、その断面積は被処理材16を加圧成形しようとする圧力により決定される。
【0012】
ここで、形状記憶合金における超弾性機能とは、形状回復温度以上では数パーセントの変形を加えても応力を除くと元の形状に戻る特性である。このときの応力ひずみ曲線を図5に例示する。図5に例示する形状記憶合金は形状回復温度が318K(45℃)のものを示し、この318K(45℃)以上の温度で完全な超弾性を示すものである。この超弾性機能は、図5からも明らかなように、応力を加えるとそのひずみが応力に比例して矢印のように上昇し、降伏点Cからは応力を僅かに増加させるだけでひずみが大幅に増加して図面において応力が略水平に変位する降伏現象を生じる。一方、この降伏現象が生じても超弾性機能を有する形状記憶合金では、超弾性限度の範囲内における変形であって、その応力を取り去ると、破線矢印で示すようにそのひずみがゼロである初期の状態に戻るものである。そして、この形状記憶合金21の断面積は、被処理材16に所望の圧力を加えた場合に、この形状記憶合金に降伏点Cを超えて超弾性限度の範囲内におけるひずみが生じるように決定される。
【0013】
次に、このような構成のホットプレスを用いて粉粒物からなる被処理材を加圧成形する手順を説明する。
まず、原料となる粉粒物からなる被処理材16を準備し、準備された被処理材16をダイス13の型孔13cに充填する。被処理材16の充填時には予めダイス本体13aに対して下パンチ部材13bを嵌入しておく。被処理材16は複数の型孔13cの全てに所定量充填され、全ての型孔13cに被処理材16が充填された後には、複数の型孔13cにその数に相当する数のパンチ部材14を、その複数の型孔13cにそれらの下部を嵌入させる。次に炉体11における蓋体11bを持ち上げて炉本体11aにおける上部開口部を開放させる。そして、開放状態の上部開口部から被処理材16の充填が完了した成形型12を装荷し、その後、蓋体11bにより炉本体11aにおける上部開口部を閉じる。
【0014】
その後、図示しない気体置換装置により炉体11の内部を高真空に真空引きし、その後不活性ガスをその内部に充填することによりその内部を不活性ガス雰囲気に置換する。その後、図示しない加熱維持装置によりその内部を所定の温度までの昇温させて維持させる。炉体11の内部が所定の温度にまで昇温されて成形型12が被処理材16とともに所定の温度に予熱した後、プレスシリンダ19における突出軸19aを突出させる。すると、図3に詳しく示すように、形状記憶合金21を介して複数の中間プレス体17の全てが押し下げられ、複数の中間プレス体17は複数のパンチ部材14とともに下降し、ダイス13に形成された複数の型孔13cに充填された被処理材16に複数のパンチ部材14の下端面をそれぞれ押し付けて複数の型孔13cに充填された被処理材16をそれぞれ加圧成形する。
【0015】
ダイス13に形成された複数の型孔13cに被処理材16がそれぞれ均一に充填されている場合には、複数の型孔13cにそれぞれ嵌入された複数のパンチ部材14の全てが同一の量だけ下降することにより被処理材16を均一に加圧成形し、これにより複数の型孔13cに充填された被処理材16からなる均一の密度を有する複数の成型品が形成される。その後、加圧成形を行った成形型12を冷却し、十分に冷めた後の成形型12を炉体11から取出し、取出された成形型12を分解して被処理材16を加圧成形することにより得られた複数の成型品を取出し、一連の作業を終了する。従って、ダイス13に100個の型孔13cを形成した場合には、1つの成形型12においてプレスシリンダ19により1回プレスすることにより型孔13cの数に等しい100個の成型品を得ることができ、その量産性を向上させることができる。
【0016】
一方、ダイス13の型孔13cへの被処理材16である粉粒物の充填は、高い量産性を考えると例えば図示しないフィーダカップとシェーカーによるすり切り充填法が採用される。すると、図2の濃淡で示すように、それぞれの型孔13cに充填される被処理材16の量には微妙なバラツキが発生する場合がある。本発明は突出軸19aの先端と複数のパンチ部材14の間に超弾性機能を有する形状記憶合金21を複数のパンチ部材14毎にそれぞれ設けたので、それぞれの型孔13cに充填される被処理材16の量にバラツキが生じたとしても、図4に示すように、その形状記憶合金21が弾性変形して一定密度に加圧成形された成型品を得ることができる。
【0017】
即ち、形状記憶合金21には、形状回復温度以上であれば応力を加えて数パーセントの変形を生じさせたとしても、その加えた応力を除くと元の形状に戻る特性、即ち図5に示すような超弾性機能がある。従って、形状記憶合金21が内蔵された覆い部材18の内部を、形状回復温度以上、図5に例示された特性を有するものであれば例えば328K(55℃)にしてその形状記憶合金21を保温しておくと、図5に示すように400〜450MPaで6パーセントまで超弾性による変形を起こすことが可能になる。このため、形状記憶合金21の長さを例えば10cmとすると、最大6mmのパンチ部材14の高さ位置のずれを400〜450MPaの圧力変動内で吸収することができる。
【0018】
このような形状記憶合金21の超弾性特性を応用すると、粉粒物である被処理材16を異なる密度で型孔13cに充填し、その密度の異なる被処理材16を加圧成形した場合、図4に示すように、当初充填された密度が高い被処理材16に対応する形状記憶合金21は著しく縮んでその成型品の高さは高くなり、当初充填された密度が低い被処理材16に対応する形状記憶合金21は僅かに縮むのみでその成型品の高さは低くなる。そして、その成型品の高さのバラツキHが最大6mmであれば形状記憶合金21の縮み量のバラツキも6mm以内となるので、400〜450MPaの範囲内における概ね一定の応力で複数の型孔13cに充填された被処理材16を加圧することができることになる。このため、それぞれの型孔13cに充填される被処理材16の量にバラツキが生じたとしても、1つの成形型12においてプレスシリンダ19により1回プレスすることにより、一定の応力で加圧された型孔13cの数に等しい数の成型品を得ることができ、その量産性を従来よりも向上させることができる。ここで、プレスシリンダ19は、成型品一個当りの所定成型応力×断面積×型孔13cの数、例えば成型応力を40MPa、断面積を1cm2とし、型孔13cの数を100箇所とすれば40トンの一定荷重を所定時間だけ加えることができるものであれば足りることになる。
【0019】
なお、上述した実施の形態では、ダイス13が単体の成形型12を炉体11の内部に装填して被処理材16を加圧成形する例を示したが、更に量産性を高める場合には、図6に示すようにダイス本体13aを2段に積み重ねても良い。このようにダイス本体13aを積み重ねる場合には、下側のダイス本体13aにおける型孔13cに被処理物16を充填した後その型孔13cにパンチ部材14と断面形状が同一の中間パンチ部材22を上側から嵌入する。その後その下側のダイス本体13a上に上側のダイス本体13aを積み重ね、中間パンチ部材22の上部を上側のダイス本体13aに形成された型孔13cに下側から嵌入させ、中間パンチ部材22の上面により上側のダイス本体13aにおける型孔13cの下側を塞ぐ。そして、上側のダイス本体13aにおける型孔13cに被処理物16を再び充填する。
【0020】
バッチ式ホットプレス10では、1バッチ当りの処理時間が予熱時間及び冷却時間を含むため12時間程度となる。従って、図6に示すように、例えば100個の型孔13cが形成されたダイス本体13aを2段に積み重ねた場合、24時間稼働させることにより日産400個程度の成形品を得ることができる。従って、このバッチ式のホットプレス10にあっては、ダイス13における型孔13cの数を増やし、ダイス本体13aの積層数を増やすなどの方法により、容易に日産数百個の成型品を得ることが可能になる。
【0021】
また、上述した実施の形態ではいわゆるバッチ式のホットプレスを用いて説明したが、図7に示すように、いわゆる連続式のホットプレスに本発明を適用しても良い。図7における連続式のホットプレスでは、炉体11が横方向に延びて設けられ、炉体11の内部が長手方向の一端から他端にかけて予熱部、プレス部、第1冷却部及び第2冷却部に仕切られる。そして炉体11の一端側には入口雰囲気置換室11bが設けられ、その他端側には出口雰囲気置換室11cが設けられる。被処理材16が充填される成形型12は複数準備され、その複数の成形型12はトレイ23にそれぞれ搭載されて並べられる。入口雰囲気置換室11bの外側には、そのトレイ23を押し出して移動させるプッシャ24が設けられ、このプッシャ24により成形型12はトレイ23とともに炉体11の内部を一端から他端に向けて移動するように構成される。このように移動する複数の成形型12は、炉体11の内部において予熱部、プレス部、第1冷却部及び第2冷却部を順次通過するように構成される。
【0022】
成形型12における単一のダイス13には型孔13cが複数形成され、パンチ部材14が複数の型孔13cに相応して複数設けられる。プレスシリンダ19は炉体11のプレス部における上方に設けられ、炉体11の内部のプレス部に成形型12が移動した状態で、その成形型12におけるパンチ部材14に対向し上端が炉体11の上方に突出する複数の中間プレス体17がその炉体11に上下動可能に設けられる。炉体11の上部には複数の中間プレス体17の上部の全てを覆う覆い部材18が設けられ、その覆い部材18の上部にプレスシリンダ19が設けられる。そして、突出軸19aの先端と複数のパンチ部材14の間には、超弾性機能を有する形状記憶合金21が複数のパンチ部材14毎にそれぞれ設けられる。
【0023】
このような連続式のホットプレス10にあっては、粉粒物からなる被処理材16が複数の型孔13cに充填された成形型12をトレイ23に載せ、図7に示す連続式のホットプレス10に持込む。連続式のホットプレス10では、初めに入口雰囲気置換室11bで雰囲気置換を行った後、プッシャ24により押し込んてトレイ23に載った成形型12を炉体11内に押込み、炉体11における予熱部でホットプレス開始温度まで昇温させる。続いて、次のプッシャ24による押し込みにより予熱済みの成形型12は予熱部からプレス部に移動する。このプレス部では、炉体11上部のプレスシリンダ19により突出軸19aを突出させることによって、形状記憶合金21を介してパンチ部材14を下方に移動させて被処理材16を加圧して成形する。
【0024】
更に、次のプッシャ24による押し込みにより成形型12はプレス部から第1冷却部へ移動して冷却される。また次のプッシャ24による押し込みにより成形型12は第1冷却部から第2冷却部に移動し更に冷却される。そして、次のプッシャ24による押し込みにより十分に冷却された成形型12が、出口雰囲気置換室11cを経由して連続式のホットプレス10から取出される。
【0025】
図7に示すような連続式のホットプレス10では、プレス部の成形型12の滞留時間が、成形型12内部の昇温時間に依存するために2時間程度となる。従って、成形型12に100個の型孔13cを形成した場合には、日産1200個程度(2時間当り約100個)の成形品を得ることができる。従って、このような連続式のホットプレス10では、成形型12における型孔13cの数を増やし、又はダイス本体13aを積層することにより、容易に日産数を数千程度にまで増加させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明実施形態のバッチ式のホットプレスを示す断面構成図である。
【図2】その成形型の構成図である。
【図3】そのパンチ部材が押し下げられて被処理材が加圧成形された状態を示す断面構成図である。
【図4】その形状記憶合金が圧縮変形して被処理材が均一に加圧成形された状態を示す図3に対応する断面構成図である。
【図5】その形状記憶合金の形状回復温度以上における応力ひずみ曲線を示す図である。
【図6】そのダイス本体が2段に積み重ねられて被処理材が加圧成形された状態を示す図1に対応する断面構成図である。
【図7】本発明が適用された連続式のホットプレスを示す断面構成図である。
【符号の説明】
【0027】
10 ホットプレス
11 炉体
13 ダイス
13c 型孔
14 パンチ部材
16 被処理材
18 覆い部材
19 プレスシリンダ
19a 突出軸
21 形状記憶合金
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義


【公開番号】 特開2008−12540(P2008−12540A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183118(P2006−183118)