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【発明の名称】 プレス装置
【発明者】 【氏名】江波 俊明

【要約】 【課題】複数の駆動モータを用いて低消費電力で駆動することが可能となるプレス装置を提供する。

【構成】プレス装置1は、第1金型が装着されるクラウン5と、第2金型が装着されクラウン5に向かって移動可能なスライド4と、スライド4を駆動可能な駆動部6とを備える。駆動部6は、複数の駆動モータ7と、該駆動モータ7により駆動されスライド4に動力を伝達可能な複数の駆動部材と、この駆動部材を連結し一方から他方に動力を伝達可能な動力伝達部材とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型が装着される固定部と、
第2金型が装着され、前記固定部に向かって移動可能な可動部と、
前記可動部を駆動可能な駆動部とを備え、
前記駆動部は、第1と第2モータと、該第1と第2モータにより駆動され前記可動部に動力を伝達可能な第1と第2駆動部材と、前記第1と第2駆動部材を連結し一方から他方に動力を伝達可能な動力伝達部材とを含む、プレス装置。
【請求項2】
前記第1と第2モータの一方を制御用モータで構成し、前記第1と第2モータの他方を動力用モータで構成した、請求項1に記載のプレス装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス装置に関し、特に、プレス装置の駆動機構の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレス装置では、一方の金型を他方の金型に向けて駆動して両金型間で被加工物を変形させ、それにより被加工物を所望の形状に成形する。このとき、金型は、一般に駆動モータのような駆動源により駆動される。
【0003】
たとえば、上型と下型とを備えたプレス装置では、上型と下型の一方を駆動してプレス加工を行なう。このように上型と下型とを備えたプレス装置の駆動機構の一例が、特開2001−25894号公報に記載されている。
【特許文献1】特開2001−25894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2001−25894号公報記載のプレス装置では、4つの駆動モータ9を用いて上型2を駆動しているが、各駆動モータ9により駆動される主軸部6が互いに独立しているので、上型2を駆動するためには、常に4つの駆動モータ9を駆動することが必要となる。
【0005】
一般に、プレス装置では、実際にプレス加工を行なう段階では大きな動力が必要となるが、金型を移動させるだけの段階では、金型の質量等にも依存するが、実際にプレス加工を行なう段階と比較すると小さな動力しか必要としない。
【0006】
ところが、上述のような従来のプレス装置では、常に全ての駆動モータ9を駆動して同じ動力で金型を駆動しているため、不必要な段階で多大の動力を浪費することとなり、結果として消費電力が増大するという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、複数の駆動モータを用いて低消費電力で駆動することが可能となるプレス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプレス装置は、第1金型が装着される固定部と、第2金型が装着され固定部に向かって移動可能な可動部と、可動部を駆動可能な駆動部とを備える。駆動部は、第1と第2モータと、該第1と第2モータにより駆動され可動部に動力を伝達可能な第1と第2駆動部材と、第1と第2駆動部材を連結し一方から他方に動力を伝達可能な動力伝達部材とを含む。
【0009】
上記第1と第2モータの一方を制御用モータで構成し、該第1と第2モータの他方を動力用モータで構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプレス装置では、駆動部が複数のモータを備えるので、1つのモータのみで駆動する場合と比較して、容量の小さいモータを使用することができる。その上、駆動部が、複数の駆動部材を連結して一方の駆動部材から他方の駆動部材に動力を伝達可能な動力伝達部材を備えるので、全てのモータを駆動することなく複数の駆動部材を駆動することができる。それにより、必要な動力の大きさに応じて駆動するモータの数を選択することができ、プレス装置を効率的に駆動することができる。その結果、プレス装置の消費電力を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図3を用いて説明する。図1は、本発明の1つの実施の形態におけるプレス装置1の概略構成を示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態におけるプレス装置1は、ベッド(ベース部)2と、タイロッド(支柱部)3と、一方の金型(第2金型)が装着されるスライド(可動部)4と、他方の金型(第1金型)が装着されるクラウン(固定部)5と、駆動モータ7を含む駆動部6とを備える。
【0013】
ベッド2は、プレス装置1の下部に配置され、各種要素を収容可能なベース部として機能する。図1の例では、ベッド2に駆動部6を設置している。タイロッド3は、プレス装置1の四隅に設置され、スライド4やクラウン5を支持する。また、スライド4が移動する際のガイド部材としても機能する。
【0014】
スライド4は、タイロッド3に沿って上下方向に移動可能にプレス装置1に設置される。このスライド4には、一方の金型が装着され、スライド4が上下方向に移動することで当該一方の金型も上下方向に移動する。なお、スライド4を金型アセンブリで構成し、この金型アセンブリを上下方向に移動させるようにしてもよい。また、図1の例では、スライド4を上方に移動させることでプレス加工を行なう。
【0015】
クラウン5は、プレス装置1の上部に配置される。このクラウン5に他方の金型が装着される。該クラウン5とスライド4との間に被加工物を配置した状態で、スライド4をクラウン5に向けて移動させ、これらに設置した金型で被加工物を押圧することで、被加工物を所望の形状に成形することができる。
【0016】
駆動部6は、駆動源である駆動モータ7と、駆動モータ7とスライド4との間に設けられ駆動モータ7からの動力をスライド4に伝達する動力伝達機構とを有する。
【0017】
図2と図3に、駆動部6の構造例を示す。図2および図3に示すように、駆動部6は、複数の駆動モータ7を備える。図2および図3の例では、4つの駆動モータ7を備える場合を例示しているが、駆動モータ7の数は複数であれば任意に設定可能である。また、図2および図3の例では、駆動モータ7は、後述するクランクシャフト8の両端にそれぞれ接続されている。駆動モータ7は、後述するクランクシャフト8の端部に直接取付けてもよいが、減速機等を介してクランクシャフト8と間接的に接続してもよい。
【0018】
上記のようにプレス装置1が複数のモータを備えるので、1つのモータのみで駆動する場合と比較して、容量の小さいモータを使用することができる。また、モータの容量を低減することで、該モータと接続されるシャフトやギア等の各要素のサイズを縮小することもできる。具体的には、後述するクランクシャフト8やギア9の径等を縮小することができる。その結果、プレス装置1をコンパクト化することができる。
【0019】
動力伝達機構は、駆動モータ7により駆動可能な複数の駆動部材と、該駆動部材を連結し一方から他方に動力を伝達可能な動力伝達部材と、駆動部材とスライド4とを接続し動力を伝達可能な接続部材とを備える。
【0020】
図2および図3の例では、駆動部材として1組のクランクシャフト8を採用しているが、クランクシャフト8の数は任意に選択可能である。このクランクシャフト8は、図2に示すように、ベッド2の一端から他端に達するように間隔をあけて略平行に延びるように設置される。クランクシャフト8には、接続部材であるコネクション10が複数取付けられる。図2および図3の例では、2つのコネクション10が間隔をあけて各クランクシャフト8に装着されているが、コネクション10の数や設置位置も任意に選択可能である。
【0021】
コネクション10は、クランクシャフト8とスライド4とを直接または間接的に接続し、クランクシャフト8の回転に従って回転する。このコネクション10が回転することにより、クランクシャフト8に伝達された動力をスライド4に伝達することができ、スライド4を上下方向に駆動することができる。
【0022】
各クランクシャフト8にはギア9がそれぞれ装着される。図2および図3の例では、各クランクシャフト8の長手方向の中央部に1つのギア9を装着しているが、複数のギア9を装着してもよい。また、クランクシャフト8の中央部以外の箇所に単数または複数のギア9を装着してもよい。
【0023】
上記のギア9間に、動力伝達部材としての連結ギア11を設置する。この連結ギア11は、一方のクランクシャフト8から他方のクランクシャフト8に動力を伝達する機能を有する。なお、一方の駆動部材から他方の駆動部材に動力を伝達可能なものであれば、連結ギア11以外の任意の動力伝達部材を使用可能である。
【0024】
上記のように連結ギア11等の動力伝達部材を設置することにより、クランクシャフト8間で動力を伝達することができる。したがって、1つの駆動モータ7で複数のクランクシャフト8を駆動することができる。つまり、全ての駆動モータ7を作動させることなく複数のクランクシャフト8を駆動することができる。それにより、大きな駆動力が必要でない場合には、一部の駆動モータ7のみを選択的に作動させ、大きな駆動力が必要となった段階で、多くのあるいは全ての駆動モータ7を作動させるというモータの動作制御が可能となる。換言すれば、必要な駆動力の大きさに応じて使用するモータの数を適切に選択することが可能となる。その結果、プレス装置1を効率的に駆動することができ、プレス装置1の消費電力を低減することが可能となる。
【0025】
たとえば、実際に製品の加工を行なう直前までは、スライド4を移動可能な動力のみが必要であるので、1つの駆動モータ7のみを選択的に作動させてスライド4を移動させ、実際に製品の加工を行なう段階で、負荷に応じて複数の駆動モータ7を駆動して製品を加工することもできる。このようなモータの駆動制御を行なうには、各駆動モータ7に接続され、必要な駆動力の大きさに応じて各駆動モータ7の動作制御(たとえばON/OFF制御、回転数制御、速度制御等)を行なうことが可能な制御部(図示せず)を設けることが必要となる。
【0026】
また、上記駆動モータ7の中の1つまたは一部を、速度制御機能と位置決め制御機能との少なくとも一方の機能を有するモータで構成してもよい。たとえば、1つまたは一部の駆動モータ7をACサーボモータ(制御用モータ)とすることが考えられる。このようにサーボモータを採用することにより、任意の速度制御および位置決め制御が可能となる。このように1つまたは一部の駆動モータ7をサーボモータとした場合、残りの駆動モータ7としては、サーボモータ以外のモータである動力用モータを使用することが考えられる。
【0027】
上記のように一部の駆動モータ7をサーボモータとした場合、実際に製品の加工を行なう直前までは、該サーボモータを駆動してスライド4を移動させればよい。それにより、低消費電力でスライド4を所望の位置で停止させることができ、かつスライド4の高精度な位置決めも可能となる。また、サーボモータは回転数制御をも行なえるので、サーボモータを使用することでスライド4の移動速度をも制御することができる。
【0028】
次に、上述のプレス装置1の動作例について説明する。なお、以下の説明では、図2等に示す4つの駆動モータ7中の1つの駆動モータ7をサーボモータ(制御用モータ)とし、残りの3つの駆動モータ7を動力用モータとした場合の動作について説明する。
【0029】
まず、製品形状に応じた1組の金型をクラウン5とスライド4とに装着する。この状態で、サーボモータである1つの駆動モータ7のみを駆動して、スライド4を所定位置にまで上昇させる。たとえば200mm〜300mm程度スライド4を上昇させる。このとき、サーボモータ以外の動力用モータである3つの駆動モータ7は駆動しないようにする。このように3つの駆動モータ7を駆動しなくて済むので、消費電力を小さく抑えることができる。その上、スライド4の高さ方向の位置を高精度に位置決めすることもできる。
【0030】
次に、金型間に製品となる素材を挿入し、この状態で、さらにサーボモータである1つの駆動モータ7のみを駆動して、プレス加工直前の位置にまでスライド4を移動させる。なお、金型間への素材の挿入のタイミングは適宜変更可能である。
【0031】
上記のようにプレス加工直前の位置にまでスライド4を移動させた後は、サーボモータと動力用モータとの双方を駆動してプレス加工を行なう。たとえば、スライド4がシャットハイトの手前30mm程度の高さ位置に達した後に、サーボモータと動力用モータとの双方を含む全ての駆動モータ7を駆動してプレス加工を行なう。
【0032】
なお、プレス加工中に動力を変化させたい場合には、作動させる駆動モータ7の数を変化させればよい。たとえば徐々にプレスの際の加圧力を増大させたい場合には、作動させる駆動モータ7の数を段階的に増加すればよい。同時に、作動させる駆動モータ7の数を適宜減少させることにより、加圧力を減少させることができる。
【0033】
また、上述の実施の形態では、スライド4を下方から上方へ移動させるアンダードライブクランクプレス装置に本発明を適用した場合について説明したが、これ以外のプレス装置、たとえばスライド4を上方から下方へ移動させるトップドライブ方式のプレス装置にも本発明は適用可能である。
【0034】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態の各構成要素は、全てが必須のものであるとは限らず、一部の構成要素を省略可能な場合があることも当初から予定している。
【0035】
また、今回開示した実施の形態はすべての点での例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の1つの実施の形態におけるプレス装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すプレス装置の駆動部およびその近傍の斜視図である。
【図3】図1に示すプレス装置の駆動部の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 プレス装置、2 ベッド、3 タイロッド、4 スライド、5 クラウン、6 駆動部、7 駆動モータ、8 クランクシャフト、9 ギア、10 コネクション、11 連結ギア。
【出願人】 【識別番号】591222061
【氏名又は名称】株式会社エナミ精機
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎

【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄

【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平

【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊

【識別番号】100098316
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 久登

【識別番号】100109162
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 將行


【公開番号】 特開2008−6473(P2008−6473A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179862(P2006−179862)