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【発明の名称】 プレス機械
【発明者】 【氏名】新妻 素直

【氏名】桑野 博明

【要約】 【課題】コンデンサなどの蓄電装置を用いることなく、小型の電源設備を用いて、プレス時に必要な電力を駆動モータへ供給できるプレス機械を提供する。

【構成】プレスを行うための駆動モータ3と、駆動モータ3の回転運動を往復運動に変換する第1変換機構5と、第1変換機構5に連結され往復運動するスライド7と、スライド7に取り付けられた金型9との間に被加工物1を挟んだ状態で金型9から荷重を受けて移動するダイクッション8a,8bと、を備えたプレス機械10において、ダイクッション8a,8bを移動可能に支持し前記荷重により電力を発生するエネルギ変換装置21a,21b,31a,31bと、前記電力を駆動モータ3へ供給する電力ライン12と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスを行うための駆動モータと、該駆動モータの回転運動を往復運動に変換する第1変換機構と、第1変換機構に連結され往復運動するスライドと、該スライドに取り付けられた金型との間に被加工物を挟んだ状態で前記金型から荷重を受けて移動するダイクッションと、を備えたプレス機械において、
前記ダイクッションを移動可能に支持し前記荷重により電力を発生するエネルギ変換装置と、
前記電力を前記駆動モータへ供給する電力ラインと、を備えることを特徴するプレス機械。
【請求項2】
前記ダイクッションが前記荷重を受けているプレス期間において、エネルギ変換装置により発生された電力は、直ちに電力ラインを通して前記駆動モータへ供給されるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のプレス機械。
【請求項3】
前記エネルギ変換装置は、動力が供給されると前記金型に向けてダイクッションを押すように構成されており、
前記ダイクッションが前記荷重を受けているプレス期間において、前記エネルギ変換装置に動力を供給する動力供給装置を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス機械。
【請求項4】
前記エネルギ変換装置は、ダイクッションに連結された第2変換機構と、出力軸が第2変換機構に連結された発電可能な電気モータと、からなっており、
第2変換機構は、ダイクッションの直線運動を電気モータの回転運動に変換可能であるとともに、電気モータの回転運動をダイクッションの直線運動に変換可能に構成されており、
前記動力供給装置は、前記プレス期間において前記電気モータへ電力を供給する、ことを特徴とする請求項3に記載のプレス機械。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス機械に関する。より詳しくは、本発明は、プレス加工時に被加工物のしわ押さえを行うためのダイクッションを有するプレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械は、スライドを昇降駆動させ、スライドが下降する時に、スライドの下面に固定された上金型と、その下方に配置された下金型との間に被加工物を挟み込んでプレスを行う。
【0003】
図3は、プレス機械の構成例を示している。図3のプレス機械40は、モータ41と、モータ41の回転エネルギを蓄積するフライホイール47と、モータ41の回転運動を昇降運動に変換する変換機構53(図3では、クランク軸)と、クランク軸53に連結され昇降するスライド57と、を備える。このスライド57が下降することで、スライド57の下面に固定された上金型とその下方に配置された下金型との間に被加工物を挟み込んでプレスを行う。なお、プーリ43及び伝達ベルト45はモータ41の回転駆動力をフライホイール47に伝達する。フライホイール47の回転エネルギはクラッチ48及びギヤ49を介してメインギヤ51に伝達される。メインギヤ51にはクランク軸53が連結されている。
【0004】
このようなフライホイール47を用いた構成では、フライホイール47に蓄積される回転エネルギは被加工物をプレスするプレス期間において放出され、その他の期間でフライホイール47に回転エネルギが再び蓄積される。
【0005】
一方、フライホイールを用いないサーボモータ式のプレス機械も提案されている。このサーボモータ式のプレス機械では、フライホイール、クラッチなどを一掃して小型化、軽量化できる等の利点があるが、プレス時に必要なエネルギをフライホイールに蓄積できないので、サーボモータへ供給する電力を大きくしなければならない。従って、工場内の交流電源設備を大容量としなければならず、電源設備が大型化してしまう。
【0006】
この問題を解決するために、下記特許文献1の技術が提案されている。特許文献1の技術では、コンデンサに電力を蓄えておき、プレス時に必要とされるサーボモータへの電力の一部をコンデンサから供給するようにしている。
【0007】
また、本願の先行技術文献として下記特許文献2がある。特許文献2の技術は、プレス時の衝撃力からエネルギを回生するものである。具体的には、ダイクッションを油圧で支持し、プレス時の衝撃力を圧油蓄積用のアキュームレータで吸収しつつ、この時、生じる油の流れを利用して油圧モータを回転させる。そして、この油圧モータで駆動されるサーボモータで電力を回生している。
【0008】
【特許文献1】特開2003−290998号公報 「プレス機械およびプレス機械システム」
【特許文献2】特許第3707061号公報 「プレスクッション装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の場合には、大容量コンデンサを設けるため不都合が生じる。即ち、大容量コンデンサのスペースが必要になる。また、大容量コンデンサとして通常使用される電解コンデンサは経年による性能劣化を生じやすく保守に手間を要する。また、安全のため、電力が蓄積されたコンデンサの放電を適切なタイミングで行うための放電回路を設けるスペースも必要となる。
【0010】
また、特許文献2の技術は、交流電源設備の大型化の問題を解決するものではない。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために創案されたものである。即ち、本発明の目的は、コンデンサなどの蓄電装置を用いることなく、小型の電源設備を用いつつも、プレス時に必要とされる大きな電力を駆動モータへ供給できるプレス機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、上記課題を解決するため、プレスを行うための駆動モータと、該駆動モータの回転運動を往復運動に変換する第1変換機構と、第1変換機構に連結され往復運動するスライドと、該スライドに取り付けられた金型との間に被加工物を挟んだ状態で前記金型から荷重を受けて移動するダイクッションと、を備えたプレス機械において、前記ダイクッションを移動可能に支持し前記荷重により電力を発生するエネルギ変換装置と、前記電力を前記駆動モータへ供給する電力ラインと、を備えることを特徴するプレス機械が提供される。
【0013】
このように、エネルギ変換装置は、スライドに取り付けられた金型から受ける荷重により電力を発生し、この電力が電力ラインにより駆動モータへ供給されるので、その分、プレス時に電源設備から駆動モータへ供給する電力を低減することができる。しかも、ダイクッションが金型から受ける荷重は大きいので、エネルギ変換装置は、大きい電力を発生することができる。従って、電源設備から駆動モータへ供給する電力を大きく低減することができ、電源設備の小型化が可能になる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によると、前記ダイクッションが前記荷重を受けているプレス期間において、エネルギ変換装置により発生された電力は、直ちに電力ラインを通して前記駆動モータへ供給されるように上記プレス機械は構成されている。
【0015】
プレス期間においてエネルギ変換装置は大きな電力が発生することができる一方、同じプレス期間において、駆動モータへの必要供給電力は最も大きくなる。このように、大きな電力を発生することができるタイミングと、駆動モータへの必要供給電力が最大となるタイミングとが一致する。そこで、上記実施形態では、このタイミングの一致を利用して、プレス期間においてエネルギ変換装置が発生した大きな電力を、直ちに電力ラインを通して駆動モータへ供給する。これにより、電源設備から駆動モータへ供給する電力の最大値を大幅に下げることができる。従って、電源設備をその分小型化することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によると、前記エネルギ変換装置は、動力が供給されると前記金型に向けてダイクッションを押すように構成されており、前記ダイクッションが前記荷重を受けているプレス期間において、前記エネルギ変換装置に動力を供給する動力供給装置を備える。
【0017】
上記構成では、エネルギ変換装置は、ダイクッションを働かせる機能と、駆動モータに対する電力供給源としての機能とを兼ね備えることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によると、前記エネルギ変換装置は、ダイクッションに連結された第2変換機構と、出力軸が第2変換機構に連結された発電可能な電気モータと、からなっており、第2変換機構は、ダイクッションの直線運動を電気モータの回転運動に変換可能であるとともに、電気モータの回転運動をダイクッションの直線運動に変換可能に構成されており、前記動力供給装置は、前記プレス期間において前記電気モータへ電力を供給する。
【0019】
上記構成では、プレス期間において、電気モータは、電力が供給されてダイクッションを金型に向けて押すので、金型からの荷重によりダイクッションは押し返されて下降しつつ、電気モータは大きなトルクを発生する。従って、電気モータから大きな電力が発電される。
また、エネルギ変換装置の構成要素として電気モータを用いるので、装置が大型化・複雑化することがない。
【発明の効果】
【0020】
上述の本発明によると、コンデンサなどの蓄電装置を用いることなく、小型の電源設備を用いつつも、プレス時に必要とされる大きな電力を駆動モータへ供給できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[実施形態]
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態によるプレス機械10の構成を示している。図1に示すように、プレス機械10は、プレスを行うための第1サーボモータ3と、第1サーボモータ3の回転運動を昇降運動に変換する第1変換機構5と、第1変換機構5に連結され昇降運動するスライド7と、スライド7に取り付けられた上金型9との間に被加工物1(例えば、板)を挟んだ状態で上金型9から荷重を受けて移動するダイクッション8a,8bと、を備える。
【0023】
以下、本実施形態によるプレス機械10の構成を詳細に説明する。
【0024】
プレス機械10は、さらに、コンバータ11、直流バス12、スライド駆動用インバータ15、ダイクッション駆動用インバータ17a,17b、スライド制御器19、第2サーボモータ21a,21bを備える。
【0025】
コンバータ11は、工場等に設置された交流電源設備23から交流電源線24を通して電力を受ける。また、コンバータ11は、ダイオード等から構成される整流回路を有しており、交流電源設備23からの交流を直流に変換し直流バス12に直流電力を供給する。
【0026】
直流バス12は、コンバータ11とスライド駆動用インバータ15及びダイクッション駆動用インバータ17a,17bとを電気的に接続する。従って、コンバータ11からの直流電力は、直流バス12を介してスライド駆動用インバータ15及びダイクッション駆動用インバータ17a,17bへ供給される。
【0027】
スライド駆動用インバータ15は、IGBTやGTO等の電力制御素子を構成要素として有し、スライド制御器19からのスライド駆動トルク指令値に基づき、第1サーボモータ結線25を通して第1サーボモータ3に流れる電流及び印加される電圧を制御する。これにより、スライド駆動トルク指令値に従ったトルクを第1サーボモータ3に発生させる。
【0028】
第1変換機構5は、第1サーボモータ3の出力軸とスライド7とに連結され、第1サーボモータ3の回転運動を昇降運動に変換し、スライド7を昇降させる。第1変換機構5の構成は、第1サーボモータ3の回転運動をスライド7の往復運動に変換する適切なものであってよい。例えば、第1変換機構5の構成は、減速機とクランクシャフトとリンク等からなる構成、減速機と偏芯輪とリンク等からなる構成、又は、ボールスクリューからなる構成であってよい。
【0029】
スライド制御器19は、スライド位置測定器27からスライド位置信号を受信することで、スライド7の昇降位置を時々刻々と把握する。スライド制御器19は、その記憶部に予め記憶されたモーションパターンや、オペレータのボタン操作等で設定されるモーションパターンに従ってスライド7が運動するように、スライド駆動トルク指令値を、時々刻々演算し出力する。スライド駆動トルク値の演算方法としては、PID制御などのフィードバック演算やフィードフォーワード制御などを使用することができる。
【0030】
スライド位置測定器27は、スライド7の昇降位置を検出できる適切な構成を有する。例えば、スライド位置測定器27は、磁歪効果と超音波の伝播時間を利用したりリニアエンコーダや、白黒パターンをフォトセンサで読み取るリニアスケールなどであってよい。
スライド位置信号としては、4−20mAや0−10V等のアナログ信号やSSI−CANbus等のディジタル信号を用いることができる。
【0031】
ダイクッション駆動用インバータ17a,17bは、IGBTやGTO等の電力制御素子を構成要素として有し、ダイクッション制御器33a,33bからのダイクッション駆動トルク指令値に基づき、第2サーボモータ結線29a,29bを通して第2サーボモータ21a,21bに流れる電流及び印加される電圧を制御する。これにより、ダイクッション駆動トルク指令値に従ったトルクを第2サーボモータ21a,21bに発生させる。
【0032】
第2変換機構31a,31bは、第2サーボモータ21a,21bの出力軸とダイクッション8a,8bとに連結され、第2サーボモータ21a,21bの回転運動を昇降運動に変換し、スライド7を昇降させる。第2変換機構31a,31bの構成は、サーボモータの回転運動をダイクッション8a,8bの往復運動に変換する適切なものであってよい。例えば、第2変換機構31a,31bの構成は、ボールスクリューからなる構成、又は、ラック/ピニオンからなる構成であってよい。
【0033】
ダイクッション制御器33a,33bは、スライド位置測定器27からスライド位置信号を受信することで、スライド7の昇降位置を時々刻々と把握する。ダイクッション制御器33a,33bは、その記憶部に予め記憶されたモーションパターンや、オペレータのボタン操作等で設定されるモーションパターンに従ってダイクッション8a,8bが運動するように、ダイクッション駆動トルク指令値を、時々刻々演算し出力する。ダイクッション駆動トルク値の演算方法としては、PID制御などのフィードバック演算やフィードフォーワード制御などをすることができる。複数のダイクッション制御器33a,33bは、同じモーションパターンを使用して同じダイクッション駆動トルク指令値を演算してもよいし、異なるモーションパターンを使用して異なるダイクッション駆動トルク値を演算してもよい
【0034】
スライド7には上金型9がボルトやダイクランパを用いて固定されており、スライド7と上金型9は一体的に昇降する。上金型9に対向する位置に下金型14がボルスタ16にボルトやダイクランパを用いて固定されており、ボルスタ16はベッド18に支持されている。ベッド18は動かないように固定されており、ベッド18に支持されたボルスタ16及びボルスタ16に固定された下金型14も動かない。図1の例では、ダイクッション8a,8bは、下金型14を囲むように設けられている。
【0035】
次に上述の構成を有するプレス機械10の作用について説明する。
【0036】
プレス加工される被加工物1は、上金型9と下金型14との間に挿入される。第1サーボモータ3が第1変換機構5を介してスライド7を下降させ、上金型9がダイクッション8a,8bに接触すると、スライド7から上金型9に加わる下向きの力と、第2サーボモータ21a,21bの回転力が第2変換機構31a,31bを介してダイクッション8a,8bに加える上向きの力とによって、被加工物1の周縁部が上金型9とダイクッション8a,8bとの間に挟まれ、これにより、被加工物1のしわ押さえがなされる。この時、上金型9とダイクッション8a,8bとが接触した状態のままスライド7は下降を続け、被加工物1が下金型14に押し当てられ、プレス加工が行われる。プレス加工終了後、スライド7を上昇させるように第1サーボモータ3を回転させ、プレス加工が終了したら被加工物1を取り出す。
【0037】
図2に基づいて、本実施形態によるプレス機械10の作用を詳細に説明する。図2(A)は、時間に対するスライド7の昇降速度を表わし、図2(B)は、時間に対する第1サーボモータ3のトルクを表わし、図2(C)は、時間に対する第2サーボモータ21a,21bのトルクを表わし、図2(D)は、時間に対する第1サーボモータ3が必要とする電力を表わし、図2(E)は、時間に対する第2サーボモータ21a,21bが必要とする電力を表わしている。
【0038】
まず、スライド7が下降しているが、被加工物1が上金型9とダイクッション8a,8bとに挟まれてプレス加工が始まる前は、ダイクッション8a,8bは動かないため、直流バス12からダイクッション駆動用インバータ17a,17bへ供給される電力は極めて小さい(図2(E)参照)。また、この時、被加工物1の成形が行われていないため、スライド7を動かすために第1サーボモータ3に発生するトルクは小さく、直流バス12からスライド駆動用インバータ15に供給される電力は小さい(図2(D)参照)。
【0039】
スライド7をさらに下降させ、被加工物1を上金型9とダイクッション8a,8bとの間に挟んだ状態でプレスを行うプレス期間に入ると、スライド7を動かす第1サーボモータ3のトルクを大きくするために、直流バス12からスライド駆動用インバータ15へ供給される電力は大きくなる(図2(D)参照)。
【0040】
これと同時に、ダイクッション8a,8bは上金型9と共に被加工物1を挟んだ状態でスライド7に押されて下降するが、被加工物1のしわ押さえを行うために、スライド7に向けてダイクッション8a,8bを押すように第2サーボモータ21a,21bに大きな電流、電力を供給してダイクッション8a,8bを機能させる。従って、ダイクッション8a,8bはスライド7に押されて下降しつつ、第2サーボモータ21a,21bには大きなトルクが発生するので、第2サーボモータ21a,21bは大きな電力を発生・回生する。この電力はダイクッション駆動用インバータ17a,17bから直流バス12を介してスライド駆動用インバータ15へ直ちに供給される(図2(E)から図2(D)への矢印を参照)。従って、交流電源設備23及びコンバータ11は、プレス期間において、第1サーボモータ3が必要とする電力から、第2サーボモータ21a,21bで回生された電力を差し引いた電力を、スライド駆動用インバータ15へ供給すればよい。これにより、交流電源設備23を小容量にすることができる。
【0041】
スライド7の下降が終了し、スライド7がダイクッション8a,8bに荷重を与えているプレス期間が終了して、スライド7及びダイクッション8a,8bが上昇に転じると、プレス加工は行われないため、スライド駆動用インバータ15及びダイクッション駆動用インバータ17a,17bへ供給される電力も小さく(図2(D)、図2(E)参照)、第1サーボモータ3及び第2サーボモータ21a,21bに発生するトルクは小さい(図2(B)、図2(C)参照)。
【0042】
上述した本発明の実施形態によるプレス機械10により次の効果(1)〜(3)が得られる。
【0043】
(1)第2変換機構31a,31b及び第2サーボモータ21a,21bにより、スライド7に取り付けられた上金型9からダイクッション8a,8bが受ける荷重により電力が発生し、この電力が第1サーボモータ3へ供給されるので、その分、プレス時に交流電源設備23から第1サーボモータ3へ供給する電力を低減することができる。しかも、ダイクッション8a,8bが上金型9から受ける荷重は大きいので、第2サーボモータ21a,21bは、大きい電力を発生することができる。特に、プレス期間において、第2サーボモータ21a,21bは、電力が供給されてダイクッション8a,8bを上金型9に向けて押すので、上金型9からの荷重によりダイクッション8a,8bが押し返されて下降しつつ、第1サーボモータ3は大きなトルクを発生する。このため、第2サーボモータ21a,21bから大きな電力を発生させることができる。
従って、プレス時に交流電源設備23から第1サーボモータ3へ供給する電力を大きく低減することができ、交流電源設備23を小型化することができる。
また、エネルギを回生するための構成要素として第2サーボモータ21a,21bを用いるので、装置が大型化・複雑化することがない。
【0044】
(2)プレス期間において第2サーボモータ21a,21bは大きな電力が発生することができる一方、同じプレス期間において、第1サーボモータ3への必要供給電力は最も大きくなる。このように、大きな電力を発生することができるタイミングと、第1サーボモータ3への必要供給電力が最大となるタイミングとが一致する。そこで、上記実施形態では、このタイミングの一致を利用して、プレス期間において第2サーボモータ21a,21bが発生した大きな電力を、直ちに第1サーボモータ3へ供給する。これにより、交流電源設備23から第1サーボモータ3へ供給する電力の最大値を大幅に下げることができる。従って、交流電源設備23をその分小型化することができる。
【0045】
(3)第2変換機構31a,31b及び第2サーボモータ21a,21bは、ダイクッション8a,8bを働かせる機能と、第1サーボモータ3に対する電力供給源としての機能とを兼ね備えることができる。
【0046】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。その例を以下において説明する。
【0047】
第1サーボモータ3は、プレスを行うための駆動モータの例であるが、他の適切なモータを駆動モータとして用いてもよい。
また、第1サーボモータ3の代わりに、リニアサーボモータを駆動モータとして用いてもよい。この場合、第1変換機構5を簡略化もしくは省略できる。
【0048】
第2サーボモータ21a,21b及び第2変換機構31a,31bは、ダイクッション8a,8bを移動可能に支持しダイクッション8a,8bが金型から受ける荷重により電力を発生するエネルギ変換装置を構成するが、他の適切なものでエネルギ変換装置を構成してもよい。
例えば、第2サーボモータ21a,21bを発電可能な電気モータとして使用しているが、他の適切なモータを発電可能な電気モータとして使用してもよい。
また、エネルギ変換装置としてリニアサーボモータを用いてもよい。あるいは、エネルギ変換装置は、ダイクッション8a,8bを液圧(例えば、油圧)で支持、昇降できるようにし、流体モータ(例えば、油圧モータ)によりこの時生じる流体の流れから電力を発生する装置であってもよい。なお、エネルギ変換装置として直線動を発生し得るモータを使用する場合、第2変換機構31a,31bを簡略化もしくは省略できる。
【0049】
上述の実施形態では、第2サーボモータ結線29a,29b、ダイクッション駆動用インバータ17a,17bの一部、直流バス12、スライド駆動用インバータ15の一部及び第1サーボモータ結線25により、第2サーボモータ21a,21bが発生した電力を第1サーボモータ3へ供給する電力ラインが構成されるが、他の適切なもので電力ラインを構成してもよい。
例えば、スライド駆動用インバータ15及びダイクッション駆動用インバータ17a,17bがそれぞれ電力の回生が可能なコンバータ11と一体化している構成、又は、第1サーボモータ3、第2サーボモータ21a,21b、スライド駆動用インバータ15及びダイクッション駆動用インバータ17a,17bを直流モータ及びサイリスタレオナード方式による回生機構とする構成を採用することもできる。これら場合には、スライド駆動用インバータ15とダイクッション駆動用インバータ17a,17bとを直流バス12ではなく交流バスで接続する構成が可能となる。
【0050】
ダイクッション駆動用インバータ17a,17bは動力供給装置を構成するが、他の適切なもので動力供給装置を構成してもよい。
【0051】
第2サーボモータ21a,21bから発生する電力が第1サーボモータ3への必要電力よりも大きい場合には、電力回生型のコンバータ11を使用して第2サーボモータ21a,21bからの電力を交流電源設備23へ戻す構成、直流バス12にコンデンサ等の蓄電装置を接続し電力を一時的に蓄える構成、又は、ブレーキ抵抗を付加して余分な電力を熱に変換して消費する構成を採用することができる。
【0052】
上述の実施形態では、ダイクッション駆動用インバータ17a,17b、第2サーボモータ21a,21b、第2変換機構31a,31b、ダイクッション8a,8bをそれぞれ2つずつ設けたが、これらをそれぞれ1つずつ、又は3以上ずつ設けてもよい。
【0053】
上記実施形態と異なり、第1サーボモータ3及び第1変換機構5のいずれか、若しくは、両方が複数個設けられていてもよい。
【0054】
なお、第1サーボモータ3及び第2サーボモータ21a,21bのフィードバック制御のためのセンサとして、上述のスライド位置測定器27以外のものを用いてもよい。即ち、スライド7の位置、速度を直接的又は間接的に検出できる手段を用いることができる。例えば、モータの回転角をエンコーダやレゾルバで測定しこれに機械構造に基づく変換式を施す方式や、モータの回転角をオブザーバで推定しこれに機械構造に基づく変換式を施す方式などを採用する手段であってよい。また、速度を測定しそれを時間積分することにより位置を計算する方式を用いた手段であってもよい。
【0055】
また、ダイクッション制御器33a,33bがダイクッション駆動トルク指令値を出力する方式として、スライド位置を使用せずに、常に一定のダイクッション駆動トルク指令値を出力する方式や、スライド7がダイクッション8a,8bを押す結果として、第2サーボモータ21a,21bに発生する電流、電圧に基づいてスライド位置、速度を推定し、その推定値に基づいてダイクッション駆動トルク指令値を出力する方式を用いてもよい。
【0056】
また、本発明のプレス機械をフライホイールとクラッチブレーキの機構を有するプレス機械に適用してもよい。この場合にも、上述の実施形態と同様に、スライド7を駆動する駆動モータの必要電力が最大となるプレス期間に回生電力を供給できるので、交流電源設備23、コンバータ11を小型化することができる。このように、上述の実施形態と異なる形式のプレス機械にも本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態によるプレス機械の構成図である。
【図2】図1のプレス機械の作用の説明図である。
【図3】従来のプレス機械の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 被加工物
3 第1サーボモータ
5 第1変換機構
7 スライド
8a,8b ダイクッション
9 上金型
10 プレス機械
11 コンバータ
12 直流バス(電力ラインの構成要素)
14 下金型
15 スライド駆動用インバータ
17a,17b ダイクッション駆動用インバータ(動力供給装置)
19 スライド制御器
21a,21b 第2サーボモータ(エネルギ変換装置の構成要素)
23 交流電源設備
24 交流電源線
25 第1サーボモータ結線(電力ラインの構成要素)
27 スライド位置測定器
29a,29b 第2サーボモータ結線(電力ラインの構成要素)
31a,31b 第2変換機構(エネルギ変換装置の構成要素)
33a,33b ダイクッション制御器
40 プレス機械
41 モータ
43 プーリ
45 伝達ベルト
47 プライホイール
49 ギヤ
51 メインギヤ
53 変換機構(クランク軸)
55 連結部材
57 スライド
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実

【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴

【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博


【公開番号】 特開2008−6459(P2008−6459A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178679(P2006−178679)