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【発明の名称】 プレス装置のフレーム構造
【発明者】 【氏名】東田 任人

【要約】 【課題】強度を向上させ、軸受部分等のための機械加工量を低減させたプレス装置のフレーム構造を提供することを目的とする。

【構成】プレス装置AのフレームFの縦部材F1が、平面視において「井」の字状に形成され、該「井」の字状の縦部材が、各板幅Wを、フレームの幅及び奥行き方向のいずれかの方向の寸法に等しく構成し、隙間を明けて前後又は左右一対になった、第1の板材1および第2の板材2と、幅及び奥行き方向の残りの方向に、隙間を明けて配置される第3および第4の板材3,4とから構成され、第3と第4の板材のそれぞれが、第1および第2の板材の内面間1a,2aに配設される主板材3Aと、該第1と第2の板材の表面から主板材の延長線状に位置するよう配置される副板材3Bとによって構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板材を溶接することによって構成されるプレス装置のフレーム構造において、
該プレス装置のフレームの縦部材が、平面視において「井」の字状に形成され、
該「井」の字状の縦部材が、少なくとも、
各板幅を、プレス装置のフレームの幅方向及び奥行き方向のうちのいずれかの方向の寸法に等しく構成し、且つ、相互に隙間を明けて前後一対又は左右一対になった、第1の板材および第2の板材と、
前記幅方向及び奥行き方向のうちの残りの方向に、相互に隙間を明けて前記第1の板材および第2の板材と相まって前記「井」の字状を形成するように配設される、第3および第4の板材とにより構成され、
前記第3および第4の板材のそれぞれが、前記第1および第2の板材の内面間に配設され両端のうちの一端が該第1および第2の板材のうちのいずれかの板材の内面に溶接され且つ該両端のうちの残りの一端が第1および第2の板材のうちの残りの板材の内面に溶接される主板材と、該第1と第2の板材の表面から前記主板材の延長線状に位置するよう配置され内端が該第1と第2の板材の表面に溶接される副板材とによって、構成されていることを特徴とするフレーム構造。
【請求項2】
前記溶接が、前記第1の板材と、第3の板材及び第4の板材との各接続部分の全長にわたって、及び、前記第2の板材と、第4の板材及び第3の板材との各接続部分の全長にわたって、おこなわれていることを特徴とする請求項1記載のフレーム構造。
【請求項3】
前記第1〜第4の板材の下端が、前記フレームの一部を構成する底板に溶接されていることを特徴とする請求項1又は2記載のフレーム構造。
【請求項4】
前記第1と第2の板材、及び第3と第4の板材の主板材のうちの、少なくとも1の板材の中間部位に、このプレス装置で加工する被加工物を挿入する開口が形成され、この開口の上方に上金型が、該開口の下方に下金型が、相対的に近接し且つ離間するよう配置することができるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の項に記載のフレーム構造。
【請求項5】
複数の板材を溶接することによって構成されるプレス装置のフレーム構造において、
該プレス装置のフレームの縦部材が、平面視において「井」の字状に形成され、
該「井」の字状の縦部材が、
平面視においてアングル状の形態を有し端部が外方を向いて配置される4本の隅部材と、この4本の隅部材のうちの各隣接する二つの隅部材間をそれぞれ接続する板状の面部材とから構成され、
前記隅部材の互いに直交する各背面に前記面部材の各一端を溶接することによって、構成されていることを特徴とするフレーム構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、上金型と下金型の間に被加工物を挿入してプレス加工するプレス装置のフレーム構造に関する。なお、この明細書及び特許請求の範囲において、「プレス加工」という文言は、切断加工や穴明け加工も含む広い意味で使用し、また、「プレス装置」は「プレス加工」をおこなう装置をいう。
【背景技術】
【0002】
プレス装置のフレームの縦部材は、ラムが下降して被加工物を加工する際に発生するプレス力の反力を受け、一般に大きな引張り力が作用する。このため、プレス装置のフレームは、フレームの縦部材の必要な箇所の断面積を自在に大きく構成することができる鋳造によって製作されることが多かった。しかし、近年、寸法精度の高い厚板材が市販され、また、溶接技術の進歩及び加工機械の大型化等によって、さらには、プレス装置の多種少量生産等に鑑みて、厚い板材を溶接することによってプレス装置のフレームを製作することも行われるようになっている。
かかる溶接によって製造されたフレームは、溶接後に、摺動面や軸受け部分、又は駆動装置のマウント部分等が機械加工される。
【0003】
ところで、本出願人は、近年、サーボモータを駆動装置として採用した画期的なプレス装置を開発し、既に出願している(特許文献1参照)。
このプレス装置は、バックラッシュがなく且つ大きな能力のブレーキ装置を必要とせず、しかも、静粛な運転が可能な点で優れた特徴を有する。また、バックラッシュがないことから、精密なプレス加工をも可能としている。
【特許文献1】特開2004−243377号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記プレス装置を用いて、精度の高い加工をおこなう場合や、より大きなプレス力を必要とする加工をおこなうおうとすると、加工時に発生する引張り力に起因して、プレス装置のフレームの厳格な意味での伸びが問題となる。
前記問題は、最も簡単な解決手段としては、前記厚板をより厚い寸法の板材にすればよいが、かかる場合には、プレス装置の重量が大幅に増加し、運搬や据え付け等が大がかりとなり、運搬や据え付けコストが増大する。
【0005】
また、前述のように、溶接によってフレームを形成した場合も、プレス装置の軸受け部分、摺動面あるいは駆動ユニットのマウント部分等のフレームの各箇所には、機械加工(切削加工)が施されて、可動部分に高い寸法精度が付与される。しかし、前記溶接による熱歪み等によって変形量が大きくなると、溶接加工後におこなわれる前記機械加工量は多くなり、プレス装置の製造原価を上げることになる。また、かかる場合には、機械加工量が多くなった箇所が肉薄になり、強度的な点で問題が生じる可能性もある。
【0006】
本願発明は、このような現況に鑑みおこなわれたもので、プレス装置のフレームの強度を向上させるとともに、前記機械加工量を低減させることが可能なプレス装置のフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本第1の発明にかかるプレス装置のフレーム構造は、複数の板材を溶接することによって構成されるプレス装置のフレーム構造において、
該プレス装置のフレームの縦部材が、平面視において「井」の字状に形成され、
該「井」の字状の縦部材が、少なくとも、
各板幅を、プレス装置のフレームの幅方向及び奥行き方向のうちのいずれかの方向の寸法に等しく構成し、且つ、相互に隙間を明けて前後一対又は左右一対になった、第1の板材および第2の板材と、
前記幅方向及び奥行き方向のうちの残りの方向に、相互に隙間を明けて前記第1の板材および第2の板材と相まって前記「井」の字状を形成するように配設される、第3および第4の板材とから構成され、
前記第3および第4の板材のそれぞれが、前記第1および第2の板材の内面間に配設され両端のうちの一端が該第1および第2の板材のうちのいずれかの板材の内面に溶接され且つ該両端のうちの残りの一端が第1および第2の板材のうちの残りの板材の内面に溶接される主板材と、該第1と第2の板材の表面から前記主板材の延長線状に位置するよう配置され内端が該第1と第2の板材の表面に溶接される副板材とによって、構成されていることを特徴とする。
【0008】
前述のように構成されたプレス装置のフレーム構造によれば、フレームの縦部材の角部の、外方に、第3の板材の副板材と前記第1の板材の各端部、第3の板材の副板材と第2の板材の各端部、第4の板材の副板材と前記第1の板材の各端部、及び、第4の板材の副板材と第2の板材の端部とが、それぞれ直交するような状態で且つ「剛性」の高い状態で張り出すため、フレームの縦方向に作用する引張り力に対して、極めて高い剛性を具備したフレームが実現される。
また、このフレームの第1の板材の内面と表面、および第2の板材の内面と表面に、それぞれ溶接による等しい熱量が加えられることになるため、且つ、第3の板材の主板材の両端と第4の板材の主板材の両端に等しい熱量が加えられるため、溶接による熱歪みが相殺され、特に、第1と第2の板材、及び第3と第4の板材の主板材の溶接による熱歪みを、最低限に抑えることが可能となる。この結果、軸受け部分や摺動面等が存在する第1と第2の板材、及び第3と第4の板材のうちの主板材に対する機械加工における切削量が極めて低減される。このため、無駄な機械加工を低減することができる。
【0009】
また、前記フレーム構造において、前記溶接が、前記第1の板材と、第3の板材及び第4の板材との各接続部分の全長にわたって、及び、前記第2の板材と、第4の板材及び第3の板材との各接続部分の全長にわたって、おこなわれていると、フレームの角部分がさらに熱硬化して、より剛性の高いフレーム構造を実現することができる。
【0010】
また、前記フレーム構造において、前記第1〜第4の板材の下端が、前記フレームの一部を構成する底板に溶接されていると、フレーム全体が三次元的なラーメン構造となる結果、極めて高い剛性のフレーム構造を実現することができる。
【0011】
また、前記フレーム構造において、前記第1と第2の板材、及び第3と第4の板材のうちの主板材の、少なくとも1の板材の中間部位に、このプレス装置で加工する被加工物を挿入する開口が形成され、この開口の上方に上金型が、該開口の下方に下金型が、相対的に近接し且つ離間するよう配置することができるよう構成されていると、実際のプレス装置として好ましい構成となる。
【0012】
また、本第2の発明にかかるプレス装置のフレーム構造は、複数の板材を溶接することによって構成されるプレス装置のフレーム構造において、
該プレス装置のフレームの縦部材が、平面視において「井」の字状に形成され、
該「井」の字状の縦部材が、
平面視においてアングル状の形態を有し端部が外方を向いて配置される4本の隅部材と、この4本の隅部材のうちの各隣接する二つの隅部材間をそれぞれ接続する板状の面部材とから構成され、
前記隅部材の互いに直交する各背面に前記面部材の各一端を溶接することによって、構成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成されたプレス装置のフレーム構造によれば、フレームの縦部材の角部の、内側と外側の両方に、直交する板状の部分を備えた隅部材が位置するため、フレームの縦方向に作用する引張り力に対して、極めて高い剛性を具備したフレームが実現される。
また、このフレームの前記面部材の両端の周囲に等しい熱量が加えられることになるため、これらの面部材の溶接による熱歪みを、最低限に抑えることが可能となる。この結果、軸受け部分や摺動面等が存在する前記面部材に対する機械加工における切削量が極めて低減されることになる。このため、無駄な機械加工量を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかるプレス装置のフレーム構造によれば、フレームの強度を飛躍的に向上させることができるとともに、機械加工が必要な箇所の、溶接加工後の熱歪みを、最小限に抑えることができるという、言わば「一石二鳥」的な作用効果を得ることが可能となる。
【0015】
また、強度を向上させるために追加した部材が全てプレス装置の表面に露呈しているため、塗装等やメンテナンスがし易いという優れた効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明にかかるプレス装置のフレーム構造の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明の一実施形態(実施形態1)にかかるプレス装置のフレーム構造の全体の概略の構成を示す全体正面図、図2は図1のII−II矢視図(全体平面 図)、図3は図2のIII −III 矢視図(全体背面図)、図4は図1〜図3に示すプレス装置のフレームの縦部材の構成を示す模式図的に表した平面図である。
【0017】
図2あるいは図4に図示するように、本実施形態にかかるプレス装置AのフレームFの縦部材F1は、第1の板材1、第2の板材2、第3の板材3、第4の板材4を、平面視において「「井」の字」状になるように、溶接することによって、形成されている。そして、これら第1の板材1、第2の板材2、第3の板材3、第4の板材4の各板材の下端は、図1あるいは図2に図示するように、左右各1枚配置された底板5に溶接されている。このように第1の板材1、第2の板材2、第3の板材3、第4の板材4及び底板5が溶接されることにより、内部に空間を有する箱型のフレームFの縦部材F1が形成される。
【0018】
そして、前記第1の板材1と第2の板材2は、図1あるいは図2に図示するように、フレームFの幅方向の寸法Wと等しい板幅を備えている。そして、この実施形態の場合、前記第1の板材1がフレームFの正面に位置し、第2の板材2がフレームFの背面に位置する。
【0019】
また、図2あるいは図4に図示するように、前記第3の板材3は、主板材3Aと2枚の副板材3Bとから構成され、また、前記第4の板材4も、主板材4Aと2枚の副板材4Bとから構成されている。この実施形態の場合、前記2枚の副板材3Bは同じ寸法のもので構成され、また、前記2枚の副板材4Bは同じ寸法のもので構成されている。また、前記副板材3Bと副板材4Bも同じ寸法に構成されている。これら各副部材3A,4Bを、同じ寸法に構成することが熱歪み等の影響を可及的に排除する上で好ましいが、必ずしも、同じ寸法に構成されていなくともよい。
【0020】
そして、前記主板材3A,4Aの板幅は、図2(あるいは図3)に図示するように、離間して配置されている前記第1の板材1と第2の板材2の各内面1a,2aの間の寸法Waと等しく構成されている。
【0021】
また、前記副板材3B,4Bの板幅は、この実施形態の場合、前記第3の板材3あるいは第4の板材4が、前記第1の板材1、第2の板材2の表面から正面側へあるいは背面側へ突出している寸法Wbに略等しい寸法に構成されている。
【0022】
また、前記第1〜第4の各板材1,2,3,4は、いずれも等しい厚さの金属製の厚板が使用されている。具体的には、50mm〜100mm厚程度の、一般構造用鋼からなる厚板が使用されている。前記板厚は、プレス装置の大きさ、つまりそのプレス装置のプレス容量によって適宜選択される。つまり、大型のプレス装置の場合には、板厚の厚い板材が、より小型のものは、板厚の薄い板材が使用される。また、この実施形態の場合には、前記第1〜第4の各板材1,2,3,4は、いずれも等しい全高(板長さ)H(図3参照)を有している。
【0023】
そして、この実施形態では、図4に図示するように、前記第1の板材1の内面1aが前記第3の板材3の主板材3Aの一端(正面端)3cとその当接箇所の全長(全周)にわたって溶接されることにより、連結されるとともに、前記第2の板材2の内面2aが前記第3の板材3の主板材3Aの他端(背面端)3dとその当接箇所の全長(全周)にわたって溶接されることにより、これらの板材1,2,3Aが連結されている。同様に、前記第1の板材1の内面1aが前記第4の板材4の主板材4Aの一端(正面端)4cとその当接箇所の全長(全周)にわたって溶接されることにより、連結されるとともに、前記第2の板材2の内面2aが前記第4の板材4の主板材4Aの他端(背面端)4dとその当接箇所の全長(全 周)にわたって溶接されることにより、前記第1の板材1,第2の板材2,第3の板材3の主板材3A及び第4の板材4の主板材4Aが連結されている。
【0024】
そして、図2あるいは図4に図示するように、前記第1の板材1の表面1bの前記第3の板材3の主板材3Aの延設線上に、前記第3の板材3の副板材3Bが一致するような状態で、該副板材3Bの内端3eが前記第1の板材1の表面1bに当接しその当接部分の全長(全周)にわたって溶接されることにより、これらが連結されるとともに、前記第2の板材2の表面2bの前記第3の板材3の主板材3Aの延設線上に、前記第3の板材3の副板材3Bが、一致するような状態で該副板材3Bの内端3eが前記第2の板材2の表面2bが前記第2の板材2の表面2bに当接しその当接部分の全長(全周)にわたって溶接されることにより、これらが連結されている。
【0025】
同様に、前記第1の板材1の表面1bの前記第4の板材4の主板材4Aの延設線上に、前記第4の板材4の副板材4Bが一致するような状態で該副板材4Bの内端4eが前記第1の板材1の表面1bに当接しその当接部分の全長(全周)にわたって溶接されることにより、これらが連結されるとともに、前記第2の板材2の表面2bの前記第4の板材4の主板材4Aの延設線上に、前記第4の板材4の副板材4Bが一致するような状態で該副板材4Bの内端4eが前記第2の板材2の表面2bに当接しその当接部分の全長(全周)にわたって溶接されることにより、これらが連結されている。
【0026】
前記溶接箇所mを、縦部材F1の平面図において図示すると、図4に黒く塗りつぶして図示するようになる。なお、図4では、平面図であることから、上下方向における溶接箇所は表されていないが、上下方向の上端から下端まで、連続して溶接されている。
【0027】
また、前記底板5と前記第1〜第4の板材1〜4との溶接箇所については、図示していないが、該第1〜第4の板材1〜4のほぼ全周にわたって底板5に溶接されている。
【0028】
前述のように、本実施形態の場合には、前記各板材1,2,3,4の全ての当接部分の全長(全周)にわたって溶接されているが、必ずしも全長にわたっておこなわれる必要はなく、必要な強度に合わせて溶接長さが決定されればよい。但し、この場合でも、前記溶接は、第1の板材1と第2の板材2については、それらの内面と表面とが同じ位置に且つ同じ長さにわたって行われることが熱歪みの発生を低減し又いずれかの方向に偏った歪みを発生し難くする上で好ましい。
【0029】
そして、このように前記各板材1〜4が平面視において、「井」の字状になるように溶接されることにより、フレームFの縦部材F1の4方の角部R、つまり、第3の板材3の副板材3Bと第1の板材1の一方の端部で形成される角部R、第3の板材3の副板材3Bと第2の板材2の一方の端部で形成される角部R、第4の板材4の副板材4Bと第1の板材1の他方の端部で形成される角部R、第4の板材4の副板材4Bと第2の板材2の他方の端部で形成される角部Rが、実質上外方に直交するような形態で張り出すため、且つ、これらの第1〜第4の板材1〜4の各下端が前述のように底板5に溶接されているため、フレームの縦方向に作用する引張り力に対して、極めて高い剛性を具備したプレス装置AのフレームFとなる。勿論、他の方向に作用する引張り力等の力に対しても、極めて高い剛性を具備したプレス装置AのフレームFとなる。
また、このように構成されたフレームFでは、第1の板材1の内面1aと表面1b、および第2の板材2の内面2aと表面2bに、それぞれ等しく対応する位置に溶接による等しい熱量が加えられることになるため、また、第3の板材3の主板材3Aの両端3c,3dと第4の板材4の主板材4Aの両端4c,4dにも等しい熱量が加えられることになるため、溶接による熱歪み、特に、第1と第2の板材1,2、及び第3と第4の板材3,4の各主板材3A,4Aに作用する、溶接による熱歪みを、最低限に抑えることが可能となる。この結果、熱歪みによる変形が少ないことから、図1〜図3に図示する、軸受け部分10や摺動面11、あるいは駆動装置Mのマウント部分12等が存在する、前記第1と第2の板材1,2や前記第3と第4の板材3,4の主板材3A,4Aに対して必要となる、機械加工における切削量が極めて低減されることになる。従って、熱歪みによる変形に起因する無駄な機械加工を低減することができ、合理的にプレス装置AのフレームFを製造することが可能となる。なお、前記フレームFは、前述の機械加工を実施する前に、熱歪み及びそれに伴う内部応力を可及的に少なくするために、溶接後に、焼なまし処理することが望ましい。
【0030】
ところで、この実施形態にかかるプレス装置Aのフレーム構造の場合、図1に図示するように、前記第1の板材1の中間部位、この実施形態では、上下方向には、上から1/4程度の箇所から下から1/5程度の箇所にわたる、また、幅方向には、前記第3の板材3の副板材3Bから全幅の1/10程度中心側に入った箇所から第4の板材4の副板材4Bから全幅の1/10程度中心側に入った箇所にわたる如き各寸法を有する、開口Qが、形成されている。この開口Qは、このプレス装置Aを用いた加工の際に、被加工材をプレス装置A内に配置される金型内への挿入と搬出のため、また、該金型等の交換、あるいはプレス装置Aのメンテナンス等のためのものである。そして、この開口Qの上部には上金型が、同下部には下金型が互いに当接し且つ離間動作するよう配置される。
さらに、この実施形態の場合には、図3に図示するように、前記第4の板材4の主板材4Aの下から1/5程度の箇所から2/5程度の箇所にわたって、幅方向には該主板材4Aの全幅にわたって開口Sが形成されている。この開口Sも用途的には、前記開口Qと基本的に同じ用途のために設けられている。
【0031】
ところで、この実施形態では、前記第1〜第4の各板材1〜4の下端は、このフレームFの一部を形成する、左右各一枚の板状の底板5に溶接されているが、このような構成に代えて、前記第1〜第4の全ての板材1〜4の下端が1枚の底板に溶接されるような構成(図示せず)にすると、プレス装置のフレームとしてさらに高い剛性を得ることが可能となる。
【0032】
なお、前記溶接については、溶接の種類に関しては特に言及していないが、この実施形態の場合、自動電気溶接装置を用いて、単位長さ当たりの溶接による熱量が均等になるように、おこなわれている。このような溶接も、熱歪みによるフレームの変形を可及的に少なくする上で好ましい構成となる。しかし、他の溶接であってもよい。
(実施形態2)
ところで、プレス装置A1のフレーム10Fのフレーム構造を、以下のように構成することによっても、前記実施形態1の場合と同様に、該フレーム10Fの縦部材10F1の剛性を飛躍的に高めることができ、且つ、図1〜図3にその位置が示される、プレス装置の軸受け部分10や摺動面11、あるいは駆動装置Mのマウント部分12等が形成される部分(この実施形態2において面部材23)に、熱歪みが生じ難い構成、つまり熱歪みによる変形に起因して必要となる機械加工の切削量が少なくなるような構成を実現することができる。
即ち、この実施形態2にかかるフレーム構造の場合、図5に図示するように、平面視において所謂「アングル鋼材」状の形態を有する4つの隅部材22(22A,22B,22C,22D)を、その端部22cが外方を向くように、互いに離間して四隅に配置し、前記各隅部材22(22A〜22D)の各直交する背面22a,22bの間に、平板状の面部材23(23A,23B,23C,23D)をそれぞれ配設し、左右あるいは前後に対峙する一対の隅部材22の背面22a,22aと前記面部材23の端面23aとの各当接部分の全長(全周)、あるいは、一対の隅部材22の背面22b,22bと前記面部材23の端面23bとの当接部分の全長(全周)を、それぞれ溶接により、これら4つの隅部材22と4つの面部材23とを一体に連結することによって、プレス装置Aのフレーム10Fの縦部材10F1が、平面視において「井」の字状に形成されている。
つまり、前記「井」の字状の構成は、図6に図示するように、前記隅部材22Aの背面22aと前記隅部材22Bの背面22a間に前記面部材23Aを配置して、前記隅部材22Aの背面22aと面部材23Aの端面23aとを溶接し、且つ前記隅部材22Bの背面22aと面部材23Aの端面23bとを溶接する。同様に、前記隅部材22Cの背面22aと前記隅部材22Dの背面22a間に前記面部材23Bを配置して、前記隅部材22Cの背面22aと面部材23Bの端面23aとを溶接し、且つ前記隅部材22Dの背面22aと面部材23の端面23bとを溶接する。
【0033】
そして、前記前記隅部材22Aの背面22bと前記隅部材22Cの背面22b間に前記面部材23Cを配置して、前記隅部材22Aの背面22bと面部材23Cの端面23aとを溶接し、且つ前記隅部材22Cの背面22bと面部材23Cの端面23bとを溶接する。同様に、前記隅部材22Bの背面22bと前記隅部材22Dの背面22b間に前記面部材23Dを配置して、前記隅部材22Bの背面22bと面部材23Dの端面23aとを溶接し、且つ前記隅部材22Dの背面22bと面部材23Dの端面23bとを溶接する。図6において、前記溶接箇所は参照符号mで表す。なお、図6に示すこの実施形態では、前記面部材23Aと面部材23Cとが互いの角部で直接接合され、前記面部材23Bと面部材23Cとが互いの角部で直接接合され、前記面部材23Aと面部材23Dとが互いの角部で直接接合され、前記面部材23Bと面部材23Dとが互いの角部で直接接合されているが、このように互いの角部で直接接合してもよいし、あるいは図示しないが、前記隅部材22を介して間接的に接合されてもよい。しかし、溶接作業を削減するためには、前記角部を直接接合した方が溶接箇所を削減できる点において、好ましい構成となる。
【0034】
前述のように構成された本実施形態にかかるプレス装置A1のフレーム構造の場合にも、前記実施形態1の作用効果と基本的に同じ作用効果を奏する。
【0035】
しかし、この実施形態2にかかるフレーム構造の場合には、各隅部材22の背面22a,22bが正確に直交し且つ各隅部材22が上下方向において直線状に構成されていることが必要があるため、つまり各隅部材22が長手方向に弓状に歪みがないように構成されている必要があるため、この隅部材22を形成するのに機械加工をおこなうか、あるいはこれらの隅部材22ち引き抜き鋼材を使用することが好ましい。
【0036】
ところで、前記各実施形態で説明したプレス装置は、プレス能力が、1,000tから20,000tを超える程度の大型のプレス装置である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、プレス装置のフレーム構造等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態(実施形態1)にかかるプレス装置のフレーム構造の全体の概略の構成を示す全体正面図である。
【図2】図1のII−II矢視図(全体平面図)である。
【図3】図2のIII −III 矢視図(全体背面図)である。
【図4】図1〜図3のフレーム構造の縦部材の配置構成と溶接箇所を示す模式図的に表した平面図である。
【図5】本発明の別の実施形態(実施形態2)にかかるプレス装置のフレーム構造の全体の概略の構成を示す全体平面図である。
【図6】図5のフレーム構造の縦部材の配置構成と溶接箇所を示す模式図的に表した平面図である。
【符号の説明】
【0039】
A…プレス装置
F…フレーム
F1…縦部材
1…第1の板材
2…第2の板材
3…第3の板材
4…第4の板材
3A,4A…主板材
3B,4B…副板材
m…溶接箇所
【出願人】 【識別番号】592039288
【氏名又は名称】富士スチール工業株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏

【識別番号】100106242
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 安航

【識別番号】100110951
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 俊男

【識別番号】100114834
【弁理士】
【氏名又は名称】幅 慶司


【公開番号】 特開2008−781(P2008−781A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171647(P2006−171647)