トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般

【発明の名称】 タイヤ帯状材料の圧着力制御方法及びその圧着力制御装置
【発明者】 【氏名】李 三悦

【要約】 【課題】タイヤ成形時にタイヤ帯状材料の温度を測定し、この測定温度に基づき、最適な圧着力となるように材料圧着手段の圧着力を自動的に制御するタイヤ帯状材料の圧着力制御方法及びその圧着力制御装置を提供する。

【解決手段】材料圧着手段3a,3bは、エアーシリンダー等の圧着駆動装置5のロッド5aの先端にリンク機構6を介して円盤状のステッチャーホイール7が回転自在に取付けられ、このステッチャーホイール7は、前記圧着駆動装置5の進退駆動によりリンク機構6を介して矢印方向に旋回し、成形ドラム1上に供給された帯状材料2を所定の圧着力により圧着する。圧着力と圧着時間は、赤外線温度検出器4等の非接触式の温度センサにより計測した表面温度に基づき決める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形ドラム上に帯状材料を供給し、該帯状材料同士または帯状材料の端末部同士を材料圧着手段により圧着させるタイヤ帯状材料の圧着力制御方法であって、 前記成形ドラム上に供給された帯状材料の表面温度を温度センサにより検出し、この温度センサの温度検出値に基づき、ゴム温度変化とゴムの硬度特性変化との関係から制御装置を介して前記材料圧着手段の圧着力及び圧着時間を自動的に制御することを特徴とするタイヤ帯状材料の圧着力制御方法。
【請求項2】
前記材料圧着手段の圧着力が、異常温度により品質不良を起こす可能性がある圧着力と演算により判断された場合、前記制御装置を介して材料圧着手段の駆動源を停止させる請求項1に記載のタイヤ帯状材料の圧着力制御方法。
【請求項3】
成形ドラム上に供給された帯状材料同士または帯状材料の端末部同士を、材料圧着手段により所定の圧着力で圧着させるように構成して成るタイヤ帯状材料の圧着力制御装置において、
前記成形ドラム上の近傍に、供給された帯状材料の表面温度を検出する温度センサを配設し、この温度センサをゴム温度変化とゴムの硬度特性変化との関係から前記材料圧着手段の圧着力を演算処理する制御装置に接続し、この制御装置により材料圧着手段の圧着駆動装置の圧着力を制御することを特徴とするタイヤ帯状材料の圧着力制御装置。
【請求項4】
前記温度センサが非接触式の温度センサである請求項3に記載のタイヤ帯状材料の圧着力制御装置。
【請求項5】
前記圧着駆動装置が、空気圧レギュレータである請求項3または4に記載のタイヤ帯状材料の圧着力制御装置。
【請求項6】
前記制御装置に、各種サイズに対応した切り替えスイッチを接続した請求項3,4または5に記載のタイヤ帯状材料の圧着力制御装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、タイヤ帯状材料の圧着力制御方法及びその圧着力制御装置に係わり、更に詳しくはタイヤ成形開始時におけるタイヤ帯状材料の温度を検出して材料の最適な圧着力により圧着するように制御するタイヤ帯状材料の圧着力制御方法及びその圧着力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ成形工程において成形ドラム上に供給されたゴムシート等のタイヤ帯状材料同士や、タイヤ帯状材料の端末部同士を貼合わせる場合に、円盤状のステッチャーホイールを備えた材料圧着手段(一般にステッチャー装置等と呼称されている)が用いられている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
ところで、上記のようなステッチャーホイールを備えた材料圧着手段は、通常の乗用車用のタイヤの他、トラック,バス等の大型タイヤの成形にも使用されおり、特に、肉厚で幅広のタイヤ帯状材料を材料圧着手段により圧着させる工程(一般にステッチャー工程呼称されている)では、タイヤ帯状材料に対する材料圧着手段の圧着力は、段取り替え仕様書によって決められており、段取り替え時の材料圧着手段の圧着力の切り替えは手動操作により行われている。
【0004】
このように、切り替え操作は手動設定で行われているため、タイヤ帯状材料の温度変化に伴う硬度変動(夏場の温度が高い時には軟らかく、冬場の温度が低い場合には硬くなる)に追従させることが難しく、タイヤ成形時に様々なタイヤ製品の故障の原因となっていた。
【0005】
この材料圧着手段による圧着工程(ステッチャー工程)が原因と推定されるタイヤの故障として、例えば、タイヤサイドとキャップトレッドとの貼合わせの割れ目が生ずる現象(OJS:open junc-tion splice)、最後の帯状材料とトレッドとの間のエアー溜まり現象(AUT:air under tread )、ショルダー部のエアー溜まり現象(BSH:blister shoulder) 、第1コードプライが波状になる現象(CW:cord Wave)等があり、これらの現象がかなり高い発生率となっている。
【0006】
特に、トラック,バス用のキャップトレッドのセカンド成形において、圧着工程時における上記CW(cord Wave )とAUT(air under tread )とは、タイヤ帯状材料の硬度と材料圧着手段による圧着力とに密接に関係しており、またタイヤ帯状材料の硬度は、材料温度と関係がある。
【0007】
タイヤ帯状材料の温度が高い時は、材料が軟らかくタック(密着力)が良いためAUTの故障は出ずらいが、キャップトレッドとステッチャーホイール部との抵抗が増えるために材料圧着手段の圧着力が高いと第1コードプライが波状になる現象(CW)が出易くなる。逆に、タイヤ帯状材料の温度が低いと材料の密着力が悪くなりAUTが出易いために材料圧着手段の圧着力を高めてやる必要がある。
【0008】
即ち、タイヤ帯状材料の温度は環境に左右され易く、夏場と冬場とでは材料温度にも当然差が生じる。それに伴って、工場の作業現場では、夏場と冬場とで材料圧着手段の圧着力を手動操作により切り替え、作業状況を見ながら生産を行っている。
【0009】
然しながら、このような手動操作による切り替え作業方法では、人為的な操作ミスが発生したり、環境の変化に自動的に追従させることが出来ず、従って実際に問題が生じた時でしか対応させることが出来ないことから、急激なタイヤ帯状材料の温度変化には対応させることが出来ないと言う問題があった。またタイヤ帯状材料の押出し成形後の経過時間によっても材料の温度差が生じている。タイヤ成形工程において、供給されるタイヤ帯状材料の温度は常に一定温度である事が望ましいが、このような一定温度を保つことが難しい以上、従来からタイヤの品質を保証するための最良のタイヤ成形方法が望まれていた。
【特許文献1】特開平10−138364号公報
【特許文献2】特開平5−467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この発明はかかる従来の問題点に着目し、タイヤ成形時にタイヤ帯状材料の温度を測定し、この測定温度に基づき、最適な圧着力となるように材料圧着手段の圧着力を自動的に制御して、故障の少ないタイヤを常に製造できるにようにしたタイヤ帯状材料の圧着力制御方法及びその圧着力制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上記目的を達成するため、この発明のタイヤ帯状材料の圧着力制御方法は、成形ドラム上に帯状材料を供給し、該帯状材料同士または帯状材料の端末部同士を材料圧着手段により圧着させるタイヤ帯状材料の圧着力制御方法であって、前記成形ドラム上に供給された帯状材料の表面温度を温度センサにより検出し、この温度センサの温度検出値に基づき、ゴム温度変化とゴムの硬度特性変化との関係から制御装置を介して前記材料圧着手段の圧着力及び圧着時間を自動的に制御することを要旨とするものである。
【0012】
ここで、前記材料圧着手段の圧着力が、異常温度により品質不良を起こす可能性がある圧着力と演算により判断された場合、前記制御装置を介して材料圧着手段の駆動源を停止させることも可能である。
【0013】
また、この発明のタイヤ帯状材料の圧着力制御装置は、成形ドラム上の近傍に、供給された帯状材料の表面温度を検出する温度センサを配設し、この温度センサをゴム温度変化とゴムの硬度特性変化との関係から前記材料圧着手段の圧着力を演算処理する制御装置に接続し、この制御装置により材料圧着手段の圧着駆動装置の圧着力を制御することを要旨とするものである。
【0014】
ここで、前記温度センサが非接触式の温度センサであり、前記圧着駆動装置が、空気圧レギュレータである。また前記制御装置に、各種サイズに対応した切り替えスイッチを接続して構成するものである。
【0015】
このように構成することで、故障の少ないタイヤを常に製造できるにようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
この発明は上記のように構成したので、以下のような優れた効果を奏するものである。(a).タイヤ品質保証のための手動操作による材料圧着手段の圧着切替え操作を必要とせず 作業性を改善させることが出来る。
(b).トレッドの温度差によるゴムの硬度変化に対する材料圧着手段の圧着力切替え作業を 自動的に追従させることが出来、人為的なミス等による故障を未然に防止できる。
(c).タイヤの品質不良を未然に防ぐことによって、故障の後追い対策がなくなりタイヤの 故障を低減させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明のタイヤ帯状材料の圧着力制御方法を実施するための圧着力制御装置の概略正面図、図2は図1の側面図を示し、1はタイヤの成形ドラム、2はこの成形ドラム1上に供給されるゴムシート等のタイヤ構成材料から成る帯状材料、3a,3bは成形ドラム1の長手方向の両端近傍に配設される左右一対の材料圧着手段、4は成形ドラム1上に供給された帯状材料2の表面温度を検出する赤外線温度検出器等の非接触式の温度センサを示している。
【0018】
前記材料圧着手段3a,3bは、エアーシリンダー等の圧着駆動装置5のロッド5aの先端にリンク機構6を介して円盤状のステッチャーホイール7が回転自在に取付けられ、このステッチャーホイール7は、前記圧着駆動装置5の進退駆動によりリンク機構6を介して矢印方向に旋回し、成形ドラム1上に供給された帯状材料2を所定の圧着力により圧着するように構成されている。
【0019】
また材料圧着手段3a,3bは、ベースプレート8上にスライド可能に載置され、前後シリンダー9により成形ドラム1に対して接近,離反するように構成されている。前記帯状材料2の表面温度を検出する非接触式の温度センサ4は、ゴム温度変化とゴムの硬度特性変化との関係から前記材料圧着手段3a,3bの圧着力を演算処理する制御装置10に接続され、この制御装置10により空気圧調整装置(空気圧レギュレータ)11を介して材料圧着手段3a,3bの圧着駆動装置5の圧着力を制御するように構成されている。
【0020】
前記制御装置10としては、この発明の実施形態では、シーケンス制御コンピュータ(PLC:Programmable Logic Controller)等を持ったプログラム調整器と、メモリー制御器(MCU:Micro Control Unit) とで構成され、各Noに各サイズを対応させておき、サイズによりNo選択を切替えるスイッチ等を備えている。
【0021】
次に、上記のような圧着力制御装置により、タイヤ帯状材料の圧着力制御方法について説明する。
【0022】
成形ドラム1上にタイヤトレッド等の定尺切断されたタイヤ構成部材である帯状材料2を供給し、該帯状材料2同士または帯状材料2の端末部同士を材料圧着手段3a,3bにより圧着させる際、前記回転駆動する成形ドラム1上に供給された帯状材料2の表面温度を赤外線温度検出器等の非接触式の温度センサ4により順次検出する。
【0023】
この温度センサ4により検出した温度検出値は、順次制御装置10に送られ、この制御装置10で前記温度検出値に基づき、図3及び図5に示すようなゴム温度変化とゴムの硬度特性変化との関係から空気圧調整装置(空気圧レギュレータ)11を介して材料圧着手段3a,3bの圧着駆動装置5の圧着力や圧着時間を自動的に制御する。
【0024】
例えば、材料温度(10°C〜40°C)における材料圧着手段3a,3bの圧着駆動装置5(ステッチャー)の圧着力(20 kgf /cm2 〜160 kgf /cm2) としては、図3に示すように直線的なものであり、圧着駆動装置5の圧着力が一定だとしても、材料温度の変動に伴い、故障CW(cord Wave)になる率が変動するものである。即ち、ゴム材料の温度変化に伴って、圧着駆動装置5の圧着力をコントロールする必要がある。
【0025】
また、図4に示すように、温度別に見た未加硫ゴムの硬さ変動は、温度が低くなる程ゴムの硬さは高くなり、温度が高くなる程硬さは低くなる。
【0026】
更にこの発明の実施形態としては、例えば、図5に示すように温度30°Cの時に、キャップ(Cap) トレッドのゲージが21.5mmの時の圧着駆動装置5の圧着力は、約9.80MPa(100kgf/cm2)であり、また温度30°Cの時に、キャップトレッドのゲージが23.0mmの時の圧着駆動装置5の圧着力は、約9.99MPa(102kgf/cm2)である。因みに、温度20°Cの時に、キャップトレッドのゲージが29.0mmの時の圧着駆動装置5の圧着力は、約14.6MPa(149kgf/cm2) 、更に温度10°Cの時に、キャップトレッドのゲージが29.0mmの時の圧着駆動装置5の圧着力は、約18.4MPa(188kgf/cm2) である。
【0027】
上記のように、この発明の実施形態では、タイヤ成形時の成形ドラム1上に巻付け,または貼付けられるシート状のタイヤ構成材料(帯状材料)の表面を温度を温度センサ4により検出し、この温度センサ4により検出した温度に基づき、予め制御装置10に設定してある温度と圧着力とのデータから最適な圧着力を選択し、この選択したデータに基づいて材料圧着手段3a,3bの圧着駆動装置5の圧着力と圧着時間を制御することで、故障のないタイヤの成形作業を行うことが出来るものである。
【0028】
また、この発明では、前記材料圧着手段3a,3bの圧着力が、高温または低温の異常温度により品質不良を起こす可能性がある圧着力と判断した場合には、前記制御装置10を介して材料圧着手段3a,3bの駆動源を停止させることで、タイヤ成形工程のタイヤ故障の発生を未然に防止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明のタイヤ帯状材料の圧着力制御方法を実施するための圧着力制御装置の概略正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】材料温度(°C)と圧着力との関係、及びそれに伴うタイヤ故障(CW)の発生確率を示すグラフ説明図である。
【図4】材料温度(°C)と、ゴム材料の硬さの関係を示すグラフ説明図である。
【図5】各材料温度(°C)におけるキャップ(Cap) トレッドのゲージと圧着駆動装置(ステッチャー)の圧着力との関係を示す実施例のグラフ説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 タイヤの成形ドラム 2 帯状材料
3a,3b 材料圧着手段 4 温度センサ
5 圧着駆動装置 5a ロッド
6 リンク機構 7 ステッチャーホイール
8 ベースプレート 9 前後シリンダー
10 制御装置
11 空気圧調整装置(空気圧レギュレータ)
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【出願日】 平成18年9月22日(2006.9.22)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一

【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照

【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦


【公開番号】 特開2008−73994(P2008−73994A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−256985(P2006−256985)