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【発明の名称】 帯状部材の接合方法および装置
【発明者】 【氏名】吉田 雅昭

【要約】 【課題】帯状部材の長手方向の端部どうしを段差なく、かつすき間が生じないように接合可能にする帯状部材の接合方法および装置を提供する。

【構成】帯状部材Rを先端部側から成形ドラム16の周面に巻付けて、成形ドラム16の周面に巻付いている先端部に向けて後端部を挟持手段7により挟持して移動させ、この後端部を挟持手段7により挟持したまま、後端部の挟持位置の後方側を押圧部9により押圧して先端部と接合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状部材を先端部側から成形ドラムの周面に巻付けて先端部と後端部とを接合する帯状部材の接合方法において、前記成形ドラムの周面に巻付いている前記帯状部材の先端部に向けて後端部を挟持手段により挟持して移動させ、該後端部を挟持手段により挟持したまま、該後端部の挟持位置の後方側を前記成形ドラムの周面に押圧して前記先端部と接合する帯状部材の接合方法。
【請求項2】
前記帯状部材の前記成形ドラムの周面への巻付けに動作に同期させて、前記帯状部材の前記成形ドラムに向けた送り出し動作を行なう請求項1に記載の帯状部材の接合方法。
【請求項3】
前記後端部を押圧する押圧部の幅方向断面形状を前記帯状部材の幅方向断面形状に沿った形状にして押圧する請求項1または2に記載の帯状部材の接合方法。
【請求項4】
帯状部材を前方に配置した成形ドラムに向けて送り出す送り出しコンベヤと、該送り出しコンベヤにより送り出された前記帯状部材を挟持し、前記成形ドラムと送り出しコンベヤとの間を進退移動可能な挟持手段とを備えた帯状部材の接合装置において、前記挟持手段の後方位置に該挟持手段と一体的に進退する押圧部を設け、前記成形ドラムの回転動作に同期させて該成形ドラムに向けて前記帯状部材を送り出す前記送り出しコンベヤの送り出し動作および前記挟持手段の前進動作を行なうように構成した帯状部材の接合装置。
【請求項5】
前記押圧部をゴム製の膨張収縮するブラダーにより構成し、該押圧部の幅方断面形状を前記帯状部材の幅方向断面形状に沿った形状に変形するように形成した請求項4に記載の帯状部材の接合装置。
【請求項6】
前記挟持手段を上下に近接離反するクランプ上板とクランプ下板とにより構成し、該クランプ上板およびクランプ下板の幅方向断面形状を前記帯状部材の幅方向断面形状に沿った形状に形成した請求項4または5に記載の帯状部材の接合装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状部材の接合方法および装置に関し、さらに詳しくは、帯状部材の長手方向の端部どうしを段差なく、かつすき間が生じないように接合可能にする帯状部材の接合方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等のゴム製品の製造工程においては、押出機から押出したゴム部材などの種々の帯状部材が使用され、これら帯状部材を成形ドラムに巻付け、その長手方向先端部と後端部とを接合するようにしている。その際に、接合部に段差やすき間があると成形品(グリーンタイヤ)を加硫した後の製品に段差や筋として現れ、品質を低下させ、例えば、タイヤの場合であれば、タイヤ周面のダイナミックバランスの悪化やサイドウォールの段差が生じ、バンピーサイドが発生し、また、ユニフォミティ等に悪影響を及ぼすことになる。
【0003】
従来、このような帯状部材の長手方向の端部どうしを接合するには、帯状部材の先端部を挟持手段により挟持して成形ドラムに近接させ、先端部側から成形ドラムの周面に均一に巻付け、後端部を成形ドラムの周面に押圧して先端部に接合するようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記のような方法では、後端部を押圧する際に、押圧操作が終わるまで後端部が挟持手段により継続して挟持されず、後端部がフリーの状態になるため、押圧力により後端部がずれて接合部に段差やすき間が生じるという問題があった。
【特許文献1】特開昭63−256430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、帯状部材の長手方向の端部どうしを段差なく、かつすき間が生じないように接合可能にする帯状部材の接合方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の帯状部材の接合方法は、帯状部材を先端部側から成形ドラムの周面に巻付けて先端部と後端部とを接合する帯状部材の接合方法において、前記成形ドラムの周面に巻付いている前記帯状部材の先端部に向けて後端部を挟持手段により挟持して移動させ、該後端部を挟持手段により挟持したまま、該後端部の挟持位置の後方側を前記成形ドラムの周面に押圧して前記先端部と接合することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の帯状部材の接合装置は、帯状部材を前方に配置した成形ドラムに向けて送り出す送り出しコンベヤと、該送り出しコンベヤにより送り出された前記帯状部材を挟持し、前記成形ドラムと送り出しコンベヤとの間を進退移動可能な挟持手段とを備えた帯状部材の接合装置において、前記挟持手段の後方位置に該挟持手段と一体的に進退する押圧部を設け、前記成形ドラムの回転動作に同期させて該成形ドラムに向けて前記帯状部材を送り出す前記送り出しコンベヤの送り出し動作および前記挟持手段の前進動作を行なうように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、帯状部材を先端部側から成形ドラムの周面に巻付けて、成形ドラムの周面に巻付いている先端部に向けて後端部を挟持手段により挟持して移動させ、この後端部を挟持手段により挟持したまま、後端部の挟持位置の後方側を成形ドラムの周面に押圧するので、この押圧力により先端部と後端部とを段差やすき間が生じないように良好に接合することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の帯状部材の接合方法および装置を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0010】
図1、2に例示するように、本発明の帯状部材の接合装置1は、成形ドラム16に隣接して設置され、メインフレーム2に送り出しコンベヤ4を備えている。この送り出しコンベヤ4の先端部および後端部には、それぞれ対になるセンタリングローラ2a、2aが配置されている。送り出しコンベヤ4は、メインフレーム2の後端部に配置したコンベヤ用サーボモータ5により稼動して、ゴムを押出して形成されたタイヤ構成部材となる帯状部材Rを、センタリングローラ2a、2aにより送り出しコンベヤ4の幅方向中央にセンタリングしながら成形ドラム16に向けて送り出す。
【0011】
メインフレーム2の上に立設された支柱14aには挟持用サーボモータ14が配置され、この挟持用サーボモータ14には送り出しコンベヤ4の搬送方向を軸方向とするボールネジ12が接続されている。このボールネジ12を挟んで両側に平行な2本の進退ロッド10、10が配置され、この進退ロッド10、10の後端に固定されたロッド可動部13が、ボールネジ12に螺合して進退可能に構成されている。
【0012】
この接合装置1はボールネジ12を挟んで幅方向に対称な構造で、帯状部材Rの供給ラインが2つ形成されているが、供給ラインの数はこれに限定されず、例えば、供給ラインを1つにして1本の帯状部材Rを供給するようにしてもよい。このように対称構造なので、以後、接合装置1の対称構造の一方側について説明する。
【0013】
メインフレーム2の先端側にはフロントフレーム3が接続され、フロントフレーム3の上には支持フレーム15が立設されている。この支持フレーム15の挿通穴に進退ロッド10が挿通して支持されるとともに、ボールネジ12の先端部が支持されている。進退ロッド10の先端には、先端プレート11が固定され、先端プレート11の後面には、押圧部9が設けられている。
【0014】
また、一点鎖線で示すようにメインフレーム2には後方押え支柱15aが立設され、その頂部には後方押え板15bの一端が軸支され、その他端はフロントフレーム3上まで延びて帯状部材Rを押圧できるように構成した押圧機構が設けられている。尚、他の図面(図5〜図8)においても図が不明確になることを避けるために押圧機構を一点鎖線で記載している。この押圧機構は、特に限定されるものではないが、例えば、図示しないシリンダによって軸支された後方押え板15bの一端側を軸中心に回動させて他端側を下方移動させて帯状部材Rに押付けるようにする。
【0015】
押圧部9は、図3に例示するように、ゴム等の弾性材の中空体(ブラダー等)で構成され、図示しないコンプレッサ等で圧空を生じさせ内部に圧力(正圧)空気を流入することにより膨張し、空気を流出することにより収縮するようになっている。また、図4に例示するように押圧部9の幅方向断面形状が、膨張した際に、接合する帯状部材Rの幅方向断面形状(プロファイル)に沿った形状に変形するように形成されている。押圧部9は、スポンジ等の帯状部材Rの形状に追従する柔軟な材質により形成してもよい。
【0016】
先端プレート11の前面には取付けプレート11aが固定され、この取付けプレート11aに挟持手段7が設けられている。挟持手段7は、取付けプレート11aに固定されたエアシリンダで開閉する一組のクランプ上板8aおよびクランプ下板8bを幅方向に間隔をあけて対置している。対置しているクランプ上板8aおよび下板8bのそれぞれの組みは、互いに幅方向に移動し、互いの幅方向の間隔を変更可能に構成されている。
【0017】
クランプ上板8aおよび下板8bはその幅方向断面形状を、帯状部材Rの挟持する部分の幅方向断面形状(プロファイル)に沿った形状に形成することが好ましい。これにより帯状部材Rを均一な力で挟持することができ、挟持した部分の変形を防止することができる。尚、挟持手段7はクランプ上板8aおよび下板8bの他に、ピンによるクランプ機構、膨張収縮するブラダーによるクランプ機構等を用いることができる。
【0018】
挟持用サーボモータ14によりボールネジ12が回転すると、ロッド可動部13が成形ドラム16に対して進退し、これに伴い押圧部9および挟持手段7が進退するようになっている。また、フロントフレーム3の先端部には、帯状部材Rを切断するカッタ6が幅方向に移動可能に設けられている。
【0019】
以下、この接合装置1による帯状部材Rの接合工程について説明する。
図1、2に示したように、帯状部材Rの先端部の幅方向両端部の上下面をクランプ上板8aおよび下板8bにより挟んだ状態から図5に例示するように、ボールネジ12を回転させるとともに送り出しコンベヤ4を稼動させ、帯状部材Rの先端部を成形ドラム16の巻付け開始点となる吸着パッド17の位置まで伸ばさずに送り出す。この際に、進退ロッド10の前進と送り出しコンベヤ4の送り出しの動きを同期させ、進退ロッド10の前進速度と送り出しコンベヤ4の搬送速度とを同じ(同期)になるようにして帯状部材Rを成形ドラム16に向けて送り出す。これにより帯状部材Rにテンションを生じさせることがなく、成形ドラム16の周面に均一に巻き付けることができる。
【0020】
次いで、図6に例示するように、帯状部材Rの先端部を吸着パッド17の真空吸引により吸着して成形ドラム16の周面に固定し、成形ドラム16をドラム用サーボモータ16aにより回転させる。この際、クランプ上板8aと下板8bとによる帯状部材Rの挟持は解除し、成形ドラム16の回転と送り出しコンベヤ4の送り出しの動きを同期させ、成形ドラム4の周面速度と送り出しコンベヤ4による帯状部材Rの搬送速度とを同じにして同期補正を行ないながら帯状部材Rをクランプ上板8aと下板8bとの間に挿通させて送り出す。
【0021】
形成ドラム16は所定角度回転して、帯状部材Rを途中まで巻付けた位置で停止させ巻付けの時、たるまないように送り出しコンベヤ4を停止させ、この送り出しコンベヤ4を停止する前までにボールネジ12を逆回転させて進退ロッド10を後退させ、押圧部9をカッタ6の前方に位置させる。この後退位置でクランプ上板8aおよび下板8bにより帯状部材Rの幅方向両端部の上下面を再び挟持する。その後、カッタ6を幅方向に移動させて、帯状部材Rを幅方向に切断する。この際に切断端部が上下方向に傾斜するように角度付き切断をする。この切断位置は、巻付ける帯状部材Rの長さが成形ドラム16のほぼ円周長さになるように設定され、段差なく貼り合せをするために長さ補正を行なう。
【0022】
帯状部材Rの切断する端部をクランプ上板8aおよび下板8bにより挟持してから切断するので、ずれなく所定の長さで帯状部材Rを切断することができる。尚、実施形態では、幅方向に移動するカッタ6を設けているが、この構造に限定されることはなく他の切断方法でもよい。例えば、上下移動するカッタなど帯状部材Rを幅方向に切断する切断手段を用いることができる。
【0023】
また、帯状部材Rの切断位置の後方に設けた後方押え板15bにより帯状部材Rが上方から押圧されているので、切断時の帯状部材Rのずれを確実に防止することができる。また、帯状部材Rを切断する後方の直後でセンタリングローラ2a、2により帯状部材Rのセンタリングを行なうので、一段と精度のよい切断ができる。
【0024】
次いで、図7に例示するように、再び成形ドラム16を回転させるとともに、ボールネジ12を回転させて進退ロッド10を前進させ、帯状部材Rの切断した後端部を成形ドラム16に向かって前進させる。この際に成形ドラム16の回転と進退ロッド10の前進の動きを同期させ、成形ドラム16の周面速度と進退ロッド10の前進速度が同じなるように同期補正を行なう。
【0025】
次いで、図8に例示するように、帯状部材Rの後端部をクランプ上板8aおよび下板8bにより挟持したまま、押圧部9を膨張させて後端部の挟持位置の後側を、巻付け開始した先端部に一致するように成形ドラム16の周面に押圧し、帯状部材Rの端部どうしを接合する。ここで、クランプ上板8aおよび下板8bを成形ドラム16の周方向に傾斜可能に構成しておくと、帯状部材Rの後端部を押圧する際に、帯状部材Rを成形ドラム16の周面にすき間を小さくして沿わせることができる。また、このすき間を小さくするために、クランプ下板8bの厚さは小さくすることが好ましい。
【0026】
端部どうしの接合後、クランプ上板8aおよび下板8bのそれぞれの組を互いに離反するように幅方向に移動させ、成形ドラム16の周面と帯状部材Rとの間から抜き去り、進退ロッド10を後退させて図1の状態に戻る。
【0027】
このように、帯状部材Rの後端部をクランプ上板8aおよび下板8bにより挟んだ状態で挟持位置の後方側を成形ドラム16に押圧するので、押圧力により後端部がずれないように所定位置に押圧することができる。これにより、帯状部材Rの長手方向の端部どうしを段差やすき間をなくして接合することが可能になる。また、押圧部9と帯状部材Rとの幅方向断面形状がほぼ同じ形状に形成されているので、帯状部材Rを均一に押圧して接合することが可能になる。
【0028】
また、成形ドラム16の周面に帯状部材Rを巻きつける際に、成形ドラム16の回転動作と、送り出しコンベヤ4や進退ロッド10による成形ドラム16への帯状部材Rの送り出し動作とを同期させ、成形ドラム16の周面速度と帯状部材Rの送り出し速度と調整している。これにより、帯状部材Rは成形ドラム16の周面に張りや弛みがないように、ほぼ中立状態で成形ドラム16に均一に巻付けられている。
【0029】
したがって、帯状部材Rを巻付ける際に生じるテンションにより接合部Jの幅方向両端部が収縮して先端部と後端部との間に生じるすき間を防止することができる。そのため、大きな収縮差が発生し易い、幅方向断面形状が厚さの差が大きい帯状部材Rであっても、先端部と後端部とをすき間なく密着して接合することができる。部材によって収縮率の異なるものがあるが、帯状部材Rを離すことなく挟持したまま押圧するので、スプライス量の均一性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の帯状部材の接合装置を例示する側面図である。
【図2】図1の帯状部材の接合装置の平面図である。
【図3】図1の帯状部材の接合装置の押圧部を例示する拡大側面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】図1の帯状部材の接合装置による接合工程の始めの状態を例示する側面図である。
【図6】図5の次の状態を例示する側面図である。
【図7】図6の次の状態を例示する側面図である。
【図8】図7の次の状態を例示する側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 接合装置
2 メインフレーム 2a センタリングローラ
3 フロントフレーム
4 送り出しコンベヤ
5 コンベヤ用サーボモータ
6 カッタ
7 挟持手段
8a クランプ上板 8b クランプ下板
9 押圧部
10 進退ロッド
11 先端プレート 11a 取付けプレート
12 ボールネジ
13 ロッド可動部
14 挟持用サーボモータ 14a 支柱
15 支持フレーム 15a 後方押え支柱 15b 後方押え板
16 成形ドラム 16a ドラム用サーボモータ
17 吸着パッド
R 帯状部材 J 接合部
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【出願日】 平成18年8月24日(2006.8.24)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一

【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照

【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦


【公開番号】 特開2008−49589(P2008−49589A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−228224(P2006−228224)