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カーカスプライの癖付け方法、及び空気入りタイヤの製造方法 - 特開2008−44168 | j-tokkyo
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【発明の名称】 カーカスプライの癖付け方法、及び空気入りタイヤの製造方法
【発明者】 【氏名】亀井 澄雄

【要約】 【課題】ビードコアに巻き付けるカーカスプライの側端部の複数箇所に予め折曲部を形成して癖付けする際に、正確かつ確実に各折曲部を形成して癖付けを施すとともに、折曲部の形成効率を高めて短時間で癖付けを行う。

【構成】カーカスプライ51の折曲部51A、B、Cを形成する部分のそれぞれに折曲ロール20A、B、Cを配置し、カーカスプライ51の両側端部の折り曲げを、幅方向の外側に配置した折曲ロール20Aから内側に配置した折曲ロール20B、Cの順に開始する。各折曲ロール20A、B、Cをカーカスプライ51に押し付けて各折り曲げを行うとともに、その状態でカーカスプライ51の長手方向に沿って互いに所定の間隔を隔てて移動させて、各折曲部51A、B、Cを順次形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤビード部でビードコアの周りに巻き付けられるカーカスプライの側端部を、前記カーカスプライの幅方向の複数箇所で前記ビードコアに巻き付く向きに折り曲げて折曲部を形成し、該カーカスプライの側端部に前記ビードコアの断面形状に応じた癖付けを施すカーカスプライの癖付け方法であって、
前記カーカスプライの折り曲げを行う折曲手段を、前記カーカスプライの前記折曲部を形成する複数箇所のそれぞれに前記カーカスプライの幅方向に配置する工程と、
前記幅方向の外側に配置した折曲手段から内側に配置した折曲手段の順に間隔を開けて前記カーカスプライに押し付けて前記折り曲げを開始する工程とを有し、
前記複数箇所の折曲部の形成を前記カーカスプライの幅方向外側から内側の順に行うことを特徴とするカーカスプライの癖付け方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたカーカスプライの癖付け方法において、
前記幅方向に配置した複数の折曲手段を、前記カーカスプライに押し付けつつ前記カーカスプライの長手方向に沿って互いに間隔を開けて相対移動させて、前記カーカスプライの幅方向外側から内側の順に前記複数箇所の折曲部を形成する工程を有することを特徴とするカーカスプライの癖付け方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたカーカスプライの癖付け方法において、
前記折曲手段を前記カーカスプライに押し付けて該カーカスプライを前記折曲手段の逆面側に設けられた凹溝内に押し込んで前記カーカスプライの折り曲げを行うことを特徴とするカーカスプライの癖付け方法。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載されたカーカスプライの癖付け方法において、
前記折曲手段は、外周面に押込刃が形成された折曲ロールであることを特徴とするカーカスプライの癖付け方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたカーカスプライの癖付け方法において、
前記カーカスプライの複数箇所の折曲部を、前記カーカスプライの両側端部で同時に行うことを特徴とするカーカスプライの癖付け方法。
【請求項6】
タイヤビード部に配置されるビードコアの周りにカーカスプライの側端部を巻き付けて空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記カーカスプライの側端部に、請求項1ないし5のいずれかに記載されたカーカスプライの癖付け方法により複数の折曲部を形成して前記ビードコアの断面形状に応じた癖付けを施す工程と、
該癖付けを施したカーカスプライの側端部の内側に前記ビードコアを配置して該ビードコアの周りに前記カーカスプライの側端部を巻き付ける工程と、
を有することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤビード部に配置されるビードコアの周りに巻き付けられるカーカスプライの側端部を、ビードコアに巻き付く向きに折り曲げて折曲部を形成し、ビードコアの断面形状に応じた癖付けを施すカーカスプライの癖付け方法、及び、このカーカスプライを用いた空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、一般に、その構成部材(素材)として、一対の略環状のビードコアと、複数本の並列したコード等を未加硫ゴムで被覆したカーカスプライとを有し、この少なくとも1枚のカーカスプライを、タイヤビード部に配置した一対のビードコア間にトロイダル状に延びるように配置してカーカス層を形成している。また、このような構造の空気入りタイヤ、例えばトラック、バス用等の重荷重用空気入りラジアルタイヤでは、カーカスプライの両側端部のそれぞれを、ビードコアの周りに折り返してタイヤ半径方向外側に向かって巻き上げて係止するとともに、その巻き上げ高さを高くして、タイヤの負荷転動時におけるカーカスプライのビードコアからの引き抜けを防止等している。
【0003】
しかしながら、このような従来のビード部構造では、カーカスプライの巻き上げ外端付近を境界に、タイヤ半径方向の内外側に剛性段差が生じるため、タイヤの負荷転動時に、カーカスプライの外端近傍に応力が集中し易くなる。その結果、カーカスプライの外端付近に繰り返し大きな歪みが作用して、そこからセパレーションが発生し、クラックに進展する等してビード部の耐久性が低下する恐れがある。そこで、従来、カーカスプライの両側端部をビードコアの外周面に沿って包み込むように巻き付けて、セパレーションの発生等を抑制した空気入りタイヤが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
図3は、この従来の空気入りタイヤの要部を示すタイヤ幅方向の半断面図である。
この空気入りタイヤ50では、図示のように、カーカスプライ51の側端部を、ビード部52に埋設したビードコア53の周りに、タイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返すとともに、その折り返した先端部分をビードコア53の外周面に巻き付けている。これにより、カーカスプライ51の端部に応力が集中するのを抑制して端部で発生する繰り返し歪みを低減し、セパレーションの発生を抑制してビード部52の耐久性等を向上させている。また、このタイヤ50では、カーカスプライ51の側端部を予め塑性変形させて折り曲げ、ビードコア53の角部位置に対応した3箇所に折曲部51A、B、Cを形成している。これにより、カーカスプライ51の側端部にビードコア53の断面形状(ここでは略六角形状)に応じた癖付けを施し、カーカスプライ51の側端部を、ビードコア53の外周面に沿って正確かつ確実に巻き付けている。
【0005】
図4は、このような従来のカーカスプライ51に折曲部51A、B、Cを形成する折曲部形成装置の例を概略的に示す平面図であり、図5は、折曲部51A、B、Cを形成して癖付けしたカーカスプライ51の幅方向断面図である。
この従来の折曲部形成装置60は、図4に示すように、カーカスプライ51を支持する支持体(ここでは支持台)10と、支持体10の上面側(図では紙面手前側)の幅方向両側端部付近に配置された一対の折曲ロール20と、を備えている。各折曲ロール20は、略円盤状をなすとともに、外周面に断面略V字状の押込刃21が形成され、その中心軸線を支持体10の幅方向と略平行にして、支持部材(図示せず)により回転自在に支持されている。また、折曲ロール20は、支持体10の幅方向及び長手方向に移動可能かつ、その上面に接触及び離間可能に構成されており、支持体10の上面(カーカスプライ51)に外周面(押込刃21)を接触させた状態で、長手方向の一方側の端部から他方側の端部まで回転しつつ移動するようになっている。
【0006】
この折曲部形成装置60により、カーカスプライ51の側端部に上記した各折曲部51A、B、Cを形成するときは、カーカスプライ51を支持体10上の所定位置にセットした後、一対の折曲ロール20を、それぞれカーカスプライ51に押し付けて、その長手方向に沿って一端側から他端側まで移動させてカーカスプライ51を塑性変形させて折り曲げる。このとき、折曲ロール20外周面の押込刃21をカーカスプライ51に押し付けて、支持体10の表面に形成された例えば断面略V字状等の凹溝(図示せず)内に押し込んで折り曲げ、折曲ロール20を転動させて各折曲部51A、B、Cを形成する。これにより、図5に示すように、カーカスプライ51両側端部の所定位置(ビードコアの角部位置)に、折曲部51A、B、Cを形成してビードコアの断面形状に応じた癖付けを施す。
【0007】
ここで、このような従来の折曲部形成装置60では、折曲部51A、B、Cの形成を、例えばカーカスプライ51の両側端部で幅方向外側から内側に向かって順次行う、即ち、各折曲ロール20を、折曲部51A、B、Cの本数に応じた回数(ここでは3回)往復させて行うのが一般的である。そのため、折曲部の形成本数に比例して折り曲げの加工工数及び加工時間が増加し、タイヤの成型コストや効率等が悪化するという問題がある。また、近年、タイヤ成型装置の能力向上に伴い、タイヤの成型時間が短縮する傾向があり、これに合わせてカーカスプライ51の癖付け時間の短縮を図る必要がある。
【0008】
このような問題に対処するため、従来、折曲部の本数に対応した複数の折曲ロール20をカーカスプライ51の幅方向に並列して設け、各折曲ロール20の外周面をカーカスプライ51に押し付けつつ同時に移動させて、複数箇所の折曲部を同時に形成して癖付けすることが提案されている(特許文献2参照)。
【0009】
しかしながら、このような方法でカーカスプライ51に折曲部51A、B、Cを形成する場合には、各折曲部51A、B、Cに所定の折曲量(塑性変形量)を付与できないことがある。即ち、複数箇所で同時に折り曲げを行うと、例えばカーカスプライ51の端部が、幅方向最外側の折曲部51Aを形成する折曲ロール20に押さえ付けられて、他の折曲部51B、Cでの変形(折り曲げ)が抑制される。その結果、折曲部51B、Cでの変形抵抗が増加する等して折り曲げができない、或いは、折曲量が不足等することがある。また、折曲部51A部分でも、他の折曲部51B、Cに押し付けられる折曲ロール20により、その方向へ向かう張力が作用して変形抵抗が変化する等し、折曲量が増減することがある。そのため、このような方法では、各折曲部51A、B、Cの折曲量に過不足が生じ易く、カーカスプライ51に所定の癖付けを正確に施すのが難しい。
【0010】
【特許文献1】特開2000−219016号公報
【特許文献2】特開2000−225653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、ビードコアの周りに巻き付けるカーカスプライの側端部の複数箇所に予め折曲部を形成して癖付けする際に、正確かつ確実に各折曲部を形成して癖付けを施すとともに、折曲部の形成効率を高めて短時間で癖付けを行い、カーカスプライ及びタイヤの製造コストを低下させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、タイヤビード部でビードコアの周りに巻き付けられるカーカスプライの側端部を、前記カーカスプライの幅方向の複数箇所で前記ビードコアに巻き付く向きに折り曲げて折曲部を形成し、該カーカスプライの側端部に前記ビードコアの断面形状に応じた癖付けを施すカーカスプライの癖付け方法であって、前記カーカスプライの折り曲げを行う折曲手段を、前記カーカスプライの前記折曲部を形成する複数箇所のそれぞれに前記カーカスプライの幅方向に配置する工程と、前記幅方向の外側に配置した折曲手段から内側に配置した折曲手段の順に間隔を開けて前記カーカスプライに押し付けて前記折り曲げを開始する工程とを有し、前記複数箇所の折曲部の形成を前記カーカスプライの幅方向外側から内側の順に行うことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたカーカスプライの癖付け方法において、前記幅方向に配置した複数の折曲手段を、前記カーカスプライに押し付けつつ前記カーカスプライの長手方向に沿って互いに間隔を開けて相対移動させて、前記カーカスプライの幅方向外側から内側の順に前記複数箇所の折曲部を形成する工程を有することを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載されたカーカスプライの癖付け方法において、前記折曲手段を前記カーカスプライに押し付けて該カーカスプライを前記折曲手段の逆面側に設けられた凹溝内に押し込んで前記カーカスプライの折り曲げを行うことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3に記載されたカーカスプライの癖付け方法において、前記折曲手段は、外周面に押込刃が形成された折曲ロールであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載されたカーカスプライの癖付け方法において、前記カーカスプライの複数箇所の折曲部を、前記カーカスプライの両側端部で同時に行うことを特徴とする。
請求項6の発明は、タイヤビード部に配置されるビードコアの周りにカーカスプライの側端部を巻き付けて空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、前記カーカスプライの側端部に、請求項1ないし5のいずれかに記載されたカーカスプライの癖付け方法により複数の折曲部を形成して前記ビードコアの断面形状に応じた癖付けを施す工程と、該癖付けを施したカーカスプライの側端部の内側に前記ビードコアを配置して該ビードコアの周りに前記カーカスプライの側端部を巻き付ける工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビードコアの周りに巻き付けるカーカスプライの側端部の複数箇所に予め折曲部を形成して癖付けする際に、正確かつ確実に各折曲部を形成して癖付けできるとともに、折曲部の形成効率を高めて短時間で癖付けを行うことができ、カーカスプライ及びタイヤの製造コストを低下させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のカーカスプライの癖付け方法は、上記した癖付け方法(図4参照)と同様に、少なくとも1枚のカーカスプライの側端部(ビードコアへの巻き付け部)を、折曲部形成装置により塑性変形させて折り曲げ、複数箇所に予め折曲部を形成して癖付けを施す方法である。以下では、図4に示す従来の折曲部形成装置60と同様に、ビードコアの断面形状(ここでは、断面六角形状)に対応して、カーカスプライ両側端部の所定位置(ビードコアの角部位置に対応した3箇所)に折曲部を形成する場合を例に採り説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のカーカスプライに折曲部を形成して癖付けを施す折曲部形成装置を概略的に示す平面図である。
この折曲部形成装置1は、図示のように、カーカスプライ51を支持する支持体(ここでは支持台)10と、支持体10の上面側(図では紙面手前側)の所定位置に配置された複数(ここでは6個)の折曲ロール20A、B、Cと、を備えている。
【0016】
支持体10は、カーカスプライ51全体を支持可能な大きさの支持面を有し、図示しない供給手段から供給されて所定位置にセットされるカーカスプライ51を支持面上に保持して移動等を防止する。また、この支持体10の支持面には、カーカスプライ51に形成する各折曲部51A、B、Cの形成位置に対応して、その幅方向の両側端部のそれぞれ3箇所に、長手方向に延びる例えば断面略V字状やU字状、又は矩形状等の凹溝(図示せず)が形成されている。
【0017】
各折曲ロール20A、B、Cは、略円盤状をなすとともに、外周面に断面略V字状やU字状等(ここでは略V字状)の押込刃21が形成され、その中心軸線を支持体10の幅方向と略平行にして、支持部材(図示せず)により軸線周りに回転自在に支持されている。また、折曲ロール20A、B、Cは、支持体10(カーカスプライ51)の幅方向及び長手方向に移動可能かつ、その支持面に接触及び離間可能に構成されている。これら各折曲ロール20A、B、Cは、互いに独立に前記各移動等を行うようになっており、それぞれが独立に、支持体10の支持面(カーカスプライ51)に外周面の押込刃21を接触させた状態で、長手方向の一方側の端部から他方側の端部まで所定速度で回転しつつ移動する。
【0018】
また、本実施形態では、複数の折曲ロール20A、B、Cを、カーカスプライ51の両側端部の折曲部51A、B、Cを形成する複数箇所のそれぞれに、支持体10(カーカスプライ51)の幅方向に互いに離間させて配置している。即ち、この折曲部形成装置1では、各折曲ロール20A、B、Cの押込刃21と、上記した支持体10の支持面に形成した凹溝とを対向させて配置しており、その間に配置されたカーカスプライ51に折曲ロール20A、B、Cの外周面を所定の力で押し付けて押圧する。これにより、カーカスプライ51を、折曲ロール20A、B、Cの押込刃21で凹溝内に押し込んで、押込刃21の断面形状に対応した形状(ここでは断面略V字状)に塑性変形させ、カーカスプライ51の折り曲げを行う。
【0019】
以上に加えて、この折曲部形成装置1は、装置全体の制御を行う制御装置や、各折曲ロール20A、B、Cに上記した移動や押し付け等を行わせるための各種駆動手段、折曲ロール20A、B、Cの制御に利用するタイマー又は、その各位置を検出するパルスカウンタ等からなるエンコーダ、及び装置各部に設けられた移動又は回転位置検出手段等の各種センサ等(以上、図示せず)を備えている。
【0020】
制御装置は、例えば、各種のデータ処理や解析、演算等を行うマイクロプロセッサ(MPU)等の演算手段や、各種プログラムを格納したROM、一時的なデータの保存等を行うRAM等の記憶手段を備えたマイクロコンピュータ、及び外部機器との接続のためのインターフェース等を有する。この制御装置は、インターフェースを介して上記した装置の各部やセンサ等に接続され、それらとの間で各種情報を送受信して折曲部形成装置1全体の制御を行う。また、制御装置は、所定の形成プログラムに基づいて、折曲ロール20A、B、C等の装置各部を連動して作動させ、各折曲部51A、B、Cを形成してカーカスプライ51に癖付けを施す一連の癖付け手順を実行させる。
【0021】
このように構成される折曲部形成装置1は、タイヤビード部でビードコアの周りに巻き付けられるカーカスプライ51の側端部(図3参照)を、カーカスプライ51の幅方向の複数箇所でビードコアに巻き付く向きに折り曲げて折曲部51A、B、Cを形成し、カーカスプライ51の側端部にビードコアの断面形状に応じた癖付けを施す。このとき、カーカスプライ51の側端部の複数箇所の折り曲げを、カーカスプライ51の幅方向外側から内側に向かって順次開始し、かつカーカスプライ51の長手方向に沿って互いに所定の間隔を隔てて同時に進行させて複数の折曲部51A、B、Cを形成する。また、本実施形態では、カーカスプライ51の側端部への折曲部51A、B、Cの形成を、カーカスプライ51の両側端部で同時に行い、各癖付け手順を略同時に進行させる。
【0022】
以下、各折曲部51A、B、Cを形成してカーカスプライ51に癖付けを行う具体的な手順について説明する。
なお、ここでは、カーカスプライ51の一方の側端部の癖付け手順について説明するが、他方の側端部でも同時に、かつカーカスプライ51の中央線CLを挟んで略対称に癖付け手順を実行する。
【0023】
本実施形態の折曲部形成装置1では、まず、供給されるカーカスプライ51を、支持体10(図1参照)の支持面に両長手方向や幅方向を一致させる等しながら所定位置にセットする。次に、各折曲ロール20A、B、Cを、カーカスプライ51の折曲部51A、B、Cを形成する複数箇所のそれぞれに、その長手方向の一方(図1では上方)の端部側に略並列させて幅方向に配置する。これにより、各折曲ロール20A、B、Cの押込刃21と、上記した支持体10の各凹溝とを、カーカスプライ51を挟んで対向させて配置する。
【0024】
その状態から、カーカスプライ51の側端部の複数箇所の折り曲げを、その幅方向の外側に配置した折曲ロール20Aから内側に配置した折曲ロール20B、Cに向かって順に所定の間隔で開始し、各折曲ロール20A、B、Cをカーカスプライ51に押し付けて塑性変形させ、カーカスプライ51側端部の各折り曲げを行う。即ち、幅方向外側の折曲ロール20Aをカーカスプライ51に押し付けて、長手方向の他方側への移動(転動)及び折り曲げを開始し、所定時間又は折曲ロール20Aが所定距離移動した後、その幅方向内側に隣接する折曲ロール20Bによる折り曲げを同様にして開始する。その後、更に幅方向内側の折曲ロール20Cも、同様に、折曲ロール20Bに続いて折り曲げを開始する。
【0025】
このとき、本実施形態の折曲部形成装置1では、各折曲ロール20A、B、Cをカーカスプライ51に押し付けて、カーカスプライ51を折曲ロール20A、B、Cの逆面側に設けられた前記各凹溝内に押し込んで折り曲げを行う。従って、カーカスプライ51の各部は、各折曲ロール20A、B、Cの外周面の押込刃21による凹溝内への押込力により、その断面形状に対応した略V字状の塑性変形を受けてビードコアに巻きつく向きに折り曲げられる。
【0026】
以上のようにして各折曲ロール20A、B、Cによる折り曲げを開始した後、各折曲ロール20A、B、Cを、カーカスプライ51に押し付けつつ、その長手方向に沿って、互いに予め設定された最適な間隔を開けて移動させて複数の折曲部51A、B、Cを形成する。このとき、各折曲ロール20A、B、Cの移動を略同一速度で行ってロール間隔を一定に維持し、それぞれカーカスプライ51の多端側まで移動させて、各折曲部51A、B、Cの形成を、カーカスプライ51の幅方向外側から内側に向かって順次完了させる。
【0027】
図2は、各折曲ロール20A、B、Cが通過して癖付けされた状態を示すカーカスプライ51の幅方向断面図である。
最外側の折曲ロール20Aが通過すると、図2Aに示すように、カーカスプライ51の幅方向外側部分が折り曲げられて、平面状のカーカスプライ51の両側端部に折曲部51Aが形成される。次に、隣接する折曲ロール20Bが通過すると、図2Bに示すように、折曲部51Aの内側部分が折り曲げられて折曲部51Bが形成され、先に形成された折曲部51Aが支持体10の支持面から浮き上がる。最後に、折曲ロール51Cが通過すると、図2Cに示すように、折曲部51Bの内側部分が折り曲げられて折曲部51Cが形成され、折曲部51Bが浮き上がるとともに、折曲部51Aが更に上昇し、かつカーカスプライ51の幅方向内側に移動する。このように、全ての折曲ロール20A、B、Cが通過した後には、カーカスプライ51の両側端部がビードコアの角部位置に対応して折れ曲がり、ビードコアの断面形状に応じた癖付けが施される。
【0028】
その後、折曲部形成装置1は、カーカスプライ51を、図示しない搬送手段により支持体10から取り外し、新たな癖付け前のカーカスプライ51を支持体10にセットして上記と同様に癖付けし、これら各手順を連続して実行してカーカスプライ51の癖付けを繰り返し行う。一方、癖付けされたカーカスプライ51は、グリーンタイヤ(生タイヤ)の成型装置等に搬送され、次工程であるグリーンタイヤの成型工程で使用される。
【0029】
このグリーンタイヤの成型工程では、癖付けされたカーカスプライ51を、グリーンタイヤを成型するための成型ドラム又は成型ドラム上の下層部材(例えばインナーライナ)に巻回し、その癖付けされた側端部の内側のそれぞれにビードコアを配置して、ビードコアの周りにカーカスプライ51の側端部を巻き付ける。その後、カーカスプライ51の中央部を膨出させてトレッドゴム等の他のタイヤ構成部材と組み合わせる等してグリーンタイヤを成型する。この成型されたグリーンタイヤは、成型ドラムから取り外された後、加硫成型等を施されて空気入りタイヤ(製品タイヤ)が製造される。
【0030】
以上説明したように、本実施形態では、カーカスプライ51の複数箇所の折り曲げを、折曲ローラ20A、B、Cにより、カーカスプライ51の幅方向外側から内側に向かって順次開始し、その長手方向に沿って互いに最適な間隔を隔てて進行させるため、各折り曲げを互いに干渉せずに行うことができる。同時に、カーカスプライ51を折曲ロール20A、B、Cの押込刃21により凹溝内に押し込んで折り曲げるため、各折曲部51A、B、Cを正確かつ確実に形成することができ、適切なカーカスプライ51の癖付け形状を確保することができる。これにより、カーカスプライ51側端部のビードコアへの巻き付けも容易かつ確実に行えるため、タイヤの成型効率や品質を向上させることができる。
【0031】
加えて、各折り曲げを、複数の折曲ロール20A、B、Cにより同時に行うため、1つの折曲ロール20で折り曲げる従来に比べて、折曲部51A、B、Cの形成及びカーカスプライ51の癖付けの効率を高めることができ、より短時間で癖付けすることができる。また、各癖付けをカーカスプライ51の両側端部で同時に実行するため、上記した癖付けの効率を効果的に向上させることができ、従来に比べて、癖付けに要する時間を略1/3程度(例えば従来が90秒であれば30秒程度)に短縮することができる。従って、カーカスプライ51の成形コストを低減できるとともに、これを使用したタイヤの製造コストも、その分だけ削減することができる。
【0032】
更に、この折曲部形成装置1では、各折曲ロール20A、B、Cをカーカスプライ51の幅方向に移動可能にしたため、その幅方向位置を任意に設定することができ、カーカスプライ51のサイズや折曲部51A、B、Cの形成位置の変更に柔軟に対応することができる。ただし、この場合には、支持体10の凹溝位置から外れた位置で折り曲げを行うこともあるが、その場合でも折曲ロール20A、B、Cの押込刃21をカーカスプライ51内に押し込むことで、カーカスプライ51を充分に塑性変形させることができ、所定の折曲量を確保することが可能である。また、支持体10に予め多数の凹溝を形成し、或いは、凹溝形成部分を幅方向に移動可能にすることで対応することもできる。
【0033】
なお、本実施形態では、カーカスプライ51の側端部の3箇所に折曲部51A、B、Cを形成したが、例えば断面略八角形状のビードコアの場合には4本の折曲部を形成し、或いは、断面略矩形状のビードコアの場合には2本の折曲部を形成する等、ビードコアの断面形状(角部の個数)等に応じて、折曲部の数は増減させればよい。その場合にも、以上と同様にしてカーカスプライ51の側端部に折曲部を形成することで、同様の効果が得られる。
【0034】
また、この折曲部形成装置1では、各折曲ロール20A、B、Cを移動させてカーカスプライ51に折曲部51A、B、Cを形成したが、その代わりに、例えば支持体10の移動を組み合わせる等、各折曲ロール20A、B、Cと支持体10との接触位置が、カーカスプライ51の長手方向に変位するように、それらを相対移動させればよい。加えて、カーカスプライ51を支持体(本実施形態では支持台)10以外の、例えば成型ドラムに巻回した後、本実施形態と同様にして、その両側端部に折曲部51A、B、Cを形成して癖付けを施すようにしてもよい。この場合には、成型ドラムが支持体10になるとともに、各折曲ロール20A、B、Cを成型ドラムの外面に沿って移動させ、又は、成型ドラムを回転させて各折曲ロール20A、B、Cの位置を相対移動させればよい。
【0035】
更に、カーカスプライ51に折曲部51A、B、Cを形成する折曲手段は、折曲ロール20A、B、C以外のものであってもよく、例えばカーカスプライ51の長手方向の全長に亘って延びる板状部材のカーカスプライ51側の側面に、押込刃を形成して折曲手段としてもよい。この場合には、板状部材の押込刃部分を湾曲形状に形成して揺動可能にし、板状部材を揺動させて、湾曲した押込刃をカーカスプライ51の長手方向の一端側から多端側に向かって順次押し当て、これにより、カーカスプライ51の折り曲げを進行させて各折曲部51A、B、Cを形成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態のカーカスプライに折曲部を形成して癖付けを施す折曲部形成装置を概略的に示す平面図である。
【図2】各折曲ロールが通過して癖付けされた状態を示すカーカスプライの幅方向断面図である。
【図3】従来の空気入りタイヤの要部を示すタイヤ幅方向の半断面図である。
【図4】従来のカーカスプライに折曲部を形成する折曲部形成装置の例を概略的に示す平面図である。
【図5】折曲部を形成して癖付けしたカーカスプライの幅方向断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・折曲部形成装置、10・・・支持体、20A、B、C・・・折曲ロール、21・・・押込刃、51・・・カーカスプライ、51A、B、C・・・折曲部。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】 【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司


【公開番号】 特開2008−44168(P2008−44168A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−220322(P2006−220322)