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【発明の名称】 光学素子製造方法及び導光板
【発明者】 【氏名】倉田 俊彦

【要約】 【課題】ヒケを抑制することができる光学素子製造方法及び導光板を提供する

【構成】対向する金型30と基板10との間にUV硬化型樹脂20Aを充填し、金型30をUV硬化型樹脂20Aが塗布された基板10に押し付ける。その後、基板10の裏面側からUV光70をUV硬化型樹脂20Aの凸部20Bの一端部に対応する金型30の溝に形成された反射面30B−1に予め決められた時間だけ照射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する型と基板との間に光硬化型樹脂を充填し、その光硬化型樹脂に、前記型の押圧面に形成された所定形状の溝に対応する凸部を形成する成形工程と、
前記成形工程の後、前記凸部の一端部に対応する金型の溝に形成された反射面に光を照射して、その反射面で反射される光を前記凸部の他端部に至らしめる第1硬化工程と
を含むことを特徴とする光学素子製造方法。
【請求項2】
前記成形工程で、前記光硬化型樹脂に前記凸部に連なる平らなベース部を形成し、前記第1硬化工程の後、前記凸部及び前記ベース部に光を照射する第2硬化工程を含むことを特徴とする請求項1記載の光学素子製造方法。
【請求項3】
前記第1、第2硬化工程で、シャッタを有する複数の光ファイバを介して光が照射されることを特徴とする請求項1又は2記載の光学素子製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の光学素子製造方法によって製造された導光板。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は光学素子製造方法及び導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と凹部を有する金型との間に光硬化型樹脂を充填し、充填された光硬化型樹脂を硬化させる工程で、光硬化型樹脂がその表面から硬化することに起因してヒケ(成形品の表面にできるへこみ)が発生することがある。特に、離型性向上のために金型と光硬化型樹脂との密着性を低くするとともに、光学特性向上のために凹部を除く金型と基板との隙間を小さくした場合、金型と基板との間に充填された光硬化型樹脂が金型の凹部へ流入し難くなるので、ヒケが発生しやすい。ヒケが発生すると、成形品、例えば導光板では所定の導光路の断面形状が得られないため、導光路の途中で光の伝播効率が悪くなる。
【特許文献1】特開平6−75106号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、例えば導光板を製造する際、ヒケを発生し難くするために、金型と基板との隙間を大きくすると、導光板のベース部(凸状の導光路以外の樹脂薄膜部分)から光が外部へ漏れ、光量損失が発生するという問題がある。
【0004】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題はヒケを抑制することができる光学素子製造方法及び導光板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、対向する型と基板との間に光硬化型樹脂を充填し、その光硬化型樹脂に、前記型の押圧面に形成された所定形状の溝に対応する凸部を形成する成形工程と、前記成形工程の後、前記凸部の一端部に対応する金型の溝に形成された反射面に光を照射して、その反射面で反射される光を前記凸部の他端部に至らしめる第1硬化工程とを含むことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の光学素子製造方法において、前記成形工程で、前記光硬化型樹脂に前記凸部に連なる平らなベース部を形成し、前記第1硬化工程の後、前記凸部及び前記ベース部に光を照射する第2硬化工程を含むことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の光学素子製造方法において、前記第1、第2硬化工程で、シャッタを有する複数の光ファイバを介して光が照射されることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の光学素子製造方法によって製造された導光板である。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ヒケを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1(a)はこの発明の一実施形態に係る光学素子製造方法によって製造された導光板の平面図、図1(b)は図1(a)のA矢視図、図1(c)は図1(a)のB矢視図である。
【0012】
導光板(光学素子)1は基板10とUV硬化型樹脂(光硬化型樹脂)層20とからなる。
【0013】
基板10は四角形の透明板である。
【0014】
UV硬化型樹脂層20は円盤状の樹脂層(ベース部)21と樹脂層21の直径方向へ延びる凸状の導光路22とを有する。導光路22の長さ、高さ及び幅は、20mm、0.05mm及び0.05mmである。樹脂層21は基板10より薄い。樹脂層21の膜厚は数μm程度である。
【0015】
図1(b)の矢印aに示すように、基板10の裏面から入射した光は基板10を透過し、導光路22の一方の傾斜面22aで反射されて図1(b)の矢印bで示すように導光路22内を進み、導光路22の他方の傾斜面22bで反射され、基板10を透過して図1(b)の矢印cで示すように基板10の裏面から出射される。
【0016】
次に、導光板1の製造方法を説明する。
【0017】
金型(型)30、基板10及びUV硬化型樹脂層20の材料としてそれぞれ以下のものが用いられている。
【0018】
金型30の材料としては例えばガラスが用いられる。ガラスの型面となる押圧面の表面にはアルミニウム等を成膜した反射膜が形成されている。なお、金型30の材料としてはプラスチック、金属(例えば鉄)等を用いることもできる。金型30の押圧面には樹脂層21の導光路22に対応する形状の溝31が形成されている。
【0019】
UV硬化型樹脂層20の材料は例えばアクリル系の樹脂(nd=1.50)である。ndは屈折率である。
【0020】
基板10の材料は石英(nd=1.457)である。
【0021】
まず、基板10の表面に必要とされる膜厚に相当する重量の未硬化のUV硬化型樹脂20Aを塗布する。
【0022】
次に、金型30をUV硬化型樹脂20Aが塗布された基板10に押し付ける。この結果、UV硬化型樹脂20Aは金型30の溝31に対応する凸部20Bとこの凸部20Bに連なるベース部20C(樹脂層21に対応する)とを形成する(成形工程)。このとき、基板10の表面と金型30の押圧面との間に位置するベース部20Cの厚さは光の漏れを防止するためできるだけ薄い方が好ましい。溝31の長さ、深さ及び幅は、ほぼ20mm、0.05mm及び0.05mmである。
【0023】
その後、図2に示すように、基板10の裏面側から積算量で10000mJ/cm2 のUV光70をUV硬化型樹脂20Aの凸部20Bの一端部に対応する金型30の溝に形成された反射面30B−1に予め決められた時間だけ照射する(第1硬化工程)。
【0024】
図2(a)は第1硬化工程における光の照射方法を説明する金型の断面を示す概念図、図2(b)は図2(a)の矢印C方向から見た断面を示す概念図、図3(a)は第2硬化工程(後述)における光の照射方法を説明する金型の断面を示す概念図、図3(b)は図3(a)の矢印D方向から見た断面を示す概念図である。
【0025】
図2(a)、(b)の矢印a1で示したUV光70は基板10を透過し、金型30の溝31の一端部に位置する反射面30B−1で反射されて図2(a)の矢印b1で示すように凸部20B内を進む。UV光70は凸部20Bの他端部に位置する反射面30B−2で反射され、基板10を透過して図2(a)の矢印c1で示すように基板10の裏面から出射される。
【0026】
その結果、UV光70が通って照射されたUV硬化型樹脂20Aの凸部20Bだけが硬化する。その際、UV光70が照射されなかったベース部20Cにある未硬化のUV硬化型樹脂20Aの一部が溝31へ流入し、凸部20Bのヒケの発生が防止される。
【0027】
その後、基板10の裏面側から10000mJ/cm2 のUV光70をUV硬化型樹脂20A全体に照射し、ベース部20Cも硬化させる(第2工程)。
【0028】
なお、第2工程を行う代わりに、硬化していないベース部20Cを拭き取るようにしてもよい。この場合、凸部20B(導光路22)だけが形成されることになる。
【0029】
次に、金型30を基板10から引き離す。金型30にあらかじめ離型性を良くする表面処理をしておくことによって金型30を引き離し易くなる。
【0030】
以上のようにして、基板10の表面に均一な厚さ(数μm)の樹脂層21と導光路22とからなるUV硬化型樹脂層20が形成され、導光板1が完成する(図1参照)。
【0031】
次に、光ファイバ50を用いて凸部20Bの一端部に位置する反射面にUV光70を照射する方法を説明する。
【0032】
図4(a)は光ファイバを用いた光の照射方法を説明する図、図4(b)は光ファイバの出射面を示す図である。
【0033】
なお、図4(a)には、光ファイバ50のUV光入射端部、シャッタ60の周辺部及び光ファイバ50のUV光出射端部だけが描かれている。
【0034】
複数の光ファイバ50は基板10の裏面側に配置されている。各光ファイバ50の中間部にはシャッタ60が設けられている。光ファイバ50の直径は溝31の幅又は導光路22の幅より小さい。
【0035】
シャッタ60には羽根61を有するメカニカルシャッタ(図4(a)参照)が用いられる。羽根61は枠部材62に取り付けられ、外部からの信号によって羽根61が開閉動作される。
【0036】
なお、メカニカルシャッタを用いる代わりに、MEMSミラーや液晶シャッタを用いた光スイッチ等を用いることもできる。
【0037】
図4において、灰色の部分は光が遮断されていることを示している。
【0038】
ベース部20Cに対向するシャッタ60を閉じるとともに、凸部20Bに対向するシャッタ60のうち金型30の反射面30B−1と対向するシャッタ60以外のシャッタ60を閉じ、基板10の裏面側から光ファイバ50を用いて積算量で10000mJ/cm2のUV光70を金型30の反射面30B−1に対向するUV硬化型樹脂20Aに所定時間だけ照射する(第1硬化工程)。UV光70は基板10を透過し、金型30のの反射面30B−1で反射されて凸部20B内を進む。UV光70は凸部20Bの他端部に位置する金型30の反射面30B−2で反射され、基板10を透過して基板10の裏面から出射される(図2(a)参照)。なお、UV光70の照射時間に対する硬化の度合いを予め測定しておくことによって、UV光70の照射時間は決められる。
【0039】
その結果、UV光70が通って照射された凸部20Bだけが硬化する。その際、ベース部20Cにある未硬化のUV硬化型樹脂20Aの一部が溝31へ流入し、凸部20Bのヒケの発生が防止される。
【0040】
その後、総てのシャッタ60を開き、基板10の裏面側から光ファイバ50を用いて10000mJ/cm2 のUV光70をUV硬化型樹脂20Aの全体に照射し、ベース部20Cを硬化させる(第2硬化工程)。
【0041】
次に、金型30を基板10から引き離す。
【0042】
なお、UV光70の出射側に図示しない反射ミラーを配置し、この反射ミラーによってUV光70を反射面30B−2に戻すようにしてもよい。
【0043】
この実施形態によれば、UV硬化型樹脂20Aの硬化の際、未硬化のUV硬化型樹脂20Aの一部ががベース部20Cから溝31へ流入するので、凸部20Bのヒケを抑制することができ、導光板1の光量損失を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1(a)はこの発明の一実施形態に係る光学素子製造方法によって製造された導光板の平面図、図1(b)は図1(a)のA矢視図、図1(c)は図1(a)のB矢視図である。
【図2】図2(a)は第1硬化工程における光の照射方法を説明する金型の断面を示す概念図、図2(b)は図2(a)の矢印C方向から見た断面を示す概念図である。
【図3】図3(a)は第2硬化工程における光の照射方法を説明する金型の断面を示す概念図、図3(b)は図3(a)の矢印D方向から見た断面を示す概念図である。
【図4】図4(a)は光ファイバを用いた光の照射方法を説明する図、図4(b)は光ファイバの出射面を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1:導光板、10:基板、20A:UV硬化型樹脂(光硬化型樹脂)、20B:凸部、20C:ベース部、21:樹脂層(ベース部)、30:金型(型)、30B−1,30B−2:反射面、31:溝、50:光ファイバ、60:シャッタ、70:UV光。
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100091557
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 修


【公開番号】 特開2008−37067(P2008−37067A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−218116(P2006−218116)