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【発明の名称】 空気入りタイヤの製造方法および空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】田嶋 一雅

【要約】 【課題】バンド部材19におけるゴムゲージのばらつき、補強コードの配列乱れを効果的に抑制する。

【構成】バンド部材19のうち、少なくともビード27の内周面27bに密着することとなる部位に、スリット36を形成することで、補強コード間のコーティングゴムの量がバンド部材19の軸方向中央部19aにおける補強コード間のコーティングゴムの量より少量である少量領域を設けたので、バンド部材19の軸方向両端部19bを絞り込む際、スリット36が幅方向に潰れて少量領域における補強コードが互いに接近し、この結果、コード間間隔が狭くなってしわの発生が抑制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状を呈する円筒部および該円筒部の軸方向両端から半径方向内側に向かってそれぞれ延びる環状部を有する成形ドラムの前記円筒部の外側に、多数本の補強コードをコーティングゴムにより被覆することで構成した円筒状のバンド部材を、その軸方向両端部が円筒部の軸方向両端から軸方向外側に突出した状態で配置する工程と、前記バンド部材の軸方向両端部を、環状部に沿って変形した段差部を形成しながら半径方向内側に絞り込む工程と、一対のビードをバンド部材に供給して段差部に密着させる工程と、ビードより軸方向外側に位置するバンド部材の軸方向両端部をビードの回りに折り返す工程とを備えた空気入りタイヤの製造方法において、前記バンド部材のうち、少なくともビードの内周面に密着することとなる部位に、補強コード間のコーティングゴム量が軸方向中央部より少量である少量領域を設けたことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記少量領域を、ビードの内周面に密着することとなる部位から、バンド部材の軸方向内、外側に向かってそれぞれ、ビードの内周面から円筒部の外周面までの半径方向距離より短い距離だけ延在させた請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記少量領域における補強コード間のコーティングゴム量を、ビードの内周面に密着することとなる部位から軸方向内、外側に離れるに従い、バンド部材の軸方向中央部における補強コード間のコーティングゴム量に近付けるようにした請求項2記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記少量領域は、補強コード間のコーティングゴムに補強コードに沿って延びる貫通したスリットを形成することで構成した請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記少量領域は、補強コード間のコーティングゴムに補強コードに沿って延びる溝を形成することで構成した請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記少量領域に形成されたスリットは、帯状のバンド部材を補強コードの延在方向に走行させながら、打ち抜きドラムの外周に形成された打ち抜き突起を該バンド部材に押し付け、補強コード間のコーティングゴムを打ち抜くことで形成するようにした請求項4記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記請求項1に記載の製造方法を用いて製造された空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、成形ドラムから突出したバンド部材の軸方向両端部を半径方向内側に絞り込む工程を備えた空気入りタイヤの製造方法および空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気入りタイヤの製造方法としては、例えば以下の特許文献1に記載されているようなものが知られている。
【特許文献1】特開2001−260247号公報
【0003】
このものは、円筒状を呈する円筒部および該円筒部の軸方向両端から半径方向内側に向かってそれぞれ延びる環状部を有する成形ドラムの前記円筒部の外側に円筒状のバンド部材を、その軸方向両端部が円筒部の軸方向両端から軸方向外側に突出した状態で配置する工程と、前記バンド部材の軸方向両端部を、環状部に沿って変形した段差部を形成しながら、半径方向内側に絞り込む工程と、一対のビードをバンド部材に供給して段差部に密着させる工程と、ビードより軸方向外側に位置するバンド部材の軸方向両端部をビードの回りに折り返す工程とを備えたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、このような従来の空気入りタイヤの製造方法は、バンド部材の軸方向両端部を半径方向内側に絞り込む工程を有しているが、このバンド部材は、周方向に収縮しないため、前述の絞り込みによりその軸方向両端部に径差に基づくしわ、即ち、円に対する半径方向の凹凸が発生してしまう。そして、このようなしわが発生した状態の軸方向両端部に対してビードをセットして折返しを行うと、しわがバンド部材の厚さ方向に押し潰されて重なり合うため、特にビードの内周面に密着する部位におけるバンド部材のゴムゲージにばらつきが生じたり、バンド部材を構成する補強コードの配列に乱れが発生してしまうという課題があった。
【0005】
この発明は、バンド部材におけるゴムゲージのばらつき、補強コードの乱れを効果的に抑制することができる空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、円筒状を呈する円筒部および該円筒部の軸方向両端から半径方向内側に向かってそれぞれ延びる環状部を有する成形ドラムの前記円筒部の外側に、多数本の補強コードをコーティングゴムにより被覆することで構成した円筒状のバンド部材を、その軸方向両端部が円筒部の軸方向両端から軸方向外側に突出した状態で配置する工程と、前記バンド部材の軸方向両端部を、環状部に沿って変形した段差部を形成しながら半径方向内側に絞り込む工程と、一対のビードをバンド部材に供給して段差部に密着させる工程と、ビードより軸方向外側に位置するバンド部材の軸方向両端部をビードの回りに折り返す工程とを備えた空気入りタイヤの製造方法において、前記バンド部材のうち、少なくともビードの内周面に密着することとなる部位に、補強コード間のコーティングゴム量が軸方向中央部より少量である少量領域を設けることにより、達成することができる。
【発明の効果】
【0007】
この発明においては、バンド部材のうち、少なくともビードの内周面に密着することとなる部位に、補強コード間のコーティングゴム量が軸方向中央部より少量である少量領域を設けるようにしたので、前述のようにバンド部材の軸方向両端部を絞り込む際、少量領域における補強コードが互いに接近してコード間間隔が狭くなることでしわの発生が抑制され、これにより、特にビードの内周面に密着する部位におけるバンド部材のゴムゲージのばらつき、補強コードの乱れが効果的に抑制される。
【0008】
また、しわが押し潰されることでゴムゲージにばらつき等が発生するのは、折返し終了時にバンド部材の軸方向中央部より小径である部分、即ち、ビードの内周面に密着することとなる部位からバンド部材の軸方向内、外側に向かってそれぞれ、ビードの内周面から円筒部の外周面までの半径方向距離と同一距離だけ離れた位置までの範囲であるため、請求項2に記載のように少量領域を前記位置までの距離より短い距離だけ延在させるようにすれば、ゴム不足の発生を防止しながら、ゴムゲージのばらつき、補強コードの乱れを確実に抑制することができる。
【0009】
さらに、前述したしわの大きさ(程度)はビードの内周面に密着することとなる部位から離れるに従い小さくなるため、請求項3に記載のように構成することで、前記絞り込み時における補強コードの接近量を前記部位から離れるに従い小さくすれば、折返し後の補強コード間のコーティングゴムは少量領域のいずれの位置でも過不足が効果的に抑制され、ゴムゲージのばらつき、補強コードの乱れを確実に抑制することができる。
【0010】
そして、請求項4、5に記載のように少量領域にスリット、溝を形成するようにすれば、少量領域の形成が容易かつ確実となる。また、前記スリットを請求項6に記載のようにして形成すれば、その形成が容易かつ高能率となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11は成形ドラムであり、この成形ドラム11は図示していない駆動手段により駆動され水平な主軸12を中心として回転することができる。前記成形ドラム11はその軸方向中央部に拡縮径可能な円筒部としての大径円筒部13を有し、この大径円筒部13は拡径時に円筒状を呈している。また、前記成形ドラム11は軸方向両端部にそれぞれ前記大径円筒部13より小径の円筒状を呈する小径円筒部14を有し、これら小径円筒部14の外周には収縮時には円筒状を呈し、膨張時にはほぼドーナツ状に変形するブラダ15がそれぞれ配置されている。
【0012】
前記大径円筒部13と小径円筒部14との境界には大径円筒部13の軸方向両端から半径方向内側に向かってそれぞれ延びる環状部18が設けられ、これらの環状部18は大径円筒部13にとっては軸方向両端面である。19は前記成形ドラム11、詳しくは大径円筒部13の外側に配置された円筒状のバンド部材であり、このバンド部材19は、回転している成形ドラム11の周囲に、ここでは帯状のカーカスプライを供給して巻き付けた後、その始、終端同士を接合して円筒状とすることで形成する。
【0013】
ここで、前記バンド部材19は、図3に示すように、多数本の互いに平行な補強コード21をコーティングゴム22により被覆することで構成している。また、前記バンド部材19の軸方向長さ(帯状のときは幅)は、大径円筒部13の軸方向長さより長いため、このバンド部材19の軸方向中央部19aが拡径した大径円筒部13によって内側から支持されているとき、その軸方向両端部19bは、図4に示すように、大径円筒部13の軸方向両端から軸方向外側に突出している。
【0014】
再び、図1、2において、23は成形ドラム11の軸方向両外側に設置された一対の支持体であり、これらの支持体23は図示していない移動手段により成形ドラム11の軸線に沿って逆方向に等距離だけ移動され、互いに接近離隔する。各支持体23には周方向に等距離離れた複数の羽根24の基端が回動可能に連結され、これらの羽根24は支持体23から軸方向内側(成形ドラム11の軸方向中央)に向かって延びるとともに、図示していない揺動手段により基端を中心として開閉するよう揺動される。
【0015】
そして、前記両支持体23が移動手段によって軸方向内側限まで移動した後、羽根24が揺動手段により同期して閉止するよう揺動すると、これら羽根24は大径円筒部13の軸方向両端から軸方向外側に向かって突出したバンド部材19の軸方向両端部19bを半径方向内側に向かって押し込む。これにより、該バンド部材19の軸方向両端部19bは、その一部が環状部18に沿って変形した段差部19cを形成しながら、後述するビードの内径より若干小径となるまで半径方向内側に絞り込まれる。
【0016】
27は一対のリング状をしたビードであり、これらのビード27の外周面27aにはそれぞれ略鍔状をしたゴムからなるフィラー28が付着されている。そして、これらフィラー28付きのビード27はビード供給手段(図示していない)により、小径円筒部14の外側に遊嵌された状態を維持しながら前記段差部19c(環状部18)に密着するまで軸方向内側にそれぞれ移送される。このようにして軸方向中央部19aより小径である各ビード27は、バンド部材19の外側のセット位置まで供給されてセットされる。
【0017】
そして、バンド部材19にフィラー28付きのビード27がセットされると、前述したブラダ15の内部にエアが供給されるため、該ブラダ15はドーナツ状に膨張し、ビード27より軸方向外側に位置するバンド部材19の軸方向両端部19bをフィラー28付きビード27の回りに折り返す。なお、この際、膨張している各ブラダ15は、図5に示すように、押圧部材31により軸方向内側に向かって押されるため、潰れながら変形して大径円筒部13の軸方向両端部を覆い、前記折返しを確実なものとする。
【0018】
ここで、前述のようにバンド部材19の軸方向両端部19bを半径方向内側に絞り込むと、このバンド部材19は、周方向に収縮しないため、前記絞り込みにより該軸方向両端部19bに径差に基づくしわが発生する。そして、このようなしわが発生した状態の軸方向両端部19bに対してビード27をセットして折返しを行うと、前述のようにゴムゲージがばらついたり、補強コード21の配列に乱れが発生してしまうのである。
【0019】
このため、この実施形態においては、前述したバンド部材19のうち、少なくともビード27の内周面27bに密着することとなる部位33に、補強コード21間のコーティングゴム22の量がバンド部材19の軸方向中央部19aにおける補強コード21間のコーティングゴム22の量より少量である少量領域34を設けたのである。この結果、前述のようにバンド部材19の軸方向両端部19bを絞り込む際、コーティングゴム22が少量となったことで形成された空間が潰れて少量領域34における補強コード21が互いに接近し、この結果、コード間間隔が狭くなってしわの発生が抑制される。
【0020】
これにより、特にビード27の内周面27bに密着する部位におけるバンド部材19のゴムゲージのばらつき、補強コード21の配列乱れを効果的に抑制することができる。ここで、前述のような少量領域34は、例えば、図1、2、3、6に示すように、隣接する補強コード21間のコーティングゴム22に該補強コード21に沿って延びるとともに、表裏面まで貫通したスリット36を設けることでバンド部材19に形成することができ、そして、このようなスリット36は以下に説明するような装置を用いることで、帯状のバンド部材19に容易かつ高能率で確実に形成することができる。
【0021】
即ち、図7において、38は一対の第1カレンダーロールであり、これら第1カレンダーロール38が矢印方向に回転すると、バンク39のゴムはこれら第1カレンダーロール38間を通過して薄肉帯状の連続したゴムシート40となる。41は前記第1カレンダーロール38の下方に設けられた一対の第2カレンダーロールであり、これら第2カレンダーロール41が矢印方向に回転すると、バンク42のゴムはこれら第2カレンダーロール41間を通過して薄肉帯状の連続したゴムシート43となる。
【0022】
45はゴムシート43に転がり接触する押えロールであり、この押えロール45は該押えロール45に向かって供給される互いに平行な多数本の補強コード21をゴムシート43に押し付けて圧着する。その後、前記ゴムシート40、43、は第1、第2カレンダーロール38、41間を通過することで互いに圧着され、補強コード21をゴムシート40、43からなるコーティングゴム22で被覆した連続帯状のバンド部材19、ここではカーカスプライが成形される。その後、該バンド部材19はガイドロール47により方向転換された後、水平な軸線回りに回転可能で上下に離れた打ち抜きドラム48と押えドラム49との間に供給される。
【0023】
ここで、前記打ち抜きドラム48は半径方向外端部に円筒状をした成形円筒53を有し、この成形円筒53の外周には周方向に所定距離離れた2つの突起群54が設けられている。前述の各突起群54は軸方向に補強コード21のピッチと等距離離れた多数の打ち抜き突起55から構成され、各打ち抜き突起55は周方向に延びている。この結果、前述のバンド部材19が補強コード21の延在方向(長手方向)に走行しながら打ち抜きドラム48と押えドラム49との間に供給されると、打ち抜きドラム48の外周に形成された打ち抜き突起55はバンド部材19に押し付けられて補強コード21間のコーティングゴム22を下方に打ち抜き、隣接する補強コード21間にスリット36を形成する。
【0024】
一方、前記押えドラム49は半径方向外端部に円筒状をした受け円筒58を有し、この受け円筒58には周方向に所定距離離れた2つの排出孔群59が設けられている。前述の各排出孔群59は軸方向に補強コード21のピッチと等距離離れた多数の排出孔60から構成され、これらの排出孔60は前記打ち抜き突起55より断面形状が若干大きい。そして、これら打ち抜き突起55と排出孔60とは、打ち抜きドラム48、押えドラム49間を通過するバンド部材19を対称軸として線対称の位置に形成されており、この結果、前述のように打ち抜き突起55によりバンド部材19から打ち抜かれて分離したゴム片はこれら排出孔60を通過して受け円筒58内に排出される。
【0025】
ここで、前記少量領域34(スリット36)は、前記部位33からバンド部材19の軸方向内、外側(帯状のときは幅方向内、外側)に向かってそれぞれ、ビード27の内周面27bから大径円筒部13の外周面までの半径方向距離Lより短い距離だけ延在させることが好ましく、前記半径方向距離Lの 1/2〜9/10倍だけ延在させることがさらに好ましい。
【0026】
その理由は、前述のようにしわが押し潰されることでゴムゲージにばらつき等が発生するのは、折返し終了時にバンド部材19の軸方向中央部19aより小径である部分、即ち、前記部位33からバンド部材19の軸方向内、外側に向かってそれぞれ前記半径方向距離Lと同一距離だけ離れた位置までの範囲であるため、前述のようにすれば、ゴム不足の発生を防止しながら、ゴムゲージのばらつき、補強コード21の配列乱れを確実に抑制することができるからである。
【0027】
また、この実施形態においては、前記スリット36の幅を前記部位33から軸方向内、外側に離れるに従い小としているが、このようにすることで、前記少量領域34における補強コード21間のコーティングゴム量を、前記部位33から軸方向内、外側に離れるに従い、バンド部材19の軸方向中央部19aにおける補強コード21間のコーティングゴム量に近付けるようにすることが好ましい。
【0028】
その理由は、前述したしわの大きさ(程度)は前記部位33から離れるに従い小さくなるため、前述のように構成することで、絞り込み時における補強コード21の接近量を前記部位33から離れるに従い小さくすれば、折返し後の補強コード21間のコーティングゴム22は少量領域34のいずれの位置でも過不足が効果的に抑制され、これにより、ゴムゲージのばらつき、補強コード21の配列乱れが確実に抑制されるからである。
【0029】
次に、前記実施形態1の作用について説明する。
前述のような装置を用いて空気入りタイヤを製造する場合には、まず、第1、第2カレンダーロール38、41を矢印方向に回転させ、バンク39、42のゴムによりゴムシート40、43をそれぞれ形成するとともに、これらゴムシート40、43間に多数本の補強コード21を供給する。次に、これらゴムシート40、43、補強コード21を第1、第2カレンダーロール38、41間に供給して通過させると、補強コード21をゴムシート40、43からなるコーティングゴム22で被覆した連続帯状のバンド部材19が成形される。
【0030】
その後、前記バンド部材19は打ち抜きドラム48、押えドラム49に向かって走行してこれらの間を通過するが、このとき、打ち抜きドラム48の外周に形成された打ち抜き突起55がバンド部材19に押し付けられて補強コード21間のコーティングゴム22を下方に打ち抜き、隣接する補強コード21間にスリット36を形成する。このようにして形成されたスリット36が存在する領域が少量領域34となるが、このような少量領域34は前記打ち抜きドラム48の回転によりバンド部材19にその長手方向に所定距離離れた状態で繰り返し形成される。なお、バンド部材19から打ち抜かれて分離したゴム片は受け円筒58の排出孔60を通過して受け円筒58内に排出される。
【0031】
次に、この連続帯状のバンド部材19を大径円筒部13の1周長と実質上等長に切断して帯状のバンド部材19を切り出した後、該帯状のバンド部材19を回転している成形ドラム11の周囲に供給して巻き付けるとともに、その始、終端同士を接合して円筒状とする。このようにして、成形ドラム11(大径円筒部13)の外側に円筒状のバンド部材19をその軸方向両端部19bが大径円筒部13の軸方向両端から軸方向外側に突出した状態で配置する。このときの状態が図4に示されている。なお、このバンド部材19は別の成形ドラムにおいて円筒状に成形したものをこの成形ドラム11まで搬送し、その外側に嵌合することで該成形ドラム11(大径円筒部13)の外側に配置するようにしてもよい。
【0032】
次に、両支持体23を軸方向内側限まで移動させた後、羽根24を同期して閉止するよう揺動させると、これら羽根24はバンド部材19の軸方向両端部19bを半径方向内側に向かってほぼ均一に押し込む。これにより、該バンド部材19の両軸方向両端部19bはビード27の内径より若干小径となるまで円筒状を維持しつつ半径方向内側に絞り込まれるが、このとき、該バンド部材19の一部が環状部18に沿って変形し段差部19cを形成する。
【0033】
このとき、絞り込まれる軸方向両端部19bに部位33を中心としてその軸方向内、外側にある程度延びるとともに、補強コード21間のコーティングゴム22の量が少量である少量領域34(スリット36)を設けたので、前述の絞り込み時にこれらスリット36が幅方向に潰れて少量領域34における補強コード21が互いに接近し、コード間間隔が狭くなる。これにより、絞り込みにより発生しようとしたしわは少量領域34に吸収されて、しわの発生が効果的に抑制され、特にビード27の内周面27bに密着する部位におけるバンド部材19のゴムゲージのばらつき、補強コード21の配列乱れが効果的に抑制される。また、これにより、絞り率を上昇させることもでき、バンドに対する製品タイヤへの拡張率を下げることも可能となる。
【0034】
次に、前記羽根24が開放するよう揺動するとともに、両支持体23が軸方向外側限まで移動すると、一対のフィラー28付きビード27がビード供給手段によってバンド部材19に供給され段差部19cにそれぞれ密着される。このときの状態が図1、2に示されている。その後、ブラダ15の内部にエアが供給され該ブラダ15がドーナツ状に膨張するが、このとき、押圧部材31が該ブラダ15を軸方向内側に押し込んで変形させるため、ビード27より軸方向外側に位置するバンド部材19の軸方向両端部19bは該ブラダ15によってフィラー28付きビード27の回りに確実に折り返される。このときの状態が図5に示されている。
【0035】
次に、成形ドラム11を回転させながらサイドトレッドを大径円筒部13に供給し、該サイドトレッドを大径円筒部13の軸方向両端部外側、詳しくはバンド部材19の外側に巻回してグリーンケースを成形する。その後、前記成形ドラム11の大径円筒部13を縮径してグリーンケースを該成形ドラム11から取り出した後、別の成形ドラムに供給して該グリーンケースのビード27近傍を該成形ドラムにより半径方向内側から保持する。
【0036】
次に、両ビード27を接近させながらグリーンケースの内部に気体を供給して該グリーンケースを略トロイダル状に変形させるが、この変形の途中においてベルト層およびトップトレッドからなる円筒状のベルト・トレッドバンドをグリーンケースの外側に嵌合する。この結果、前記グリーンケースが略トロイダル状まで変形したとき、グリーンケースの半径方向外側に前記ベルト・トレッドバンドが貼付けられ、グリーンタイヤが成形される。次に、このグリーンタイヤを加硫装置に搬入して、高温、高圧の加硫媒体により加硫し、加硫済みの空気入りタイヤとする。
【0037】
図8は、この発明の実施形態2を示す図である。この実施形態においては、前述のバンド部材19に形成される少量領域34を、隣接する補強コード21間のコーティングゴム22に、ここではその表裏面に該補強コード21に沿って延びる溝62を設け、ゴムゲージを薄くすることで形成している。このように溝62によって少量領域34を形成したときも、前述のスリット36のときと同様に少量領域34を容易かつ確実に形成することができる。
【0038】
そして、この実施形態においても、これら溝62の溝深さを部位33から軸方向内、外側に離れるに従い浅くすることで、少量領域34における補強コード21間のコーティングゴム量を部位33から離れるに従い軸方向中央部19aにおける補強コード21間のコーティングゴム量に近付けるようにしている。なお、このような溝62は、例えば加熱されたカッターでコーティングゴム22を切り取ったり、回転砥石でコーティングゴム22を削り取ることで形成することができる。なお、他の構成、作用は前記実施形態1と同様である。
【0039】
なお、前述の実施形態においては、成形ドラム11はその軸方向両端部に小径円筒部14を有していたが、この発明においては、このような小径円筒部14が設けられていない成形ドラム11を用いてもよい。この場合には、ビード27より軸方向外側の軸方向両端部19bを、例えば羽根24を用いて折り返すようにしたり、あるいは、別の成形ドラムに移載した後、ブラダ等を用いて折り返すようにすればよい。また、前述の少量領域は、隣接する補強コード間のコーティングゴムに、該補強コードの延在方向に離れた複数の貫通孔を設けることで形成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明は、空気入りタイヤを製造する産業分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施形態1を示す一部破断正面図である。
【図2】環状部近傍の一部破断正面図である。
【図3】バンド部材の平面断面図である。
【図4】空気入りタイヤの製造工程を説明する説明図である。
【図5】空気入りタイヤの製造工程を説明する説明図である。
【図6】図3のI−I矢視断面図である。
【図7】帯状のバンド部材を成形するための装置の概略正面図である。
【図8】この発明の実施形態2を示す図6と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
11…成形ドラム 13…円筒部
18…環状部 19…バンド部材
19a…軸方向中央部 19b…軸方向両端部
19c…段差部 21…補強コード
22…コーティングゴム 27…ビード
27b…内周面 33…部位
34…少量領域 36…スリット
48…打ち抜きドラム 55…打ち抜き突起
62…溝
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100080540
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 敏雄


【公開番号】 特開2008−36900(P2008−36900A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211801(P2006−211801)