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【発明の名称】 伝動ベルトの製造方法
【発明者】 【氏名】北村 英佐

【氏名】佐伯 大作

【氏名】永田 昭裕

【要約】 【課題】短繊維とコムシートとの接着力を向上させ、そして高い植毛密度を維持して、ベルト走行時の騒音を抑制した伝動ベルトの製造方法を提供する。

【構成】未加硫ゴムシート22の表面に植毛層26を形成し、植毛層26を未加硫ゴムシート22に押圧して植毛層付きゴムシートを作製し、上記植毛層付きゴムシート22からなる円筒状ゴムスリーブ24を、可撓性ジャケット42を装着した内型41と、内周面にリブ型の型部45を刻印した外型46との間に配置する。上記可撓性ジャケット42を膨張させてゴムスリーブ24を外型46に密着するように予備成型体21を作製し、外型46から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付けた別のスリーブ25を作製し、上記内型41を外型46内に設置し、可撓性ジャケット42を膨張させて別のスリーブ25を予備成型体21と一体的に加硫し、ベルトスリーブを作製する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部とを積層した伝動ベルトの製造方法において、
未加硫ゴムシートの表面に短繊維を付着して植毛層を形成した後、該植毛層を未加硫ゴムシートに押圧して植毛層付きゴムシートを作製し、
上記植毛層付きゴムシートから形成された円筒状のゴムスリーブを、可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型もしくはコグ型からなる型部を刻印した外型との間に配置し、
上記可撓性ジャケットを膨張させて上記ゴムスリーブの植毛層を外型の刻印した型部に密着成型し、通気性を保持した上記植毛層から内在する空気を排出し、加硫ベルトスリーブを作製する、
ことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
【請求項2】
ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部とを積層した伝動ベルトの製造方法において、
未加硫ゴムシートの表面に短繊維を付着して植毛層を形成した後、該植毛層を未加硫ゴムシートに押圧して植毛層付きゴムシートを作製し、
上記植毛層付きゴムシートから形成された円筒状のゴムスリーブを、可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型もしくはコグ型からなる型部を刻印した外型との間に配置し、
上記可撓性ジャケットを膨張させ、上記ゴムスリーブを外型の刻印した型部に密着するように予備成型体を作製し、
外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付けた別のスリーブを作製し、
上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて別のスリーブを予備成型体と一体的に加硫し、
脱型して型付部を形成した加硫ベルトスリーブを作製する、
ことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
【請求項3】
未加硫ゴムシートの表面に植毛層を形成した後に、該ゴムシートを巻付けながら植毛層をゴムシートに加圧して植毛層付きゴムシートを作製する請求項1または2記載の伝動ベルトの製造方法。
【請求項4】
未加硫ゴムシートの表面に植毛層を形成した後に、プレスにより該植毛層を該ゴムシートに加圧して植毛層付きゴムシートを作製する請求項1または2記載の伝動ベルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は伝動ベルトの製造方法に係り、詳しくは未加硫のゴムシートの表面に植毛層を形成した後に、加圧することで、短繊維とコムシートとの接着力を向上させ、また植毛密度を高くして、ベルト走行時の騒音を抑制した伝動ベルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、ベルト長手方向に延びるリブ部を備え、かつ短繊維を幅方向に配向した圧縮ゴム層とを積層してなる伝動ベルトが知られている。この伝動ベルトの製造方法では、一般にベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、接着ゴム層に隣接したフラットな圧縮ゴム層とを積層してなるスリーブを加硫缶に装着し、リブ部のない状態のフラットなスリーブを加硫成形し、この圧縮ゴム層を研磨ホイールでリブ部を削りだし、必要なリブ部の数に合わせて輪切りにしていた。しかしながら、スリーブの圧縮ゴム層を研削してリブ部を形成するために、相当な量の材料ロスが発生していた。
【0003】
これを改善する方法として、特許文献1には静電植毛によって動力伝動側及び被伝達面の少なくとも一方の伝達部接触表面に立毛を設け、走行時の騒音を軽減した動力伝動用部材が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、植毛層を設けた未加硫ゴムシートを、リブ部を刻印した外型に押付けてベルト成形体を成形していた。
【0005】
【特許文献1】特開平9−14361号公報
【特許文献2】特開2004−249704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リブ部を有する伝動ベルトの製造方法では、静電植毛によって直接リブ部の表面に付着させると、V形状のリブ溝の入口付近では充分な植毛が出来ても、リブ溝に奥深い個所では植毛しにくいといった問題があり、新たな製造方法の開発が望まれていた。
【0007】
また、植毛層を設けた未加硫ゴムシートを、リブ部を刻印した外型に押付けてベルト成形体に仕上げる場合には、短繊維はゴムシートに侵入した状態になっていないため、ベルトを走行させると、比較的短時間でベルト表面から離散しやすくなって騒音対策にはならなかった。
【0008】
本発明はかかる問題に着目し、鋭意研究した結果、短繊維とコムシートとの接着力を向上させ、また高い植毛密度を維持して、ベルト走行時の騒音を抑制した伝動ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成すべく本願請求項1記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部とを積層した伝動ベルトの製造方法において、
未加硫ゴムシートの表面に短繊維を付着して植毛層を形成した後、該植毛層を未加硫ゴムシートに押圧して植毛層付きゴムシートを作製し、
上記植毛層付きゴムシートから形成された円筒状のゴムスリーブを、可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型もしくはコグ型からなる型部を刻印した外型との間に配置し、
上記可撓性ジャケットを膨張させて上記ゴムスリーブの植毛層を外型の刻印した型部に密着成型し、通気性を保持した上記植毛層から内在する空気を排出し、加硫ベルトスリーブを作製する、伝動ベルトの製造方法にある。
このように植毛層を押圧することにより、短繊維とゴムシートとの接着力を向上させることができて短繊維が抜けにくくなり、また植毛量の変量と測定が可能になって摩擦係数を制御でき、べルト走行時の騒音を長時間抑制することができる。
【0010】
また、本願請求項2記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部もしくはベルト長手方向に所定間隔で設けたコグ部からなる型付部とを積層した伝動ベルトの製造方法において、
未加硫ゴムシートの表面に短繊維を付着して植毛層を形成した後、該植毛層を未加硫ゴムシートに押圧して植毛層付きゴムシートを作製し、
上記植毛層付きゴムシートから形成された円筒状のゴムスリーブを、可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型もしくはコグ型からなる型部を刻印した外型との間に配置し、
上記可撓性ジャケットを膨張させ、上記ゴムスリーブを外型の刻印した型部に密着するように予備成型体を作製し、
外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付けた別のスリーブを作製し、
上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて別のスリーブを予備成型体と一体的に加硫し、
脱型して型付部を形成した加硫ベルトスリーブを作製する、伝動ベルトの製造方法にある。
更に、本発明では、未加硫の予備成型体を作製後に、心線を巻き付けた別のスリーブを膨張させて一体成形するために、心線の伸張を抑制できるため、寸法安定性に富んだベルトを成形することができる。
【0011】
また、本願請求項3記載の発明は、未加硫のゴムシートの表面に植毛層を形成した後に、該ゴムシートを巻付けながらゴムシートの自重により植毛層を加圧する伝動ベルトの製造方法にあり、ゴムシートの自重により植毛層を加圧するために特別の加圧装置を使用する必要がない。
【0012】
また、本願請求項4記載の発明は、未加硫ゴムシートの表面に植毛層を形成した後に、プレスにより該植毛層を該ゴムシートに加圧して植毛層付きゴムシートを作製する伝動ベルトの製造方法にあり、植毛層が未加硫ゴムシートの表面に強く固着する。
【発明の効果】
【0013】
上記発明によると、未加硫のゴムシートの表面に植毛層を形成した後、該植毛層を加圧して、短繊維をゴムシートへ押込むようにして接着力を向上させることができ、これにより短繊維が抜けにくくなり、また植毛量の変量と測定が可能になって摩擦係数を制御でき、べルト走行時の騒音を長時間抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施例を説明する。
本発明では、圧縮ゴム層を形成する短繊維を幅方向に配向させたゴムシートを作製するが、その製造方法として押出方法やカレンダーによる圧延方法がある。無論、短繊維を含有させないゴムシートも使用することができる。
【0015】
その一例として、繊維を幅方向に配向させたゴムシートを押出方法で作製する場合には、予めオープンロールによってポリマー100質量部に10〜40質量部の短繊維を投入して混練した後、混練したマスターバッチをいったん放出し、これを20〜50°Cまで冷却してゴムのスコーチを防止する。
【0016】
1〜10質量部の軟化剤を投入すると、短繊維とゴムのなじみが良くなり、ゴム中への分散が良くなるばかりか、短繊維自体が絡み合って綿状になるのを防ぐ効果がある。即ち、軟化剤が短繊維に浸透し、素繊維同士の絡み合いがほぐれるための潤滑剤としての役割をはたし、短繊維が綿状になるのを阻止し、かつ短繊維とゴムのなじみが良くなって短繊維の分散が良くなる
【0017】
続いて、マスターバッチを押出機におけるシリンダーの押出スクリューで通常40〜100℃に温度調節された状態で混練りした後、短繊維混入ゴムをスムーズに環境拡張ダイからなるゴム通路へ流し、そしてゴム通路の中を通過させながら短繊維を円周方向に配向させた筒状成形体に押出成形する。その後、筒状成形体は短繊維が内層から外層にかけて円周方向に均一に配向した厚さ1〜10mmのものであり、切断手段によって1個所切開しながら一枚のゴムシートにし、続いて該ゴムシートを所定間隔で切断する。
【0018】
ここで使用するゴムシートの原料ゴムとしては、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)からなるエチレン−α−オレフィンエラストマー等のゴム材の単独、またはこれらの混合物が使用される。ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが挙げることができる。
【0019】
上記ゴムシートには、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿等の繊維からなり繊維の長さは繊維の種類によって異なるが、1〜10mm程度の短繊維が用いられ、例えばアラミド繊維であると3〜5mm程度、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿であると5〜10mm程度のものが用いられる。その添加量はゴム100質量部に対して10〜40質量部である。
【0020】
更に、上記ゴムシートには、軟化剤、カーボンブラックからなる補強剤、充填剤、老化防止剤、加硫促進剤、加硫剤等が添加される。
【0021】
上記軟化剤としては、一般的なゴム用の可塑剤、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタレート系、ジオクチルアジペート(DOA)等のアジペート系、ジオクチルセバケート(DOS)等のセバケート系、トリクレジルホスフェート等のホスフェートなど、あるいは一般的な石油系の軟化剤が含まれる。
【0022】
続いて、図1に示すように、ライナー30上に設置されたゴムシート22は、表面に接着剤をスプレー法、ディップ法等の公知の方法で塗布して接着層23を設ける。接着剤としては、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤、ゴム系接着剤、RFL(レゾリシン−ホルムアルデド−ラテックス)接着剤、ウレタン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン系エマルジョン等がある。RFL液はレゾルシンとホルムアルデドとの初期縮合体をラテックスに混合したものであり、ここで使用するラテックスとしてはクロロプレン、スチレン・ブタジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリル、NBR、エチレン・α−オレフィン−ジエン共重合体ゴムラテックスである。また、RFL液にイソシアネート化合物も添加することができる。
尚、接着剤を塗布する前に、ゴムシート22の表面をアルコール拭きなどのクリーニング処理、プライマー処理等の前処理を行うこともできる。
【0023】
接着層23の厚みは、特に限定されるものではないが、短繊維を良好にさせるためにも約0.05〜1mm、好ましくは0.05mm〜0.5mmである。
【0024】
そして、図1に示すように公知の静電植毛機31を用いて、接着層23に静電植毛を行う。植毛処理としては、基台をアースとし、静電植毛機31の電極に電圧を印加することにより電界を形成し、この電界内にレーヨン、綿、ポリエステル、ナイロン、アラミド、ビニロン、炭素繊維、ポリテトラフルオロエチレン等などからなる表面を電着処理した短繊維を供給し、飛翔させて接着層23に突き刺すことにより植毛層26を設ける。
【0025】
植毛層26の厚さは0.05〜0.5mmであり、0.05mm未満の場合には、短繊維の量が少なくなり、また短時間にベルト表面から脱落して発音対策の効果が軽減されるが、一方0.5mmを超えると、短繊維の量が多くなり、通気性が損なわれ、成形後の空気が内在しやすくなる。
【0026】
上記短繊維の長さは0.1〜5.0mmが好ましく、アスペクト比(長さLmm/太さ直径Dmmは30〜300である。また、短繊維の密度は摩擦係数や走行時の音に寄与するものであり、今日使用されている伝動ベルトに近時するもので、10,000〜500,000本/cmである。
【0027】
静電植毛が完了すると、上記ゴムシート22を植毛層26が内側になるように複数巻き付けて植毛層26を加圧する。短繊維はゴムシート22へ押圧されてゴムとの接着力を向上させ、これにより短繊維が抜けにくく、植毛密度を高く維持してベルト走行時の騒音を長時間抑制することができる。
【0028】
また、本発明では、前述のように公知の静電植毛機31を用いて、ゴムシート22の接着層23に静電植毛を行い、接着層23に突き刺すことにより植毛層26を設ける。そして、図2に示すように植毛層26付きゴムシート22を下プレス34に設置した後、上プレス33を押圧して植毛層26をゴムシート22に固着する。この時のプレス条件は10〜130℃、加圧条件は0.02〜0.3MPa、加圧時間は20〜180秒である。
【0029】
続いて、内型41に装着された加硫ゴム製の可撓性ジャケット42の外周面に、離型紙あるいは樹脂フィルムからなる離型シート(図示せず)を巻き付けた後、上記植毛層26付きゴムシート22を植毛層26が外側になるように巻き付け、ラップまたは突合せジョイントして未加硫のゴムスリーブ24を作製する。
【0030】
次いで、図3に示すように、上記植毛層26付きゴムスリーブ24を装着した内型41を、外型46の内側に一定の空隙を設けて基台上に載置する。内型41は別の成形工程より移動してくる関係上、媒体流通口Aと媒体送入排出路Bとは分離しており、内型41を基台に載置後、媒体流通口AをジョイントJでパイプと連結する。
【0031】
媒体送入機を作動させて高圧空気もしくは高圧蒸気を、媒体送入排出路B、媒体流通口Aを経て、可撓性ジャケット42の内部に送入する。可撓性ジャケット42は、その上下部が内型41上に密閉固定されているため、可撓性ジャケット42の内面と内型41の外面の間に空気が充満し、可撓性ジャケット42は次第に膨張する。そして、その外周面に装着されている植毛した第1のスリーブ24を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で100〜160℃に加熱した外型46のリブ型45と30〜120秒間接触せしめる。
【0032】
このとき、可撓性ジャケット42の膨張押圧力により、上記植毛したゴムスリーブ24が外型46のリブ型45に押圧され、図4のような表面に複数のV型突起の型付部27を有する未加硫の予備成型体21を形成するに至る。そして、植毛した短繊維はゴム流れによってゴム中に埋設せずに表面に露出して植毛層23に強固に接合する。
【0033】
その後、バルブを真空ポンプの方へ切替えて、可撓性ジャケット42内に充満している空気を排気し、次いで吸引作用で可撓性ジャケット42を元の位置に収縮復帰せしめる。
【0034】
そして、内型41を外型46から抜き取り、内型41の可撓性ジャケット42の外周面に補強布47、接着ゴム49、およびコードからなる心線48を順次に捲き付けて第2のスリーブ25を形成する。その後、図5および図6に示すようにこの内型41を外型46内へ設置した後、可撓性ジャケット42を膨張させ、第2のスリーブ25を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で100〜180℃に加熱した外型46のリブ型あるいはコグ型からなる型部45に装着した予備成型体21に密着して一体的に加硫し、ベルトスリーブ51を作製する。
【0035】
上記製造方法のように未加硫の予備成型体21を成型することにより、成形時に可撓性ジャケット42の膨張による第2のスリーブ25の伸張量を抑え、また心線48を平坦に配置することができ、寸法安定性に優れたVリブドベルトを作製することができる。
【0036】
加硫後は、図7に示すように可撓性ジャケット42を収縮させ、内型41を外型46から脱型した後、外型46に装着した加硫済みベルトスリーブ51を抜き取る。加硫済みベルトスリーブ51の型付部27の表面では、短繊維26が型付部27の表面層23に固着して種々の角度で起毛し、露出した状態になっている。
【0037】
更に、上記加硫済みベルトスリーブ51を他の1軸もしくは2軸ドラムに挿入して回転させながら、円周方向に所定幅に切断し、ドラムより取出し反転することにより、周長が一定で、V形リブが正確に型付形成されたVリブドベルト1を得た。尚、外型46を分割式モールドにした場合、未加硫スリーブの挿入ならびに加硫スリーブの取り外しが容易になり、かつこの分割面が一種の空気抜きの機能を果し、V型リブをより一層正確に形成することができる。
【0038】
補強布47としては、織物、編物、不織布の繊維材料あるいはゴム材料から選択されるが、より好ましいものは不織布である。構成する繊維素材としては、例えば綿、麻、レーヨン等の天然繊維や、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。上記帆布は公知技術に従ってRFL液に浸漬後、未加硫ゴムを補強布に擦り込むフリクションを行い、またRFL液に浸漬後にゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理する。
【0039】
接着ゴム49に使用されるゴムとしては、短繊維を除いた圧縮ゴム層のゴム配合物に類似している。無論、短繊維を含めてもよい。
【0040】
心線48としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維が使用され、中でもエチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維フィラメント群を撚り合わせた総デニール数が4,000〜8,000の接着処理したコードが、ベルトスリップ率を低く抑えることができ、ベルト寿命を延長させるために好ましい。また、心線102にはゴムとの接着性を改善する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をRFL液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行った後に、RFL液で処理する方法等もある。
【0041】
心線48は、スピニングピッチ、即ち心線の巻き付けピッチを0.9〜1.3mmにすることで、モジュラスの高いベルトに仕上げることができる。0.9mm未満になると、コードが隣接するコードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.3mmを越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くなる。
【0042】
尚、以上説明した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
【0043】
(1)上記のように未加硫の予備成型体と別のスリーブとを積層一体化するする必要はなく、内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付け、その上に表面層に短繊維を植毛した未加硫のゴムスリーブを積層してベルト成形体に仕上げ、上記内型を、内周面にリブ型もしくはコグ型からなる型部を刻印した外型との間に配置して、上記可撓性ジャケットを膨張させて上記ベルト成形体を外型の刻印した型部に密着して加硫したベルトスリーブを作製することもできる。
【0044】
(2)上述のとおり、圧縮ゴム層を形成するゴムシートに短繊維を含有させる必要はない。短繊維を入れない代わりに、圧縮ゴム層には固体潤滑材を配合することができる。この固体潤滑材は六方晶系又は鱗片状のグラファイト、二流化モリブデン、そしてポリテトラフルオロエチレンから選ばれたものであり、その添加量は原料ゴム100質量部に対して10〜100質量部、好ましくは10〜60質量部であり、10質量部未満の場合にはベルト質量部を超えると、ゴム物性の伸びが小さくなり、ベルト寿命が短くなる。
【0045】
(3)ゴムスリーブ24の表面に接着層23を設けずに、直接植毛層26を設けることもできる。
【0046】
(4)ゴムスリーブ24を圧縮ゴム層だけとし、スリーブ25を接着ゴム層の第1部分と心線と接着ゴム層の第2部分との積層体とすることができる。この場合、リブに沿った流動は圧縮ゴム層だけとなり、接着ゴム層の全体がこの流動から隔離された状態となり、心線48の整列状態がより確実となる。ただし、圧縮ゴム層と接着ゴム層との加熱加圧状態での加硫接合が確実に行われるように適宜な材料選択を行う。
【0047】
(5)伝動ベルトの背面補強材について、場合により背面補強材を積層しない形式の伝動ベルトとすることもできる。
【0048】
(6)また、上述した型装置を用いた伝動ベルトの製造方法により、ローエッジコグベルトも成形することができる。このベルトは、接着ゴム層内にベルト長手方向に沿ってスパイラル状に埋設した心線と、該心線の上側(ベルト外周側)に積層した伸張ゴム層と、前記心線の下側(ベルト内周側)に積層した圧縮ゴム層からなり、圧縮ゴム層は所定間隔で設けた凹部と凸部とを交互に有するコグ部を有している。また伸張ゴム層の背面及び圧縮ゴム層のコグ部表面には補強布を設けている。
【0049】
このベルトを成形する場合には、外型46は本体内周方向に沿って所定間隔で外型46の長手方向の延びるコグ型に相当する型部45を設けたものを使用することができる。その他の型装置の構造は変わらない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の製造方法で得られた伝動ベルトは、ベルト走行時の騒音を軽減し、そしてベルトの伸びを小さくしたVリブドベルト、ローエッジVベルト等の伝動ベルトに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ゴムシート上の接着剤の表面に植毛層を設けた後、ゴムシートを巻き取る状態を示す図である。
【図2】ゴムシートの表面に植毛層を設けた後、植毛層とゴムシートをプレスする状態を示す図である。
【図3】予備成型体を成形している状態の縦断図である。
【図4】予備成型体を作製した後状態の断面図である。
【図5】ゴムスリーブを作製する前状態の断面図である。
【図6】ゴムスリーブを加硫している状態の断面図である。
【図7】ゴムスリーブを加硫した後状態の断面図である。
【符号の説明】
【0052】
21 予備成型体
22 ゴムシート
23 接着層
24 ゴムスリーブ
25 別のスリーブ
26 植毛層
27 型付部
41 内型
42 可撓性ジャケット
45 型部
46 外型
51 ベルトスリーブ
【出願人】 【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
【出願日】 平成19年6月13日(2007.6.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−30460(P2008−30460A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2007−155813(P2007−155813)