トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般

【発明の名称】 未加硫タイヤの成形方法及びその装置
【発明者】 【氏名】山村 英二

【要約】 【課題】ビード底面に所定の傾斜が設けられたビード部材とビード保持部材との間に筒状部材を常に強固に保持することのできる未加硫タイヤの成形方法及びその装置を提供する。

【構成】各ビード保持部材20は筒状部材120の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面20aを有し、ビード保持面20aの全体が筒状部材120の内周面に当接するとともに、ビード底面111aの軸方向一端111bとビード保持面20aとの間に筒状部材120が挟まれる。また、各ビード保持部材20がビード底面111aの軸方向一端111bを中心とする円周方向に回動し、ビード保持面20aをビード底面111aと略平行にすることができる。即ち、各ビード保持部材20のビード保持面20aの全体とビード底面111aとの間に筒状部材120を強固に保持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ軸方向一端側が小径になるようにビード底面が所定の角度で傾斜している軸方向一対のビード部材の径方向内側に未加硫ゴムから成る筒状部材が配置された状態で、各ビード部材のビード底面を筒状部材の径方向内側からそれぞれ保持するとともに、各ビード部材間の筒状部材をトロイダル状に成形する未加硫タイヤの成形方法において、
前記筒状部材の径方向内側の各ビード部材に対応する位置にそれぞれ周方向に並ぶように設けられ、それぞれ筒状部材の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面を有する複数のビード保持部材を、ビード保持面とビード底面の軸方向一端側との間に筒状部材が挟まれるまで径方向外側に向かって移動させるとともに、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれた状態でビード保持面がビード底面と略平行になるように各ビード保持部材を回動させることにより、各ビード保持部材によって各ビード部材を筒状部材の径方向内側からそれぞれ保持する
ことを特徴とする未加硫タイヤの成形方法。
【請求項2】
それぞれ軸方向一端側が小径になるようにビード底面が所定の角度で傾斜している軸方向一対のビード部材の径方向内側に未加硫ゴムから成る筒状部材が配置された状態で、各ビード部材のビード底面を筒状部材の径方向内側からそれぞれ保持するとともに、各ビード部材間の筒状部材をトロイダル状に成形する未加硫タイヤの成形装置において、
前記筒状部材の径方向内側の各ビード部材に対応する位置にそれぞれ周方向に並ぶように設けられ、それぞれ筒状部材の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面を有する複数のビード保持部材と、
ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれるまで各ビード保持部材を径方向外側に向かって移動させるとともに、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれた状態でビード保持面がビード底面と略平行になるように各ビード保持部材を回動させる移動機構とを備えた
ことを特徴とする未加硫タイヤの成形装置。
【請求項3】
前記ビード保持面をゴム状弾性材料から形成した
ことを特徴とする請求項2記載の未加硫タイヤの成形装置。
【請求項4】
前記ビード保持面と筒状部材との間に挟み込まれるように設けられたゴム状弾性材料から成る弾性部材を備えた
ことを特徴とする請求項2または3記載の未加硫タイヤの成形装置。
【請求項5】
前記ゴム状弾性材料を伸張率が50%の時の弾性率が5MPa以上20MPa以下である材料から構成した
ことを特徴とする請求項3または4記載の未加硫タイヤの成形装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば重荷重用の空気入りタイヤの製造工程において、インナーライナー部材、カーカス部材、サイドウォール部材等から成る筒状部材に一対のビード部材を装着してトロイダル状に成形する未加硫タイヤの成形方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の未加硫タイヤの成形装置としては、それぞれ軸方向一端側が小径になるようにビード底面が所定の角度で傾斜している軸方向一対のビード部材の径方向内側に未加硫ゴムから成る筒状部材が配置された状態で、周方向に並設された複数のビード保持部材を筒状部材の径方向内側の各ビード部材に対応する位置に配置し、各ビード保持部材を径方向外側に移動させることにより、各ビード保持部材のビード保持面によって各ビード部材を筒状部材の径方向内側から保持するとともに、各ビード部材を近づく方向に移動しながら各ビード部材の間の筒状部材をトロイダル状に成形するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−39922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記未加硫タイヤの成形装置では、図10及び図11に示すように、各ビード保持部材100が径方向外側に移動した際に、各ビード保持部材100のビード保持面101とビード部材110のビード底面111aとの間に筒状部材120が強固に保持されるように、各ビード保持部材100のビード保持面101における筒状部材120の軸方向の中央に凹状部101aが設けられ、凹状部101aはビード部材110のビード底面111aの傾斜に沿うように形成されている。
【0004】
しかしながら、各ビード保持部材100を径方向外側に移動すると、ビード保持面101の凹状部101aの軸方向両側が筒状部材120の内周面に当接し、筒状部材120の内周面と凹状部101aとの間に隙間が生じ易いので、前記隙間が生じた場合は各ビード保持部材100のビード保持面101とビード部材110のビード底面111aとの間に筒状部材120を強固に保持することができず、各ビード部材110の間の筒状部材120をトロイダル状に成形する際にビード保持面101とビード部材110との間の筒状部材120が軸方向にずれ、タイヤのユニフォーミティの向上を図る上で好ましくないという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ビード底面に所定の傾斜が設けられたビード部材とビード保持部材との間に筒状部材を常に強固に保持することのできる未加硫タイヤの成形方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、それぞれ軸方向一端側が小径になるようにビード底面が所定の角度で傾斜している軸方向一対のビード部材の径方向内側に未加硫ゴムから成る筒状部材が配置された状態で、各ビード部材のビード底面を筒状部材の径方向内側からそれぞれ保持するとともに、各ビード部材間の筒状部材をトロイダル状に成形する未加硫タイヤの成形方法において、前記筒状部材の径方向内側の各ビード部材に対応する位置にそれぞれ周方向に並ぶように設けられ、それぞれ筒状部材の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面を有する複数のビード保持部材を、ビード保持面とビード底面の軸方向一端側との間に筒状部材が挟まれるまで径方向外側に向かって移動させるとともに、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれた状態でビード保持面がビード底面と略平行になるように各ビード保持部材を回動させることにより、各ビード保持部材によって各ビード部材を筒状部材の径方向内側からそれぞれ保持するようにしている。
【0007】
これにより、各ビード保持部材は筒状部材の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面を有し、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれるまで各ビード保持部材が径方向外側に向かって移動することから、各ビード保持部材が径方向外側に向かって移動すると、各ビード保持部材のビード保持面の全体が筒状部材の内周面に当接するとともに、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれる。また、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれた状態でビード保持面をビード底面と略平行にすることから、各ビード保持部材のビード保持面の全体とビード底面との間に筒状部材が挟まれる。
【0008】
また、本発明は、それぞれ軸方向一端側が小径になるようにビード底面が所定の角度で傾斜している軸方向一対のビード部材の径方向内側に未加硫ゴムから成る筒状部材が配置された状態で、各ビード部材のビード底面を筒状部材の径方向内側からそれぞれ保持するとともに、各ビード部材間の筒状部材をトロイダル状に成形する未加硫タイヤの成形装置において、前記筒状部材の径方向内側の各ビード部材に対応する位置にそれぞれ周方向に並ぶように設けられ、それぞれ筒状部材の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面を有する複数のビード保持部材と、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれるまで各ビード保持部材を径方向外側に向かって移動させるとともに、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれた状態でビード保持面がビード底面と略平行になるように各ビード保持部材を回動させる移動機構とを備えている。
【0009】
これにより、各ビード保持部材は筒状部材の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面を有し、移動機構はビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれるまで各ビード保持部材を径方向外側に向かって移動させることから、移動機構によって各ビード保持部材を径方向外側に向かって移動させると、各ビード保持部材のビード保持面の全体が筒状部材の内周面に当接するとともに、ビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれる。また、移動機構はビード底面の軸方向一端側とビード保持面との間に筒状部材が挟まれた状態でビード保持面をビード底面と略平行にすることができるので、各ビード保持部材のビード保持面の全体とビード底面との間に筒状部材が挟まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各ビード保持部材のビード保持面の全体とビード底面との間に筒状部材を挟むことができるので、ビード底面に所定の傾斜が設けられたビード部材とビード保持部材との間に筒状部材を常に強固に保持することができ、タイヤのユニフォーミティの向上を図る上で極めて有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1乃至図7は本発明の一実施形態を示すもので、図1は未加硫タイヤ成形装置の断面図、図2は図1におけるA−A線断面図、図3乃至図6は筒状部材をトロイダル状に成形する際の未加硫タイヤ成形装置の動作説明図、図7はユニフォーミティの測定結果である。
【0012】
この未加硫タイヤ成形装置は、支軸1と、支軸1に軸方向に移動可能に設けられた軸方向一対のドラム本体10と、各ドラム本体10にそれぞれ複数ずつ設けられたビード保持部材20と、各ドラム本体10の間に設けられた成形ブラダ30とを備えている。また、この未加硫タイヤ成形装置は、各ドラム本体10の径方向外側に未加硫ゴム部材から成る筒状部材120を配置するとともに、筒状部材120の外周面側の軸方向所定位置に一対のビード部材110を配置し、各ビード部材110を各ドラム本体10の各ビード保持部材20によって筒状部材120の径方向内側から保持するとともに、各ドラム本体10を互いに近づく方向に移動しながら各ビード部材110の間の筒状部材120をトロイダル状に成形する。各ドラム本体10は軸方向に対称に設けられ、各ビード保持部材20も軸方向に対称に設けられているので、以下の文章では一方のドラム本体10及び一方のドラム本体10の各ビード保持部材20について説明する。
【0013】
支軸1は図示しないベースに回転自在に支持され、内部に駆動シャフト2が挿通している。駆動シャフト2は図示しないモータ等によって回転するようになっており、駆動シャフト2の外周面には右ネジ及び左ネジから成るネジ部2aが設けられている。また、支軸1の一部には軸方向に延びる2つの長孔1aが設けられ、各長孔1aは支軸1の軸方向に並ぶように設けられている。
【0014】
ドラム本体10は支軸1に軸方向に移動可能に嵌合し、ドラム本体10の内周面には螺合部材11が設けられている。また、螺合部材11は長孔1aを挿通してネジ部2aに螺合している。ここで、一方の保持部材10の螺合部材11はネジ部2aの右ネジに螺合し、他方の保持部材10の螺合部材11はネジ部2の左ネジに螺合している。このため、駆動シャフト2が回転すると、各ドラム本体10が互いに近づく方向または互いに離れる方向に移動する。各ドラム本体10内にはドラム本体10の軸方向に移動可能なピストン12が設けられ、ピストン12は図示しない圧縮空気供給装置から供給される圧縮空気によってドラム本体10の軸方向に移動する。
【0015】
各ビード保持部材20はドラム本体10の外周面側に径方向に移動可能に設けられ、互いに周方向に並ぶように配置されている。また、各ビード保持部材20は各ドラム本体10の外周面側に配置された筒状部材120の内周面と略平行且つ平坦なビード保持面20aを有し、ビード保持面20aはウレタンゴム等のゴム状弾性材料層20bから形成されている。このゴム状弾性材料層は伸張率が50%の時の弾性率が5MPa以上20MPa以下である材料から成る。各保持部材20にはドラム本体10の径方向内側からそれぞれ第1連結部材21の一端が連結され、第1連結部材21の一端は保持部材20にドラム本体10の軸方向に回動可能に連結されている。また、各第1連結部材21の他端にはそれぞれ第2連結部材22の一端がドラム本体10の軸方向に回動可能に連結され、第2連結部材22の他端はピストン12にドラム本体10の軸方向に回動可能に連結されている。各第1連結部材21と各第2連結部材22の連結部はそれぞれ支持部材23によって支持され、支持部材23はドラム本体10に径方向にのみ移動可能である。即ち、第1連結部材21と第2連結部材22の連結部はドラム本体10の径方向にのみ移動可能である。
【0016】
各ビード保持部材20にはそれぞれ一対の第1係合ピン24及び一対の第2係合ピン25が設けられている。各第1係合ピン24は互いにドラム本体10の周方向に対向する位置に設けられ、各第2係合ピン25も互いにドラム本体10の周方向に対向する位置に設けられている。
【0017】
各係合ピン24はそれぞれ案内部材26に設けられた第1案内溝27内に配置され、各係合ピン25はそれぞれ案内部材26に設けられた第2案内溝28内に配置されている。案内部材26は、ドラム本体10内に固定されたリング状のベース部26aと、ベース部26aの外周面から径方向外側に向かって延びるように設けられた複数の突出部26bとを有する。各突出部26bは互いにドラム本体10の周方向に間隔をおいて配置され、各突出部26bに各案内溝27,28が設けられている。
【0018】
各ビード部材110は、未加硫ゴム材料によって被覆されたワイヤを複数回に亘って巻回して成るビードコア111と、硬質の未加硫ゴム材料から成り、ビードコア111の外周面から径方向外側に向かって延びるように設けられたビードフィラ112とを有する。また、ビードコア111の内周面から成るビード底面111aは軸方向一端111b側が小径となるように所定の角度で傾斜しており、各ビード部材110は互いに軸方向一端111b側が向かい合うように配置されている。筒状部材120はインナーライナー部材、カーカス部材、サイドウォール部材等から成る。筒状部材120はドラム本体120の径方向外側に配置され、ビード部材110は筒状部材120の径方向外側に配置されるとともに各ビード保持部材20の径方向外側である軸方向所定位置に配置される。
【0019】
第1案内溝27は、ドラム本体10の径方向に延びる第1溝部27aと、第1溝部27a内におけるドラム本体10の径方向の外側である外側端からドラム本体10の軸方向に延びる第2溝部27bとを有する。また、第2溝部27bは前記軸方向所定位置に配置されたビード部材110の軸方向一端111bを中心とする円周方向に延びるように形成されている。第2案内溝28は、ドラム本体10の径方向に延びる第1溝部28aと、第1溝部28a内におけるドラム本体10の径方向の外側である外側端からドラム本体10の軸方向に延びる第2溝部28bとを有する。また、第2溝部28bは前記軸方向所定位置に配置されたビード部材110の軸方向一端111bを中心とする円周方向に延びるように形成されている。尚、ピストン12、各連結部材21,22、支持部材23、各係合ピン24,25及び各案内溝27,28によって特許請求の範囲に記載した移動機構が構成されている。
【0020】
成形ブラダ30は補強コードによって補強された筒状ゴムから成り、一端側が一方のドラム本体10に固定されるとともに、他端側が他方のドラム本体10に固定されている。また、成形ブラダ30内に図示しない圧縮空気供給装置から圧縮空気が供給されると、成形ブラダ30がトロイダル状に膨張するようになっている。
【0021】
以上のように構成された未加硫タイヤ成形装置において、未加硫タイヤを成形する場合は、先ずドラム本体10の径方向外側に筒状部材120が配置される。この時、ピストン12を各ドラム本体10の軸方向外側に向かって移動させ、各ビード保持部材20を径方向内側に移動させる。これにより、第1係合ピン24は第1溝部27a内におけるドラム本体10の径方向の内側である内側端に配置され、第2係合ピン25は第1溝部28a内におけるドラム本体10の径方向の内側である内側端に配置される(図3参照)。
【0022】
次に、筒状部材120の径方向外側に一対のビード部材110が配置される。また、ピストン12を各ドラム本体10の軸方向内側に向かって移動させ、各ビード保持部材20を径方向外側に向かって移動させる。これにより、各ビード保持部材20のビード保持面20aの全体が筒状部材120の内周面に当接するとともに、ビード底面111aの軸方向一端111bとビード保持面20aとの間に筒状部材120が挟まれる。この時、第1係合ピン24は第1溝部27a内における外側端まで移動し、第2係合ピン25は第2溝28a内における外側端まで移動する(図4参照)。
【0023】
さらにピストン12を各ドラム本体10の軸方向内側に向かって移動させると、第1係合ピン24が第2溝部27b内を移動し、第2係合ピン25が第2溝部28b内を移動する。このため、各ビード保持部材20がビード底面111aの軸方向一端111bを中心とする円周方向に回動する。また、各ビード保持部材20はビード保持面20aがビード底面111aと略平行になるまで回動する。これにより、ビード底面111aの軸方向一端111bとビード保持面20aとの間に筒状部材120が挟まれた状態でビード保持面20aとビード底面111aとが略平行となり、各ビード保持部材20のビード保持面20aの全体とビード底面111aとの間に筒状部材が挟まれる(図5参照)。
【0024】
続いて、各ドラム本体10を互いに近づく方向に移動させながら、成形ブラダ30を膨張させることにより、各ビード部材110の間の筒状部材120がトロイダル状に成形される(図6参照)。
【0025】
このように、本実施形態によれば、各ビード保持部材20は筒状部材120の内周面に略平行且つ平坦なビード保持面20aを有し、ピストン12を各ドラム本体10の軸方向内側に向かって移動させると、各ビード保持部材20のビード保持面20aの全体が筒状部材120の内周面に当接するとともに、ビード底面111aの軸方向一端111bとビード保持面20aとの間に筒状部材120が挟まれ、さらにピストン12を各ドラム本体10の軸方向内側に向かって移動させると、各ビード保持部材20がビード底面111aの軸方向一端111bを中心とする円周方向に回動し、ビード底面111aの軸方向一端111bとビード保持面20aとの間に筒状部材120が挟まれた状態で、ビード保持面20aをビード底面111aと略平行にすることができる。即ち、各ビード保持部材20のビード保持面20aの全体とビード底面111aとの間に筒状部材120を挟むことができるので、ビード底面111aに所定の傾斜が設けられたビード部材110と各ビード保持部材20との間に筒状部材120を常に強固に保持することができる。従って、各ビード部材110の間の筒状部材120をトロイダル状に成形する際に、筒状部材120に各ドラム本体10の軸方向内側に向かう力が加わるが、ビード部材110と各ビード保持部材20との間に筒状部材120を強固に保持することができるので、筒状部材120が軸方向に移動することがなく、タイヤのユニフォーミティの向上を図る上で極めて有利である。
【0026】
例えば、図7に示すように、本実施形態の成形方法により成形されたタイヤのRFV(ユニフォーミティ)は従来の成形方法によって成形されたRFVよりも小さくなり、RFVのばらつきを示す標準偏差σも小さくなる。尚、RFVの測定はJASO C607で規定されている方法で行った。また、測定したサンプルは、タイヤサイズ:11R22.5、カーカスプライ(スチールコード):1枚であり、20本のタイヤを測定して平均値Ave及び標準偏差σを求めた。
【0027】
また、ビード部材110のビード底面111は軸方向一端111b側が小径になるように傾斜しており、各ビード保持部材20のビード保持面20aはビード底面111と略平行になるので、各ビード部材110の間に筒状部材120をトロイダル状に成形する際に、ビード部材110に各ドラム本体10の軸方向外側に向かう力が加わるが、各ビード部材110の軸方向外側の移動が各ビード保持部材20によって規制され、タイヤのユニフォーミティの向上を図る上で極めて有利である。
【0028】
また、各ビード保持部材20のビード保持面20aをゴム状弾性材料層20bから形成したので、ビード底面111とビード保持面20aとの間に筒状部材120が挟まれる際にビード保持面20aの全面に亘って均一な圧力が生じ、筒状部材120をより強固に保持することができる。
【0029】
さらに、ゴム状弾性材料層20bを伸張率が50%の時の弾性率が5MPa以上20MPa以下である材料から形成したので、ゴム状弾性材料層20bが軟らかすぎて筒状部材120の保持力が低下することがなく、また、ビード保持面20aの全面に均一な圧力を発生させるために硬すぎることもなく、筒状部材120を強固に保持する上で有利である。
【0030】
尚、本実施形態では、各ビード保持部材20のビード保持面20aをゴム状弾性材料層20bから形成したものを示したが、図8に示すように、各ビード保持部材20のビード保持面20aを金属等の硬質な材料から形成するとともに、各ビード保持部材20のビード保持面20aの径方向外側に弾性部材40を設けることも可能である。この場合、弾性部材40はウレタンゴム等のゴム状弾性材料から成り、各ビード保持部材20のビード保持面20aをドラム本体10の全周に亘って覆う筒状に形成されるとともに、一端及び他端がドラム本体10に固定されている。これにより、各ビード保持部材20が径方向外側に移動するとともに回動し、ビード底面111aと各ビード保持部材20の間に筒状部材120が挟まれる際に、筒状部材120と各ビード保持部材20との間に弾性部材40が挟み込まれる。このため、ビード底面111aとビード保持面20aとの間に筒状部材120が挟まれる際にビード保持面20aの全面に亘って均一な圧力が生じ、筒状部材120をより強固に保持することができる。また、図9に示すように、弾性部材40をターンアップブラダから形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明における一実施形態を示す未加硫タイヤ成形装置の断面図
【図2】図1におけるA−A線断面図
【図3】筒状部材をトロイダル状に成形する際の未加硫タイヤ成形装置の動作説明図
【図4】筒状部材をトロイダル状に成形する際の未加硫タイヤ成形装置の動作説明図
【図5】筒状部材をトロイダル状に成形する際の未加硫タイヤ成形装置の動作説明図
【図6】筒状部材をトロイダル状に成形する際の未加硫タイヤ成形装置の動作説明図
【図7】ユニフォーミティの測定結果
【図8】本実施形態の変形例を示す未加硫タイヤ成形装置の要部断面図
【図9】本実施形態の他の変形例を示す未加硫タイヤ成形装置の要部断面図
【図10】従来の未加硫タイヤ成形装置の要部断面図
【図11】従来の未加硫タイヤ成形装置の要部断面図
【符号の説明】
【0032】
1…支軸、2…駆動シャフト、10…ドラム本体、12…ピストン、20…ビード保持部材、20a…ビード保持面、20b…ゴム状弾性材料層、21…第1連結部材、22…第2連結部材、23…支持部材、24…第1係合ピン、25…第2係合ピン、26…案内部材、27…第1案内溝、27a…第1溝部、27b…第2溝部、28…第2案内溝、28a…第1溝部、28b…第2溝部、30…成形ブラダ、40…弾性部材、110…ビード部材、111…ビードコア、111a…ビード底面、111b…軸方向一端、112…ビードフィラ、120…筒状部材。

【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100069981
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 精孝

【識別番号】100087860
【弁理士】
【氏名又は名称】長内 行雄


【公開番号】 特開2008−23946(P2008−23946A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201836(P2006−201836)