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弾性ローラ及びその製造方法。 - 特開2008−12775 | j-tokkyo
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【発明の名称】 弾性ローラ及びその製造方法。
【発明者】 【氏名】口山 崇

【要約】 【課題】トナー劣化を防ぐ為に現像ローラを低硬度とすると、長期間未使用な状態で放置した場合に、感光体や規制ブレードとの接触によりローラに歪みが生じ、画像不良の原因となる場合が有る。

【構成】「芯金と、該芯金の上に形成されてなる熱硬化性樹脂よりなる発泡体からなる弾性層と、該弾性層の上に形成されてなる少なくとも1層以上の表層とを有する弾性ローラであって、該弾性ローラが、該熱硬化性樹脂中に、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子を分散させる微粒子分散工程と、該弾性層を成形する弾性層成形工程と、該弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程とを含む製造方法にて得られうる、弾性ローラ。」によって、解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯金と、該芯金の上に形成されてなる熱硬化性樹脂よりなる発泡体からなる弾性層と、該弾性層の上に形成されてなる少なくとも1層以上の表層とを有する弾性ローラであって、
該弾性ローラが、
該熱硬化性樹脂中に、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子を分散させる微粒子分散工程と、
該弾性層を成形する弾性層成形工程と、
該弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程とを含む製造方法にて得られうる、
弾性ローラ。
【請求項2】
前記微粒子溶解工程の前後で、前記弾性層のアスカーC硬度が、5度以上減少する、請求項1に記載の弾性ローラ。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な前記微粒子が、水溶性の無機化合物、水溶性の有機化合物、DMFに可溶な無機化合物、およびDMFに可溶な有機化合物からなる群から選択される1以上である、請求項1または2に記載の弾性ローラ。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な前記微粒子が、水溶性の金属塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性ローラ。
【請求項5】
前記熱硬化性樹脂が、下記(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分とを必須成分とする硬化性組成物の反応物からなり、導電性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性ローラ:
(A)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体;
(B)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する化合物;
(C)ヒドロシリル化触媒;
(D)導電性付与剤。
【請求項6】
連続気泡構造を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性ローラ。
【請求項7】
該弾性ローラが、表面に現像剤からなる薄層を担持し、その状態で潜像保持体に接触又は近接して、該潜像保持体表面に該現像剤を供給し、該潜像保持体に形成された静電潜像を可視化する現像装置に用いられる現像ローラである、請求項5または6に記載の弾性ローラ。
【請求項8】
芯金と、該芯金の上に形成されてなる、熱硬化性樹脂よりなる弾性層と、該弾性層の上に形成されてなる少なくとも1層以上の表層とを有する弾性ローラの製造方法であって、
該熱硬化性樹脂中に、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子を分散させる微粒子分散工程と、
該弾性層を成形する弾性層成形工程と、
該弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程とを含む、
弾性ローラの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主として複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など電子写真方式を採用した装置の現像装置に好適に用いられる電子写真用弾性ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式による印字装置等を備えたOA機器が普及している。電子写真方式による印字装置は、例えば図1のように感光ドラム10を中心として帯電ローラ11、露光部12、現像ローラ(導電性ローラ)1、転写ローラ13、及びクリーニングブレード15を配したものである。現像ローラ1は、トナー収容部16の開口近傍と感光ドラム10との間に設けられている。トナー収容部16にはトナーが帯電状態で収納されている。
【0003】
電子写真方式による印字装置では、帯電ローラ11で感光ドラム10を一様に帯電し、露光部12で露光して感光ドラム10上に静電潜像を形成させる。さらに感光ドラム10に現像ローラ1を押し当てて感光ドラム10にトナーを供給する。トナーは帯電した状態で感光ドラム10に供給され、静電潜像上にトナーが供給してトナー像を形成する。そして感光ドラム10と転写ローラ13との間に挟まれた記録紙等にトナー像を転写する。また残余のトナーは、クリーニングブレード15でかき落とされ、トナー収容部に回収されて再利用される。
【0004】
上記したように、現像ローラ1は感光ドラム10などの静電潜像担持体へトナーを搬送する機能を有するものである。図2は、一般的な現像ローラ1の断面図及びその一部拡大図である。現像ローラは、通常SUS製やアルミニウム合金製などの導電性シャフトの周りに弾性層を同心円状に積層し、この弾性層の上に被覆層を形成して構成される。
現像方法には、現像ローラ表面を感光体と接触して用いる接触現像方式及び非接触にする非接触現像装置が通常用いられる。このような現像ローラには、トナーがローラ表面にこびりつく現象、いわゆるトナーフィルミングが生じないように、ローラ硬度を低くするなど、トナーへのストレス低下と、トナー劣化を防止することなどが要求される。また、現像ローラには、感光体などと長期間未使用の状態で接触することでローラ形状に歪みが生じないように適度な弾性回復力が要求される。
【0005】
弾性層を発泡体とすることは例えば特許文献1に記載されているように紙搬送用の加圧ローラなどに使用されている。また連続気泡構造の弾性層を有する弾性ローラについては例えば特許文献2に記載されているシリコーンゴム発泡体は、水による発泡を利用することで連続気泡構造を形成している。
【特許文献1】特開2004−139026号公報。
【特許文献2】特開2004−70159号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の発泡体からなる弾性ローラでは、低硬度故に長期間未使用の状態で放置した際に、感光体やクリーニングブレードなどとの接触によりローラに歪みが生じ、画像不良の原因となる場合が有った。従来では、「弾性発泡体での歪みは、長期間放置の間に弾性層中に独立で存在する気泡間で空気の移動がおこり、接触部位近傍の気泡内圧が負圧に近い状態となり、気泡が元の形状に戻らないこと」が原因であると推定されていた。
【0007】
従来技術では、この対策として、弾性体の気泡構造を独立型ではなく連続気泡型とすることが試みられては来ていたが、金型内に熱硬化性樹脂を射出して成形する射出成形の場合、連続気泡構造とすることで弾性体の強度が低下し、離型時に弾性体の破壊が発生しやすくなるなどの新たな課題が発生する場合が有った。
【0008】
弾性ローラを現像ローラとして使用する場合、トナーの劣化を防止する為に、例えば弾性体を発泡弾性体にするなどの手段によりローラの硬度を低くする試みが従来技術で行われていた。ただし、従来の発泡弾性体のローラでは、感光体やクリーニングブレードと長期間未使用の状態で接触すると、ローラに歪みが生じ、その歪みが画像に影響を与えることが問題となる場合が有った。そのため、良好な弾性回復力を有することが望まれている。本発明は、弾性ローラを現像ローラとして使用する場合、弾性体として発泡弾性体を使用する場合であっても、硬度が低く、かつ、良好な弾性回復力を有する弾性ローラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1は、
「芯金と、該芯金の上に形成されてなる熱硬化性樹脂よりなる発泡体からなる弾性層と、該弾性層の上に形成されてなる少なくとも1層以上の表層とを有する弾性ローラであって、
該弾性ローラが、
該熱硬化性樹脂中に、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子を分散させる微粒子分散工程と、
該弾性層を成形する弾性層成形工程と、
該弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程とを含む製造方法にて得られうる、
弾性ローラ。」である。
【0010】
本発明は、また、「前記微粒子溶解工程の前後で、前記弾性層のアスカーC硬度が、5度以上減少する、弾性ローラ。」である。
【0011】
本発明は、また、「前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な前記微粒子が、水溶性の無機化合物、水溶性の有機化合物、DMFに可溶な無機化合物、およびDMFに可溶な有機化合物からなる群から選択される1以上である、弾性ローラ。」である。
【0012】
本発明は、また、「前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な前記微粒子が、水溶性の金属塩である、弾性ローラ。」である。
【0013】
本発明は、また、「前記熱硬化性樹脂が、下記(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分とを必須成分とする硬化性組成物の反応物からなり、導電性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性ローラ:
(A)1分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体;
(B)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する化合物;
(C)ヒドロシリル化触媒;
(D)導電性付与剤。」である。
【0014】
本発明は、また、「連続気泡構造を有する、弾性ローラ。」である。
【0015】
本発明は、また、「該弾性ローラが、表面に現像剤からなる薄層を担持し、その状態で潜像保持体に接触又は近接して、該潜像保持体表面に該現像剤を供給し、該潜像保持体に形成された静電潜像を可視化する現像装置に用いられる現像ローラである、弾性ローラ。」である。
【0016】
本発明は、また、「芯金と、該芯金の上に形成されてなる、熱硬化性樹脂よりなる弾性層と、該弾性層の上に形成されてなる少なくとも1層以上の表層とを有する弾性ローラの製造方法であって、
該熱硬化性樹脂中に、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子を分散させる微粒子分散工程と、
該弾性層を成形する弾性層成形工程と、
該弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程とを含む、
弾性ローラの製造方法。」である。
【0017】
前記課題を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、上記の構成であることにより、長期間未使用の状態で放置した後でも良好な画像を得ることが可能な弾性ローラを提供することができた。発泡体の気泡構造を連続気泡構造とすることが特に好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の弾性ローラを導電性ローラとして使用することで、電子写真方式に用いられる現像ローラにおいて、長期間未使用の状態で放置した際に起こる「感光体やクリーニングブレードなどとの接触が原因のローラ歪みと、これに伴う画像不良」を防止し、長期間未使用の状態で放置した後も良好な画像を得ることが可能となる。
【0019】
本発明の弾性ローラは、熱硬化性樹脂よりなる発泡体からなる弾性層を含むので、トナー劣化を抑制することができる。効果が期待できるが、
低硬度故に長期間未使用の状態で放置した際に、感光体やクリーニングブレードなどとの接触によりローラに歪みが生じ、画像不良の原因となる場合が 本発明の好ましい態様は、「前記微粒子溶解工程の前後で、前記弾性層のアスカーC硬度が、5度以上減少する、弾性ローラ。」であり、又、特に好ましい態様は、「連続気泡構造を有する、弾性ローラ。」である。
【0020】
本発明の導電性ローラでは、離型後に、前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤を使用した抽出除去により連続気泡構造を形成するので、上記のような離型時の強度低下による弾性体の破壊は起こりにくい。また、抽出除去をすることで、最終的に微粒子がローラに異物として残ることが少ない。
【0021】
このように、本発明の導電性ローラを使用することで、上記の課題を解決し、生産性に優れ、且つ歪みの少ないローラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る弾性ローラ、導電性を有する弾性ローラ(導電性ローラ)の代表的な種々の実施例を説明する。
【0023】
図2は、本発明に係る導電性ローラの断面説明図である。この現像ローラ1は、直径1mm〜25mm程度のSUS(ステンレス鋼)、アルミニウム合金または導電性樹脂などからなる導電性シャフト1の周りに、発泡弾性層2が設けられ、この発泡弾性層3の上に表層3が形成されたものである。
【0024】
表面層被覆後のローラ抵抗は104Ω〜1010Ω、好ましくは104Ω〜108Ωの範囲内となるように調節する。これは、ローラ抵抗が104Ω未満であると、現像ローラ表面からリーク電流などが生じ、ローラ抵抗が1010Ωを超えると、トナーフィルミングなどが生じ易くなり、画質が低下するからである。このローラ抵抗値は、現像ローラを金属プレートに水平に当て、前記導電性シャフトの両端部の各々に500gの荷重を金属プレート方向に加え、シャフトと金属プレート間に直流電圧100ボルトを印加して測定される値である。
【0025】
弾性層3を構成する発泡体としては特に限定はないが、(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体(好ましくは、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン単位からなる重合体)、(B)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物(硬化剤)、(C)ヒドロシリル化触媒、及び(D)導電性付与剤、を主成分とするものである。さに、(E)炭酸塩(炭酸カルシウム等)、及び(F)脂肪酸(ステアリン酸等)、を含有させることにより、より好ましい発泡弾性体が得られる。さらに(G)前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子(塩化リチウム等)(なお、この(G)成分は、請求項1に記載の「該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒」である。)を加える。前記弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程を経る。このようにして、特に良好な場合、良好な連続気泡構造の発泡弾性体が得られる。
【0026】
前記(A)分子中に少なくとも1個のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を有する有機重合体(好ましくは、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン単位からなる重合体)のアルケニル基とは、ヒドロシリル化反応に対して活性のある炭素−炭素2重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基、メタクリル基等が挙げられる。好適には、下記一般式(1):
2C=C(R1)−CH2− (1)(式中、R1は水素原子またはメチル基)
で示されるアルケニル基が、硬化性に優れる点で特に好ましい。また、(A)成分は、上記ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を重合体末端に導入されていることが望ましい。このようにアルケニル基が重合体末端にあるときは、最終的に形成される硬化物の有効網目鎖量が多くなり、高強度のゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0027】
また、(A)成分として使用される前記オキシアルキレン系重合体とは、主鎖を構成する単位のうち30モル%以上、好ましくは50モル%以上がオキシアルキレン単位からなる重合体をいい、オキシアルキレン単位以外に含有される単位としては、重合体製造時の出発物質として使用される、活性水素を2個以上有する化合物、たとえば、エチレングリコール、ビスフェノール系化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどからの単位が挙げられる。なお、オキシアルキレン単位は、一種類である必要はなく、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどからなる共重合体(グラフト重合体も含む)であってもよい。電気特性の環境安定性において、主鎖骨格として比較的吸水性の低いオキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位からなる重合体であることが好ましく、コスト面を考慮すると、オキシプロピレン単位からなる重合体が、特に好ましい。
【0028】
上記のような有機重合体(好ましくはポリオキシアルキレン系重合体)の分子量としては、数平均分子量(Mn)
(GPC法、ポリスチレン換算)で500〜50,000であることが、その取扱いやすさ、硬化後のゴム弾性の点で好ましい。数平均分子量が500未満の場合、この硬化性組成物を硬化させた場合に充分な機械的特性(ゴム硬度、伸び率)などが得られにくくなる。一方、数平均分子量が50,000以上の場合、分子中に含まれるアルケニル基1個あたりの分子量が大きくなったり、立体障害で反応性が落ちたりするため、硬化が不充分になることが多く、また、粘度が高くなりすぎて加工性が悪くなる傾向にある。
【0029】
前記(B)成分である化合物(硬化剤)は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物であれば良いが、分子中に含まれるヒドロシリル基の数が多すぎると、硬化後も多量のヒドロシリル基硬化物中に残存しやすくなり、ボイドやクラックの原因となる場合が有るため、その数を50個以下に調整するのが好ましく、更には、硬化物のゴム弾性の制御や貯蔵安定性を良好にする観点からは、2〜30個に調整することがより好ましい。なお、「ヒドロシリル基を1個有する」とは、Siに結合するHを1個有することを意味する。よって、SiH2の場合にはヒドロシリル基を2個有することになるが、Siに結合するHは異なるSiに結合する方が、硬化性とゴム弾性の点から好ましい。
【0030】
このような硬化剤の分子量は、成形品の加工性を良好にする観点からは、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)(Mn)で30,000以下に調整するのが好ましく、更に、上記(A)成分であるベースポリマーとの反応性や相溶性を良好にする観点からはMnで300〜10,000に調整するのがより好ましい。
【0031】
また、以上の硬化剤は、ベースポリマーの凝集力が硬化剤の凝集力に比べて大きいことを考慮すると、相溶性の点でフェニル基含有変性体を有することが重要であり、入手のし易さの点ではスチレン変成体が好適であり、貯蔵安定性の観点からはα−メチルスチレン変性体が好適である。
【0032】
(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)m、Pt〔(MeViSiO)4m};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化反応を十分に進行させるには、10-2〜10-6molの範囲で用いるのがさらに好ましい。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が不必要に発泡してしまう場合があるので10-1モル以上用いない方がよい。
【0033】
(D)成分である導電性付与剤としては特に制限はなく、任意のものを使用することができる。導電性付与剤としては、カーボンブラック、金属微粉末、有機リチウム塩、無機リチウム塩、さらには、第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等を有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミドもしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキシド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物または高分子化合物などが挙げられる。これらの導電性付与剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。上記カーボンブラックの例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、オイルブラックなどがあげられる。これらカーボンブラックの種類、粒径等に制限はない。
【0034】
導電性付与剤の添加量は、所望の導電特性に応じて調整して添加され、(A)成分の重合体100重量部に対し、0.01〜100重量部、さらには0.1〜50重量部用いることが好ましい。添加量が0.01重量部未満と少なすぎると、発現される導電付与能が不十分であり、また、添加量が100重量部を越えて多すぎると硬化性組成物の粘度の上昇が大きく作業性が悪くなる恐れがある。また、用いる導電性付与剤の種類あるいは添加量によっては、ヒドロシリル化反応を阻害するものがあるため、導電性付与剤のヒドロシリル化反応に対する影響を考慮する方が好ましい。
【0035】
(E)成分と(F)成分とは、併用されることにより発泡体の発泡セル径をより小径化及び均一化する効果を有するものである。
【0036】
(E)成分である炭酸塩としては特に限定はなく、正塩、酸性塩(重炭酸塩)、塩基性塩のいずれでもよいが、正塩がより好ましい。正塩としては、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸カリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられるが、より好ましくは炭酸カルシウムである。なお、これらの炭酸塩については、1種類だけを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
また、(F)成分である脂肪酸としても特に限定はなく、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれでもよい。脂肪酸の炭素数も特に限定はなく、例えば、炭素数4〜30の脂肪酸を用いることができる。すなわち、飽和脂肪酸の例としては、ブチル酸(酪酸)、パレリアン酸(吉草酸)、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、デセン酸、オレイン酸、エルシン酸等のモノエン酸、並びに、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸等のポリエン酸等が挙げられる。なお、ここに例示した脂肪酸はいずれも融点が100℃以下のものであり、100℃を超える温度では、樹脂中で脂肪酸が液体で存在し均一に分散する。
【0038】
これらの脂肪酸を用いれば、より少ない含量(使用量)で、発泡セル径が小径化されており、かつ高度に均一化されている発泡性組成物(発泡体)となる。すなわち、発泡性組成物が熱硬化性樹脂を主成分とするものである場合には、硬化反応(100℃以上で行う)時においても脂肪酸が液体で存在することとなり、当該脂肪酸は樹脂中に均一に分散される。また、発泡性組成物が熱可塑性樹脂を主成分とするものである場合も、100℃以上(脂肪酸が液体で存在する)で流動性を有することとなり、当該脂肪酸は樹脂中に均一に分散される。なお、これらの脂肪酸については、1種類だけを用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
炭酸塩の含量は、炭酸塩の種類により適宜選択すればよいが、一般的には10〜60重量%、好ましくは25〜50重量%である。また、脂肪酸の含量は、脂肪酸の種類により適宜選択すればよいが、一般的には0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0040】
なお、(E)成分と(F)成分を含有させるために、脂肪酸で表面処理された炭酸塩を上記(A)〜(D)成分に添加して用いてもよい。例えば、脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムがすでに市販されており、そのまま使用することができる。
【0041】
(G)成分の前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子のうち、水に可溶な粒子としては、無機化合物や有機化合物など任意のものを使用できる。無機化合物としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)など典型金属元素および遷移金属元素のハロゲン化物や炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩および水酸化物や塩化アンモニウムなどの無機化合物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。有機化合物としては、例えば、有機酸やその塩、アミノ基含有化合物、糖類などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。有機溶媒に可溶な粒子として、任意の微粒子を選択することができ、またその微粒子に対して最適な有機溶媒を選択することができるが、弾性層を膨潤・変形しない有機溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)やメタノール、エタノール等のアルコール類が好ましい。
【0042】
該微粒子の添加部数は、所望する硬度に応じて調整することができ、主剤樹脂にたいして10重量部〜200重量部の間で任意の添加量を設定することができるが、微粒子の充填率と加工性の観点から10重量部〜50重量部が好ましい。これより少ない添加量では、弾性層中の充填率が低く、抽出除去の効率が悪化し、連続気泡構造が形成することが容易でない場合が有る。また添加量が多い場合は、樹脂粘度が高くなり成形が困難になり、また溶剤による抽出除去後の強度が低下し、耐久性が悪くなる可能性がある。
【0043】
さらに、弾性層3を構成する発泡体には、必要に応じて、各種充填剤、各種機能付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤を適宜添加してよい。前記充填剤の具体例としては、シリカ微粉末、金属微粉末、クレー、タルク、酸化チタン、亜鉛華、ケイソウ土、硫酸バリウムなどが挙げられる。
【0044】
またさらに、弾性層3を構成する発泡体には、貯蔵安定性を改良する目的で、貯蔵安定性改良剤を添加してもよい。貯蔵安定性改良剤としては、所期の目的を達成するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を好適に用いることができる。さらに具体的には、2−ベンゾチアゾリルサルファイド、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルアセチレンダイカルボキシレート、ジエチルアセチレンダイカルボキシレート、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンE、2−(4−モルフォジニルジチオ)ベンゾチアゾール、3−メチル−1−ブテン−3−オール、アセチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、エチレン性不飽和基含有オルガノシロキサン、アセチレンアルコール、3−メチル−1−ブチル−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、ジエチルフマレート、ジエチルマレエート、ジメチルマレエート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0045】
弾性層3を構成する発泡体を製造する際の発泡法としては、機械発泡(物理的発泡)、
化学的発泡のいずれもが適用可能であるが、発泡の開始時期を制御しやすい点では機械発泡が好ましい。なお、機械発泡を密閉状態で行うことにより、発泡体の発泡セル径がより小径化及び均一化され、好適である。例えば、高圧下で調製された上記(A)成分〜(D)成分、あるいは(A)成分〜(G)成分の各成分と気体(空気、炭酸ガス、不活性ガス等)の混合物を、密閉された金型に充填する。すると、発生した気泡の径は小さいまま保持され、かつ均一化される。一方、当該混合物を開放状態で金型に充填すると、泡が膨張して気泡径が大きくなり、泡の合一が進んでますます気泡径が大きくなり、ローラ表面に凹欠陥が現れるため不適である。
【0046】
弾性層3の形成手順の例を具体的に挙げると、まず、上記(A)成分〜(D)成分、あるいは(A)成分〜(G)成分の混合液(樹脂原料)を調製する。次に、該樹脂原料と気体(空気、炭酸ガス、不活性ガス等)とを密閉状態で共存させてから圧縮する。直ちに圧縮された樹脂原料をミキサーに移送し、強く混合する。このとき、気体は樹脂原料中に分散する。次に、気体が分散した樹脂原料を、導電性シャフト2があらかじめ装着された密閉型の金型に加圧注入する。すなわち、導電性シャフト2が樹脂原料に浸漬した状態となる。またこのとき、樹脂原料は高圧状態から開放されるが、金型内で密閉状態に置かれるので発泡セル径がより小径化及び均一化される。このまま、金型内の樹脂原料が硬化するまで静置する。これにより、導電性シャフト2の外周に発泡体からなる弾性層3が形成される。あとは、金型から硬化物を引き抜くことにより、導電性シャフト2と弾性層3とからなるローラが得られる。本ローラには、後述する手順で被覆層(中間層6と表面層7とからなる表層部5)がさらに設けられ、現像ローラ1が作製される。
なお、導電性シャフト2と弾性層3との接着性の観点から、導電性シャフト2の表面にあらかじめプライマー処理を施すことが好ましい。プライマーとしては、シラン、チタン、アルミニウム等からなるカップリング剤を溶剤で希釈したものが使用され、好適にはさらに樹脂成分が添加される。そして、弾性層3との接着性を向上させるために、樹脂成分として弾性層3の成分と同等のものを添加することが好ましい。また、弾性層3を構成する発泡体にも上記(A)成分〜(D)成分、あるいは(A)成分〜(G)成分の他に、導電性シャフト2のプライマー処理に用いたプライマー成分を添加することが好ましい。
【0047】
次に、中間層6について説明する。本実施形態の現像ローラ(導電性ローラ)1においては、中間層6の材料や物性には特に限定はなく、現像ローラ1がその機能を発揮できるものであれば何でもよい。例えば、中間層6の材料として、スチレン系熱可塑性エラストマーやオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。これらのエラストマーは単独で用いてもよいし、併用してもよい。以下、スチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる場合を代表例として説明する。
【0048】
スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン・ブタジエンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、スチレン・2−メチルプロペンの共重合体、スチレン・ブタジエン・イソプレンの共重合体及びその水素添加物、及びこれら重合体にエチレンを共重合したものなどが挙げられる。良好な弾性を得るには、ブロック共重合体であることが好ましく、スチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物(略称SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンの水素添加物(略称SEPS)、スチレン−エチレン−イソプレン−スチレンの水素添加物(略称SEEPS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンの水素添加物(略称SEBS)、スチレン−イソブチレン−スチレン(略称SIBS)などが例として挙げられる。また、重合するスチレンモノマーには官能基が置換されたものであっても構わない。スチレン系熱可塑性エラストマーの分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が50,000〜300,000、ゴム弾性、機械的強度、加工性の観点から、70,000〜150,000で好適に用いられる。分子量が50,000未満のものはゴム弾性及び機械的強度が劣り、300,000以上のものは溶剤への溶解性が悪く、また弾性層3に塗布した後にひび割れが生じやすくなる。また、スチレン含有量は5〜50重量%が好ましく、特に15〜30重量%が好ましい。ポリスチレン含有量が多くなると、硬度が高くなり膜形成が困難であり、また、含有量が少なくなると、溶液粘度が高くなり加工性が低下する。
【0049】
オレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体が挙げられる。これらの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のどれでも良く、硫黄、過酸化物等により架橋しても構わない。オレフィン系熱可塑性エラストマーの分子量としては、数平均分子量(GPC法、ポリスチレン換算)が50,000〜500,000、ゴム弾性、機械的強度、塗布性の観点から、70,000〜300,000で好適に用いられる。分子量が50,000未満のものはゴム弾性及び機械的強度が劣り、500,000以上のものは溶剤への溶解性が悪く、また弾性層3に塗布した後にひび割れが生じやすい。また、エチレン含有量は30〜90重量%、好ましくは40〜80重量%のものが好適に用いられる。
【0050】
また、中間層6を構成する樹脂組成物には抵抗調整、表面形状の調整あるいは弾性層3に対する接着性等の観点から、導電性付与剤、各種フィラー等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。また、弾性層3と中間層6との接着性をさらに向上させるために、弾性層3の表面をプライマー処理した後、中間層6を形成することが好ましい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0051】
中間層6の形成方法としては特に制限はないが、例えば、上述の金型から引き抜かれたローラ(導電性シャフト2と弾性層3とからなる)の弾性層3の外周面上に、中間層6を構成する樹脂組成物をスプレー塗布、ディップ塗布、ロールコート等の方法を用いて所定の厚みに塗布し、所定の温度で乾燥、硬化させることにより、中間層6を形成することができる。具体的には、スチレン系熱可塑性エラストマー及び/またはオレフィン系熱可塑性エラストマーを溶剤に溶かして固形分を3〜20%にし、弾性層3の外周面上にスプレーあるいはディップ塗布する方法が簡便である。このときに使用する溶剤は、中間層6の主成分である熱可塑性エラストマーが相溶すれば特に制限はなく、具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、水等が例示されるが、非極性溶剤であるトルエン、キシレン、ヘキサン等が好適に用いられる。さらに、溶液の被膜性を改善するために、レベリング剤等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0052】
中間層6の乾燥温度としては、70〜200℃が好ましく、さらに中間層6の熱的安定性を考慮すると、70〜160℃が特に好ましい。乾燥温度が70℃より低いと乾燥が不十分になる場合があり、200℃より高いと、内層の弾性層3及び中間層6の劣化を招く恐れがある。なお、中間層6の厚さは5〜300μm程度であり、推奨される範囲は6〜20μm程度である。ここで中間層6の厚さを調整するために、上記したスプレー、ディップ塗布等の方法を数回繰り返し、重ね塗りしてもよい。
【0053】
次に、表面層7について説明する。本実施形態の現像ローラ(導電性ローラ)1においては、表面層7の材料や物性には特に限定はなく、現像ローラ1がその機能を発揮できるものであれば何でもよい。例えば、表面層7の材料として耐磨耗性能に優れたウレタン樹脂を用いることができる。以下、ウレタン樹脂を用いる場合を代表例として説明する。
ウレタン樹脂としては、ウレタン基、ウレア基、アロハネート基及びビュレット基等のウレタン樹脂の製造過程で形成される官能基を有する樹脂であれば、特に限定されるものではない。さらに、表面層7は適度な柔軟性を有する必要があり、この観点からはポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート骨格を有する樹脂を主な組成とするウレタン樹脂からなることが好ましく、これらはポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリカーボネートウレタンのブレンド樹脂、あるいは1分子中にウレタン結合とポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリシロキサンからなる群において選ばれる少なくとも1つの骨格を有するウレタン樹脂であってもよい。
【0054】
また一般的に、ウレタン樹脂は、ヒドロキシ基やアミノ基等の活性水素を持つ化合物とイソシアネート基を持つ化合物を3次元網目構造に重合する熱硬化性ウレタン樹脂と、前記活性水素を持つ化合物とイソシアネート基を持つ化合物を高分子量に重合、鎖伸長した熱可塑性ウレタン樹脂、の2種類に分けられる。熱可塑性ウレタン樹脂は、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、イソプロパノール等各種溶剤に可溶であるので、予め重合した熱可塑性ウレタン樹脂を溶剤で希釈し、コーティング、乾燥という、非常に簡便な工程により被覆層を形成することが可能である。また、予め重合するということは、安全上取扱が困難なイソシアネート基を含有する化合物を閉鎖系で重合した後に、残存イソシアネート基をほとんど含有していない熱可塑性ウレタン樹脂として、開放系でコーティングができる。従って、作業性、安全性の観点から、熱可塑性ウレタン樹脂を使用することが特に好ましい。
【0055】
また一般に、電子写真方式の装置に使用されるローラにおいては、導電領域から半導電領域(104〜108Ω)に制御する必要があるため、表面層7に導電性付与剤を含有させて導電性を付与する。導電性付与剤としては、上記した弾性層3の(D)成分と同様のものが使用できる。添加量も同様である。なお、上記のウレタン樹脂等に導電性付与剤を添加する際は、溶剤中に導電性付与剤を溶解あるいは分散させる必要がある。例えば、カーボンブラック等の凝集力の強いものを使用する場合は、ビーズミル等の分散機を好適に使用することができ、また、それぞれの材料及び処方に最適な分散剤を選定するのが好ましい。
【0056】
また、樹脂強度の向上ならびに中間層6との接着性の観点から、表面層7を構成する樹脂組成物には、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー等のフィラーやカップリング剤等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。また、中間層6と表面層7との接着性をさらに向上させるために、中間層6の表面をプライマー処理した後、表面層7を形成することが好ましい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0057】
表面層7の形成方法としては特に制限はないが、例えば、導電性シャフト2上の弾性層3の周りに形成された中間層6の外周面上に、表面層7を構成する樹脂組成物を一旦溶剤に希釈し、該希釈液をスプレー塗布、ディップ塗布、ロールコート等の方法を用いて所定の厚みに塗布し、所定の温度で乾燥させることにより、表面層7を形成することができる。具体的には、ウレタン樹脂等及び添加剤を溶剤に溶かして固形分を3〜20%にし、スプレーあるいはディップ塗布する方法が簡便である。このときに使用する溶剤は、用いる表面層7の主成分であるウレタン樹脂等が相溶すれば特に制限はなく、具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、水等が例示されるが、これらに限定されるものではない。さらに、溶液の被膜性を改善するために、レベリング剤等の各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0058】
表面層7の乾燥温度としては、溶剤の沸点との関係にもよるが、一般的には70〜200℃が好ましく、さらに被覆層の熱的安定性を考慮すると、70〜160℃が特に好ましい。乾燥温度が70℃より低いと乾燥が不十分になる場合があり、200℃より高いと、弾性層3や中間層6並びに表面層7の劣化を招く恐れがある。なお、表面層7の厚さは2〜50μm程度であり、推奨される範囲は2〜10μm程度である。ここで中間層6の厚さを調整するために、上記したスプレー、ディップ塗布等の方法を数回繰り返し、重ね塗りしてもよい。
【0059】
また、現像ローラ1を非磁性一成分接触現像方式の現像ローラとして使用する場合には、ローラ表面の凹凸がトナーの搬送性に重要な役割を果たすため、表面に凹凸を付与する有機系フィラーが添加される。有機系フィラーとしては、ローラ表面に凹凸をつけることができるものであれば特に限定はないが、ウレタン系、アクリル系、スチレン系等の有機系フィラーが、トナーの帯電を安定化するために好ましい。また、添加される有機系フィラーの平均粒子径は1〜40μmであることが好ましく、4〜30μmであることが特に好ましい。なお、平均粒子径が1μm未満であると、表面層7の膜厚より小さくなるため、凹凸を付与する効果が小さくなる。一方、平均粒子径が40μmを超えると、導電性ローラの表面の凸が大きくなるため、画像に悪影響を与える。
【0060】
有機系フィラーの平均粒子径の測定方法としては、公知の評価方法であれば特に限定はなく、有機系フィラーを適切に分散させた懸濁液をレーザー回折および散乱法に基づいた評価を行うことが、評価ばらつきを最小に抑える観点で好ましい。
【0061】
「熱硬化性樹脂中に、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な微粒子を分散させる微粒子分散工程」について、説明する。微粒子を分散させる方法は、公知の方法が用いられる。
【0062】
「該弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程」について、説明する。
【0063】
本発明の一態様では、「前記熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤に可溶な前記微粒子」は、「水溶性の無機化合物、水溶性の有機化合物、DMFに可溶な無機化合物、およびDMFに可溶な有機化合物からなる群から選択される1以上」であり、好ましくは、「水溶性の金属塩」である。
【0064】
溶剤による抽出除去の方法について説明する。使用する微粒子を溶解する溶剤を入れた容器に成形後の弾性層を投入し、長時間放置したのちに、新しい溶剤ですすぎ、乾燥工程で溶剤を除去することで、粒子の抽出除去は可能である。放置している間、溶剤を循環や撹拌することが好ましいが、行わなくても特に支障はない。また、一般的な化合物は、溶剤の液温を上げることで溶解度があがる為、液温を上げることで抽出効率を上げることができ、また抽出時間を短縮することができるために好ましい。
【0065】
抽出除去する際には、上記を含め、公知の抽出除去方法が用いられる。
【0066】
このようにして作製された現像ローラ1は、発泡セル径が小径化及び均一化された発泡体からなる弾性層3を有し、硬度、弾性復元性、及びローラ表面へのブリード抑制のバランスが良い。
【0067】
すなわち、本発明では、「トナー劣化を防ぐ為に現像ローラを発泡体として低硬度とすると、長期間未使用な状態で放置した場合に、感光体や規制ブレードとの接触によりローラに歪みが生じ、画像不良の原因となる場合が有る」という現象などを課題と捉えた。本発明の一態様では、「弾性層成形工程後に、該弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去することで、最も好ましくは、発泡体の気泡構造を連続気泡型とすることができ、低硬度と適度な弾性回復力を有する導電性ローラを得ることができる。」という本発明の一態様などによって、上記課題を解決するものである。
【0068】
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0069】
1.各種弾性ローラ(導電性ローラ)の作製
(A−1)アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名:カネカサイリルACS003、
カネカ社):100重量部と、
(B−1)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名:CR100、カネカ社):
3.1重量部と、
(C−1)ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有率3wt%、キシレン溶液):0.06重量部と、
(D−1)リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド:0.1重量部と、
(E−1)炭酸カルシウム(商品名:スーパー#2000、丸尾カルシウム社):25重量部と、
(F−1)ステアリン酸(商品名:ステアリン酸つばき、日本油脂社):1重量部と、
シリカ(商品名:ニップシールSS−50A、東ソー・シリカ社):10重量部と、
貯蔵安定性改良剤としてマレイン酸ジメチル:0.04重量部と、
(G−1)水溶性粒子として塩化リチウム(無水物):25重量部と、
を混合し、10mmHg以下で120分間減圧脱泡し、液状樹脂原料を調製した。5MPaの圧力下で、この液状樹脂原料にその100%相当量の空気を混合し、よく攪拌した。
これにより、微細な気泡を内包する液状樹脂原料が調製された。一方、内径16mmの円筒形の金型に、直径8mm、長さ267mmのSUS材製シャフト(導電性支持部材)をあらかじめ装着した。この金型に、発泡させた液状樹脂原料を加圧注入した。金型を140℃で20分間保持し、樹脂原料を硬化させた。硬化後、金型から樹脂とシャフトとが一体となったローラを取り出した。これにより、SUS材製シャフトの外周部に発泡体(発泡倍率2倍)からなる弾性層が設けられた。弾性層の厚さは4mm、長さは235mmであった。
【0070】
「前記弾性層に分散されてなる前記微粒子の少なくとも一部を、該熱硬化性樹脂を膨潤させない溶剤により抽出除去する微粒子溶解工程」として、上記弾性層を充分な量の純水中に投入し、水温を40℃に保ったまま12時間放置した。その後、弾性層を純水で洗浄し、160℃で60分間保持し、水分を除去した。これにより、連続気泡構造を有する弾性層が設けられた。
【0071】
セプトン2002(クラレ社)80重量部とタフテックM1913(旭化成ケミカルズ
社)20重量部との混合物18gと、導電性付与剤としてのカーボンブラックHS−100(電気化学工業社)7.2gとを、キシレン400gで希釈した溶液を調製し、1時間静置した。この溶液を、上記弾性層の周りにディッピングし、乾燥させ、中間層を形成させた。
【0072】
60gのハイムレンY−258(大日精化工業社)と、導電性付与剤としてのカーボンブラックHS−100(電気化学工業社)7.2gとを、DMF:MEK=1:1の混合溶媒437gで希釈した溶液を調製し、1時間静置した。この溶液を、上記中間層の周りにディッピングし、乾燥させ、表面層を形成させた。これにより、シャフトの周りに厚さ4mmの弾性層が同心円上に設けられ、さらに該弾性層上に中間層が設けられ、またさらに該中間層上に表面層が設けられた導電性ローラが作製された。本導電性ローラを、実施例1の導電性ローラとした。
【0073】
実施例1で用いた樹脂原料と同じ組成を有し、(G−1)成分に代わって、
(G−2)塩化カルシウム(無水物):25重量部を添加し、その他は実施例1と同様の手順で導電性ローラを作製した。本導電性ローラを、実施例2の導電性ローラとした。
実施例1で用いた樹脂原料と同じ組成を有し、かつ(G)成分を添加しない樹脂原料を用いて、その他は実施例1と同様の手順で導電性ローラを作製した。本導電性ローラを、比較例1の導電性ローラとした。
【0074】
2.アスカーC硬度の測定
温度23℃、相対湿度55%の環境で、JIS K6301に準ずる方法にて各導電性ローラのアスカーC硬度を測定した。測定箇所は、各導電性ローラにつき、弾性層の両端から30mmの位置および中央位置における周方向8箇所(計24箇所)とし、平均値を算出した。
【0075】
3.圧縮永久歪み測定
温度23℃、相対湿度55%の環境で、JIS K6262に準ずる方法にて72時間後の圧縮永久歪みを測定した。
【0076】
4.画像スジ評価
導電性ローラをキヤノン製レーザービームプリンター LBP−2510用カートリッジ(EP−85 キヤノン製)にセットし、温度40℃、相対湿度90%の環境で1週間放置後、プリンターにセットし、マイクロソフト(登録商標)Wordの黒地(100%)画像を印刷し、感光体やクリーニングブレードとの接触による導電性ローラの歪みが原因となるスジの発生の有無を評価した。
各導電性ローラの特性と評価結果を表1に示す。
【0077】
【表1】


表1に示すように、実施例1の導電性ローラでは、粒子の抽出除去により硬度が6°低下した。また圧縮永久歪みも3%であった。画像スジ評価では、圧縮永久歪みが原因と見られるスジは見られず、良好であった。実施例2の導電性ローラでは、粒子の抽出除去により硬度が6°低下した。また圧縮永久歪みも3%であった。画像スジ評価では、圧縮永久歪みが原因と見られるスジは見られず、良好であった。
【0078】
一方、比較例1の導電性ローラは、圧縮永久歪みが8%と実施例1および2の導電性ローラより大きく、画像スジ評価では、圧縮永久歪みが原因と見られるスジが見られた。
以上のように、実施例1〜2の導電性ローラは、比較例1の導電性ローラと比べて現像ローラとしての性能が高いことが示された。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】電子写真方式による印字装置の構成を表す概略図である。
【図2】現像ローラの断面図及びその一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 現像ローラ(導電性ローラ)
2 導電性シャフト(導電性支持部材、芯金)
3 弾性層
5 表層部(被覆層、表層)
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−12775(P2008−12775A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186092(P2006−186092)