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【発明の名称】 両面歯付ベルトの製造方法
【発明者】 【氏名】椿 晴行

【氏名】伊東 武彦

【氏名】宇都 邦治

【要約】 【課題】ベルトを構成するゴムシートと金型との位置が決まった状態で内外周面の歯部の位置合わせをすることができ、一度の位置合わせでベルトスリーブ全周の歯部の位置及びピッチを併せることができる不良の発生の少ない両面歯付ベルトの製造方法を提供する。

【構成】外周面に歯形を成形する凹凸51を有する円筒状の内型50上にゴムシートを巻きつけて加熱加圧して内周面に内歯部を形成したベルトスリーブSを成形し、次いで前記ベルトスリーブを内型50に装着した状態のままベルトサイズよりも大きな内径を有するとともに内周面に歯形を成形する凹凸55を有する筒状の外型54に挿入して内歯と該外型内面の凹凸51、55のピッチを合わせた状態で外型54との間で挟み込み加熱・加圧しながら両者を相対的に回転させて、ベルトスリーブの外面に外歯部を形成してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫ゴムからなるベルト本体の両面に歯部を有する両面歯付ベルトの製造方法において、外周面に歯形を成形する凹凸形状を有する円筒状の内型上にゴムシートを巻きつけて加熱加圧して内周面に内歯部を形成したベルトスリーブを成形し、次いで前記ベルトスリーブを内型に装着した状態のままベルトサイズよりも大きな内径を有するとともに内周面に歯形を成形する凹凸を有する筒状の外型に挿入して内歯と該外型内面の凹凸のピッチを合わせた状態で外型との間で挟み込み加熱・加圧しながら両者を相対的に回転させて、ベルトスリーブの外面に外歯部を形成してなることを特徴とする両面歯付ベルトの製造方法。
【請求項2】
内型で内周面に内歯部を形成したベルトスリーブの表面に外歯部を構成するゴムシートを巻きつけて外型で外歯部を形成してなる請求項1記載の両面歯付ベルトの製造方法。
【請求項3】
ベルトサイズよりも大きな内径を有するとともに内周面に歯形を成形する凹凸を有する筒状の外型の内周面に外歯用のゴムシートを貼り付けた状態で、内型で内周面に内歯部を形成したベルトスリーブを該外型内に挿入して外型で外歯部を形成してなる請求項1記載の両面歯付ベルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの内外周面の両面に歯部を有する両面歯付ベルトの製造方法に係わり、詳しくはベルトに歯部を形成する際、内外面の歯部の周期を合わせるのが容易で作業性に優れた両面歯付ベルトの製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
両面歯付ベルトは、内面と外面に歯部を有するベルトであり、通常上下の歯部が同ピッチで設けられている。両面歯付ベルトは事務機器やOA機器、搬送装置等に用いられたり、その他にも無段変速装置に用いるベルトとして用いられている。
【0003】
ベルト式無段変速装置に使用するベルトは、プーリのV溝幅を変えることによってプーリに巻きかかる有効径を変化させ変速比を調節する様な変速プーリに巻き掛けて使用するものであり、プーリからの側圧が大きくなるのでベルトは大きな側圧に耐えるものでなくてはならない。また、無段変速の用途以外にも通常のゴムベルトでは寿命が短くなりすぎるような高負荷伝動の用途には、特別に高負荷に耐えうるようなベルトを用いる必要がある。
【0004】
そのようなベルトとして使用されるものの中に、センターベルトにブロックを固定してベルト幅方向の強度を高めた高負荷伝動ベルトがあり、具体的な構成としては、心体をゴムなどのゴム中に埋設したセンターベルトにボルトやリベットなどの止着材を用いてセンターベルトに使用しているゴムよりも比較的硬質のブロックを止着固定したものや、特許文献1に示すようにブロックの両側面に溝を有しており、一対のセンターベルトを前記側面に設けた溝に嵌合したようなベルトがある。
【0005】
このようなベルトに用いるセンターベルトは張力を担う部材であり、ゴム中に高強力低伸度の心線が埋設されており、センターベルトの内外周面にはブロックと嵌合するための凹部と凸部が交互に設けられた両面歯付ベルトになっている。例えばブロック両側面の溝内にも、前記センターベルトの凹部に対応する位置に凸部が設けられ、互いに嵌合することによってブロックはセンターベルトに対して高負荷伝動ベルトの進行方向に動かないよう固定されている。
【0006】
従来、特許文献1に示すような、外周面に歯形を有する円筒形状の内型に未加硫ゴムシートを巻きつけて、筒状で内周面に歯部を有しており、複数に分割された外型を前記内型の周囲で組むことによって内型と外型との間で未加硫ゴムを加熱加圧することで内外面の両面に歯部を成形・加硫し、分割可能な外型を分解してベルトスリーブを脱型する製造方法がある。
【0007】
その他に、ベルト内外周面の両面に歯部を有する両面歯付ベルトの製造は、最初に歯形を有する円筒形の金型に未加硫ゴムシートを巻きつけて加熱加圧することによってゴムを流動させて金型の歯形に沿わせて形成し、まず内周面に歯部を有するベルトスリーブを作成し、次にベルトスリーブを金型から脱型して、片面に歯形を有する平らな一対の金型を用いて、ベルトスリーブの一部を金型に当接させて外周面側の歯形を成形するとともに加硫を行い、成形加硫する位置を順送りに移動させて複数回の作業でベルトスリーブ全体の外歯の成形と加硫を行っていた。後は必要に応じて所定幅にベルトスリーブをカットすることで両面歯付ベルトの製造が完了するものであった。このような手順によるベルトの製造方法については例えば特許文献2に記載されている。
【0008】
【特許文献1】特開平1−171934号公報
【特許文献2】特開平10−34767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されている外型に分割金型を用いた製造方法では、一度の工程でベルト内周面の歯形の成形とベルト外周面の歯形の成形が行えるというメリットがあるものの、金型の構造が複雑になり金型制作費が多いことや、分割金型の分割部分のベルト歯形状が正規の形状になり難いといった問題点があった。
【0010】
それに対して、特許文献2に開示されている円筒形の金型でベルト内周側の歯部を成形して、その後平形のプレスで外周面の歯形を成形する製造方法では、前記の特許文献1のような問題はないが、内周面の歯形を成形する際には円筒状の内型を用いて行い、次いで外周面の歯形を成形する際には前記内型からベルトスリーブを脱型して歯形を有する平板状の一対の金型を用いて成形を行う。よって、脱型したベルトスリーブを上下一対の金型にて内外周面の歯部および歯部間の歯溝の位置を合わせる必要がある。しかも、ベルトスリーブ全周に歯部を形成するためには複数回のプレスを行わなければならず外周面に歯部を設ける際の位置合わせもその回数だけ行う必要がある。また、平板状の金型の場合その位置合わせが難しく、特にスリーブの面長が長いものは位置合わせのためにカットするといったことも行われていた。また、上下の金型間でプレスされる瞬間までベルトスリーブと金型の相対位置が固定されないことから、プレス工程で位置ずれが発生してしまうといった問題も発生していた。
【0011】
そこで本発明ではベルトを構成するゴムシートと金型との位置が決まった状態で内外周面の歯部の位置合わせをすることができ、一度の位置合わせでベルトスリーブ全周の歯部の位置及びピッチを併せることができる不良の発生の少ない両面歯付ベルトの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような目的を達成するために、本発明の請求項1では、加硫ゴムからなるベルト本体の両面に歯部を有する両面歯付ベルトの製造方法において、外周面に歯形を成形する凹凸形状を有する円筒状の内型上にゴムシートを巻きつけて加熱加圧して内周面に内歯部を形成したベルトスリーブを成形し、次いで前記ベルトスリーブを内型に装着した状態のままベルトサイズよりも大きな内径を有するとともに内周面に歯形を成形する凹凸を有する筒状の外型に挿入して内歯と該外型内面の凹凸のピッチを合わせた状態で外型との間で挟み込み加熱・加圧しながら両者を相対的に回転させて、ベルトスリーブの外面に外歯部を形成してなることを特徴とする。
【0013】
請求項2では、内型で内周面に内歯部を形成したベルトスリーブの表面に外歯部を構成するゴムシートを巻きつけて外型で外歯部を形成してなる両面歯付ベルトの製造方法としている。
【0014】
請求項3では、ベルトサイズよりも大きな内径を有するとともに内周面に歯形を成形する凹凸を有する筒状の外型の内周面に外歯用のゴムシートを貼り付けた状態で、内型で内周面に内歯部を形成したベルトスリーブを該外型内に挿入して外型で外歯部を形成してなる両面歯付ベルトの製造方法としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1のように内周面に歯部を成形したベルトスリーブを内型に装着したまま、ベルトの径よりも大きなサイズの外型にゴムシートを噛み合わせた状態にしておいて内外の歯部の位置あわせをすることで、位置合わせの工程が容易になり、不良の発生を低減することができるものである。
【0016】
請求項2においては、外歯部を構成する材料となるゴムシートを内型に装着したベルトスリーブ側に配置しており、内型の凹凸と外型の凹凸との位置合わせをすることによって、ベルトの内外周面で歯部の位置とピッチの合致した両面歯付ベルトとすることができる。
【0017】
請求項3においても、外歯部を構成する材料を外型の内面に貼り付けた状態で、内型と外型の凹凸の位置合わせをすることによってベルトの内外周面で歯部の位置とピッチの合致した両面歯付ベルトとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明方法により製造される両面歯付ベルトの斜視断面図である。また、図2は本発明方法により製造される両面に歯部を有するセンターベルトを用いた高負荷伝動ベルト1の一例を示す斜視概略図であり、図3は高負荷伝動ベルトの側面図である。
【0019】
図1に示す歯付ベルト1は長さ方向に沿って配置した複数の外歯部2と内歯部3を有するとともに両歯部2、3の間に心線4を配置し、該内外両歯部2、3の表面にカバー帆布5を被覆している。そして、カバー帆布5の内側には、通常ゴム層6がコートされている。
【0020】
内外両歯部2、3に使用される原料ゴムは、水素化ニトリルゴムをはじめとして、クロロプレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン等の耐熱老化性の改善されたゴムや、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、にトリルゴム等が使用される。上記ゴムの中には配合剤として、カーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、可塑剤、老化防止剤等が添加され、また加硫剤として硫黄、有機過酸化物があるが、これらの配合剤や加硫剤は、特に制限されない。
【0021】
心線4としては、ガラスロープをRFL液やゴム糊等で処理したものや、アラミド繊維ロープ等の有機繊維をRFL液、エポキシ溶液、イソシアネート溶液とゴム糊等の接着剤で処理されたものが用いられる。
【0022】
図2に示すのは本発明の製造方法にて製造される両面に歯部を有するセンターベルトを用いる高負荷伝動ベルト11であり、ゴム14内にロープ状の心線15をスパイラル状に埋設してなる同じ幅の二本のセンターベルト13a、13bと、側面12a、12bにセンターベルトを13a、13bを嵌めこむ溝16、17を有したブロック12からなっている。
【0023】
このセンターベルト13a、13bの上下面18、19に所定ピッチで歯部20、21が形成されており、その歯部20、21間の凹条部22、23がブロック12の溝16、17内において後で説明するように係止固定されているものである。このブロック2の両ブロック側面12a、12bは、プーリのV溝と係合する傾斜を有する面となっており、駆動されたプーリから動力を受け取って、係止固定されているセンターベルト13a、13bを引張り、駆動側プーリの動力を従動側プーリに伝動している。また、センターベルト13a、13bの上下の表面にはカバー帆布22、23が積層されている。
【0024】
ブロック12は、図2に示すように、上ビーム部24および下ビーム部25と、上下ビーム部24、25の中央部同士を連結したセンターピラー26からなっており、ブロック12の両側面にはセンターベルト13a、13bを嵌めこむ溝16、17が形成されている。また、図3に示すように溝16内の溝の上下面にはセンターベルト13の上面18に設けた凹条部22と下面19に設けた凹条部23に係合する凸条部27、28が設けられており、これによってブロック12とセンターベルト13a、13bは係止固定されている。
【0025】
ブロックの樹脂として用いることができるのは、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の合成樹脂が用いられるが、中でも低摩擦係数で耐摩耗性に優れ、剛性があるとともに曲げに対しても弾力性を有しており、簡単に破損してしまうことのない樹脂がよく、ポリアミド樹脂、なかでも4,6−ナイロンが好ましいといえる。
【0026】
本発明では前述のようにブロックを形成する合成樹脂中に繊維状の補強材やウィスカ状の補強材を配合することは可能であり、繊維状の補強材は15〜40重量%の範囲で配合する。15重量%未満であると補強効果が少なくブロックの耐磨耗性が十分でないなどの問題があり、40重量%を超えると樹脂への配合が困難になることや射出成形が困難になるなどの問題があるので好ましくない。
【0027】
合成樹脂に配合する繊維状補強材としては、アラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などを挙げることができる。その中でも前記のブロックを構成する樹脂で好ましい例である4,6−ナイロンと炭素繊維を組み合わせて用いることによって炭素繊維が4,6−ナイロンの吸水性の欠点を改善し、剛性を大幅に向上させることができて、且つ4,6−ナイロンの有する耐摩耗性、耐衝撃性、耐疲労性を生かすことができるものである。
【0028】
また、前記繊維状補強材として上記の有機繊維のほかにも酸化亜鉛ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなどの無機繊維を配合してもよい。
【0029】
また、酸化亜鉛ウィスカは、高比重、高剛性であるため、プーリとの接触時の振動を低減でき、ノイズの発生を小さくすることができる。なお、この酸化亜鉛ウィスカの配合量が少ない場合は添加した効果が発現せず、多すぎると混練できず、成形することが困難となる。
【0030】
このような材料構成とすることによって、プーリと接する際に受ける側圧にも十分に耐えうる剛性、靭性等の強度を有するとともに、耐摩耗性に優れ、更には、摩擦時に発生する熱に対しても強いブロックとすることが可能となり、プーリから受ける動力を効率よくセンターベルト13a、13bに引張力として伝えることができ、引張伝動式の高負荷伝動ベルトを構成することができる。
【0031】
なお、これらの他に、二硫化モリブデン、グラファイト、フッ素系樹脂から選ばれてなる少なくとも一つを混入することによってもブロック12の潤滑性を向上させることができる。フッ素系樹脂としては、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化エチレンプロピレンエーテル(PFPE)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(PFEP)、ポリフッ化アルコキシエチレン(PFA)等が挙げられる。
【0032】
センターベルト13a、13bのゴム14として使用されるものは、クロロプレンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、水素化ニトリルゴムなどの単一材またはこれらを適宜ブレンドしたゴムあるいはポリウレタンゴム等が挙げられる。そして、心体15としてはポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチールワイヤ等から選ばれたロープが用いられる。
【0033】
ベルトのカバー帆布として用いられる帆布は、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ポリエステル、アラミド繊維等であって、単独あるいは混合されたものであってもよい。カバー帆布の経糸や緯糸の構成も前記繊維のフィラメント糸または紡績糸であり、織構成も平織物、綾織物、朱子織物のいずれでもよい。なお、緯糸には伸縮性を有するウレタン弾性糸を一部使用するのが好ましい。
【0034】
これらのような内外両面に歯部を有する歯付ベルトの製造方法において、本発明では図4に示すように、外周面にベルトに歯部を形成するための凹凸51を有する円筒状の内型50にカバー帆布5および心線4をスパイラル状に巻きつけて、次いでベルト内周面の歯部を構成するためのゴムシート52を巻きつけて、加硫缶(図示しない)などを用いて歯部を形成するとともに加硫もしくは半加硫し、内周面のみに歯部を形成したベルトスリーブSを作成する(図5)。半加硫にする場合はその状態に近づくと、加硫缶の内圧及び温度を下げて、加硫がこれ以上進行しない条件にする。尚、上記半加硫とは、最適加硫時の引張強さ、モジュラス、伸び等の各物性値をそれぞれ100とした場合、各物性値がそれぞれ1〜5%に達する状態をいう。この場合、最適加硫時の目安としては、引張強さは最高値を少し過ぎた点、モジュラスは最高値の少し手前の点、そして伸びは最低の少し手前の点であり、これらは加硫曲線より判定される。
【0035】
次いで、前記内周面のみに歯部を形成したベルトスリーブSを内型に装着したままの状態でその表面にベルト外周面の歯部を構成するためのゴムシート53とカバー帆布を巻きつける。そしてベルトのサイズよりも大きな内径を有する加熱された外型54の中に挿入する(図6)。該外型54には内面にベルト外周面の歯部を形成するための凹凸55を有している。内型50の外面の凹凸51と外型54の内面の凹凸55との位置を合わせた状態で内型50を外型54に押し付けて両者の間で挟み込むことでゴムシート53を凹凸55へ流し込みベルトスリーブSの外周面の歯部を形成する。
【0036】
図7は、図1に示す高負荷伝動ベルトに用いるセンターベルトの外周面に歯部を形成しているところの図である。このように内型50と外型54との間でベルトスリーブSを挟み込みながら、外型54内で内型50を回転させるもしくは内型50の周囲で外型54を回転させることによってベルトスリーブS全周において外周面の歯部の形成と加硫を完了する。
【0037】
このような方法でベルトの内外周面に歯部を形成することにより、円筒形状の内型の凹凸と外型の凹凸の位置合わせを最初に一度だけ行うことでベルトスリーブS全周にわたる内外周面の歯部の位置合わせを行うことができるので、位置合わせの作業を比較的容易に行うことができるとともに、位置合わせの失敗による不良の発生を大幅に低減することができるものである。
【0038】
以上説明した方法では、内型でベルト内周面の歯部を形成した後に、そのベルトスリーブSの外表面に外歯部を形成するためのゴムシートを巻きつけて外型に挿入し、外歯部の成形及び加硫を行っているが、外歯部を形成するためのゴムシートを外型の内面に貼り付けた状態にし、内型に装着したベルトスリーブSを外型内に挿入するといった方法を採ることも可能である。
【0039】
この外型の内面に予め外歯部を形成するゴムシートを貼り付けておく方法においても同様に、外型と内型との間でゴムシートを一定の圧をもって挟み込んだ状態で、外型内で内型を回転させるもしくは内型の周囲で外型を回転させることによってスリーブ全周の外歯部の形成および加硫を完了することができ、内外歯部の位置合わせについても同様に内型と外型の凹凸の位置合わせを最初に一度だけ行うことでベルトスリーブS全周にわたる内外歯部の位置合わせを行うことができる。
【0040】
歯部の表面にカバー帆布を設ける場合はベルト長手方向である緯糸として伸縮性を有するスパン糸等を用いた帆布を用い、内外歯部を形成するゴムシートの金型側に配置しておき、ゴムが加熱・加圧によって流動性を持ち金型の凹に流れ込む際にゴムの圧力で緯糸が伸ばされ金型の凹凸に沿わされて歯部表面に配置される。
【0041】
上記カバー帆布5は、RFL液によってのみ処理され、RFL液が乾燥して得られたRFL液の固形分付着量が30〜50質量%となっている。RFL液の固形分は、樹脂とラテックスの固形分からなっている。このRFL液は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物をラテックスに混合したものであり、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物とラテックスとの質量%比は、1:1〜10である。ここで使用するラテックスとしてはスチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、エピクロルヒドリンなどのラテックスである。
【0042】
カバー帆布5の具体的な処理方法としては、帆布をRFL液に浸漬し、一対のロールにより絞り圧約0.3〜0.8kgf/cm(ゲージ圧)でディップ処理を行って乾燥した後に、更に同様のRFL液を行って、帆布に付着するRFL液の固形分付着量を10〜50質量%に調節した。なお、RFL液の固形分付着量が10質量%未満では、帆布の経糸と緯糸の接触部が動きやすくなって開口部が拡大し、これが歯部32のゴムをカバー帆布の開口部38から歯部表面へ露出させることがある。また、一方、RFL液の固形分付着量が50%を超えると、固形分付着量が多くなってベルトの歯部の形状が正確に出現しなくなる問題がある。
【0043】
そして、RFL液で処理されたカバー帆布5の内面には、内外両歯部2、3に使用される原料ゴムを主材料とするゴム組成物を溶剤に溶かしたゴム糊をスプレディング処理(塗布処理)によってコートし、100〜160℃の温度で30〜60秒間乾燥して0.1〜0.3mm厚のゴム層36を形成する。ゴム層36の厚みが0.1mm未満になると、プレス加硫時に未加硫ゴムシートがカバー帆布の表面に滲み出すことになり、また0.3mmを超えると、未加硫ゴムシートのカバー帆布表面への滲み出しは阻止されても外側と内側のPLD値が相違する。これは内側のカバー帆布5のゴム層6に心線3を巻きつけるために、このゴム層6が変形するためである。尚、内外両歯部の表面に被覆したカバー帆布5の内面にゴム層6をコートするのが内外両方のPLD値を一致させる上で好ましい。
【0044】
図7は図2及び図3に示す高負荷伝動ベルト11に用いる両面に歯部を有するセンターベルトの製造工程を示す図である。このような工程を経て両面に歯部を有するセンターベルトを造り、得られたセンターベルトの凹条部22、23にブロック12を嵌め込んでいくことによって最終的に全周にブロック12が噛み合い配置された高負荷伝動ベルト11を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は自動車や自動二輪車、一般産業機械、農業機械などの駆動に用いられるブロックを装着したベルトの張力体となる両面歯付ベルトや通常の両面歯付ベルトを歯部のピッチを容易に一致させることができ不良発生の少ない製造方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る高負荷伝動ベルトの一例を示す斜視概略図である。
【図2】高負荷伝動ベルトの側面図である。
【図3】両面歯付ベルトの側面図である。
【図4】内型に内周面に歯部を成形するための材料を巻きつけたところの側面図である。
【図5】内型に内周面に歯部を成形したところの側面図である。
【図6】内型と外型とでベルトスリーブを挟み込み外周面の歯部を形成しようとしているところの側面図である。
【図7】図1のベルトに用いるセンターベルトの外周面の歯部を形成したところの側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 歯付ベルト
2 外歯部
3 内歯部
4 心線
5 カバー帆布
6 ゴム層
11 高負荷伝動ベルト
12 ブロック
12a 側面
12b 側面
13a センターベルト
13b センターベルト
14 ゴム
15 心線
16 溝
17 溝
18 上面
19 下面
20 歯部
21 歯部
22 凹条部
23 凹条部
24 上ビーム部
25 下ビーム部
26 センターピラー
27 凸条部
28 凸条部
50 内型
51 凹凸
52 ゴムシート
53 ゴムシート
54 外型
55 凹凸
S スリーブ
【出願人】 【識別番号】000006068
【氏名又は名称】三ツ星ベルト株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6713(P2008−6713A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179647(P2006−179647)