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【発明の名称】 ホーリング装置
【発明者】 【氏名】田代 幹人

【氏名】津田 訓

【要約】 【課題】高品質なタイヤが得られるホーリング装置10の提供。

【構成】ホーリング装置10は、昇降部14、駆動部16、テーブル18及びコンベア20を備えている。テーブル18及びコンベア20に、カーカスプライ12が載置されている。昇降部14は、シリンダー22及び錐30を備えている。錐30は、その外周面に螺旋状の筋溝46を有する。駆動部16は、ピストン32を備えている。シリンダー32に対してピストン22がスライドすることで、昇降部14が昇降する。昇降部14の降下により、錐30がカーカスプライ12を貫通し、カーカスプライ12に孔が形成される。する。錐30が筋溝46を備えているので、錐30が上昇した後も、カーカスプライ12の孔が消滅しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外周面に筋溝とランドとを有する錐と、この錐をタイヤ用のゴム部材に向けて前進及び後退させうる移動手段とを備えたホーリング装置。
【請求項2】
その外周面に筋溝とランドとを有する錐により、シート状の第一ゴム部材に孔が穿設される工程と、
この第一ゴム部材にシート状の第二ゴム部材が積層されてグリーンタイヤが得られる工程と、
このグリーンタイヤがモールド内で加圧及び加熱される工程と
を含むタイヤの製造方法。
【請求項3】
上記第一ゴム部材がカーカスプライであり、錐の太さが3.0mm以上5.0mm以下であり、筋溝の軸方向幅が4.0mm以上6.0mm以下であり、ランドの軸方向幅が4.0mm以上6.0mm以下である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
上記錐が先細であるティップを備えており、このティップの軸方向長さが11.0mm以上18.0mm以下である請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
上記第一ゴム部材がサイドウォール用ゴムシートであり、錐の太さが2.0mm以上8.0mm以下であり、筋溝の軸方向幅が2.0mm以上10.0mm以下であり、ランドの軸方向幅が2.0mm以上10.0mm以下である請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
上記錐が先細であるティップを備えており、このティップの軸方向長さが8.0mm以上20.0mm以下である請求項5に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシート状ゴム部材が積層されてなるタイヤの製造に適したホーリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、グリーンタイヤから得られる。このグリーンタイヤでは、多数のゴム部材が積層されている。ゴム部材の具体例としては、インナーライナー、カーカスプライ、サイドウォール用ゴムシート、ベルトプライ、トレッド用ゴムシート等が挙げられる。このグリーンタイヤは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、グリーンタイヤのゴム組成物は流動する。加熱により、ゴム組成物において架橋反応が起こる。この工程は、加硫工程と称される。
【0003】
グリーンタイヤの成形時に、このグリーンタイヤにエアーが咬み込まれることがある。このエアーは、ゴム部材と他のゴム部材との間に存在する。加硫工程でのゴム組成物の流動により、エアーは移動する。この移動により、エアーはグリーンタイヤの外へと排出されうる。しかし、移動が不十分な場合、エアーがタイヤに残留する。特に、カーカスプライがスチールコードを備えたタイヤでは、エアーが残留しやすい。
【0004】
残留したエアーは、タイヤの品質を阻害する。例えば、カーカスプライとサイドウォールとの間にエアーが残留すると、サイドウォールに疵が発生する。疵を有するサイドウォールは、補修される。補修には、手間がかかる。しかも、エアーの残留は、タイヤのユニフォーミティを損なう。
【0005】
特開2003−154579公報には、ホーリング装置が示されている。このホーリング装置は、多数の錐を備えている。図7(a)には、この錐2とカーカスプライ4とが示されている。錐2が降下することで、図7(b)に示されるように、錐2がカーカスプライ4を貫通する。貫通により、カーカスプライ4に孔6が形成される。このカーカスプライ4が他のゴム部材と積層され、グリーンタイヤが得られる。加硫工程では、孔6からエアーが排出される。
【0006】
【特許文献1】特開2003−154579公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7(b)に示されるように、錐2がカーカスプライ4を貫通した段階で、カーカスプライ4には孔6と共にソリ8が生じている。錐2が抜かれた後は、図7(c)に示されるように、ソリ8が復元して孔6が消滅することがある。錐2が抜かれるときに上向きにソリが生じることがあり、この上向きのソリの復元によって孔6が消滅することもある。孔6を有さないカーカスプライ4では、エアーが排出されにくい。
【0008】
本発明の目的は、高品質なタイヤが得られるホーリング装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るホーリング装置は、その外周面に筋溝とランドとを有する錐と、この錐をタイヤ用のゴム部材に向けて前進及び後退させうる移動手段とを備える。
【0010】
本発明に係るタイヤ製造方法は、
(1)その外周面に筋溝とランドとを有する錐により、シート状の第一ゴム部材に孔が穿 設される工程、
(2)この第一ゴム部材にシート状の第二ゴム部材が積層されてグリーンタイヤが得られ る工程
及び
(3)このグリーンタイヤがモールド内で加圧及び加熱される工程
を含む。
【0011】
第一ゴム部材がカーカスプライであるとき、錐の太さが3.0mm以上5.0mm以下であり、筋溝の軸方向幅が4.0mm以上6.0mm以下であり、ランドの軸方向幅が4.0mm以上6.0mm以下であることが好ましい。錐のティップの軸方向長さは、11.0mm以上18.0mm以下が好ましい。
【0012】
第一ゴム部材がサイドウォール用ゴムシートであるとき、錐の太さが2.0mm以上8.0mm以下であり、筋溝の軸方向幅が2.0mm以上10.0mm以下であり、ランドの軸方向幅が2.0mm以上10.0mm以下であることが好ましい。錐のティップの軸方向長さは、8.0mm以上20.0mm以下が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るホーリング装置では、錐の前進時及び後退時に、筋溝がゴム部材を通過する。筋溝は、ソリを抑制する。このホーリング装置により、孔の消滅が防がれる。このホーリング装置により、エアーの残留がないタイヤが得られうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るホーリング装置10がカーカスプライ12と共に示された正面図である。このホーリング装置10は、昇降部14、駆動部16、テーブル18及びコンベア20を備えている。カーカスプライ12は、シート状のゴム部材である。カーカスプライ12は、多数のコードを含んでいる。コードは、スチール又は有機繊維からなる。カーカスプライ12は、テーブル18及びコンベア20に載置されている。
【0016】
昇降部14は、ピストン22、昇降プレート24、スライダー26、ジョー28及び錐30を備えている。ピストン22は、鉛直方向に延在している。ピストン22の下端は、昇降プレート24の上面に連結されている。スライダー26は、棒状である。スライダー26は、鉛直方向に延在している。スライダー26の下端は、昇降プレート24の上面に連結されている。ジョー28は、昇降プレート24の底面に固定されている。所定間隔を隔てて、多数のジョー28が配置されている。錐30の後端は、ジョー28に挿入されている。ジョー28が締められることにより、錐30が昇降プレート24に連結されている。図示されていないが、紙面垂直方向においても、多数の錐30が並んでいる。
【0017】
駆動部16は、シリンダー32、ベースプレート34及びガイド36を備えている。シリンダー32は、ベースプレート34に固定されている。ガイド36は、ベースプレート34に固定されている。ガイド36は、筒状である。ガイド36には、スライダー26が通されている。
【0018】
テーブル18は、昇降部14の直下に位置している。テーブル18の天板38には、多数の孔40が穿設されている。孔40は、錐30の直下に位置している。孔40の内径は、錐30の外径よりも若干大きい。
【0019】
2つのコンベア20が、テーブル18を挟んで配置されている。コンベア20の回転により、カーカスプライ12が矢印A1の方向へと搬送される。コンベア20以外の搬送手段が設けられてもよい。他の搬送手段としては、ローラが例示される。
【0020】
図1に示されるように、シリンダー32にはピストン22が挿入されている。シリンダー32に対してピストン22がスライドすることで、昇降部14が昇降する。昇降のとき、スライダー26がガイド36と擦動する。この擦動により、昇降プレート24が水平を維持しつつ、昇降部14が昇降する。昇降により、錐30がカーカスプライ12に向けて前進及び後退する。シリンダー32及びピストン22は、移動手段を構成する。他の移動手段が設けられてもよい。他の移動手段としては、モーターが例示される。
【0021】
図2には、昇降部14が降下した状態のホーリング装置10が示されている。降下により、錐30はカーカスプライ12を貫通する。錐30はさらに、天板38の孔40(図1参照)を通過する。昇降部14が上昇した後、コンベア20によってカーカスプライ12が搬送される。このカーカスプライ12は、多数の孔(図3参照)を備える。
【0022】
図3は、図2のホーリング装置10の錐30がカーカスプライ12と共に示された拡大図である。この図3では、錐30はカーカスプライ12を貫通している。この錐30は、本体42とティップ44とを備えている。本体42は、その外周面に螺旋状の筋溝46を有する。外周面のうち筋溝46以外の部分は、ランド48である。筋溝46とランド48との間には、段差が存在する。ティップ44は、先細である。ティップ44には、筋溝46は存在していない。錐30の貫通により、カーカスプライ12には孔50が穿設されている。
【0023】
錐30の前進時及び後退時には、筋溝46とランド48とが交互にカーカスプライ12を通過する。ランド48が通過するとき、カーカスプライ12のゴム組成物はランド48に引っ張られる。ゴム組成物は変形し、ソリが発生する。その後に筋溝46が通過するとき、ソリはある程度復元する。変形と復元とが繰り返されるので、寸法の大きなソリは発生しない。このホーリング装置10では、錐30が抜かれた後にソリが孔50を塞がない。
【0024】
図4は、図1のホーリング装置10によって孔50が形成されたカーカスプライ12が示された斜視図である。図4において矢印A2で示されているのは、タイヤの軸方向である。カーカスプライ12は、両方の端部52と中央部54とに区別されうる。図4から明らかなように、孔50は端部52に形成されている。中央部54には、孔50は存在していない。中央部54に孔50が形成されてもよい。
【0025】
このカーカスプライ12は、フォーマーへ供給される。フォーマーには、他のシート状ゴム部材も供給される。他のゴム部材としては、インナーライナー、他のカーカスプライ、サイドウォール用ゴムシート、ベルトプライ、トレッド用ゴムシート等が挙げられる。フォーマーにおいてこれらのゴム部材がアッセンブリーされて、グリーンタイヤが得られる。アッセンブリーのとき、カーカスプライ12には、他のゴム部材が積層される。
【0026】
このグリーンタイヤが、加硫工程に供される。加硫工程では、グリーンタイヤがモールドに投入される。グリーンタイヤは、モールド及びブラダーで加圧され、かつ加熱される。加圧及び加熱により、ゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。加硫工程の初期段階において、カーカスプライ12と他のゴム部材との間に存在するエアーは、孔50を通じてグリーンタイヤから排出される。その後、ゴム組成物の流動により孔50は塞がれる。
【0027】
図4に示されたカーカスプライ12が用いられたグリーンタイヤでは、端部52はビードの近傍に位置する。ビード近傍の残留エアーは、コードに沿って延在し、コードとトッピングゴムとの密着を弱める。特に、スチールコードが用いられたラジアルタイヤにおいて、不十分な密着が生じやすい。端部52に孔50が形成されることにより、ビード近傍におけるエアーの残留が抑制される。端部52の幅W1は、150mm以上250mm以下が好ましく、170mm以上230mm以下がより好ましい。1枚のカーカスプライ12における孔50の数は、200以上500以下が好ましい。隣接する孔50の間のピッチPは、5mm以上300mm以下が好ましい。
【0028】
図3において両矢印φで示されているのは、錐30の太さである。太さφは、3.0mm以上5.0mm以下が好ましい。太さφが3.0mm以上である錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、太さφは3.5mm以上がより好ましい。太さφが5.0mm以下である錐30により、カーカスコードの損傷が抑制される。この観点から、太さφは4.5mm以下がより好ましい。この錐30により、太さφの90%から110%の内径を有する孔50が形成されうる。
【0029】
図3において両矢印WGで示されているのは、筋溝46の軸方向幅である。幅WGは、4.0mm以上6.0mm以下が好ましい。幅WGが4.0mm以上である錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、幅WGは4.5mm以上がより好ましい。幅WGが6.0mm以下である錐30により、コードの損傷が抑制される。この観点から、幅WGは5.5mm以下がより好ましい。
【0030】
図3において両矢印WLで示されているのは、ランド48の軸方向幅である。幅WLは、4.0mm以上6.0mm以下が好ましい。幅WLが4.0mm以上である錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、幅WLは4.5mm以上がより好ましい。幅WLが6.0mm以下である錐30により、コードの損傷が抑制される。この観点から、幅WLは5.5mm以下がより好ましい。
【0031】
図3において両矢印Dで示されているのは、筋溝46の深さである。孔50の消滅が抑制されるとの観点から、太さφに対する深さDの比(D/φ)は0.10以上が好ましく、0.15以上がより好ましい。コードの損傷が抑制されるとの観点から、比(D/φ)は0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましい。
【0032】
図3において両矢印L1で示されているのは、ティップ44の長さである。長さL1は、11.0mm以上18.0mm以下が好ましい。長さL1が11.0mm以上である錐30により、コードの損傷が抑制される。この観点から、長さL1は13.0mm以上がより好ましい。長さL1が18.0mm以下である錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、長さL1は16.0mm以下がより好ましい。
【0033】
図3において両矢印L2で示されているのは、錐30が最も前進した状態における錐30の突出長さである。長さL2は、60mm以上90mm以下が好ましい。長さL2が60mm以上に設定されることにより、孔50の消滅が抑制される。この観点から、長さL2は65mm以上がより好ましい。長さL2が90mm以下に設定されることにより、コードの損傷が抑制される。この観点から、長さL2は85mm以下がより好ましい。
【0034】
図1に示されたホーリング装置10により、他のゴム部材に孔50が穿設されてもよい。図5には、孔50が穿設されたサイドウォール用ゴムシート56が示されている。この図5において矢印A3で示されているのは、タイヤの周方向である。このゴムシート56は、上端58と下端60とを備えている。グリーンタイヤでは、上端58はトレッドの近傍に位置し、下端60はビードの近傍に位置する。このゴムシート56において、境界線62と下端60との間は、クリンチ部64である。
【0035】
このゴムシート56が用いられたグリーンタイヤが、加硫工程に供される。加硫工程の初期段階において、ゴムシート56と他のゴム部材との間に存在するエアーは、孔50を通じてグリーンタイヤから排出される。その後、ゴム組成物の流動により孔50は塞がれる。孔50が塞がれるので、サイドウォールの表面にベアーは生じない。
【0036】
図5から明らかなように、クリンチ部64には孔50が存在していない。硬度が高いクリンチ部64に孔50が設けられないことにより、孔50を起点としたクラックの発生が防止される。ゴムシート56の幅W2に対する、孔50が穿設された領域の幅W3の比率は、60%以上80%以下が好ましい。1枚のゴムシート56における孔50の数は、150以上800以下が好ましい。隣接する孔50の間のピッチPは、5mm以上300mm以下が好ましい。
【0037】
サイドウォール用ゴムシート56に孔50が穿設される場合、錐30の太さφは、2.0mm以上8.0mm以下が好ましい。太さφが2.0mm以上である錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、太さφは3.0mm以上がより好ましい。太さφが8.0mmを超えると、加硫工程において孔50にゴム組成物が流入しても、孔50が完全には塞がらない。孔50の残存により、サイドウォールの表面にベアが生じる。ベアの抑制の観点から、太さφは7.0mm以下がより好ましい。
【0038】
このゴムシート56に孔50が穿設される場合、筋溝46の軸方向幅WGは、2.0mm以上10.0mm以下が好ましい。この錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、幅WGは3.0mm以上がより好ましい。幅WGは9.0mm以下がより好ましい。
【0039】
このゴムシート56に孔50が穿設される場合、ランド48の軸方向幅WLは、2.0mm以上10.0mm以下が好ましい。この錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、幅WLは3.0mm以上がより好ましい。幅WLは9.0mm以下がより好ましい。
【0040】
このゴムシート56に孔50が穿設される場合、孔50の消滅が抑制されるとの観点から、太さφに対する深さDの比(D/φ)は0.10以上が好ましく、0.15以上がより好ましい。ベアが抑制されるとの観点から、比(D/φ)は0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましい。
【0041】
このゴムシート56に孔50が穿設される場合、ティップ44の長さL1は、8.0mm以上20.0mm以下が好ましい。長さL1が8.0mm以上である錐30により、ベアが抑制される。この観点から、長さL1は10.0mm以上がより好ましい。長さL1が20.0mm以下である錐30により、孔50の消滅が抑制される。この観点から、長さL1は18.0mm以下がより好ましい。
【0042】
このゴムシート56に孔50が穿設される場合、長さL2は、60mm以上90mm以下が好ましい。長さL2が60mm以上に設定されることにより、孔50の消滅が抑制される。この観点から、長さL2は65mm以上がより好ましい。長さL2が90mm以下に設定されることにより、ベアが抑制される。この観点から、長さL2は85mm以下がより好ましい。
【0043】
図6は、本発明の他の実施形態に係るホーリング装置66の一部がカーカスプライ12と共に示された正面図である。図6には、ホーリング装置66の錐68が示されている。このホーリング装置66の、錐68以外の構造は、図1に示されたホーリング装置10のそれと同等である。
【0044】
この錐68は、本体70とティップ72とを備えている。本体70は、その外周面に環状の筋溝74を有する。外周面のうち筋溝74以外の部分は、ランド76である。筋溝74とランド76との間には、段差が存在する。ティップ72は、先細である。ティップ72には、筋溝74は存在していない。この錐68によっても、カーカスプライ12のソリが抑制され、孔50の消滅が抑制される。この錐68の太さφ、幅WG、幅WL、比(D/φ)、長さL1及び長さL2は、図3に示された錐30のそれらと同等である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0046】
[実験1]
[実施例1]
スチールコードを備えたカーカスプライを用意した。このカーカスプライに、図1から図3に示されたホーリング装置で多数の孔を穿設した。このホーリング装置の錐は、4mmの太さφ、15mmのティップの長さL1、5mmの筋溝の幅WG及び5mmのランドの幅WLを有する。穿設時の突出長さL2は、85mmである。1枚のカーカスプライ当たりの孔の数は、288である。隣接する孔の間のピッチは、25mmである。このカーカスプライを、フォーマーに供給した。このフォーマーにおいて、カーカスプライ、インナーライナー、サイドウォール用ゴムシート、ベルトプライ、トレッド用ゴムシート等からなるグリーンタイヤを成形した。このグリーンタイヤをモールドで加圧及び加熱し、トラック用のラジアルタイヤを得た。このタイヤのサイズは、「225/80R17.5」である。
【0047】
[実施例4から7]
筋溝の幅WG及びランドの幅WLが下記の表1に示される通りである錐を用いた他は実施例1と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0048】
[実施例2から3及び8から9]
下記の表1に示されるティップの長さL1を有する錐を用いた他は実施例1と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0049】
[実施例12から14]
下記の表2に示される太さφを有する錐を用いた他は実施例1と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0050】
[実施例11及び15]
下記の表2に示される突出距離L2を有するホーリング装置を用いた他は実施例1と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0051】
[実施例10及び16]
孔の数を下記の表2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0052】
[比較例1]
筋溝を有さない錐を用いた他は実施例1と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0053】
[比較例2]
孔を穿設しなかった他は実施例1と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0054】
[エアーの残留率の算出]
2000本のタイヤを目視で観察し、エアーの残留が見られるタイヤの比率を算出した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。
【0055】
[コードの損傷]
コードを目視で観察し、損傷の程度を下記の基準により格付けした。
A:損傷がない
B:コードのフィラメントに疵が見られる
C:コードのフィラメントに切断が見られる
この結果が、下記の表1及び2に示されている。
【0056】
【表1】


【0057】
【表2】


【0058】
表1及び2に示されるように、実施例の製造方法では不良率が少ない。
【0059】
[実験2]
[実施例17]
サイドウォール用ゴムシートを用意した。このゴムシートに、図1から図3に示されたホーリング装置で多数の孔を穿設した。このホーリング装置の錐は、4mmの太さφ、15mmのティップの長さL1、5mmの筋溝の幅WG及び5mmのランドの幅WLを有する。穿設時の突出長さL2は、85mmであった。1枚のゴムシート当たりの孔の数は、230であった。隣接する孔の間のピッチは、30mmであった。ゴムシートを、フォーマーに供給した。このフォーマーにおいて、このゴムシート、カーカスプライ、インナーライナー、ベルトプライ、トレッド用ゴムシート等からなるグリーンタイヤを成形した。このグリーンタイヤをモールドで加圧及び加熱し、トラック用のラジアルタイヤを得た。このタイヤのサイズは、「225/80R17.5」である。
【0060】
[実施例20から23]
筋溝の幅WG及びランドの幅WLが下記の表3に示される通りである錐を用いた他は実施例17と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0061】
[実施例18から19及び24から25]
下記の表3に示されるティップの長さL1を有する錐を用いた他は実施例17と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0062】
[実施例28から30]
下記の表4に示される太さφを有する錐を用いた他は実施例17と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0063】
[実施例27及び31]
下記の表4に示される突出距離L2を有するホーリング装置を用いた他は実施例17と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0064】
[実施例26及び32]
孔の数を下記の表4に示される通りとした他は実施例17と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0065】
[比較例3]
筋溝を有さない錐を用いた他は実施例17と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0066】
[比較例4]
孔を穿設しなかった他は実施例17と同様にして、ラジアルタイヤを得た。
【0067】
[エアーの残留率の算出]
2000本のタイヤを目視で観察し、エアーの残留が見られるタイヤの比率を算出した。この結果が、下記の表3及び4に示されている。
【0068】
[ベアの観察]
タイヤのサイドウォールを目視で観察し、ベアの有無を判定した。この結果が、下記の表3及び4に示されている。
【0069】
【表3】


【0070】
【表4】


【0071】
表3及び4に示されるように、実施例の製造方法では不良率が少ない。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係るホーリング装置により、種々のゴム部材に孔が穿設されうる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るホーリング装置がカーカスプライと共に示された正面図である。
【図2】図2は、図1のホーリング装置がカーカスプライと共に示された正面図である。
【図3】図3は、図2のホーリング装置の錐がカーカスプライと共に示された拡大図である。
【図4】図4は、図1のホーリング装置によって孔が形成されたカーカスプライが示された斜視図である。
【図5】図5は、図1のホーリング装置によって孔が形成されたサイドウォール用ゴムシートが示された斜視図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態に係るホーリング装置の一部がカーカスプライと共に示された正面図である。
【図7】図7は、従来のホーリング装置の一部がカーカスプライと共に示された正面図である。
【符号の説明】
【0074】
10、66・・・ホーリング装置
12・・・カーカスプライ
14・・・昇降部
16・・・駆動部
18・・・テーブル
20・・・コンベア
22・・・ピストン
30、68・・・錐
32・・・シリンダー
42、70・・・本体
44、72・・・ティップ
46、74・・・筋溝
48、76・・・ランド
50・・・孔
56・・・サイドウォール用ゴムシート
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾

【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎


【公開番号】 特開2008−1055(P2008−1055A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175004(P2006−175004)