トップ :: B 処理操作 運輸 :: B29 プラスチツクの加工;可塑状態の物質の加工一般

【発明の名称】 更生タイヤの製造方法
【発明者】 【氏名】田中 力

【要約】 【課題】開口幅の狭い押出ダイ、ひいては、押出能力の小さい押出機を用いてなお、所期した通りの幅のクッションゴム層を、周面幅の狭い台タイヤから広い台タイヤに到るまで,押出ダイの頻繁なクリーニングの必要なしに、しかも、短時間のうちに形成することができる更生タイヤの製造方法を提供する。

【構成】周面にバフ加工を施した台タイヤ3を回動変位させて,その台タイヤ3の周面上に、押出ダイ2からのクッションゴム4の供給によって未加硫のクッションゴム層を全周にわたって形成するクッショニング工程と、このクッションゴム層上に、トレンドゴムを全周にわたって配設するトレッド貼着工程と、クッションゴム層を、台タイヤ3およびトレッドゴムのそれぞれに加硫接着させる加硫工程とを含む更生タイヤの製造方法であって、一本の台タイヤ3に対し、複数回のクッショ二ング工程を繰返すことによって、バフ加工を施した周面の全幅にわたってクッションゴム層を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面にバフ加工を施した台タイヤを回動変位させて、その台タイヤの周面上に、押出ダイからのクッションゴムの供給によって未加硫のクッションゴム層を全周にわたって形成するクッショニング工程と、このクッションゴム層上に、トレッドゴムを全周にわたって配設するトレッド貼着工程と、クッションゴム層を、台タイヤおよびトレッドゴムのそれぞれに加硫接着させる加硫工程とを含む更生タイヤの製造方法において、
一本の台タイヤに対し、複数回のクッショニング工程を繰返すことによって、バフ加工を施した周面の全幅にわたってクッションゴム層を形成する更生タイヤの製造方法。
【請求項2】
台タイヤのショルダー域までクッションゴム層を形成する請求項1に記載の更生タイヤの製造方法。
【請求項3】
二回のクッショニング工程のそれぞれで、台タイヤの周面にそれの半幅分ずつクッションゴム層を形成する請求項1もしくは2に記載の更生タイヤの製造方法。
【請求項4】
一回目のクッショニング工程に続く二回目のクッショニング工程に際し、押出ダイの開口を、台タイヤ赤道線に対してそれの反対側へ回動変位させる請求項3に記載の更生タイヤの製造方法。
【請求項5】
クッショニング工程でのクッションゴム層の形成幅の調整を、押出ダイ開口の延在方向線分の、台タイヤ赤道線に対する交角を変更することによって行う請求項1〜4のいずれかに記載の更生タイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、更生タイヤの製造方法に関するものであり、とくには、バフ加工を施した台タイヤの周面上に、未加硫のクッションゴム層を介して、加硫済みのまたは未加硫のトレッドゴムを加硫接着させて更生タイヤを製造するに当り、台タイヤの周面幅の広狭にかかわらず、所要の幅のクッションゴム層を、小型の設備をもって短時間のうちに形成できる技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤの更生に当って、バフ加工を施した台タイヤの周面上に、その幅一杯に未加硫クッションゴム層を、それの全周にわたって形成する従来の技術としては、たとえば、特許文献1および2のそれぞれに記載されたものがあり、これらはいずれも、台タイヤに対する一回のクッショニング工程で、それの周面の全幅にわたるクッションゴム層を形成するものである。
【特許文献1】特開平5−229034号公報
【特許文献2】特表平8−506292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかるに、これらの従来の技術では、一回のクッショニング工程で、台タイヤの周面をそれの全幅にわたって覆うクッションゴム層を形成することとしているため、周面幅の広い台タイヤに対しては、押出ダイの開口幅を広くすることが必要になり、これによってなお、クッションゴムの、十分な押出量を確保するためには、押出機の能力それ自体を高めることが必要になるという設備コスト上の問題があった。
【0004】
またこの一方で、開口幅の広い広幅タイヤ用の押出ダイを用いて、それより幾分狭幅の台タイヤ上にクッションゴム層を形成するべく、クッションゴム層の押出量を減少させた場合には、押出ダイの側部に溜ったゴムに焦げつき現象が生じ、この焦げつきゴムが、台タイヤ上へのクッションゴムの供給の妨げとなって、押出しゴム量分布がダイの中央部と側部とで相違することになる、という不都合をもたらすことになるので、更生タイヤの製造途中での、押出ダイのクリーニングが必要になるという他の問題もあった。
【0005】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、それの目的とするところは、開口幅の狭い押出ダイ、ひいては、押出能力の小さい押出機を用いてなお、所期した通りの幅のクッションゴム層を、周面幅の狭い台タイヤから広い台タイヤに到るまで、押出ダイの頻繁なクリーニングの必要なしに、しかも、短時間のうちに形成することができる更生タイヤの製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る更生タイヤの製造方法は、周面にバフ加工を施した台タイヤを回動変位させて、その台タイヤの周面上に、押出ダイからのクッションゴムの供給によって未加硫のクッションゴム層を全周にわたって形成するクッショニング工程と、このクッションゴム層上に、加硫済みのまたは未加硫のトレッドゴムを全周にわたって配設するトレッド貼着工程と、クッションゴム層を、台タイヤおよびトレッドゴムのそれぞれに加硫接着させる、クッションゴム層に対する、または、クッションゴム層およびトレッドゴムに対する加硫工程とを含む更生方法において、一本の台タイヤに対し、複数回のクッショニング工程を繰返すことによって、バフ加工を施した周面の全幅にわたってクッションゴム層を形成するにある。
【0007】
この方法においては、台タイヤの周面の一部としてのショルダー域、いいかえれば、台タイヤの周面の、いわゆるクラウン域を越えて、その両側部に隣接する領域であるショルダー域までクッションゴム層を形成することもできる。
【0008】
また、この方法において好ましくは、二回のクッショニング工程のそれぞれで、台タイヤの周面にそれの半幅分ずつクッションゴム層を形成する。
【0009】
この場合、一回目のクッショニング工程に続く二回目のクッショニング工程に際し、押出ダイの開口を、台タイヤ赤道線に対してそれの反対側へ、たとえば180°回動変位させる。
【0010】
なお、クッショニング工程でのクッションゴム層の形成幅の調整は、押出ダイ開口の延在方向線分の、台タイヤ赤道線に対する交角を変更することによって行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る更生タイヤの製造方法では、バフ加工を施した台タイヤの周面に、その全幅にわたってクッションゴム層を形成するに当って、一本の台タイヤに対して複数回のクッショニング工程を繰返して、クッションゴム層を、たとえば順次形成することにより、周面幅の広い台タイヤに対しても、開口幅の狭い押出ダイおよび押出能力の小さい押出機をもって十分に対処することができる。
【0012】
従ってここでは、広幅台タイヤに対して、開口幅の広い押出ダイを用いる場合のような設備コスト上の問題の発生を十分に防止するとともに、開口幅の広い押出ダイを狭幅タイヤに共用することに起因する、焦げつきゴムの発生を十分に防止することができる。
【0013】
なおここで、複数回のクッショニング工程の繰返しによって、クッションゴム層が相互に重なり合うことに起因する段差部を生じることがあるときは、その段差部を磨り潰しローラによって圧延することで、そこを簡易に平滑面とすることができる。
【0014】
ところでこの場合において、押出ダイから供給されるクッションゴムを、その押出ダイをもって台タイヤの周面上に、直接的に塗布ないしは擦り付けて、そこにクッションゴム層を形成するときは、台タイヤのクラウン域から、それより小径となるそれのショルダー域までクッションゴム層を一体的に形成してなお、一定厚みのクッションゴム層を、皺等の発生なしに所期した通りに適正に形成することができる。
【0015】
これに対し、一旦シート状に形成してなるクッションゴムシートを、台タイヤの周面上に、クラウン域からショルダー域にわたって貼着させてクッションゴム層を形成するときは、クラウン域より小径となるショルダー域での、クッションゴム層への皺の発生が否めない。
【0016】
またこの方法において、二回のクッショニング工程のそれぞれで、台タイヤの周面に、それの半幅分ずつクッションゴム層を形成するときは、開口幅の狭い押出ダイをもって、トラック・バス用の超広幅サイズのタイヤや、オフロード用タイヤに対しても、所期した通りのクッションゴム層を形成できることはもちろん、周面幅の全幅にわたるクッションゴム層の形成に要する時間を十分短く抑えることができる。
【0017】
なおこの場合、一回目のクッショニング工程に続く二回目のクッショニング工程に際し、押出ダイの開口を、たとえばロータリージョイントの作用下で、台タイヤ赤道線に対してその反対側へ回動変位させるときは、押出ダイを脱着等する場合に比べて、所要幅のクッションゴム層の形成を、より円滑に、かつ簡易・迅速に行うことができる。
【0018】
ところで、クッショニング工程でのクッションゴム層の形成幅の調整を、押出ダイ開口の延在方向線分の、台タイヤ赤道線に対する交角を変更することによって行うときは、各クッショニング工程で形成されるクッションゴム層の幅を、簡単かつ容易に、所期した通りのものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、この発明の実施に用いることができる装置を例示する略線縦断面図であり、図中1は押出機を、2は、この押出機1に、好ましくは、図示しないロータリジョイントを介して取付けた押出ダイをそれぞれ示す。
【0020】
先端面をもって、台タイヤ3の周面に接触する、または、先端面が台タイヤ周面から、形成されるクッションゴム層の厚みに相当する間隔をおいて位置するこの押出ダイ2は、図2(a)に正面斜視図で例示するように、たとえば300mm程度の開口幅wを有するとともに、その開口2bの一方の端部分に、台タイヤ3のショルダー域に沿うように迫出す突出部2cを有してなり、好ましくは、このような押出ダイ2を、たとえば、突出部2c側の開口端とは反対側の開口端位置を中心として、図2(a)に示す初期姿勢位置から、少なくとも一方向へ180°以上の角度範囲にわたって回動可能ならしめる。
図2(b)は、図2(a)に示す初期姿勢の押出ダイ2を90度回動変位させた状態を示す。
【0021】
なお、押出ダイ2をこのように回動自在としたときは、押出ダイ開口の延在方向線分の、台タイヤ赤道線に対する交角を変更することで、台タイヤ3の周面上に形成されるクッションゴム層の幅を所要に応じて簡易に調整することができる。
【0022】
このように構成してなる装置を用い、二回のクッショニング工程を繰返すことによって所要の幅のクッションゴム層を形成する場合には、はじめは、図3に略線平面図で例示するように、押出ダイ2の開口2bを、周面にバフ加工を施した台タイヤ3のその周面に対し、所定の位置まで接近させて、たとえば図示のように、台タイヤ3の周面の半幅、ここでは、クラウン域からショルダー域までを含む周面半幅に臨ませ、そこで、図1に示すように、タイヤ3を所定の速度で回転させながら、押出機1から押出されたクッションゴム4を、押出ダイ2から、ゴムバンクスペース2aを経て、台タイヤ3の周面上へ供給して、その周面上に、押出ダイ2の開口幅wに応じた幅の、所要厚みのクッションゴム層5を形成する、第1回目のクッショニング工程を行う。
【0023】
このようにして周面半幅に対するクッションゴム層5の形成を終了した後は、台タイヤ周面から押出ダイ開口2bを、所定の位置まで離隔させた状態で、押出ダイ2を、その開口2bが台タイヤ赤道線Eの反対側に位置するように180°回動させ、そして、その押出ダイ2を、図3に仮想線で示すように、台タイヤ周面の、ショルダー域をも含む残りの半幅に近接変位させ、そこで、上述したと同様の、第二回目のクッショニング工程を行い、台タイヤ周面の残部に、先に形成されたクッションゴム層5に隣接するクッションゴム層をそれと対称に形成し、それらの両クッションゴム層を併せて、台タイヤ3の周面を、その全幅にわたって覆うクッションゴム層とする。
【0024】
なおこの場合、二回にわたるそれぞれのクッショニング工程で、台タイヤの周面上に形成されるそれぞれのクッションゴム層が、その周面の幅中央部分で相互にオーバラップすることになって、そこに段差を生じるときは、その段差部を、磨り潰しローラをもって圧延することで、簡易に所定の平滑面とすることができる。
【0025】
従ってここでは、クッションゴム層の総幅を、台タイヤの周面幅に正確に対応させるべく、をそれぞれのクッショニング工程で形成されるクッションゴム層のオーバラップ幅を作為的に加減することも可能である。
【0026】
またこの一方で、各クッショニング工程で形成されるクッションゴム層の幅を、押出ダイ開口の延在方向線分の、台タイヤ赤道線Eに対する交角の変更によって調整するときは、それぞれのクッショニング工程で形成されるクッションゴム層のオーバラップなしに、クッションゴム層総幅を、台タイヤの周面幅に正確に対応させることができ、この場合は、磨り潰しをローラによる圧延工程を不要とすることもできる。
【0027】
ところで、台タイヤ2上に、以上のようにして複数回のクッショニング工程を経て、所要の幅のクッションゴム層を形成した後は、そのクッションゴム層上に、加硫済みのまたは未加硫のトレッドゴムを全周にわたって貼着させて配設し、その後、クッション層を、台タイヤ3およびトレッドゴムのそれぞれに加硫接着させることによって更生タイヤを製造する。
【0028】
この場合、クッションゴム層上に、加硫済みのトレッドゴム、いわゆるプレキュアトレッドを貼着させた場合の加硫は、それらをエンベロップ内に包み込んだ状態で、加硫缶内にて加熱および加圧してクッションゴム層を加硫することによって行うことができ、未加硫のトレッドゴムを貼着させた場合の加硫は、それらを加硫モールド内に装入して、クッションゴム層を加硫するとともに、トレッドゴムに加硫成形を施すことによって行うことができる。
【0029】
以上この発明の実施の形態を、押出ダイ2に、台タイヤ3のショルダー域に沿うように迫出す突出部2cを設けた場合について説明したが、押出ダイ2からその突出部2cを省いて、それを、台タイヤ3のクラウン域だけに沿うものとすることもできる。
【0030】
また、この発明に係る方法によれば、開口幅のより狭い押出ダイの使用下で、三回以上のクッショニング工程を繰返して、台タイヤ3の周面幅一杯のクッションゴム層を形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施に用いることができる装置を例示する略線縦断図面である。
【図2】押出ダイを例示する正面斜視図である。
【図3】一回目のクッショニング工程を例示する略線平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 押出機
2 押出ダイ
2b 押出ダイ開口
2c 突出部
3 台タイヤ
4 クッションゴム
5 クッションゴム層
E 台タイヤ赤道線
開口幅
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作

【識別番号】100107227
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 史朗

【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志


【公開番号】 特開2008−1018(P2008−1018A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173969(P2006−173969)