| 【発明の名称】 |
光ディスク基板の成形用金型及び成形方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】蔀 貴行
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| 【要約】 |
【課題】圧縮空気による光ディスク基板の離型性を悪化させること無く、光ディスク基板の印刷面に発生する段差を小さくすることができ、該段差により発生する印刷不良を減らすことが可能な成形用金型、及び該金型を用いた光ディスク基板の成形方法の提供。
【構成】固定金型と可動金型を有し、固定金型の固定鏡面盤と可動金型の可動鏡面盤との対向面間にキャビティが形成されるとともに、可動金型から固定金型に向かって前進して固定金型側のスプルブッシュに嵌合されることにより、キャビティで形成された光ディスク基板に中央穴を打ち抜くカットパンチ、及び、該カットパンチ外周側に配置され、可動鏡面盤との間から光ディスク基板離型用の圧縮空気を吹き出す流路を備えた可動ブッシュが可動金型に設けられた光ディスク基板の成形用金型であって、常温での、可動ブッシュのキャビティ側表面と可動鏡面盤の表面の段差を一定範囲内に設定した成形用金型。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定金型と可動金型を有し、固定金型の固定鏡面盤と可動金型の可動鏡面盤との対向面間にキャビティが形成されるとともに、可動金型から固定金型に向かって前進して固定金型側のスプルブッシュに嵌合されることにより、キャビティで形成された光ディスク基板に中央穴を打ち抜くカットパンチ、及び、該カットパンチ外周側に配置され、可動鏡面盤との間から光ディスク基板離型用の圧縮空気を吹き出す流路を備えた可動ブッシュが可動金型に設けられた光ディスク基板の成形用金型であって、常温での、可動ブッシュのキャビティ側表面と可動鏡面盤の表面の段差を一定範囲内に設定したことを特徴とする成形用金型。 【請求項2】 固定鏡面盤の内周部に、キャビティ形成面にスタンパを装着するための、スタンパ保持用ホルダーを設けたことを特徴とする請求項1記載の成形用金型。 【請求項3】 可動鏡面盤に、温度調整を行なって可動鏡面盤と可動ブッシュとの間に熱膨張差を持たせるための温度調整回路を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の成形用金型。 【請求項4】 段差を、可動鏡面盤の表面を基準として、−2μm〜+5μmの範囲内に設定したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の成形用金型。 【請求項5】 可動ブッシュの外周縁環状エッジ面に傾斜を持たせたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の成形用金型。 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の成形用金型を用い、可動鏡面盤の温度を105〜120℃に設定して成形を行うことを特徴とする光ディスク基板の成形方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、光ディスク基板の成形用金型、該金型を用いた光ディスク基板の成形方法に関する。 【背景技術】 【0002】 光ディスク基板は、金型の固定金型と可動金型との間に形成されるキャビティ内に、環状の金属薄板からなるスタンパを装着し、キャビティ内に溶融樹脂を射出注入して圧縮することにより、スタンパに記録されているピットやグルーブで構成される凹凸パターンを転写して成形されている。このようにして成形された光ディスク基板は、一般に、型開き時には可動金型表面に保持されているため、可動金型に設けられたエジェクタ機構が突出することにより離型させて取り出される。また、このようにして金型から光ディスク基板を取り出す際には、光ディスク基板を離型し易くするために、可動鏡面盤とその径方向内側に設けられた可動ブッシュとの隙間から圧縮空気を吹き出している。このため可動金型のキャビティ側表面は、可動鏡面盤と可動ブッシュとの境目に隙間と段差が生じるため、成形された光ディスク基板においても境界部にバリと段差が生じ、完全に平坦な光ディスク基板を成形することは難かしい。このような平坦でない光ディスク基板の表面に印刷を行なうと、段差やバリの発生部で色抜けなどの不良を起しやすい。 【0003】 しかし近年では、意匠効果による商品価値向上等の目的でディスク表面の略全面に印刷できるようにするため、表面の略全面を平坦面とした光ディスク基板が要求されている。現在主流となっているものは、スーパーピクチャー対応ディスクと呼ばれるものであり、その印刷領域の最内径は約φ22mmであるため、上述した可動ブッシュの厚みを薄くし可動鏡面盤を広くして、境界部を印刷領域の最内径φ22mmよりも内周側に形成することにより、印刷領域が平坦な光ディスク基板を成形することは可能である。しかし更なる印刷領域の拡大のためには、可動ブッシュを一層薄く加工する必要があるが、部品の強度や加工精度を保つことが難しくなるだけでなく、圧縮空気の吹き出し口が内周側へ移動するため、基板の離型性が悪化してしまう。 上記従来技術に関する公知文献としては、特許文献1〜7などが挙げられるが、何れにも、本発明の特徴である、可動ブッシュの表面と可動鏡面盤表面との段差を所定の距離に設定する点に関する記載はない。 【0004】 【特許文献1】特開平9−180251号公報 【特許文献2】特開平8−8966号公報 【特許文献3】特開平9−193163号公報 【特許文献4】特開平9−87891号公報 【特許文献5】特開平9−17044号公報 【特許文献6】特開平9−50005号公報 【特許文献7】国際公開2004−045822号パンフレット 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は、圧縮空気による光ディスク基板の離型性を悪化させること無く、光ディスク基板の印刷面に発生する段差を小さくすることができ、該段差により発生する印刷不良を減らすことが可能な成形用金型、及び該金型を用いた光ディスク基板の成形方法の提供を目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題は次の1)〜6)の発明(以下、本発明1〜6という)によって解決される。 1) 固定金型と可動金型を有し、固定金型の固定鏡面盤と可動金型の可動鏡面盤との対向面間にキャビティが形成されるとともに、可動金型から固定金型に向かって前進して固定金型側のスプルブッシュに嵌合されることにより、キャビティで形成された光ディスク基板に中央穴を打ち抜くカットパンチ、及び、該カットパンチ外周側に配置され、可動鏡面盤との間から光ディスク基板離型用の圧縮空気を吹き出す流路を備えた可動ブッシュが可動金型に設けられた光ディスク基板の成形用金型であって、常温での、可動ブッシュのキャビティ側表面と可動鏡面盤の表面の段差を一定範囲内に設定したことを特徴とする成形用金型。 2) 固定鏡面盤の内周部に、キャビティ形成面にスタンパを装着するための、スタンパ保持用ホルダーを設けたことを特徴とする1)記載の成形用金型。 3) 可動鏡面盤に、温度調整を行なって可動鏡面盤と可動ブッシュとの間に熱膨張差を持たせるための温度調整回路を設けたことを特徴とする1)又は2)記載の成形用金型。 4) 段差を、可動鏡面盤の表面を基準として、−2μm〜+5μmの範囲内に設定したことを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の成形用金型。 5) 可動ブッシュの外周縁環状エッジ面に傾斜を持たせたことを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の成形用金型。 6) 1)〜5)の何れかに記載の成形用金型を用い、可動鏡面盤の温度を105〜120℃に設定して成形を行うことを特徴とする光ディスク基板の成形方法。 【0007】 以下、上記本発明について詳しく説明する。 図1に示すように、本発明の成形用金型は、固定金型の固定鏡面盤1と可動金型の可動鏡面盤2との対向面間にキャビティが形成されるとともに、可動金型から固定金型に向かって前進して固定金型側のスプルブッシュ3に嵌合されることにより、キャビティで形成された光ディスク基板に中央穴を打ち抜くカットパンチ4と、その外周側に配置され、可動鏡面盤2との間から圧縮空気を吹き出すことにより、中央穴が打ち抜かれた光ディスク基板を型開き後に離型させる可動ブッシュ5を備えている。 そして、本発明1では、可動鏡面盤2と可動ブッシュ5が成形時に昇温されることによって熱膨張することを考慮し、常温(25℃前後)での、可動ブッシュ5のキャビティ側表面と可動鏡面盤2の表面との段差(図3のT)を、可動鏡面盤2の表面を基準として、一定範囲内に設定した。これにより、基板の離型性に影響を与えることなく、金型昇温状態(通常、105〜120℃程度)で成形される光ディスク基板の段差を5μm以下にすることができる。後述する実施例に示したように、印刷回数2回の場合、段差を約20μm以下、好ましくは約10μm以下とすれば、印刷不良枚数は殆どゼロになる。 【0008】 本発明2の成形用金型では、固定鏡面盤1の内周部に、キャビティ形成面にスタンパ7を装着するためのスタンパ保持用ホルダー8を設けた(図2参照)。これにより、スタンパを確実に保持することができる。 本発明3の成形用金型では、可動鏡面盤2に温度調節回路を設けて、光ディスク基板成形時の金型昇温状態において、可動鏡面盤2と可動ブッシュ5に熱膨張差を付けることができるようにした。これにより、温度調節の温度を変化させ、可動鏡面盤と可動ブッシュの熱膨張率の差を利用することにより、基板成形時の昇温状態で金型段差を最適な高さに調整することができる。 本発明4の成形用金型では、段差を−2μm〜+5μm以内に設定する。製造コストなどの点から、印刷回数は2回よりも1回の方が好ましいが、この範囲ならば、印刷回数が1回でも印刷不良枚数を抑えることが可能となる。 本発明5の成形用金型では、可動ブッシュ5の外周縁環状エッジ面に傾斜を持たせた。これにより、成形された光ディスク基板の段差を緩やかにすることができるので、光ディスク基板表面の印刷不良を一層減らすことができる。 本発明6は、本発明1〜5の何れかの成形用金型を用いた光ディスク基板の成形方法である。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、圧縮空気による光ディスク基板の離型性を悪化させること無く、光ディスク基板の印刷面に発生する段差を小さくすることができ、該段差により発生する印刷不良を減らすことが可能な成形用金型、及び該金型を用いた光ディスク基板の成形方法を提供できる。 【実施例】 【0010】 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 【0011】 実施例1 本発明の成形用金型を用いて、ポリカーボネート製の光ディスク基板を成形した。可動鏡面盤の温度は112℃に設定した。 図4に、光ディスク基板の段差と、略全面(φ18mm〜φ59.5mm)にスクリーン印刷を施した結果を示す。図4(a)は、常温(24℃)での金型段差、成形基板段差、T−D〔Max〕に関するデータ、及び各基板段差の成形基板に1回又は2回印刷を行った場合の、10枚中の印刷不良枚数である。図4(b)は、図4(a)の結果をグラフ化したものである。なお、金型段差は可動ブッシュのキャビティ側表面と可動鏡面盤の表面の段差であり、可動鏡面盤の表面を基準としている。また、T−D(Tangential Deviation)は、基板の離型性の目安となるパラメータである。 図4から、常温での金型段差と、昇温状態で成形された基板段差に明らかな差が生じており、熱膨張により金型段差が変化していることが分かる。 また、成形基板段差が小さくなるにつれて、印刷不良が少なくなっている。 また、成形基板段差を約20μm以下以下にし、印刷を二度行うことにより印刷不良をなくすことができる。しかし、印刷回数1回の場合には、金型段差を−2μm〜+5μmに設定する必要がある。このような範囲ならば、離型性を維持しつつ印刷に適した段差の低い基板を成形できる。 また、図2(b)から成形基板段差を2μmまで小さくしてもT−Dは悪化しないことが分かる。 【図面の簡単な説明】 【0012】 【図1】本発明の成形用金型の基本構成を示す図。 【図2】スタンパとスタンパホルダーを装着した状態を示す図。 【図3】段差Tの説明図。 【図4】実施例1の結果を示す図。(a)数値データ、(b)グラフ。 【符号の説明】 【0013】 1 固定金型の固定鏡面盤 2 可動金型の可動鏡面盤 3 固定金型側のスプルブッシュ 4 カットパンチ 5 可動ブッシュ 6 エジェクタ-ピン 7 スタンパ 8 スタンパ保持用のホルダー
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
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| 【出願日】 |
平成18年9月8日(2006.9.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094466 【弁理士】 【氏名又は名称】友松 英爾
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| 【公開番号】 |
特開2008−62577(P2008−62577A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月21日(2008.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−244787(P2006−244787) |
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