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【発明の名称】 ゴム成形装置
【発明者】 【氏名】宮嶋 淳士

【要約】 【課題】複数種類のゴムを同時に押し出して一体成形する複数のゴム層からなるゴム部材の外形やゴム層の境界面の精度を高め、ゴム部材の品質を向上させる。

【構成】ゴム成形装置の先端に設けた押出ヘッド30に複数種類のゴム51、52を供給し、インサート20のゴム流路21R、22Rを通して口金32に向かって導く。インサート20と口金32間のゴム合流部35に、インサート20から口金32に向かって延び、各ゴム流路21R、22Rの開口部21、22を通過したゴム51、52を互いに隔てる隔壁27を設ける。この隔壁27により、各ゴム51、52を口金32に向かって非接触状態で導いて移動させ、口金32側に近い位置で合流させて口金開口部32Bから同時に押し出し、複数のゴム層からなるゴム部材を一体に成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出ヘッドの口金から複数種類のゴムを同時に押し出して複数のゴム層からなるゴム部材を一体成形するゴム成形装置であって、
前記押出ヘッドは、前記複数種類のゴムのそれぞれを前記口金に向かって導く複数のゴム流路を有するインサートと、
該インサートから前記口金側に向かって延び、該インサートの複数のゴム流路を通過した前記ゴムを互いに隔てる隔壁とを備え、
該隔壁により前記複数種類のゴムを前記口金に向かって導いて前記口金側で合流させることを特徴とするゴム成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたゴム成形装置において、
前記隔壁の前記口金側の先端が、前記ゴム部材のゴム層の境界面の形状に対応する形状に形成され、かつ前記口金における前記ゴム部材のゴム層の境界面に対向する位置に配置されていることを特徴とするゴム成形装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたゴム成形装置において、
前記隔壁の厚さが、前記口金側に向かって次第に薄くなるように形成されていることを特徴とするゴム成形装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたゴム成形装置において、
前記隔壁が、前記インサートと一体に、又は着脱可能に構成されていることを特徴とするゴム成形装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたゴム成形装置において、
前記隔壁の前記口金側の先端が、前記口金の位置又は前記口金から5mm以下の距離に配置されていることを特徴とするゴム成形装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載されたゴム成形装置において、
前記隔壁の前記口金側の先端の厚さが、0.3mm以上1.5mm以下の厚さに形成されていることを特徴とするゴム成形装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のゴムを同時に押し出して複数のゴム層(ゴム断面領域)からなるゴム部材を一体成形するゴム成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム複合体、例えば空気入りタイヤは、一般に、スチールや有機繊維等のコードやゴム等からなる複数の部材により構成されるとともに、タイヤ各部のそれぞれに要求される性能に応じて、各部毎に異なる配合の複数種類のゴムが使用されている。例えば、路面と接するトレッドゴムには、タイヤ踏面側のキャップゴム、内周側のベースゴム、及び、それらの両側部に配置されるサイドゴム等、各部毎に異なる種類のゴムを配置して、使用環境や目的等に応じた各要求を満足させている。
【0003】
ところで、このような構造のトレッドゴムを備えたグリーンタイヤ(生タイヤ)を成型するときに、トレッドゴムを、各ゴム部材毎に成形してグリーンタイヤへ貼り付ける場合には、タイヤの構成部材数が増加して、ゴム部材の形成や貼り付け等に多大な手間と時間が必要となる。従って、このようなトレッドゴムは、予め一体化させて複層構造に形成するのが生産性向上の点で有利である。同様に、生産性の観点から、例えばサイドウォールゴムとゴムチェーファ等のような、グリーンタイヤに相隣接して配置されるゴム部材も、予め一体に成形して同時に貼り付け等を行うのが望ましい。
【0004】
そこで、従来、複数種類の未加硫ゴムを押出ヘッドから同時に押し出して、複数のゴム層からなるゴム部材を一体成形するゴム成形装置が提案されており、上記した各タイヤ構成部材等を代表として、種々のゴム部材の製造に使用されている(特許文献1参照)。
【0005】
図3は、この従来のゴム成形装置の押出ヘッドを模式的に示す要部拡大断面図である。
このゴム成形装置は、それぞれ異なる配合組成のゴムを供給する複数台のゴム押出機(図示せず)を備え、それら各押出機先端部のゴム吐出口を押出ヘッド30に接続している。押出ヘッド30は、図示のように、ゴムの押出先端部に、ダイホルダ31と、ダイホルダ31により着脱可能に固定・保持されたインサート20、及びインサート20に隣接して配置された口金32とを備えている。これら押出ヘッド30及びダイホルダ31には、押出機から供給される各ゴムをインサート20の背面(ゴムの押出方向後方側の面、図では右面)に導く複数(ここでは4本)のゴム流路41〜44が形成されている。
【0006】
また、インサート20には、前記ゴム流路41〜44を通って供給されるゴムのそれぞれを、口金32の所定位置に向かって導くための複数のゴム流路(図示せず)が形成されている。このインサート20の各ゴム流路を通過して押し出された各ゴムは、その各ゴム流路の口金32側の開口部形状に対応した断面形状に形成されて、インサート20と口金32間に設けられたゴム合流部(図示せず)で合流し、口金32の開口部32Bから同時に押し出されて一体化し、複数のゴム層からなるゴム部材が成形される。
【0007】
図4は、以上のようにして成形されるゴム部材の構造の一例を示す断面図であり、図5は、このゴム部材を成形するためのインサート20の要部を模式的に示す口金32側から見た正面図である。
なお、これら各図は、例えばタイヤのサイドウォールゴムとゴムチェーファとの複合ゴム部材のような、異形状かつ異容積の2種類のゴム51、52からなるゴム部材50を形成する場合の例である。
【0008】
このゴム部材50は、図4に示すように、断面略台形形状の第1ゴム51と、その傾斜した一方(図では左方)の側面(境界面53)に接合し、他方側(図では左側)に向かって延びて途中で厚さが変化する第2ゴム52とから構成されており、第2ゴム52に対して第1ゴム51の断面積(容積)が小さくなっている。このゴム部材50の構造(断面形状)に対応して、インサート20の口金32側の面には、図5に示すように、各ゴム51、52のそれぞれを導く前記各ゴム流路の開口部21、22が、所定位置に所定形状で形成されている。
【0009】
即ち、ゴム部材50内の各ゴム51、52の位置に対応して、インサート20の一方側(図では右側)に、第1ゴム51を押し出す第1開口部21が、他方側(図では左側)に、第2ゴム52を押し出す第2開口部22が、境界部(境界壁)23を挟んで隣接して形成されている。また、これら各開口部21、22は、ゴム部材50の断面における各ゴム51、52の占める断面積の割合、及び断面形状に応じて、第1開口部21は小さく、第2開口部22は横長形状に大きく、それぞれ形成されている。更に、このインサート20では、各開口部21、22間の境界部23を、ゴム部材50における各ゴム51、52の境界面53に対応した形状に形成しており、ここでは、境界面53と略同程度の角度で傾斜した直線状に形成している。
【0010】
ゴム成形装置は、このインサート20の各開口部21、22から、口金32(開口部32B)に向かって、必要な位置に必要な量のゴム51、52を供給し、口金32の開口部32Bから一体に押し出して所定形状のゴム部材50を連続して成形する。このとき、このゴム成形装置では、口金32に供給する各ゴム51、52を、インサート20の各開口部21、22から押し出して、それぞれ各開口部21、22と略同一の断面形状に形成する。また、開口部21、22間の境界部23により、各ゴム51、52の対向する面を、ゴム部材50の境界面(接合ライン)53に対応した形状(ここでは、傾斜面)に形成し、ゴム部材50の境界面53が所定形状及び所定位置になるようにしている。
【0011】
しかしながら、このような従来のゴム成形装置では、各ゴム51、52の粘度差や容積の違いによる膨張量差、及び各ゴム51、52を押し出す押出機の能力や押出量の過不足等に起因して、合流した各ゴム51、52間に圧力差が生じ、合流したゴム51、52の一方が他方に向かって流れる、いわゆるゴム流れが生じることがある。
【0012】
図6は、このゴム流れが生じた状態のゴム部材50を示す模式図であり、ここでは、第1ゴム51の圧力(図の矢印P1)が第2ゴム52の圧力(図の矢印P2)よりも高い場合の例を示す。
インサート20の各開口部21、22から出たゴム51、52は、上記したように、インサート20と口金32間のゴム合流部で合流して口金32から押し出されるが、その間に、図示のように、境界面53において、圧力の高い第1ゴム51が第2ゴム52を圧力差に応じた力で圧迫する。
【0013】
その結果、このゴム部材50では、第1ゴム51が第2ゴム52側に向かって流れ、境界面53が第2ゴム52側に向かって膨出して変位(図では、点線から太線に変位)する等、境界面53の位置や角度、及び形状等の精度が低下する傾向がある。また、この横方向のゴム流れに伴い、第1ゴム51の押出方向に向かうゴム量が少なくなって、第2ゴム52の押出方向速度(図の矢印V2)に対して第1ゴム51の押出方向速度(図のV1)が遅くなることもある。これにより、ゴム部材50が第1ゴム51側に向かって引っ張られるように変形し、押出方向(長手方向)に沿った湾曲(カール)が生じる恐れがある。以上のゴム流れ及び、それに伴う種々の現象は、ゴム合流部の長さ、即ち、インサート20(開口部21、22)と口金32間の距離に応じて大きくなる傾向がある。
【0014】
【特許文献1】特開2001−47494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、複数種類のゴムを同時に押し出して一体成形する複数のゴム層からなるゴム部材の外形やゴム層の境界面の精度を高め、ゴム部材の品質を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、押出ヘッドの口金から複数種類のゴムを同時に押し出して複数のゴム層からなるゴム部材を一体成形するゴム成形装置であって、前記押出ヘッドは、前記複数種類のゴムのそれぞれを前記口金に向かって導く複数のゴム流路を有するインサートと、該インサートから前記口金側に向かって延び、該インサートの複数のゴム流路を通過した前記ゴムを互いに隔てる隔壁とを備え、該隔壁により前記複数種類のゴムを前記口金に向かって導いて前記口金側で合流させることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたゴム成形装置において、前記隔壁の前記口金側の先端が、前記ゴム部材のゴム層の境界面の形状に対応する形状に形成され、かつ前記口金における前記ゴム部材のゴム層の境界面に対向する位置に配置されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載されたゴム成形装置において、前記隔壁の厚さが、前記口金側に向かって次第に薄くなるように形成されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載されたゴム成形装置において、前記隔壁が、前記インサートと一体に、又は着脱可能に構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載されたゴム成形装置において、前記隔壁の前記口金側の先端が、前記口金の位置又は前記口金から5mm以下の距離に配置されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載されたゴム成形装置において、前記隔壁の前記口金側の先端の厚さが、0.3mm以上1.5mm以下の厚さに形成されていることを特徴とする。
【0017】
(作用)
複数種類のゴムを、押出ヘッドのインサートに設けたゴム流路を通過させて口金に向かって導き、口金の開口部から同時に押し出して複数のゴム層からなるゴム部材を一体成形する。このとき、インサートのゴム流路を通過したゴムを、インサートから口金側に向かって延びる隔壁により、互いに隔てた状態で口金に向かって移動させ、より口金に近い位置で合流させる。これにより、各ゴム間の圧力差によるゴム間の境界面の変位、及び押出量低下による押出方向速度の低下等を抑制する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類のゴムを同時に押し出して一体成形した複数のゴム層からなるゴム部材の外形やゴム層の境界面の精度を高めることができ、ゴム部材の品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のゴム成形装置は、上記した従来のゴム成形装置と同様に、押出ヘッド30の口金32から複数種類のゴムを同時に押し出して複数のゴム層(ゴム断面領域)からなるゴム部材を一体成形する装置であり、図3に示す前記従来の押出ヘッド30と同様に、複数種類のゴムのそれぞれを所定の断面形状に形成して口金32に向かって導くインサート20を有する。
【0020】
即ち、このゴム成形装置の押出ヘッド30(図3参照)には、それぞれ異なる配合組成のゴムを混練して押し出す複数台のゴム押出機のゴム吐出口が接続されるとともに、ゴムの押出先端部に、ダイホルダ30と、ダイホルダ30により着脱可能に固定・保持されたインサート20、及びインサート20の開口部21、22(ゴム吐出口)側に配置された口金32とが設けられている。また、押出ヘッド30等には、押出機から供給される各ゴムを、インサート20の背面に導く複数のゴム流路が形成されている。
【0021】
なお、本実施形態では、上記した図4に示すゴム部材50、即ち、例えばタイヤのサイドウォールゴムとゴムチェーファとの複合ゴム部材等の、境界面53で接合された異形状かつ異容積の2種類の第1ゴム51及び第2ゴム52からなる複層構造のゴム部材50を成形する場合を例に採り説明する。
【0022】
図1は、本実施形態のゴム成形装置が備えるインサート20の要部を模式的に示す口金32側から見た正面図であり、図2は、図1のX方向から見たインサート20を含む押出ヘッド30の要部を示す模式図である。
このインサート20は、図1、2に示すように、押出ヘッド30等のゴム流路を通って供給されるゴム51、52のそれぞれを、口金32の所定位置に向かって導く複数(ここでは2本)のゴム流路21R、22Rを有し、その口金32側の面には、各ゴム流路21R、22Rの開口部21、22が、所定位置に所定形状で形成されている。なお、この各開口部21、22は、ゴム部材50の構造(図4参照)に対応して、境界部23を挟んで形成されている等、上記した図5に示すものと同様であり、既に説明したためここでは説明を省略する。
【0023】
しかしながら、本実施形態のゴム成形装置(押出ヘッド30)では、インサート20に、そこから口金32側(図2参照)に向かって延びる隔壁27を、両開口部21、22間の境界部23(図1参照)に沿って取り付けて付加している。この隔壁27は、インサート20の複数のゴム流路21R、22Rを通過して各開口部21、22から押し出された複数種類の各ゴム51、52を互いに隔てるためのものであり、それら各ゴム51、52を非接触状態で口金32に向かって導いて移動させ、口金32側で互いに合流させるようになっている。
【0024】
具体的には、このゴム成形装置では、図2に示すように、互いに所定の距離を隔てて配置されたインサート20と口金32とを、ダイホルダ31で固定・保持し、それらにより、インサート20から口金32に向かって移動するゴム51、52の合流部35を区画している。隔壁27は、このゴム合流部35を分断可能な形状に形成され、インサート20に取り付けられて、ゴム合流部35を、ゴム部材50を構成するゴムの種類(ここでは、第1ゴム51と第2ゴム52の2種類)に応じた数に分断する。ゴム成形装置は、この隔壁27により、ゴム合流部35をさらに区画して、各ゴム51、52の口金32側に向かう移動経路を形成するとともに、口金32側の部分を除いて連通不能にし、各ゴム51、52の接触を防止しつつ口金32に向かって隔壁27の先端27Aまで導いて移動させて、各ゴム51、52を口金32に近い位置で合流させるようになっている。
【0025】
また、この隔壁27は、少なくとも口金32側の先端27Aが、成形するゴム部材50(図4参照)のゴム層の境界面53の形状に対応する形状、例えば、その断面における角度や方向等に応じた形状に形成され、かつ口金32におけるゴム部材50の境界面53の位置に対向する位置に配置されている。ここでは、隔壁27は、全体がゴム部材50の境界面53の形状に対応した正面視直線形状(図1参照)に形成されて、境界面53と略同一角度及び方向になるようにインサート20の境界部23に沿って傾斜させて取り付けられている。加えて、この隔壁27は、インサート20側から口金32側に向かって先細り状(ここでは、厚さ方向断面が略三角形状)(図2参照)に、即ち、その厚さ(壁厚)が、口金32に向かって次第に薄くなるように形成されて、先端27Aが、口金32の開口部32Bにおけるゴム部材50の境界面53部分に沿って斜めに傾斜するよう、対向して配置されている。更に、隔壁27は、口金32側の先端27Aが、口金32から所定の距離(図2のW)(ここでは口金32の位置、又は口金32から5mm以下の距離)に配置されるとともに、その先端27Aの厚さが、所定の厚さ(ここでは、0.3mm以上1.5mm以下の厚さ)に形成されている。
【0026】
以上説明した本実施形態のゴム成形装置によりゴム部材50を成形するときには、まず、複数台(ここでは2台)の押出機から各ゴム51、52を押出ヘッド30に供給し、その各ゴム流路を通してインサート20のゴム流路21R、22Rまで導く。続いて、各ゴム51、52を、インサート20の各開口部21、22から押し出して、境界面53部分を含む所定の断面形状に形成する。次に、この各ゴム51、52を、隔壁27により口金32側に導いて隔壁27の先端27Aまで移動させ、その先端27Aを超えたところで合流させる。その後、合流したゴム51、52を、口金32の開口部32Bから同時に押し出して一体化し、2層のゴム51、52からなるゴム部材50を、所定の断面形状に連続して成形する。
【0027】
このとき、このゴム成形装置では、インサート20のゴム流路21R、22Rを通過したゴム51、52を、隔壁27により、互いに隔てた状態(非接触状態)で口金32に向かって導いて移動させるため、各ゴム51、52を、従来よりも口金32に近い位置で合流させることができる。その結果、合流後のゴム51、52が口金32(開口部32B)まで移動する距離を短くでき、上記した各ゴム51、52間の圧力差により生じる、低圧力側のゴムに向かうゴム流れ(図6参照)を抑制することができる。これにより、境界面53が低圧力側のゴムに向かって膨出等して変位するのを抑制でき、その位置や角度、及び形状等を、より正確に形成することができる。同時に、ゴム流れに伴う一方のゴムの押出量、及び押出方向速度の低下を抑制することもでき、ゴム部材50の長手方向に沿った湾曲を防止できる等、内部の境界面53に加えて、ゴム部材50の外形形状の変形を抑制することもできる。
【0028】
従って、本実施形態によれば、複数のゴム層からなるゴム部材50の外形やゴム層の境界面53の精度を高めることができ、ゴム部材50の品質を向上させることができる。また、このゴム成形装置では、隔壁27の先端27Aを、ゴム部材50の境界面53の形状に対応した形状に形成し、かつ口金32側で境界面53に対向する位置に配置するため、境界面53を構成する各ゴム51、52の面(ここでは、対向面)を、境界面53に対応した形状に形成して、口金32の適切な位置に向かって導くことができる。その結果、ゴム部材50内の境界面53の精度を効果的に向上させることができる。更に、隔壁27の厚さを、口金32側に向かって次第に薄くなるように形成したため、ゴム51、52の合流を緩やかに行うことができ、境界面53の移動等を防止して、ゴム部材50の断面形状をより正確に形成することもできる。
【0029】
ここで、隔壁27は、インサート20とは異なる部材として形成して、その所定位置に取り付ける等、インサート20と別体にして着脱可能に構成してもよく、インサート20の境界部23等を口金32側に向かって突出させて形成する等、インサート20と一体に構成してもよい。隔壁27をインサート20に対して着脱可能に構成した場合には、摩耗や損傷等が生じたときに、隔壁27のみを交換すればよく、新たな作製等に要するコストを低減できるとともに、ゴム部材50の境界面53の位置の変更や調整等に対して柔軟に対応することができる。また、既存のインサート20を改造等して使用することができ、実施に伴うコストや無駄等を低く抑えることもできる。一方、隔壁27をインサート20と一体に構成した場合には、隔壁27の取り付けや調整等に要する労力を低減できるとともに、その配置等をより正確に行うことができる。
【0030】
また、隔壁27の口金32側の先端27Aは、上記したゴム流れ等の抑制効果を高めるため、口金32からできるだけ近い位置に配置するのが望ましく、口金32の位置又は口金32から5mm以下の距離(即ち、0mm以上5mm以下の距離)に配置するのがより望ましい。隔壁27の先端27Aを口金32から5mmよりも遠い位置に配置した場合には、各ゴム51、52が隔壁27の先端27Aを超えて合流し口金32まで移動する間に、その圧力差等により比較的大きなゴム流れが生じる恐れがある。一方、0mmは、隔壁27の先端27Aを口金32に最も接近させ得る距離、即ち、それらが接触した状態である。
【0031】
更に、この隔壁27の先端27Aの厚さは、0.3mm以上1.5mm以下の厚さに形成するのが望ましい。これは、その厚さが0.3mmよりも薄い場合には、隔壁27の先端部が薄くなり過ぎて、ゴム51、52の圧力や接触等による損傷や摩耗等が生じ易くなる恐れがあり、1.5mmよりも厚い場合には、ゴム51、52の合流時の衝撃が大きくなり、その境界面53が移動等してゴム部材50の断面を含む形状の精度が低下等する恐れがあるからである。
【0032】
なお、本実施形態では、隔壁27を、正面視略直線状に、かつインサート20から口金32に向かって断面略三角形状に延びる形状に形成したが、インサート20の開口部21、22と口金32の開口部32Bとの相対位置、及び成形するゴム部材50やその境界面53の形状等に応じて、全体的に湾曲又は屈曲させる等、他の形状に形成してもよい。
【0033】
また、本実施形態では、2種類のゴム51、52からなるゴム部材50を形成する場合を例に採り説明したが、この隔壁27は、例えば上記したタイヤのトレッドゴム等の、2種以上のゴム(ゴム層)からなる他のゴム部材の成形にも当然に適用することができる。即ち、このゴム成形装置では、1つの隔壁27をインサート20に設けたが、成形するゴム部材50の構成ゴム数等に応じて、複数の隔壁をインサート20に設けてもよい。その際、複数の隔壁は、ゴム部材を構成する各ゴム同士を隔てるように形成して配置すればよく、従って、ゴム部材の境界面等に対応して、互いに接するように形成してもよく、又は、それらを一体に形成して、1つの隔壁により、複数のゴムを口金32に向かって非接触状態で導くようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態のゴム成形装置が備えるインサートの要部を模式的に示す口金側から見た正面図である。
【図2】図1のX方向から見たインサートを含む本実施形態の押出ヘッドの要部を示す模式図である。
【図3】従来のゴム成形装置の押出ヘッドを模式的に示す要部拡大断面図である。
【図4】複数のゴム層からなるゴム部材の構造の一例を示す断面図である。
【図5】図4に示すゴム部材を成形するための従来のインサートの要部を模式的に示す口金側から見た正面図である。
【図6】ゴム流れが生じた状態のゴム部材を示す模式図である。
【符号の説明】
【0035】
20・・・インサート、21・・・第1開口部、22・・・第2開口部、23・・・境界部、27・・・隔壁、30・・・押出ヘッド、31・・・ダイホルダ、32・・・口金、32B・・・開口部、35・・・ゴム合流部、50・・・ゴム部材、51・・・第1ゴム、52・・・第2ゴム、53・・・境界面。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司


【公開番号】 特開2008−62512(P2008−62512A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242937(P2006−242937)