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【発明の名称】 射出成形用金型及び射出成形装置
【発明者】 【氏名】都築 正紀

【氏名】米林 稔

【氏名】横田 誠

【要約】 【課題】射出装置のノズルと確実に絶縁された状態で接触せしめられ得るように構成した射出成形用金型を提供する。

【構成】導電性を備えたキャビティ形成部51を有する金型本体51と、かかる金型本体51と射出装置10のノズル18との間を絶縁する絶縁部64を有して、該金型本体51と該ノズル18の先端との間に、それらにそれぞれ接触して介装されるノズルタッチ部52とを含んで構成すると共に、該ノズル18から射出される電気絶縁性の溶融材料102を成形キャビティ84内に導く流路68,74,59,60を、該金型本体51と該ノズルタッチ部52とに対して、それらをそれぞれ貫通して延びるように形成して、構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性の溶融材料が、射出装置のノズルから、内部に形成された成形キャビティ内に射出、充填されることにより、不導体製品が成形されるように構成された射出成形用金型であって、
前記成形キャビティを形成する、導電性を備えたキャビティ形成部を有する金型本体と、
該金型本体と前記射出装置のノズルの先端との間に、それらにそれぞれ接触して介装されるノズルタッチ部と、
前記金型本体と前記射出装置のノズルとの間を電気的に絶縁する、前記ノズルタッチ部の少なくとも一部からなる絶縁部と、
前記ノズルタッチ部と前記金型本体とを貫通して、該金型本体の前記成形キャビティ内に連通するように形成されて、前記射出装置のノズルから射出される前記電気絶縁性の溶融材料を前記成形キャビティ内に導く流路と、
を含んで構成したことを特徴とする射出成形用金型。
【請求項2】
前記ノズルタッチ部が、前記絶縁部と、金属材料を用いて形成されたメタル部とを有し、且つ該絶縁部が、該ノズルタッチ部のうちの前記金型本体との接触面の全面を含む部分にて構成される一方、該メタル部が、該ノズルタッチ部のうちの前記ノズルとの接触面を含む部分にて構成されている請求項1に記載の射出成形用金型。
【請求項3】
型締装置と、該型締装置に取り付けられた射出成形用金型と、該射出成形用金型の内部に形成される成形キャビティ内に、電気絶縁性の溶融材料を射出する射出装置とを有して、所定の不導体製品を射出成形する装置であって、
前記射出成形用金型を、前記成形キャビティを形成する、導電性を備えたキャビティ形成部を有する金型本体と、該金型本体と前記射出装置のノズルの先端との間に、それらにそれぞれ接触して介装されるノズルタッチ部と、該金型本体と該射出装置のノズルとの間を電気的に絶縁する、該ノズルタッチ部の少なくとも一部からなる絶縁部とを含んで構成し、そして、かかる射出成形用金型を、前記型締装置に対して、それら射出成形用金型と型締装置との間を電気的に絶縁する絶縁手段を介して取り付ける一方、
該射出成形用金型の少なくとも前記キャビティ形成部に対して、前記不導体製品の表面電位を制御するための電荷を印可する電荷印加手段を電気的に接続して、該不導体製品の成形時に該キャビティ形成部との間で生ずる帯電現象により該不導体製品において発生せしめられる静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とを有する電荷を、該電荷印加手段から該射出成形用金型の少なくとも前記キャビティ形成部に印加し得るように構成したことを特徴とする射出成形装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形用金型及び射出成形装置に係り、特に、不導体製品の成形に際して、不導体製品の表面電位を所望の値に制御し得る制御装置が好適に組み付けられ得る射出成形用金型と、成形される不導体製品の表面電位の制御機能を備えた射出成形装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂材料やゴム材料等の不導体(絶縁体)材料からなる、所謂不導体製品(以下からは、これら不導体材料からなる製品を不導体製品という)を射出成形する場合には、型締装置と、それに取り付けられた射出成形用金型と、この射出成形用金型の内部に形成される成形キャビティ内に、電気絶縁性の溶融材料を射出する射出装置とを有する射出成形装置(射出成形機)が、用いられる。そして、よく知られているように、このような射出成形装置を用いて、目的とする不導体製品を成形する際には、射出成形用金型の不導体製品との接触部分、換言すれば、射出成形用金型における成形キャビティを形成するキャビティ形成部と、不導体製品との間で、接触帯電や摩擦帯電、剥離帯電、転がり帯電、衝突帯電等の各種の帯電現象が惹起されて、成形された不導体製品に、静電気が不可避的に発生する。
【0003】
例えば、不導体製品の一種たる樹脂製品を射出成形する際には、射出装置から射出された溶融樹脂材料が、射出成形用金型の成形キャビティ内に充填され、そこで冷却固化されることで、目的とする樹脂製品が成形されるようになるが、その際に、冷却固化された樹脂製品と射出成形用金型のキャビティ面との間で接触帯電が生じ、また、かかる樹脂製品を離型するときには、キャビティ面との間で剥離帯電が惹起される。その結果、例えば、射出成形用金型や溶融樹脂材料が、何れも汎用的な材料からなる場合には、成形された樹脂製品において、製品の表面積、加工時間等により様々な電位が生じ、製品によっては−20kV以上もの高電圧の静電気が発生せしめられるようになるのである。
【0004】
そして、このような射出成形時に、射出成形用金型と樹脂製品との間で生ずる帯電現象により樹脂製品において発生する静電気は、樹脂製品の表面に埃等の異物を引き寄せるため、例えば塗装等の表面処理の実施時における不具合の発生原因となっており、また、それ以外にも、樹脂製品の金型からの離型ミスやパーツフィーダの詰まり、或いは検査機や測定器の誤作動を惹起させる等、様々な不良品や工程トラブルの発生の要因ともなっている。
【0005】
そこで、従来では、そのような樹脂製品等の不導体製品の成形後に、かかる不導体製品の静電気を除去乃至は低減させて、不導体製品の表面電位が可及的にゼロとなるように、換言すれば、不導体製品の表面の帯電が防止されるように、不導体製品の表面電位を制御するための余分な工程を行わなければならず、それが、目的とする不導体製品の製作性の低下を招いていた。しかも、そのような除電による不導体製品の表面電位の制御作業は、一般に、イオナイザー(静電気除去装置)を用いて、イオンエアーを不導体製品の表面に照射することによって実施される(例えば、下記特許文献1参照)ところから、不導体製品の表面に存在する電荷だけでなく、内部から表面に浮上する電荷を除去するために、長時間の作業が必要となり、また、不導体製品の形状や作業環境によっては、不導体製品に対するイオンエアーの照射ムラが生じ、それによって、均一な除電が困難となる場合さえもあった。そして、何よりも、このイオナイザーを用いた除電は、金型成形加工により静電気が発生した不導体製品に対する後処理によって実施されるものであるため、そのような静電気による様々な不具合の発生を未然に防止することが不可能であったのである。
【0006】
なお、公知の加湿処理や帯電防止剤処理等を実施することにより、射出成形時における不導体製品での静電気の発生を防止して、かかる不導体製品の表面電位を制御する(表面の帯電を防止する)ことも考えられる。しかしながら、前者の処理では、不導体製品の射出成形が高温下で行われるものであるため、十分な効果を得ることが期待出来ず、また、後者の処理は、通常、界面活性剤を使用するために、射出成形された不導体製品の後工程で、かかる界面活性剤によって不具合が生ずる懸念があった。
【0007】
他方、例えば、先ず、中間成形品を射出成形し、その後、この中間成形品に対する二次加工を行って、不導体製品を得る場合、つまり、目的とする不導体製品を複数段階に分けて成形し、加工する際には、途中で得られる中間成形品と最終的に得られる不導体製品の何れにおいても、それぞれ静電気が発生せしめられるようになるところから、最終的に得られる不導体製品表面の静電気による帯電を防止する上で、中間成形品の表面を正又は負に帯電させることが有効な場合もある。即ち、例えば、目的とする不導体製品を二段階に分けて成形加工するに際して、射出成形された中間成形品の表面を、二次加工の際に生ずる静電気とは逆極性に帯電させておくことで、場合によっては、最終的に得られる不導体製品の表面電位をゼロ乃至はそれに近似した値に容易に且つ効率的に制御することが出来るのである。
【0008】
ところが、上記せる如きイオナイザーを用いた除電処理や加湿処理、帯電防止剤処理等によって不導体製品の表面電位を制御する場合、不導体製品の表面電位をゼロ又はそれに近似の値以外の所望の値に制御することは極めて困難であり、ましてや、かかる表面電位を、不導体製品の成形時に生ずる静電気とは逆極性の値と為すことは、到底、不可能であったのである。
【0009】
かかる状況下、本願出願人は、先に、特願2006−155641において、成形金型を含む各種の成形具や加工具(以下、総称して成形加工具と言う)を用いて成形乃至は加工される不導体製品の表面電位を、その成形加工時において所望の値に制御し得る制御装置を提案した。この制御装置は、所望の不導体製品を成形する成形加工具における不導体製品との接触部分の電気的な接地を阻止する絶縁手段と、かかる成形加工具における少なくとも接触部分に対して、不導体製品の表面電位を制御するための電荷を、該接触部分との間に発生する帯電現象により不導体製品において生ぜしめられる静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とにおいて印加する電荷印加手段とを含んで構成されている。
【0010】
このような制御装置を用いれば、不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具における少なくとも不導体製品との接触部分に対して、静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とを有する電荷を印加し、かかる接触部分を蓄電させることが出来、それによって、そのような成形加工具を用いて成形加工される不導体製品の表面を、成形加工具の接触部分とは逆の極性において、それと同一の電圧で蓄電させることが出来るようになる。その結果、不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具の接触部分に対して、静電気と同一の極性やそれとは逆の極性の電荷を、静電気の電圧に基づく適切な電圧において印加するだけで、静電気発生後の不導体製品の表面電位を、不導体製品の品質、性能等の低下等を何等招くことなく、所望の値となるように確実に制御することが可能となるのである。
【0011】
そして、かくの如き優れた特徴を発揮する、不導体製品における表面電位の制御装置は、上述の如く、成形される不導体製品(樹脂製品)とキャビティ面との間で様々な帯電現象が発生する射出成形用金型にも容易に組み付けられて、かかる金型内で成形される不導体製品の表面電位を制御することも出来るのであるが、射出成形用金型に接触位置せしめられる射出装置のノズルが導電性材料にて形成されていると、制御装置の電圧印加手段から射出成形用金型に印加された電荷が、かかるノズルを通じて射出装置に流れ込むようになり、それによって、射出成形用金型の蓄電が妨げられたり、射出装置の作動に悪影響を及ぼしたりするといった問題が惹起されこととなるのである。
【0012】
【特許文献1】特開2002−46147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、射出装置のノズルとの絶縁状態が有利に確保され得、以て、射出成形される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置が組み付けられたときに、かかる制御装置による不導体製品の表面電位の制御性能が安定して発揮され得るように改良された射出成形用金型と、射出成形される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置を有し、かかる制御装置による制御性能が、より安定的に発揮され得るようにした射出成形装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、本発明にあっては、射出成形用金型に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、電気絶縁性の溶融材料が、射出装置のノズルから、内部に形成された成形キャビティ内に射出、充填されることにより、不導体製品が成形されるように構成された射出成形用金型であって、(a)前記成形キャビティを形成する、導電性を備えたキャビティ形成部を有する金型本体と、(b)該金型本体と前記射出装置のノズルの先端との間に、それらにそれぞれ接触して介装されるノズルタッチ部と、(c)前記金型本体と前記射出装置のノズルとの間を電気的に絶縁する、前記ノズルタッチ部の少なくとも一部からなる絶縁部と、(d)前記ノズルタッチ部と前記金型本体とを貫通して、該金型本体の前記成形キャビティ内に連通するように形成されて、前記射出装置のノズルから射出される前記電気絶縁性の溶融材料を前記成形キャビティ内に導く流路とを含んで構成したことを特徴とする射出成形用金型にある。
【0015】
なお、そのような本発明に従う射出成形用金型の好ましい態様の一つによれば、前記ノズルタッチ部が、前記絶縁部と、金属材料を用いて形成されたメタル部とを有し、且つ該絶縁部が、該ノズルタッチ部のうちの前記金型本体との接触面の全面を含む部分にて構成される一方、該メタル部が、該ノズルタッチ部のうちの前記ノズルとの接触面を含む部分にて構成される。
【0016】
そしてまた、本発明においては、前記せる射出成形装置に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、型締装置と、該型締装置に取り付けられた射出成形用金型と、該射出成形用金型の内部に形成される成形キャビティ内に、電気絶縁性の溶融材料を射出する射出装置とを有して、所定の不導体製品を射出成形する装置であって、前記射出成形用金型を、前記成形キャビティを形成する、導電性を備えたキャビティ形成部を有する金型本体と、該金型本体と前記射出装置のノズルの先端との間に、それらにそれぞれ接触して介装されるノズルタッチ部と、該金型本体と該射出装置のノズルとの間を電気的に絶縁する、該ノズルタッチ部の少なくとも一部からなる絶縁部とを含んで構成し、そして、かかる射出成形用金型を、前記型締装置に対して、それら射出成形用金型と型締装置との間を電気的に絶縁する絶縁手段を介して取り付ける一方、該射出成形用金型の少なくとも前記キャビティ形成部に対して、前記不導体製品の表面電位を制御するための電荷を印可する電荷印加手段を電気的に接続して、該不導体製品の成形時に該キャビティ形成部との間で生ずる帯電現象により該不導体製品において発生せしめられる静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とを有する電荷を、該電荷印加手段から該射出成形用金型の少なくとも前記キャビティ形成部に印加し得るように構成したことを特徴とする射出成形装置にある。
【0017】
また、本発明に従う射出成形装置の望ましい態様の一つによれば、前記ノズルタッチ部が、前記絶縁部と、金属材料を用いて形成されたメタル部とを有し、且つ該絶縁部が、該ノズルタッチ部のうちの前記金型本体との接触面の全面を含む部分にて構成される一方、該メタル部が、該ノズルタッチ部のうちの前記ノズルとの接触面を含む部分にて構成される。
【0018】
なお、本発明は、前記した課題又は明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、上記に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、上記に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、上記に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【発明の効果】
【0019】
すなわち、本発明に従う射出成形用金型にあっては、射出成形される不導体製品の接触部分たるキャビティ形成部と射出装置のノズルとの間に、絶縁部を有するノズルタッチ部が介在せしめられていることにより、それらキャビティ形成部と射出装置のノズルとの間が、確実に絶縁され得るようになる。
【0020】
それ故、かかる射出成形用金型においては、射出成形される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置が組み付けられ、かかる制御装置により、キャビティ形成部に対して所定の電荷が印加されたときに、そのような電荷が、キャビティ形成部からノズルを通じて射出装置に流れ込んで、射出成形用金型の蓄電が妨げられたり、或いは流れ込んだ電荷により、射出装置の作動に悪影響を及ぼしたり、更には射出装置を操作する作業者の作業を阻害したりするようなことが、効果的に解消され得る。
【0021】
従って、かくの如き本発明に従う射出成形用金型にあっては、射出成形される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置が組み付けられたときに、かかる制御装置による不導体製品の表面電位の制御性能が、極めて安定的に発揮され得ることとなるのである。
【0022】
また、本発明に従う射出成形装置にあっては、前述せる如き、射出成形される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置が、上記した特徴的な射出成形用金型に組み付けられて構成されているため、表面電位が所望の値に制御され、それによって、静電気による帯電が原因で成形時等において生じていた様々なトラブルや不具合が有利に解消され得ることとなった不導体製品が、極めて確実に且つ安定的に成形され得るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0024】
先ず、図1には、本発明に従う射出成形用金型を有する、表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置の一実施形態たる樹脂製品の射出成形装置(射出成形機)が、その要部において、概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の射出成形装置は、射出装置10と型締装置12と射出成形用金型14とを有して、構成されている。そして、ここでは、射出成形用金型14が、射出装置10や型締装置12と絶縁状態となるように、型締装置12に取り付けられた上で、射出成形される樹脂製品の表面電位を所望の値に制御する機能が発揮され得るようになっている。
【0025】
より詳細には、射出装置10は、加熱筒16内において、所定の樹脂材料を、図示しないスクリュにて混練しつつ、加熱溶融せしめる従来と同様な構造を有し、この加熱筒16内で溶融された樹脂材料が、加熱筒16に先端に取り付けられた金属製のノズル18から射出されるようになっている。
【0026】
また、型締装置12も、従来装置と同様に、所定長さを有する複数のタイバー20の先端部に固定された、取付板としての固定板22と、この固定板22に対して、所定距離を隔てて対向し、且つその対向方向に移動可能な状態で、複数のタイバー20に支持された、取付板としての可動板24とを有している。更に、可動板24の背面側(固定板22との対向側とは反対側)には、図示しない油圧シリンダが設置され、この油圧シリンダの作動によって突出/引込移動せしめられるラム26の先端が、可動板24の背面に取り付けられている。これにより、油圧シリンダの作動に基づくラム26の突出/引込移動に伴って、可動板24が、固定板22に対して接近/離隔移動せしめられるようになっている。
【0027】
また、射出成形用金型14は、可動型28と固定型30の2個の分割金型からなり、上記せる構造を有する型締装置12の可動板24と固定板22との間に位置せしめられている。そして、可動型28と固定型30とが、可動板24と固定板22とに対して、それぞれ、絶縁状態で、位置固定に取り付けられている。
【0028】
つまり、可動型28は、可動型本体(金型本体)32と可動側基板34とスペーサブロック36とを、更に有して、構成されている。可動型本体32は、全体として、矩形平板状乃至は矩形ブロック状を呈し、固定型30と対向配置されている。また、この可動型本体32の固定型30との対向面には、目的とする樹脂製品の外形形状に対応した内面形状をもって、固定型30側に向かって開口するキャビティ形成凹所38が形成されている。
【0029】
可動側基板34は、可動型本体32よりも一周り大きな矩形平板形状を呈し、可動型本体32を固定型30との間に挟んだ可動板24側に、可動型本体32と離間位置せしめられている。スペーサブロック36は、可動型本体32と同程度の大きさと低い高さとを有する角筒形状を呈し、可動型本体32と可動側基板34との間に介在せしめられて、それらを一体的に連結して、配置されている。また、可動側基板34は、スペーサブロック36と同程度の大きさを有する可動型本体32よりも一周り大なる大きさとされていることで、外周部を、その全周に亘って、スペーサブロック36の可動側基板34との連結面から側方にはみ出させた状態で、位置せしめられている。
【0030】
そして、ここでは、このような可動型28の可動側基板34が、それよりも更に一周り大きな厚肉平板形状を呈する絶縁手段としての第一の絶縁板40を間に挟んで、型締装置12の可動板24に対して非接触状態で重ね合わされて、配置されている。また、かかる配置状態下において、可動側基板34のスペーサブロック36からはみ出した外周部分の複数個所にそれぞれ挿通された、セラミックボルト等の絶縁材料からなる固定ボルト39にて、可動板24にそれぞれ固定されており、以て、可動型28の全体が、可動板24に対して、絶縁状態で、位置固定に取り付けられているのである。
【0031】
なお、ここで用いられる第一の絶縁板40は、絶縁材料からなるものであれば、その材質が特に限定されるものではなく、例えば、全体が、アルミナ等のセラミックス材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等の樹脂材料、ガラス材料からなる板材、又はそれらセラミックス材料、樹脂材料、ガラス材料にて表面が被覆されてなる板材、或いは無機・有機ガラスクロス積層板等が、第一の絶縁板40として、用いられ得る。
【0032】
また、かくして可動板24に取り付けられた可動型28には、公知の突出し機構が、組み付けられている。この突出し機構は、可動型28における角筒状のスペーサブロック36の内孔内に、その軸方向、つまり可動型本体32側方向と可動側基板34側方向の両方向に移動可能に配置された、矩形平板状のエジェクタプレート41を、有している。また、このエジェクタプレート41における可動型本体32側の面上には、複数のエジェクタピン42が一体的に立設されている。そして、それら各エジェクタピン42は、可動型本体32における可動板24との対向面とキャビティ形成凹所38の底面とにおいてそれぞれ開口して、可動型28と固定型30との対向方向に真っ直ぐに延びるように形成された複数のピン挿通孔44内に挿通されている。
【0033】
また、エジェクタプレート41における可動側基板34側の面には、エジェクタロッド46が、その先端部において固定されている。このエジェクタロッド46は、可動側基板34と絶縁板40と可動板24のそれぞれの中心部に設けられた中心孔47,48,49を通じて、可動板24の背面側に延出せしめられ、更に、かかる可動板24の背面に取り付けられたラム26の内部に突入せしめられている。そして、かかるエジェクロッド46にあっては、ラム26を突出/引込移動せしめる、図示しない油圧シリンダの作動に基づいて、ラム26と一体に突出/引込移動せしめられ、また、ラム26に内臓された、図示しない油圧シリンダの作動に基づいて、ラム26に対して相対的に突出/引込移動せしめられるようになっている。そして、このようなエジェクタロッド46の突出/引込移動に伴って、エジェクタプレート41と各エジェクタピン42とが一体移動せしめられるようになっているのである。
【0034】
また、ここでは、エジェクタロッド46とエジェクタプレート41との間に、第二の絶縁板50が、それらの間に介在せしめられた状態で、接着等により取り付けられている。これによって、エジェクタプレート41やエジェクタピン42が、エジェクタロッド46に対して電気的に絶縁されており、以て、それらエジェクタプレート41やエジェクタピン42が可動型28に接触せしめられた状態でも、可動型28の可動板24に対する絶縁状態(電気的な非接地状態)が確保されるようになっている。なお、かかる第二の絶縁板50も、第一の絶縁板40と同様に、絶縁材料からなるものであれば、その材質が特に限定されるものではない。従って、そのような第二の絶縁板50は、第一の絶縁板40の形成材料と同様な材料を用いて構成され得る。また、可動型28の絶縁状態を、より有利に確保するには、エジェクタプレート41やエジェクタピン42の全表面に、例えばフッ素樹脂等の絶縁材料をコーティングすることも、有効である。
【0035】
一方、固定型30は、固定型本体(金型本体)51とノズルタッチ部52とを有して、構成されている。そして、固定型本体51は、全体として、矩形ブロック形状を呈し、可動型28の可動型本体32と対向配置されている。また、かかる固定型本体51においては、可動型本体32との対向面(型合せ面)が、後述する如き型締装置12の型締作動により、可動型本体32の固定型30との対向面に当接して、可動型本体32のキャビティ形成凹所38を覆蓋する平滑なキャビティ形成面54とされている。更に、固定型本体51の外周面には、キャビティ形成面54側とは反対側の端部において、所定高さ突出し且つ全周に亘って周方向に連続して延びる、比較的に厚肉の矩形板枠状の外フランジ部56が、一体形成されている。この外フランジ部56は、厚さ方向の一方の面が、固定型本体51のキャビティ形成面54とは反対側の面と面一となるように構成されている。
【0036】
また、かかる固定型本体51の中心部には、スプルブッシュ58が、キャビティ形成面54とは反対側の面において開口するように埋め込まれて、ボルト固定されており、更に、このスプルブッシュ58の内孔59に連通するスプル60が、キャビティ形成面54において開口するように、中心部を貫通して、形成されている。
【0037】
一方、ノズルタッチ部52は、図1及び図2からも明らかなように、全体として、固定型本体51よりも十分に小さく且つスプルブッシュ58よりも大なる大きさの厚肉平板形状を呈し、金属材料からなるメタル部62と絶縁材料からなる絶縁部64とを、更に有して、構成されている。
【0038】
このノズルタッチ部52のメタル部62は、ノズルタッチ部52の厚さ方向一方側の面の中心部分を形成する大きさを備えた所定厚さの矩形平板からなり、固定型本体51の形成材料と同一の金属材料を用いて形成されている。また、かかるメタル部62における厚さ方向一方側の面の中心部には、射出装置10のノズル18の先端が接触するタッチ面66が、ノズル18の先端面に対応した凹状湾曲面を有して形成されている。更に、メタル部62の中心部には、タッチ面66と、タッチ面66形成側とは反対側の面とにおいてそれぞれ開口して、該中心部を貫通して延びるメタル部側貫通孔68が、設けられている。
【0039】
また、絶縁部64は、公知の絶縁材料からなり、例えば、第一及び第二の絶縁板40,50の形成材料と同様な絶縁材料を用いて形成されている。そして、この絶縁部64にあっては、メタル部62よりも一周り大きな厚肉矩形平板形状を有し、厚さ方向一方側の面の中心部に、メタル部62が嵌入可能な大きさの矩形凹所70が設けられており、また、この矩形凹所70の形成側とは反対側の面が、後述するように、固定型本体51への組付状態下で、固定型本体51に接触する接触面72とされている。更に、絶縁部64の中心部には、かかる接触面72と矩形凹所70の底面とにおいてそれぞれ開口して、該中心部を貫通して延びる絶縁部側貫通孔74が、設けられている。
【0040】
そして、このような絶縁部64の矩形凹所70内に、メタル部62が、メタル部側貫通孔68を、絶縁部側貫通孔74に連通させ、且つタッチ面66を、矩形凹所70の開口部において外部に露呈させた状態で、嵌入位置せしめられて、ボルト固定されている。これによって、ノズルタッチ部52が、メタル部62と、このメタル部62のうちのタッチ面66の形成面を除く外周面と端面の全面に接触して、メタル部62の周りを取り囲むように配置された絶縁部64とが一体的に組み付けられてなる組付品として、構成されている。換言すれば、ここでは、ノズルタッチ部52のうち、後述するように固定型本体51と接触する接触面72の全面を含む厚さ方向一方側部分と全外周部とが、絶縁材料からなる絶縁部64とされている一方、射出装置10のノズル18と接触するタッチ面66を含む厚さ方向他方側部分の中心部が、絶縁部64よりも耐衝撃性に優れた金属材料からなるメタル部62とされているのである。
【0041】
そしてまた、そのような構成を有するノズルタッチ部52が、固定型本体51におけるキャビティ形成面54とは反対側の面の中心部に、絶縁部64の接触面72の全面を接触させ、且つ互いに連通せしめられた絶縁部側貫通孔74とメタル部側貫通孔68とを、固定型本体51に取り付けられたスプルブッシュ58の内孔59に連通させた状態で配置され、更に、かかる配置状態下で、絶縁部64に挿通されたセラミックボルト等の絶縁材料からなる複数の固定ボルト76にて、固定型本体51に位置固定に取り付けられている。
【0042】
また、ここでは、かくしてノズルタッチ部52が取り付けられてなる固定型本体51が、キャビティ形成面54側とは反対側の全面において、それよりも一周り大きな厚肉平板形状を呈する絶縁手段としての第三の絶縁板78を間に挟んで、型締装置12の固定板22に対して非接触状態で重ね合わされて、配置されている。なお、この第三の絶縁板78の中心部には、それを貫通する矩形の挿入孔80が設けられており、かかる挿入孔80内に、ノズルタッチ部52が挿入配置されている。また、かかる第三の絶縁板は、公知の絶縁材料からなり、例えば、第一及び第二の絶縁板40,50の形成材料と同様な絶縁材料を用いて形成されている。
【0043】
そして、このような第三の絶縁板78を介しての固定型本体51と固定板22との重合せ状態下で、固定型本体51の前記外フランジ部56に挿通されたセラミックボルト等の絶縁材料からなる複数の固定ボルト39にて、固定型本体51が、固定板22に固定されており、以て、固定型30の全体が、固定板22対して、絶縁状態で、位置固定に取り付けられている。
【0044】
また、かかる固定型30の固定板22への取付状態下で、固定板22の挿通孔82内に挿通位置せしめられた射出装置10のノズル18の先端が、固定型30のノズルタッチ部52におけるメタル部62のタッチ面66に接触位置せしめられている。これによって、射出装置10のノズル18と固定型本体51との間が絶縁された状態で、ノズル18から射出される溶融樹脂材料が、ノズルタッチ部52のメタル部側及び絶縁部側貫通孔68,74内とスプルーブッシュ58の内孔59と固定型本体51のスプル60内を流動せしめられるようになっている。
【0045】
かくして、本実施形態の射出成形装置においては、型締装置12における可動板24の固定板22に対する接近/離隔移動に伴って、可動型28が固定型30に対して接近/離隔移動せしめられて、それら可動型28と固定型30との型閉め/型開きや圧締めが行われるようになっている。そして、可動型28と固定型30とが型閉めされて、可動型28の可動型本体32におけるキャビティ形成凹所38の開口部が、固定型30の固定型本体51におけるキャビティ形成面54にて覆蓋されることによって、それら可動型28の可動型本体32と固定型30の固定型本体51との型合せ面間に、目的とする樹脂製品に対応した形状を有する成形キャビティ(84)が形成されるように構成されている(図3参照)。
【0046】
また、そのような可動型28と固定型30との型合せ状態下において、固定型30(固定型本体51)のスプル60が、成形キャビティ(84)内に開口せしめられ、それによって、射出装置10のノズル18から射出される溶融樹脂材料が、ノズルタッチ部52の各貫通孔68,74とスプルブッシュ58の内孔59とスプル60とを通じて、成形キャビティ(84)内に導入されて、充填されるようになっている。そして、この成形キャビティ(84)内に充填された溶融樹脂材料が冷却固化されることで、目的とする樹脂製品が成形されるようになっているのである(図4及び図5参照)。このことから明らかなように、本実施形態では、可動型28の可動型本体32と固定型30の固定型本体51とにて、キャビティ形成部が、それぞれ構成されている。また、ノズルタッチ部52のメタル部側及び絶縁部側貫通孔68,74とスプルブッシュ58の内孔59とスプル60とにて、電気絶縁性の溶融材料を成形キャビティ84内に導く流路が構成されている。
【0047】
そして、本実施形態では、上述の如くして型締装置12の可動板24と電気的に絶縁された可動型28に対して、成形加工される樹脂製品において生ずる静電気と同一極性の負の電荷を印加する電荷印加手段としての高圧電源装置88が、電気的に接続されている。つまり、この高圧電源装置88は、例えば1〜30kV程度の高電圧の負の電荷を供給し得る公知の構造を有している。また、この高圧電源装置88から延びるリード線90の先端部には、例えば圧着端子等(図示せず)が取り付けられている。そして、このリード線90の先端に取り付けられた圧着端子が、可動型28の可動型本体32の側面等に螺入されたボルト等にて、可動型本体32に取り付けられることで、高圧電源装置88と可動型28とが、電気的に接続されている。なお、高圧電源装置88は、アース線92にて接地されている。
【0048】
また、かかる高圧電源装置88は、その作動を制御する制御手段としてのコントローラ94に対しても、電気的に接続されている。更に、このコントローラ94は、可動型28と固定型30との型閉め状態と前記せる如き完全な型開き状態とを検出する、可動板24や固定板22等に取り付けられた、例えばリミットスイッチ等のセンサ素子(図示せず)に対して、電気的に接続されている。そして、かかるコントローラ94にあっては、リミットスイッチ等のセンサ素子にて、可動型28と固定型30とが型閉め状態となったことが検出されたときに、高圧電源装置88を作動させる一方、かかる型閉め状態から、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となったこと、つまり、可動型28と固定型30とが予め設定された型開き位置まで移動し、且つ成形された樹脂製品がエジェクタピン42にてキャビティ形成凹所38内から外部に突き出されたことが検出されたときに、高圧電源装置88を停止させるように、高圧電源装置88の作動/停止を制御し得るようになっている。また、コントローラ94には、変更手段としての操作摘み96が設けられており、この操作摘み96が摘まれて回転操作されることで、高圧電源装置88から供給される負電荷の電圧が、任意の値に予め設定され、或いはその設定値が変更乃至は調節され得るようになっている。
【0049】
これによって、ここでは、可動型28と固定型30とが型閉め状態となったときに、高圧電源装置88から可動型28の可動型本体32に対して、負の電荷が、操作摘み96に対する回転操作により予め設定された電圧において、自動的に印加(供給)されるようになっている。また、可動型28と固定型30との型閉め状態から、それら可動型28と固定型30とが型開きされ、更には樹脂製品が離型せしめられたときには、高圧電源装置88から可動型28の可動型本体32への負電荷の印加が、自動的に停止されるようになっている。
【0050】
そして、上記せるように、可動型28は、第一の絶縁板40やエジェクタロッド46の先端に設けられた第二の絶縁板50にて、型締装置12(可動板24)や突出し機構等に対して、常に絶縁状態とされており、更に、固定型30のうち、ノズルタッチ部52を除く固定型本体51も、第三の絶縁板78にて、型締装置12に対して、常時、絶縁状態とされている。従って、可動型28と固定型30との型閉め状態下で、高圧電源装置88から可動型本体32に負電荷が、所望の電圧において自動的に印加されることで、可動型28の全体と固定型30の固定型本体51とが、可動型本体32に印加される負電荷の電圧と同一の電圧において、自動的に、負に蓄電せしめられるようになっている。
【0051】
なお、このとき、射出装置10のノズル18は、固定型30のノズルタッチ部52のメタル部62に接触位置せしめられているものの、このメタル部62と固定型本体51との間には、絶縁部64が介在せしめられて、固定型本体51とメタル部62やノズル18との間が絶縁されているため、固定型本体51に蓄電された電荷が、金属製のノズル18に流れ込んで、固定型本体51から放出されることはない。
【0052】
また、可動型28の可動型本体32と固定型30の固定型本体51とには、それらを電気的に接地するための、アース手段としてのアース線98が、高圧電源装置88のリード線90と同様な状態で、それぞれ接続されている。更に、それら各アース線98の途中には、アース線98を導通状態と非導通状態とに切り換える、切換手段としてのスイッチ100が、各々設けられている。そして、それら各スイッチ100は、前記コントローラ94にも電気的に接続されて、このコントローラ94により、高圧電源装置88の作動/停止(高圧電源装置88から可動型本体32への負電荷の供給の開始/停止)に基づいて自動制御されるようになっている。
【0053】
つまり、ここでは、可動型28と固定型30とが型閉め状態となって、コントローラ94により、高圧電源装置88から可動型本体32への負電荷の供給が開始されると同時に、各スイッチ100が開作動せしめられて、各アース線98が非導通状態とされ、以て、可動型28と固定型30とが、自動的に絶縁状態とされるようになっている。また、可動型28と固定型30とが型開きされると共に、樹脂製品が離型せしめられて、コントローラ94により、高圧電源装置88から可動型本体32への負電荷の供給が停止せしめられると同時に、各スイッチ100が閉作動せしめられて、各アース線98が導通状態とされ、以て、可動型28と固定型30とが、自動的にアースされるようになっている。そして、このような各スイッチ100の閉作動による可動型28と固定型30のアースにより、それら可動型28と固定型30に蓄電せしめられた電荷が放出せしめられるようになっているのである。
【0054】
而して、かくの如き構造とされた射出成形機を用いて、目的とする樹脂製品を成形する際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められることとなる。
【0055】
すなわち、先ず、図3に示されるように、型締装置12のラム26の突出作動により、可動板24を固定板22に接近移動せしめて、可動型28と固定型30の型合せ及び圧締めを行う。これによって、それら可動型28と固定型30との型合せ面間に、成形キャビティ84を形成する。
【0056】
次に、図4に示されるように、目的とする樹脂製品の形成材料たる溶融樹脂材料102を、射出装置10のノズル18から射出する。そして、かかる溶融樹脂材料102を、固定型30におけるノズルタッチ部52のメタル部側及び絶縁部側の各貫通孔68,74とスプルブッシュ58の内孔59とスプル60とを流動せしめて、成形キャビティ84内に導入し、充填する。
【0057】
その後、図5に示されるように、成形キャビティ84内に充填された溶融樹脂材料102を冷却固化して、目的とする樹脂製品104を成形する。そして、それに引き続き、型締装置12のラム26を引込移動せしめることにより、可動板24を固定板22から離隔させて、可動型28と固定型30の型開きを行う。また、この型開きを行う際には、型開きの途中まで、ラム26とエジェクタロッド46とを一体に引込移動させ、可動型28と固定型30の離間距離が所定の大きさに達した時点から、ラム26の引込移動が終了するまでの間、エジェクタロッド46を突出移動せしめる。これにより、樹脂製品104を、各エジェクタピン42にて、キャビティ形成凹所38内から外部に突き出し、ラム26が引込移動の限度位置に達して、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となったときには、樹脂製品104を、射出成形用金型14から完全に離型せしめる。
【0058】
而して、ここでは、特に、上記の如き樹脂成形品104の一連の成形操作の中で、図3に示される可動型28と固定型30との型合せの完了時に、型締装置12に対して絶縁された可動型28の可動型本体32と固定型30の固定型本体51のそれぞれに接続されるアース線98の途中のスイッチ100が、コントローラ94にて開作動されて、可動型28と固定型30とが、自動的に且つ確実に電気的に非接地状態とされる。また、それと同時に、高圧電源装置88が、コントローラ94にて作動せしめられて、高圧電源装置88から可動型28の可動型本体32に対して、負の電荷が、操作摘み96に対する操作により予め設定された電圧において、自動的に印加されるようになる。これにより、可動型28の全体と固定型30の固定型本体51とが、高圧電源装置88から印加される負の電荷と同電位で、負に蓄電せしめられる。このとき、ノズルタッチ部52の絶縁部64の存在により、かかる負電荷が、固定型本体51からノズルタッチ部52を通じて、射出装置10のノズル18に流れ込むことはない。
【0059】
なお、このような高圧電源装置88から可動型28の可動型本体32への負電荷の印加時には、その電流値が、可及的にゼロとされていることが望ましい。何故なら、射出成形用金型14に負電荷を印加している最中に、作業者等が射出成形用金型14に誤って接触することがあっても、その作業者が感電するようなことが有利に解消されて、安全な作業が確保され得るようになるからである。また、前述せるように、本実施形態装置では、可動型28と固定型30とにそれぞれ接続されるアース線98,98の途中に設けられたスイッチ100,100の開閉作動が、コントローラ94にて自動制御されている。そのため、図5に示されるように、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となって、樹脂製品104が射出成形用金型14から離型せしめられた時点で、即座に、可動型28と固定型30とがアースされて、それら可動型28と固定型30に蓄電された負の電荷が、自動的に放出されるようになる。
【0060】
そして、高圧電源装置88から可動型28への負電荷の印加状態で実施される、図4に示される如き樹脂製品104の成形時には、樹脂製品104が、成形キャビティ84内で、溶融樹脂材料102の冷却固化により成形されるまでの間、高圧電源装置88からの負電荷の印加により負に蓄電せしめられた、成形キャビティ84を形成する可動型28(可動型本体32)及び固定型30(固定型本体51)と接触せしめられている。そのため、成形キャビティ84内で冷却固化された樹脂製品104は、その内部で惹起される分極現象等により、表面が、負に蓄電せしめられた可動型28や固定型30とは逆の正に帯電せしめられるようになる。
【0061】
そして、図5に示されるように、成形された樹脂製品104を射出成形用金型14から離型するときには、成形キャビティ84の内面(可動型本体32におけるキャビティ形成凹所38の内周面、及び固定型本体51のキャビティ形成面54)と樹脂製品104との間で剥離帯電が生じて、樹脂製品104の表面において負の静電気が発生せしめられる。しかしながら、この静電気における負の電荷は、樹脂製品104の表面に帯電せしめられた正の電荷にて打ち消されるようになる。
【0062】
従って、ここでは、操作摘み96に対する操作により予め設定された電圧において、高圧電源装置88から可動型28に印加される負電荷の電圧に応じて、離型後の樹脂製品104の表面電位が、所望の値に制御され得るようになる。
【0063】
すなわち、具体的には、離型による剥離帯電によって樹脂製品104に生ずる静電気の電圧よりも所定量だけ大きな電圧を有する負電荷を、高圧電源装置88から可動型28(可動型本体32)に印加すれば、離型後の樹脂製品104の表面電位を可及的にゼロと為して、かかる樹脂製品104の表面の帯電状態を解消せしめることが出来る。また、そのような静電気の電圧よりも所定量だけ大きな電圧よりも更に十分に大きな電圧を有する負電荷を、高圧電源装置88から可動型28に印加すれば、離型後の樹脂製品104の表面電位を、正のままに維持せしめることが可能となるのである。なお、樹脂製品104の表面電位を所望の値と為すために、高圧電源装置88から可動型28に印加される負電荷の具体的な電圧は、例えば、かかる負電荷の印加電圧を種々変更させながら、目的とする樹脂製品104を成形する試験を繰り返し行って得られる結果等に基づいて、予め設定される。
【0064】
かくして、目的とする樹脂製品104が、高圧電源装置88から可動型28の可動型本体32に印加される負電荷の電圧に応じて制御された表面電位を有して、成形されることとなるのである。
【0065】
このように、本実施形態の射出成形機においては、例えば、加湿処理や帯電防止剤を用いた帯電防止処理等、射出成形操作とは無関係な特別な操作や処理を何等実施することなく、それ故、そのような特別な処理の実施に際して必要とされる余分な条件や後処理等が付加せしめられることもなく、単に、従来の射出成形操作と並行して、高圧電源装置88から可動型28に、負電荷を予め設定された電圧において印加する操作を行うだけで、成形された樹脂製品104の表面電位を、例えば、表面電位が可及的にゼロとなるように、容易に且つ確実に制御することが可能となる。
【0066】
従って、かくの如き本実施形態によれば、表面電位が所望の値となるように制御された樹脂製品104が、品質、性能等の低下等を何等招くことなく、極めて有利に成形され得る。そして、その結果として、目的とする樹脂製品104の成形加工時や、その後工程等で、樹脂製品104において発生する静電気が原因で生じていた様々なトラブルや不具合が、効果的に解消され得ることとなるのである。
【0067】
しかも、本実施形態においては、可動型28と固定型30との型合せ状態下での可動型本体32への電荷の印加により、可動型28と共に蓄電せしめられる固定型本体51が、ノズルタッチ部52の絶縁部64によって、ノズルタッチ部52のメタル部62に接触位置せしめられる射出装置10のノズル18と絶縁されて、蓄電された固定型本体51の電荷が、ノズルタッチ部52を通じて、ノズル18に流れ込むようなことが有利に阻止され得る。それ故、可動型28と固定型30の蓄電が妨げられることや、ノズル18から射出装置10に流れ込んだ電荷により、射出装置10の作動に悪影響が及ぼされること、更には、そのような射出装置10への電荷の流れ込みにより、射出装置10を操作する作業者の作業が阻害されるようなことが、何れも、効果的に皆無ならしめられ得る。
【0068】
従って、かくの如き本実施形態にあっては、表面電位が所望の値となるように制御された樹脂製品104が、より安定的に且つ確実に成形され得ることとなるのである。
【0069】
また、本実施形態では、ノズルタッチ部52のうち、固定型本体51との接触面66の全面を含む部分が絶縁部64とされている一方、射出装置10のノズル18と接触するタッチ面66を含む部分が、絶縁部64よりも耐衝撃性に優れた金属材料からなるメタル部62とされている。このため、ノズルタッチ部52の全体が絶縁材料にて構成される場合とは異なって、ノズル18が、ノズルタッチ部52のタッチ面66に接触せしめられたときに、その際の衝撃によって、タッチ面66やその近傍部分が破損乃至は損傷する恐れが、極めて効果的に解消され得る。また、ノズルタッチ部52のタッチ面66へのノズル18の接触により生ずる衝撃荷重が、メタル部62におけるタッチ面66とは反対側の面の全面から、絶縁部64における矩形凹所70の底面の全面に対して、分散して加えられるようになり、以て、かかる衝撃荷重により、絶縁部64のメタル部62との接触面が破損乃至は損傷することも、有利に防止され得る。
【0070】
従って、かくの如き本実施形態においては、表面電位が所望の値となるように制御された、様々な形状や材質の樹脂製品104が、ノズルタッチ部52の損傷による成形不良等を惹起させることなく、極めて良好に且つ安定的に成形され得るのである。
【0071】
さらに、本実施形態では、固定型本体51と固定板22との間に介装される、固定型本体51よりも大なる大型の第三の絶縁板78よりも十分に小型で且つ軽量のノズルタッチ部52にて、固定型本体51とノズル18との間が絶縁されるようになっており、また、かかるノズルタッチ部52に設けられたメタル部側及び絶縁部側の各貫通孔68,74が互いに連通せしめられた状態で、更にスプルブッシュ58の内孔59に連通せしめられるようになっている。
【0072】
それ故、例えば、大型で大重量の第三の絶縁板78に対して、その厚さ方向一方の面に、タッチ面66を設けると共に、かかるタッチ面66とそれとは反対側の面とにおいて開口する貫通孔を設け、そして、そのような第三の絶縁板78を、ノズル18と固定型本体51との間に介在せしめることで、射出装置10のノズル18を、第三の絶縁板78のタッチ面66に接触させると共に、貫通孔を通じて、ノズル18とスプルブッシュ58の内孔59とを連通させるように為す場合とは異なって、ノズル18と固定型本体51との間を絶縁した上で、ノズル18の先端開口部とスプルブッシュ58の内孔59と連通させる作業が、可及的に小さな労力負担で、より容易に行われ得るといった利点が得られる。
【0073】
更にまた、本実施形態にあっては、高圧電源装置88の作動/停止が、射出成形用金型14の型開閉に基づいて、コントローラ94により自動制御されることで、可動型28と固定型30への蓄電操作が自動的に行われるようになっているところから、所望の表面電位を有する樹脂製品104が、より効率的に且つ優れた製作性をもって、工業的に有利に成形され得る。
【0074】
また、本実施形態においては、射出成形用金型14が型開きされて、成形された樹脂製品104が離型せしめられた時点で、可動型28と固定型30とに蓄電された電荷が自動的に放出され、しかも、可動型28と固定型30は、それらが再び型閉めされるまで、蓄電されないようになっている。このため、樹脂製品104の成形された後、別の樹脂製品104の成形が開始されるまでの間に、作業者等が射出成形用金型14に接触しても、その作業者が感電するようなことが有利に解消されて、安全性が有利に確保され得る。
【0075】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0076】
例えば、前記実施形態では、電荷印加手段たる高圧電源装置88から、射出成形用金型の一部である可動型28に対して負の電荷が印加されることで、樹脂製品104の表面電位が所望の値に制御されるようになっていたが、電荷印加手段から射出成形用金型に印加される電荷の極性は、何等これに限定されるものではない。例えば、目的とする樹脂製品の表面電位を可及的にゼロとする場合や、そのような表面電位を、樹脂製品において生ずる静電気の極性とは逆の極性とする場合には、かかる静電気と同一極性の電荷が、電荷印加手段から射出成形用金型に印加されることとなるのであり、また、目的とする樹脂製品の表面電位を静電気と同一極性とする場合には、かかる静電気とは逆の極性の電荷が、電荷印加手段から射出成形用金型に印加されることとなるのである。
【0077】
また、電荷印加手段から射出成形用金型に印加される電荷の電圧も、樹脂製品の表面電荷の所望の電圧に応じて、適宜に決定されるところである。
【0078】
また、可動型28に加えて、又はそれに代えて、高圧電源装置88を固定型30に接続し、可動型28と固定型30との両方に対して直接に電荷を印加するように為したり、或いは固定型30だけに直接に負電荷を印加して、可動型28には、かかる固定型30を通じて、電荷を間接的に印加するように為すことも、勿論可能である。
【0079】
さらに、射出成形用金型14の可動型28と固定型30は、少なくとも樹脂製品104との接触部分、つまりキャビティ形成部において、電気的な接地が阻止されるようになっていることが好ましい。
【0080】
また、可動型28と可動板24との間や固定型30と固定板22との間に、それぞれ介在せしめられる、絶縁手段としての第一及び第三の絶縁板40,78は、それら可動型28と可動板24との間や固定型30と固定板22との間を確実に絶縁し得るものであれば、その形状や大きさ、或いは材質等が、特に限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0081】
さらに、電荷印加手段も、例示の高圧電源装置88に決して限定されるものではなく、可動型本体32等に対して、負の電荷のみを印加するものと、正の電荷のみを印加するものと、外部からの操作によって正と負の電荷を選択的に印加し得るものの中から、樹脂製品104において生ぜしめられる静電気の極性と、制御されるべき樹脂製品104の表面電位の値とに応じて、従来より公知の構造を有するのもが、適宜に選択されて、使用され得る。
【0082】
また、前記実施形態では、ノズルタッチ部52が、絶縁部64とメタル部62との組付品にて構成されていたが、全体を絶縁材料にて形成して、絶縁部64のみにて構成しても良い。
【0083】
なお、ノズルタッチ部52は、絶縁部64とメタル部62とにて構成される場合にも、或いは絶縁部64のみにて構成される場合にあっても、固定型本体51と射出装置10のノズル18との間を絶縁可能であれば、その全体や大きさ、配設位置等が、例示のものに、何等限定されるものでないことは、勿論である。
【0084】
加えて、本発明は、樹脂製品を射出成形する射出成形用金型と射出成形装置の他、ゴム製品等、樹脂製品以外の不導体製品を射出成形する射出成形用金型と射出成形装置の何れに対しても、有利に適用可能であることは、勿論である。
【0085】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に従う射出成形装置の一実施形態を示す、一部切欠図を含む要部説明図である。
【図2】図1における要部拡大説明図である。
【図3】図1に示された射出成形装置を用いて、樹脂製品を射出成形する工程の一例を示す説明図であって、可動型と固定型とを型合わせして、成形キャビティを形成した状態を示している。
【図4】図3に示される工程に引き続いて実施される工程を説明するための図であって、成形キャビティ内に溶融樹脂材料を充填した状態を示している。
【図5】図4に示される工程に引き続いて実施される工程を説明するための図であって、成形された樹脂製品を離型した状態を示している。
【符号の説明】
【0087】
10 射出装置 12 型締装置
14 射出成形用金型 18 ノズル
22 固定板 24 可動板
28 可動型 30 固定型
32 可動型本体 40 第一の絶縁板
50 第二の絶縁板 51 固定型本体
52 ノズルタッチ部 62 メタル部
64 絶縁部 66 タッチ面
72 接触面 78 第三の絶縁板
84 成形キャビティ 88 高圧電源装置
94 コントローラ 102 溶融樹脂材料
104 樹脂製品


【出願人】 【識別番号】000185617
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄

【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博


【公開番号】 特開2008−62492(P2008−62492A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242306(P2006−242306)