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【発明の名称】 エジェクタ機構並びに表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置
【発明者】 【氏名】都築 正紀

【氏名】米林 稔

【氏名】横田 誠

【要約】 【課題】エジェクタプレートとエジェクタロッドとの間が確実に絶縁され得るエジェクタ機構を提供する。

【構成】成形金型14にて成形加工される不導体製品104に向かって前進/後退可能に配置されたエジェクタプレート58に対して、少なくとも該エジェクタプレート58との接触面を含む部分76が絶縁材料にて形成されたエジェクタロッド66を接触させた状態で駆動して、該エジェクタプレート58を前進させることにより、該エジェクタプレート58に支持されたエジェクタピン60にて、前記不導体製品104を突き出して、離型させるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の不導体製品を成形加工する成形金型に組み付けられ、該成形金型にて成形加工される不導体製品に向かって前進/後退可能に配置されたエジェクタプレートと、かかるエジェクタプレートに支持されて、該エジェクタプレートの前進により、該不導体製品を突き出して、離型せしめるエジェクタピンと、該エジェクタプレートとの接触状態で駆動して、該エジェクタプレートを前進させるエジェクタロッドとを含んで構成したエジェクタ機構において、
前記エジェクタロッドの少なくとも前記エジェクタプレートとの接触面を含む部分を、絶縁材料を用いて形成したことを特徴とするエジェクタ機構。
【請求項2】
前記エジェクタプレートを前進させる方向に、前記エジェクタロッドを駆動せしめる駆動手段を更に有し、該エジェクタロッドが、該駆動手段に対して着脱可能に取り付けられると共に、該エジェクタロッドの該駆動手段への取付部が、金属材料を用いて形成されている請求項1に記載のエジェクタ機構。
【請求項3】
前記エジェクタロッドの駆動手段への取付部が、前記駆動手段に対してねじ締結するためのねじ部を有している請求項2に記載のエジェクタ機構。
【請求項4】
不導体製品を成形加工する際に、帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置であって、該不導体製品と接触して、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめる、導電性を備えた接触部分を有して、該不導体製品を成形加工する成形金型と、該成形金型における該接触部分の電気的な接地を阻止する絶縁手段と、該成形金型における少なくとも該接触部分に対して、該不導体製品の表面電位を制御するための電荷を、前記帯電現象により該不導体製品において生ぜしめられる前記静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とにおいて印加する電荷印加手段とを含んで構成したものにおいて、
前記請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載のエジェクタ機構が、前記成形金型に組み付けられて構成されていることを特徴とする、表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エジェクタ機構並びに表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置に係り、特に、所定の不導体製品を成形加工する成形金型に組み付けられ、該成形金型にて成形加工される不導体製品を突き出して、離型せしめるエジェクタ機構と、そのようなエジェクタ機構が組み付けられてなる、表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂材料やゴム材料等の不導体(絶縁体)材料からなる、所謂不導体製品(以下からは、これら不導体材料からなる製品を不導体製品という)を、射出成形や、押出成形、シート成形、プレス成形、圧縮成形、真空成形、加圧成形等により成形したり、或いは二次加工したりする場合には、それら各種の成形加工方法に応じた様々な成形金型が用いられる。そして、よく知られているように、そのような成形金型を使用して、目的とする不導体製品の成形加工(金型成形加工)を行う際には、不導体製品と、それが接触する成形金型の接触部分との間で、接触帯電や摩擦帯電、剥離帯電、転がり帯電、衝突帯電等の各種の帯電現象が惹起されて、不導体製品に静電気が不可避的に発生する。
【0003】
例えば、不導体製品の一種たる樹脂製品を射出成形する際には、射出装置から射出された溶融樹脂材料が、射出成形用金型の成形キャビティ内に充填され、そこで冷却固化されることで、目的とする樹脂製品が成形されるようになるが、その際に、冷却固化された樹脂製品と射出成形用金型のキャビティ面との間で接触帯電が生じ、また、かかる樹脂製品を離型するときには、キャビティ面との間で剥離帯電が惹起される。その結果、例えば、射出成形用金型や溶融樹脂材料が、何れも汎用的な材料からなる場合には、成形された樹脂製品において、製品の表面積、加工時間等により様々な電位が生じ、製品によっては−20kV以上もの高電圧の静電気が発生せしめられるようになるのである。
【0004】
そして、このような射出成形時に、射出成形用金型と樹脂製品との間で生ずる帯電現象により樹脂製品において発生する静電気は、樹脂製品の表面に埃等の異物を引き寄せるため、例えば塗装等の表面処理の実施時における不具合の発生原因となっており、また、それ以外にも、樹脂製品の金型からの離型ミスやパーツフィーダの詰まり、或いは検査機や測定器の誤作動を惹起させる等、様々な不良品や工程トラブルの発生の要因ともなっている。
【0005】
そこで、従来では、そのような樹脂製品を含む不導体製品の金型成形加工後に、かかる不導体製品の静電気を除去乃至は低減させて、不導体製品の表面電位が可及的にゼロとなるように、換言すれば、不導体製品の表面の帯電が防止されるように、不導体製品の表面電位を制御するための余分な工程を行わなければならず、それが、目的とする不導体製品の製作性の低下を招いていた。しかも、そのような除電による不導体製品の表面電位の制御作業は、一般に、イオナイザー(静電気除去装置)を用いて、イオンエアーを不導体製品の表面に照射することによって実施される(例えば、下記特許文献1参照)ところから、不導体製品の表面に存在する電荷だけでなく、内部から表面に浮上する電荷を除去するために、長時間の作業が必要となり、また、不導体製品の形状や作業環境によっては、不導体製品に対するイオンエアーの照射ムラが生じ、それによって、均一な除電が困難となる場合さえもあった。そして、何よりも、このイオナイザーを用いた除電は、金型成形加工により静電気が発生した不導体製品に対する後処理によって実施されるものであるため、そのような静電気による様々な不具合の発生を未然に防止することが不可能であったのである。
【0006】
なお、公知の加湿処理や帯電防止剤処理等を実施することにより、金型成形加工時における不導体製品での静電気の発生を防止して、かかる不導体製品の表面電位を制御する(表面の帯電を防止する)ことも考えられる。しかしながら、前者の処理では、不導体製品の金型成形加工が射出成形等の高温下で行われるものである場合、十分な効果を得ることが期待出来ず、また、後者の処理は、通常、界面活性剤を使用するために、金型成形加工された不導体製品の後工程で、かかる界面活性剤によって不具合が生ずる懸念があった。
【0007】
他方、例えば、先ず、押出成形等によりシート状の中間成形品を成形した後、真空成形等により、かかるシート状の中間成形品を所定形状に加工するように、目的とする不導体製品を複数段階に分けて成形加工する際には、途中で得られる中間成形品と最終的に得られる不導体製品の何れにおいても、それぞれ静電気が発生せしめられるようになるところから、最終的に得られる不導体製品表面の静電気による帯電を防止する上で、中間成形品の表面を正又は負に帯電させることが有効な場合もある。即ち、例えば、目的とする不導体製品を二段階に分けて成形加工するに際して、成形された中間成形品の表面を、二次加工の際に生ずる静電気とは逆極性に帯電させておくことで、場合によっては、最終的に得られる不導体製品の表面電位をゼロ乃至はそれに近似した値に容易に且つ効率的に制御することが出来るのである。
【0008】
ところが、上記せる如きイオナイザーを用いた除電処理や加湿処理、帯電防止剤処理等によって不導体製品の表面電位を制御する場合、不導体製品の表面電位をゼロ又はそれに近似の値以外の所望の値に制御することは極めて困難であり、ましてや、かかる表面電位を、不導体製品の成形加工時に生ずる静電気とは逆極性の値と為すことは、到底、不可能であったのである。
【0009】
かかる状況下、本願出願人は、先に、特願2006−155641において、成形金型を含む各種の成形具や加工具(以下、総称して成形加工具と言う)を用いて成形乃至は加工される不導体製品の表面電位を、その成形加工時において所望の値に制御し得る制御装置と、そのような表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置とを提案した。これらの装置は、所望の不導体製品を成形する成形加工具における不導体製品との接触部分の電気的な接地を阻止する絶縁手段と、かかる成形加工具における少なくとも接触部分に対して、不導体製品の表面電位を制御するための電荷を、該接触部分との間に発生する帯電現象により不導体製品において生ぜしめられる静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とにおいて印加する電荷印加手段とを含んで構成されている。
【0010】
このような装置を用いれば、不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具における少なくとも不導体製品との接触部分に対して、静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とを有する電荷を印加し、かかる接触部分を蓄電させることが出来、それによって、そのような成形加工具を用いて成形加工される不導体製品の表面を、成形加工具の接触部分とは逆の極性において、それと同一の電圧で蓄電させることが出来るようになる。そして、その結果、不導体製品に静電気が発生する前に、成形加工具の接触部分に対して、静電気と同一の極性やそれとは逆の極性の電荷を、静電気の電圧に基づく適切な電圧において印加するだけで、静電気発生後の不導体製品の表面電位を、不導体製品の品質、性能等の低下等を何等招くことなく、所望の値となるように確実に制御することが可能となるのである。
【0011】
そして、かくの如き優れた特徴を発揮する、不導体製品における表面電位の制御装置や、表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置は、上述の如く、成形される不導体製品(樹脂製品)とキャビティ面との間で様々な帯電現象が発生する成形金型が成形加工具として利用されることにより、かかる成形金型内で成形される不導体製品の表面電位を制御することが出来るのであるが、この成形金型に対して、成形加工された不導体製品を突き出して離型するエジェクタ機構が組み付けられている場合、以下の如き問題が生ずる恐れがあった。
【0012】
すなわち、一般に、成形金型に組み付けられるエジェクタ機構は、成形金型にて成形加工される不導体製品に向かって前進/後退可能に配置されたエジェクタプレートと、このエジェクタプレートに支持されて、エジェクタプレートの前進により、不導体製品を突き出して、離型させるエジェクタピンと、エジェクタプレートとの接触状態で駆動して、エジェクタプレートを前進させるエジェクタロッドとを含んで、構成されている。そして、このようなエジェクタ機構におけるエジェクタプレートとエジェクタピンとエジェクタロッドは、何れも、金属材料を用いて形成されている。そのため、かかるエジェクタ機構の作動時に、エジェクタピンやエジェクタプレートが成形金型に接触すると、電圧印加手段から成形金型に印加された電荷が、エジェクタプレートと接触するエジェクタロッドを通じて外部に放出され、それによって、成形金型の蓄電が妨げられたり、或いはエジェクタ機構の作動に悪影響を及ぼしたりするといった問題が生ずる懸念があったのである。
【0013】
【特許文献1】特開2002−46147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、エジェクタプレートとエジェクタロッドとの間の絶縁状態が有利に確保され得、以て、成形加工される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置と共に、成形金型に組み付けられたときに、かかる制御装置による不導体製品の表面電位の制御性能が安定して発揮され得るように改良されたエジェクタ機構と、そのようなエジェクタ機構が組み付けられて、表面電位が所望の値に制御された不導体製品が、より有利に成形加工される得るようにした、表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そして、本発明にあっては、エジェクタ機構に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、所定の不導体製品を成形加工する成形金型に組み付けられ、該成形金型にて成形加工される不導体製品に向かって前進/後退可能に配置されたエジェクタプレートと、かかるエジェクタプレートに支持されて、該エジェクタプレートの前進により、該不導体製品を突き出して、離型せしめるエジェクタピンと、該エジェクタプレートとの接触状態で駆動して、該エジェクタプレートを前進させるエジェクタロッドとを含んで構成したエジェクタ機構において、前記エジェクタロッドの少なくとも前記エジェクタプレートとの接触面を含む部分を、絶縁材料を用いて形成したことを特徴とするエジェクタ機構にある。
【0016】
なお、このような本発明に従うエジェクタ機構の好ましい態様の一つによれば、前記エジェクタプレートを前進させる方向に、前記エジェクタロッドを駆動せしめる駆動手段を更に有して構成され、該エジェクタロッドが、該駆動手段に対して着脱可能に取り付けられると共に、該エジェクタロッドの該駆動手段への取付部が、金属材料を用いて形成される。
【0017】
また、かかる本発明に従うエジェクタ機構の別の望ましい態様の一つによれば、前記エジェクタロッドの駆動手段への取付部が、前記駆動手段に対してねじ締結するためのねじ部を有して構成される。
【0018】
そしてまた、本発明にあっては、表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、不導体製品を成形加工する際に、帯電現象により静電気が発生せしめられる該不導体製品の表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置であって、該不導体製品と接触して、該不導体製品との間で前記帯電現象を生ぜしめる、導電性を備えた接触部分を有して、該不導体製品を成形加工する成形金型と、該成形金型における該接触部分の電気的な接地を阻止する絶縁手段と、該成形金型における少なくとも該接触部分に対して、該不導体製品の表面電位を制御するための電荷を、前記帯電現象により該不導体製品において生ぜしめられる前記静電気の極性と電圧とに基づいて設定される極性と電圧とにおいて印加する電荷印加手段とを含んで構成したものにおいて、前記せる構造を有するエジェクタ機構が、前記成形金型に組み付けられて構成されていることを特徴とする、表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置にある。
【発明の効果】
【0019】
すなわち、本発明に従うエジェクタ機構にあっては、エジェクタロッドが、絶縁材料を用いて形成された部分において、エジェクタプレートと接触せしめられるようになっており、それによって、それらエジェクタロッドとエジェクタプレートとの間が、確実に絶縁され得る。
【0020】
それ故、本発明に係るエジェクタにおいては、不導体製品を成形加工する成形金型に対して、成形加工される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置と共に組み付けられて、かかる制御装置により、成形金型に所定の電荷が印加されたときに、エジェクタプレートやエジェクタピンが成形金型に接触しても、成形金型に印加された電荷が、エジェクタプレートからエジェクタロッドに流れ込み、更にエジェクタロッドを通じて外部に放出され、それによって、成形金型の蓄電が妨げられたり、或いはエジェクタ機構の作動に悪影響を及ぼしたりするようなことが、効果的に解消され得る。
【0021】
従って、かくの如き本発明に従うエジェクタロッドにあっては、不導体製品を成形加工する成形金型に対して、成形加工される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置と共に組み付けられたときに、かかる制御装置による不導体製品の表面電位の制御性能を、極めて安定的に且つ確実に発揮させることが出来るのである。
【0022】
また、本発明に従う、表面電位を制御する機能を備えた不導体製品の成形加工装置にあっては、上述せる如き優れた特徴を発揮するエジェクタ機構と、成形加工される不導体製品の表面電位を所望の値に制御する制御装置とが、共に、不導体製品を成形加工する成形金型に対して組み付けられて構成されている。従って、表面電位が所望の値に制御され、それによって、静電気による帯電が原因で成形時等において生じていた様々なトラブルや不具合が有利に解消され得ることとなった不導体製品が、極めて確実に且つ安定的に成形され得るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0024】
先ず、図1には、本発明に従うエジェクタ機構が組み付けられた、表面電位の制御機能を備えた不導体製品の成形加工装置の一実施形態たる樹脂製品の射出成形装置(射出成形機)が、その要部において、概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の射出成形装置は、射出装置10と型締装置12と成形金型14とを有して、構成されている。そして、ここでは、成形金型14が、射出装置10や型締装置12と絶縁状態となるように、型締装置12に取り付けられた上で、射出成形される樹脂製品の表面電位を所望の値に制御する機能が発揮され得るようになっている。
【0025】
より詳細には、射出装置10は、加熱筒16内において、所定の樹脂材料を、図示しないスクリュにて混練しつつ、加熱溶融せしめる従来と同様な構造を有し、この加熱筒16内で溶融された樹脂材料が、加熱筒16に先端に取り付けられた金属製のノズル18から射出されるようになっている。
【0026】
また、型締装置12も、従来装置と同様に、所定長さを有する複数のタイバー20の先端部に固定された固定板22と、この固定板22に対して、所定距離を隔てて対向し、且つその対向方向に移動可能な状態で、複数のタイバー20に支持された可動板24とを有している。更に、可動板24の背面側(固定板22との対向側とは反対側)には、図示しない油圧シリンダが設置され、この油圧シリンダの作動によって突出/引込移動せしめられるラム26の先端が、可動板24の背面に取り付けられている。これにより、油圧シリンダの作動に基づく第一ラム26の突出/引込移動に伴って、可動板24が、固定板22に対して接近/離隔移動せしめられるようになっている。
【0027】
また、成形金型14は、可動型28と固定型30の2個の分割金型からなり、型締装置12の可動板24と固定板22との間に位置せしめられている。そして、可動型28と固定型30とが、可動板24と固定板22とに対して、それぞれ、絶縁状態で、位置固定に取り付けられている。
【0028】
つまり、可動型28は、可動側型板32と可動側基板34とスペーサブロック36とを、更に有して、構成されている。可動側型板32は、全体として、矩形平板状乃至は矩形ブロック状を呈し、固定型30と対向配置されている。また、この可動側型板32の固定型30との対向面には、目的とする樹脂製品の外形形状に対応した内面形状をもって、固定型30側に向かって開口するキャビティ形成凹所38が形成されている。
【0029】
可動側基板34は、可動側型板32よりも一周り大きな矩形平板形状を呈し、可動側型板32を固定型30との間に挟んだ可動板24側に、可動側型板32と離間位置せしめられている。スペーサブロック36は、可動側型板32と同程度の大きさと低い高さとを有する角筒形状を呈し、可動側型板32と可動側基板34との間に介在せしめられて、それらを一体的に連結して、配置されている。また、可動側基板34は、スペーサブロック36と同程度の大きさを有する可動側型板32よりも一周り大なる大きさとされていることで、外周部を、その全周に亘って、スペーサブロック36の可動側基板34との連結面から側方にはみ出させた状態で、位置せしめられている。
【0030】
そして、ここでは、このような可動型28の可動側基板34が、それよりも更に一周り大きな厚肉平板形状を呈する絶縁手段としての可動側絶縁板40を間に挟んで、型締装置12の可動板24に対して非接触状態で重ね合わされて、配置されている。また、かかる配置状態下において、可動側基板34のスペーサブロック36からはみ出した外周部分の複数個所にそれぞれ挿通された、セラミックボルト等の絶縁材料からなる固定ボルト39にて、可動板24にそれぞれ固定されており、以て、可動型28の全体が、可動板24に対して、絶縁状態で、位置固定に取り付けられているのである。
【0031】
なお、ここで用いられる可動側絶縁板40は、絶縁材料からなるものであれば、その材質が特に限定されるものではなく、例えば、全体が、アルミナ等のセラミックス材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂等の樹脂材料、ガラス材料からなる板材、又はそれらセラミックス材料、樹脂材料、ガラス材料にて表面が被覆されてなる板材、或いは無機・有機ガラスクロス積層板等が、可動側絶縁板40として、用いられ得る。
【0032】
一方、固定型30は、全体として、矩形ブロック形状を呈し、可動型28の可動側型板32と対向配置されている。そして、可動型28の可動側型板32との対向面(型合せ面)が、後述する如き型締装置12の型締作動により、可動側型板32の固定型30との対向面に当接して、可動側型板32のキャビティ形成凹所38を覆蓋する平滑なキャビティ形成面42とされている。更に、固定型30の外周面には、キャビティ形成面42側とは反対側の端部において、所定高さ突出し且つ全周に亘って周方向に連続して延びる、比較的に厚肉の矩形板枠状の外フランジ部44が、一体形成されている。この外フランジ部44は、厚さ方向の一方の面が、固定型30のキャビティ形成面42とは反対側の面と面一となるように構成されている。
【0033】
また、かかる固定型30の中心部には、スプルブッシュ46が、キャビティ形成面42とは反対側の面において開口するように埋め込まれて、ボルト固定されており、更に、このスプルブッシュ46の内孔47に連通するスプル48が、キャビティ形成面42において開口するように、中心部を貫通して、形成されている。
【0034】
そして、そのような固定型30が、キャビティ形成面42側とは反対側の全面において、それよりも一周り大きな厚肉平板形状を呈する絶縁手段としての固定側絶縁板50を間に挟んで、型締装置12の固定板22に対して非接触状態で重ね合わされて配置されており、また、かかる配置状態下で、外フランジ部44と固定側絶縁板50とに挿通されたセラミックボルト等の絶縁材料からなる複数の固定ボルト39にて、外フランジ部44が、固定板22に固定されている。これによって、固定型30の全体が、固定板22対して、絶縁状態で、位置固定に取り付けられている。
【0035】
なお、固定型30と固定板22との間に介在せしめられた固定側絶縁板50は、絶縁材料からなるものであれば、その材質の構造が、特に限定されるものではなく、可動型28と可動板24との間に介装された可動側絶縁板40と同様な材質や構造のものが用いられ得る。また、固定側絶縁板50の中心部には、それを貫通する貫通孔52が穿設されており、固定側絶縁板50が固定型30と固定板22との間に介装された状態下で、かかる貫通孔52が、固定型30に取り付けられたスプルブッシュ46の内孔47に連通せしめられている。
【0036】
そしてまた、そのような固定型30の固定板22への取付状態下で、固定板22の挿通孔54内に挿通位置せしめられた射出装置10のノズル18の先端が、固定側絶縁板50における固定型30側とは反対側の面の中心部に、貫通孔52に先端開口部を連通させた状態で、接触位置せしめられている。これによって、射出装置10のノズル18と固定型30との間が絶縁状態とされると共に、ノズル18から射出される溶融樹脂材料が、固定側絶縁板50の貫通孔52内とスプルーブッシュ46の内孔47内と固定型30のスプル48内を、その順番で流動せしめられるようになっている。
【0037】
かくして、本実施形態の射出成形装置においては、型締装置12における可動板24の固定板22に対する接近/離隔移動に伴って、可動型28が固定型30に対して接近/離隔移動せしめられて、それら可動型28と固定型30との型閉め/型開きや圧締めが行われるようになっている。そして、可動型28と固定型30とが型閉めされて、可動型28の可動側型板32におけるキャビティ形成凹所38の開口部が、固定型30におけるキャビティ形成面42にて覆蓋されることによって、それら可動型28の可動側型板32と固定型30との型合せ面間に、目的とする樹脂製品に対応した形状を有する成形キャビティ56が形成されるように構成されている(図3参照)。
【0038】
また、そのような可動型28と固定型30との型合せ状態下において、固定型30のスプル48が、成形キャビティ56内に開口せしめられ、それによって、射出装置10のノズル18から射出される溶融樹脂材料が、固定側絶縁板50の貫通孔52とスプルブッシュ46の内孔47とスプル48とを通じて、成形キャビティ56内に導入されて、充填されるようになっている。そして、この成形キャビティ56内に充填された溶融樹脂材料が冷却固化されることで、目的とする樹脂製品が成形されるようになっているのである(図4及び図5参照)。このことから明らかなように、本実施形態では、可動型28の可動側型板32と固定型30のキャビティ形成面42を含む部分が、成形される樹脂製品との接触部分とされている。
【0039】
そして、本実施形態では、かくの如き構造とされた成形金型14に対して、成形された樹脂製品を突き出して、離型させるエジェクタ機構が組み付けられており、また、このエジェクタ機構が、従来には見られない特別な構造をもって、構成されている。
【0040】
すなわち、かかるエジェクタ機構は、可動型28における角筒状のスペーサブロック36の内孔内に配置された、矩形平板形状を呈する金属製のエジェクタプレート58を有している。また、このエジェクタプレート58は、スペーサブロック36の軸方向、つまり可動側型板32側方向と可動側基板34側方向の両方向に、スペーサブロック36の高さの範囲内において移動可能とされている。換言すれば、エジェクタプレート58は、厚さ方向一方側の端面が可動側型板32に当接する位置から、他方側の端面が可動側基板34に当接する位置までの範囲内で、成形キャビティ56内で成形される樹脂製品に向かって前進/後退可能とされている。
【0041】
さらに、このエジェクタプレート58には、金属製の細長いエジェクタピン60の複数が、可動側型板32側の端面上に立設するように支持されて、エジェクタプレート58と一体移動可能に取り付けられている。そして、それら各エジェクタピン60は、可動側型板32における可動板24との対向面とキャビティ形成凹所38の底面とにおいてそれぞれ開口して、可動型28と固定型30との対向方向に真っ直ぐに延びるように形成された複数のピン挿通孔62内に挿通されている。なお、かかるエジェクタピン60は、その長さ(エジェクタプレート58の可動側型板32側の面上からの突出高さ)が、ピン挿通孔62の延出長さよりも所定量だけ長い長さとされている。
【0042】
これによって、ここでは、エジェクタプレート58の前進/後退に伴って、各エジェクタピン60が、各ピン挿通孔62内を、その延出方向に移動せしめられるようになっている。そして、エジェクタプレート58が、前進により、可動側型板32に当接せしめられたときに、各エジェクタピン60の先端部が、キャビティ形成凹所38の底面から所定長さにおいて突出せしめられるようになっている一方、エジェクタプレート58が、後退により、可動側基板34に当接せしめられたときに、各エジェクタピン60の先端部が、各ピン挿通孔62内に引き込まれるようになっている。
【0043】
また、そのようなエジェクタピン60が挿通されたピン挿通孔62の長さ方向の中間部には、可動側型板32の可動板24との対向面における開口側部分を大径化する段部が設けられ、このピン挿通孔62の大径部63内に、圧縮コイルばね64が、収容配置されている。そして、この圧縮コイルばね64は、予備圧縮された状態で、ピン挿通孔62における大径部63の底面となる段部とエジェクタプレート58の可動側型板32との対向面とに、それぞれ係合せしめられている。
【0044】
一方、エジェクタプレート58における可動側基板34との対向面には、複数のエジェクタロッド66が、その先端面において接触位置せしめられている。それら各エジェクタロッド66は、エジェクタピン60よりも十分に大きな太さと長さとを有する丸棒からなり、可動側基板34と可動側絶縁板40と可動板24のそれぞれの中心部に設けられた中心孔68,70,72を通じて、可動板24の背面側に延出せしめられ、更に、かかる可動板24の背面に取り付けられた第一ラム26の内部に突入せしめられている。そして、このようなエジェクタロッド66の第一ラム26内への突入部が、第一ラム26の内部に配置された第二ラム74の先端面に固定されている。なお、この第二ラム74は、第一ラム26を突出/引込移動せしめる、図示しない油圧シリンダの作動に基づいて、第一ラム26と一体に突出/引込移動せしめられると共に、第一ラム26に内臓された、図示しない油圧シリンダの作動に基づいて、第一ラム26に対して相対的に突出/引込移動せしめられるようになっている。これにより、各エジェクタロッド66が、第一ラム26や第二ラム74の突出/引込移動に伴って、可動側型板32に向かって前進/後退せしめられるように構成されている。
【0045】
かくして、かくの如き構造とされたエジェクタ機構においては、第二ラム74が、第一ラム26と一体で、或いは相対的に突出作動して、各エジェクタロッド66が前進せしめられることにより、エジェクタプレート58が、各エジェクタロッド66にて押圧されて、可動側型板32に当接する位置まで、圧縮コイルばね64の付勢力に抗して前進せしめられ、以て、各エジェクタピン60の先端部が、キャビティ形成凹所38の底面から突出せしめられるようになっている。そして、このとき、キャビティ形成凹所38内に、射出成形された樹脂製品が収容されている場合には、かかる樹脂製品が、各エジェクタピン60の先端部にて突き出されて、離型せしめられるように構成されている(図5参照)。
【0046】
また、第二ラム74が、第一ラム26と一体で、或いは相対的に引込作動して、各エジェクタロッド66が後退せしめられることにより、エジェクタプレート58が、圧縮コイルばね64の付勢力にて、各エジェクタロッド66との接触状態が維持されつつ、可動側基板34に当接する位置まで後退せしめられ、以て、キャビティ形成凹所38の底面から突出した各エジェクタピン60の先端部が、各ピン挿通孔62内に引き込まれるようになっている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、第一ラム26及び第二ラム74と、それらを突出/引込作動せしめる油圧シリンダとにて、駆動手段が構成されている。
【0047】
なお、ここでは、成形キャビティ56内で目的とする樹脂製品が成形されてから、第一ラム26の引込作動により可動型28と固定型30とが型開きされる際に、先ず、第二ラム74が、第一ラム26と一体に引込移動せしめられ、そして、この第一ラム26の引込作動が停止する前、つまり可動型28と固定型30とが所定の型開き位置に到達した、完全な型開き状態となる前に、第二ラム74が、第一ラム26に対して相対的に突出作動せしめられるようになっている。
【0048】
そして、本実施形態にあっては、特に、このエジェクタ機構におけるエジェクタロッド66の軸方向一方側部分が、公知の絶縁材料を用いて形成されている一方、他方側部分が、絶縁材料よりも耐衝撃性に優れた金属材料を用いて形成されている。つまり、エジェクタロッド66のうち、エジェクタプレート58との接触側の部位が、所定長さに亘って、絶縁材料からなる絶縁部76とされており、また、第二ラム74への固定側に位置する、絶縁部76以外の部分が、金属材料からなるメタル部78とされている。
【0049】
また、図2から明らかなように、エジェクタロッド66のメタル部78においては、第二ラム74側の端面の中心部に、雄ねじが外周面の全面に刻設された雄ねじ部80が、所定長さをもって一体的に突設されている一方、それとは反対側の端面には、雌ねじ穴82が、所定深さをもって設けられている。なお、このメタル部78を形成する金属材料には、従来のエジェクタ機構が有するエジェクタロッドの形成材料と同様な金属材料が用いられる。
【0050】
一方、絶縁部76は、例えば、全体が、前記せる可動側及び固定側絶縁板40,50の形成材料と同様な絶縁材料を用いて形成されるか、或いは金属製の棒材の表面に対して、セラミックス材料や樹脂材料等の絶縁材料が所定厚さで被覆されて形成されることで、絶縁性が発揮され得るように構成されている。また、この絶縁部76にあっては、エジェクタプレート58側の端面が、エジェクタプレート58の平坦な端面に対応した平坦な接触面84とされている一方、それとは反対側の端面の中心部には、メタル部78の雌ねじ穴82に螺合する雄ねじが外周面の全面に刻設された雄ねじ部86が、雌ねじ穴82の深さよりも短い長さをもって一体的に突設されている。
【0051】
そして、このような絶縁部64の雄ねじ部86が、メタル部78の雌ねじ穴82内に螺入されて、絶縁部76がメタル部78に取り付けられている。かくして、エジェクタロッド66が、絶縁性を発揮する絶縁部76と、絶縁部64よりも耐衝撃性に優れたメタル部78とが着脱可能に取り付けられて、一体化された一体組付品にて構成され、また、この一体組付品における絶縁部76側の端面が、前記接触面84とされる一方、メタル部78側の端面に、前記雄ねじ部80が設けられている。なお、雄ねじ部86を、その外周面に接着剤等を塗布した上で、メタル部78の雌ねじ穴82内に螺入することによって、接着部64とメタル部78とを着脱不能に取り付けることも出来る。
【0052】
そうして、そのような構造とされたエジェクタロッド66が、メタル部78の雄ねじ部80において、第二ラム74の先端面に設けられた雌ねじ穴87に螺入されていると共に、絶縁部76の接触面84の全面において、エジェクタプレート58に接触せしめられている。これによって、エジェクタロッド66が、第二ラム74に対して、ねじ締結により着脱可能に且つそれと一体移動可能に取り付けられている。また、エジェクタロッド66とエジェクタプレート58とが絶縁状態とされており、以て、エジェクタプレート58やエジェクタピン60が可動型28のスペーサブロック36や可動側型板32、可動側基板34に接触せしめられても、可動型28の可動板24やエジェクタ機構に対する絶縁状態(電気的な非接地状態)が確保されるようになっている。なお、上記のことから明らかなように、ここでは、エジェクタロッドの駆動手段への取付部の全体が、メタル部78の雄ねじ部80にて構成されている。
【0053】
そして、本実施形態では、図1に示されるように、可動板24に対して絶縁状態で取り付けられた可動型28に対して、射出成形される樹脂製品において生ずる静電気と同一極性の負の電荷を印加する電荷印加手段としての高圧電源装置88が、電気的に接続されている。つまり、この高圧電源装置88は、例えば1〜30kV程度の高電圧の負の電荷を供給し得る公知の構造を有している。また、この高圧電源装置88から延びるリード線60の先端部には、例えば圧着端子等(図示せず)が取り付けられている。そして、このリード線90の先端に取り付けられた圧着端子が、可動型28の可動側型板32の側面等に螺入されたボルト等にて、可動側型板32に取り付けられることで、高圧電源装置88と可動型28とが、電気的に接続されている。なお、高圧電源装置88は、アース線92にて接地されている。
【0054】
また、かかる高圧電源装置88は、その作動を制御する制御手段としてのコントローラ94に対しても、電気的に接続されている。更に、このコントローラ94は、可動型28と固定型30との型閉め状態と前記せる如き完全な型開き状態とを検出する、可動板24や固定板22等に取り付けられた、例えばリミットスイッチ等のセンサ素子(図示せず)に対して、電気的に接続されている。そして、かかるコントローラ94にあっては、リミットスイッチ等のセンサ素子にて、可動型28と固定型30とが型閉め状態となったことが検出されたときに、高圧電源装置88を作動させる一方、かかる型閉め状態から、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となったこと、つまり、可動型28と固定型30とが予め設定された型開き位置まで移動し、且つ成形された樹脂製品がエジェクタピン60にてキャビティ形成凹所38内から外部に突き出されて、離型せしめられたことが検出されたときに、高圧電源装置88を停止させるように、高圧電源装置88の作動/停止を制御し得るようになっている。また、コントローラ94には、変更手段としての操作摘み96が設けられており、この操作摘み96が摘まれて回転操作されることで、高圧電源装置88から供給される負電荷の電圧が、任意の値に予め設定され、或いはその設定値が変更乃至は調節され得るようになっている。
【0055】
これによって、ここでは、可動型28と固定型30とが型閉め状態となったときに、高圧電源装置88から可動型28の可動側型板32に対して、負の電荷が、操作摘み96に対する回転操作により予め設定された電圧において、自動的に印加(供給)されるようになっている。また、可動型28と固定型30との型閉め状態から、それら可動型28と固定型30とが型開きされ、更には樹脂製品が離型せしめられたときには、高圧電源装置88から可動型28の可動側型板32への負電荷の印加が、自動的に停止されるようになっている。
【0056】
そして、上記せるように、可動型28は、可動側絶縁板40やエジェクタロッド66の絶縁部76にて、型締装置12(可動板24)やエジェクタ機構等に対して、常に絶縁状態とされており、更に、固定型30も、固定側絶縁板50にて、型締装置12(固定板22)に対して、常時、絶縁状態とされている。従って、可動型28と固定型30との型閉め状態下で、高圧電源装置88から可動側型板32に負電荷が、所望の電圧において自動的に印加されることで、可動型28の全体と固定型30とが、可動側型板32に印加される負電荷の電圧と同一の電圧において、自動的に、負に蓄電せしめられるようになっている。なお、このとき、射出装置10のノズル18と固定型30との間も、固定側絶縁板50にて絶縁されているため、固定型30に蓄電された電荷が、金属製のノズル18に流れ込んで、固定型30から放出されることはない。
【0057】
また、可動型28の可動側型板32と固定型30とには、それらを電気的に接地するための、アース手段としてのアース線98が、高圧電源装置88のリード線90と同様な状態で、それぞれ接続されている。更に、それら各アース線98の途中には、アース線98を導通状態と非導通状態とに切り換える、切換手段としてのスイッチ100が、各々設けられている。そして、それら各スイッチ100は、前記コントローラ94にも電気的に接続されて、このコントローラ94により、高圧電源装置88の作動/停止(高圧電源装置88から可動側型板32への負電荷の供給の開始/停止)に基づいて自動制御されるようになっている。
【0058】
つまり、ここでは、可動型28と固定型30とが型閉め状態となって、コントローラ94により、高圧電源装置88から可動側型板32への負電荷の供給が開始されると同時に、各スイッチ100が開作動せしめられて、各アース線98が非導通状態とされ、以て、可動型28と固定型30とが、自動的に絶縁状態とされるようになっている。また、可動型28と固定型30とが型開きされると共に、樹脂製品が離型せしめられて、コントローラ94により、高圧電源装置88から可動側型板32への負電荷の供給が停止せしめられると同時に、各スイッチ100が閉作動せしめられて、各アース線98が導通状態とされ、以て、可動型28と固定型30とが、自動的にアースされるようになっている。そして、このような各スイッチ100の閉作動による可動型28と固定型30のアースにより、それら可動型28と固定型30に蓄電せしめられた電荷が放出せしめられるようになっているのである。
【0059】
而して、かくの如き構造とされた射出成形機を用いて、目的とする樹脂製品を成形する際には、例えば、以下のようにして、その作業が進められることとなる。
【0060】
すなわち、先ず、図3に示されるように、型締装置12の第一ラム26の突出作動により、可動板24を固定板22に接近移動せしめて、可動型28と固定型30の型合せ及び圧締めを行う。これによって、それら可動型28と固定型30との型合せ面間に、成形キャビティ56を形成する。
【0061】
次に、図4に示されるように、目的とする樹脂製品の形成材料たる溶融樹脂材料102を、射出装置10のノズル18から射出する。そして、かかる溶融樹脂材料102を、固定側絶縁板50の貫通孔52とスプルブッシュ46の内孔47とスプル48とを流動せしめて、成形キャビティ56内に導入し、充填する。
【0062】
その後、図5に示されるように、成形キャビティ56内に充填された溶融樹脂材料102を冷却固化して、目的とする樹脂製品104を成形する。そして、それに引き続き、型締装置12の第一ラム26を引込移動せしめることにより、可動板24を固定板22から離隔させて、可動型28と固定型30の型開きを行う。また、この型開きを行う際には、型開きの途中まで、第一ラム26と第二ラム74とを一体に引込移動させて、エジェクタロッド66と共に、エジェクタプレート58を圧縮コイルばね64の付勢力により、一体で後退させる。そして、可動型28と固定型30の離間距離が所定の大きさに達した時点から、第一ラム26の引込移動が終了するまでの間、第二ラム74を突出移動させて、エジェクタロッド66とエジェクタプレート58とを一体で前進させる。これにより、樹脂製品104を、各エジェクタピン60にて、キャビティ形成凹所38内から外部に突き出し、第一ラム26が引込移動の限度位置に達して、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となったときには、樹脂製品104を、成形金型14から完全に離型せしめる。
【0063】
而して、ここでは、上記の如き樹脂成形品104の一連の成形操作の中で、図3に示される可動型28と固定型30との型合せの完了時に、型締装置12に対して絶縁された可動型28の可動側型板32と固定型30の固定型30のそれぞれに接続されるアース線98の途中のスイッチ100が、コントローラ94にて開作動されて、可動型28と固定型30とが、自動的に且つ確実に電気的に非接地状態とされる。また、それと同時に、高圧電源装置88が、コントローラ94にて作動せしめられて、高圧電源装置88から可動型28の可動側型板32に対して、負の電荷が、操作摘み96に対する操作により予め設定された電圧において、自動的に印加されるようになる。これにより、可動型28の全体と固定型30の固定型30とが、高圧電源装置88から印加される負の電荷と同電位で、負に蓄電せしめられる。このとき、エジェクタピン60やエジェクタプレート58が、可動型28に接触しても、エジェクタプレート58とエジェクタロッド66とが、絶縁部76にて絶縁されているため、かかる負電荷が、可動型28からエジェクタ機構や型締装置12に流れ込むことはない。
【0064】
なお、このような高圧電源装置88から可動型28の可動側型板32への負電荷の印加時には、その電流値が、可及的にゼロとされていることが望ましい。何故なら、成形金型14に負電荷を印加している最中に、作業者等が成形金型14に誤って接触することがあっても、その作業者が感電するようなことが有利に解消されて、安全な作業が確保され得るようになるからである。また、前述せるように、本実施形態装置では、可動型28と固定型30とにそれぞれ接続されるアース線98,98の途中に設けられたスイッチ100,100の開閉作動が、コントローラ94にて自動制御されている。そのため、図5に示されるように、可動型28と固定型30とが完全な型開き状態となって、樹脂製品104が成形金型14から離型せしめられた時点で、即座に、可動型28と固定型30とがアースされて、それら可動型28と固定型30に蓄電された負の電荷が、自動的に放出されるようになる。
【0065】
そして、高圧電源装置88から可動型28への負電荷の印加状態で実施される、図4に示される如き樹脂製品104の成形時には、樹脂製品104が、成形キャビティ56内で、溶融樹脂材料102の冷却固化により成形されるまでの間、高圧電源装置88からの負電荷の印加により負に蓄電せしめられた、成形キャビティ56を形成する可動型28(可動側型板32)及び固定型30と接触せしめられている。そのため、成形キャビティ56内で冷却固化された樹脂製品104は、その内部で惹起される分極現象等により、表面が、負に蓄電せしめられた可動型28や固定型30とは逆の正に帯電せしめられるようになる。
【0066】
そして、図5に示されるように、成形された樹脂製品104を成形金型14から離型するときには、成形キャビティ56の内面(可動側型板32におけるキャビティ形成凹所38の内周面、及び固定型30のキャビティ形成面42)と樹脂製品104との間で剥離帯電が生じて、樹脂製品104の表面において負の静電気が発生せしめられる。しかしながら、この静電気における負の電荷は、樹脂製品104の表面に帯電せしめられた正の電荷にて打ち消されるようになる。
【0067】
従って、ここでは、操作摘み96に対する操作により予め設定された電圧において、高圧電源装置88から可動型28に印加される負電荷の電圧に応じて、離型後の樹脂製品104の表面電位が、所望の値に制御され得るようになる。
【0068】
すなわち、具体的には、離型による剥離帯電によって樹脂製品104に生ずる静電気の電圧よりも所定量だけ大きな電圧を有する負電荷を、高圧電源装置88から可動型28(可動側型板32)に印加すれば、離型後の樹脂製品104の表面電位を可及的にゼロと為して、かかる樹脂製品104の表面の帯電状態を解消せしめることが出来る。また、そのような静電気の電圧よりも所定量だけ大きな電圧よりも更に十分に大きな電圧を有する負電荷を、高圧電源装置88から可動型28に印加すれば、離型後の樹脂製品104の表面電位を、正のままに維持せしめることが可能となるのである。なお、樹脂製品104の表面電位を所望の値と為すために、高圧電源装置88から可動型28に印加される負電荷の具体的な電圧は、例えば、かかる負電荷の印加電圧を種々変更させながら、目的とする樹脂製品104を成形する試験を繰り返し行って得られる結果等に基づいて、予め設定される。
【0069】
かくして、目的とする樹脂製品104が、高圧電源装置88から可動型28の可動側型板32に印加される負電荷の電圧に応じて制御された表面電位を有して、成形されることとなるのである。
【0070】
このように、本実施形態の射出成形装置においては、例えば、加湿処理や帯電防止剤を用いた帯電防止処理等の射出成形操作とは無関係な特別な操作や処理を何等実施することなく、それ故、そのような特別な処理の実施に際して必要とされる余分な条件や後処理等が付加せしめられることもなく、単に、従来の射出成形操作と並行して、高圧電源装置88から可動型28に、負電荷を予め設定された電圧において印加する操作を行うだけで、成形された樹脂製品104の表面電位を、例えば、表面電位が可及的にゼロとなるように、容易に且つ確実に制御することが可能となる。
【0071】
従って、かくの如き本実施形態によれば、表面電位が所望の値となるように制御された樹脂製品104が、品質、性能等の低下等を何等招くことなく、極めて有利に成形され得る。そして、その結果として、目的とする樹脂製品104の成形加工時や、その後工程等で、樹脂製品104において発生する静電気が原因で生じていた様々なトラブルや不具合が、効果的に解消され得ることとなるのである。
【0072】
しかも、本実施形態においては、可動型28と固定型30との型合せ状態下での可動側型板32への電荷の印加により可動型28が蓄電されたときに、エジェクタ機構のエジェクタピン60やエジェクタプレート58が、かかる可動型28と接触せしめられても、エジェクタロッド66が、絶縁部76にてエジェクタプレート58に接触位置せしめられているため、蓄電された可動型28の電荷が、エジェクタロッド66を通じて、エジェクタ機構や型締装置12に流れ込むようなことが有利に阻止され得る。それ故、可動型28と固定型30の蓄電が妨げられることや、エジェクタロッド66を通じてエジェクタ機構や型締装置12に流れ込んだ電荷により、それらエジェクタ機構や型締装置12の作動に悪影響が及ぼされること、更には、そのようなエジェクタ機構や型締装置12への電荷の流れ込みにより、目的とする樹脂製品104の成形作業を行う作業者の作業が阻害されるようなことが、何れも、効果的に皆無ならしめられ得る。
【0073】
従って、かくの如き本実施形態にあっては、表面電位が所望の値となるように制御された樹脂製品104が、より安定的に且つ確実に成形され得ることとなるのである。
【0074】
また、本実施形態では、エジェクタロッド66のうち、エジェクタプレート58との接触面84の全面を含む部分が絶縁部76とされている一方、第二ラム74に対して、それに設けられた雌ねじ穴87に螺入されて、取り付けられる雄ねじ部80を含む部分が、絶縁部76よりも耐衝撃性に優れた金属材料からなるメタル部78とされている。このため、エジェクタロッド66の全体が絶縁材料にて構成される場合とは異なって、雄ねじ部80を第二ラム74の雌ねじ穴87に螺入するときに衝撃荷重が生じた際等において、雄ねじ部80が破損乃至は損傷する恐れが、極めて効果的に解消され得る。
【0075】
従って、かくの如き本実施形態においては、エジェクタロッド66の交換作業が、よりスムーズに行われ得る。そして、それが、表面電位が所望の値となるように制御された、目的とする樹脂製品104の成形作業の円滑化に大きく寄与し得ることとなるのである。
【0076】
さらに、本実施形態にあっては、高圧電源装置88の作動/停止が、成形金型14の型開閉に基づいて、コントローラ94により自動制御されることで、可動型28と固定型30への蓄電操作が自動的に行われるようになっているところから、所望の表面電位を有する樹脂製品104が、より効率的に且つ優れた製作性をもって、工業的に有利に成形され得る。
【0077】
更にまた、本実施形態においては、成形金型14が型開きされて、成形された樹脂製品104が離型せしめられた時点で、可動型28と固定型30とに蓄電された電荷が自動的に放出され、しかも、可動型28と固定型30は、それらが再び型閉めされるまで、蓄電されないようになっている。このため、樹脂製品104の成形された後、別の樹脂製品104の成形が開始されるまでの間に、作業者等が成形金型14に接触しても、その作業者が感電するようなことが有利に解消されて、安全性が有利に確保され得る。
【0078】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0079】
例えば、前記実施形態では、電荷印加手段たる高圧電源装置88から、成形金型14の可動型28に対して負の電荷が印加されることで、樹脂製品104の表面電位が所望の値に制御されるようになっていたが、電荷印加手段から成形金型に印加される電荷の極性は、何等これに限定されるものではない。例えば、目的とする樹脂製品の表面電位を可及的にゼロとする場合や、そのような表面電位を、樹脂製品において生ずる静電気の極性とは逆の極性とする場合には、かかる静電気と同一極性の電荷が、電荷印加手段から成形金型に印加されることとなるのであり、また、目的とする樹脂製品の表面電位を静電気と同一極性とする場合には、かかる静電気とは逆の極性の電荷が、電荷印加手段から成形金型に印加されることとなるのである。
【0080】
また、電荷印加手段から成形金型に印加される電荷の電圧も、樹脂製品の表面電荷の所望の電圧に応じて、適宜に決定されるところである。
【0081】
また、可動型28に加えて、又はそれに代えて、高圧電源装置88を固定型30に接続し、可動型28と固定型30との両方に対して直接に電荷を印加するように為したり、或いは固定型30だけに直接に負電荷を印加して、可動型28には、かかる固定型30を通じて、電荷を間接的に印加するように為すことも、勿論可能である。
【0082】
さらに、成形金型14の可動型28と固定型30は、少なくとも樹脂製品104との接触部分において、電気的な接地が阻止されるようになっていれば良い。
【0083】
また、可動型28と可動板24との間や固定型30と固定板22との間に、それぞれ介在せしめられる、絶縁手段としての可動側及び固定側絶縁板40,50は、それら可動型28と可動板24との間や固定型30と固定板22との間を確実に絶縁し得るものであれば、その形状や大きさ、或いは材質等が、特に限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0084】
さらに、電荷印加手段も、例示の高圧電源装置88に決して限定されるものではなく、可動側型板32等に対して、負の電荷のみを印加するものと、正の電荷のみを印加するものと、外部からの操作によって正と負の電荷を選択的に印加し得るものの中から、樹脂製品104において生ぜしめられる静電気の極性と、制御されるべき樹脂製品104の表面電位の値とに応じて、従来より公知の構造を有するのもが、適宜に選択されて、使用され得る。
【0085】
また、前記実施形態では、エジェクタロッド66が、絶縁部76とメタル部78とにて構成されていたが、全体を絶縁材料にて形成して、絶縁部76のみにて構成しても良い。
【0086】
なお、エジェクタロッド66を絶縁部76とメタル部78とにて構成する場合にも、絶縁部76とメタル部78とを一体化させる構造や、絶縁部76の大きさは、エジェクタプレート58との間の絶縁状態を確保し得るものであれば、例示のものに、何等限定されるものでないことは、勿論である。
【0087】
更に、エジェクタロッド66を第二ラム74等の駆動手段に取り付ける取付構造も、それら着脱可能に取り付ける構造や、着脱不能に取り付ける公知の取付構造が、適宜に選択されて、採用され得る。
【0088】
また、成形金型は、複数の分割型からなるものに限らず、単に、1個のものからなるであっても、何等差し支えない。
【0089】
加えて、本発明は、樹脂製品を射出成形する成形金型と射出成形装置の他、ゴム製品等、樹脂製品以外の不導体製品を金型成形加工する各種の成形金型と、そのような成形金型を含む、表面電位を制御する機能を備えた成形加工装置の何れに対しても、有利に適用可能であることは、勿論である。
【0090】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に従うエジェクタ機構を備えた成形加工装置の一実施形態を示す、一部切欠図を含む要部説明図である。
【図2】図1における要部拡大説明図である。
【図3】図1に示された成形加工装置を用いて、樹脂製品を成形する工程の一例を示す説明図であって、可動型と固定型とを型合わせして、成形キャビティを形成した状態を示している。
【図4】図3に示される工程に引き続いて実施される工程を説明するための図であって、成形キャビティ内に溶融樹脂材料を充填した状態を示している。
【図5】図4に示される工程に引き続いて実施される工程を説明するための図であって、成形された樹脂製品を離型した状態を示している。
【符号の説明】
【0092】
10 射出装置 12 型締装置
14 成形金型 18 ノズル
22 固定板 24 可動板
28 可動型 30 固定型
32 可動側型板 40 可動側絶縁板
50 固定側絶縁板 56 成形キャビティ
58 エジェクタプレート 60 エジェクタピン
66 エジェクタロッド 74 第二ラム
76 絶縁部 78 メタル部
80 雄ねじ部 84 接触面
88 高圧電源装置 94 コントローラ
102 溶融樹脂材料 104 樹脂製品


【出願人】 【識別番号】000185617
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄

【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博


【公開番号】 特開2008−62491(P2008−62491A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−242305(P2006−242305)